M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年1月17日公開業種別M&A
地盤改良工事業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
地盤改良工事業界でも後継者不足や人出不足問題の解決のためのM&Aが実施されるようになりつつあります。この記事では、地盤改良工事業界の業界動向と、M&Aのメリット、実際に売却された事例などについて詳しく解説します。
目次
地盤改良工事業界の動向
地盤改良工事とは、建築物や構造物を支えることができない地盤を補強するための工事のことです。住宅やビル、トンネル、橋脚、空港などで必要に応じて実施されます。
NIKKEI COMPASSによると、2023年5月の調査では、住宅の地盤改良工事の市場規模は1,200億円程度です。
住宅分野での需要は、住宅着工件数に依るために市場の急拡大は見込めませんが、今後も一定量の需要は続くでしょう。
参考:NIKKEI COMPASS「地盤改良工事」
地盤改良工事会社のM&Aのメリット
地盤改良工事会社をM&Aするメリットについて解説します。
売却側のメリット
地盤改良工事会社をM&Aで売却するメリットは次のとおりです。
後継者問題の解消と事業の継続
現在、国内の多くの企業で、経営者の高齢化と後継者不足問題が生じています。その中でも、地盤改良工事会社を含む建設関連業界での後継者不足が深刻化しています。
帝国データバンクの調査によると、2022年の建設関連業界での後継者不在率は63.4%です。約3社に2社は後継者問題を抱えているということになります。
後継者不足により黒字での廃業を選ばざるをえない会社も増えていますが、貴重な技術を持つ地盤改良工事会社の廃業は社会にとっても大きな痛手です。
そこで解決策としておすすめなのがM&Aです。M&Aで会社を売却することで、後継者問題を解決し、事業の継続を図ることが可能になります。
参考:帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」
従業員の雇用
後継者問題によって廃業してしまったら、雇用している従業員は解雇するしかありません。
経験豊富な技術者は次の就職先が簡単に見つかるでしょうが、年齢の高いスタッフや事務職、補助的な仕事をしているスタッフは次の就職先が見つかるかわかりません。
M&Aによって会社を売却すれば、多くの場合、従業員もそのまま引き取ってもらえます。経営者が自分で経営を続けるのが難しくても、従業員の雇用を守ることが可能です。
売却利益の獲得
M&Aでの売却ではなく廃業を選んだ場合には、解雇する従業員への退職金の支払いが必要となります。また、設備の処分も必要です。売却できるものもあるでしょうが、経営者の手元にはほとんど残らない、という場合も多いようです。
M&Aで会社を売却すれば、廃業するためのコストを全く掛ける必要がありません。従業員は引き続き買収先で雇用されて、設備もそのまま引き取ってもらえます。さらに、会社を売却したことによる利益が経営者の手元に残ります。
M&Aの会社の売却なら、お金が手元に入ってきて、引退後の生活費にしたり、新しい事業の資金にしたりできるのです。
買収側のメリット
地盤改良工事会社をM&Aで買収するメリットは次のとおりです。
シナジー効果
地盤改良工事会社をM&Aで買収するメリットの1つ目は、シナジー効果を期待できるという点です。
土木・建設業界では会社ごとに得意とする分野が異なっています。さらに、地盤改良工事には特殊な技術が必要なため、自社では施工できないという会社も多いことでしょう。
M&Aで地盤改良工事会社を傘下に収めることで、自社にはない技術力を手に入れることができ、さらなる事業の発展が期待できます。
事業拡大
地盤改良工事を含む土木・建設業界では、地域性というのも大きな要素となります。新しい地域に参入したいと考えていても、すでにその地域で信頼されている会社がある場合には、新規参入が難しいでしょう。
すでに、その地域で高い信頼を得ている地盤改良工事会社をM&Aで買収することで、その地域に参入することができます。新たに地域の地盤を開拓する手間と費用をかけずに、事業の拡大が可能でしょう。
人材不足問題の解消
地盤改良工事を含む土木・建設業界では、スタッフの高齢化と人材不足が大きな問題となっています。
若い人がなかなか入ってこないのに、高い技術を持った高齢のスタッフが引退してしまうことに頭を抱えている経営者も多いことでしょう。
M&Aで他社を買収すれば、熟練の技術者も自社で引き受けることができます。育成する手間も省けることから、効率的に人員を増やすことが可能です。
地盤改良工事業界のM&A・売却・買収事例4選
地盤改良工事業界で今までに実施されたM&Aの4つの事例を紹介します。
ライト工業がFecon Underground Construction Joint Stock CompanyをM&Aした事例
2022年12月に、ライト工業株式会社から、同社の持分法適用関連会社Fecon Underground Construction Joint Stock Company(以下、「FCU社」)と同社連結子会社Raito-Fecon Innovative Geotechnical Engineering Joint Stock Company(以下、「RFI社」)の経営統合に伴い、FCU社による第三者割当増資を引き受け、FCU社を連結子会社化するM&Aが発表されました。
FCU社とRFI社はどちらもベトナムの地盤改良工事会社であり、関連性の高い事業を展開しています。組織体制を一体化することで、今後のベトナムにおける事業のさらなる成長が期待できるとのことです。
統合後、2年以内にRFI社はFCU社に吸収合併される予定です。
参考:ライト工業株式会社「当社持分法適用関連会社であるFecon Underground Construction Joint Stock Company(ベトナム)の 第三者割当増資引受(連結子会社化)に関するお知らせ」
テノックスが広島組と亀竹産業をM&Aした事例
2020年10月に株式会社テノックスが、株式会社広島組と亀竹産業株式会社の全株式を取得して、両社を子会社化するM&Aが発表されました。
テノックスは土木及び建物の基礎工事を行う会社です。広島組は関西地区を中心に杭工事や杭抜工事、地盤改良工事を行ってきました。亀竹産業は広島組の子会社で土木建築用機械の販売や修理、リースを手掛けています。
このM&Aにより、テノックスでは今まで手掛けてこなかった杭抜工事へ参入が可能になり、営業力の強化が期待できるとのことです。
参考:株式会社テノックス「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
不動テトラが愛知ベース工業グループをM&Aした事例
2020年9月に株式会社不動テトラが、愛知ベース工業株式会社の全ての株式を取得して、グループ傘下に収めるM&Aを発表しました。
愛知ベースの株式を所有しているる株式会社ABホールディングス、株式会社BASE・ECO、日本土質試験センター株式会社の3社から、愛知ベースの株式を全て取得します。
不動テトラは土木、地盤改良、ブロックの3つの事業を柱としていますが、地盤改良は中小規模の工事を手掛けていませんでした。
戸建ての地盤改良を主に手掛けながら、規模の大きな建築物への参入も進めている愛知ベースを傘下に収めることで、不動テトラとては戸建てから大規模な建築まで、幅広く事業を手掛けることが可能になるとのことです。
参考:株式会社不動テトラ「子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ」
日本乾溜工業がニチボーをM&Aした事例
2020年7月に、日本乾溜工業株式会社が、株式会社ニチボーの全株式を取得して子会社化するM&Aを発表しました。
日本乾溜工業株式会社は道路の法面の施工など、交通安全や防災のための土木建築工事などを行う会社です。株式会社ニチボーは、九州全域で法面事業や地盤改良工事などを手掛けてきました。
日本乾溜工業としては、九州に基盤を置くニチボーの営業力と高い技術力とのシナジーが期待できるとのことです。
参考:日本乾溜工業株式会社「株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約書締結に関するお知らせ」
地盤改良工事会社のM&Aをする流れ
地盤改良工事会社をM&Aする流れをみておきましょう。
専門家に相談
地盤改良工事会社の行く末に不安を感じたら、まずはM&Aの専門家に相談してみましょう。日本には、中小企業のM&Aを専門的に扱っている会社があります。
そのような会社には、M&Aについての専門的な知識を持つスタッフがたくさんいて、M&Aをするべきかどうか、といったところから相談に乗ってくれるでしょう。
M&Aで売却するべきか、他に解決法はないのか、経営者に寄り添って一緒に考えて、M&Aするべきだと判断したら難しい手続きもサポートしてくれます。まずは専門家への相談から始めてみましょう。
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国に案件に対応しています。
知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートさせていただきます。
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交渉・トップ面談と基本合意書の締結
M&Aの専門家と仲介契約を結んだら、まず専門家が行うのが買収先の選定です。専門家が地盤改良会社の買収を希望している会社を見つけて、相性などを考えて数社をピックアップしたら、経営者自らが判断して交渉相手を決めます。
交渉相手が決まったら、まずはお互いの経営者同士が顔を合わせて話し合うトップ面談を実施します。トップ面談は、書類だけでは見えない企業文化や経営理念などを話して、M&Aの相手先としてふさわしいのかをお互いに見極める場です。
トップ面談の結果、M&Aを進めることになったら、交渉に入ります。交渉がまとまったら、基本合意書を締結します。基本合意書には、取引価格、M&Aのスキーム、スケジュールなどについて記載します。
デューデリジェンスの実施とクロージング
基本合意書の締結後にデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、買収側が売却側の会社について詳細に調査することです。
M&Aのデューデリジェンスを専門とする弁護士や会計士などが、法務、財務、人事などについて詳細に調査を行い、リスクがないか、適正価格はどのくらいかを調査します。
デューデリジェンスの結果に基づいて、最終交渉を行い、妥結できれば最終契約書の締結です。
その後、従業員や取引先への説明や、経営体制移行のための準備期間をしばらく置いてから、経営権の引き渡しと対価の支払いのクロージングを行います。
地盤改良工事会社をM&Aする注意点
地盤改良工事会社をM&Aで買収するときには2つの注意点があります。
1つ目は粉飾決算です。地盤改良工事会社を含む土木・建築関連業界では、他の業界よりも粉飾決算の会社が多いと言われています。買収しようとしている会社が粉飾決算をしていないかを、デューデリジェンスの際によく調査しましょう。
2つ目が、建設業許可です。株式譲渡であれば、建設業許可はそのまま引き継ぐことができますが、事業譲渡の場合には、買収側が新規に取得する必要があります。申請から数ヶ月はかかるので、早めに用意を始めましょう。
地盤改良工事会社のM&A・事業譲渡まとめ
地盤改良工事の会社でも後継者不足問題などで、会社の将来が危ぶまれているところが多くあります。M&Aでの売却は、会社の未来をつなぐことができる重要な決断です。ぜひ、事業を存続させて、従業員の雇用を守る道を探しているのなら、まずはM&Aの専門家への相談をおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。