M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年3月6日更新業種別M&A
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継の事例28選!動向や課題も紹介!
本記事では、婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継事例および、積極的に買収を行っている企業を中心に紹介します。婚礼・ウエディング業界は、「顧客減少」の経営課題からM&A・事業承継が活発化しています。ウエディング業界のM&Aを検討している方は必見です。
目次
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継について
婚礼・ウエディングは、多くの人にとって憧れの場であり、その場を提供してサポートを行う婚礼・ウエディング業界も、非常に華やかなイメージを持たれています。本章では、婚礼・ウエディング業界の定義とM&A・事業承継の意味を中心に解説します。
婚礼・ウエディング業界とは
婚礼・ウエディング業界とは、結婚式や披露宴に関連するトータルサポートを行う業種です。事業内容は多岐にわたりますが、多くの企業で共通しているのは、「顧客のニーズに合わせて、結婚式場の手配や式の進行全般のサポートを行う」点です。
婚礼・ウエディング業界は女性の憧れの職業として上位に挙げられることが多く、メインの労働者層は若い女性です。
なお、業種の意味合いとして、「婚礼・ウエディング=結婚式」「ブライダル=結婚式に携わる仕事」と分類される場合があるのは事実です。しかし、本記事では、ブライダルも含めて婚礼・ウエディング業界として情報を提供します。
婚礼・ウエディング業界の特色
婚礼・ウエディング業界は、結婚式および披露宴が最大の業務ですが、それが開催される時期に偏りがある点に顕著な特色が見られます。つまり、結婚式および披露宴は土日祝日、季節でいえば春と秋に集中するのです。
これらは参列者が集いやすい曜日で、過ごしやすい時期です。逆にいえば、他の曜日や季節は閑散する傾向にあります。経営者の観点でいえば、従業員の雇用の仕方に関して工夫が必要な業界です。
また、他の業種と異なる特色として、基本的に顧客は新規客のみが対象である点が挙げられます。一般的なビジネスでは、「いかにリピーターを作るか」に重きが置かれますが、婚礼・ウエディング業界では、その概念はありません。
そして、「絶えず新規客を獲得しなければならない」特色のせいで、広告宣伝費に多額の予算をつぎ込む必要があるビジネスモデルです。
M&Aとは
M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の合併(Mergers)や買収(Acquisitions)を意味する言葉です。近年、M&Aは、後継者問題の解消や人材確保などの目的で実施されるケースが多いです。
婚礼・ウエディング業界では、超高齢化・未婚率の増加などを原因に市場規模の減少が止まらず、最終的に経営状態が悪化する傾向が強まっています。
こうした背景から、「廃業・倒産の前にM&Aによる会社売却を検討する中小企業」と、「積極的に買収を行い、人材を確保しながら事業規模拡大を図る大手企業」の二極化が進んでいる状況です。
事業承継とは
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいいます。経営上、何らかの問題がある場合を除いて、基本的には会社・事業が継続されていくことを経営者は望むため、適切なタイミングで事業承継を行うことが一般的です。
ただし、昨今は、事業承継における後継者難という問題がたびたび取り上げられています。大手企業の場合は、人員の規模や組織の成り立ちの違いから、こうした後継者問題に悩まされることはほとんどありません。
問題は、中小企業です。超高齢化や価値観の多様化を主な原因に、これまで広く実施されてきた親族への事業承継が減少傾向にあります。従業員を後継者とする「社内事業承継」も次善の策として存在するものの、資金難のために辞退する候補者も多いのが実情です。
そのため、最近では、M&Aで会社・事業を売却することで、買い手に事業承継する方法が増加傾向にあります。
婚礼・ウエディング業界のM&A動向・市場規模・課題
婚礼・ウエディング業界のM&Aを考察するにあたって、本章では、その動向と婚礼・ウエディング業界の市場規模、課題を中心に分析しました。
婚礼・ウエディング業界のM&A動向
婚礼・ウエディング業界のM&Aを買収側の視点で見てみると、その傾向は大別して2種類に分けられます。
1つ目は、事業規模・業績の拡大に直結させるために、同業者を買収し傘下に加えるM&Aです。同一エリアの競業企業を買収し、そのエリアでの市場シェアを高めるケースもあれば、未進出のエリアで事業を展開している会社を子会社化し、事業エリアの拡張を図るケースもあります。
2つ目は、競業相手に打ち勝つための差別化戦略を実施すべく、婚礼・ウエディング事業の周辺に位置する事業を行っている会社を自社グループに加えていくM&Aです。
一例としては、婚礼・ウエディング用ドレス・ジュエリー類を専門に扱う販売・レンタル業者を傘下に入れ、他社と一線を画す身支度品のラインナップをそろえて差別化・オリジナリティ感を強く打ち出すケースです。
婚礼・ウエディング業界の市場規模
内閣府の資料「令和3年版 少子化社会対策白書」によると、過去最高の婚姻件数は1972(昭和47)年の109万9,984組でしたが、2020(令和2)年では53万7,583組(対前年比12.7%減)で、過去最低を記録しています。
この主な理由は、少子化・晩婚化・価値観の変化に伴う未婚率の上昇だとされています。いずれにしても、婚礼・ウエディング業界にとって厳しい現実です。
婚礼・ウエディング業界の今後の課題
婚礼・ウエディング業界にとって深刻な問題は、単純な婚姻件数の減少のみではありません。人々の価値観の変容によって、従来のように高額な費用をかけて婚礼・ウエディング披露宴を行わない風潮が台頭していることも含まれます。
極端な例としては、費用をかけないどころか、婚礼・ウエディング披露宴そのものを行わない新婚カップルも少なからずいます。
しかし、その一方で晩婚化がもたらしたものとして、若年層よりも予算額の余裕があることから、婚礼・ウエディング披露宴を行うのであれば十分に費用をかけて、高いもてなしレベルの体現を行おうとするケースも生まれているのです。
つまり、1組あたりの夫婦が婚礼・ウエディングに使う費用は増加傾向にあります。したがって、婚礼・ウエディング業界各社としては、いかに他社よりも付加価値が高くオリジナリティのあるサービスを提供し、顧客に選んでもらうかが課題です。
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継事例・ニュース28選
2020年以降に行われた事例
まずは、2020年以降に実施された婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継事例9件を紹介します。
①こころネットによるエルタへの事業譲渡
2021年1月、こころネットは、連結子会社のこころガーデンが運営する介護事業をエルタに譲渡すると発表しました。
売却側は、葬祭・石材・婚礼・生花・互助会などの事業を展開しており、顧客の人生の節目における儀式をトータルでサポートしています。買収側は、サービス付き高齢者向け住宅を運営する特定非営利活動法人です。
こころネットは、この譲渡によってM&Aの目的は、ニーズに沿った介護サービスのさらなる充実を図り、、安心安全な福祉の実現に期待するとしています。
②松屋による子会社のアターブル松屋グループ4社の合併
2020年12月、松屋は、連結子会社であるアターブル松屋グループのアターブル松屋ホールディングス、アターブル松屋、アターブル松屋フードサービス、アターブルイーピーエヌの合計4社を合併すると発表しました。
アターブル松屋グループは、婚礼宴会事業を主力として運営する企業です。近年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、婚礼宴会のキャンセルが相次ぐなど、非常に厳しい業績を強いられていました。
このような状況によって、アターブル松屋グループは構造改革を実施および不採算店舗の撤退などの効率化を進めています。
本事例は、業績改善に向けたさらなる効率化のために、ホールディングスカンパニー体制を見直し合併に至ったと考えられています。
③テイクアンドギヴ・ニーズがグットラック・コーポレーションをケン不動産リースに株式譲渡
2020年9月、婚礼・ウエディング事業を行うテイクアンドギヴ・ニーズは、海外・リゾートウエディング事業を行っている子会社グッドラック・コーポレーションの全保有株式(全体の91.8%)をケン不動産リースに譲渡しました。譲渡価額は非公表です。
テイクアンドギヴ・ニーズとしては、コロナ禍の影響もあり経営状況が厳しくなった子会社を、取引関係のあったケン不動産リースに譲渡し、経営の選択と集中を行っています。
④aedamによるラビアンローゼとウィンクルの事業譲受
2020年8月、aedamは、ラビアンローゼから「ホテルアークリッシュ豊橋衣装室」、ウィンクルから「スウィートローゼスクラブ岡崎」の事業をそれぞれ譲受しました。
スウィートローゼスクラブ岡崎は、『心に残る、アットホームな結婚式を』を理念に掲げています。aedamは、愛知県で貸衣装事業とフォトスタジオ事業を営んでおり、本件M&Aによって愛知県におけるブライダル事業の拡大を図るとしています。
⑤パートナーエージェントがpmaを子会社化
2020年4月、婚活サービス大手のパートナーエージェントは、挙式披露宴後の二次会プロデュース事業を行うpmaの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は1,000円です。
このM&Aスキームを細かく説明すると、まず挙式披露宴後の二次会プロデュース事業の大手であるオーセモーション・プロダクツが会社分割をして、pmaが設立されました。会社分割時にpmaが承継したのは、東京と神奈川における挙式披露宴後の二次会プロデュース事業です。
つまり、パートナーエージェントとしては、オーセモーション・プロダクツの東京と神奈川における挙式披露宴後の二次会プロデュース事業を譲受しています。
⑥パートナーエージェントがMクリエイティブワークスを子会社化
2020年3月、パートナーエージェントは、フォトウエディング事業を行うMクリエイティブワークスの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は2億1,400万円となっています。
パートナーエージェントは、以前よりMクリエイティブワークスの株式14.9%を所有していましたが、残りの85.1%を追加取得したものです。パートナーエージェントとしては、これまで行ってきていなかったフォトウエディング事業を新たに取得しています。
⑦エスクリがラヴィマーナ神戸から事業譲渡
2020年3月、婚礼・ウエディング事業を行うエスクリは、ラヴィマーナ神戸が運営してきた結婚式場「ラヴィマーナ神戸」と、扇屋が「ラヴィマーナ神戸」内で行ってきた衣装事業を、それぞれ譲受しました。取得価額は公表されていません。
エスクリとしては、神戸市で2軒目の結婚式場を得て、同エリアにおける業績拡大を図る目論見です。
⑧こころネットがベトナムの墓石加工販売会社を子会社化
2020年2月、こころネットが、ベトナムの墓石加工販売会社KANNO VIETNAM TRADING COMPANY LIMITEDを子会社化しました。冠婚葬祭事業を幅広く手掛けるこころネットは、今回の買収によって海外の墓石受注増加を見込むとしています。
⑨平安レイサービスがさがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスを子会社化
2020年1月、冠婚葬祭事業を行う平安レイサービスは、葬祭業のさがみライフサービスと、ホテル経営のシンエイ・クリエート・サービスのそれぞれの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。
子会社となった両社は、ともに神奈川県小田原地区で事業を行っています。平安レイサービスとしては、同エリアにおける営業力アップを期待してのM&Aです。
2019年までに行われた事例
続いて、2019年までに発表された、婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継事例・ニュースを19件ピックアップし紹介します。
- ビューティ花壇が植物レンタル・造園事業会社を完全子会社化
- こころネットが冠婚葬祭事業会社を完全子会社化
- くふうカンパニーが結婚式プロデュース会社を完全子会社化
- アスカネットと3Dスキャナー開発・販売のVRCが資本業務提携へ
- こころネットが老舗葬祭事業会社を子会社化
- ブラスがビーラインのブライダル事業を譲受
- IBJが海外旅行企画のかもめを完全子会社化
- IBJがウインドアンドサンを完全子会社化
- エスクリがディライトから結婚式場1施設を譲受
- エスクリがフジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアを完全子会社化
- エスクリが徳島渭水祥雲閣から結婚式事業を譲受
- エスクリがJCCから結婚式場2施設を譲受
- エスクリがアプローズクリエイトから結婚式事業を譲受
- エスクリがブライダル事業会社のみや美を完全子会社化
- 藤田観光がかわのを完全子会社化
- グローヴエンターテイメントがワタベウェディングの結婚式場を譲受
- エスクリが渋谷を完全子会社化
- IBJが完全子会社のエスアイヤを吸収合併
- こころネットが郡山グランドホテルを完全子会社化
①ビューティ花壇が植物レンタル・造園事業会社を完全子会社化を発表するも中止
2019年1月、ビューティ花壇が、花門フラワーゲートを完全子会社化する発表を行いました。しかし、同年7月、デューデリジェンス後の譲渡価額交渉が合意に至らず、このM&Aは破談となりました。
ビューティ花壇は、生花の小売・装飾や造園事業を手掛けるフラワーゲートを買収することで、事業の拡大と効率化を図る目的でしたが、買収価額や買収後の経営方針に隔たりがあったために中止したと考えられます。
②こころネットが冠婚葬祭事業会社を完全子会社化
2018年12月、こころネットは、北関東互助センターの全株式を取得し、完全子会社化しました。こころネットは、栃木県の宇都宮を中心に事業を展開する北関東互助センターを買収することで、同エリアの事業拡大とシナジー創出を図っています。
③くふうカンパニーが結婚式プロデュース会社を完全子会社化
2018年11月、くふうカンパニーは、アールキューブの全株式を取得し、完全子会社化しました。
アールキューブは、会費婚と呼ばれる会費制の結婚式に特化したサービスを提供しています。くふうカンパニーでは、結婚費用の後払いを確立させた事業を取り込むことで、新たな結婚プランニングの創出を図る目的です。
④アスカネットと3Dスキャナー技術のVRCが資本業務提携へ
2018年3月、アスカネットとVRCが資本業務提携を締結しました。VRCが持つ3Dスキャナー技術を活用した新たなビジネス創出や、両社の販売ネットワークを共有することで既存製品の販売促進を図っています。
⑤こころネットが老舗葬祭事業会社を子会社化
2017年12月、こころネットは、玉橋の全株式を取得し、完全子会社化しました。玉橋は、こころネット同様に、福島を中心に事業を展開しています。今回の買収によって、こころネットは、福島エリアでのさらなる事業確立とシナジー創出を図っています。
⑥ブラスがビーラインのブライダル事業を譲受
2017年7月、ブラスは、静岡のビーラインのブライダル事業「ヴィラエッフェ」を譲受しました。ブラスは、今回の事業譲受により、静岡のブライダル事業の営業基盤を固めるとともに業務効率化を図り、さらなる事業規模拡大を目指すとしています。
⑦IBJが海外旅行企画のかもめを完全子会社化
2016年12月、IBJは、海外ツアー企画のかもめの全株式を取得し、完全子会社化しました。かもめは、海外ツアー企画「かもめツアー」「eかも」を主な事業として展開しています。
本件事例により、IBJが提供する「成婚支援サービス」とのシナジー創出が見込まれ、新婚旅行などのニーズに対応できると期待されています。
⑧IBJがウインドアンドサンを子会社化
2016年6月、IBJは、式場送客デスク「ウェディングnavi」を運営するウインドアンドサンを子会社化しました。IBJは、ウインドアンドサンを子会社化することで、広告による顧客獲得力の大幅強化を見込んでいます。
⑨エスクリがディライトから結婚式場1施設を譲受
2016年1月、エスクリは、ディライトが保有する富山の結婚式場1施設を譲受しました。本件M&Aによって、北陸エリアの事業を強化するものと見られています。
⑩エスクリがフジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアを完全子会社化
2015年12月、エスクリは、フジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアの全株式を取得し、完全子会社化しました。結婚式場を2つ(東京の南青山と麻布)保有しているストーリアを買収することで、エスクリのブライダル事業のエリア拡大と収益向上を図っています。
⑪エスクリが徳島渭水祥雲閣から結婚式事業を譲受
2015年10月、エスクリは、徳島県の徳島渭水祥雲閣から結婚式事業を譲受しました。本譲受により、エスクリは地方への事業展開を進め、さらなる収益向上を目指すとしています。
⑫エスクリがJCCから結婚式場2施設を譲受
2015年10月、エスクリは、婚礼・ウエディング事業を手掛けるJCCより結婚式場2施設(栃木県小山市)を譲受しました。都市部を中心に事業展開するエスクリですが、本件M&Aによって、栃木県における拠点確保と同エリアにおける事業拡大を図るとしています。
⑬エスクリがアプローズクリエイトから結婚式事業を譲受
2015年7月、エスクリは、アプローズクリエイトが大分県別府市で手掛ける結婚式事業を譲受しました。本譲受をきっかけに、エスクリは新たにブライダル事業を手掛けるエスクリマネジメントパートナーズを設立し、地方でさらなる収益向上を目指しています。
⑭エスクリがブライダル事業会社のみや美を完全子会社化
2015年4月、エスクリは、みや美の全株式を取得し、完全子会社化しました。みや美は福井に4つのブライダル施設を保有しており、地元に根づいたブライダル事業を手掛けている会社です。
エスクリは、みや美を子会社化することで、北陸エリアのブライダル事業基盤をさらに強固にすると発表しています。
⑮藤田観光がかわのを完全子会社化
2015年1月、藤田観光は、広島市のかわのの全株式を取得し、完全子会社化しました。ホテルや旅館を運営してレジャー事業を手掛けている藤田観光は、かわのを子会社化することで、広島市の婚礼・ウエディング事業への参入を果たしています。
⑯グローヴエンターテイメントがワタベウェディングの結婚式場を譲受
2014年11月、グローヴエンターテイメントは、ワタベウェディングが保有する函館市の結婚式場を譲受しました。
本件事例では、設備投資費用を抑えつつ結婚式場施設を着実に増やしていくことで、受注件数を伸ばそうとする動きが見られます。
⑰エスクリが渋谷を完全子会社化
2013年5月、エスクリは、渋谷の全株式を取得し、完全子会社化しました。渋谷は建築工事の請負やインテリア用品の輸入・販売を手掛ける会社です。渋谷をエスクリのグループに入れることで、事業エリア拡大に伴う新規出店の際に、費用や管理面で大きなメリットが得られると発表しています。
⑱IBJが完全子会社のエスアイヤを吸収合併
2013年4月、IBJは、完全子会社のエスアイヤを吸収合併しました。エスアイアは外部からの受注活動を行っていないため、決算業務や事務処理業務を一本化する目的で吸収合併を行っています。
IBJは、完全子会社のエスアイヤを吸収合併して1つの法人格に統一することで、経営や事業の効率化を図ると発表しています。
⑲こころネットが郡山グランドホテルを完全子会社化
2013年4月、こころネットは、郡山グランドホテルの全株式を取得し、完全子会社化しました。郡山グランドホテルは、福島県郡山市に結婚式場2施設、葬儀会館3施設を保有しています。今回の買収によって、こころネットは、郡山市の冠婚葬祭事業の強化を図るとしています。
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行う6つのメリット
この項では、婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリットを解説します。
- 後継者問題を解決できる
- 従業員の雇用先を確保できる
- 競争から解放され将来の不安がなくなる
- 個人保証や担保をなくせる
- 結婚式場・ブライダル会場を取り壊す費用が不要になる
- 譲渡・売却益を獲得できる
①後継者問題を解決できる
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリットの1つ目は、後継者問題を解決できることです。中小企業庁が定期的に発行している「中小企業白書」では、中小企業の後継者問題が毎回取り上げられており、その深刻度は年々、増しています。
この傾向は婚礼・ウエディング業界も同様であり、地方の中小企業にとって後継者問題は命題といえます。この問題に対処するべく、M&A・事業承継を選択する婚礼・ウエディング会社が増えつつある状況です。
②従業員の雇用先を確保できる
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリット2つ目は、従業員の雇用先を確保できることです。
M&Aによって買収を行う目的には、ほとんどの場合、事業規模拡大が含まれています。この目的を掲げる会社の多くは新たな人材を欲しているため、従業員をそのまま引き継ぐ事例がほとんどです。
また、事業承継であれば会社はそのまま存続するため、従業員の失業に関する心配が不要です。
③競争から解放され将来の不安がなくなる
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリット3つ目は、売却側の場合、競争から解放され将来の不安がなくなることです。
婚礼・ウエディング業界は、少子化による婚姻率の減少や、そもそも結婚式を行わない「なし婚」の増加によって、市場規模が縮小を続けている背景があります。そのため、減り続ける顧客の奪い合いが、年々、激しさを増しているのです。
業界全体の将来性を不安視する見方もあり、悩みや不安を抱える経営者がM&A・事業承継によって同事業から撤退する事例も多く見受けられます。
④個人保証や担保をなくせる
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリット4つ目は、個人保証や担保をなくせることです。
会社運営に必要となる資金は、多くの場合、金融機関からの融資で賄われています。そして、中小企業の場合、経営者が個人保証や担保を提供しなければ融資を受けることが難しい傾向にあるのです。
自己資産を担保とすることで融資を受けられますが、事業に失敗した場合はすべてを失ってしまう大きなリスクを抱えています。リスクを抱えることは、経営者であり続ける限りつきまとう問題ですが、M&A・事業承継によって経営者を降りれば、こういった悩みからも解放されます。
⑤結婚式場・ブライダル会場を取り壊す費用が不要になる
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリット5つ目は、仮に廃業した場合に発生する、結婚式場・ブライダル会場を取り壊す費用が不要になることです。
同業種へのM&Aや事業承継によって会社が存続するのであれば、結婚式場やブライダル会場をそのまま活用できるため、わざわざ取り壊す必要がなくなります。
⑥譲渡・売却益を獲得できる
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継を行うメリット6つ目は、売却側であれば譲渡・売却益を獲得できることです。株式譲渡の場合、株式の取得対価の支払いによりM&Aが成立します。取得対価は株主個人に支払われるため、新しく手掛ける事業や新生活の資金などに活用することが可能です。
婚礼・ウエディングの売却の相場については、下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
婚礼・ウエディング業界を積極的に買収する企業一覧
ここでは、婚礼・ウエディング業界において積極的に買収を実施している企業を紹介します。
- こころネット
- アスカネット
- エスクリ
①こころネット
こころネットは、冠婚葬祭事業の「アイトゥアイ・グループ」と石材事業の「カンノ・グループ」が2005年11月に経営統合をして誕生しました。
設立以降、冠婚葬祭事業を手掛ける企業の買収を繰り返して、同事業の強化を図っています。近年では、北関東互助センターや玉橋などが代表的なM&A事例です。
②アスカネット
アスカネットは、「思いをかたちに」を理念に、写真集の制作請負および関連するソフトウェアの開発を手掛けています。思い出の写真を残せるとして、婚礼・ウエディング事業にも大きく関わっている企業です。
近年では、「3Dスキャナー開発・販売のVRCとの資本業務提携」が話題となり、両社が独自に持つ技術とネットワークを共有することで製品・サービスの向上を図っています。
③エスクリ
エスクリは、全国で結婚式場を運営する婚礼・ウエディング会社です。
以前は都市部を中心に事業展開をしていましたが、近年はさらなる事業エリアの拡大を図った地方の婚礼・ウエディング業界の買収の動きが強まっています。買収スキームとしては、会社を買収する株式譲渡だけでなく、式場運営などの細かい事業単位での買収も多い点が特徴です。
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点
本章では、婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点を解説します。いずれもM&A・事業承継を成功させるために欠かせないポイントであるため、念入りに把握しておきましょう。
- 計画的に準備を行う
- M&A・事業承継の目的を明確にする
- 事業承継時は後継者育成を行う
- M&A・事業承継先を選定する
- 結婚式場・ブライダル会場の老朽化などの確認
- M&A・事業承継の専門家に相談する
計画的に準備を行う
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点1つ目は、計画的に準備を行うことです。
M&A・事業承継の準備には、「自社の状況確認」「業界の動向確認」などが挙げられます。内外を取り巻く環境を把握しておかなければ、適切にM&A・事業承継を進められません。
また、「相談先を決める」ことも重要です。婚礼・ウエディング業界に精通している専門家のサポートを受けることで、成功率が大幅に上がります。
M&A・事業承継の目的を明確にする
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点2つ目は、M&A・事業承継の目的を明確にすることです。
婚礼・ウエディング会社がM&A・事業承継を行う理由には、後継者不在・従業員の雇用先の確保・将来性の不安からの解放など、さまざまなものが挙げられます。
どの理由を重視するかによって適切な取引先が変わり、得られる結果も変動します。したがって、初期段階で目的を明確にしたうえで、M&A・事業承継の方向性を定めることが重要です。
事業承継時は後継者育成を行う
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点3つ目は、事業承継時は後継者育成を行うことです。
親族内に適任者がいない場合、次善の策として従業員に事業承継するケースが想定されます。この場合、事前に会社内の優秀な人材をピックアップし後継者育成を行っておくことで、いざという時に慌てずに事業承継することが可能です。
M&A・事業承継先を選定する
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点4つ目は、M&A・事業承継先を選定することです。
M&A・事業承継先の選定は、目的や条件を満たすための重要なプロセスであり、M&A全体の流れの中でもより慎重に行うべきプロセスです。仲介会社などからサポートを得つつ、M&A・事業承継先を選定しましょう。
結婚式場・ブライダル会場の老朽化などの確認
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点5つ目は、結婚式場・ブライダル会場の老朽化などの確認(買い手側)です。
近年では、手早く事業エリアの拡大を果たせるとして、結婚式場・ブライダル会場の確保を目的に、婚礼・ウエディング会社を買収する事例も多く見受けられます。
しかし、肝心の結婚式場・ブライダル会場が長い年月を経て老朽化が進んでいる可能性も存在します。リニューアルなどの必要が生じて、想定外の出費が伴うケースもあるため注意が必要です。
M&A・事業承継の専門家に相談する
婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継時の注意点6つ目は、M&A・事業承継の専門家に相談することです。
M&Aや事業承継は、成約するまで多数のプロセスを必要とします。プロセスの中には、秘密保持契約書などの各種契約の締結もあるため、M&A・事業承継の専門家のサポートが欠かせません。M&A・事業承継を円滑に進めるためにも、専門家への相談をおすすめします。
婚礼・ウエディングの事業譲渡/株式譲渡の成功のコツや注意点については、下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
婚礼・ウエディング業界のM&A成約実績
ここでは、婚礼・ウエディング業界のM&A成約実績事例を、M&A仲介会社であるM&A総合研究所の案件から1件紹介します。
【売り手側】
業種 | ブライダル |
---|---|
売上高 | 3億円 |
経営者の年齢 | 60代 |
譲渡理由 | 事業承継 |
【買い手側】
業種 | 飲食業 |
---|---|
売上高 | 非開示 |
上場/非上場 | 非上場 |
譲受理由 | 事業の多角化 |
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婚礼・ウエディング業界のM&A・事業承継のまとめ
M&A・事業承継事例から、婚礼・ウエディング業界全体でM&Aの動きが活発化していることがわかりました。この傾向には、婚礼・ウエディング業界の市場規模の縮小が進んでいることや、M&A・事業承継を行うさまざまなメリットがあることも影響していると考えられます。
M&Aや事業承継には多くのメリットがありますが、成約するまで多数のプロセスを必要とします。プロセスには秘密保持契約書などの各種契約の締結もあるため、M&A・事業承継を円滑に進めるためにも、専門家への相談をおすすめします。
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