2024年10月20日更新業種別M&A

学習塾業界のM&A・売却・買収の動向は?事例や費用も解説!

本記事では、学習塾業界のM&A・売却・買収の動向や事例を紹介し、費用の相場などについても解説します。学習塾業界のM&Aを行う際は、メリット・デメリットを判断したうえで適した手法を選ぶことが重要です。学習塾のM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 学習塾業界について
  2. 学習塾業界のM&Aの最新動向
  3. 学習塾業界のM&Aの事例11選
  4. 学習塾業界のM&Aの相場と費用
  5. 学習塾業界のM&A・買収の2つの目的
  6. 学習塾業界のM&A・売却の目的
  7. 学習塾業界のM&A・売却・買収のまとめ
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学習塾のM&A・事業承継

学習塾業界について

少子化の影響や異業種からの新規参入などにより、学習塾業界の競争は激しくなってきています。
この記事では学習塾業界のM&A・売却・買収について解説していきますが、まずは業界の定義や市場規模など基本的な情報をみていきましょう。

学習塾業界の定義

学習塾とは、義務教育課程あるいは高等教育以上の課程にある児童や生徒へ、学習指導や進学指導を行う教育施設を指します。

学習塾の開業に公的な認可は必要ないため、参入障壁が低く、自宅などを利用した地元密着型の個人塾も多いです。大規模の学習塾は都市部に集まっていますが、小規模の学習塾は人口密度が低い地方に集中する傾向がみられます。

学習塾業界の特徴

学習塾は、個別指導あるいは集団指導にするかで、経営が異なります。少子化が進み、親のニーズが各生徒のレベルに応じた学習指導を求めるようになり、大手学習塾も個別指導を積極的に取り入れている状況です。

個別指導では、個別の教室とマンツーマンに対応する講師の数が必要なので、固定費も高くなります。固定費を変動費化するには、講師をアルバイトや個人事業主として雇う、家賃を抑えるために1階ではなく空中階に学習塾を設ける、などの経営努力が必要です。

大手は経営の圧迫となる原因の解消や生徒のニーズにおける対応するため、インターネットを用いた個別指導を積極的に行っています。

学習塾の経営を安定させるためには、生徒数を増やし、その数を維持していかなければなりません。そのためには広告宣伝や高いクオリティを持つ講師陣が必要ですが、特に、講師の質と人数は学習塾の経営に大きな影響を与えます。

学習塾業界の市場規模

矢野経済研究所「学習塾・予備校市場に関する調査を実施(2021年)」によれば、2020年における学習塾・予備校市場規模の市場規模は9,240億円となっており、前年度と比べて4.9%減っています。

学習塾の市場規模は、ゆとり教育時代は子供の学力低下に対する不安を持つ親も多く、拡大傾向にありました。しかし、ゆとり教育が崩壊して少子化が進んだため、市場規模が縮小に転じたと考えられます。

学習塾業界の課題・展望

学習塾業界は、これからの社会に必要とする21世紀型の学力を身につけさるため、大学入試を筆頭に大学や高校の教育が改革される見込みです。

ゆとり教育のネガティブキャンペーンを行い売上を伸ばした学習塾業界ですが、詰め込みドリル教育をマニュアル化したビジネスモデルは、今後は通用しなくなると考えられます。

現在のビジネスモデルに固執してしまうと、異業種からの参入企業やベンチャービジネスにシェアを奪われる可能性もあるため、生き残るためには学習塾を中心とした受験産業が改革できるかどうかがカギといえるでしょう。

学習塾業界の現状

ここでは、学習塾業界の現状について見ていきましょう。

多様性が求められている

これまでは、学習塾といえば、学校と同じく大きな教室で大勢の生徒が講義を受ける集団指導のイメージがありました。

しかし、最近は、生徒一人ひとりの学力や目標、ペースに合わせてカリキュラムを設定できる特性を生かし、1対1で教える個別指導やインターネットで受けられるeラーニングを用いる学習塾が一般化しています。

特に「eラーニング」は手軽に受けられるため、さまざまな学習塾が導入し、アプリを用いて通う手間を省き、より手軽に講義を受けられるサービスを提供するところが増えている状況です。

また、教育制度改革によって大学入試の内容や学校で教える教科の追加など多種多様な変化が起こることが予想されるため、学習塾業界でもさまざまな対応が検討されています。

学習塾の増加と少子化の影響

学習塾業界は新規参入がしやすい業界です。学習塾は個人事業として開業しやすく、設備も最低限で済まそうと思えば済ませられるからです。そのため、学習塾業界に登場する新たな学習塾が続々と増えています。

一方、学習塾は講義を行う講師の人件費や教室の維持費、教材費、広告宣伝費などといった固定費がかさみやすく、コストに関しては常に配慮しなければなりません。人気のある講師の育成や確保、定着も学習塾にとって重要な課題です。

学習塾によってはフランチャイズ方式で教室を展開したり、講師をアルバイトに置き換えて人件費を抑えつつ綿密に作成したカリキュラムで育成したりするケースもあります。ただし、これらの対応だけでは解決できない問題を学習塾業界は背負っているのです。

それは「少子化」です。学習塾業界は学生に授業を行うことが主な業務であるため、少子化の影響をダイレクトに受けます。少子化が進めば主なターゲット層の小学生~高校生が減少し、学習塾同士でシェアを奪い合うことになるでしょう。

学習塾の数が増えていることは少子化が起こっている状況と相反しており、供給過多ともいえる状況です。そのため、昨今は少子化による影響を見越して高齢者や成人向けの生涯学習事業などに進出する事例もあり、今後学習塾業界は多様化することが予想されます。

学習塾業界のM&Aの最新動向

学習塾業界はM&Aを行うケースが増えており、M&Aが活発な業界といっても過言ではありません。そもそも学習塾業界は、生徒と講師の定着率が不安定となっています。

学習塾の生徒は受験の終了や進学など特定のタイミングで退塾するのが一般的で、顧客としてとどまる期間が限られているからです。

また、講師に関しては、学生や主婦などのアルバイト講師は非常勤であるため、短期間しか勤務しない可能性が高いうえ、専門的な研修などを受けていないため講師としての質も低い傾向があります。

正社員として常勤している講師は、研修を受けていたりスキルが高かったりする人材が多いです。人件費がかかることを除けば理想的な人材です。しかし、近年は、人気講師が他の学習塾からヘッドハンティングされる事例も多く、定着率は高いといい難いでしょう。

増加する学習塾業界のM&A

学習塾業界のM&Aでは、顧客である生徒や講師の獲得を優先するケースが多くなっています。また、異業種の取り込みのためにM&Aを行う事例も多いです。

生涯学習事業の設備やノウハウ、人員を確保するためにM&Aを行うこともありますが、他にもeラーニングや学習用アプリなどを開発するためにIT企業を買収するなどのケースもあります。

こういった学習塾業界における事業の多様化や新しいノウハウを用いた教育事業の開発を目的としたM&Aは、非常に有効な手段といえるでしょう。

ゼロベースから新しい事業を行うには、設備投資や新たな人材の確保といった手間やコストがかかるため、固定費がかさみやすい学習塾にとって大きな負担です。

しかし、既存の設備や人材をそのまま取り入れられるM&Aを活用すれば、余計な手間もコストも省けるため、迅速な事業展開の可能性が高まります。

M&Aの動向については下記の記事でも紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aの動向!2023年最新トレンドや代表的なM&A事例・今後の予測も徹底解説

学習塾業界のM&Aの事例11選

この章では、学習塾業界におけるM&Aの事例について見ていきましょう。

①早稲田アカデミー、個別進学館を吸収合併

早稲田アカデミーは、完全子会社の個別進学館を吸収合併することを決めています。効力発生日は2022年3月1日です。

個別進学館は、「早稲田アカデミー個別進学館」事業を共同で手掛けてきた明光ネットワークジャパンとその子会社であるMAXSエデュケーションからこの事業を承継・譲り受ける会社として新設分割により設けられた会社で、2021年11月に完全子会社となっています。

これにより、意思決定の迅速化と事業運営の効率化を図り、集団指導校舎との連携を強めて「早稲田アカデミー個別進学館」事業のさらなる発展を進める見込みです。

②ヒューリック、リソー教育の株式を取得

2021年11月、ヒューリックがリソー株式の9.41%を取得しました。これにより、持株比率が10.97%から20.38%に上昇しています。

リソー教育は学習塾「TOMAS」を運営する会社です。ヒューリックは、不動産の所有・賃貸・売買・仲介業務を展開しています。

M&Aの目的・背景は、教育事業での連携強化および、主力のオフィス賃貸事業に次ぐビジネスの育成です。

ヒューリック、リソー教育の筆頭株主に 70億円追加出資

③さくらさくプラス、VAMOSを子会社化

2021年6月、さくらさくプラスがVAMOSの全株式を取得し、子会社化しました。

VAMOSは、東京都内に中学受験メインの学習塾を3校運営している会社です。さくらさくプラスは、関東を中心に73の認可保育園を展開しています。

M&Aの目的・背景は、乳幼児期から小学校卒業に至るまでの教育をサポートする体制の確立、自社の不動産事業に関するノウハウを生かした事業開発・発展の実現です。

子どもの「なりたいみらい」の実現に向けてさくらさくプラスが学習塾VAMOSを完全子会社化

④エージェント、オンラインスクールの「本気のパソコン塾」事業を譲受

2021年4月、エージェントは、三浦宙也氏から、オンラインスクールである「本気のパソコン塾」事業を譲受しました。

エージェントは、個人のキャリアチェンジをサポートするために、未経験から最先端のエンジニアを目指せる「Next Career」の人材紹介サービスを手掛ける会社です。

これにより、エージェントでキャリアチェンジを目指す求職者の顧客へ、ITスキルを学ぶ場を新しく提供でき、「本気のパソコン塾」のユーザーへは、転職の機会を提供できるので、双方における事業価値の向上を狙います。

オンラインスクール「本気のパソコン塾」事業譲受のお知らせ

⑤明光ネットワークジャパン、ユーデックなどを教育LABOに譲渡

2020年5月、明光ネットワークジャパンは、連結子会社のユーデックとユーデックの完全子会社である晃洋書房を、教育LABOへ譲渡することを決めています。

ユーデックは、明光義塾チェーンへ明光義塾統一テストの提供や公立高校入試過去問題集の販売事業などを行い、晃洋書房は、大学教科書の発行を主軸として出版事業を手掛ける会社です。

ユーデックと晃洋書房は、グループの成長に貢献してきました。しかし、これからのグループ全体における経営資源の最適配分において、株式の譲渡となっています。

連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

⑥昴、タケジヒューマンマインドを子会社化

2020年3月、昴は、タケジヒューマンマインドを子会社とすることを決めました。

昴は、鹿児島や宮崎県を基盤に、九州四県で学習塾を行っています。タケジヒューマンマインドは、沖縄県で高校生を対象とした学習塾を展開している会社です。

これにより、昴は、経営基盤を拡げ、中長期に渡って安定した経営環境の構築を狙います。

株式会社タケジヒューマンマインドの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

⑦ベネッセHD、Udemyと資本提携

2020年2月、ベネッセホールディングスは、子会社のベネッセコーポレーションが、日本国内で包括的業務提携契約を締結しているUdemy, Inc.とより連携を強めるために、同社へ約55億円の出資をすることを決めました。

Udemyは、世界各国の講師と受講生をオンラインでつなぐプラットフォーム「Udemy」を運営しています。

この資本提携により、ベネッセコーポレーションは、Udemyとの日本国内における共同運営の独占権を得て、連携を強めてUdemyが持つ社会人学習者における履歴データの解析をベースとして、社会人の学びとキャリアにおける新しい社会基盤を創る見込みです。

ベネッセHD、教育プラットフォームを提供する米Udemy社と資本提携

⑧ヤマノホールディングス、個別指導学習塾FC「スクール IE」運営のマンツーマンアカデミーを買収

2019年12月、ヤマノホールディングスは、マンツーマンアカデミーを子会社化することを発表しました。

ヤマノホールディングスグループは、中核事業として美容事業・和装宝飾事業・DSM事業を展開している会社です。今回のM&Aでは、さらなる事業拡大を目指し、既存事業以外のマーケットへも積極的に新規事業の開拓を進めています。

マンツーマンアカデミー社は、やる気スイッチグループが全国展開する個別指導塾「スクールIE」のFC加盟店で、関東圏内で36店舗を運営しています。FC加盟店としては、20年以上に渡って生徒数全国No.1の実績を誇る重要なFC加盟店オーナーです。

「教育事業」を新たなビジネスモデルとしてグループ内に取り込み、成長ドライバーの一つとして育成して、引き続きグループにおける成長戦略の柱であるM&A戦略により、収益拡大が見込まれる新規事業の開拓を積極的に推進します。 

⑨やる気スイッチグループ、子会社を統合

2019年3月、やる気スイッチグループは、子会社の拓人を統合し、社名を「やる気スイッチグループ」に変更したことを発表しました。

やる気スイッチグループは、個別指導学習塾「スクールIE」や受験対策の幼児教室「チャイルド・アイズ」をはじめ、さまざまな子ども向け学習塾を展開する総合教育サービス会社として、多くの教室・ラボを展開しています。

今回の統合により、機動的かつ迅速な意思決定を図ることで、コアビジネスである教育サービス事業を盤石にし、商品およびサービスのさらなる品質改善を目指します。

子会社統合と社名変更のお知らせ

⑩早稲田アカデミー、集学舎とクオード・エンタープライズの全株式を取得

2018年1月、早稲田アカデミーは、集学舎とクオード・エンタープライズの全株式を取得し、子会社化することを発表しました。

集学舎は1994年に創業し、小学生~高校生を対象に進学指導を行う学習塾「クオード(QUARD)」を運営する会社で、千葉県内、東京都内における難関校への合格実績に強みを持っています。

クオード・エンタープライズは、集学舎のグループ会社で、「クオード」の校舎物件を保有・管理している会社です。早稲田アカデミーは集学舎をグループに加えることで、難関都県立高校合格のための指導システムを強化し、合格実績の伸長が見込まれます。

また、早稲田アカデミーが校舎展開していない内房エリアで高い知名度を持つ「クオード」を加えることで、新たな市場開拓を早期に実現し、既存校との連携により千葉県内でのドミナント戦略を推進する見込みです。

⑪ウィザス、京大ゼミナール久保塾を子会社化

ウィザスは、京大ゼミナール久保塾を2017年9月に買収し、子会社化しました。ウィザスは学習塾事業や高校・キャリア支援事業を中心に展開していましたが、京大ゼミナール久保塾が同じ目標を持っていたため、共に事業を展開していく目的でM&Aを実施しました。

ウィザスは、阪神エリアを中心とした学習指導や受験指導の実績を持つ京大ゼミナール久保塾のノウハウを取り入れることで、学習塾事業のさらなる強化を図ります。

ウィザス、京大ゼミナール久保塾の発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議

学習塾業界のM&Aの相場と費用

学習塾のM&A・事業承継
学習塾のM&A・事業承継

ここでは、学習塾業界におけるM&Aの相場と費用について見ていきましょう。学習塾業界のM&Aでは、設備・講師・生徒の数などが買収の際にかかる費用を決定するといえます。

ただし、学習塾は、教室の規模が小さくても成立しやすい事業であり、中小の学習塾であれば数千万円、特定の地域・地方だけで展開している学習塾なら数億円単位の相場になることがあるのです。

また、教室の規模だけでなく、講師の雇用形態も重要なポイントです。中小の学習塾は、講師がアルバイトの学生や主婦、高齢者であることが多く、人件費が抑えられています。そのため、固定費が変動し、買収の費用も変わるのです。

M&Aを行う際に専門家の協力を得れば、その報酬も費用に加算されます。M&Aを行う立場であれば、この報酬はなるべく抑えたいところです。

学習塾業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。知識や支援実績の豊富なM&Aアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧に案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

学習塾の売却額については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】学習塾の売却額とは?売却方法や価額の上げ方を解説!

学習塾業界のM&A・買収の2つの目的

ここでは学習塾業界におけるM&Aの買収について見ていきましょう。学習塾業界におけるM&Aの買収は、大きく分けて2つの目的があります。

  1. 自社のシェア拡大
  2. 異業種の取り込み

①自社のシェア拡大

1つ目は、自社のシェア拡大のために顧客層や講師の確保をするなどの目的です。学習塾業界では、少子化によって顧客層が減りつつあるため、他の学習塾をM&Aで買収して顧客層や講師陣を増やし、さらなる売上増加につなげることを目的とするM&A事例が増えています。

地方における中小の学習塾を買収するだけでも一定数の講師や顧客の取り込みは可能であるため、大手学習塾の中には別の地域へ進出する際にM&Aを実行し、教室の確保や人員の採用のプロセスを省略する事例も増えているのです。

医学部専門の予備校、小学校受験や中学校受験向けの学習塾などを買収して事業領域を拡大し、顧客層の取り込みを行うケースもあります。さまざまな志望校への受験や進学に対応できる事業を展開することで、今後のさらなるシェア拡大にもつながるのです。

医学部や小学校受験、中学校受験などを専門とした授業は試験の傾向や範囲などを網羅したデータや指導のノウハウや知識が重要になるため、M&Aを実施することでゼロベースで新しく開発する手間を省けます。

少子化が続く限り生徒の奪い合いは今後も継続する可能性が高いですが、他の学習塾と指導内容や講師の質で差別化できれば競争力が高まるでしょう。

②異業種の取り込み

2つ目の目的は「異業種の取り込み」です。最近では、異業種の取り込みの過程で海外進出を行う事例もあり、海外の市場で事業を展開している学習塾も少なくありません。

海外における学習塾の事業展開は、語学や現地の習慣などにおける問題はあるものの、発展途上であるため、教育に力を注いでいる国であれば学習塾のニーズは高いです。

また、日本と違って市場が縮小する心配も薄いため、事業拡大の選択肢の一つとして検討する企業が増えています。

学習塾業界のM&A・売却の目的

学習塾業界において、売却を行う学習塾は中小規模の学習塾がほとんどです。中小の学習塾は地域に根差したものが多く、よほどの評判がない限り基本的に生徒は地元の学生に依存しています。

また、大手学習塾に比べると財務基盤が不安定なため、近年大手の学習塾が取り入れているeラーニングやアプリの開発、異業種の取り込みが難しく、少子化の影響をダイレクトに受けています。

財務基盤の問題から固定費を抑える必要があり、正社員である常勤の講師を定着させることが難しい環境です。そのため、アルバイトの学生や主婦、高齢者といった非常勤の講師に依存しやすく、講師の質や定着率も不安定になる傾向にあります。

学習塾業界の事業承継

中小の学習塾が抱えている切実な問題に「事業承継」があります。昨今は業界を問わず中小企業の経営者が高齢化していく一方で後継者不在が問題化しており、これまで育ててきた事業を次世代に引き継げない状況が多発しているのです。

学習塾にいたっては講師はもちろん、通っている生徒のためにも教室を残したいでしょう。しかし、後継者不在の中で経営者が頑張って経営することは限界があります。そのため、中小の学習塾は事業承継の一環としてM&Aに乗り出すケースが多いです。

学習塾のM&Aにおいて買い手となる学習塾は、顧客の拡大や講師の確保を目的として盛んにM&Aを活用しています。売却を考えている中小の学習塾は顧客や講師を提供できるため、ニーズがマッチしやすい状況です。

買い手となり得る学習塾がその地域に進出していなければ、新たな地域に対する進出の足掛かりとなるため、よりM&Aの話がまとまりやすいでしょう。

事業承継を諦めることは雇用している講師のみならず通っている生徒にも多大な影響を与えてしまうため、後継者不在の状況に陥っている学習塾にとってM&Aは非常に有効な手段の一つです。

学習塾における事業売却については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】学習塾における事業売却とは?メリット・デメリットなどを解説

学習塾業界のM&A・売却・買収のまとめ

少子化といった重大な問題を抱えている学習塾業界は、常に大手が顧客を奪い合っている状況が続いています。

既存の学習塾と差別化するうえでは、新たな事業やサービスを導入、開発するためにもM&Aは有効的な手段といえるでしょう。また、顧客や講師の確保などといった学習塾の課題を解決する糸口としてM&Aを活用する事例も増えています。

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