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居酒屋におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

居酒屋は日常生活の中でも一般的な存在ですが、近年は若年層のアルコール離れなどの要因もあり、客数が減少している傾向も見られます。利用者のニーズや価格意識に沿った戦略の重要性は以前よりも増しています。

目次
  1. 居酒屋のM&Aの現状と動向
  2. 居酒屋業界の特徴・動向
  3. 業界の特徴・動向とM&Aの関係
  4. 居酒屋のM&Aの相場と費用
  5. 居酒屋の買収とは?買う・買いたい場合
  6. 居酒屋の売却とは?売る・売りたい場合
  7. 居酒屋のM&Aの成功・失敗事例
  8. まとめ

居酒屋のM&Aの現状と動向

M&Aを検討する企業は近年ますます増えており、幅広い業界で多様なM&A事例が見られます。M&Aは事業の強化・拡大や競争力の強化、さらには後継者不足問題の解決といった様々な目的のために行われます。その手法も幅広く、買収(株式取得や事業譲渡など)や合併、会社分割など、事例ごとにM&Aの手法は様々です。「買収」や「子会社化」などの言葉をニュースで聞いたことがある方も多いでしょう。
さて、こうしたM&Aですが、最近では居酒屋に関するM&A事例も見られるようになっています。以下、居酒屋のM&Aの現状や動向について、業界動向なども踏まえてご紹介していきます。

居酒屋業界の特徴・動向

まずは居酒屋の業界の特徴や動向から整理しておきましょう。

個人経営から大手チェーンまで様々な業態が存在

街中で居酒屋を見る機会は多く、駅周辺などのエリアでは大手チェーンの居酒屋が数多く見られます。一方で、個人経営の居酒屋も多く見られ、居酒屋の業態・規模は多岐に渡ります。1店舗しかない居酒屋もあれば、数店舗展開している居酒屋もあります。また、特定の地方・地域で多く見られる居酒屋もあれば、全国展開している居酒屋もあるのです。
このように、居酒屋と一言で言っても、それぞれの店によって業態の特徴は大きく異なります。

客数の減少も見られる

日常生活の中でも一般的な存在となる居酒屋ですが、近年は業界全体で客数の減少がしばしば問題として挙げられます。
近年、若年層のアルコール離れ、健康志向の広まり、節約志向の強まりといった要因もあり、お酒自体に対する需要が伸び悩んでいる傾向も見られます。また、今後は国内で人口減少がますます加速する可能性もあるので、酒業界全体の市場縮小が進むおそれがあります。このような動向は居酒屋業界も例外ではなく、居酒屋の客数の減少が進んでいる要因として考えられます。さらに、いわゆる「家飲み」の増加や、ファミレスで酒類の提供が進んでいることなども、居酒屋の客数減少の原因としてしばしば挙げられます。お酒に対する需要が維持されたとしても、「居酒屋でお酒を飲まなくてもいい」という考えが広まってしまうと、居酒屋にとっては打撃となってしまいます。
このように、近年では様々な要因によって居酒屋の客数が減少している傾向が見られます。また、こうした動向が競争の激化にもつながっており、以前にも増して利用者のニーズや価格意識に合わせた柔軟な戦略が求められていると言えます。独自の強みを持ち、メニューや価格帯などを工夫した事業戦略の重要性がさらに増すものと思われます。

業界の特徴・動向とM&Aの関係

次に、上記でご紹介した業界の特徴・動向とM&Aの関係について詳しく見ていきましょう。
居酒屋のM&Aの現状や、M&Aが業界の問題をどのように解決できるのか、そのポイントを整理しておきます。

競争力強化のためのM&A

同業者同士のM&Aの場合、双方のノウハウやサービス体制、事業エリアなどを活かす形で、事業の強化・拡大、そして競争力の強化につなげることができます。
特に近年の居酒屋業界は競争が激化していることもあり、居酒屋を展開する会社同士のM&Aによって事業の強化・拡大を図り、競争力を強化させるような事例が見られます。双方が展開するブランドを合わせることや、メニューの幅を拡大させること、双方の事業エリアを合わせて展開エリアを拡大すること、さらには物流面などにおけるシナジー効果など、様々なメリットの実現につなげることができます。そして、このような幅広い分野でのシナジー効果が、最終的には競争力の強化につながるのです。

経営上の問題を解決するためのM&A

居酒屋業界に限った話ではありませんが、特に中小企業の場合、M&Aによって経営改善を図るケースがしばしば見られます。
中小企業は、大手企業と比較するとどうしても経営が不安定になりやすいです。大手企業のような豊富な資金力を持つわけではなく、財務基盤が安定しにくくなります。また、個人経営のお店なども同様で、経営が不安定になりやすいというリスクがあります。こうした傾向は居酒屋業界も例外ではありません。
そこで、M&Aによって他社に売却し、安定した経営状況のもとで事業を継続してもらうという方法があります。例えば、資金力が豊富な大手企業に売却し、大手の傘下に入ることができれば、安定した財務基盤のもとで引き続き事業を展開することができます。もちろん大手企業ではなくても、居酒屋の経営に大きく貢献できるような資金力を持つ企業であれば、その企業に売却することで経営を安定化させることが可能です。
また、個人経営の居酒屋や中小企業の場合、経営者が高齢になっても後継者がなかなか見つからないというケースがしばしば見られます。経営者が高齢のために経営の継続が難しくなり、それでも後継者がいなければ、やむを得ず廃業してしまうことになるでしょう。
こうした事態を防ぐために、M&Aによって他社に売却し、経営を任せるという方法があります。信頼できる企業に売却し、安心して経営を任せることができれば、経営者も安心して引退することができます。こちらも、後継者不在という経営上の問題を解決する手法として、M&Aを活用することができるのです。
先ほども述べたように、居酒屋業界は個人経営から大手チェーンに至るまで様々な業態・規模の居酒屋が存在します。こうした状況の中、個人経営の居酒屋や中小企業を中心に、経営上の問題を解決するためのM&Aが今後さらに増える可能性もあります。

居酒屋のM&Aの相場と費用

居酒屋のM&Aは、当事者となる居酒屋・企業の業態・規模が幅広いこともあり、事例も多様化しています。
個人経営の居酒屋から大手チェーンまでが当事者となる以上、それぞれの事例ごとにM&Aの規模は大きく変わることになります。大手企業のM&A事例であれば、買収した居酒屋・企業によるものの、一般的には取得総額は大きくなるでしょう。一方で、個人経営の居酒屋などのM&A事例では、大手の事例よりはM&Aの規模ははるかに小さくなります。M&Aの規模が多様化していることを踏まえると、居酒屋のM&Aとして相場・費用をはっきりさせることは、一概には難しいと言えるでしょう。
ただ、M&Aを行うのであれば、相場・費用を全く考慮しないというわけにはいきません。また、曖昧な見方で費用を考えるのではなく、自社の状況と似たM&A事例から費用の情報を集めるなどして、相場・費用の目安をつけておく必要があります。M&A事例ごとに、M&Aの目的、M&Aの当事者の規模、対象となる事業の規模や内容、お店の業績、従業員・スタッフの数、M&Aのスキームなどを確認したうえで、自社の状況と似ている事例をピックアップし、重点的に分析して相場・費用の目安をつけることが重要です。
もし相場・費用をきちんと考慮せずにM&Aを進めてしまうと、想定外の費用が発生することにつながります。思っていたよりはるかに費用が発生してしまえば、M&A後に進める事業にも支障を来たしてしまいます。M&Aで想定外の費用が発生したことで、M&A後の事業展開に十分な資金を投入できなくなるなどの事態になりかねません。
こうした事態が起こらないように、似た事例は徹底的に分析し、相場・費用の目安をつけておくことが重要になります。また、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に相談し、より正確な相場・費用の情報を入手することも大切です。

居酒屋の買収とは?買う・買いたい場合

居酒屋の買収は、やはり同業者同士によるM&A事例が比較的多く見られます。同業他社が居酒屋・居酒屋展開を手がける企業を買収することで、双方の事業エリアやサービス体制などを活かし、事業の強化・拡大、競争力強化につなげることができます。
例えば、特定の地域・地方で居酒屋を複数店舗展開している企業があるとします。その企業が、自社がまだ進出していないエリアで同じく居酒屋を複数展開している企業を買収すれば、比較的短期間で事業エリアを拡大できるわけです。自社だけで新しいエリアに進出するケースもありますが、そのエリアに強みを持つ居酒屋・居酒屋を展開する企業を買収すれば、自社だけで新しく進出するよりも時間と手間は少なくなるでしょう。特に、そのエリアで居酒屋を複数店舗展開しているような企業を買収すれば、グループ事業として店舗数を一気に拡大することができます。
もちろん、居酒屋や居酒屋を展開する企業をただ買収すれば良いというものではありません。買収を行って自社の事業強化などにつなげる以上、きちんとしたシナジー効果を期待できる相手を探し、買収対象とする必要があります。買収の目的を明確にしたうえで、その目的に合うような居酒屋・居酒屋展開を手がける企業を買収することが大切です。
買収は、他社を自社の傘下に迎える形となるので、一般的にはリスクも高くなります。買収対象が債務などを多く抱えていれば、特にリスクは高まるでしょう。こうした点も踏まえ、買収対象の業績などを確認し、そのうえで買収によって目的通りのシナジー効果が期待できるのかどうか判断する必要があります。

居酒屋の売却とは?売る・売りたい場合

居酒屋・居酒屋を展開する企業を売却する例としては、経営基盤の安定化や後継者不足問題の解決などを目的として行うケースが考えられます。もちろん、事業の強化・拡大、競争力強化などを目的に、同業他社からの買収に応じるケースもあります。いずれの場合も、売却を成功させるには、自社の強み・魅力はしっかりとアピールしなくてはなりません。
「強み・魅力をアピールする」というと当たり前の話のように聞こえますが、実は一番差がつきやすい部分でもあります。買い手が売り手に魅力を感じてこそ、売却は成立します。そのため、買い手に売り手の強み・魅力が伝わるように、曖昧な内容ではなくはっきりとした内容をもってアピールしなくてはならないのです。居酒屋と一言で言っても、扱うメニューや得意とするお酒の分野は様々です。自社が得意とする分野を再度確認し、整理したうえで、それを買い手が把握できるように伝えなくてはなりません。
また、売却によって買い手に経営を任せることになるので、買い手の情報を収集することももちろん必要です。「ただ買ってくれれば良い」と考えることはできません。安心して経営を任せられるかどうか、買い手の事業内容や事業方針、業績などを踏まえ、総合的に判断する必要があります。

居酒屋のM&Aの成功・失敗事例

それでは、ここまでご紹介した業界の特徴・動向やM&A動向、M&Aにおける買い手・売り手のポイントなどを踏まえ、実際のM&A事例について詳しく見ていきましょう。
居酒屋が関係するM&A事例は比較的最近のものが多いですが、今後こうしたM&Aが加速する可能性もあります。ただ、新しい事例が多いため、現時点で成功事例・失敗事例に明確に分けることは困難とも言えます。それぞれの事例で今後の事業展開の動向に注目し、M&Aが成功と言えるかどうか判断する必要があるでしょう。そのため、現時点ではなるべく多くのM&A事例に触れておくに越したことはありません。
以下、居酒屋のM&A事例について、2019年の事例も含めてご紹介していきます。それぞれの事例のM&Aの目的、M&Aに至った背景、M&A後の展望などを確認し、事例ごとに分析を進めてみてください。

⑴梅の花がテラケンを子会社化

2019年3月、和食レストランの運営などを手がける梅の花(福岡県久留米市)は、海産物料理の居酒屋「さくら水産」を展開するテラケン(東京都江東区)を子会社化することを発表しました。梅の花がテラケンの発行済株式の一部を取得し、連結子会社化する形となっています。株式譲渡の日程は未定とされていましたが、最終的には同年5月24日が株式譲渡実行日となっています。
梅の花は、外食事業として「湯葉と豆腐の店 梅の花」と「和食鍋処 すし半」の展開を行うほか、テイクアウト事業として巻き寿司・いなり寿司などの販売店「古市庵」と和総菜・お弁当の販売店 「梅の花」の展開も行っています。また、テラケンは「海産物居酒屋 さくら水産」や「大衆酒屋 てらけん本家」、「豊漁居酒屋 わっしょい」の展開を行っており、特に海鮮系の居酒屋として業界で確固たる地位を築いています。このテラケンを梅の花が子会社化したことにより、購買や物流面でのシナジー効果を生み出し、組織の活性化や事業基盤の拡大につなげるものとしています。
また、梅の花によるテラケンの子会社化は、両社の理念の合致も強く関係していると言えます。梅の花は、お客のニーズに応えることはもちろん、従業員の幸福も重要視した事業展開に特徴があります。テラケンもお客と従業員の幸福を重視した理念を掲げており、梅の花はこうしたテラケンの理念と自社の理念が共通するものであると捉えていました。梅の花にとって、テラケンの子会社化は、購買・物流面におけるシナジー効果のほか、共通する理念のもとで組織を活性化し、事業基盤を拡大していくという重要な意味を持っています。

⑵SFPホールディングスがジョー・スマイルを子会社化

2019年1月、海鮮居酒屋の「磯丸水産」の運営などを手がけるSFPホールディングス(東京都世田谷区)は、居酒屋「前川水軍」などを展開するジョー・スマイル(熊本県熊本市)を子会社化することを発表しました。同年3月、ジョー・スマイルはSFPホールディングスに加盟しています。
SFPホールディングスは「磯丸水産」のほか、手羽先唐揚専門店の「鳥良」、好きなネタを一貫99円から注文できる「きづなすし」など、豊富なブランドを誇ります。また、SFPホールディングスは、地方都市で豊富な居酒屋経営ノウハウを持つ企業と資本提携を行い、主力ブランドを提供して成長を支援する「SFPフードアライアンス構想」を掲げています。これは、SFPホールディングスの成長ブランドの運営を提携先に委託する一方で、提携先の独自ブランドの育成や強化、広域展開をサポートするという構想です。SFPホールディングスによるジョー・スマイルの子会社化も、この「SFPフードアライアンス構想」の一環として行われたものです。また、ジョー・スマイルは居酒屋「前川水軍」の展開などを行っており、SFPホールディングスの子会社となったことで、SFPホールディングスのブランドとジョー・スマイルブランドを併せて事業展開を進めていく形となります。
ジョー・スマイルは今後、両社のブランドを併せ、熊本、ひいては九州一円に展開していくとしています。また、SFPホールディングスは、「SFPフードアライアンス」を日本全国、さらには世界各国に広げ、提携先とのブランドの相互提供も含め、企業価値の向上などを進めるとしています。

⑶やまやがつぼ八を買収

2018年10月、酒類・食料品の小売・卸売などを手がける「やまや」(宮城県仙台市)は、居酒屋経営などを行う「つぼ八」(東京都中央区)を買収することを発表しました。具体的には、やまやと、やまやの連結子会社で居酒屋「はなの舞」などの運営を行うチムニー(東京都台東区)が、共同でつぼ八の株式を取得する形になります。その結果、つぼ八は、やまやの連結子会社、チムニーの持分法適用関連会社となります。
やまやは酒類・食料品の小売・卸売、通信販売、外食事業を手がけ、全国330店舗(平成30年10月29日現在)の酒販専門店を展開しています。やまやの連結子会社のチムニーは、「はなの舞」や「さかなや道場」などの居酒屋を展開しています。また、つぼ八は飲食店経営、食品加工販売、フランチャイズ事業などを手がけ、「つぼ八」「伊藤課長」などの居酒屋を展開しています。
このつぼ八をやまやが買収したことで、つぼ八とチムニーが運営する店舗は合計988店舗となり、国内居酒屋チェーン有数の規模となります。様々なシナジー効果が創出され、物流、商品供給力、メニュー作成力、さらには双方の地域特性を活かした営業力の強化などを進めるとしています。

まとめ

居酒屋は日常生活の中でも一般的な存在ですが、近年は若年層のアルコール離れなどの要因もあり、客数が減少している傾向も見られます。もちろん飲み会などで需要がある以上、居酒屋が急激に減るということは考えられません。ただ、客数の減少傾向や競争の激化などを踏まえると、利用者のニーズや価格意識に沿った戦略の重要性は以前よりも増しています。
こうした動向の中、同業他社とのM&Aによって競争力を強化するなどのケースが見られます。双方のノウハウや強み、事業エリアなどを活かす形で、事業の強化・拡大、そして競争力の強化を図るケースは多いです。居酒屋のM&Aを検討する際には、このような業界動向やM&A動向をこまめにチェックし、事例も踏まえて様々な視点から分析を行うことが大切です。

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