建設業の事業承継とは?課題や注意点について解説

建設業では、人材不足を理由に事業承継などのM&A手法をとるケースが多くなってきています。しかし、建設業が事業承継を行う場合、許認可の引き継ぎに注意しなければならないなどの課題もあります。事業承継の際は、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていきましょう。

業種別M&A

2020年2月12日更新

目次
  1. 建設業の事業承継とは
  2. 建設業の事業承継の概要
  3. 建設業の事業承継課題
  4. 建設業における事業承継の注意点
  5. 建設業の事業承継はM&A仲介会社に相談
  6. 建設業の事業承継事例
  7. まとめ

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建設 ゼネコンのM&A・事業承継

建設業の事業承継とは

大手ゼネコンやハウスメーカーのイメージが強い建設業界ですが、建設業の事業承継はどのような状況にあるのでしょうか。建設業界の時流や建設業界の事業承継における課題や注意点について解説していきます。

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建設業の事業承継の概要

まずは、建設業の事業承継の概要について解説します。

建設業とは

ひと口に「建設業」といっても、その業種はさまざまです。大工工事や左官工事など、専門工事を請け負う業者は「専門工事業者」といい、建築・土木工事一式を顧客から請け負い、必要な専門工事全体のとりまとめを行う業者を「総合建設業者」といいます。

建設業の仕事の流れとしては、まず発注者からの受注があり、予算見積もりなどの提案を行い、契約を締結します。その後、請け負った工事をそれぞれの工事の専門下請け業者へ依頼し、完成後引き渡しとなります。

建設業は、1つの会社ですべての工事をすることは少なく、元請けから下請けへと何連にも連なる構造となっており、総合建設業者から専門工事業者へ2次、3次下請けまで存在することも珍しくありません。

工事は、主に国や地方公共団体が発注する公共工事と、個人もしくは民間企業が発注する民間工事があります。

業界の勢力図と近況

建設業界では、「スーパーゼネコン」と呼ばれる清水建設、大林組、大成建設、鹿島建設、竹中工務店の5社が存在しています。いずれも創業100年以上の歴史があり、それぞれが売上1兆円超の規模を誇り、日本国内で不動の地位を築いています。

その下に、会社規模の順に大手ゼネコン、中堅ゼネコンが存在し、さらにその下に各地域で建設業を営んでいる建設会社や工務店が位置します。建設業界は、バブルを頂点とし業界規模は縮小傾向にありますが、近年は2020年の東京オリンピックによる建設需要もあり、業界の状況は良くなっています

建設業の事業承継

中小規模の建設会社においては、過去20年で大幅に経営者の高齢化が進んでおり、事業承継はますます課題となっていくものと予想され、後継者がいない企業は廃業となるほかなく、10年間で80万社以上が減少するという調査もあります。

そのため、他企業へ事業を引き継ぐ「事業承継型のM&A」が大きな潮流となっています。国や省庁でも、後継者不足に苦しむ中小企業を救うため、制度の緩和や補助を行う動きがあり、今後も事業承継型M&Aは活発化していくと予想されます。

建設業はM&Aが進みにくい業界

建設業はその特性上、M&Aが進みにくい業界であるといわれています。その理由は、同じ仕事内容でも規模を大きくすることで原材料や労働力のコストを抑える「規模の経済」が働きにくく、事業規模拡大によって公共工事への入札参加資格が制限されるなどがあるためです。

しかし、建設業界では現在、深刻な人手不足が課題となっており、それを解決するための手法としてM&Aが用いられるようになってきました。現在、国内の就業人口は減少の一途にあります。20歳から65歳の人口が、2000年には約8,000万人であったのが、2060年には約4,400万人まで減少するというデータがあります。

そのような状況において、M&A手法を用いて企業買収を行い、労働者の確保にあたる企業が増え、事業承継型M&Aの需要は増加しています。また、近年ではハウスメーカーがゼネコンを買収するケースもあり、事業拡大や基盤の強化のためのM&Aも行われています。

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建設業の事業承継課題

建設業でも、他業界と同様に後継者や人手が不足していることから、事業承継型のM&Aが増えてきていますが、建設業の事業承継においては他業種に比べて課題が多くあります。代表的な課題には、許可の引き継ぎと経営業務の管理責任者の不足があります。

許可の引き継ぎ

建設業として営業していくためには、国土交通省の許可を得なくてはいけません。そのため、事業承継においては許可の引き継ぎが大きな課題となります。この許可の引き継ぎは、法人の場合は商業登記の変更をすることで引き継ぐことができます

しかし、個人事業の場合は、許可の引き継ぎはできません。引き続き事業を行う場合は、前の個人事業主が建設業許可の廃業届を出し、後継となる新事業主が新たに許可申請をすることが必要になります。

他業種とは異なり、許認可の取り直しが必要となる分、事業承継後に営業を開始するまでに時間がかかる場合が多く、十分な準備をもって事業承継にあたることが必要です。

法改正により相続などの場合に許可の引き継ぎが可能に

建設業法の改正により、2020年の秋には事業譲渡や合併、相続によって建設業許可の引き継ぎが可能になります。これにより、例えば個人事業主である親が亡くなり、それを子供が相続して事業を継続する場合に、許可についても引き継ぐことができるようになります。

建設業許可の申請は、知事許可の場合で1ヶ月~2ヶ月、大臣許可の場合ではおよそ4ヶ月の許可審査期間がありますが、2020年の秋からは許可を引き継ぐことができるため、無許可となっている期間がなく事業を継続していけるようになります。

経営業務の管理責任者の不足

建設業を営むには、経営業務の管理責任者(経管)が必ず社内に1名はいなければならないという規約があります。経営業務の管理責任者とは、営業上対外的に責任者の地位にあり、経験を積んだ人物をさし、個人事業の場合、事業主である場合がほとんどです。

事業承継を考える際、後継者がこの「経営業務の管理責任者」となる必要がありますが、これは事業責任者についてから経験を積んでいないと認められないため、事業承継後、すぐに営業を開始できないことになります。

個人事業であれば代表か支配人、法人であれば役員のうち最低1人が、経営業務の管理責任者として常勤している必要があります。社内に条件を満たす人材がいない場合、事業承継後に、譲渡先から派遣してもらうケースもあります。

建設業のM&Aにおいては、この経営業務の管理責任者の不足が問題となるケースが多くあります。事前に経営者以外の人間の支配人登記を行い、経験を積むなどの方法もあるため、状況に合わせて事業承継を考えはじめた段階で、何らかの対策を行っておく必要があります。

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建設業における事業承継の注意点

建設 ゼネコンのM&A・事業承継
建設 ゼネコンのM&A・事業承継

ここでは、建設業における事業承継の注意点について解説していきます。

従業員へのフォロー

事業承継においては、取引先などの社外のみならず、社内へも目を向ける必要があります。事業承継により、一族を後継者とする場合は社員の抵抗も少なく、比較的受け入れやすいです。しかし、ほかの企業と事業承継型M&A取引を行う場合はそうもいきません。

今後の待遇や業務内容に大きな変化があるのでは、と社員が不安を抱き、M&Aをきっかけとして社員が辞めてしまうケースも少なくありません。そのため、M&A取引後に社員が働きにくくなることが起こらないよう、社風や企業文化の合う信頼できる企業を選び取引を行うことが重要になります。

従業員への待遇などの条件を確約することが理想的

より信頼できる相手を選ぶためには、両社の経営者による会談を行い、交渉の際には社員が今後も働き続けたいと思える待遇面での条件を確約しましょう。給与、労働環境等の待遇における条件だけでなく、社員のやりがいへ配慮した業務内容を意識した条件を取り付けることが理想的です。

建設業のM&Aにおいて、最たる目的とされているのは買収による人材の確保ですので、業務に通じた貴重な人材を流出させることは、売り手、買い手ともに大きな損失となります。そのようなことにならないよう、従業員へのフォローは確実に行う必要があります。

事業承継後の統合プロセス

事業承継後は、買い手企業との経営のすり合わせを行っていくことになります。建設業界は現在、人材不足を背景に企業統合が盛んに行われている時代となっています。建設業界に限ったことではありませんが、今後は就業人口の大幅な減少から、経済も縮小していくものと考えられます。

そうなれば、強い企業が弱い企業を買収する形で業界再編が進んでいくと予想され、その中でどれだけ波に乗れるかが重要になってきます。ビジネスモデルが変化すれば差別化が進みますし、その中で業績や社員待遇にも差がついてきます。

これは決して大企業のみの問題ではなく、中小企業も当事者となる問題です。優秀な技術者や人材を抱える中小企業は、買収のターゲットとなります。事業承継による統合の成立後も、複数の企業間で新たなビジネスモデルを作り上げ、シナジー効果を創出することが生き残りのカギとなります。

取引相手を選ぶ段階で社風なども勘案し、より違和感なく統合していける企業を選択することが理想です。受注方針1つをとっても、事業によって受注方針は異なります。受注内容の傾向は時間によって変遷していきますが、双方の協力効果が最大となるような受注方針を事前に固めておくことも重要です。

建設業の事業承継はM&A仲介会社に相談

事業承継等のM&A手法には煩雑な手続きが伴い、法律や財務の知識が必要な場面も多々あります。また、建設業においては上述した許可の引き継ぎなどもありますので、専門家の手を借りずに進めることは困難です。

そのため、建設業の事業承継の際にはM&A仲介会社に相談することをおすすめします。M&A仲介会社を利用すれば、M&Aにおける法務や税務、M&Aをスムーズに進めていけるようアドバイスを受けることができます。

現在では、費用を完全成功報酬制としているところも多く、相談金や着手金無料のM&A仲介会社も増えており、相談へのハードルは下がっています。また、全国規模で展開しているM&A仲介会社であれば、売却企業募集案件も豊富であり、多くの買い手企業の中からニーズに合う企業を選択できる可能性が上がります。

M&A仲介会社も現代においては顧客のニーズに応えるため多種多様で、それぞれに強みを持っています。依頼の際は、数社から比較のうえ、報酬・専門性の面から考慮し選ぶことをおすすめします。

M&Aの際にもM&A仲介会社へ相談

一族間への事業承継においても、経営者や後継者だけで簡単に承継できるものではありません。それが、他社へ承継する事業承継型M&AやそのほかのM&A手法を活用する場合は、さらに煩雑な手続きや専門的な知識が必要となります。

建設業のM&Aにおいては、買い手側は人材の確保や技術獲得、事業拡大のメリットを得ることができます。事業を譲渡する側は、企業を存続させることができる、後継者問題の解消といったメリットがあり、M&Aにおいて双方の要求が満たされ、利益を最大化する取引が理想です。

この理想をかなえるためにも、M&A仲介会社への相談をおすすめします。M&A仲介会社へ相談をすると、M&Aを専門とするコンサルタントが事業主の立場に立ち、企業にとって最大の利潤を考えた取引を成立させる手助けを行います

また、M&Aにおいては最終的な譲渡金額について買い手側はなるべく安く、売り手側はなるべく高く契約することが目的ですが、そのほかの条件的にも、売り手側の要求をすべてかなえる買い手を見つけることは困難です。

これもM&A仲介会社に相談することで、最も条件がマッチしている相手企業を探してくれます。

売り手は自社のメリットを的確に打ち出せるかが重要

M&Aにおける売り手は、自らの事業を買収した場合のメリットを的確に打ち出せることが重要です。建設業であれば、事業所などの不動産、車両等の設備、在籍する技術者や従業員も大きなアピールポイントとなります。

また、社風や社内文化などの目に見えない部分が噛み合うかどうかも、企業統合の際は重要になる部分なので、そういったところも考慮する必要があります。M&A仲介会社へ相談すれば、こうした自社の魅力について考える際もアドバイスを受けることができます。

M&Aが長期戦になっても安心できる

時間的な問題があり、M&A取引を焦らざるを得ない事情がある場合は、じっくり交渉していくことが難しくなります。特に建設業の場合は、建設業許可等の問題でM&Aが長期戦になるケースも少なくありません。

これを、経営者や後継者が普段の仕事をしながら行ってくことは難しいです。M&A仲介会社へ依頼をしておくことで、自社と相手企業の間に立ち、交渉の経過や許可引き継ぎの際の手続きなどをサポートしてくれますので、長期戦となった場合も安心して任せることができます

もちろん、当事者となる側も十分な時間的猶予をもつことが大事であり、初期段階から専門家へ相談のうえで、M&Aを進めていく必要があります。なお、事業承継やM&Aをお考えの場合や後継者がいなくてお困りの場合はM&A総合研究所へご相談ください。

M&A仲介会社であるM&A総合研究所はには、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。さらに、M&A総合研究所はスピーディーなサポートを実践しており、平均3ヶ月という期間で成約を実現します。

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事業承継の相談

建設業の事業承継事例

最後に、建設業で行われた事業承継の事例を2つ紹介します。

事例①:事業再生を伴う事業承継

これは、創業60年以上の歴史を持つ総合建設会社における、後継への事業承継の事例です。当時、政府の政策により公共工事の大幅な減少・単価の減少のあおりを受け、この企業は創業以来の重大な赤字となっていました。

そこでコンサルタントへ相談のうえ、事業承継と事業再生を同時に行う、大きな事業改革を行うこととなりました。まずは、事業再生のための施策として管理者による各現場の利益管理の徹底、固定費の削減、建て替え・リフォーム工事分野の積極的な開拓の営業戦略、などの改革を行いました。

それと同時に、経営者の息子2人への事業承継を行いました。この企業では、先代から経営陣2名が経営業務の管理責任者(経管)と専任技術者(専技)など、建設業許可のために必要なポジション、また人事統括などの役目を担っていましたが、それを息子2人へ引き継ぐ形となりました。

9年という長期にわたる事業承継・事業再生でしたが、無事成功に終わり事業承継を含む大規模な改革を、専門コンサルタントへ相談しつつ、十分な期間をもって成功に導いた、好事例であるといえます。

事例②:後継者不在からの事業承継

これは、30年以上にわたって親子二代で建設業を営んできた会社の事例です。この会社は、30代半ばで事業承継した二代目社長が順調に業績を伸ばしており、次の代へは好調を維持しているうちに承継したいとの想いがありました。

しかし、親族や従業員の中に三代目となる人がいなかったことから専門家へ相談し、同じ建設業者へ事業譲渡することを決断。業績が良好ということで、すぐに事業規模を拡大させたい相手企業が見つかり、交渉もスムーズに進んで短い期間でM&Aが完了しました。

二代目社長は40代という若さでしたが、後継者がいないことに不安を感じて業績が良いうちに行動を開始したことが、成功の要因といえるでしょう。

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まとめ

これまではM&Aが進みにくい業界であるといわれていた建設業においても、人材不足などの面から事業承継などのM&A手法をとるケースが多くなってきています。現在、中小規模の事業への事業承継・売却のニーズは高まっているため、買い手企業は吟味のうえで選ぶことをおすすめします。

ただ、事業承継においては許可の引き継ぎなどの手続きも含め、十分な期間を確保し準備することが成功のカギとなります。建設業の事業承継を行う際は、M&A総合研究所のようなM&A仲介会社へ相談し、専門家のアドバイスをもとに進めていきましょう。

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