2020年2月29日更新業種別M&A

建設業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

建設業界は東京オリンピックの影響により活気づき、M&Aの実施にも建設業界ならではの特徴がみられます。今回は建設業界におけるM&Aについて、売却や買収の方法をはじめ費用相場や事例などを解説します。建設業界のM&Aを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. 建設業界のM&Aとは?
  2. 建設業界のM&Aの動向
  3. 建設業界のM&Aの相場と費用
  4. 建設業界のM&Aの買収とは?買う・買いたい場合
  5. 建設業界のM&Aの売却とは?売る・売りたい場合
  6. 建設業界のM&A事例
  7. まとめ
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建設 ゼネコンのM&A・事業承継

建設業界のM&Aとは?

近年、日本の市場が縮小化する中、M&Aはあらゆる業界で活発化しており、建設業界も例外ではありません。東京オリンピックの影響もあって活気づいているイメージがある建設業界ですが、積極的にM&Aを行う背景には何があるのでしょうか?

今回は建設業界のM&Aに注目し、その現状や動向についてお伝えしていきます。まず、建設業界でM&Aを実施する目的をご説明します。

①事業拡大のため

元来建設業界はバブル崩壊以降、耐震強度偽装問題、サブプライムローン問題、リーマンショック、東日本大震災など度重なる逆風に立たされ、長期的な低迷期にありました。加えて、公共工事の発注が減少するなど、建設業界の低迷は加速しています。

さらに、建設業界は規模の経済が働きにくく、2社以上が合併すると公共工事の入札機会が限定されることもあって、M&Aにより再編が起こりにくい業界だと認識されてきました。しかし、昨今は建設業界のM&Aが徐々に活発化し、事業拡大のための手法としてのM&Aを積極的に行う会社が増えています

②人手不足を補い、財務基盤を強化するため

また昨今では、東京オリンピックのための施設建設や東日本大震災後のインフラ整備・ビルの復旧、建物の省エネ化、アベノミクスによる公共工事の増加などのニーズにより、建設業界が再浮上する動きが見られます。

しかし、そこで立ちはだかってくるのが、建設業界が抱える慢性的な問題である人手不足です。建設業界は年々就業者が減少しており、若手の人材が不足しています。そもそも建設業界は仕事の肉体的にハードな面や待遇の悪さで若手の人材が嫌厭する傾向にあり、人材を確保しにくい業界です。

加えて、長く続く低迷期によって熟練の職人が業界から離れてしまったこともあり、人材不足はより悪化しています。

また、低迷期の持続によって建設会社の財務状況は苦しい状況に陥っており、大手企業・中小企業問わず倒産するなど、生まれてきたニーズを生かしきれない状況に陥っています。

そのため、企業の規模を問わずM&Aを実行し、人手不足を補い、財務基盤を強化した上で事業拡大に乗り出そうとする建設会社が増えているのです。

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建設業界のM&Aの動向

建設業界のM&Aは他の業界のM&Aとは異なり、M&Aによる業界再編が長年進まない状況にあり、M&Aには積極的ではありませんでした。なぜなら、建設業界は規模の経済の効果が薄く、規模を大きくすると入札参加に制限がかかるなど、M&Aと相性が悪い一面があるからです。

しかし、長らく続く低迷を打破するために、建設業界でも徐々にM&Aを行う動きが見られるようになりました。とりわけ建設業界のM&Aでは、異業種による建設会社の買収事例が多いです。

異業種による建設会社の買収事例の増加

最近では、ハウスメーカーが中堅のゼネコンを買収して建設業界に進出するなど、新しい事業分野への進出のためのM&Aが増えています。

別の業界にM&Aで進出することで新たな事業拡大が見込め、それぞれの会社の得意分野やノウハウを生かすことで、シナジー効果を発揮できるというメリットがあります。

また、不動産会社が建設会社を買収できれば、外注していた施工を内製化できるため、プロセスを効率化することも可能です。

海外進出を目的としたM&Aの増加

さらに、建設業界では海外進出を目的としたM&Aも増えています。国内の市場が縮小傾向にある以上、さらなる市場を求め海外進出を行う建設会社は少なくありません。そのため、進出したい地域の会社を買収し、それを足掛かりに海外進出を行うためのM&Aを実施しています。

後継者不足の解消を目的としたM&Aの増加

他にも後継者不在のためにM&Aを行う事例もあります。これは建設業界に限らず、あらゆる業界の中小企業が抱える問題です。高齢化によって経営者が引退を迎えつつあっても、後継者がいないために、経営者が引退すると同時に廃業せざるを得ない会社は少なくありません。

そのため、事業やノウハウ、従業員の雇用の維持のために第三者にM&Aで会社を売却するというケースが増えています。

建設業界は地方の中堅を中心に廃業が増えており、ただでさえ減少傾向にある人材がさらに減っていく恐れがあります。地方のニーズに応えるためにも、会社の存続のためにM&Aを行うケースは今後も増えていくでしょう。

ただし、先述したように、元来建設業界はM&Aと相性が悪いため、失敗したケースも少なくありません。そのため、今後M&Aが増加したとしても、業界再編よりも中堅の淘汰が目立つ可能性が高いと予測されています。

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建設業界のM&Aの相場と費用

建設会社では、人材や作業機材、ノウハウ、設備などさまざまな資産があり、そこに収益性などが加味される形で企業価値が算定されます。そのため、建設業界のM&Aでは相場が大きく、数億円~数百億円になることは珍しくありません。

建設業界に限らず、日本のM&Aは取引価格を公開しないことが多く、具体的な相場や費用を確認することは非常に困難です。そのため、M&Aの際は専門家の協力を得ることをおすすめします。

たとえば、M&A総合研究所では、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーのサポートを受けながら、M&Aをよりスムーズに進められます。M&A総合研究所は、M&Aに関するお悩みを一緒に解決いたします。

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建設業界のM&Aの買収とは?買う・買いたい場合

建設 ゼネコンのM&A・事業承継
建設 ゼネコンのM&A・事業承継

建設業界のM&Aで買い手となる場合、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

  1. 対象の建設会社が持つ人材の傾向や実績を調べておく
  2. 対象の建設会社が事業展開している地域に着目しておく

①対象の建設会社が持つ人材の傾向や実績を調べておく

建設業界の買い手において優先すべき課題はやはり人材です。そのため、建設業界のM&Aでは、不足している人手を確保する目的でM&Aを進める傾向にあります。ただし、単純に人手を増やすのではなく、可能な限り質の高い人材を獲得できるよう努める必要があります。

そのため、買い手は対象の建設会社が持つ人材の傾向を調べておきましょう。たとえば「特定の資格を有しているか」「長年働いている熟達した人材か」など、年齢構成や稼働率もチェックするポイントになります。

また、その建設会社の実績にも着目しておく必要があります。難易度の高い工事に成功した実績がある建設会社であれば、そのノウハウも人員の質も保証されています。

さらに豊富な実績を持ち、信頼性が高い建設会社を買収できれば、その実績をそのまま引き継ぐことができるため、買い手がさらに事業を展開する際に効果を発揮するでしょう。

しかし、いくら人材が良い建設会社を買収しても、そのまま運用するだけでは意味がありません。建設業界が人手不足に陥っている原因には仕事の肉体的にハードな面や待遇の悪さが挙げられます。

したがって、取り込むことができた人材を流出させないように、必要があれば待遇を改善するなど、定着率を上げる取り組みが必要です。また、定着率を上げる取り組みが成功すれば、新たな人材が入ってくる可能性も高まります。

②対象の建設会社が事業展開している地域に着目しておく

買収する建設会社がどのような地域で事業を展開しているかにも着目しておきましょう。商圏を広げることは買い手がさらに顧客や取引先を拡大するきっかけになります

商圏を広げる目的でよく実施されるのが海外進出ですが、海外進出の場合はその地域の税制や法律、商慣習などの規制を受けることになるため、事前の情報収集やブリーフィングをしっかり行う必要があります。

事前の情報収集やブリーフィングの作業を怠ると余計なトラブルを招いてしまうだけでなく、現地での事業展開に行き詰まり、撤退せざるを得ない状況に陥る可能性があります。

他にも、昨今では異業種と提携することでお互いのノウハウを生かすM&Aも増えています。新たな事業へ進出する場合は、自社の建築ノウハウを生かせる事業を選ぶようにしましょう。

ただし、事業ドメインの選択を誤ると非効率的な多角的経営になってしまうので、自社の事業分析を入念に行う必要があります。

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建設業界のM&Aの売却とは?売る・売りたい場合

建設業界のM&Aで売り手となる場合は、売却するメリットをきちんと理解した上で、ポイントを押さえておく必要があります。

建設業界のM&Aを売却するメリット

建設会社が売り手となる場合、M&Aを行う最大のメリットは会社の存続でしょう。後継者不在によって存続が難しい建設会社はもちろん、建設業界の不況を受けて財務状況が悪化している建設会社でもM&Aが成功すれば存続の目途が立ちます。

建設業界に限らず、M&Aが成功し、大手の資本の傘下に入れば財務基盤を強化できます。そうなれば新たな事業に着手することも可能です。

従業員の雇用を維持できる点も大きなメリットです。人手不足が深刻な問題である建設業界は、熟練の職人や有資格者が貴重な存在です。また、M&Aによって待遇を改善できれば、新たな人材を増やすことも可能になるでしょう。

リスクは事前に解消しておく

建設業界のM&Aで売り手となる場合、買い手はリスクになる要素を徹底的に調べます。日頃から赤字受注をしていたり、正しく原価管理していなかったりする会社は買い手から敬遠される可能性があるため注意が必要です。

そもそもM&Aは成功率が低く、業界を問わず3割~5割程度だと言われています。加えてM&Aに成功しても、その後の経営統合に失敗したり、売り手が隠していたリスクが顕在化したりして、結局提携関係を解消するケースも少なくありません。

買い手はそのようなリスクを踏まないように慎重に吟味してくるため、リスクになりそうな問題は事前に解消しておく必要があります。リスクを放置してしまうと、M&Aが実現する可能性が下がるだけでなく、交渉で不利になり、相手に有利な条件を押し付けられてしまう恐れもあります。

売り手となる建設会社は現場の声もしっかり吸収し、経営統合の妨げとなるリスクはしっかり取り除いておくことが重要です。

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建設業界のM&A事例

ここでは建設業界におけるM&A事例をご紹介します。今回ご紹介する事例はい以下の4つです。

①パナソニック×松村組

2017年、大手家電メーカーであるパナソニックは、建設会社の松村組を買収し、2018年に完全子会社化しています。近年は家電メーカーが建設業界に進出するケースが増えており、パナソニックの松村組の買収は代表的な事例だと言えるでしょう。

また、パナソニックは住宅部門を強化するために、優れた施工技術を持つだけでなく、優秀な人材を有している松村組を買収しました。この背景には、単純に建設会社のノウハウだけでなく、減少している優秀な人材の確保も目的にあったと考えられます。

このM&Aによってパナソニックは、付加価値の高い住空間を提供し、事業拡大を図っています

②淺沼組×SINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR

民間建築・工事を専門的に取り扱っている建設会社の淺沼組は、2018年にシンガポールの建物外壁塗装・修繕を専門としている会社であるSINGAPORE PAINTS &CONTRACTORを買収しました。

元来淺沼組はリニューアル事業に力を入れており、海外進出を実践するためにSINGAPORE PAINTS &CONTRACTORを買収したと考えられます。このM&Aによって、淺沼組はASEAN一体の市場に進出する足掛かりを獲得し、さらにリニューアル事業を展開できるようになりました。

③西部ガス×吉川工務店

2019年2月、西部ガスは、総合建設業を営む吉川工務店および関連会社である吉祥開発のすべての株式を取得することを発表しました。

西部ガスグループは、これまでも連結子会社であるエストラストや九州八重洲の住宅建築業、西部ガス興商の不動産賃貸業など、不動産事業に取り組んできました。

そのため、今回のM&Aで吉川工務店を傘下に置くことで、福岡都市圏を中心に総合建設業を展開し、分譲・賃貸マンション、事務所、教育・福祉施設と幅広く対応できる高い施工能力を保有しています

また、西部ガスに総合建設業が加わることで、グループの不動産関連事業の業容拡大が期待できるとしています。

➃小野建×森田鋼材

2019年10月、小野建株式会社は、京阪神エリアを中心に鉄筋丸棒の販売、切断、加工から鉄筋工事を行う森田鋼材株式会社の株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

小野建株式会社は、昭和24年に株式会社小野建材社として会社を設立し、「顧客第一」「地域密着」の姿勢の鉄鋼・建材商社として日本国内の産業を支えてきた会社です。

一方、森田鋼材株式会社は、大阪府門真市を拠点に、京阪神エリアの中堅中小建設会社に対し、鉄筋コンクリート用異形棒鋼を加工から販売、施工も手がける地域密着型の優良企業です。昭和26年の創業以来堅実な経営により、仕入先や外注先からの信頼は非常に厚いです。

小野建社は、森田鋼材の⾧年の経験によって醸成された技術やノウハウ、優良な顧客基盤および外注取引先との友好関係に魅力を感じたようです。事業を引き継ぐことで、小野建グループのさらなる飛躍が可能になると判断し、本件株式取得に至っています

今後は、森田鋼材を中心に、関西における鉄筋関連商品の取扱量の拡大と、加工や工事などのより付加価値の高いサービスを地域に提供することで、小野建本来の良さである地場密着型のビジネスの展開に取り組んでいくとしています。

まとめ

建設業界では、今でこそM&Aの事例が増えていますが、元来M&Aとの相性が悪いため、なかなかM&Aが一般化しませんでした。しかし、近年では、異業種からの建設業界進出や、建設業界から異業種への進出が盛んになり、それに伴ったM&Aが増えてきています。

加えて、中堅の建設会社が事業承継などを目的としてM&Aを行うケースも増加傾向です。しかし、東京オリンピックなどのニーズに応えるには、建設業界は人手不足などさまざまな課題をクリアする必要があります。

そのため、解決する有効的な対策の一つとして、今まで以上にM&Aが活用されると考えられます。要点をまとめると下記のとおりです。

・建設業界でM&Aを実施する目的
→事業拡大、人手不足を補い、財務基盤を強化する

・建設業界のM&Aの動向
→異業種による建設会社の買収事例の増加、海外進出を目的としたM&Aの増加、後継者不足の解消を目的としたM&Aの増加

・建設業界のM&Aの相場と費用
→建設業界のM&Aでは相場が大きく、数億円~数百億円になる

・建設業界のM&Aにおける買いたい場合のポイント
→対象の建設会社が持つ人材の傾向や実績を調べておく、対象の建設会社が事業展開している地域に着目しておく

・建設業界のM&Aにおける売りたい場合のポイント
→リスクは事前に解消しておく

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