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2019年3月10日更新
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建設業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

建設業界のM&Aは、買い手、売り手によってM&Aを選択する目的は異なります。メリット・デメリットをしっかり判断した上でM&Aを選択しましょう。大きな意思決定であるM&Aは注意点も多いため慎重に専門家を活用しましょう。

目次

    建設業界のM&A

    M&Aは日本の市場が縮小化する中、あらゆる業界で活発化しています。

    どのM&Aも、その業界の様々な事情があるものです。

    そしてM&Aがさかんに行われている業界の一つに、建設業界が挙げられます。

    東京オリンピックの影響もあって活気づいているイメージがある建設業界ですが、積極的にM&Aを行う理由はなんでしょうか?

    今回は建設業界のM&Aに注目し、その現状や動向についてお伝えしていきます。

    建設業界のM&Aとは?

    建設業界におけるM&Aの背景にはどういった事情があるのでしょうか?

    元々建設業界はバブル崩壊以降、耐震強度偽装問題、サブプライムローン問題、リーマンショック、東日本大震災など度重なる逆風に立たされ、長期的な低迷期にありました。

    加えて公共工事の発注が減少するなど、建設業界の低迷にさらに拍車がかかる状況になっています。

    さらに建設業界は規模の経済が働きにくく、また2社以上が合併すると公共工事の入札機会が限定されることもあって、M&Aにより再編が起こりにくい業界だと認識されてきました。

    しかし、昨今は建設業界のM&Aが徐々に活発化し、事業拡大のための手法としてのM&Aを積極的に行う会社が増えています。

    昨今、東京オリンピックのための施設建設や東日本大震災の後のインフラ整備・ビルの復旧、建物の省エネ化、アベノミクスによる公共工事の増加などといったニーズにより、建設業界が再浮上する動きが出来つつあります。

    しかし、そこで立ちはだかってくるのが、建設業界が抱える慢性的な問題である人手不足です。

    建設業界は年々就業者が減少しており、若手の人材が不足しています。

    そもそも建設業界は仕事のきつさや待遇の悪さで若手の人材が嫌厭しがちであり、人材を確保し辛いものです。

    加えて長く続く低迷期によって熟練の職人が業界から離れてしまったこともあり、人材不足はより悪化しています。

    また低迷期の持続によって建設会社の財務状況は苦しい状況に陥っており、大手・中堅問わず倒産するなど、せっかく生まれてきたニーズを生かしきれない状況がなっています。

    そのため、大手・中堅問わずM&Aを実行し、人手不足を補い、財務基盤を強化したうえで事業拡大に乗り出そうとする建設会社が増えているのです。

    建設業界のM&Aの現状と動向

    建設業界のM&Aの現状と動向はどうなっているのでしょうか?

    建設業界のM&Aは他の業界のM&Aと異なり、M&Aによる業界再編が長年進まないなど、あまりにM&Aには積極的ではありませんでした。

    さきほどお伝えしたように建設業界は規模の経済の効果が薄く、規模を大きくすると入札参加に制限がかかるなど、M&Aと相性が悪い一面があるからです。

    しかし長らく続く低迷を打破するために、建設業界でも徐々にM&Aを行う動きが出てきています。

    建設業界のM&Aで多いのは異業種による建設会社の買収です。

    最近はハウスメーカーが中堅のゼネコンを買収して建設業界に進出するなど、新しい事業分野への進出のためのM&Aが増えています。

    逆に別の業界にM&Aで進出することで新たな事業

    このM&Aはそれぞれの会社の得意分野やノウハウを生かし、両方を組み合わせることによってシナジー効果を発揮できるというメリットがあります。

    また不動産会社が建設会社を買収できれば、外注していた施工を内製化できるため、プロセスを効率化することも可能になります。

    また、建設業界では海外進出を目的としたM&Aも増えています。

    国内の市場の縮小化がある以上、さらなる市場を求め、海外進出を行う建設会社は少なくありません。

    そのために進出したい地域の会社を買収し、それを足掛かりに海外進出を行うためにM&Aを実施しています。

    他にも後継者不在のためにM&Aを行う事例もあります。

    これは建設業界に限らず、あらゆる業界の中小企業が抱える問題です。

    高齢化によって経営者が引退を迎えつつあっても、後継者がいないために、経営者が引退すると同時に廃業せざるを得ない会社は少なくありません。

    そのため、事業やノウハウ、従業員の雇用の維持のために第三者にM&Aで会社を売却するというケースが増えています。

    建設業界は地方の中堅を中心に廃業が増えており、ただでさえ減少傾向にある人材がさらに減っていく恐れがあります。

    地方のニーズに応えるためにも、会社の存続のためにM&Aを行うケースは今後も増えていくでしょう。

    ただ、繰り返しお伝えしているようにそもそも建設業界はM&Aと相性が悪いため、失敗したケースも少なくありません。

    そのため今後M&Aが増加したとしても、業界再編よりも中堅の淘汰が目立つ可能性が高いと予測されています。

    建設業界のM&Aの相場と費用

    建設業界のM&Aの相場や費用はどれくらいなのでしょうか?

    建設会社は人員に加え、作業で使用する機材やノウハウ、設備など様々な資産が多く、そこに収益性などが加味される形で企業価値が算定されます。

    そのため建設業界のM&Aは相場が大きく、数億円~数百億円になることはあり得るでしょう。

    しかし、大手の建築会社であればより大きな価格になることにあり得るでしょう。

    建設業界に限らず、日本のM&Aは取引価格を公開しないことが多く、具体的な相場や費用を確認することは難しいですが、建設業界でのM&Aの相場は全体的に高くなると意識しておいてもいいでしょう。

    建設業界のM&Aの買収とは?買う・買いたい場合

    建設業界のM&Aで買い手となる場合、どのようなポイントがあるのでしょうか?

    建設業界の買い手において優先すべき課題はやはり人材です。

    不足している人手をまず確保するうえで買い手はM&Aを進める必要があります。

    ただ、単純に人手を増やすだけよりも、できることならより質の高い人材を獲得できるようにしておくべきでしょう。

    その場合、買い手は対象の建築会社が持つ人材の傾向を調べておく必要があります。

    例えば「特定の資格を有しているのか」、「長年働いている熟達した人材はいるのか」、年齢構成や稼働率もチェックすべきポイントでしょう。

    またその建築会社の実績も注目しておきましょう。

    難易度の高い工事を何度も受注し、成功させている実績がある建築会社であれば、そのノウハウも人員の質も保証されています。

    さらに豊富な実績を持ち、信頼性が高い建築会社を買収できれば、その実績をそのまま引き継ぐことができるため、買い手がさらに事業を展開する際にプラスになってくれるでしょう。

    ただ、いくら人材が良い建築会社を買収したからといって、ただそのまま運用するだけでは意味がありません。

    さきほどもお伝えしましたが、建築業界が人手不足に陥っている原因には仕事のきつさや待遇の悪さが挙げられます。

    せっかく取り込むことができた人材を流出させてしまうことがないように、必要があれば待遇を改善するなど、定着率を上げる取り組みが必要です。

    定着率を上げる取り組みが成功すれば、新たな人材が入ってくる可能性も高まるため、やっておいて損はないでしょう。

    また買収する建築会社がどのような地域で事業を展開しているかも着目しておきましょう。

    商圏を広げることは買い手がさらに顧客や取引先を拡大するきっかけになります。

    商圏を広げるという目的でよく行われるのが海外進出ですが、海外進出の場合はその地域の税制や法律、商慣習などの規制を受けることになるため、事前の情報収集やブリーフィングをしっかり行っておくようにしましょう。

    これらの作業を怠ると余計なトラブルを招いてしまうだけでなく、現地での事業展開に行き詰まり、最悪撤退せざるを得ない状況に陥る可能性があります。

    他にも、昨今ではさきほどお伝えしたような異業種と提携することでお互いのノウハウを生かすM&Aも増えています。

    新たな事業へ進出する場合は、自分達の建築のノウハウを生かせる事業を選ぶようにしましょう。

    ただ事業ドメインの選択を誤ると非効率的な多角的経営になってしまうので、自分の事業の分析を入念にやっておく必要があります。

    建設業界のM&Aの売却とは?売る・売りたい場合

    建設業界のM&Aで売り手になる際にはどのようなポイントがあるでしょうか。

    建設会社が売り手となる場合、M&Aを行う最大のメリットはやはり会社を存続できることでしょう。

    後継者不在によって存続が難しい建築会社はもちろん、建築業界の不況のあおりを受けて財務状況が悪化している建築会社もM&Aが成功すれば存続の目途が立ちます。

    どんな業界でもいえることですが、M&Aが成功し、大手の資本の傘下に入ることができれば財務基盤が強化できるようになります。

    そうなれば新たな事業に着手する余裕も出てくるようになるでしょう。

    もちろん従業員の雇用を維持できるのもメリットです。

    人手不足に悩みがちな建築業界は熟練の職人や有資格者が貴重な存在ですし、もし買い手の資金力もあって待遇を改善することができれば、新たな人材を増やすこともできるようになるでしょう。

    ただ、建築業界のM&Aで売り手となる場合、買い手はリスクになる要素を徹底的に見てきます。

    日ごろから赤字受注をしていたり、適切な原価管理を行っていない会社は買い手から敬遠される可能性があります。

    そもそもM&Aは成功率が低く、業界を問わず3割~5割程度だといわれています。

    加えてM&Aに成功しても、その後の経営統合に失敗したり、売り手が隠していたリスクが顕在化してトラブルに発展し、結局提携関係を解消するケースも少なくありません。

    買い手もそういったリスクを踏まないように慎重に吟味してくるため、売り手もリスクになりそうなものはいち早く解消しておく必要があります。

    リスクを放置してしまうと、M&Aが実現する可能性が下がるだけでなく、交渉で不利になり、相手に有利な条件を押し付けられてしまう恐れがあります。

    売り手となる建築会社は現場の声もしっかり吸収し、経営統合の妨げとなるようなリスクはしっかり除いておきましょう。

    建設業界のM&A事例

    ここでは建設業界で実際にあったM&Aの事例をご紹介します。

    今回ご紹介する事例はいかの3つです。

    ⑴パナソニック×松村組

    大手家電メーカーであるパナソニックは2017年に建築会社の松村組を買収し、2018年に完全子会社化しています。

    近年は家電メーカーが建築業界に進出するケースが増えており、パナソニックの松村組の買収は代表的な事例だといえるでしょう。

    パナソニックは住宅部門を強化するために、優れた施工技術を持つだけでなく、優秀な人材を有している松村組を買収しました。

    これには単純に建築会社のノウハウだけでなく、減少している優秀な人材の確保も目的にあったといえるでしょう。

    これによってパナソニックはより付加価値の高い住空間を提供し、事業拡大を図っています。

    ⑵淺沼組×SINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR

    民間建築・工事を専門的に取り扱っている建築会社の淺沼組は、2018年にシンガポールの建物外壁塗装・修繕を専門としている会社であるSINGAPORE PAINTS &CONTRACTORを買収しました。

    元々淺沼組はリニューアル事業に力を入れており、さらに海外進出を実践するためにSINGAPORE PAINTS &CONTRACTORを買収したと考えられます。

    これによって淺沼組はASEAN一体の市場に進出する足掛かりを獲得し、さらにリニューアル事業を展開できるようになりました。

    淺沼組のM&Aは建築会社が海外進出を実践した好例だといえるでしょう。

    ⑶大林組×大林道路株式会社

    2017年に建築会社の大林組は舗装工事や土木工事、建築工事などの請負を行っている連結子会社の大林道路株式会社を子会社化しました。

    これは組織再編の一環として行われたM&Aですが、背景にはグループ全体の効率化や事業効率、収益力の向上だけでなく、人手不足や市場の縮小への対策があるといえます。

    大林組のM&Aは連結子会社との関係を改めるほどに、建築業界にとって人手不足や業界の縮小が大きな影響を及ぼしていることを如実に示しています。

    大手の建築会社であれば、人手不足を改善するためのM&Aや組織再編は今後も継続して行われるでしょう。

    まとめ

    建築業界は今でこそM&Aが行われた事例が増えていますが、元々M&Aとの相性が悪く、なかなかM&Aが一般化しませんでした。

    しかし異業種からの建築業界進出や、逆に建築業界から異業種への進出が盛んになり、それに伴ったM&Aが増えてきています。

    加えて中堅の建築会社が事業承継などを目的としてM&Aを行うケースも増加傾向にあります。

    しかし東京オリンピックなどのニーズの増加を応えるには、建築業界は人手不足など様々な課題をクリアする必要があります。

    そのうえでM&Aが有効的な対策として、これまでより存在感を発揮するようになるでしょう。

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