M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年1月17日公開業種別M&A
日用雑貨業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
急激な少子高齢化や核家族や単身世帯の増加などの社会的要因により、日用雑貨業界の顧客層が大きく変動しています。その結果、日用雑貨会社の再編成が進み、M&Aも加速化しています。この記事では、日用雑貨業界の動向やM&Aの詳細について解説します。
目次
日用雑貨業界の動向
日用雑貨業界は、2019年までは雑貨人気の高まりにより業界全体の売上が向上していました。しかし、2020年からの新型コロナ禍による行動制限の結果、2020年には売上を大きく落としています。
その後の経済の復活の中で、日用雑貨品の売上は回復傾向にあり、2021年は2019年を上回る状況です。その一方で、日用雑貨業界は参入障壁が低いことから、競争が激しく、シナジー効果や業務効率化を求めるM&Aも活発に行われています。
日用雑貨会社をM&Aで売却するメリット
日用雑貨会社をM&Aで売却するとさまざまなメリットを得ることができます。どのようなメリットがあるのか具体的にみていきましょう。
売却利益の獲得
日用雑貨会社をM&Aで売却すれば、オーナーは売却利益を得ることができます。会社を売却するので、オーナーに入る利益は一般的にかなり大きな金額になります。
また、会社の負債に対する個人保証からも解消されて、オーナーの負担は大きく軽減されるでしょう。
M&A後は引退後の生活資金にしてハッピーリタイアする人も多いようです。
経営の効率化と安定化
M&Aでは、会社が展開している複数の事業の一部だけを切り売りすることも可能です。
もしも日用雑貨部門が不採算事業や、効率的な運用ができていないようであれば、日用雑貨部門だけをM&Aで売却することで、その他の得意な部門に経営資源を集中することができます。
経営の効率化を図ることができ、会社全体の今後の発展を図ることが可能になるメリットがあるでしょう。
後継者不足の解消
現在、日本の多くの会社が後継者不足による廃業の危機を迎えようとしています。日用雑貨会社の中にも、親族の中に信頼できる後継者がいないことで、廃業を検討せざるをえないところもあるでしょう。
しかし、廃業したら、従業員の雇用は失われて、設備の処分費用などのコストもかかります。
M&Aで会社を売却すれば、廃業せずに後継者問題を解決できます。後継者問題に悩んでいる日用雑貨会社の経営者は、ぜひM&Aを検討しましょう。
日用雑貨業界のM&A・売却・買収事例7選
日用雑貨会社をM&Aした事例を紹介します。
キングジムがエイチアイエムをM&Aした事例
2022年9月に、株式会社キングジムが株式会社エイチアイエムの全株式を取得して子会社化するM&Aを発表しました。
キングジムは文具事務用品とインテリアライフスタイル雑貨の製造、企画、販売を行う会社です。エイチアイエムはキッチン用品や生活雑貨など生活に直結する商品を企画しネット販売する会社です。
このM&Aによりキングジムとしては、商品ラインナップを広げて、EC事業のさらなる強化と、クロスセルによってグループ全体の売上の拡大を図ることができるとしています。
参考:株式会社キングジム「株式会社エイチアイエムの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
ニトリホールディングスがエディオンをM&Aした事例
2022年4月に株式会社ニトリホールディングスが株式会社エディオンの株式を取得して資本業務提携をすることを発表しました。
ニトリがエディオンの株主である株式会社LIXILから市場外相対取引を通じてエディオンの全株式の8.60%に当たる8,961,000株を取得し、さらに普通株式を追加取得する予定です。
ニトリは国内外に900店舗以上を構えるインテリア販売店の大手企業です。エディオンは全国に1,200店舗以上を構える家電量販店チェーンです。
この資本提携により、両社が経営資源を相互に活用できるようになり、両社の企業価値のさらなる向上に資するとのことです。
参考:株式会社ニトリホールディングス「株式会社エディオンとの資本業務提携に関するお知らせ」
クスリのアオキホールディングスが一二三屋をM&Aした事例
2021年11月に株式会社クスリのアオキホールディングスが株式会社一二三屋の全株式を取得して子会社化し、さらに吸収合併するM&Aを発表しました。
このM&Aにより、クスリのアオキが存続会社となり、一二三屋は消滅会社となります。
クスリのアオキは全国に約800店舗を構えるドラッグストアです。一二三屋は福島県で4店舗を展開するスーパーマーケットでした。
このM&Aにより、一二三屋の店舗を改装し、一二三屋が提供してきた新鮮な食材とクスリのアオキのドラッグストアの機能を併せ持つ、地域の皆様によりいっそう愛される店舗を作ることができるとしています。
参考:株式会社クスリのアオキホールディングス「株式会社一二三屋の株式の取得(子会社化)及び吸収合併に関するお知らせ」
イオンがキャンドゥをM&Aした事例
2021年10月から12月にかけて、イオン株式会社が株式会社キャンドゥの株式を公開買付し、キャンドゥの全株式の51.16%を取得して、連結子会社化するM&Aが実施されました。
イオンは国内に数多くのショッピングセンターやスーパー、ドラッグストアなどを展開しています。キャンドゥは1,200店舗以上を展開している100円均一ショップです。
このM&Aにより、キャンドゥとしては100均の競争が激化する中で、イオンの経営資源を活用できることによる企業価値の向上が図れるようになり、イオンとしてはグループ内で100均の出店余地がまだまだある中でシナジー効果を生み出せるとのことです。
参考:株式会社キャンドゥ「イオン株式会社による弊社株式に対する公開買付けについて」
キングジムがライフオンプロダクツをM&Aした事例
2021年10月に、株式会社キングジムがライフオンプロダクツ株式会社の全株式を取得して子会社化するM&Aを実施しました。
キングジムは文具事務用品とインテリアライフスタイル雑貨の製造、企画、販売を行う会社です。ライフオンプロダクツは生活家電や雑貨、ルームフレグランスなど、生活の質を高める商品の企画販売を行う会社です。
このM&Aにより、キングジムとしてはインテリアライフスタイル事業の飛躍的な拡大が実現できるとしています。
参考:株式会社キングジム「ライフオンプロダクツ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
ショーエイコーポレーションがCSをM&Aした事例
2012(平成24)年10月に、株式会社ショーエイコーポレーションが株式会社CSの全株式とその子会社である株式会社クルーの発行済株式の25%を取得して子会社化するM&Aを実施しました。
ショーエイコーポレーションはパッケージ事業、メディアネットワーク事業、日用雑貨品事業を展開している会社です。CSは日用雑貨品の企画販売を、クルーは包装資材や日用雑貨品の企画販売を行っています。
このM&Aにより、ショーエイコーポレーションとしては、調達力と商品企画開発力を強化し、3社の顧客基盤を共有化することによる新しいチャネルの創出などのシナジー効果が期待できるとしています。
参考:株式会社ショーエイコーポレーション「株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約書締結についてのお知らせ」
日用雑貨会社をM&Aで売却する流れ
日用雑貨会社をM&Aで売却する流れをみていきましょう。
専門家への相談
日用雑貨会社を売却したいと思っても、なかなか進め方がわからない点も多いでしょう。日本には中小企業のM&Aを専門的に扱う専門家がいますのでまずは専門家に相談してみましょう。
そもそもM&Aをした方がいいのか、どのような会社が売却先としていいのか、色々と相談に乗ってくれます。ぜひ専門家へ連絡して下さい。
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国の案件に対応しています。
知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートさせていただきます。
M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。)
無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webよりどうぞお気軽にお問い合わせください。
売却先の選定と交渉
M&Aの専門家に依頼することに決めたら、まずは売却先の選定に入ります。選定方法は、企業名など具体的な情報を伏せたノンネーム情報をM&A情報サイトに掲載したり、日用雑貨会社の買収を希望する顧客に声を掛けたりします。
買収に手を挙げる会社が現れたら、経営者が自ら交渉先を決定し、秘密保持契約を結んだ上で交渉に入ります。
トップ面談
具体的な交渉に入る前後に、トップ面談を行います。トップ面談では経営者同士が腹を割って話し合い、書類などの資料からは見えない経営理念や企業文化などについての理解を深めます。
基本合意書の締結
トップ面談でM&Aを進めることに合意したら、交渉を進めて基本合意書を締結します。基本合意書は基本的に、独占交渉権と秘密保持義務以外には法的拘束力は生じません。
基本合意書では、価格やM&Aのスキーム、スケジュール、役員や従業員の待遇などについて記載されます。
デューデリジェンスの実施
基本合意書が締結されたら、デューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスとは、買収側が売却側の会社に何らかのリスクがないかを徹底的に調べるものです。
M&Aに関する専門的な知識のある専門家チームが調査に入り、法務、財務、人事などについて徹底調査します。
万が一、基本合意書締結の段階で開示されていない致命的な問題が発見された場合には、デューデリジェンスの段階で破談になることもあります。
最終契約書の締結とクロージング
デューデリジェンスの結果に基づいて最終交渉が行われます。何らかの問題が発見された場合には、値引きやクロージング後に問題が発生した場合の補償を求められるかもしれません。
最終交渉がまとまったら、最終契約書を締結して、1ヶ月から1年程度の期間を置いてクロージングで引き渡しです。
クロージングまでの間に、従業員や取引先への理解を求めながら、経営体制のスムーズな移行に向けた準備を進めます。
日用雑貨会社をM&Aで売却する注意点
日用雑貨会社をM&Aで売却する時の注意点をみていきましょう。
シナジー効果が見込めるかどうか
売却後に自分が育ててきた会社が更に発展するかどうかは、売却先選びにかかっています。
買収を希望している会社が、自社とあらゆる面でシナジー効果を生み出せるかどうかを慎重に見極めましょう。
過去には、地域性だけで規模の拡大を目指す会社に買収されたものの、従業員の質や商品の質を保つことができずに、M&A後に売上が落ち込んでしまった日用雑貨品店もあります。
商品や従業員といった会社の体制全体が、買収側とシナジーを十分に生み出せる会社を選ぶようにしましょう。
買収先の会社に従業員が馴染めるかどうか
引き継ぐ従業員が幸せに働けるかどうかは、買収側の企業に従業員が馴染めるかどうかにかかっています。
企業文化や経営理念が大きく異なる企業への売却では、従業員が馴染む事ができずに、売却側と買収側で派閥ができてしまうこともあります。
特に、ブランドを売却する場合には、従業員の意識も高いので、注意が必要です。
日用雑貨会社のM&A・事業譲渡まとめ
日用雑貨はトレンドの移り変わりが早いことから、M&Aでシナジー効果を得たいという会社は多くあります。もしも、後継者不足などで事業の継続が難しいと考えているのなら、M&Aによる売却も検討しましょう。まずは専門家への相談から始めることがおすすめです。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。