2020年1月4日更新節税

無税償却とは?有税償却との違いや種類、要件を解説

M&Aや私的再生といった不良債権を有効に処理するうえで、無税償却は欠かせない手法です。満たすべき要件は複雑かつ厳しいものの、要件さえ満たせばメリットを享受できます。この記事では、無税償却に関して基本的な知識から有税償却や要件との違いをわかりやすくご紹介します。

目次
  1. 無税償却とは
  2. 無税償却と有税償却の違い
  3. 無税償却の種類(直接償却と間接償却)
  4. 無税償却の要件
  5. 無税償却と債権放棄
  6. サービサーを活用した無税償却
  7. まとめ
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無税償却とは

はじめに、無税償却とは何かをご説明します。無税償却とは、債権に関する損失を損金として処理することを指します。銀行などの金融機関は中小企業に対して現金を貸しており、債権者としての権利を有しています。

昨今の景気低迷の影響で、必ずしも債務の弁済が実現するとは限りません。融資先の経営状況が悪化し、債権に損失が発生するケースがあります。債権の見込み損失金額を計上する際、通常は損金に算入できないため、余分に税金を支払う必要が生じます。

例外的に一定条件を満たせば、不良債権を無税償却できる決まりとなっています。事業再生時はもちろん、M&Aの際にも無税償却が行われる場合があります。M&Aで引き継ぐ不良債権を有効活用する目的で、「サービサー」と呼ばれる会社にその債権を売却することで、無税償却を図ります。サービサーについては、後ほど詳しく解説します。

非課税で余分なものを処理できるため、M&Aでは非常に役立つ手法です。ただ、後述するように無税償却は専門的な知識が必要なものであるため、実際に行う際には専門家の協力を得るようにしましょう。その際におすすめしたいのがM&A総合研究所です。

M&A総合研究所は、M&Aの仲介とアドバイザリーを実施する仲介業者です。取り扱っている案件は、常時約5,000社を誇っており、日本全国の公認会計士・税理士事務所とのネットワークを駆使し、M&Aで引き継ぐ不良債権を有効活用できる専門家の協力を得ることができます。

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無税償却と有税償却の違い

無税償却と対になる償却方法に、「有税償却」が存在します。この項では、無税償却と有税償却の違いに関して解説します。有税償却とは、「会計上は費用として処理できるものの、税務上は損金として認められない債権償却」を意味します。

会計上費用計上できるものであっても、税法上は損金として計上できないという違いがあるために、有税償却が存在するわけです。有税償却では損金不算入となるため、無税償却よりも税金が多く発生します。無税償却と有税償却の違いは、行う目的にあります。

無税償却は「不良債権の有効活用」や「融資対応力の安定化」を目的に行われる一方で、有税償却は「貸借対照表の健全性確保」を目的に実施されます。無税償却や有税償却の違いはあるものの、節税上は無税償却のほうが有利であるため、進んで有税償却が実施されるケースは多くありません。

無税償却の要件は厳しく、要件を満たさなければ全て有税償却となり、より多くの税金を支払うこととなります。財務状況の健全性を確保したい場合は有税償却、それ以外の場合には基本的に無税償却を図ります。

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無税償却の種類(直接償却と間接償却)

無税償却には、「直接償却」と「間接償却」の2種類存在します。この項では、「直接償却」と「間接償却」について詳しく解説します。

⑴直接償却

不良債権の全額をオフバランス化する形で行う無税償却を、直接償却と呼びます。オフバランスとは、事業上使用している資産を帳簿から切り離し、貸借対照表に計上しないことを指します。貸借対照表から不良債権を切り離すため、企業価値の向上を期待できます。

具体的な直接償却を行う方法には、「私的整理」「法的整理」「債権売却」があります。私的整理とは債権者が無償で債権放棄する行為であり、無税償却を実行するためには債権の不良性を証明する必要があります。証明できない場合には、損金として処理できずに課税が発生します。

法的整理とは裁判所管轄の下で実行する倒産手続きであり、民事再生や破産などが法的整理に該当します。債権売却とは文字通り不良債権を売却する行為であり、無税償却するためには「サービサー」を売却先にする必要があります。

⑵間接償却

間接償却とは、回収不能と見込まれる不良債権を、貸倒引当金として費用計上する形で行う無税償却です。不良債権自体は貸借対照表に残るため、企業価値の向上などのメリットは期待できません。間接償却は、融資先会社の経営状態が悪化した時点で行われます。

経営状態が悪化した際に貸倒引当金として不良債権を計上し、経営破綻した時点で貸倒引当金が取り崩されます。貸倒引当金が取り崩される時点で、貸借対照表上の不良債権は消滅します。

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無税償却の要件

無税償却は銀行などの金融機関にとって有利であるものの、適用するためには要件をクリアする必要があります。無税償却の要件は「直接償却」と「間接償却」によって異なるため、自身が採用する方法に基づいて要件をクリアしなくてはいけません。この項では、直接償却と間接償却に分けて要件をお伝えします。

⑴直接償却の要件

直接償却では主に下記要件を満たす場合に、無税償却が認められます。

①債権が更生計画により切り捨てられる

  • 直接償却を行う際は、会社更生計画等に基づいて手続きを進める
  • 計画等において切り捨てられる債権金額において、原則無税償却が認められる

②債務超過が長期にわたり継続し、債権弁済を受けることが不可能

  • 債務者が長期的に債務超過に陥っており、債権弁済を受けることが不可能である場合には、無税償却を実行できる
  • 無税償却が認められる金額は、債務者に対して書面で提示した債務免除額となる

③債務者の資産状況や支払能力などを見た場合、債権の全額を回収できないことが明白である

  • 債務者の資産状況や支払能力などから判断し、債権の全額を回収できないことが明白である際には、債権の全額を無税償却できる

⑵間接償却の要件

間接償却では主に下記要件を満たす場合に、無税償却が認められます。

①更生計画により、決算日翌日から5年目以降に弁済が予定されている

  • 決算日翌日から起算して、5年目以降に弁済が予定されている債権に関しては、無税償却が認められる
  • 要件を満たすためには、更生計画等を経ている必要がある

②債務超過が長期にわたり継続し、債権の回収見込みがない

  • 債務者が長期的に債務超過に陥っており、債権の回収見込みがない場合には、回収できない金額分だけ無税償却できる
  • 全額を無税償却できるわけではなく、回収が不可能である部分のみが要件となる

③債務者に法的整理申立や銀行取引停止処分等の事態が発生

  • 債務者に法的整理申立や銀行取引停止処分等の事態が発生したケースも、無税償却の要件に含まれる
  • 間接償却の要件では、債権(回収が見込まれる金額を除く)のうち、50%相当のみ無税償却が認められる

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無税償却と債権放棄

この項では、無税償却と債権放棄の関係に関して説明します。一昔前まで銀行などによる債権放棄は、無税償却が認められていませんでした。無税償却できないために、中小企業の多くは銀行などから債権放棄を認められないケースが続出していました。

債権放棄を認められないケースが続出した影響で、中小企業の再生自体が抑制されていたため、数年前からは無税償却が認められるようになりました。銀行は積極的に債権放棄を認めやすくなり、中小企業の再生も活発化する結果となりました。

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サービサーを活用した無税償却

最後に、サービサーを活用した無税償却に関して解説します。サービサー(債権回収会社)とは、法務大臣の許可を得たうえで債権管理回収を行っている民間の専門業者です。銀行などが有する貸付債権のみならず、クレジット債権やファクタリング業者が有する金銭債権もサービサーの回収対象となります。

一昔前までは弁護士(弁護士法人)以外がサービサー業務を行うことは禁止されていましたが、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」の施行により、許可を得れば民間業者でも業務を実施できるようになりました。

不良債権をサービサーに売却すれば、売却価格と簿価の差額分を「売却損」として損金計上できます。つまり不良債権を売却により手元から放棄しつつ、売却損の金額だけ利益を圧縮できるわけです。非常に有用な不良債権の処理方法であるため、M&Aの際にもサービサーへの債権売却が行われます。

M&Aの際に不良債権を売却することで、経営状況の健全化を実現できます。無税償却を図る手段として、サービサーへの債権売却は非常に使い勝手の良い手法です。

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まとめ

今回は、無税償却に関して基本的な概要をお伝えしました。不良債権を有効に処理するうえで、無税償却は欠かせない手法です。満たすべき要件は複雑かつ厳しいものの、要件さえ満たせば多大なメリットを享受できます。

無税償却はとても専門的な処理ですので、実際に活用する際は必ず専門家にご相談ください。要点をまとめると下記になります。

【無税償却とは】
  • 債権に関する損失を損金として処理すること
【直接償却とは】
  • 不良債権の全額をオフバランス化する形で行う無税償却
【間接償却とは】
  • 回収不能と見込まれる不良債権を貸倒引当金として費用計上する形で行う無税償却
【有税償却とは】
  • 会計上は費用として処理できるものの、税務上は損金として認められない債権償却
【無税償却の要件(直接償却)】
  1. 債権が更生計画により切り捨てられる
  2. 債務超過が長期にわたり継続し、債権弁済を受けることが不可能
  3. 債務者の資産状況や支払能力などを見た場合、債権の全額を回収できないことが明白である
【無税償却の要件(間接償却)】
  1. 更生計画により、決算日翌日から5年目以降に弁済が予定されている
  2. 債務超過が長期にわたり継続し、債権の回収見込みがない
  3. 債務者に法的整理申立や銀行取引停止処分等の事態が発生
【無税償却と債権放棄】
  • 銀行の債権放棄が無税償却として認められたことで、中小企業は債権放棄を認められやすくなった
【サービサーを活用した無税償却】
  • 銀行側はサービサーに不良債権を売却することで、無税償却を実行できる

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