2024年9月12日更新業種別M&A

福岡県の調剤薬局のM&A・事業承継の動向!事例や相談先も解説

近年、全国的に調剤薬局におけるM&A・事業承継の成約件数や案件数は増加しており、福岡県でも同様の傾向がみられます。本記事では、福岡における調剤薬局のM&A・事業承継の成功事例や、調剤薬局のM&Aが増加している背景を解説します。

目次
  1. 福岡の調剤薬局の現状
  2. 調剤薬局のM&A・事業承継の案件一覧
  3. 福岡県の調剤薬局のM&A成功事例
  4. M&A・事業承継時におすすめの相談先
  5. 福岡県の調剤薬局のM&A・事業承継に関する公的支援
  6. 福岡県の調剤薬局のM&A・事業承継の動向まとめ
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調剤薬局のM&A・事業承継

福岡の調剤薬局の現状

福岡県は、福岡市や北九州市などの都市部と郊外とでは、調剤薬局の状況が異なっています。

都市部は人口が多く顧客が獲得しやすいため、調剤薬局間での競争が激化しており、特に昔から経営している調剤薬局と、新規顧客の獲得を目的とした大手チェーンの進出との競争が激しくなっています。

一方、郊外では人口減少や調剤報酬改定により収益力が落ちており、売却を検討する中小規模の調剤薬局が増加しています

また、都市部・郊外に共通している問題点として薬剤師不足があり、どのようにして確保していくかが大きな課題となっています。

法律・規制による度重なる報酬改定

法律や規制による報酬改定が行われるたびに、経営者はリタイアを考えることが増えます。特に調剤報酬や介護報酬は6年ごとに見直され、近年は調剤報酬が引き下げられる傾向にあります。多くの調剤薬局が点数減少に悩んでおり、次回の改定でさらに減算される可能性が高いと予想されています。

これは、医療費の抑制を図る国の方針が背景にあり、調剤基本料の引き下げや無資格者が対応できる業務の拡大が進んでいるためです。こうした状況が続くと、調剤薬局の経営は厳しくなり、リタイアを考える経営者が増加しています。

しかし、リタイアのタイミングが事業承継の最適な時期とは限らず、承継には時間がかかるため、早めの準備が必要です。

大手との競合激化による中小の調剤薬局の淘汰

2022年度の調剤薬局の倒産件数は15件で、前年から34.7%減少しました。コロナ禍による受診控えが収まり、処方箋枚数が増加し調剤医療費が回復したことが大きな要因です。しかし、今後も安泰とは言えません。大手薬局の出店やM&Aが加速し、競争が激化しています。

薬局数は6万を超え、コンビニよりも多くなっています。また、薬剤師の対人業務や在宅調剤、オンライン服薬指導などが進展しており、薬局にはさらなる変革が求められています。

特に小規模の調剤薬局では、デジタル化投資や人手不足が課題となっており、変化への対応が遅れがちです。今後、地域に根ざした薬局でも、在宅医療や災害対応などの体制整備が必要ですが、投資負担が重く、苦境に立たされています。

参考:東京商工リサーチ「「調剤薬局」の倒産、コロナ禍が落ち着き減少へ 今後はオンライン化で淘汰が加速も」

医療系経営者の高齢化と後継者不在問題

厚生労働省の2022年の統計によると、「病院の開設者または法人の代表者」の平均年齢は69.9歳となっており、医療関連の経営者の高齢化が顕著です。

1990年代に進んだ医薬分業の影響で、当時40代〜50代だった薬剤師や製薬会社社員が独立し、現在多くが60代〜70代の薬局経営者となっています。代替わりを進めている薬局もありますが、後継者が見つからない経営者も少なくありません。

また、診療報酬や薬価の改定、コロナ禍による患者減少、後発医薬品の流通難などの影響で、後継者がいても事業承継をためらうケースが増えています。

参考:厚生労働省「令和4(2022)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

福岡県のM&A・事業承継の動向

ここからは、福岡の調剤薬局M&A事情についてみていきましょう。福岡の調剤薬局のM&Aには、以下のような特徴がみられます。

  1. 大手薬局チェーンの進出
  2. 中小規模調剤薬局の売り案件の増加

①大手薬局チェーンの進出

福岡県の中心部は、九州地方最大の人口密集エリアであり新規顧客獲得の可能性が高いため、大手薬局チェーンが積極的に進出しています

また、郊外では地域密着型で経営している調剤薬局が多く、買収すれば新規顧客の獲得につながるため、資金力のある大手チェーンは福岡県郊外にも進出しています。

②中小規模調剤薬局の売り案件の増加

福岡県郊外の中小規模調剤薬局では、売り案件も増えています。売却の理由は、人口の減少・調剤報酬改定による収益力低下・薬剤師不足がほとんどです。

大手チェーンは多くの売り案件が出されていることに注目し、積極的にM&Aを行っています

調剤薬局のM&A・事業承継の案件一覧

弊社M&A総合研究所が取り扱っている調剤薬局のM&A・事業承継の案件として、東海エリアの調剤薬局をご紹介します。

毎月30件以上の医療機関からの処方箋が集まっています。1店舗で売上5億円以上を安定して維持しているのも強みです。

エリア 関東・甲信越
売上高 5億円〜10億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 事業存続に対する不安

【EBITDA5千万円超/薬剤師多数】東海エリアの調剤薬局(医療・介護) | M&A総合研究所
【関連】【2020年最新版】調剤薬局のM&A案件一覧!

福岡県の調剤薬局のM&A成功事例

ここでは、福岡県の調剤薬局のM&A成功事例をピックアップしてご紹介します。

ドラッグイレブンによる福江薬局のM&A・事業承継

2023年10月30日、ツルハホールディングスは、子会社であるドラッグイレブン(福岡県大野城市)が、福江薬局(長崎県五島市)の全株式を取得するため、株式譲渡契約を締結することを決定しました。

ドラッグイレブンは、九州地区に190店舗を展開するドラッグストアおよび調剤薬局の運営を行っており、ツルハグループの九州・沖縄地区における主要な企業として、経営基盤の強化と企業価値の向上を図っています。

一方、福江薬局は長崎県五島市で4店舗の調剤薬局を運営しています。

今回の株式取得により、福江薬局はドラッグイレブンの子会社となり、ツルハグループの一員として、さらに質の高いサービスの提供と地域医療への貢献を目指していくことになります。

当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

メディカル一光グループによる西部沢井薬品との事業統合

2023年7月31日、メディカル一光グループは、連結子会社であるメディカル一光(三重県津市)と西部沢井薬品(福岡県北九州市)、およびその子会社である沖縄アメル(沖縄県浦添市)の医薬品・医薬部外品等の卸売事業を統合することで最終合意し、事業譲渡および株式譲渡契約を締結しました。

今回の統合により、メディカル一光は西部沢井薬品の卸売事業を譲受し、沖縄アメルの全株式を取得して子会社化します。また、福岡県の博愛中井調剤薬局の一部株式取得についても基本合意に達し、今後さらに協議を進める予定です。

この統合は、事業規模の拡大と効率化を目指し、人材確保が課題とされる中で行われました。メディカル一光グループは、医薬品卸事業と調剤薬局事業を強化し、統合効果の最大化を図ることを目指しています。

西部沢井薬品株式会社との事業統合に関するお知らせ
【関連】調剤薬局のM&A・譲渡手数料が無料は危険?

M&A・事業承継時におすすめの相談先

調剤薬局のM&A・事業承継
調剤薬局のM&A・事業承継

福岡県での調剤薬局の事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。

金融機関

最近では、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設立するケースが増えています。特に、投資銀行や大手銀行(メガバンク)がファイナンシャルアドバイザー(FA)として、M&Aの場で重要な役割を果たすことが一般的です。買収側では、資金調達において金融機関との協議が不可欠で、通常は既存の取引関係がある金融機関が最初の相談相手となることが多いです。

金融機関に相談することで、資金調達に関する専門的なアドバイスを受けることができ、事業承継の場面でも非常に役立ちます。さらに、M&Aに特化した部署や専門家を紹介するサービスを提供する金融機関も存在します。

しかし、大手金融機関は主に大規模な案件を取り扱う傾向があり、中小規模の案件には対応が難しい場合があります。また、アドバイザリー契約を結ぶ際の報酬が高額になることがデメリットとして挙げられます。

公的機関

最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談体制が整備されつつあります。たとえば、「事業承継・引継ぎ支援センター」では、中小企業が抱える後継者不足などの課題解決を目的に、無料で情報提供やアドバイス、企業間のマッチングサービスを提供しています。

このセンターは全国47都道府県に展開しており、地方の企業でも気軽に利用できる点が大きなメリットです。

公的機関が運営しているため、無料で公平なアドバイスが受けられ、さらにM&A仲介会社や専門家の紹介サービスも行っています。ただし、対応のスピードには限界があり、民間の仲介会社と比べるとサポート内容が十分でない場合もあるというデメリットも存在します。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートし、売り手と買い手の双方と契約を結んで交渉を進めます。これらの会社は、初期段階の相談から相手企業の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価、書類の作成に至るまで、M&Aのすべてのプロセスをトータルで支援します。

仲介会社の大きな強みは、豊富な候補企業の中から最適な相手を見つけられる点で、売り手と買い手が双方に満足できるM&Aの成立を後押しします。さらに、M&Aが初めての企業に対しても、仲介会社は継続的なサポートを提供し、交渉やコミュニケーションを円滑に進めることで成功の可能性を高めます。

ただし、着手金や中間金などの費用が発生することがあり、コストが負担になる場合もあるため、費用を抑えるためには成功報酬型の契約を採用している会社を選ぶのが良いでしょう。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

福岡県の調剤薬局のM&A・事業承継に関する公的支援

福岡県の調剤薬局のM&A・事業承継に関する主な公的支援をご紹介します。

福岡県事業承継・引継ぎ支援センター

福岡県事業承継・引継ぎ支援センターは、次世代への事業承継に関する多様な課題を解決するための公的な相談窓口です。中小企業の事業承継に詳しい専門相談員が、秘密を厳守しながら、経営者の皆様のご相談に対応しています。

事業承継実現(経営改善事業)補助金

今後5年以内に事業承継を予定している中小企業の皆様に対し、福岡県事業承継支援ネットワークの構成機関から事業承継計画に関する支援を受けた企業を対象に、次の取り組みに必要な費用を補助します。

  • 販路拡大
  • 事業のデジタル化
  • 新商品の開発
  • 後継者の人材育成

この補助金は、事業計画または事業承継計画に基づいた取り組みに対して提供されます。

参考:福岡県「事業を円滑に引き継ぐための取組みを応援します(事業承継実現(経営改善事業)補助金のご案内)」

福岡県の調剤薬局のM&A・事業承継の動向まとめ

今回は福岡の調剤薬局のM&Aについて紹介しました。福岡県についても調剤薬局のM&A成約件数や売りの案件数は増加しています。

調剤薬局の譲渡や事業継承を行う際は、M&Aに関する知識や経験だけでなく、調剤薬局業界に関して精通している必要があるため、M&Aの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。

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