M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年8月24日更新業種別M&A
製造業(メーカー)の動向とM&Aのメリット!流れや注意点と売却・買収事例19選を解説!【2024年最新】
本記事では、製造業(メーカー)のM&A・売却・買収についてまとめました。製造業のM&A最新動向や成功・失敗事例、積極買収企業を紹介します。また、M&A・売却・買収を成功させるポイントも解説しています。製造業のM&Aを検討中の方は必見です。
目次
製造業(メーカー)の概要
はじめに、製造業(メーカー)の定義とM&A・売却・買収の意味について確認していきましょう。
製造業(メーカー)とは
製造業(メーカー)とは、原材料を加工して新たな製品を作り、それを卸売する事業者(企業)のことです。
経済産業省では製造業を「新たな製品を製造してこれを卸売する事業所」と定義しており、原材料の加工・部品の組み立て・修理を行い、完成した製品を消費者ではなく事業者に対して販売する事業者(企業)が分類されます。
「製品の製造」と「卸売」の2要素を満たすのが製造業であるため、梱包作業や包装作業のみを行う場合は製造業には該当しません。
製造業は化学製品・電子機器・各種機械・食料品・衣料品など、経済産業省の中分類だけでも24種があり、小分類まで含めると非常に多くの業種があります。
製造業(メーカー)の分類
日本標準産業分類における製造業の中分類を以下に記します。中分類の下には小分類がたくさんあり、数えきれないほどの業種です。
日本標準産業分類における製造業の中分類 | |
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製造業(メーカー)の変遷
日本では、第二次産業である製造業(メーカー)は、1950~1960年代の高度経済成長期に発展を遂げ、国際的にも評価を受け高い競争力を持っていました。しかし、1990年代に入ると、世界各国との製造技術の差が徐々に埋まり、競争力を失ってしまった業種もあります。
その中で現在でも世界的に強い産業は、自動車業界です。特にトヨタは時価総額世界1位になるなど、衰えていません。しかし、かつては日本のお家芸的存在だった家電などの電化製品の分野は、中国や韓国などの低価格商品に押されてしまっています。
M&A・売却・買収とは
M&Aとは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称であり、事業や会社そのものの売買取引や企業間の組織再編行為の総称です。M&Aを実施する際には、状況に応じてスキーム(手法)を使い分けます。なお、資本提携は、資本の移動を伴うため広義のM&Aとされています。
製造業(メーカー)の動向
次は製造業(メーカ―)の近年の動向についてみていきましょう。
製造業(メーカー)の市場規模
経済産業省が公表した「2024年版ものづくり白書」によれば、2022年度の国内GDP総額は555.9兆円であり、製造業は全体の19.4%にあたる107.6兆円でした。
また、国内における2022年の製造業の一人当たり名目労働生産性は1031万円であり、前年の1077万円からは減少したものの、全産業の約1.2倍となっています。
製造業のうち大手企業は、2023年6月~2023年12月まで素材不足解消や円安の影響などで改善していたものの、2024年3月は悪化へ転 じました。中小規模の企業は、2023年12月にプラス水準まで一旦回復しましたが、 2024年3月には再びマイナス水準へと転じています。
参考:経済産業省「2024年版ものづくり白書」
人材不足
経済産業省「2024年版ものづくり白書」
出典: https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/index.html
2023年の製造業の就業者数は1055万人であり、2022年の1044万人から増加しています。全産業に占める割合をみると低下傾向で推移していますが、直近の2023年が15.6%であり、2022年の15.5%からは微増となりました。
年代別の就業者数をみると、製造業では若年就業者数が2012年頃まで減少が続いた後はほぼ横ばいで推移しており、2023年は259万人と25.0%程度となっています。製造業の新規学卒者数も近年は減少傾向が続いておることから、製造業では若年層の人材不足解消が大きな課題といえるでしょう。
参考:経済産業省「2024年版ものづくり白書」
無形固定資産への設備投資不足
経済産業省「2024年版ものづくり白書」
出典: https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/index.html
製造業は事業特性上から有形固定資産への投資額が高い水準で推移しています。その一方で、無形固定資産への投資額は有形固定資産に比べ水準は低いですが、近年は以前に比べると高くなってきており、2023年は2015年比で約7割の増加となりました。
無形固定資産への投資額のなかで特に増加しているのはソフトウェア投資額であり、2023年は前年比約3000億円増となる約1兆9000億なっています。
これはDX化やIoT化を目指す企業が増えてきたことが主な理由ですが、経済産業省の調査によれば有形固定資産への投資増は大企業が約8割が行ったのに対し、中小企業では5割を切っているのが現状です。
参考:経済産業省「2024年版ものづくり白書」
人材育成への問題
前述したように、製造業は若年層の人材割合が低く、団塊世代の技術者が引退に差し掛かっていることも考えると、人材育成や能力開発をどう進めていくかが企業の大きな課題です。
経済産業省の調査によれば、能力開発や人材育成について課題があるとした企業は2022年度時点82.8%であり、他業種より高い割合となっています。
課題の内訳で最も多かったのは「指導する人材不足」で61.8%を占めており、次いで「人材育成にかける時間がない」「育成しても離職しまう」となりました。
また、技能を次世代へ引き継ぐ取り組みとしては、「退職者から指導者を選抜して雇用延長あるいは嘱託による再雇用を行っている」と回答した企業が70.5%となっており、能力・スキルを持つ人材の育成と確保に対応していることがうかがえます。
製造業(メーカー)のM&Aの最新動向5選
この章では、昨今の製造業(メーカー)のM&A動向・ニュースを紹介します。大手・中小問わず活発な動きを見せていますので順番に見ていきましょう。
①大手企業は海外企業や工場へのM&Aを増やしている
少子高齢化などを原因に、国内の市場規模が縮小の一途を続けていることから、海外シェアの確保を目的に海外進出を図る大手企業が増加中です。製造業(メーカー)においても、同業種の海外企業や工場とのM&Aを果たし、着々と事業エリアを拡大しつつあります。
②大手企業による中堅企業へのM&Aが増加傾向
これまでは、複数の企業が製造した各部品を、組み立て・加工して製造されることがほとんどでした。しかし、グループ内で全ての工程を一貫しようと、大手企業による下請け企業の買収が進められています。
③関連業種へのM&Aの増加
近年は、関連業種とのM&Aによって、技術・ノウハウの共有を図る企業も増加の傾向です。特に、製造業(メーカー)においては、技術・ノウハウが物を言う業界であることも、M&Aが推し進められる一因と考えられます。
④ピラミッド構造を解決する買収も見られる
業界階層が明確になっているピラミッド構造においては、上下間においてはっきりとした距離があるため、意思伝達に時間がかかってしまい、スピーディーに行動できません。
特に、日本の製造業(メーカー)はピラミッド構造が顕著で、上層企業の思惑が下層企業まで正しく伝達されないといったデメリットが問題になっています。
⑤後継者問題を解決する事業承継も増えつつある
中小の製造業(メーカー)では、後継者問題を抱える企業が増加傾向にあります。業績を伸ばしていたとしても、後継者が不在のままでは事業を存続させられません。適任の後継者を探す手段として、M&Aを実施する製造業(メーカー)が増えています。
製造業(メーカー)M&Aが活況を迎える3つの背景
製造業(メーカー)でM&Aが活況を迎える背景については、下記のポイントが挙げられます。
①労働人口の減少による従業員・経営者の高齢化
全国的に少子高齢化が進むなか、企業全体の高齢化が進んでいます。経営者の高齢化は企業の経営に支障をきたすおそれがあり、後継者を見つけることが急務です。
大手企業の場合、内外問わず適任者をみつけることはそれほど難しくありませんが、地方の中小企業においては前々から準備をしておかなければなりません。
また、若い働き手不足の深刻化という問題もあります。製造業(メーカー)は専門的な技術力を必要とされるため、従業員の育成は一朝一夕というわけにもいきません。技術と経験を保有する人材確保という目的でも、M&A・売却・買収が推し進められています。
②受注単価の下落による経営難
製造業(メーカー)の受注単価下落によって、経営難に陥っている企業も増加傾向にあります。同業メーカーとの競合や値下げ交渉などが原因とされており、相次ぐ受注単価の下落によって、廃業・倒産という選択をとる製造業(メーカー)も少なくありません。
このような背景から、事業撤退や経営状態の回復を図るM&A・売却・買収の事例が多く見受けられるようになってきています。
③後継者はいないが廃業はしたくない
地方の中小企業では後継者問題が深刻化しており、事業存続の危機にひんしている企業が多くなっています。製造業(メーカー)は専門的な技術・ノウハウを必要とする業種であるため、後継者に問われる資質の高さという問題も影響しているようです。
そして、後継者不在による廃業を避けるための手段として、M&A・売却・買収を実施する製造業(メーカー)が増えています。
製造業(メーカー)のM&Aにおけるメリット
製造業(メーカー)のM&Aにおけるメリットを、売り手・買い手それぞれの観点で見てみましょう。
売り手側のメリット
売り手側のメリットとしては主に以下の4つが挙げられます。
後継者問題の解決
中小企業の場合、後継者問題があり事業承継が難しいケースもあるでしょう。M&Aは事業承継にも活用できる方法であり、買い手側が後継者の立場となり事業の存続が叶います。
M&A後、売り手側は買い手側の傘下となるため、大手企業とM&Aを行えば経営基盤の安定が図れ、さらなる事業拡大を見込める点もメリットです。
従業員の雇用維持
事業継続をせず廃業となれば、従業員は解雇しなければなりません。また、廃業には費用もかかるため、経営者にとっては精神的にも金銭的にも少なからず負担がかかるものです。従業員にとっても新しく仕事を探さなければならず、廃業は経営者・従業員ともに大きな影響を与えます。
M&Aの場合、自社(事業)を譲渡する際に従業員の雇用も引き継ぐことが可能です。従業員の雇用継続は手法によって変わり、株式譲渡のように権利・義務を包括的に承継する手法を用いた場合は自動的に買い手へ引き継がれ、事業譲渡の場合は個々に再契約を行うかたちで引き継ぐことができます。
売却益の獲得
売却益を獲得できることもM&Aのメリットです。M&Aの価額は基本的に売り手側の企業価値が高いほど高額になりやすいため、自社が高く評価されれば多額の売却益が得られる可能性もあります。
株式譲渡の場合は経営者(株主)が売却益を得るかたちとなるため、引退後の生活費として充てることや新事業の立ち上げ資金など自由に使うことができます。事業譲渡の場合は法人(企業)へ売却益が入りますが、経営者は退職金などのかたちで受け取ることも可能です。
個人保証からの解放
中小企業の経営者は、融資を受ける際に連帯保証を負っているケースが多いです。個人保証は親族や従業員への事業承継時には障壁となることも多く、廃業しても返済が済むまではそのまま残ります。
個人保証は経営者にとって大きな負担となりますが、M&Aの場合は株式譲渡などの包括承継であれば買い手側が引き受けるかたちとなるため、個人保証から解放される点が大きなメリットです。ただし、自動的に保証が外れるわけではなく、金融機関など融資元での解除手続きが必要となります。
買い手側のメリット
設備などのリソース活用
事業規模の拡大などを図る場合、製造業にとっては設備を充実させたり技術力を高めたりする必要がありますが、自社のリソースだけで進めていくにはコストと時間が必要です。
M&Aを活用すれば売り手側の設備・技術力・人材・販路などのリソースを取得できるので、時間とコストを大幅に削減することができます。
人材の獲得
慢性的な人材不足は、製造業界が抱える課題のひとつです。特に高い技術力を持つ人材は新規採用で一度に獲得することが難しく、また若手人材を一人前に育て上げるためには相応の時間を要します。
M&Aを活用すれば買い手側の人材を引き継ぐことができるので、新規採用や人材育成にかかる時間とコストを削減できるうえ、即戦力となる人材を一度に確保することも可能です。
事業の内製化
これまで外部に委託していた業務(事業)を手掛ける企業をM&Aで取得すれば、内製化が図れてコスト削減や業務スピード向上などの実現が可能です。
買い手側が自社のみで内製化を進めるとなれば、設備や人材などを整えなければならず、時間とコストがかかりますが、M&Aを活用することで効率的に事業の内製化を実現することができます。
新規事業への参入
新規事業を自社で立ち上げて軌道に乗せるまでにはコストと時間が必要であるうえ、失敗に終わるリスクもあります。製造業の場合、新たに事業を立ち上げるためには、工場や設備の準備、取引先・顧客の開拓、技術・ノウハウの確立などが必要です。
M&Aによって既に事業を行っている企業を取得すれば、これらのリソースを時間をかけずに得ることができるので、市場参入後にスムーズな事業展開が可能となります。
製造業(メーカー)のM&A流れ
M&Aの意思決定および目的の明確化
まずは自社の目標達成にはM&Aが本当に必要なのかを社内でしっかり検討することが重要です。M&Aは経営戦略を達成する手段として非常に有用ですが、リスクもあるためほかの手段があるかという点も含めてよく検討しておく必要があります。
そのうえでM&Aを行うことを決定したら、将来のビジョンなどを踏まえてあらためて自社の目的を明確化し、譲渡価額・売却時期などの希望条件をある程度定めておくとよいでしょう。
M&A仲介会社などの専門家に相談
M&Aは通常の事業運営と平行して交渉などの工程を行いますが、専門的な知識が必要で複雑な手続きも多いため、M&A仲介会社などの専門家へ支援を依頼すると効率的に進めていくことができます。
M&A支援を専門に手掛けるところはM&A仲介会社以外にもありますが、それぞれ得意な案件規模・得意業種・手数料体系・支援範囲などが異なるため、支援実績と併せて事前に公式ホームページなどで確認しておきましょう。
そして支援業務を依頼する専門家が決まったら、アドバイザリー契約と秘密保持契約を締結します。
M&A候補先の選定
M&A候補先への希望条件をM&Aアドバイザーに伝えておくと、事前に候補先企業を複数社リストアップした「ロングリスト」を作成してくれます。
そこから業種・事業内容・事業エリア・規模などの条件で数社に絞り込んだ「ショートリスト」を作成し、ショートリストの企業から想定されるシナジーなどを考慮して交渉を行いたい企業を選定するという流れが一般的です。
交渉を行う相手先を選定する際は、期待できるシナジーだけでなく、M&A後のPMIも想定して検討することが成功のポイントです。そしてM&A候補先が決まったらアドバイザーを介してM&A交渉についての打診を行います。
秘密保持契約の締結
M&A交渉を候補先へ打診する際は、「ノンネームシート」と呼ばれる資料を使用します。ノンネームシートとは、会社名など自社が特定され得る情報は伏せ、事業内容・財務状況・大まかな地域などをまとめた資料です。
ノンネームシートは秘密情報漏洩を防止するために用いるもので、相手先もM&A交渉に前向きであれば秘密保持契約を締結し、企業概要書を提出して詳細情報を開示します。
企業概要書には、会社名や所在地のほか、役員構成・主要取引先・財務情報・独自技術に関する内容などの秘密情報が含まれるため、開示前に秘密保持契約を締結し情報漏洩防止に務めることが重要です。
トップ面談
トップ面談では、売り手側企業と買い手側企業の経営者(オーナー)同士が顔を合わせ、経営理念や将来のビジョン、互いの人柄などを確認します。
相互理解を深めて信頼関係を築くことがトップ面談の大きな目的であるため、一般的にこの場で価額などの具体的な交渉は行われません。また、売り手側が自社工場を持っている場合などは、現地の見学なども行うこともあります。
面談後、買い手側企業がM&A(譲受)に前向きな意向であれば、売り手側企業へ「意向表明書」が提出されることが多いです。ですが、意向表明書の提出は必須でないため、省略される場合もあります。
基本合意書の締結
トップ面談後は、譲渡価額・条件・使用するM&Aスキーム・スケジュールなど細かな部分の交渉を進め、両社がその内容に大筋で合意した段階で基本合意契約を締結します。
基本合意書はM&Aの意思確認およびその時点で取り決めた内容の確認という意味合いが大きく、基本合意書そのものに法的拘束力はありません。
ただし、独占交渉権の付与やデューデリジェンスに関する内容は、例外的に法的拘束力を持たせるケースが多いです。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、基本合意締結後に買い手側企業が行う買収監査のことです。デューデリジェンスでは売り手側企業の財務・法務・人事・ITなどの方面から、買収リスクの有無および程度、事前開示情報の正確性などを専門家が調査します。
買い手側企業はデューデリジェンスによってM&A実行可否や価額の妥当性を判断するため、大きな問題やリスクが発覚した場合はM&A交渉が中止となるケースもあります。
最終交渉・最終契約書締結
デューデリジェンスの結果、買い手側企業がM&A(買収)実行を判断したら最終交渉へと進み、取り決めた内容すべてに両社が合意した時点で最終契約を締結します。
最終契約書は記載事項すべてに法的な拘束力があるため、締結後の一方的な破棄あるいは内容変更は原則認められないので、締結前にしっかり内容を確認しておくことが重要です。
クロージング
クロージングは、M&A対象の経営権を買い手側へ移転し、対価の決済手続きを行う工程です。必要な手続きは使用したM&Aスキームによって多少違うため、事前にアドバイザーへ確認しておくとよいでしょう。
クロージングを実行するには売り手側が最終契約で取り決めた前提条件(クロージング条件)を満たしていなければならないため、通常は最終契約締結から一定期間を空けてクロージング日を設定します。そして、このクロージング実行によって法的にM&Aの有効性が認められ、M&A取引は完了です。
製造業(メーカー)のM&Aでの注意点
ここでは、製造業(メーカー)のM&Aで注意すべき5つのポイントについて説明します。
①計画的に準備を行う
M&Aを成功させるためには入念な準備が必要不可欠です。M&Aのスキームや取引相手の選定基準などを初期段階ではっきりさせておきましょう。これらを怠ると、その後の方向性を統一できず、結果的にM&Aが失敗に終わってしまう可能性が高くなります。
②自社の企業価値をM&A先に伝える
M&Aでは、自社の適切な企業価値を取引先に伝えなければ、交渉段階に進めません。特に、製造業(メーカー)では保有する技術力が企業価値に大きく影響するため、専門家による査定でなければ適切な企業価値を算出することが難しい特徴があります。
③M&Aを行う理由を明確にする
製造業(メーカー)がM&Aを行う理由には、後継者問題の解消・人的資源の確保・事業規模拡大・技術の共有など、さまざまなものが挙げられます。
取引先の選定や交渉において、何を重視するのか曖昧な状態でM&Aを進めてしまうと、想定していた結果を得られない可能性が高くなるため、M&Aを行う理由を明確にしておきましょう。
④従業員や取引先への情報開示は成立後にする
M&Aは企業の行末を大きく変えるものです。上場企業であれば世界的な影響を与えることも多く、M&Aを検討している事実は成立直前まで非公開にしておくことが原則とされています。
また、中小企業においても中途半端な形で情報が漏洩してしまうと、従業員や取引先に動揺を与える可能性も考えられるため、情報開示はM&A成立に行うようにしましょう。
⑤M&Aの専門家に相談する
M&A・売却・買収は、多数の専門的な手続きや取引先との交渉を行う必要があります。事業と並行しながら話し合いを進めていくのは、譲渡・譲受両者に多大な負担がかかってしまうでしょう。
M&Aの専門家は、M&Aに必要となる手続きの代行や、交渉の仲介などのアドバイザリー業務を請け負っています。また、適切なアドバイスも受けられるので、製造業(メーカー)のM&A・売却・買収を円滑に進めるためには、M&Aの専門家に相談するのが得策です。
製造業(メーカー)のM&A案件一覧
本章では、弊社で取り扱っている製造業(メーカー)の主なM&A案件をご紹介します。
特殊性の高い工業用ラベルシール印刷製造業
自動車部品や電機部品に貼付するラベルシール印刷製造を手掛ける企業のM&A案件です。長年にわたる実績から、営業活動を行わずとも継続的な受注が可能です。
特に大手自動車メーカーとは、本来の窓口である調達部門から依頼される見積や試作に先んじて、設計部門に対し設計段階や試作段階からの提案を行うことで優位に量産受注を獲得しています。
エリア | 岐阜県 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不足(事業承継) |
本M&A案件の詳細は、以下のリンクからご覧ください。
【関西/純資産以下の株価】繊維資材と繊維製品の製造
繊維資材製造(主にアパレル・寝具)と繊維商品製造の2事業を展開している企業のM&A案件です。繊維資材の製造を一気通貫で対応できることに加え、OEM/ODM製品にも対応可能です。自社ブランド開発も積極的に行っています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望理由 | 後継者不足(事業承継) |
本M&A案件の詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。
製造業(メーカー)のM&A事例
M&Aは必ず成功するわけではなく、大成功もあれば失敗に終わってしまうケースもあります。この章では、製造業(メーカー)のM&A成功・失敗事例をみていきましょう。
製造業(メーカー)のM&Aの成功事例17選
まずは、製造業(メーカー)のM&A成功事例を紹介します。
MUTOHホールディングスによるニッポーの買収
2024年8月、業務用大判プリンタ製造メーカー最大手のMUTOHホールディングスは、東京都世田谷区のニッポーを子会社化すると発表しました。
子会社となるニッポーは、3Dプリンタや事務用機械器具の製造・販売等を手掛けており、MUTOHホールディングス販売の3Dプリンタ(一部製品)OEM委託企業です。
今回のM&Aにより、MUTOHホールディングスは3Dプリンタ事業における開発リソースを強化し、製品ラインナップを拡充させて市場競争力をの向上を図るとしています。
参考:ニッポー株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
東洋電機によるアドヴァンコーティングの買収
2024年8月、省エネ技術製品やCO2削減製品の提供などを行う東洋電機は、愛知県豊明市のアドヴァンコーティングを子会社化すると発表しました。
子会社となるアドヴァンコーティングは、プラスチックや金属部品の溶剤塗装および粉体塗装と組立を手掛けており、コーティング技術の高さに定評がある企業です。
東洋電機はアドヴァンコーティングの高いコーティング技術は、製品の競争力強化につながると判断し今回の子会社化に至りました。
参考:株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ
大塚製薬による米Jnana Therapeutics Inc.の買収
2024年8月、大塚製薬はアメリカの子会社を通じ、Jnana Therapeutics Inc.を子会社化すると発表しました。子会社となるJnana Therapeutics Inc.は医薬品の研究開発を手掛ける企業で、JNT-517(腎臓のアミノ酸再吸収を制御するタンパク質への低分子阻害剤)の開発に成功しています。
今回の子会社化はJnana Therapeutics Inc.の創薬技術およびJNT-517獲得が目的です。大塚製薬はアンメットメディカルニーズのポートフォリオ拡大を目指すとともに、世界で最重要とされるバイオクラスターのひとつボストンエリアの研究開発を強化していくとしています。
なお、本M&Aはアメリカでの必要な手続きを行い、2024年度第3四半期中に完了予定です。また、M&A後は開発品の進捗に応じたマイルストンとして最大3億2500万アメリカドルを支払うことで合意しています。
参考:「Jnana Therapeutics社」の買収について - フェニルケトン尿症(PKU)のファースト・イン・クラスの経口治療薬となる可能性のある JNT-517 を含むスペシャルティ・自己免疫領域のポートフォリオと創薬技術を拡大
ポエックによるアイエススプリンクラーの子会社化
2024年7月、ポンプ・空調機などの製造販売や設計施工を手掛けるポエックは、和歌山県橋本市のアイエススプリンクラーを子会社化すると発表しました。
子会社となるアイエススプリンクラーは、消火用スプリンクラーヘッドの製造を手掛ける企業です。同社が製造する製品は衝撃への強さや誤動作のない点が高く評価されており、あべのハルカス・虎ノ門ヒルズ・東京ミッドタウン八重洲などの高層ビルに多く採用されています。
ポエックは、自社の主力製品であるスプリンクラー消火装置「ナイアス」とアイエススプリンクラーの製品を組み合わせることで、新たな市場ニーズの発掘や販路の開拓につなげる狙いです。
参考:アイエススプリンクラー株式会社の株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ
三菱電機によるAIRCALOの買収
三菱電機株式会社は、2024年4月2日にフランスの水空調事業を手掛ける会社、AIRCALOの全株式を取得しました。本件取得は、三菱電機の100%子会社であるイタリアのバッサーノ市に拠点を置く空調機器製造・販売会社、Mitsubishi Electric Hydronics & IT Cooling Systems S.p.A.と、オランダのアムステルダム市にあるもう一つの子会社、Mitsubishi Electric Europe B.V.を通じて行われました。
三菱電機ヨーロッパは、自動車機器、空調冷熱機器、半導体、FA機器、映像情報機器などの販売および重電エンジニアリングと資材調達を担当する欧州総合販売会社です。一方、AIRCALOは空調製品の製造と販売を専門としています。
三菱電機は欧州市場での水空調事業を強化するため、フランスの空調会社AIRCALOを買収しました。AIRCALOは、長年の実績と高い市場シェアを持ち、特に空調機器のFCU(Fan Coil Units)やAHU(Air Handling Units)分野で強みを持っています。また、彼らの広い製品ラインアップと各プロジェクトに合わせたカスタマイズ能力が、三菱電機の製品とサービスを強化します。
この買収により、三菱電機は環境に配慮した製品をより多くの欧州顧客に提供し、カーボンニュートラル実現に向けて貢献することが可能になります。
アリナミン製薬による日本製薬の買収
アリナミン製薬株式会社(東京都千代田区)は、2024年4月1日に、武田薬品工業株式会社の完全子会社である日本製薬株式会社(大阪府泉佐野市)の全株式を取得することを決定しました。この株式取得は2024年7月1日に完了する予定で、武田薬品との間で株式譲渡契約が締結されています。
日本製薬がアリナミン製薬グループの一部となることで、グループ全体の医薬品製造技術が向上します。この合併により、アリナミン製薬の主力商品であるアリナミンVドリンクなどのミニドリンク剤の生産と販売が一体となり、顧客のニーズに迅速かつ的確に対応できる体制が整います。
アリナミン製薬の完全子会社として、日本製薬は事業を続けます。アリナミン製薬とそのグループ会社と協力し、高品質な製品とサービスを提供することで、顧客の充実した日常生活を支えることを目指します。この取引による従業員の雇用に影響はありません。
コマツによる米American Battery Solutionsの買収
2023年11月、建設・鉱山機械の大手メーカーであるコマツはアメリカの子会社を通じ、American Battery Solutions, Incを買収すると発表しました。
傘下となるAmerican Battery Solutions, Incは、産業用車や商業者向けのリチウムイオンバッテリーの製造・開発を手掛けるアメリカのメーカーです。
今回のM&Aは、鉱山・建設機械のバッテリー生産および開発の最適化が目的です。コマツはAmerican Battery Solutions, Incをグループに加えることで既存事業の強化および電動化事業の拡大を目指すとしています。
参考:カーボンニュートラル実現に向けた電動化事業の加速- 米国 American Battery Solutions社を買収
オーイズミによるバブルスターの買収
2022(令和4)年4月、オーイズミは、バブルスターの全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。オーイズミは、遊技機関連装置・機器と遊技機の製造・販売、不動産の賃貸・管理などを行っている企業です。
バブルスターは、健康食品の製造・販売、食品の輸入・卸販売を行っています。オーイズミは、グループ会社6社の体制で太陽光発電、ゲームソフト開発、酒類醸造、農産物加工食品製造などを手掛けており、シナジー効果を狙ってバブルスターを傘下に加えました。
リベルタによるファミリー・サービス・エイコーの買収
2022年4月、リベルタは、ファミリー・サービス・エイコーの86.8%の株式を取得し子会社化しました。取得価額は公表されていません。リベルタは、美容・日用雑貨商品・機能衣料の企画・販売、輸入腕時計日本総代理店、PRマーケティング企画などを行っています。
ファミリー・サービス・エイコーは、医療機器・浄水器・歯ブラシ・除菌装置などの製造・販売を行っている企業です。リベルタとしては、ファミリー・サービス・エイコーをグループに加えることで、商品ジャンルの拡充を実現しました。
レンゴーによる永井鉄工の買収
2022年3月、レンゴーは、永井鉄工の全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。レンゴーは、段ボール、段ボール箱、紙器、その他紙加工品などの製造・販売を行っている企業です。
永井鉄工は、製紙関連機械の設計・製作・組立、制御システムの開発などを行っています。レンゴーとしては、永井鉄工を傘下に加えることで、グループの技術開発力向上を図る考えです。
四国化工機によるセントラル機械商事の買収
2022年3月、四国化工機は、セントラル機械商事の全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。四国化工機は、充填包装機器の設計・製造・販売、食品用包装資材の企画・製造・販売、大豆加工食品の製造・販売などを行っています。
セントラル機械商事は、各種機械装置や画像処理装置などの製造・販売メーカーです。後継者不在だったセントラル機械商事から事業承継の提案があり、四国化工機としてもシナジー効果が得られると判断し株式譲渡が成立しました。
マミヤ・オーピーによるシャフトラボの買収
2022年3月、マミヤ・オーピーは、シャフトラボの全株式を親会社のイーシー都市開発から取得して完全子会社化しました。取得価額は2億円です。マミヤ・オーピーは、電子機器・スポーツ用具の製造・販売、不動産事業などを行っています。
シャフトラボは、ゴルフシャフトの製造・販売、遮断桿の製造を行っている企業です。マミヤ・オーピーとしては、グループ内におけるスポーツ用品事業をカーボンシャフト事業に集中させる狙いがあります。
日工による宇部興機の買収
2022年3月、日工は、宇部興機の全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。日工は、土木用プラント・建設機械などの製造・販売を行っている企業です。宇部興機は、鋼構造物・産業機械の設計・製作・据付・設備保全などを行っています。
日工としては、グループで行っている環境リサイクル事業で新たなシナジー効果を生み出し、新規事業の拡大を図る方針です。
あいホールディングスによるナノ・ソルテックの買収
2022年2月、あいホールディングスは、ナノ・ソルテックの株式99.286%を取得して子会社化しました。取得価額は公表されていません。ナノ・ソルテックは、半導体製造・検査装置の新製品・中古装置の販売・メンテナンスを行っています。
あいホールディングスは、セキュリティ機器・カード機器・事務用機器・情報機器・計測機器の製造・販売、耐震診断・耐震構造設計事業、脱炭素システム事業、IoT推進事業などを行うグループの持株会社です。新たに半導体装置業界への参入を目的にM&Aを実施しました。
双日によるマリンフーズの買収
2022年2月、双日は、マリンフーズの全株式を親会社の日本ハムから取得して完全子会社化しました。取得価額は約265億円です。マリンフーズは、水産加工品の製造・販売、水産原料の輸入販売を行っています。
双日は、自動車関連事業、航空・交通プロジェクト事業、インフラ・ヘルスケア事業、金属・資源・リサイクル事業、化学事業、生活産業・アグリビジネス事業、リテール・コンシューマーサービス事業を行っている企業グループです。
双日としては、自社グループのグローバルネ ットワークやリソースと、マリンフーズの顧客基盤・商品開発・加工機能を組み合わせることにより、アジアや北米での海外展開を強化する目的があります。
レンゴーによるヒロパックスの買収
2022年2月、レンゴーは、ヒロパックスの全株式を取得して完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。レンゴーは、段ボール、段ボール箱、紙器、その他紙加工品などの製造・販売を行っている企業です。
ヒロパックスは、段ボールケース、化成品(プラスチック真空成形品)、ラベル・シール印刷物の製造・販売を行っています。レンゴーの目的は、ヒロパックスの化成品、ラベル・シール事業を活用し、幅広い包装ニーズに対応できるようにすることです。
JT(日本たばこ産業)による海外たばこ事業の買収
1999(平成11)年5月、JT(日本たばこ産業)による米RJRナビスコの海外たばこ事業の買収が行われました。積極的なブランディングを行うことで売上を大きく向上させることに成功し、海外市場の売上を従来の約10倍と大躍進を遂げたのです。
製造業(メーカー)のM&Aの失敗事例2選
製造業(メーカー)のM&A失敗事例として、以下の2件を紹介します。
パナソニックによる三洋電機の買収
2011(平成23)年4月、家電世界最大手のパナソニックが三洋電機を買収しました。三洋電機はリチウムイオン電池世界シェア首位として知られている企業でしたが、買収後に円高などの環境悪化によりリチウムイオン事業はその価値を大きく下げてしまうことになります。
その後も経営不振が続き、わずか2年の間に三洋電機の価値は完全にゼロとなり完全消滅という結果になりました。
富士通によるICLの買収
1990(平成2)年11月、富士通による英国の国策IT企業ICLの買収が行われました。この買収は、当時、激しくなっていたコンピュータ業界の販売競争を勝ち抜くため、拠点エリアを確保するという意味合いで行われています。
そして、電算機分野において世界2位となるも、その後は業績不振が続き、2007(平成19)年には2,900億円の評価損を計上する結果となりました。
電子機器・回路基板・部品製造のM&A・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
製造業(メーカー)のM&Aの価格相場
ここでは、製造業(メーカー)のM&Aにおける、大まかな価格相場の計算方法と、企業価値評価(バリュエーション)の際に用いられる手法の概要を説明します。
大まかな価格相場
簡易的にM&Aでの相場価格を算出する場合は、以下の計算式を用います。あくまでも目安を知る場合の計算方法です。
- 時価純資産額+営業利益×2~5年分
時価純資産額とは、貸借対照表の資産と負債を時価に換算し、資産額から負債額を引いたものです。また、各社の業種の特性(参入障壁の高低など)や希少価値性(優れた技術力や特許権の所有など)が異なるため、営業利益に掛け合わせる係数は変動します。
企業価値評価の手段
M&Aでの金額交渉を行う際にベースとなるのは、売り手企業に対する企業価値評価で得た算定額です。企業価値評価には数多くの専門的な算定方法があり、それらは以下の3つの体系に分類されています。
- コストアプローチ:純資産額を基に企業価値を算定
- マーケットアプローチ:市場取引額に基づいて企業価値を算定
- インカムアプローチ:将来的な収益を考慮して企業価値を算定
M&Aの現場で多く用いられているのは、インカムアプローチの1つであるDCF(Discounted Cash Flow)法です。また、企業価値評価を行う際は、どれか1つの算定方法だけと決まっているわけではなく、複数の算定方法を併用し複合的に判断することもよくあります。
製造業(メーカー)の売却の流れや価格算定方法については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
M&A総合研究所の製造業のM&A事例
ここでは、M&A総合研究所がサポートさせていただいた製造業のM&A事例を3つご紹介します。
製造業同士の事例
譲渡企業は、フレコード株式会社です。本社を埼玉県朝霞市に置き、アクリル樹脂・アクリルシートの加工を手掛けています。
譲受企業は株式会社スター・レジンです。本社を東京都目黒区に置き、合成樹脂にかかわる材料・加工品を総合的に手配・販売を行っている会社です。
本件M&Aの目的は、譲渡側では自身の年齢を考えた際の不安、従業員の雇用取引と取引先を守るためです。譲受側では、樹脂加工を中心に製造から販売までトータルサポート可能な企業群を構成するためにM&Aを実施しています。
本件M&A事例の詳細は、以下のリンクからご覧ください。
製造業×卸売業の事例
譲渡企業は、株式会社ジャストプロダクツです。本社を愛知県に置き、配電盤・制御盤で使用される銅部品の製造業を手掛けています。
譲受先は、株式会社エイシンインターナショナルです。本社を大阪府に置き、国内・海外メーカーの配電制御機器、特殊用途配電制御機器及び機器用パーツ、資材の輸出入、販売を行っている会社です。
本件M&Aの目的は、譲渡側では会社の成長の加速化です。譲受側では、製造領域への事業領域拡大を目的にM&Aを実施しています。
本件M&A事例の詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。
製造業×建設業の事例
譲渡企業のD社は、本社を関東甲信越に置く企業です。シャッターの製造・卸販売を手掛けています。
譲受企業のK社は、本社を東京都に置く企業です。電気設備工事・防災設備工事・設計施工が主な事業内容です。
本件M&Aの目的は、譲渡側では事業拡大のためです。譲受側では、取り扱い商品の拡大のためにM&Aを実施しています。
本件M&A事例の詳細は、以下のリンクからご覧ください。
製造業(メーカー)を積極的に買収する企業5選
こちらでは、製造業(メーカー)を積極的に買収している企業を紹介します。実際の買収事例を交えながらみていきましょう。
①丸紅
丸紅は、大手総合商社として知られており、幅広い事業を手掛けている大手グループです。2020(令和2)年1月には、中国・米国・ドイツを拠点に電気自動車の開発・販売を行っているBYTONとの資本業務提携をしました。
BYTONの電気自動車事業を支援することで、低環境負荷のモビリティサービスの発展を目指し、該当事業の拡大を図るとしています。
②村田製作所
村田製作所は、電子部品メーカーとして世界トップレベルに位置している企業です。2019(令和元)年12月に3D触力覚技術で知られているミライセンスの買収を行いました。
3D触力覚技術とは、脳を錯覚させる技術でさまざまな触覚を表現できるもので、VR/AR技術の発展に大きく貢献するといわれています。村田製作所とミライセンスが保有する技術を共有することで、独自性のある製品・サービスの開発を進める方針です。
③日本電計
日本電計は、電子計測機器の販売・開発を行っている電子機器メーカーであり、2020年1月にに新栄電子計測器を買収しました。新栄電子計測器は、太陽光発電の開発・メンテナンスなどシステムハウス事業分野において、高い技術力を保有している企業です。
今回の買収によって、日本電計のシステムハウス事業分野のさらなる強化を図るものとしています。
④丸一鋼管
2020年4月、鋼管の製造・販売メーカーである丸一鋼管は、神戸製鋼所の子会社であるコベルコ鋼管を買収しました。コベルコ鋼管は、配管、熱交換用の継目無ステンレス鋼管を始め、精密細管、異形管などの製造も行う鋼管メーカーです。
丸一鋼管の鋼管事業において、さらなる強化が見込まれ、国内外での成長が期待されます。
⑤ヤギ
繊維専門商社として知られているヤギは、2019年11月にヘルスケアベンチャー企業のDream boxを買収しました。
Dream boxは2018(平成30)年に設立されたばかりの企業ですが、フィットネス物販や健康サブスクリプションなどの事業分野において好業績を出している企業です。今回の買収によって、ヤギはヘルスケアの事業領域の強化・拡大を図るものとしています。
製造業(メーカー)のM&Aにおすすめの相談先
製造業(メーカー)のM&A・売却・買収の相談先には、地元の金融機関や公的機関、税理士・弁護士事務所などの候補がありますが、これらの機関・事務所はM&A仲介を主たる事業として行っているわけではありません。
特に、製造業(メーカー)という専門的な知識が必要されるケースでは、M&A仲介会社のように製造業(メーカー)に造詣があり、M&Aの豊富な経験と知識を兼ね備えていることが必要不可欠です。
ただし、昨今はM&A仲介会社も急増しており、どの会社にするか選定に困るかもしれません。そのような場合には、M&A総合研究所にご連絡ください。
M&A総合研究所には、知識と経験が豊富なアドバイザーが在籍し、培ったノウハウを活かしてM&Aをフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、製造業(メーカー)のM&A・売却・買収をご検討の際は、お気軽にご連絡ください。
製造業(メーカー)のM&Aについてまとめ
製造業(メーカー)は独自の技術を保有する企業も多く、大手・中小問わずM&Aの需要の広がりを見せており、この傾向は今後も拡大していくものと考えられます。M&Aを実施する際は、M&A仲介会社などの専門家に任せれば安心です。本記事の概要は以下のようになります。
・製造業(メーカー)のM&A動向・ニュース
→大手企業は海外企業や工場へのM&Aを増やしている
→大手企業による中堅企業へのM&Aが増加傾向
→関連業種へのM&Aの増加
→ピラミッド構造を解決する買収も見られる
→後継者問題を解決する事業承継も増えつつある
・製造業(メーカー)でM&Aが活況を迎える背景
→労働人口の減少による従業員・経営者の高齢化
→受注単価の下落による経営難
→後継者はいないが廃業はしたくない
・製造業(メーカー)をM&Aする際に成功させるポイント
→計画的に準備を行う
→自社の企業価値をM&A先に伝える
→M&Aを行う理由を明確にする
→従業員や取引先への情報開示は成立後にする
→M&Aの専門家に相談する
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。