運送業の事業承継【事業承継方法や運送業界の現状を解説します。】

運送業界は需要が高まる中、競争も激しくなってきています。それを勝ち抜き将来を見据えて安定した経営を実践するためには、事業承継が定まっていることが肝要です。運送業の現状分析とともに、事業承継の具体的な方法について掲示します。

業種別M&A

2020年2月26日更新

目次
  1. 運送業の事業承継
  2. 運送業界とは
  3. 運送業の事業承継・親族内承継
  4. 運送業の事業承継・親族外承継
  5. 運送業の事業承継・M&Aによる事業承継
  6. 運送業の事業承継を成功させるには
  7. まとめ

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運送 物流のM&A・事業承継

運送業の事業承継

国内の中小企業全業種で、後継者不足による事業承継問題が表面化しています。それは、運送業界も例外ではありません。経営者の高齢化が進行していく中、従来であれば身内である親族が後継者となって経営が引き継がれていたことが、実現されなくなってきているのです。

その原因は、日本で進行している少子化にほかなりません。中小企業の経営者個人が、少子化問題に太刀打ちはできないでしょう。しかし、だからと言って事業承継問題に手をこまねいていては、自身の引退とともに会社を廃業するしか道がなくなってしまいます。

事業承継には、親族に後継者がいない場合でも第二、第三の手段があります。運送業の実状と重ね合わせながら、有効な事業承継方法を探っていきましょう。

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事業承継の方法

運送業界とは

まずは、2020(令和2)年2月時点における、運送業の実態について確認していきましょう。運送業界そのものの現状と課題、今後の展望と、実際の事業承継の状況について、明らかにします。

①運送業界の現状

少子高齢化による人口減少が進行している日本では、国内の各産業において市場規模縮小が危惧されています。そのような状況下、運送業界では、インターネット通販の活発化による宅配業の需要が高まりを見せ、人手不足が強く叫ばれるほど活況な状態です。

このように運送業界全体としては、業績も順調で問題なく見えます。しかし、運送業界において大多数を占める中小業者間では、活況であるがゆえに過当競争が発生しています。中小業者の場合、運送業務は二次請け以降の下請け仕事であることがほとんどです。

二次どころか三次、四次、五次ということさえあります。つまり、利益率がよくありません。その中で、同業者同士によるサービス競争=価格競争となるため、さらに利益率が低下したり、あるいはドライバーの業務に負担がかかっていきます。

運送業界は参入障壁が高くないこともあり、毎年約1,000社ほど新規参入事業者があります。そして、ほぼ同数の事業者が撤退していくそうです。運送業界内の過当競争が価格競争となり、会社の利益率を圧迫させることによって資金繰りが悪化するという構図なのでしょう。

資金に余裕がないため、本来であれば好条件を提示して確保したい人材も、思うように雇用ができないという悪循環に陥ってしまいます。その結果、高齢化していく既存ドライバーの長時間労働という問題も生じます。

このように、運送業界の全体像としては活況感があるものの、大手企業と中小企業間の経営格差が改善されていかないと、真の業界の好況とは言えない実態が横たわっています。

②運送業の事業承継動向

運送業は、その成り立ちの歴史から、中小企業の場合、すでに経営者が二代目や三代目であることが多く、その分、事業承継に対する理解や準備がなされています。しかし、事業承継を重要視するあまり事業承継に力を入れ過ぎてしまい、本業に集中できていないケースがあります。

事業承継の準備として後継者教育などに力を入れるのは素晴らしいことですが、事業承継への対策と本業への取り組みのバランスが、該当者の場合の課題です。また、事業承継の手段ともなるM&Aは、過当競争の中の会社の生き残り策としても視野に入れなくてはいけません。

大企業が業界再編をしながら全国的な物流サービスを展開している今、中小運送業者が独力で生き残ることは難しくなっています。必要に応じて、事業承継だけでなくM&Aの活用を検討することも、今後の運送業者には必要な選択肢です。

従って、中小規模の運送業者においては、事業承継は経営の見通しとの二本立てで検討し対策を講じていくべき状態にあると言えるでしょう。

③運送業の課題

上述したとおりの現況である運送業について、ここにあらためて課題を以下に掲示します。

  • 運送業に携わる人材(ドライバー)の高齢化
  • 働き方改革によるドライバーの運転時間規制
  • 育成の難しさ
  • 運送業に携わる人材採用の困難さ

運送業にとって危急の課題は、全て人材(ドライバー)問題に集約されています。この課題を克服していく対策なしに、事業承継は実行できないとも考えられます。

④運送業今後の期待

中小企業の運送業者にとって難しい課題はありますが、運送業全体を考えると、今後の展望に向けて期待できる要因は以下のように、いくつか挙げられています。

  • 各震災復興工事にまつわる建設資材輸送のニーズ継続
  • 宅配サービス市場のさらなる拡大
  • 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)のさらなる進展

これだけの要因があるわけですから、運送業界の過当競争のしわ寄せを受けないで済む経営戦略を取ることができれば、展望は自ずから開けるでしょう。

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事業承継における問題

運送業の事業承継・親族内承継

それでは、具体的に運送業における事業承継を進めるための方法を見ていきましょう。まずは、多くの中小企業経営者にとって、基本的なスタンスである身内、親族への事業承継についてです。

①親族内承継の特徴

親族内承継とは、運送業を営む経営者の家族や親戚に会社を引き継がせる方法です。親族内の事業承継で後継者候補の一番手となるのは、息子や娘、娘婿でしょう。しかし、少子化のために後継者となる子供がいない場合も少なくありません。

子供自体がいない経営者もいますが、子供がいてもすでに別の道で仕事をしており、後継者となる気がないというケースもあります。いずれにしろ、その場合、二番手の後継者候補として親類に目が向けられます。経営者の兄弟姉妹やその配偶者、または甥や姪などです。

経営者自身が二代目、三代目として親から事業承継してきた場合、やはりどうしても親族から後継者を出したいと考えるのが人情なのでしょう。

②親族内承継のメリット

親族に事業承継を行う場合、他の事業承継の方法にはないメリットがあります。ここでは、特に2つのメリットを掲示します。

周囲からの理解を得やすい

経営者自身の子供などを後継者にする場合、従業員や取引先などからの理解は得やすいはずです。小規模の運送業者ならば、後継者である子供について周囲がすでによく知っているケースも多いでしょう。

つまり、よく知られている身内が後継者になることは、関係者からは抵抗感を持たれず受け入れられやすく、事業承継後の運送業の経営も特に支障がなく行える可能性が高いと言えます。

後継者教育に多くの時間を費やせる

親族内承継が実施できるケースでは、早くから後継者が定まっているということになります。従って、現実に経営者が引退し事業承継するのは、まだまだ先のことです。それまでの期間、十分に時間をかけて後継者教育ができるのは、大きなメリット以外の何ものでもありません。

後継者が中々見つからず、経営者の引退直前にやっと事業承継の目途が立ったような場合と比べれば、盤石の準備をして引退し事業承継することとの差は歴然です。

③親族内承継のデメリット

親族内承継にもデメリットはあります。それは、親族だからといって、必ずしも経営者としての素質があるとは限らないことです。後継者教育によって、運送業に必要なノウハウやスキルは伝えられるかもしれません。しかし、経営者には決断力、ビジネススキルが必要です。

人には向き不向きということがあります。何かに優秀であることと、経営者の適性とは別なものです。その点を全く考慮せず、親族であるという理由だけで事業承継を決めてしまった場合、もし後継者が適任でなかったら、事業承継後に運送業の業績が悪化する恐れもあります。

④親族内承継成功のポイント

親族による運送業の事業承継を成功させるためには、後継者としての質を見極めるのが重要です。仮に子供が複数いる場合、日本人であると「長男だから」という理由で後継者を選ぶ傾向があります。しかし、これでは、不確実性の高い事業承継です。

あくまでも後継者選びは、経営者としての資質、運送業に関する興味や知識の有無などで決定しましょう。ある意味では、何でも長子を優先する考え方は思考停止とも言え、親としても正しくない姿勢かもしれません。

また、後継者教育には、多くの時間を費やす必要があります。一般的には、後継者が育つには最低10年が必要とも言われています。経営者も後継者もその覚悟を持ち、時間を惜しまず運送業に必要なノウハウや知識、経営能力を習得させましょう。

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運送業の事業承継・親族外承継

運送 物流のM&A・事業承継
運送 物流のM&A・事業承継

続いての運送業における事業承継は、親族外承継です。親族外承継を広義で解釈するなら、親族以外の第三者への事業承継となります。しかし、ここでは同じ第三者でも、顔なじみの第三者への事業承継を親族外承継と位置付けます。

①親族外承継の特徴

親族外承継を言い換えるなら社内承継です。つまり、社内の従業員もしくは役員を後継者として、運送業を引き継ぐ方法になります。従来から、親族内に運送業を引き継ぐ人がいない場合の次善の策として、親族外承継を用いられてきました。

身内であれば経営者から会社の株式を相続することで事業承継しますが、親族外承継の場合、基本的には後継者となる従業員または役員が、経営者から株式を買収する形で事業承継を成立させます。

役員が買収する方法をMBO(Management Buyout)、従業員が買収する方法をEBO(Employee Buyout)と言います。近年、運送業界では、親族内承継に加えて親族外承継が主要な選択肢となりつつあります。

②親族外承継のメリット

社内の人間への事業承継である親族外承継には、それであるからこそのメリットが存在します。親族外承継の2つのメリットを見てみましょう。

従業員のモチベーションが高まる

特に従業員が運送業を事業承継した場合、一介の従業員であった立場から経営者になることは光栄で誉れ高きことであり、責任も重大ですが後継者のモチベーションは高まるでしょう。これまで頑張ってきた本人にとって、最高の栄達と感じているはずです。

また、他の従業員にとっても、仲間が新たな経営者となることで、今まで以上に建設的な態度で業務や会社に向き合うことが期待されます。

後継者の質が担保できる

社内承継である親族外承継のメリットとして特筆できるのは、複数いる従業員・役員の中から、最も最適な事業承継相手を選べることです。運送業のことを知り尽くし、部下をマネジメントするような立場も経験してきている人材がいるなら、後継者として全く申し分ありません。

③親族外承継のデメリット

親族外承継の場合も、やはりメリットだけというわけにはいきません。親族外承継の場合でも気を付けなければいけないデメリットがあります。注意しておいてください。

後継者の資金力が乏しい

運送業の親族外承継で事業承継を完遂させるには、後継者が経営者から株式を買収する必要があります。その買収資金には、一定のまとまった金額が必要です。早い段階から事業承継が決まっていれば、資金を準備する時間があるかもしれません。

しかし、急に親族外承継が決まったようなケースでは株式買収資金などがなく、人材としては後継者に適任ながら、事業承継の手続きが手詰まりとなってしまう可能性があります。ただし、昨今は国や自治体が事業承継を支援する体制を取っています。

事業承継専用の融資制度や補助金制度などが各種用意されていますので、資金に困った場合は迷わず相談してみましょう。

事業承継を引き受けてもらえない場合がある

経営者として運送業を営んでいる以上、金融機関から借入を受けている場合があります。後継者は、その会社の借入金などについても責任を引き継ぐこととなります。負債をリスクと捉える場合、従業員や役員は、事業承継の提案を引き受けてくれない可能性があります。

自分が融資を受けたのならまだしも、そうでないものの責任を負うのをためらうのは半ばやむを得ないことかもしれません。しかし、経営者の個人保証に関して、事業承継のケースでは引き継がなくて済む制度が導入され始めています。

条件詳細次第ながら、リスクのない形での親族外承継が実現できるようになってきていますので、各自治体に相談や確認を行ってみるとよいでしょう。

④親族外承継成功のポイント

事業承継しても良いと思える仕組み作りが大事です。自治体の各種制度や助成は調査し、最大限活用しましょう。必要があれば銀行とも交渉し、後継者への責任は免除されるよう努力してみるべきです。また、販路拡大や新規取引の拡充など、業績向上の道筋もつけておくとよいでしょう。

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事業承継を成功させるための後継者選び

運送業の事業承継・M&Aによる事業承継

運送業におけるもう1つの第三者への事業承継とは、M&Aによる未知の第三者への事業承継です。以前では、M&Aと聞くと二の足を踏む経営者もいましたが、最近は国内全ての業種でM&Aが浸透してきたため、運送業でも抵抗感なくM&Aが行われるようになってきました。

①M&Aの特徴

昨今、運送業界では、M&Aによって第三者に事業承継するケースも増加してきています。後継者不足問題だけでなく、経営の先行きへの不安感がM&A件数増加の背景にあるのかもしれません。その場合の中小運送業者同士のM&Aは、スケールメリットを求めて実行されます。

また、運送業界の大企業が中小運送業者を買収する事例も見受けられます。M&Aによって運送業を売却する場合、事業承継と同様に会社の株式を譲渡する形式を取ります。その点の差異はありません。目的は異なってもM&Aの手段は変わらないのです。

そしてM&Aを実行する場合、仲介会社と呼ばれるM&Aの専門家を起用するのが一般的です。M&Aが成約するまでには多くのプロセスがあり、その各プロセスではさまざまな専門知識も必要になります。とても社内だけで対応できる内容ではないので、M&Aの専門家の存在は不可欠です。

どのM&A仲介会社を起用するかお悩みの場合には、実績のある会社を選びましょう。おすすめの1社はM&A総合研究所です。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つ公認会計士が、全国の中小企業のM&Aに対応し徹底的にサポートいたします。

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②M&Aのメリット

運送業において、事業承継をM&Aで実施するメリットはいくつか考えられます。その中でも特筆に値する2つのメリットを挙げておきます。

創業者利潤を手に入れられる

M&Aを用いて事業承継する場合、株式を売却することになりますから、経営者は創業者利潤を獲得できます。親族外承継でも株式を売却するのは一緒ですが、後継者側でたくさんの資金が用意されていることはまれなので、ある程度、妥協した売却額になるでしょう。

その点、M&Aでの事業承継であれば、妥協することなく希望額を提示できます。希望額が100%通るかどうかは交渉次第ですが、1つの目安として、将来数年分の営業利益額に匹敵する程度の金額が有望でしょう。

引退後の生活資金としてはもちろん、運送業以外の新たな事業にチャレンジする資金としても十分なはずです。

従業員の雇用を維持できる

経営者が運送業を廃業した場合、ドライバーをはじめとした従業員は職を失います。もし、国内の後継者がいない中小企業が続々と廃業していったら、日本は途端に失業者であふれる国になってしまいます。

身内や社内に後継者がいなくても、M&Aによって事業承継することで会社は存続します。その結果、雇用は守られ従業員が路頭に迷うことはありません。これはメリットという域を越えた社会貢献と言ってもいいかもしれません。

③M&Aのデメリット

M&Aによる事業承継では、運送業だけでなくどの業種の場合でも多くの費用と時間がかかります。費用としては、まず、M&A仲介会社には手数料を支払わなければなりません。株式の売却は所得と見なされて所得税が課税されます。株式の売却金全てが自分の自由にはなりません。

時間としては、M&Aの場合、早くとも3ヶ月程度、通常は半年以上の時間がかかるのが一般的です。しかも、候補者が見つかっても即、成約とはいかず交渉を重ねる必要があります。時間をかけても最終的に破談になってしまうことも少なくありません

④M&A成功のポイント

M&Aでの事業承継を目指すなら、まずはじめにM&A総合研究所のような、実績があり信頼できるM&A仲介会社に相談をしましょう。取引先や長年、懇意にしている同業者相手のM&Aであったとしても、M&Aである以上、M&A仲介会社を間に入れたほうが絶対にスムーズに話が進みます。

各プロセスでは専門的な手続きも多くあります。致命的なミスを防ぐためにもM&A仲介会社の存在は欠かせません。発生する手数料は必要経費と割り切り、存分にM&A仲介会社を活用するに限ります。

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運送業の事業承継を成功させるには

運送業の事業承継を成功させるためには、早い時期から計画を立てて実践することが大切です。後継者選びも含め、事業承継には時間がかかります。引退する時期から逆算をして事業承継の準備を進めるのがおすすめの方法です。

具体的には、後継者教育は10年かかると言われています。経営者が60代で引退するとしたら、40代で準備と後継者選びを進めておき、50代になったら後継者教育に着手するのが理想的です。中々理想どおりにはいかないかもしれませんが、目標を持つのは大事なことです。

事業承継の道筋と目標をしっかり持っておくことが、事業承継の成功を確実なものとするでしょう。

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まとめ

運送業で確たる後継者候補が身内や社内にいない場合、経営者としては寂しい気持ちになるでしょう。しかし、だからと言って廃業を選んでしまうのは損です。廃業は手続きにそれなりの手間がかかるわりには、何も得るものがありません。

M&Aで事業承継が実現できれば、確実に手元に売却金という資産を得ることができます。従業員も失業の憂き目に会わずに済みます。M&Aでの運送業の事業承継は有効な手段と認識し、活用を試みてください。本記事の要点は、以下のとおりです。

・運送業の現状
 →市場は好況だが、過当競争により中小企業は利益率低下

・運送業の事業承継動向
 →比較的事業承継には力を入れている

・運送業の事業承継方法
 →親族内承継、親族外承継、M&Aによる事業承継

・運送業の事業承継を成功させるには
 →早い時期から計画的に準備する

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