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2019年12月28日更新
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運送業の事業承継【事業承継方法や運送業界の現状を解説します。】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

運送業界は事業承継のニーズが高まっています。運送業界における事業承継には、運送業特有の課題があります。この記事では、運送業の課題、事業承継方法、手法について詳しく解説します。

目次
  1. 運送業の事業承継
  2. 運送業界とは
  3. 運送業の事業承継(親族内承継)
  4. 運送業の事業承継(親族外承継)
  5. 運送業の事業承継(M&Aによる事業承継)
  6. 運送業の事業承継を成功させるには
  7. まとめ
運送 物流のM&A・事業承継
運送 物流のM&A・事業承継

運送業の事業承継

運送業界でも経営者の高齢化が進行しています。

それに伴い、事業承継に対する関心も高まりつつあります。

運送業界は、運送業特有の問題が顕在しています。

よって事業承継を実施する場合、運送業界特有の問題に対する理解を深める必要があります。

そこで今回、運送業における事業承継について詳しく解説します。

今後、事業承継を迎える予定の運送業経営者の方必見です。

まず初めに、運送業の事業承継について現状と動向を解説します。

運送業独自の課題や現状を把握する事で、事業引き継ぎの成功確度を上げられます。

運送業界とは

⑴運送業界の現状

国内市場の縮小により、業種に関係なく競争が激化しています。

特に運送業界では、多くの問題を抱えています。

その中でも最も深刻な問題は、「財務状況の悪化」です。

90年代の規制緩和以降、運送業者への新規参入が急増しました。

新規参入の増加に伴い、運送業では運賃価格の競争が激化しました。

その結果十分な利益を上げられずに、資金繰りに苦しむ運送会社が増加しています。

現に運送業界の営業利益率は、近年赤字傾向が続いています。

その為運送業に関わる人の多くが、「低賃金・長時間労働」という厳しい労働環境で働いています。

上記の事情により、高齢化と比して、若年層の新規雇用が少ない傾向が続いています。

つまり運送業では、中高年層の労働者が業界を支えている状況です。

上記で説明した様々なネガティブ要因により、運送業市場は厳しい現状に陥っています。

⑵運送業の事業承継動向

上記の通り運送業全体で高齢化が進行している為、事業承継へのニーズも高まっています。

運送業を営む企業の殆どは、小〜中規模の企業です。

その為、子供や周囲の親戚に事業承継するケースが一般的です。

運送業では、二代目や三代目の経営者が多く、比較的事業承継に対する理解や準備がされています。

ただし、事業承継に向けて準備しないといけない環境下だからそそ、事業承継に力を入れすぎ、本業に集中できない背景があります。

後継者教育に力を入れることは素晴らしいことですが、本業の業績拡大に注力できていない運送業者が多く課題となっています。

事業承継への対策と本業への取り組みのバランスが、今後運送業者が解決すべき課題です。

また運送業界全体が縮小している為、M&Aの活用も視野に入れなくてはいけません。

大企業が全国的な物流サービスを展開している今、中小運送業者が独力で生き残ることは難しくなっています。

必要に応じて、事業承継だけでなくM&Aの活用を検討することも、今後運送業者には必要となります。

加えて事業承継を引き受ける後継者も経営者として責任を待ち、考えるべき事柄があります。

前述の通り、運送業の競争は激化の一途を辿っています。

中小運送業者が生き残る為には、従来とは異なる戦略を立てなくてはいけません。

特定の地域に特化した運送サービス、従業員の満足度を高めるための福利厚生の徹底が有効です。

また、積極的な新規従業員の採用も欠かせません。

事業承継を実施する場合、同時に今後の経営戦略も考えましょう。

※関連記事

事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

⑶運送業の課題と期待

①運送業の課題

運送業に顕在する課題は沢山あります。

運送業に特有の課題には、主に下記があります。

  • 運送業に携わる人材(ドライバー)の高齢化
  • ドライバーの運転時間規制
  • 育成の難しさ
  • 運送業に携わる人材採用の困難さ

事業承継やM&Aを実施する際は、上記課題を解決する様に行動することをオススメします。

②今後の運送業に関する期待

課題は山積みですが、今後運送業に対して、期待の声も当然あります。

下記の要因により、今後運送業に対する期待が高まると予想されます。

  • 震災復興やオリンピックに関わる建設資材輸送のニーズ増加
  • 宅配サービスの市場拡大
  • 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)のさらなる進展

上記の期待がある為、運送業のM&A、事業承継は今後も衰退しないでしょう。

運送業の事業承継(親族内承継)

次に、運送業の事業承継を進める為の手法を解説します。

誰に運送業を引き継ぐかによって、事業承継に必要な手続きや対策が異なります。

⑴親族内承継の特徴

親族内承継とは、運送業を営む経営者の親戚に、会社を引き継ぐ方法です。

俗に言う家業を継ぐ・継がせる方法です。

前述の通り運送業では、親族内承継を用いるのが一般的です。

ただし近年は、親族内承継の件数自体は減少しています。

その背景には、少子高齢化があります。

運送業を引き継ぎたくても、そもそも子供がいないケースは少なくありません。

また子供はいるものの、運送業を引き継いでもらえない事例も多いです。

近年は、従来の様に家業を継ぐことが普通では無くなりました。

むしろ子供は親の仕事を継がずに、自分で職業選択を行う方が普通になりました。

運送業も例外ではなく、子供が運送業を引き継がない事例も増加しています。

運送業を営んでいる方は、子息に事業承継を引き受ける意思があるか確認する機会を作ってもいかかもしれません。

⑵親族内承継のメリット

①周囲からの理解を得やすい

自身の子供等を後継者にする場合、従業員や取引先等から理解を得やすいです。

小さい運送業者ならば、自分の子供なので、周囲が既に知っているケースが多いです。

既に知っている人物が後継者になることで、関係者からすれば抵抗感を持つ可能性は低いです。

その為、事業承継後も円滑に運送業を営むことが出来ます。

小規模な会社が多い運送業にとって、特にこのメリットは大きいです。

②後継者教育に多くの時間を費やせる

親族内承継のもう一つのメリットが、後継者教育に多くの時間を費やせる点です。

第三者に運送業を継ぐ場合、急に後継者が決まる場合が多いです。

その為、後継者教育にあまり時間を割けません。

一方で親族が後継者ならば、多くの時間を費やせます。

特に子供が後継者ならば、生まれた時から教育可能です。

運送業に必要なノウハウ等を早くから伝えられるのは、大きなメリットです。

⑶親族内承継のデメリット

後継者に経営者としての素質があるとは限りません。

後継者教育によって、運送業に必要なノウハウやスキルは伝えられるかもしれません。

しかし、経営者には決断力、ビジネススキルが必要です。

いくら経営者が優秀だからといって、後継者も経営者として適任だとは限りません。

後継者が適任でない場合、事業承継後に運送業の業績が悪化する恐れもあります。

親族を事業承継の相手とするのは、不確実性が高い一面もあるのです。

⑷親族内承継成功のポイント

運送業の事業承継を成功させる為には、後継者としての質を見極めるのが重要です。

子供が複数いる場合、運送業では「長男だから」等の理由で後継者を選ぶ傾向があります。

しかしこれでは、不確実性の高い事業承継となります。

あくまでも後継者は、経営者としての資質や運送業に関する知識等で決定すべきです。

また後継者教育には、多くの時間を費やす必要があります。

一般的には、後継者が育つには10年もの期間が必要と言われています。

長い時間をかけて、運送業に必要なノウハウや知識、経営能力を習得させましょう。

※関連記事

親族内承継

運送業の事業承継(親族外承継)

⑴親族外承継の特徴

親族外承継とは、社内の従業員もしくは役員に会社を引き継ぐ方法です。

親族内に運送業を引き継ぐ人がいない場合には、親族外承継を用います。

基本的には、従業員または役員が株式を買収する形で、事業承継を実施します。

役員が買収する方法をMBO、従業員が買収する方法をEBOと呼びます。

近年運送業界では、親族内承継に代わって、親族外承継がメジャーな選択肢となりつつあります。

(2)親族外承継のメリット

①従業員のモチベーションが高まる

一会社員から経営者になることには、光栄なことであり、責任も重大ですが、後継者のモチベーションは高まるでしょう。

これまで頑張ってきた従業員にとって、最高の昇進です。

また他の従業員にとっても、既に知っている仲間が経営者となることで、不安や抵抗をそこまで待つことなく事業に関わっていけます。

②後継者の質が担保できる

運送業に長年携わってきた人物が後継者となる為、事業承継の相手としては申し分ないです。

部下をマネジメントしてきた人材ならば、経営スキルも備わっている可能性が高いです。

複数いる従業員・役員の中から、最も最適な事業承継相手を選べます。

この点は、親族外承継で運送業を引き継ぐ最大のメリットです。

⑶親族外承継のデメリット

①後継者の資金力が乏しい

前述の通り親族外承継では、自社株式を買収する形で運送業を引き継ぎます。

基本的には全株式を買収する為、莫大な買収資金が必要となります。

しかし後継者となる人物は、従業員や役員だった人物です。

その為、事業承継を実行する為の買収資金が無い可能性が高いです。

②事業承継を引き受けてもらえない場合がある

運送業を営んでいる以上、金融機関から借り入れを受けている場合があります。

経営者になると、会社の借り入れや責任も引き継ぐ事となります。

そうしたリスクがある為に、事業承継の提案を引き受けてくれない可能性があります。

加えて運送業界では、競争が激化しています。

従業員が将来性が無いと判断すれば、運送業を引き継ぎません。

良くも悪くも従業員は他人です。

ですので、親族外承継を引き受けてくれるとは限りません。

⑷親族外承継成功のポイント

事業承継しても良いと思えるような仕組みづくりが大事です。

銀行と交渉して、後継者への責任を軽減する等の施策が効果的です。

また新規事業等により、業績を上げることも有効です。

運送業の事業承継(M&Aによる事業承継)

⑴M&Aの特徴

運送業界では、M&Aによって第三者に事業承継するケースも増加しています。

後継者不足や経営の先行き不安が、M&A件数増加の背景にあります。

中小運送業者同士が、スケールメリットを求めてM&Aを実行しています。

また、大企業が中小運送業者を買収する事例も見受けられます。

M&Aによって運送業を売却する場合には、会社の株式を譲渡する形式を取ります。

M&Aを実行する場合、仲介会社と呼ばれるM&Aの専門業者を起用するのが一般的です。

⑵M&Aのメリット

①創業者利潤を手に入れられる

M&Aを用いて事業承継する場合、経営者は創業者利潤を獲得できます。

M&Aでは、将来数年分の営業利益をまとめて貰えます。

経営者にとっては、多額の現金をまとめて入手出来ます。

運送業を売却して、悠々自適に老後生活を送ることができるかもしれません。

もしくは、新規事業にチャレンジすることも可能です。

②従業員の雇用を維持できる

運送業を廃業した場合、ドライバーやスタッフは職を失います。

前述の通り多くの運送業者は、十分な利益を獲得出来ていません。

ですので、新規で従業員を雇用する余裕がありません。

つまり職を失った場合、新たに就職先を見つけるのが困難です。

現状の厳しい運送業界では、廃業時の大きなデメリットとなります。

しかしM&Aを用いて事業承継することで、従業員も引き継がれます。

結果として、従業員の雇用が守られます。

(3)M&Aのデメリット

M&Aによる事業承継では、多くの費用や時間がかかります。

M&A仲介会社等を活用すれば、着手金や成功報酬で数十万〜数千万円もの費用がかかります。

加えて、所得税や法人税等の支払いも発生します。

最終的には売却資金を得られるものの、M&Aが完了するまでに多額の支出が必要です。

また、M&Aには早くとも2〜3ヶ月かかるのが一般的です。

相手探しから交渉、契約成立等、やるべき事が沢山あります。

相手が見つからなければ、当然その分期間はさらに伸びます。

それだけ時間や費用をかけても、100%M&Aが成立するとも限りません。

M&Aによる事業承継は、運送業の方にとって非常にハイリスクな手段です。

⑷M&A成功のポイント

運送業をM&Aで引き継ぐ場合、一点注意があります。

運送業を営む為には、一般貨物自動車運送事業許可(運送業許可)を持っている必要があります。

M&Aによる事業承継では、運送業許可は原則引き継げない場合があります。

具体的に言うと、事業譲渡を用いる場合、運送業許可を引き継げません。

事業譲渡とは、一部の事業や資産のみ売買するM&A手法です。

ただし「譲渡譲受認可申請」が認可されれば、運送業許可を引き継げます。

譲渡譲受認可申請は、事業承継を実行する前に、運輸局に提出しなくてはいけません。

申請してから認可されるまでには、約二ヶ月かかります。

M&Aによって運送業を売買する際には、上記を踏まえて事業承継の計画を立てる必要があります。

※関連記事

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運送業の事業承継を成功させるには

運送業の事業承継を成功させる為には、早い時期から計画を立てて実践することが大切です。

これまで説明してきた通り、事業承継には時間がかかります。

加えて、一つ一つ確実に進めていかなくてはいけません。

後継者が決まっていなければ、対策を立てるにも立てられません。

少しでも早く、小さいことからでもいいので、事業承継について準備する必要があります。

具体的には、社長に就任してから、5〜10年以内に事業承継の対策を立てましょう。

後継者教育には、10年かかると言われています。

社長に就任する年齢が、40〜50代だとすれば、5〜10年以内に開始しないと間に合いません。

ご自身が健在のうちに、後継者教育や自社株対策を開始することが理想です。

また、誰に運送業を引き継ぐか決めることで、後継者の気持ちも固まります。

次期経営者としての自覚を持ってもらう為にも、後継者候補を少しでも早く決めましょう。

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事業承継の手続き【法人・個人事業主向け】

まとめ

今回は、運送業の事業承継についてお伝えしました。

他の業種に比べ、運送業界では比較的事業承継に対して理解が進んでいます。

その為、円滑な事業承継をすることができるのではないでしょうか?

しかし一方で、運送業全体としては深刻な状況にあります。

事業承継を検討する際、将来の経営戦略も一緒に考える必要があります。

後継者側も、運送業界で生き残る術を見つけなくてはいけません。

近年運送業では、M&Aによる事業承継も活発に行われており、M&Aによって得られるメリットが多い一方、リスクがあることも忘れてはいけません。

また運送業のM&Aでは、「運送業許可」が譲渡できない場合があります。

資格が必要な業界なだけに、運送業の事業承継には入念な準備が必要です。

要点をまとめると下記になります。

  • 運送業の現状

→競争の激化により、十分な利益を得られなくなっている

  • 運送業の事業承継動向

→比較的事業承継には力を入れている

  • 運送業の事業承継方法

→親族内承継、親族外承継、M&Aによる事業承継

  • 運送業の事業承継を成功させるには

→早い時期から計画的に準備する、M&Aでは運送業許可の移転に注意

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