2020年2月27日更新業種別M&A

電気工事会社のM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

電気工事会社のM&Aは買い手、売り手によってM&Aの目的が異なります。それぞれのメリット・デメリットを把握しておきましょう。電気工事会社のM&Aを成功させる秘訣は専門家の活用です。実績あるM&A仲介会社を起用しましょう。

目次
  1. 電気工事会社の現状とM&Aの動向
  2. 電気工事会社のM&Aの相場と費用
  3. 電気工事会社の買収のポイント
  4. 電気工事会社の売却のポイント
  5. 電気工事会社のM&A事例
  6. まとめ
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電気工事のM&A・事業承継

電気工事会社の現状とM&Aの動向

M&Aには、後継者不足問題の解決や経営基盤の強化など様々なメリットが広く浸透しつつあります。そのため近年では、それぞれの業界でM&Aが活発化してきました。これは、電気工事会社の場合も例外ではありません。

現在、多くの電気工事会社では、慢性的な人手不足が深刻化しています。他業種同様に後継者問題もあります。好調が伝えられる業界であっても、各電気工事会社では、経営上の課題は尽きません。

このような動向の中、それぞれの電気工事会社が抱える問題を解決するために、M&Aは効果的な手法となります。電気工事会社のM&Aについて、業界の特徴や動向も踏まえながら見ていきましょう。

①電気工事業の定義

まず、電気工事業の正確な定義について確認しておきましょう。総務省の日本標準産業分類によると、建設業の中に設備工事業という分類があり、この設備工事業に電気工事業が含まれています。そして、この電気工事業は一般電気工事業と電気配線工事業の2つに分類されています。

一般電気工事業

一般電気工事会社の業務には、送電線・配電線・電線路工事や各種電気設備工事などが該当します。具体的な定義は以下のとおりです。

  • 送電線、配電線工事(地中線工事含む)
  • 電気鉄道、トロリーカー、ケーブルカーなどの電線路工事
  • 海底電線路配線工事
  • 浚渫(しゅんせつ)船電路工事
  • 水力発電所、火力発電所の電気設備工事
  • 変電所変電設備工事
  • 開閉所設備工事
  • 変流所設備工事
  • 船内電気設備工事
  • 電気医療装置設備工事

電気配線工事業

電気配線工事会社の業務は、電灯や照明などの機器・設備の配線工事が中心です。具体的には以下のように定義されています。

  • 建築物、建造物の屋内、屋側及びその構内外の電灯照明、電力、同機器の配線工事
  • 一般工場、事業場、会社、商店、住宅その他電灯照明電力機器の配線工事
  • 屋外照明、アーケード、道路照明等の照明設備配線工事
  • 一般電気使用施設の自家用受変電設備工事や配線工事
  • 空港などの配線工事
  • ネオン広告塔、電気サイン広告塔、ネオン看板、電気看板などの設備並びに配線工事
一般電気工事会社も電気配線工事会社も工事業のため、電気機械器具の小売業や卸売業などは行いません。あくまでも電気関連工事のみを行う事業となります。

②電気工事会社・業界の特徴

電気工事会社の特徴を検証するため、業界全体の市場規模とその動向について明らかにしておきましょう。国土交通省が2020(令和2)年1月31日に発表した「設備工事業に係る受注高調査結果(各工事主要20社)」より、以下に過去5年間の電気工事受注高を掲載します。

2014(平成26)年度 1兆4,620億2,500万円
2015(平成27)年度 1兆5,601億1,200万円
2016(平成28)年度 1兆5,472億8,600万円
2017(平成29)年度 1兆5,513億8,300万円
2018(平成30)年度 1兆6,518億1,000万円

2018年度の電気工事の受注高は、過去5年度の中で最高額です。2014年度からの推移を見ても、大きな落ち込みもなく安定した市場動向と言えます。電気工事業界は、主に新築建物の建設、既存の建物の改修・補修が大きく影響する業界です。

現状では、新築改築どちらも需要があることに加え、2020(令和2)年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設特需状態にあることが好況の要因になっています。そうなると、オリンピック後の電気工事市場動向が懸念されます。

その点については、新築建物建設が当分は見込まれること、さらに全国的に多くの建物が老朽化し、ちょうど改修・補修・改築タイミングを迎えていることから、電気工事業の需要は続くという見方もあります。

③電気工事会社・業界の動向とM&Aの関係

続いて、電気工事会社個々の状況と経営課題を、M&Aとの関係性を含めて見ていきましょう。

人手不足

電気工事業は建設業に含まれますが、建設業全体として人手不足は慢性的な課題です。その原因としては、若者離れや離職率の高さなどが挙げられます。また、そのために社員が高齢化する事態となり、なおさら若年層の人材不足が目立ちます。

電気工事業も、近年の需要の高まりとともに人手不足が深刻化しています。今後さらに需要が高まる可能性を考えると、人手不足への早急な対応が必要です。そこで、M&Aによって人材を確保し、人手不足の解消を図るという方法が検討されるようになっています。

M&Aによる買収を例に考えてみましょう。買収は、優秀な人材確保というメリットがあります。技術者などの優秀な人材が多く在籍する電気工事会社を買収することで、採用活動や従業員教育をすることなく、短期間で効率的に人材を集めることが可能です。

また、売り手側も人材確保のための手法としてM&Aを活用できます。中小規模の電気工事会社では、募集を行っても思ったようには応募者が集まらない現状があります。

そこで、M&Aによって有名な大手企業のグループ会社となれば、会社の知名度も上がり、また雇用条件もグループ会社水準で募集できるようになるため、以前よりは多くの応募者を得て人手不足解消のチャンスが訪れやすくなるでしょう。

建設市場の縮小への対応

今後の電気工事市場規模について、東京オリンピック・パラリンピック後の見方には2つの観測があります。いずれにしても、経営者は楽観的立場に身を置くことはできないものです。万が一の市場縮小を見据えて、M&Aを実施している電気工事会社も見受けられます。

市場縮小に対応する取り組みとして、新たな収入源の確保があります。M&Aで電気工事業とは別の事業を行っている会社を買収することで、新規事業に参入して新しい収入源を効率的に確保できます。今後、このようなM&A事例が増加する可能性もあります。

後継者不足問題への対応

電気工事会社に限ったことではなく日本全国の中小企業の課題として、現在、後継者不足による事業承継問題があります。従来、親族など身内に事業承継してきた中小企業において、少子化の影響などにより後継者がいない事態が起こっています。

身内に後継者がいない場合、社内で後継者を探しますがそれでも決まらない場合に、廃業をしてしまう中小企業も出ている状況です。この事態を問題視した国と自治体は、M&Aによって第三者に事業承継する方策を広くPRし、それを支援する活動を行っています。

競争力の強化

電気工事業の需要が増加している現状を受けて、電気工事会社間の競争が激化する可能性もあります。しかし、競争力の強化は容易ではありません。そこで、M&Aによって電気工事会社としての競争力を強化する発想が出てきます。

例えば、電気工事会社同士がM&Aを行えば、事業規模は簡単に拡大します。また、お互いの技術やノウハウを上手く融合できれば、競合他社への圧倒的なアドバンテージを獲得できるでしょう。特に大手の電気工事会社が、このような動きに出るかもしれません。

④電気工事会社のM&Aの現状

電気工事会社のM&A動向としては、会社規模に応じた2つの潮流に分かれると分析できます。まず、中小企業の電気工事会社の場合、第一に後継者問題という会社存続に関わる課題を抱えている会社が多いため、会社の生き残り策としてのM&Aを志向しています。

一方、中堅規模から大手の電気工事会社の場合は、市場動向を見ながら他社に打ち勝つ競争力を持つことを中心課題とするため、企業価値と規模を増大するためのM&Aがテーマです。そして、この大手電気工事会社の動きは、今後の業界再編に繋がるかもしれません。

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電気工事会社のM&Aの相場と費用

電気工事会社としてM&Aを検討する段になった場合、気になるのは費用面でしょう。そこでまず話題となるのはM&Aの相場ですが、会社はそれぞれ状況が違いますから、相場のような目安となる金額はM&Aにはありません

具体的な対象候補が決まった段階で、各種経理資料や事業計画などから値踏みしていくしかない実情があります。一方、M&Aの費用は、大部分がM&A業務を委託するM&A仲介会社に支払う手数料です。

M&A仲介会社の手数料は各社異なります。手数料、月極契約料、中間報酬、成功報酬などの4つが発生する会社もあれば、成功報酬のみの会社もあります。どちらの報酬体系でも基本的に業務内容は変わりません。

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M&Aの費用

電気工事会社の買収のポイント

電気工事会社において、人手不足を一挙に解消したい場合、事業領域・規模を大きく広げたい場合、業界内で競争が激化した時にライバル会社に勝ちたい場合などが最重要課題であれば、M&Aを今すぐ検討すべき段階に来ています。

M&Aは短くても半年以上かかるとされる交渉です。成功率も40%前後とされており、交渉候補が1社見つかったとしても、破談して別の相手を探さないといけない場合もあります。M&Aの目的が重要な課題であれば、実施に向けて急いで行動を起こすべきです。

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M&Aの目的とは?売り手(売却)、買い手側(買収)におけるM&Aの目的を解説

電気工事会社の売却のポイント

電気工事のM&A・事業承継
電気工事のM&A・事業承継

電気工事会社において、身内にも社内にも後継者がいないのであれば、M&Aによる事業承継を積極的に考えましょう。廃業は面倒な手続きのわりに、全く得るものがありません。M&Aで事業承継が実現すれば、会社は存続し、伝統も残ります。

従業員も職を失わず路頭に迷うこともありません。そして、経営者自身も会社の売却代金(株式の譲渡代金)を得られます。新たな事業を起こす資金や、リタイア後の生活費として役立ちます。

電気工事会社のM&A事例

公表されている電気工事会社関連のM&Aは、上場企業の事例です。中小企業サイドから見ると、あまり現実味がないかもしれません。しかし、大手企業の動きは、時間差を置いて必ず業界内に波及すると言われています。そういった観点で参考事例を分析してみてください。

サノヤスホールディングス子会社サノヤスMTGがハピネスデンキを買収

2020(令和2)年1月、大阪のサノヤスホールディングスの完全子会社で、グループ内の駐車装置、建設機械、遊戯機械、化粧品、製造用乳化装置、産業用機械部品の製造販売及び各種設備工事業を統括する大阪のサノヤスMTGが、東京のハピネスデンキの全株式を取得し子会社化しました。

創業101年目のハピネスデンキは、電気機械器具製造業及び電気工事業の会社です。特に動力制御盤や分電盤、配電盤などは全国各地の施設への納入実績があります。サノヤスMTGとしては、ハピネスデンキのグループ入りによって、同グループの事業基盤の拡大を意図したM&Aです。
 

四電工による有元温調の買収

2018(平成30)年2月、四国電力系で建築設備工事、電力供給設備工事などを行う香川の四電工は、冷暖房設備工事、給排水工事、各種配管工事、冷凍機器工事などを行う兵庫の有元温調の全株式を取得し子会社化しました。

四電工は、今後の業務拡張、事業規模拡大に向けて100億円規模のM&A予算を組んでおり、その第一弾となるM&Aです。四電工のM&A時点での受注業務は9割が四国地域という売上構成であり、それを変革していくべく京阪神で長く事業を行ってきた有元温調をグループに加えました。

中電工による早水電機工業の買収

2016(平成28)年9月、中国電力系の電気設備工事会社である広島の中電工は、総合電気設備工事業で兵庫の早水電機工業の全株式を取得し子会社化しました。中電工としては、1945(昭和20)年創業という早水電機工業の確かな技術力と人材を獲得できたことになります。

また、事業面で言えば、京阪神地区に強みを持つ早水電機工業を買収することで、事業領域の拡大という目的も達しています。

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まとめ

電気工事会社各社にとって目下の最大の関心事は、東京オリンピック後の市場規模が縮小してしまうかどうかです。仮に縮小するとしても、どの程度の縮小になるのかも重要点でしょう。大手の電気工事会社の中には、すでに市場縮小を見越した動きも見え隠れしています。

それは、国内でのシェアの維持あるいは拡大を意図した業界再編的なM&Aであったり、海外市場進出を目指した海外の電気工事会社とのM&Aなどです。中小規模の電気工事会社の場合、大手と同じ行動は取れませんが、業界動向には注意深くアンテナを張っておきましょう。

本記事の要点は以下のとおりです。

・電気工事会社の市場規模
 →2018年度、直近5年間で最高受注高1兆6,518億1,000万円を記録

・電気工事会社の現状
 →人手不足、事業承継問題、市場縮小に備えた競争力の蓄積

・電気工事会社のM&Aのポイント
 →人手不足解消、事業規模拡大を目指す場合は買収、後継者難の場合は売却して事業承継を目指す

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