M&A・事業承継の理解を深める M&A総合研究所ポータル

2019年3月24日更新

電気工事会社のM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

電気工事会社のM&Aは、買い手、売り手によってM&Aを選択する目的は異なります。メリット・デメリットをしっかり判断した上でM&Aを選択しましょう。大きな意思決定であるM&Aは注意点も多いため慎重に専門家を活用しましょう。

目次

    電気工事会社のM&Aの現状と動向

    M&Aには、後継者不足問題の解決や経営基盤の強化といった様々なメリットがあります。

    近年、様々な業界でM&Aが活発化していますが、これは電気工事会社・業界も例外ではありません。

    近年の電気工事業では、人手不足が深刻化しています。今後はさらに需要が増加する可能性があり、早い段階から人手不足に対応しなくてはなりません。

    また、将来的な市場縮小の可能性を踏まえ、新たな収入源の確保を検討する電気工事会社も見られます。

    このような動向の中、それぞれの電気工事会社が抱える問題を解決するために、M&Aは効果的な手法となります。

    電気工事会社のM&Aについて、業界の特徴や動向も踏まえてご紹介します。

    1.電気工事業の定義

    まず、電気工事業の正確な定義について確認しておきましょう。電気工事業には、「一般電気工事業」と「電気配線工事業」の2つがあります。

    総務省の「日本標準産業分類」によると、「建設業」の中に「設備工事業」という分類があり、この設備工事業に「電気工事業」が含まれています。

    そして、この電気工事業は「一般電気工事業」と「電気配線工事業」の2つに分類されています。以下、「日本標準産業分類」の定義をもとに、それぞれの特徴をおさえておきましょう。

    ・一般電気工事業

    一般電気工事業は、次のように定義されています。

    「主として送電線・配電線工事(地中線工事を含む),電気鉄道,トロリーカー,ケーブルカー等の電線路工事,海底電線路配線工事,しゅんせつ船電路工事,その他これらに類する工事並びに水力発電所,火力発電所の電気設備工事,変電所変電設備工事,開閉所設備工事,変流所設備工事,船内電気設備工事,電気医療装置設備工事等の設備工事を全て又はいずれかを施工する事業所をいう。」

    このように、送電線・配電線、電線路工事、各種電気設備工事など、幅広く含まれます。

    ・電気配線工事業

    電気配線工事業については、以下のように定義されます。

    「主として建築物,建造物の屋内,屋側及びその構内外の電灯照明,電力,同機器の配線工事,一般工場,事業場,会社,商店,住宅その他電灯照明電力機器の配線工事,屋外照明,アーケード,道路照明等の照明設備配線工事,一般電気使用施設の自家用受変電設備工事,配線工事,空港等の配線工事又はネオン広告塔,電気サイン広告塔,ネオン看板,電気看板等の設備並びに配線工事の全て又はいずれかを施工する事業所をいう。」

    こちらは、電灯照明などの機器・設備の配線工事が中心です。

    工事業のため、電気機械器具の小売業や卸売業などは含まれていません。あくまで配線工事を行う事業となります。

    2.電気工事会社・業界の特徴

    次に、電気工事会社・業界の特徴を整理しておきます。

    国土交通省の「設備工事業に係る受注高調査結果(各工事主要20社)」によると、2017年度の電気工事の受注高は1兆5513億8300万円で、前年度比で0.2%の増加となりました。

    同調査によると、2013年度から2017年度までの電気工事の受注高は以下のように推移しています。

    2013年度

    1兆4977億7500万円

    2014年度

    1兆4620億2500万円

    2015年度

    1兆5601億1200万円

    2016年度

    1兆5472億8600万円

    2017年度

    1兆5513億8300万円

    2017年度の電気工事の受注高は、過去5年度の中で2番目に高い数値となります。2013年度からの推移を見ると、比較的安定した市場動向と言えます。

    電気工事業界は、主に新築建物の建設、既存の建物の改修・補修が大きく影響する業界です。近年は新築や改修・補修のニーズが高まっていることもあり、過去5年度の電気工事の受注高は比較的安定して推移しています。

    しばしば言われることですが、特にバブル期に建設された多くの建物は、現在老朽化が進んでいます。

    設備の老朽化も進んでいるため、電気設備・配線設備などの改修・補修が大きな課題です。このような状況の中、電気工事業の需要も高まっています。

    また、新築建物の建築が進んでいることも、電気工事業界にとって好ましい傾向です。

    特に2020年の東京オリンピック開催などの要因もあり、建設市場は活況が続いています。一方で、東京オリンピック・パラリンピック後になると、建設市場が縮小するという見方もあります。

    ただ、改修・補修の需要が高い以上、建設市場が大きく縮小するとは言えません。そして、建物や設備の老朽化が進んでいる状況では、電気工事業の需要は続くことになります。需要の増加も十分に考えられ、今後は電気工事業がさらに発展する可能性があります。

    3.電気工事会社・業界の動向とM&Aの関係

    次に、電気工事会社・業界の特徴を踏まえ、その動向やM&Aとの関係について詳しく見ていきましょう。

    ・人手不足

    電気工事業は建設業に含まれますが、建設業ではしばしば人手不足が話題になります。人手不足の原因としては、若者離れや離職率の高さなどが挙げられます。また、社員の高齢化も相まって、特に若手の人材不足が目立ちます。

    電気工事業も、近年の需要の高まりとともに、人手不足が深刻化しています。今後さらに需要が高まる可能性を考えると、人手不足への早急な対応が必要です。そこで、M&Aによって人材を確保し、人手不足の解消を図るという方法があります。

    M&Aによる買収を例に挙げて考えてみましょう。買収は、優秀な人材の確保というメリットがあります。技術者をはじめ優秀な人材が多く在籍する電気工事会社を買収することで、短期間で効率的に人材を集めることが可能です。

    また、売り手側にとっても、人材確保のための手法としてM&Aを活用することができます。例えば、中小の電気工事会社は大手と比べると知名度が低く、なかなか人材が集まらない場合があります。

    採用活動を積極的に行っても、すぐに優秀な人材が集まるとは限りません。そこで、M&Aによる売却で大手の傘下に入り、知名度を一気に上げるという方法が考えられます。知名度の向上によって就職・転職希望者が増加すれば、それだけ優秀な人材も集まりやすくなります。

    ・建設市場の縮小への対応

    2020年の東京オリンピック・パラリンピック後の建設市場については、様々な見方があります。オリンピック需要の反動減によって市場が縮小するという見方がある一方、オリンピック後もしばらくは堅調に推移するという見方もあります。

    ただ、近年の電気工事会社のM&A事例を見ると、将来的な建設市場の縮小に備えてM&Aを行うケースも見られます。

    市場縮小に対応する取り組みとしては、新たな収入源の確保などがあります。

    特にM&Aの場合、特定の事業に強みのある会社を買収することで、比較的短期間での新規参入が可能となり、新しい収入源を効率的に確保することができます。今後、このようなM&A事例も増加する可能性があります。

    ・後継者不足問題への対応

    中小企業の場合、後継者不足などの問題を抱えているケースも見られます。

    これは電気工事会社も例外ではありません。社員の高齢化だけでなく、経営者の高齢化も進んでいるからです。

    後継者不足問題を早急に解決し、事業継続を図る必要がありますが、そのためにM&Aは効果的です。M&Aによって信頼できる会社に自社を売却することで、適切な経営者に事業を引き継いでもらい、事業を継続させることができます。

    ・競争力の強化

    電気工事業の需要の増加に伴い、競争がさらに激化する可能性もあります。

    競争力の強化を図る必要に迫られていますが、ここでもM&Aが効果的な手法となります。

    例えば電気工事会社同士がM&Aを行うことで、お互いの事業領域やノウハウを活かし、事業拡大や競争力の強化につなげるといったケースです。業界の成長に伴い、このようなM&A事例も加速する可能性があります。

    4.電気工事会社のM&Aの現状

    代表的な事例としては、中国電力系の中電工による早水電機工業の買収(2016年)、四国電力系の四電工による有元温調の買収(2018年)が挙げられます。

    中電工の事例は、電気工事などで京阪神地区に強みを持つ早水電機工業を買収することで、事業領域の拡大を図った事例です。

    また、四電工の事例は、空調・管関連工事に強みがある有元温調(神戸市)の買収により、四国外の事業領域の拡大につなげ、総合設備企業としての基盤強化を目指した事例となります。

    電気工事会社のM&Aの現状としては、このような電気工事会社同士のM&A、事業領域拡大のためのM&Aが代表的と言えます。

    一方で、四電工は、2020年の東京オリンピック後の建設市場の縮小を踏まえ、環境・海外などの新たな収入源の育成を図るとしています。四電工は2020年度を目標年度する中期経営指針において、将来に備えて100億円規模のM&A向け投資枠を設けています。

    このような状況の中、有元温調の買収は四電工にとって初のM&Aとなりました。

    市場縮小に備えて新しい収入源を確保するためのM&Aも、今後は活発化する可能性があります。

    電気工事会社のM&Aの相場と費用

    今後、電気工事会社のM&Aはますます活発化することが予想されます。

    現時点では電気工事会社同士のM&Aなどが代表的ですが、電気工事会社といってもその規模は様々です。

    また、新しい収入源の確保を目指す傾向が強くなれば、M&A事例はさらに多様化します。このような状況を踏まえると、一概に相場と費用を把握することは難しいと言えるでしょう。

    M&Aの目的や当事者の規模、対象事業などが多岐に渡る可能性があるからです。

    一方で、相場・費用の把握が難しい場合でも、ある程度の目安をつけておく必要があります。似た事例における対象事業や買収金額など、徹底的に分析しなければなりません。

    現時点では、電気工事会社同士のM&Aや事業領域の拡大を図ったM&Aが多いと言えます。

    まずはこのような事例を中心に分析し、具体的な買収金額や事業規模など、様々な観点から相場・費用を検討することが大切です。

    電気工事会社の買収とは?買う・買いたい場合

    電気工事会社同士のM&A、事業領域の拡大を目指したM&Aなど、電気工事会社を買収する事例は今度増加する可能性があります。

    電気工事会社を買収する側としては、買収対象企業が持つ事業エリアの活用、優秀な人材の確保といったメリットがあります。

    特に人手不足が深刻化している状況では、同業の電気工事会社を買収することにより、優秀な人材を効率的に確保することができます。また、競争力の強化につなげることもできます。

    電気工事会社の売却とは?売る・売りたい場合

    会社を売却する場合、後継者不足問題の解決、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人保証や担保の解消、従業員の雇用の維持といった様々なメリットがあります。

    電気工事会社ももちろん例外ではなく、経営上の問題を解決するために売却を検討するケースが多いです。

    特に中小の電気工事会社の場合、財務基盤などで問題を抱えているケースも多く見られます。このような会社が売却を行い、資金力のある企業の傘下に入ることができれば、財務基盤を安定させてスムーズな事業展開を進めることができます。

    競争力も強化できるので、競争の激化にも対応できます。

    電気工事会社のM&Aの成功・失敗事例

    電気工事会社のM&Aは、今後活発化することも予想されます。一方で、現時点でM&A事例が多いというわけではありません。そのため、成功事例・失敗事例に区別することは難しいと言えます。

    今後の市場の動向も踏まえ、それぞれの事例ごとに分析する必要があるでしょう。

    電気工事会社のM&A事例としては、やはり先ほど例に挙げた中電工と四電工の事例が代表的です。中電工による早水電機工業の買収は、まさに電気工事会社同士のM&Aとして代表的な事例と言えるでしょう。

    また、四電工による有元温調の買収も、事業領域の拡大や事業内容の強化につながるM&Aとなりました。

    今後は、異業種も含めたM&Aが活発化する可能性もあります。

    電気工事会社も新たな収入源を確保するために動き出しています。今後はM&A事例の多様化も予想されるので、それぞれの事例の事業規模や買収金額、そしてM&A後の事業展開まで、注意深く分析しなくてはなりません。

    M&Aが活発化してまだ長い期間が経過していないため、特にM&A後の事業展開が順調に進んでいるのかどうか、その動向に注目する必要があります。

    まとめ

    電気工事業は、新築建物の建設や、既存の建物の改修・補修などが大きく影響します。近年は建物の老朽化が進んでいることもあり、特に改修・補修のニーズが高まっています。

    また、2020年の東京オリンピックなどに向け、建設市場の活況が続いているので、電気工事業の市場も比較的安定して推移しています。一方で、電気工事業では人手不足などの問題も発生しています。今後の需要が拡大すれば、人手不足がさらに深刻化するおそれもあります。

    近年、様々な業界で、人手不足に対応するためにM&Aを検討する企業が増えています。この傾向は、電気工事業界でも十分に起こり得ます。また、競争の激化に備えて競争力を強化するためにも、M&Aは効果的な手法です。

    電気工事業界でも、それぞれの目的のためにM&Aが活発化する可能性があります。

    現時点では、電気工事会社同士のM&A、事業領域拡大のためのM&Aが多く見られます。一方で、四電工のように、新たな収入源の育成も踏まえてM&Aを検討する会社もあります。

    そのため、異業種も含め、M&A事例が多様化する可能性も考えられます。建設業全体の業界動向に加え、電気工事会社のM&Aにも注目されています。

    M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

    M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
    M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

    M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

    1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
    2. M&Aに強い会計士がフルサポート
    3. 圧倒的なスピード対応
    4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
    >>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

    M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
    企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
    また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
    まずはお気軽に無料相談してください。

    >>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

    電話で無料相談WEBから無料相談
    • 02
    • 03
    • 04
    • 05
    ご相談はこちら
    (秘密厳守)