M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年8月27日更新業種別M&A
食品業界のM&A・事業承継を徹底解説!成功事例、手続き、費用、注意点まで
食品業界では、原材料価格の高騰や後継者不足などを背景にM&Aや事業承継が活発化しています。本記事では、食品業界におけるM&A・事業承継のメリット・デメリット、手続き、成功事例、費用相場、注意点などを解説します。
目次
食品業界におけるM&A・事業承継の現状と動向
少子高齢化や食品価格のダウンなどの動向により、食品業界の市場規模は縮小傾向にあります。
食品価格がダウンしている一方で、穀物の価格高騰や原油価格の高騰の動向により、食品製造・販売にかかるコストが高騰しているのが現状です。
さらに後継者不足の動向が強く影響し、業界内ではさまざまな問題を解消して事業継続するための事業承継が盛んに行われています。
食品業界の概要
食品業界は、農畜水産物などの原材料を加工し、食品や飲料を製造・販売する業界です。加工食品メーカーや飲料メーカーだけでなく、原材料を生産する一次産業なども含まれます。大きくは、原材料を加工する「加工型」と、原材料を提供する「素材型」に分類されます。
食品業界のM&A・事業承継を取り巻く動向
近年、原材料価格やエネルギーコストの高騰、後継者不足、消費者の嗜好変化などを背景に、食品業界ではM&Aや事業承継が増加しています。事業の拡大やコスト削減、経営資源の最適化などを目的としたM&Aも活発化しています。
2024年以降、食品業界では、サプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰、円安、物流コストの上昇など、経営環境の悪化が続いています。このような状況下において、M&Aは生き残りをかけた戦略として、さらに重要性を増しています。2025年には、中小企業のM&Aを促進するための新たな税制優遇措置が導入される予定です。
食品業界でM&A・事業承継を行うメリット・デメリット
食品業界では後継者不足の解消やコスト削減を目的とした動向の事業承継が盛んですが、事業承継を行う際には必ずメリットとデメリットが発生します。
では食品業界で事業承継を行う際のメリットとデメリットを、売却側と買収側双方の立場から検証します。
M&Aにおける売却側のメリット・デメリット
食品業界で事業承継を行えば、売却側はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。
では食品業界で事業承継を行う際に、売却側が得られるメリットを紹介します。
メリット
食品業界で事業承継を行えば、売却側は従業員の雇用を確保できる点がメリットです。
近年の食品業界においては、原材料の価格高騰や後継者不在の動向により倒産・廃業に追い込まれるケースが少なくありません。
倒産・廃業すれば経営者が事業を失うだけでなく、従業員も職を失うのが現状です。
そこで経営状態が悪化する前に事前に事業承継を行い、他社に事業を引き継げば従業員もそのまま買収側に雇用されるので、従業員の雇用を確保できます。
デメリット
事業に関する権利を失う点が、食品業界で事業承継を行う際の売却側のデメリットです。
事業の一部のみを譲渡する事業譲渡であれば、譲渡に関連した事業だけの運営権を失います。
一方事業承継で全ての資産や権利を買収側に承継すれば、売却側は事業運営に関する一切の権利を失います。
また事業承継後は近郊エリアで20年間は同業種を運営することを禁止した、「競業避止義務」売却側に課せられるのも念頭において事業承継を進めましょう。
M&Aにおける買収側のメリット・デメリット
食品業界で事業承継を行えば、売却側同様に買収側にもメリットとデメリットが発生します。
では食品業界の事業承継において、買収側が得られるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
食品業界でM&Aを行えば、業務になれた優秀な人材を確保できる点が買収側のメリットです。
新規事業を立ち上げて業務を運営するためには、人材を育成して業務に関するノウハウも習熟させなければいけません。
しかしそのような教育や人材育成に注力すれば、事業運営までに多くの時間とコストがかかるのが現状です。
そこで事業承継を行って既存の企業を買収すれば、業務になれた従業員を継続的に雇用できます。
その結果として人材教育やノウハウの共有も不要になり、人材育成のコストを削減した効率的な運営が可能です。
デメリット
簿外債務や突発債務などの予期せぬ債務を引き継ぐ可能性がある点が、食品業界で事業承継を行う際の買収側のデメリットです。
事業承継では、買収側は売却側の設備や資産に関する債務を引き継ぎます。
しかし場合によっては事業承継後に帳簿に記載されていない、簿外債務や突発債務が発生する動向も多いのが現状です。
簿外債務や突発債務が発生すれば、買収側は買収金のほかにも多額の債務を支払わなければいけません。
そのような事態を防いで健全な取引を行うためにも、事業承継の交渉期間中にデュ―デリジェンスを徹底しましょう。
食品業界のM&A成功事例
現在は事業シェア拡大や収益性向上を目的とした事業承継が盛んですが、食品業界では実際にどのようなM&Aが行われているのでしょうか。
では食品業界の事業承継の成功事例を紹介します。
日清製粉と熊本製粉のM&A
2022年6月には主に業務用の小麦粉や関連商品の製造・販売を手掛ける日清製粉が、熊本県を中心に製粉業や食品加工業を営む熊本製粉の株式を取得して子会社化しました。
この事業承継は日清製粉が市場への適応力を高めるために手掛けた事例です。
デイリーはやしやとわらべや日洋食品新潟工場のM&A
2021年10月には、新潟県内のセブンイレブン向けの調理済み食品の製造・販売を手掛けるわらべや日洋食品の新潟工場が、同業種のデイリーはやしやに譲与されました。
この事業承継は、デイリーはやしやが事業シェア拡大のために手掛けた事例です。
参考:わらべや日洋食品による新潟工場閉鎖及び譲渡に関するお知らせ
エバラ食品工業子会社とヤマキンのM&A
2022年4月には主に食品加工業を営むエバラ食品工業株式会社の子会社である、株式会社エバラビジネス・マネジメントが液体調味料の製造・販売を手掛けるヤマキン株式会社の株式を取得して子会社化しました。
この事業承継はエバラビジネス・マネジメントが生産体制を強化するために手掛けた事例です。
昭和産業とサンエイ糖化のM&A
2020年7月には穀物製品の製造・販売を手掛ける昭和産業が、ブドウ糖をメインとした糖化製品の製造・販売を手掛けるサンエイ糖化の全株式を取得して子会社化しました。
この事業承継は昭和産業が生産性を向上させ、安定供給体制を構築するために手掛けた事例です。
参考:昭和産業によるサンエイ糖化株式会社子会社化に関するお知らせ
スターゼンと大商金山牧場のM&A
2022年4月には東京都港区に本拠を構える食肉専門の商社であるスターゼンが、主に豚肉の生産や加工、加工品の製造・販売を手掛ける大商金山牧場と資本業務提携を行いました。
この事業承継は、両社がお互いの企業価値を高めるために手掛けた事例です。
参考:大商金山牧場とスターゼンの資本業務提携に関するお知らせ
サントリーHDとシナモンのM&A
2021年9月には、飲料をはじめさまざまな食品製造・販売を手掛けるサントリーHDが、AI関連製品・サービスを開発・提供している株式会社シナモンへの資本参加を締結しました。
この事業承継は、サントリーHDが事業範囲拡大のために手掛けた事例です。
日清食品HDとDAIZのM&A
2022年1月には主に製粉製品や、多岐に渡る食品の製造・販売を手掛ける日清食品HDが、植物性食品の研究・開発を手掛けるDAIZ株式会社に出資を行いました。
この事業承継は、日清食品HDが新たな分野の食品開発を手掛けるために行った事例です。
ブロンコビリーと松屋食品本舗のM&A
2022年6月には、ハンバーグやステーキのレストラン事業を展開している株式会社ブロンコビリーが、調味料や惣菜の製造を手掛ける松屋食品本舗の全株式を取得して子会社化しました。
この事業承継はブロンコビリーが自社商品のラインナップを強化し、自社ブランド認知度を高めるために手掛けた事例です。
味の素とおいしい健康のM&A
2022年1月には大手食品会社である味の素株式会社と、食生活に関する課題解決のためのAIレシピや献立アプリなどのサービスを提供するおいしい健康社が資本業務提携を締結しました。
この事業承継は味の素株式会社が、自社事業を深化させるために手掛けた事例です。
食品業界のM&Aにおけるデューデリジェンスの重要性
M&Aを成功させるためには、デューデリジェンスが不可欠です。特に食品業界は、製品の安全性や品質管理、衛生管理などが重要となるため、デューデリジェンスの際に注意すべき点がいくつかあります。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスでは、対象企業の財務状況を詳細に調査します。売上高、利益、資産、負債などの財務諸表を分析し、収益性、安全性、成長性などを評価します。食品業界特有の会計処理や在庫評価方法にも注意が必要です。
事業デューデリジェンス
事業デューデリジェンスでは、対象企業の事業内容、市場環境、競争優位性などを分析します。製品の安全性や品質管理体制、衛生管理体制、サプライチェーンなども重要な調査項目です。食品業界のトレンドや消費者の嗜好変化なども考慮する必要があります。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスでは、対象企業の法令遵守状況や契約関係などを調査します。食品衛生法、景品表示法、労働関連法規など、食品業界に関連する法規制の遵守状況を重点的に確認します。また、取引先との契約内容や知的財産権なども調査対象となります。
食品業界のM&A・事業承継の基本的な流れ
食品業界で事業承継を行えば、後継者問題や原材料高騰などの問題を解消した事業継続が可能です。
では食品業界の事業承継を行う基本的な方法と流れを紹介します。
- M&A・事業承継の検討、専門家への相談
- 売却価格・条件の検討、課題の整理
- 交渉相手の選定
- 秘密保持契約の締結
- 相手企業との交渉開始
- 企業情報の開示
- デュ―デリジェンスの実施
- 最終契約の締結
- クロージング(取引完了)
①事業承継(M&A)の検討・専門家への相談
食品業界の事業承継では、現状で事業承継(M&A)の必要性を検討し、今後の効率的な運営のためにも必要と判断した時点で仲介会社などの専門家に相談します。
事業承継の手続きや交渉を全て自社のみで手掛けることもできますが、交渉や手続きには法務や税務、財務に関する専門的な知識が欠かせません。
そのような複雑な手続きを自社で行えば、取引完了までに時間がかかりすぎて交渉が決裂する危険性も生じます。
このような事態を防いでスムーズに取引を行うためにも、交渉や手続きは仲介会社などの専門家に依頼するのも重要なポイントです。また仲介会社に相談すれば、自社に最適な取引相手とマッチングしてくれます。
②事業承継(M&A)売却価格・条件・課題などを検討
事業承継の実行が決定して仲介会社などの専門家への相談が完了すれば、次に事業承継(M&A)の売却価格や条件、課題などを検討します。
売却価格を検討する際には同業他社のM&A事例を参考にして、適正相場を把握したうえで売却価格を検討しましょう。
精密な売却価格の算出が必要な場合には、専門家に依頼して自社の企業価値評価を行って売却価格を算出し、そのうえで相場に適した価格で売却するのも重要なポイントです。
また取引成立後に譲渡する経営権や資産の範囲、事業承継完了後の従業員の待遇など重要な取引条件などを明確にして交渉を進めましょう。
また自社の現状を明確に把握し、その課題を解決できるように交渉や手続きを進めるのも重要なポイントです。
③交渉相手を選ぶ
事業承継(M&A)の売却価格や条件、課題などの検討が完了したら、次に実際に事業承継の取引を行う交渉相手の選定に進みます。
交渉相手を自社で見つけてコンタクトを取ることも可能ですが、多くの企業から最適な企業を選出するのは大変なので仲介会社にマッチングを依頼しましょう。
交渉相手を選定する際には、自社の運営状況や今後の展望、業績などを仲介会社に明確に伝えて最適な企業とのマッチングを手掛けるのも重要なポイントです。
また仲介会社がマッチング候補を選出した際には、相手企業のリサーチを入念に行って事業承継後も安定した業績が見込める企業を選択しましょう。
④秘密保持契約の締結
交渉相手の選定が完了すれば、次に秘密保持契約の締結に進みます。
秘密保持契約の締結は売却側・買収側双方ともに行い、重要情報の漏洩を防止するのも重要なポイントです。
事業承継は売却側・買収側双方の業績や運営状況、事業ノウハウなど多くの機密情報が交換されます。
企業の重要な情報が競合他社に漏れれば、今後の運営状況悪化にも繋がりかねません。
そのような事態を防いで健全な取引を行うためにも、機密保持契約を売却側・買収側の双方で締結して情報漏洩を防ぐのも重要なポイントといえます。
⑤相手企業との交渉開始
秘密保持契約の締結が完了すれば、次に実際に取引相手企業との交渉を開始します。
本格的な交渉に入る前に、売却側・買収側双方の事業承継に関する意思を確認するトップ面談を行うのも重要なポイントです。
トップ面談が完了してお互いに事業承継を手掛ける意思が確立したら、事業承継に関する前向きな意向を示すための意向表明書を記載して交渉を開始します。
⑥基礎情報開示
実際の交渉が開始すれば、次に売却側・買収側間の効率的な情報共有を行うための基礎情報開示へと進みます。
一般的に基礎情報の開示は仲介会社と買収側のみで行い、売却企業側の参加は不要です。
一方の売却側は基礎情報開示前に仲介会社と秘密保持契約を締結し、事業承継に関する情報の漏洩を予防するのも重要なポイントといえます。
⑦デュ―デリジェンス実施
基礎情報開示が完了して買収側に正確な情報が共有されれば、次に買収側が財務的な側面から売却側を監査するデュ―デリジェンスを実施します。
事業承継では取引完了後に売却側の帳簿に記載されていない簿外債務や突発債務が発生する事例も多いのが現状です。
想定外の簿外債務や突発債務が発生すれば、買収側は多額の買収金を支払うと同時に債務の支払も手掛けなければいけません。
このような事態を予防し、取引完了後の出費を抑えるためにも事前にデュ―デリジェンスを行って売却側の財務状況を監査するのも重要なポイントです。
⑧最終契約締結
売却側の財務面の監査を行うデュ―デリジェンスが完了すれば、最終契約の締結を行って取引を正式に成立させます。
最終契約は一度設定すれば内容の変更はできないうえに、法的な拘束力も持つので慎重に策定・締結を行いましょう。
⑨クロージング
取引の最終段階である最終契約締結が完了すれば、次に契約内容に沿って資産や権利、従業員などさまざまな事項を移動させるクロージングへと進みます。
クロージングでは売却側・買収側の双方ともに、変更に伴う混乱が発生する事例が多いので事前の計画を練ってスムーズな運営を行いましょう。
食品業界でM&A・事業承継を検討すべきタイミング
食品業界での事業承継を成功させるためにも、最適なタイミングで手続きや交渉を開始するのも重要なポイントです。
では食品業界の事業承継を行うべきタイミングを紹介します。
- 業界再編の動きが活発化しているとき
- 経営者の高齢化や健康上の理由
- 後継者不在
- 事業の拡大や多角化を図りたいとき
- 経営状況が良好なとき
業界内の競争環境が変わったとき
業界内の競争環境が変わった時は、食品業界の事業承継を行うべきタイミングです。
特にM&Aの売り主候補が減少したタイミングでは、売り手市場が加速されて全体的な売却相場も高額に変動します。
そのタイミングで事業承継を行い、他社に事業を売却すれば、通常時よりも高額での売却が可能です。
しかしM&Aの競争環境の変動は一定期間しか続かないので、最適なタイミングで売却を進めましょう。
会社の経営状態の良いとき
事業承継で事業を高額で売却するためにも、会社の経営状態の良い時に事業承継を行いましょう。
事業の業績が悪化したタイミングで事業承継を行っても、買収側は買収後の事業の立て直しが必要なので高額での買収を提案する可能性は低くなるのが現状です。
また業績が悪化した状況で事業承継による買収を行っても、買収後のシナジー効果が低いと認識されて相場よりも低く買い叩かれる事例も少なくありません。
一方で会社の経営状態が良い時に事業承継を行って他社に事業を売却すれば、買収側は取引完了後の収益や高いシナジー効果を期待して、相場より高めの金額で買収する可能性が高くなります。
経営者が元気で引き継ぎの準備ができるとき
経営者が元気で引き継ぎの準備ができる時も、事業承継を行う最適なタイミングの1つです。
事業承継には複雑な手続きや取引が多く、取引完了までに多くの時間がかかります。
もし長い交渉期間中に経営者が体調不良になって売却を急がなければいけなくなれば、価格よりもとにかく売却することが優先されるのが現状です。
このような事態に陥れば買収側に足元を見られ、相場よりも安く買い叩かれてしまうかもしれません。
したがって事業承継でできるだけ高額で事業を売却するためにも、経営者が元気なうちに事業承継を進めましょう。
食品業界のM&Aにおける企業価値評価と価格相場
企業価値評価には、主に以下の3つのアプローチがあります。
- コストアプローチ:再調達原価に基づいて評価する方法
- インカムアプローチ:将来のキャッシュフローに基づいて評価する方法(DCF法、収益還元法など)
- マーケットアプローチ:類似企業の市場価格に基づいて評価する方法
食品業界のM&Aにおける価格相場は、企業規模や収益性、ブランド力などによって大きく変動します。
コストアプローチ
企業が保有する純資産を基準として、企業価値評価を算出する方法をコストアプローチといいます。
コストアプローチを導入する際の指標の1つである純資産は、企業の資産から負債金額を差し引いた金額のことで、その金額を基準に企業価値を算出します。
コストアプローチは資産の把握が困難な一部上場企業などではあまり使用されませんが、資産を把握しやすい中小企業の企業価値算出で頻繁に使用されます。
インカムアプローチ
インカムアプローチは事業承継完了後に発生する将来的なキャッシュフローや収益性のほかに、買収による損益やリスクも加味して企業価値を算出する方法です。
インカムアプローチは現状では把握できない将来的な指標を予測して企業価値を算出する方法で、主にDCF法や収益還元法、配当還元法などの手法に分類されます。
ではDCF法や収益還元法、配当還元法の3つの算出法を詳しく解説します。
DCF法
DCF法とは「Discounted Cash Flow」の略称で、将来的に発生する収益を現状における価値に割引いて企業価値を算出する方法です。
簡単に解説すると、企業の将来的な収益性などを企業の事業計画を参考にして算出し、そのうえで将来的なリスクなどを差し引いて企業価値を算出する方法を指します。
DCF法によって企業価値を算出する場合には、非事業用資産や無形資産なども計算対象にするのが一般的です。
そのうえで将来的なキャッシュフローからリスクなどの割引率を差し引き、算出された計算式が企業価値として認識されます。
収益還元法
企業の事業計画書を基準にして将来的に見込める利益を算出し、現状の価値として算出する方法が収益還元法です。
この方法はDCF法に比べて簡単な方法で計算できるため、事業承継前に企業価値評価を行う手法として広く活用されています。
収益還元法は事業計画書を基準にして企業価値評価を行うため、将来的なリスクも考慮しての算出ができない点がデメリットです。
収益還元法は大まかな企業価値を算出することができますが、細かな算出が必要な場合にはDCFを活用するのも重要なポイントです。
配当還元法
非上場企業の企業価値評価を算出するための、有効な計算方法が配当還元法です。
将来的に取得可能な期待配当額を算出し、現状の企業価値として還元します。
配当還元法を活用すれば、配当金額の増減が経営者によって変動するため正確な評価が困難です。
したがって少人数の株主で形成されている、非上場企業などの企業価値評価に向いています。
マーケットアプローチ
対象企業と同業種の一部上場企業の企業価値評価を基準にして、企業価値評価を行う方法をマーケットアプローチといいます。
この方法は指標がわかりやすい一部上場企業の数値を参考にするので、精度の高い企業価値評価が可能です。
また現状で運営を行っている一部上場企業の数値をもとに算出するので、信頼性の高いデータ算出ができます。
食品業界のM&A・事業承継を成功させるためのポイント
食品業界で事業承継に成功すれば、収益性の拡大や効率的な事業継続などさまざまなメリットを得ることができます。
では食品業界の事業承継の成功のポイントを解説します。
前もって準備を進める
食品業界の事業承継を成功させるためにも、前もって余裕のある準備を徹底しましょう。
食品業界の事業承継は、ほかの業種同様に複雑な手続きが多くて取引完了までに大変な時間がかかる事例も多く見受けられます。
そして手続きや関連書類作成に時間がかかりすぎて、契約自体が破棄になるケースも少なくありません。
このような事態を予防してスムーズで効率的に取引を完了させるためにも、前もった準備を徹底して手続きに必要な関連書類などは早めに揃えるのも重要なポイントです。
タイミングを逃さない
事業承継のタイミングを逃さず、最適なタイミングで行うのも食品業界のM&Aを成功させるポイントの1つです。
業績が悪化してきた時点で事業承継を行えば、買収側企業は事業承継後に業績回復を手掛けなければならないので、できるだけ低額で買収を進めようとします。
また業績が悪化した時点で売却を行っても、買収側は大したシナジー効果が見込めないと判断して相場より低めの金額を提示する動向が強いです。
一方で業績が好調なタイミングで事業承継を行って他社に事業を売却すれば、買収側は継続的な収益確保やシナジー効果を期待して高値での売却を提案する可能性が高くなります。
このように売却するタイミング次第で価格が変動するので、最適なタイミングを逃さずに売却するのも重要なポイントです。
情報の漏洩に注意する
食品業界の事業承継を成功させるためにも、情報漏洩には十分注意しましょう。
事業承継は売却側・買収側双方の運営状況や収益、事業ノウハウなどの重要な情報が交換される企業間取引です。
そのような重要な情報がライバル企業に漏洩すれば、今後の事業運営に悪影響を及ぼしてしまいます。
したがって食品業界で事業承継を行う際には、売却側・買収側の双方で機密保持契約を締結するなどの処置をとって取引を進めるのも重要なポイントです。
PMIを実施する
PMIを実施するのも、食品業界のM&Aを成功させるための重要なポイントの1つです。
事業承継は事業の買収手続きが完了すれば終わりではなく、その後に安定的な運営まで到達することが重要な意味を持ちます。
したがって取引完了後に十分な成果を出すためにも、事業統合後の効率的なプロセス管理を手掛けるPMI(Post Merger Integration)を実施するのも重要なポイントです。
PMIの具体的な内容には組織の再編成や、各従業員への事業承継に関する周知の徹底などが挙げられます。
M&Aの専門家に相談する
食品業界の事業承継を成功させるためにも、M&Aの専門家に相談して事業承継を行うのも重要なポイントです。
事業承継の手続きには複雑なものが多いうえに、法務や財務、税務などに関する専門知識が欠かせません。
そのような複雑な手続きを自社のみで行えば大変な作業になり、場合によっては手続きが間に合わずに契約破棄になる事例多いです。
そこでM&Aの専門家に相談すれば、豊富な実績を活かしてスムーズ且つ丁寧に手続きを進めてくれます。
また仲介会社などの専門家は法務や財務、税務に関する詳しい知識も有しているうえに、自社に最適な取引相手をマッチングしてくれる点もメリットです。
食品業界のM&A・事業承継は専門家への相談が不可欠
M&A・事業承継は複雑な手続きを伴うため、専門家のサポートを受けることが重要です。
- M&Aアドバイザー:M&Aに関する専門的な知識や経験を持つアドバイザー
- 金融機関:融資や資金調達に関する相談
- 公的支援機関:事業承継に関する補助金や支援制度の情報提供
- 税理士・会計士:税務・会計に関するアドバイス
- 弁護士:法務デューデリジェンスや契約書の作成・確認
金融機関に相談する
食品業界の事業承継を行う際には、銀行や信用金庫などの金融機関に相談するのもおすすめです。
銀行や信用金庫は資産運用や資金に関する専門家なので、事業承継に関する金銭的なアドバイスが期待できます。
とくに自社を担当している信用金庫や銀行であれば自社の運営状況や業績などを把握しているので、財務面を考慮して適切なスキームも検討してくれます。
一方銀行や信用金庫などの金融機関は財務関連の専門家で、法的な知識は有していないので直接的な交渉やマッチングはできない点を把握しましょう。
公的支援機関に相談する
国や県が運営している公的支援機関に相談するのも、食品業界の事業承継を行う際のおすすめの方法です。
全国の都道府県には商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センター、信用保証協会などさまざまな公的機関が事業承継の相談を受け付けています。
基本的に国や県が運営する公的支援機関は、無料で相談を受け付けている機関がほとんどなのでぜひ利用しましょう。
ただし各公的機関も仲介会社をはじめとしたM&Aの専門会社ではないので、直接的な交渉やマッチングはできない点を把握しましょう。
M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談する
食品業界の事業承継を成功させるためにも、M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に依頼しましょう。
前述のようにM&Aには複雑な手続きが多いうえに、関連書類も多いので取引完了までに時間がかかりすぎて契約破棄になる事例も少なくありません。
そこでM&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談すれば、スムーズ且つ正確に取引を進めてくれるので安心です。
またM&A仲介会社は法務や税務、財務などに関する専門知識も有しているので、難しい手続きにも柔軟に対応してくれます。
まとめ:食品業界のM&A・事業承継を成功に導くために
食品業界のM&A・事業承継は、事前の準備、適切な専門家との連携、綿密な計画が成功の鍵となります。M&Aアドバイザーに相談することで、最適なM&A戦略の立案、候補企業の選定、交渉、クロージングまでスムーズに進めることができます。
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近年は合同会社の数が増加していますがM&Aの件数は停滞気味で、この背景には合同会社のM&Aは一般的なM&A手続きも困難な点が挙げられます。そこで本記事では合同会社のM&a...
社会福祉法人のM&Aの手続き手順や手法は?成功事例・メリットも解説!
近年急速的に進行している高齢化に伴い、社会福祉法人のニーズも高まっているのが現状です。 その動向に伴って社会福祉法人の業界における競争も高まり、活発なM&Aが展開されています。 本記...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。