M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年5月29日更新業種別M&A
食品製造業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例10選を徹底解説【2023年最新】
加工した原料を川下企業・卸売・小売会社へ供給するのが食品製造業の会社です。当記事では、食品製造業の事業内容や、業種の特徴、現在の状況、M&A・会社譲渡の動きを取り上げています。加えて、近い将来の業界予測や、会社譲渡の事例、会社譲渡のメリットにも触れています。
目次
食品製造業界とは?
食品製造業界は、食品を製造するための素材の供給・加工製造による供給を事業者のあつまりと定義され、流通の過程で多くの事業者を介する特徴を持ちます。また、食品製造業界の現状では、市場規模の微増が窺えます。
以下では、軽く触れた食品製造業界の定義・特徴・現状の詳細を解説します。
食品製造業界(食品メーカー・食品会社)の概要
食品製造業は原料の性質を変えずに行う一次加工や、二・三次加工による食品供給を行う業界です。
日本標準産業分類によると、食料品製造業は
・畜産食料品製造業
・水産食料品製造業
・野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
・調味料製造業
・糖類製造業
・精穀・製粉業
・パン・菓子製造業
・動植物油脂製造業
などとなっています。
人が口にする物に手を加えて加工を行う業者や、卸売・小売業者に供給するのが、食品製造業界の定義と捉えられます。
そのため、日本標準産業分類上は飲料・たばこ・飼料製造業に含まれますが、清涼飲料製造業や酒類製造業なども一般的には食品製造業として考えられます。
参考:総務省「日本標準産業分類」より
食品製造業界の特徴
仲介者の多い流通構造
食品製造では、一次加工を終えた製造品が、二・三次加工を経て、卸売・飲食店などの外食産業の事業者・小売業者を介して、ようやく消費者の手に渡ることから、流通の間に多くの業者が介在しているといえます。
安全性への配慮
安全性への配慮では、加工に伴い、異物が紛れ込んでいないか・病原菌が発生していないか・加工後に原料が腐っていないかなど、健康を害する可能性を排除した製造が求められます。
原料の多くを輸入に頼っている
原料の調達では、自給率の低さから、輸入品に頼らざるを得なく、海外から届く日数を考慮して加工がなされています。また、輸入に頼っているため、為替に影響を受けます。円安の際には原料の価格上昇します。その他にも、異常気象や紛争などにより原料の取り合いや原料相場が上昇しています。
季節性があり、繁閑対応・賞味期限への対応
小売は季節や暦、年中行事など季節に合わせて販売数が変わります。それに合わせ食品製造業も加工する原料を変えたり、忙しい時期にのみ人材を増したりなどで対応しています。繁忙期に早急に人員を集め対応しますが、閑散期には不要になるため人員のコストがかかりやすいです。
賞味期限への対応では、加工品の品質を低下させないように、原料の保存法・加工の仕方・流通の見直しなどが行われています。作りすぎの際の廃棄ロスリスクが高い傾向にあります。
食品製造業界の課題
食品製造業界で対応するべき課題は、新型コロナの感染防止を徹底した食品の製造はもとより、災害時でも安全な加工食品の流通・供給ができる体制の構築や、ITの導入・人材の確保・廃棄にかかるコストの削減・機械化の導入などで生産性を高める点が挙げられます。
そのほかにも、世界的な健康志向に対応した日本食の供給や、高齢化の進行・単身世帯の増加による中食需要への対応などが課題に挙げられています。
食品製造業界が市場縮小への移行を食い止めるためには、食の安全を守りつつ、利益を上げられる体制を整えて、求める要望に応えていくことが肝要といえます。
食品製造業界の現状
市場規模
農林水産省が実施する食品産業動態調査によると食品製造業の売上高は41.6兆で対前年度比-1.2%とわずかに減少しています。売上総利益率は 25.1%で対前年度比-2.5 ポイントと悪化していますが、売上高営業利益率は 2.9%と対前年度比は0.6 ポイント改善がみられました。
また、食品製造業界では国内市場が人口減少・少子高齢化などを背景に縮小傾向なため、成長戦略を海外進出に求める動きでした。しかし、経済産業省「海外事 業活動基本調査」によると売上高は4.6兆円で-3.2%と減少しています。平成28年度以降売上高は5兆円台で推移していましたが、年々企業数も売上高も減少しています。
食品製造業をめぐる生産・経済動向
食品製造業生産額指数は 105.2と前年比2.6%とわずかに上昇しています。平成29年以降は横ばいで推移し、令和元年から2年にか けては低下しましたが、3年には上昇に転じ、4年も上昇傾向で推移しています。
令和4年の日本の名目 GDP(国内総生産)は556兆5千億円で対前年比 1.3%とわずかに増加しています。現在は新型コロナウイルスによる経済停滞から徐々に回復傾向です。食品産業は、感染症対策の規制緩和や各種政策もあり、景気が持ち直していくことに期待されています。しかし、エネルギー価格や物価高騰など生産コストの価格転嫁、食料品価格上昇による消費の低迷など課題に直面している状態です。
競争力の強化
先述した通り、食料品は原材料の多くを輸入に頼っています。原油価格高騰による物流コスト上昇、円安による輸入コストの増大、コロナ禍による生産体制の縮小、ロシア・ウクライナ情勢の影響などのコストの上昇が懸念されています。政府としては上昇分を価格に適正に転嫁できるよう取り組んでいます。
その他にも世界的に消費者の健康志向や環境志向等、⾷の価値観が多様化している中でフードテックを活用した新たなビジネスの創出に関心が高まっています。
食の安全性と環境問題
食中毒や異物混入など食の安全性が脅かされる事故が起こっており、食の「安心・安全」は食品製造業にとって重要な事柄です。近年はJFS規格は⽇本発の⾷品 安全管理に関する認証規格やHACCPの考え⽅を取り⼊れた衛⽣管理を包含するJFS-A規格、HACCP に基づく衛⽣管理を包含するJFS-B規格、 国際取引にも通⽤する⾼⽔準のJFS-C規格が設けられ国内取得は年々増加しています。
今後、JFS規格の更なる普及により、我が国の⾷品安全レベルの 向上や⾷品の輸出⼒強化が期待されています。
環境問題に関しては⾷品ロスを削減するため、商品棚の⼿前にある商品を選ぶ「てま えどり」を呼び掛ける取組、プラスチック使⽤製品産業廃棄物等の排出抑制と再資源化などが求められています。
食品製造業界のM&A動向
1.大手企業による海外を視野に入れたクロスボーダーM&Aが増加
日本の市場が小さくなる予測に対して、大手の企業は海外市場に目を向けたM&Aに取り掛かっています。海外企業をM&Aで取得する目的には、対象国での事業領域の拡大や、保有する販路の確保、自社技術を活かした製品の提供などを掲げています。
対象国の多くは、ASEANに属するアジアの国へのM&Aです。日本企業は、経済成長の過程で変化する食品需要に、自国で培った技術を活かせると捉えて、海外企業のM&Aに取り組んでいます。
2.同業者同士のM&A
製粉、製油、製糖といった素材型の食品製造業は規模が大きことでスケールメリットを得やすいという特徴があります。そのため同じ素材型の企業をM&Aし多角化に向けた動きが活発に行われています。
また、食品製造業界に属する事業者の99%が、零細・中小企業で占められています。食品製造を展開する小規模な事業者の多くは、原油価格の高騰による製造コストの上昇や、原料の価格上昇などには対応できていません。そのため機械化の導入による生産性の向上と効率化や、製造計画の見直し・ネット利用での情報共有による製造ロスの低減などで、製造にかかるコストを抑えられますが、中小の会社の多くは潤沢な資金を確保できていません。
そのため、中小の会社は事業運営の継続が難しいと判断し、M&Aを用いて同業・新規参入・ファンドなどへ会社譲渡を行い、不足する資金・経営支援を受けて、相乗効果による業績の改善を図っています。
3.異業種からのM&Aの増加
異業種からのM&Aも見られます。近年、健康志向の高まりがあり健康食品やバイオ分野など新たなシナジーの創出を目指したM&Aが行われており、健康志向の需要は大きいです。
他にも食品製造企業には特定のマーケットに強みを持っているにも関わらず、後継者不足や経営不振などの企業も多くあります。そういった企業は多くの業種から注目される可能性が高いです。
食品製造業のM&Aは幅広い視点から買い手を探すことで、自社にふさわしい買い手を見つけることができる可能性が十分あります。
食品製造業界のM&Aメリット
売り手側のメリット
後継者問題の解決ができる
食品製造業界では、事業規模の小さい会社が大半を占めているので、経営者の年齢が60歳を超えている割合も高く、後継者を見つけられずにいる企業が多いといえます。
M&A・会社譲渡を選ぶと、社外の人物を後継者に据えられるため、社内・親族から後継者を探す必要がありません。これなら、経営の担い手が見つけられない会社でも、会社の引き継ぎが行えて、事業運営が維持されます。
従業員の雇用を守ることができる
食品製造業界では、新型コロナなどの外部環境による影響で、事業の継続が困難となり、廃業する会社も見られます。廃業すれば、社員から働く場所を奪い、各社員が養っている家族へも影響を与えかねません。
会社に尽くしくれた社員の雇用を守るなら、M&A・会社売却を選びましょう。譲渡の方法次第では、譲渡契約に合わせて雇用も買い手へと引き継がれますし、そのまま引き継がれなくても、社員から同意を得て、買い手と雇用の契約を結ぶことで、雇用は維持されます。
経営難による倒産・廃業を回避できる
食品製造業界では、新型コロナの影響をはじめ、原料の価格高騰や、設備に掛ける資金不足などで、経営を悪化させる企業が多く、頼みの綱である資金繰りもうまくいかないことで、倒産・廃業を選ぶ会社が見られます。
しかし、売上が下がっている・赤字を出している会社でも、M&A・会社譲渡は可能です。
どのような会社でもM&A・会社譲渡が完了できるとは言い切れないものの、買い手は売り手の技術・ノウハウ・人材・事業許可などの確保を目的としているので、買い手の希望に合致していれば、経営難であってもM&A・会社譲渡を済ませられます。
これなら、倒産・廃業を避けられ、事業を引き継いでもらえますし、手続き費用を工面する心配も解消されます。
大手傘下に入ることで経営地盤を安定化できる
M&A・会社譲渡で食品製造業を譲り渡して、大手の傘下に入れば、自社に勝る経営資源と経営ノウハウが共有されるので、経営地盤の安定化が可能です。さらに、両社の事業特性を組み合わせた相乗効果も期待でき、事業の成長も見込めます。
食品製造業では、中小規模の会社が大半を占めている現状から、将来の市場縮小に対応できる資金を持たない会社も多いといえるでしょう。
また、食品製造業は、他の業界と比べても、大手のシェアが低いことから、市場が縮小する今後は業界の再編が進むと予測されています。大手も限られた市場で事業を続けるなら、事業領域を大きくでき、人材・技術などが得られる既存の事業会社を買収すると見られます。
M&A・会社譲渡は双方にとって利点があるといえるので、現状の体制で食品製造業を続けても、経営が立ち行かなくなると危惧しているなら、M&A・会社譲渡をおすすめします。
譲渡益を手にできる
食品製造会社をM&A・会社譲渡で譲り渡せば、売却による対価を手にできます。事業譲渡なら会社が対価を得られるため、借金の返済・他事業への資金に充てられますし、株式譲渡なら株主が譲渡益を受け取るので、経営者が老後を過ごすための資金が得られます。
買い手側のメリット
業基盤の拡大によるスケールメリット享受
スケールメリットとは規模のメリットとも呼ばれています。事業拡大によって生産性の向上や効率が上がったり、知名度が上がる効果のことです。
M&Aにより企業を買収することで経営ノウハウや生産能力、収益などを手に入れることができます。また、仕入れも1つの会社で大量に仕入れることができるためコスト削減が期待できます。
新規販売チャネルの獲得
国内は人口減少により市場拡大が困難になっています。そのためM&Aで海外への進出を目指す動きが活発になっています。
海外展開するには輸出の方法もありますが、プランディングができていない地域での販売先探しや市場でのプレゼンス獲得には膨大な手間と時間がかかります。
M&Aにより海外企業を買収することができれば相手先の持つ販売チャネルやノウハウを獲得することができます。
新規製造・物流拠点の獲得による商圏拡大
食品の種類にもよりますが、製造拠点の拡大は大きなメリットになります。
食料品は一般的に品質を維持できる期間が短いため製造拠点から遠方にある販売元への配送が難しいケースが多いです。
そのため販売するエリアを拡大するためには、製造拠点が必要になってきます。新設となると土地の獲得から設備投資、従業員の採用と非常に多くの手間と時間がかかります。
M&Aで買収することで迅速な対応が可能になります。
食品製造業界の売却価格
売却価格の決め方
M&Aにおける売却価格決定の目安となる企業価値評価(バリュエーション)の方法は以下の3体系があり、それぞれの概要を説明します。
インカムアプローチ
企業の将来の収益やキャッシュフローの予想を指標としながら企業価値を評価する計算手法です。企業の将来性が重視され、高い評価を受ける可能性があります。ただし、将来の収益見込みは事業計画書をベースとするので、計画策定者の恣意性がネックとなりますです。
マーケットアプローチ
上場している類似企業を比較対象として企業価値を計算する手法です。株価は、経済の景気動向や他社との競争環境などが反映されるため、フラットな視点で判断できますが、市場の影響により評価が変動することと類似する会社がないと適用できない面があります。
コストアプローチ
企業の純資産における時価評価額などを基準にしながら、企業価値を算定する手法のことです。貸借対照表の純資産額を基準としており、算出された価値が客観性に優れています。買い手と売り手の双方が納得感を持って交渉に臨めることがメリットです。中小企業の場合、上場企業とは違うため市場価値の算定が難しく、将来的な事業予想も立てづらいといったことがデメリットとして挙げられます。
売却成功のタイミング
業界再編
再編が行われている業界では、現在が会社を高く売るのに適しています。その中でも、売主候補企業が減った段階が売り手市場になっており、最も良いタイミングといえます。
しかし、業界再編は永遠に続かないため売り惜しみに注意しましょう。
景気が良い
景気によって売却価格は変動します。景気が良いタイミングほど企業は高く売れます。逆に買収したいという企業が複数現れても景気が悪くなれば、そういった企業もいなくなってしまいます。
経営者が元気なうちに
M&Aは時間がかかります。経営者が元気な時にできるだけ早く進めていくことが大切です。
経営者が体調を崩したなど売却が必要に迫られた状態の場合、価格よりも売ることを優先させることになってしまいます。
食品製造業界同士のM&A事例
食品製造業界では、下記のような企業がM&A・会社譲渡に取り組んでいます。
ヨシムラ・フード・ホールディングスによる細川食品及び細川フーズの株式取得(子会社化)
2022年9月、ヨシムラ・フード・ホールディングスによる細川食品及び細川フーズの株式取得(子会社化)を発表しました。
ヨシムラ・フード・ホールディングスは食品の製造及び販売をおこなう中小企業の支援・活性化を目的とし、各子会社に対しては、セールス・マーケティング、生産管理、購買・物流、 商品開発、品質管理、経営管理、海外展開といった機能ごとに横断的な管理をおこなう経営支援をおこなうことで、国内外の優れた食品企業を存続・成長させ、商品・雇用・取引先を守り、地域経済の維持及び発展に貢献しています。
細川食品及び細川フーズは香川県三豊市に工場を構え、国産野菜を使用したかき揚げ、 チヂミなどの冷凍総菜や、赤飯などの冷凍米飯製品を製造する企業です。
ヨシムラ・フード・ホールディングスは経営ノウハウの共有や中小企業支援プラットフォームによる支援体制を構築し、両社のより一層の成長を目指していくとしています。
参考:株式会社細川食品及び有限会社細川フーズの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
富士吉田キユーピーをはくばくへ全株式を譲渡
2021年6月、富士吉田キユーピーをはくばくへ全株式を譲渡すると発表しました。
富士吉田キユーピーは各種調味料、各種調理食品の製造販売を行っています。
はくばくは精麦、雑穀、乾麺、麦茶、製粉等の食品製造販売を行っています。
キユーピーは、2019年6月に富士吉田キユーピーの株式49%をはくばくに譲渡し、富士吉田キユーピーは、はくばくとの合弁会社となりました。その後、両社で協業を進めてまいりましたが、キユーピーは、得意分野に集中するため、富士吉田キユーピーの全株式を譲渡することとしたとしています。
参考:富士吉田キユーピー株式会社 株式会社はくばくへ2021年6月末に全株式を譲渡
不二製油グループ本社株式会社による子会社のM&A・会社譲渡
植物性油脂・業務向けのチョコレートの開発・生産・販売事業会社などを束ねる不二製油グループ本社株式会社は、2020年の5月に、連結子会社・トーラク株式会社が発行するすべての株式を、丸大食品株式会社に譲り渡す契約を結びました。
不二製油グループ本社株式会社は、変化が訪れている日本市場での成長と事業特性の強化にまい進するため、お土産の販売で高いブランド性を確立しているを対象子会社のM&A・会社譲渡を実施すると発表しています。
参考:連結子会社の異動(持分譲渡)に関するお知らせ
株式会社ポテトかいつかのM&A・会社譲渡
さつまいもの加工卸と直営販売事業を展開する株式会社ポテトかいつかは、2020年の4月に、J-GIA1号投資事業有限責任組合と個人の株主によって、保有する自社の株式をカルビー株式会社へ譲り渡したことで、対象会社の完全子会社へと変わりました。
株式会社ポテトかいつかは、M&A・会社譲渡を選び、自社が有するさつまいもへの知見・技術と、対象会社の馬鈴しょに関する品種開発・貯蔵技術を組み合わせた事業の発展を図る方針です。
参考:株式会社ポテトかいつかの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
日清オイリオグループ株式会社によるM&A・会社譲渡
油脂や油かすの油糧事業などを手掛ける日清オイリオグループ株式会社は、2020年の3月に、株式会社J-オイルミルズと搾油事業での業務提携を結びました。
両社は日本市場の規模縮小に鑑みて、原油・油粕の製造を範囲とする業務提携を結ぶことで、国外からもたらされる輸入品への対抗策を講じ、国際的な競争力を維持する方針です。
参考:日清オイリオグループ株式会社と株式会社J-オイルミルズ 共同新設分割(簡易分割)に関するお知らせ
異業種と食品製造業界のM&A
ニイカタによる社バイオバンクの異動を伴う株式取得
2023年3月、ニイカタによる社バイオバンクの株式を取得、子会社化を発表しました。
ニイカタはフードビジネス業界向けの化成品事業が主事業であり、業務用洗剤・洗浄剤及び固形燃料等の製造・販売を行っています。
バイオバンクは、岡山市に本社を置く乳酸菌発酵製品の製造販売を手掛ける会社です。野菜や果物・海藻・キノコなどの植物原料を乳酸菌で発酵させた発酵エキスを製造し、その発酵エキス を使用して研究開発した健康食品・化粧品等を日本はもとより海外約 30 カ国へ販売しています。
ニイカタはバイオバンクを子会社化することで、一歩進んだ健康を支える事業展開が見込まれ、当社の業容の拡大と当社グループの企業価値向上を図るとしています。
参考:子会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ
株式会社浅野屋のM&A・会社譲渡
軽井沢に本店を構えベーカリー事業などを展開する株式会社浅野屋は、2020年の6月に、日本みらいキャピタル株式会社の特別目的会社を介して出資を受けました。
M&A・会社譲渡により株式の保有割合は、特別目的会社が80%、株式会社浅野屋の前経営者が20%へと変わっています。
株式会社浅野屋は、対象会社の事業展開・社員の育成に関するノウハウを提供してもらい、経営を担う人材の派遣や、工場などへの投資などの支援も受けて、会社の成長を図る方針です。
参考:株式会社浅野屋への投資に関するお知らせ
食品製造業界のクロスボーダーM&A
キリンホールディングスによる豪州の健康食品会社Blackmores Limited社の株式取得(子会社化)
2023年4月に、キリンホールディングスによる豪州の健康食品会社Blackmores Limited社の株式取得(子会社化)を発表しました。
キリングループは「食領域」と「医療域」に並ぶ「ヘルスサイエンス事業」を立ち上げ、次世代の成長の柱として育成しています。発酵・バイオテクノロジーを強みとして最大限に活用、国内外で事業拡大を行っています。
Blackmoresは90年以上の歴史を有する豪州最大のサプリメントなどの健康食品(ナチュラル・ヘルス)事業を展開する企業です。主に「サプリメント・粉ミルク」「医療機関向けサプリメント」「ペット向けサプリメント」プランドをアジア・パシフィックにて展開しています。
キリングループは健康に関する社会課題の解決を通じでグローバルでの成長を目指すキリンの考え方とBlackmoresの考え方が共通していること、ヘルスサイエンス事業の継続的な成長実現と、ジナジー創出により多くの健康に関する社会課題を解決していくとしています。
参考:豪州の健康食品(ナチュラル・ヘルス)会社Blackmores Limited社の株式取得 (子会社化)に向けた契約の締結に関するお知らせ
森永乳業による米国の植物由来食品製造企業の買収(子会社化)
2023年2月に、森永乳業の連結子会社である Morinaga Nutritional Foods, Inc.が、米国の植物由来食品(Plant-Based Foods 以下、PBF)製造企業である Turtle Island Foods, SPCの株式を 100%保有する持株会社である Turtle Island Foods Holdings, Inc.(以下、Turtle Island Foods 社)の全株式を取得し、完全子会社化を発表しました。
森永乳業グループ は10 年ビジョンの一つに、「世界で独自の存在感を発揮できるグロー バル企業へ(2029 年3月期までに海外売上高比率 15%以上)」を掲げ、海外事業方針の一つとし て、北米市場における PBF 事業の拡大に取り組んでいます。
Turtle Island Foods 社は、米国を中心に、大豆原料をベースとした PBF の製造・販売事業を 展開しています。
豆腐を含む PBF 市場は今後も持続的な成長が見込まれ、大きな ポテンシャルがある市場と捉えています。これまで培っ てきた知見を活かし、米国市場においてPBF 事業の更なる拡大を目指していくとしています。
参考:米国 Turtle Island Foods, Holdings, Inc.の買収(子会社化)に関するお知らせ
アメリカの株式会社メグミナットによるM&A・会社譲渡
アメリカで質の高い有機納豆の製造と販売を展開する株式会社メグミナットは、2020年の5月に、株式会社納豆へ、株主が保有する自社の株式をすべて譲り渡しています。
株式会社メグミナットは、対象会社の傘下に加わることで、納豆事業での相乗効果が得られるとしています。また、傘下入りはするものの、対象会社はアメリカ市場での事業を大きくさせる目的を掲げているため、アメリカでの独立した事業展開が維持されます。
食品製造業界のM&A・会社譲渡の相談におすすめの仲介会社
食品製造業界のM&A・会社譲渡を検討する際は、M&A仲介会社など専門家に相談することををおすすめします。
M&A仲介会社などM&A支援を行っている専門家は多数あり、それぞれ特徴や強みがあるので、自社と同業・同程度の事業規模で仲介経験があるか、サポート体制や報酬体系はどのようになっているかなどをよく確認することが大切です。
M&A総合研究所は、中堅・中小規模の案件を扱う仲介会社です。さまざまな業種で成約実績を積み重ねており、M&Aアドバイザーによる一貫支援を行っています。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
食品製造会社のM&A・会社譲渡の際は、M&A総合研究所へご相談ください。無料相談はお電話・メールフォームで受け付けております。
まとめ
食品製造業界について、業種の概要や、M&A・会社譲渡の動き、業界の未来予想などを取り上げました。食品製造業は、原料を加工して川下の業者に供給する事業を担い、複雑な流通構造の中で、安全性への配慮などが求められる業種です。
現状では市場規模がわずかに増加しているものの、今後は人口の減少などから市場が縮小すると見られていますし、海外企業へのM&Aや、経営難を理由とした中小企業のM&A、廃業・倒産の増加も予想されます。
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