M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年6月19日更新業種別M&A
飲食店の売却・譲渡とは?居抜きでの売り方、注意点、金額の決め方も解説
飲食店の売却方法には、株式譲渡や事業譲渡、居抜き、スケルトンなどさまざまなものがあります。本記事では、飲食店の売却・譲渡金額の決め方、居抜きによって売却する場合のメリットと注意点、飲食店の売却・譲渡をスムーズに行うポイントなどを解説します。
目次
飲食店の売却・譲渡とは
飲食店の売却・譲渡金額は、さまざまなポイントを考慮して決められます。また、売却・譲渡金額は、株式譲渡や事業譲渡などのM&A手法を用いるか、居抜きやスケルトンといった方法をとるかによっても変わってきます。
本記事では、飲食店の売却・譲渡金額の決め方、居抜きによって売却する場合のメリットと注意点、飲食店の売却・譲渡をスムーズに行うポイントを解説します。
飲食店とは
飲食店とは、料理・ドリンク・アルコール飲料を顧客に提供し、顧客に店舗内で飲食してもらう店舗をさします。
飲食業界は、外食業界・中食業界・内食業界の3つに分類され、外食業界には店舗内で飲食をする店、中食業界は持ち帰りやデリバリーサービスを提供する店が該当します。
また、内食業界とは自炊のための材料を提供している業界です。飲食店は飲食業界の外食業界に該当しますが、なかには店舗内での飲食と持ち帰りサービスの両方を提供しているケースもあります。
売却・譲渡とは
飲食店の売却・譲渡は、M&A仲介会社などの専門家によるサポートをしてもらいながら、買い手となる企業や個人を探したり、条件交渉を行ったりして進めていきます。
飲食店を売却・譲渡する際には、造作譲渡(居抜きでの売却)、M&Aによる株式譲渡や事業譲渡といった手法を用いるのが一般的です。
造作譲渡(居抜きでの売却)は、厨房機器・設備や内外装などを含め売買を行ったり、無償で譲渡を行ったりする方法です。
株式譲渡とは、株式の売買によって会社の経営権・支配権を渡す手法であり、手続きを簡潔に進められるため、事業に支障が出にくいなどのメリットがあります。
ただし、個人経営の飲食店など株式を発行していない場合は、当然のことながら株式譲渡を用いることはできません。一方の事業譲渡は、飲食店の事業用資産を売買するので、個人経営の飲食店でも売却・譲渡が可能です。
しかし、事業譲渡の場合は許認可や各種契約が買い手に引き継がれないので、買い手は許認可を取得し、従業員や取引先などとあらためて契約を結ぶ必要があります。
売却と譲渡の相違点
売却と譲渡では、何が違うのでしょうか。簡単にいうと売却する範囲が異なります。居抜きでの売却は、今まで営業していた飲食店の内装や外装、設備などを残した状態で売却します。
その場合、店舗物件に加えて、設備や造作物にも価格がつきます。ただし、M&Aの株式譲渡や事業譲渡のような経営権や営業権の権利は譲渡されません。
一方、M&Aの株式譲渡や事業譲渡の場合、売却の範囲は企業や事業となり、経営権や営業権も譲渡範囲に含められます。そのため店舗物件や内装設備に加え、飲食店のノウハウ・ブランド・従業員といった事業価値も売却の対象になります。
飲食店の売却・譲渡を考える背景
飲食店の事業主が売却・譲渡を考える背景は、以下のとおりです。
- 運転資金が底を尽きてしまった
- 体調不良に悩まされている
順番にみていきましょう。
運転資金が底を尽きてしまった
赤字が続いた場合でも、家賃や仕入れ、人件費などの運転資金のやりくりができるのであれば、倒産する可能性は少ないでしょう。
しかし、開業して黒字に転換するまでにかかる運転資金の予算の見込みが甘かったり、経営不振が続いたりしてしまうと、閉店を検討する必要が出てくるかもしれません。
体調不良に悩まされている
個人経営の飲食店場合は、経営者が健康であるのが一番重要です。黒字経営が続いていても、経営者が体調不良に悩まされていると、店を経営していくのが困難となります。
そのため、代理で経営をお願いできる人が見つからない場合は、閉店を検討する可能性が出てくるでしょう。
飲食店の売却・譲渡の種類と特徴
飲食店の売却・譲渡には、以下の3種類の方法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
- 造作譲渡(居抜きでの売却)
- 事業譲渡
- 株式譲渡
①造作譲渡(居抜きでの売却)
居抜きとは、内装や設備などはそのままに店舗を売買する方法をいい、居抜き物件とは内装や設備を残したまま売りに出している物件のことをさします。そのため造作譲渡は、内装や設備などを残したまま買い手に売却する方法をいいます。
株式譲渡や事業譲渡による売却の場合、事業を継続したまま売却・譲渡を行いますが、造作譲渡(居抜きでの売却)の場合はすでに廃業・倒産した物件を売却する点が異なります。
また、居抜きと似たような売却方法にスケルトンがありますが、スケルトン物件の場合は内装や設備はすべて片付けてから売却します。
売却先を探す方法
居抜きで売却先を探す方法として、2つあります。まずは、自分の知人や紹介をしてもらう方法です。この場合は売却先がすでに決定しているため、貸主の許可があれば、直接、個人対個人で売買が可能です。
次に、居抜きの専門業者に相談する方法です。売却先が未定の場合は、自分で売却先を探したり、交渉したりするのは非常に困難なため、専門家へ依頼するのがベストです。
②事業譲渡
事業譲渡は飲食店が所有している事業の一部、あるいは全部を第三者に譲渡する方法です。ただし、債権や債務が自動的に移転するわけではありません。
譲り渡すのが一部の事業である場合は「一部譲渡」、すべてを譲渡する場合は「全部譲渡」といった手法があるなど、状況次第で使い分けられます。
③株式譲渡
株式譲渡は飲食店の株式の一部、あるいは全部を法人あるいは個人へ保有する株式を譲渡する手法です。この株式譲渡の手法は個人事業主ではなく、法人企業の選択肢のひとつです。経営者自身が株主である場合、売却益は経営者個人のものとなります。
飲食店を売却・譲渡するメリット
飲食店を売却・譲渡するメリットは、それぞれの手法によって異なります。
- 造作譲渡(居抜きでの売却)を選ぶメリット
- 事業譲渡を選ぶメリット
- 株式譲渡を選ぶメリット
①造作譲渡(居抜きでの売却)を選ぶメリット
居抜きで店舗を売却するメリットは、店舗内を整理する資金や手間が節約できる点です。
通常、飲食店を閉店する際は原状回復工事が必要になります。居抜きの場合でも、売却しやすいように清掃などある程度のメンテナンスを行うことはありますが、スケルトンのようにすべて片付ける手間と資金を考えると、かなり手軽に済ませられます。
また、株式譲渡や事業譲渡による売却の場合、事業のノウハウや従業員の引き継ぎなどの手間がかかりますが、廃業・倒産した状態で売却する居抜きの場合はそれらの手間が必要ありません。
そのほか、通常では閉店するときは賃貸借契約を終える数ヶ月前までに契約解除の申請をしなければなりませんが、居抜きによる売却・譲渡の場合は次の契約者が決まっているので、賃貸借契約の解除を短期間で行うのが可能です。
さらに、居抜き物件の状態や立地などによっては、多くの売却・譲渡益を得られる可能性があります。ただし、居抜き物件の内装や設備が古くなっている場合、なかなか買い手が付かなかったり交渉が難航したりする可能性もあります。
改修が必要な箇所は事前に直しておいた方がよい場合もあるので、仲介を依頼する専門家に相談するなどして対応しておくのが大切です。
居抜きが売却・譲渡される理由
昨今は居抜き物件の売買が人気ですが、以前までは居抜き物件を買い取っても、結局内装を大幅に改装しなければうまくいかないと考える関係者が大半でした。
しかし、近年は居抜きによるチェーン展開で急速な成長を果たす企業が注目されるようになったことから、居抜き物件の買い需要が高くなっています。
それに伴い居抜き物件が売却しやすくなり、売却案件も増加しています。また、居抜き物件の注目度が上がったことによって居抜きによる売却・譲渡のメリットが広く認知されるようになったことも、居抜きによる売却・譲渡の増加に影響しているでしょう。
②事業譲渡を選ぶメリット
事業譲渡は売りたい事業を単体で切り離せるうえ、資産として事業を売買できるため株式を必要としません。複数の飲食店を経営している経営者であれば、その中で不採算事業のみ事業譲渡を行えれば売却益を獲得しつつ、店舗の整理が可能です。
また会社の経営が立ち行かなくなった場合、特定の飲食店を存続させるために事業譲渡を活用するのもできるでしょう。
個人経営で行っている株式を持たない飲食店の場合、事業譲渡のようなM&Aが有効的な手段となります。事業譲渡は現金で資産を売却できるため、個人事業でもM&Aが実行できるメリットがあります。
③株式譲渡を選ぶメリット
経営者が株式をすべて売却したい場合には、すべての資産が株式譲渡によって移動します。事業譲渡に比べ売却益も株式譲渡は高めになる可能性があります。
また、株式譲渡はそのまま店名や社名を残したまま存続させられるため、後継者難で経営を手放すなどの場合は大きなメリットが得られるでしょう。
飲食店を居抜きで売却・譲渡する際の流れ
飲食店を居抜きで売却・譲渡する際の流れはどのようになっているか見てみましょう。基本的に以下の流れとなっています。
- 契約書やリースの確認
- 専門家に相談
- 貸主の承諾
- 現地調査や査定
- 購入希望者を募集
- 条件交渉
- 造作譲渡契約の締結
- 物件の引き渡し
①契約書やリースの確認
売却・譲渡が可能な物件かを契約書でチェックします。チェックする項目は、貸主への解約予告や原状回復の義務です。他にも飲食店の場合は、厨房機器などをリースしている場合もあるため、契約書を確認します。
②専門家に相談
契約書に原状回復義務の記載がある場合、売却ができないため貸主と交渉をしましょう。また不明な点があれば、まず専門家に相談するのが良いでしょう。
③貸主の承諾
居抜きで売却や譲渡を行う場合は、貸主に造作譲渡の承諾を得ないと先に進めません。契約上、特に問題がない場合でも必ず得るようにしましょう。
④現地調査や査定
専門家に依頼をし、現地調査や価格の査定をします。この際、査定をしてもらうだけでなく、引き渡す物品などのリストも作成してもらいます。売却・譲渡を進める際に、査定で交渉が難航する可能性もあるので、専門家選びは慎重に行う必要があります。
⑤購入希望者を募集
専門家は、購入希望者を募るためインターネットなどで募集したり、会員制のクローズした中で募集したりします。
⑥条件交渉
購入希望者と面談し、物件の内覧、売却条件などの交渉が行われます。条件交渉は、直接購入者と交渉するのはほとんどなく、専門家を介して行われるのが一般的です。
⑦造作譲渡契約の締結
条件交渉後、買主が確定したところで、契約締結の作業に進みます。ここまで進むと最終段階に入ります。まず、売り手と買い手と造作譲渡契約を締結します。
⑧物件の引き渡し
貸主と買主が賃貸借契約を締結します。それと同時に、自身と貸主との賃貸借契約の解約を行います。最後に、物件を引き渡しが行われます。
飲食店の居抜きでの売却・譲渡を成功させるコツ
飲食店の居抜きでの売却・譲渡を成功させるコツがいくつかあります。まず、前述のとおり、「貸主の承諾が必要」です。通常、賃貸借契約は原状回復が義務付けられており、造作を残した居抜きの引き渡しは認められませんが、条件次第で居抜きを認める貸主も増加しています。
次に、買い取り希望者との価格交渉は、専門家が査定したものが売却価格とは限りません。売り手と買い手で交渉をする必要があります。重視されるポイントは、立地です。立地が良いと希望者が多く、優位に交渉を進められます。
造作で最も重視されるポイントが、エアコンやダクトといった厨房のシステムです。一方、内装は買い手によっては売却価格に反映されない可能性もあります。
リース期限がまだ残っている設備は、売却ができません。そのため残債を支払いなど、手続きを進めていきます。また従業員を雇っている飲食店は債務整理前後に誠意をもって対応する必要があります。
居抜きで飲食店を売却・譲渡をする際は、専門家に相談するのがおすすめです。飲食店を居抜きで売りたいと検討している場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。
飲食店の売却・譲渡後の廃業に伴う手続き
事業が終わった後はそれで終わりではなく、以前の事業に関連する費用が発生します。まずは、飲食店の売却・譲渡後の廃業に伴う手続きを順に見てみましょう。
- 廃業届の提出
- 事業廃止届出書の提出
- 青色申告の取りやめ届出書の提出
- 所得税・復興特別所得税の予定納税額の減額申請
①廃業届の提出
飲食店で廃業した場合、「個人事業の開業・廃業等届出書」を、廃業した日から1ヶ月以内に所轄の税務署に提出し、都道府県税務署にも廃業届を提出します。廃業が決定し、廃業日を設定するポイントとして、できるだけ年末に近い日程で設定するのがおすすめです。
②事業廃止届出書の提出
事業廃止をする前に消費税を支払っていた場合は、消費税の課税事業者、課税事業者であるため、課税売上に当たる所得がない場合は、「事業廃止届出書」を提出しなければなりません。
③青色申告の取りやめ届出書の提出
青色申告を行っている場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を、事業を廃止する年の3月15日までに所轄の税務署に提出しましょう。ただし、この書類は廃業届と同時に提出できますので、一緒に提出した方が良いでしょう。青色申告書を取りやめようとする理由の記載は、「廃業のため」とします。
④所得税・復興特別所得税の予定納税額の減額申請
予定納税をする事業主が廃業する際、納税額が多額になると予想される場合は所轄の税務署長宛てに予定納税額の減額の申請を行えます。申請書を提出後承認が得られれば、予定納税額は減額されます。また減額申請は、期限が設定されているので注意が必要です。
飲食店を売却・譲渡する際の注意点
飲食店を売却・譲渡する際は、注意すべき点があります。
- 店舗の状態を把握する
- 害虫などの被害を知る
- 必ず譲渡契約を交わす
- 自己破産申請を行うならば譲渡タイミングを調整する
- 居抜きの売却では契約書にリストを添付する
- 相手側に虚偽の情報を伝えないようにする
①店舗の状態を把握する
居抜きで飲食店を売却・譲渡する場合、店舗の状態で外せないポイントがあります。それは「空調」と「水回り」です。
壁や厨房機器であれば、汚くても低予算で綺麗にできますが、トイレ・水道・ダクト・エアコンといった空調と水回り関係は、改修が必要な場合多額の費用と時間がかかります。
空調と水回りに問題がある場合、買い手が購入を断念する可能性は高くなるため、売り手は店舗の状態を把握し、必要なメンテナンスを行っておくのが重要です。
②害虫などの被害を知る
買い手にとって開店前のトラブル発生は非常にダメージが大きいので、売り手はトラブルの可能性をつぶしておくのが大切です。
主なトラブルには以下のようなものがありまず。買い手に購入を決断してもらい、トラブルなく契約まで進めるには、トラブルの可能性をリスト化して事前にチェックしておくのが有効です。
- 水漏れ・水の詰まり
- 虫・ネズミの発生
- 空調が効かない
- 厨房からの異臭
③必ず譲渡契約を交わす
親族間での事業譲渡は、無償で行われるケースが多くあります。しかし無償の場合でも口約束ではなく、書面での契約書を締結するのが大切です。書面で契約書を締結する大きな理由は、将来トラブルの元となるのを避けるためです。
詐欺の回避や誤解、不測の事態などさまざまなトラブルにより生じる損失の責任を明確にしておくことで、損失や責任を負わされないようにするためです。また契約書を締結する場合は、署名と押印の双方を、立会人のもと実施しましょう。
④自己破産申請を行うならば譲渡タイミングを調整する
自己破産申請を行う場合は、事業譲渡が否認されないよう、譲渡のタイミングを調整する必要があります。事業譲渡後に自己破産申請をする場合、事業譲渡契約が破産直前に行われた濫用的なものとみなされ、事業譲渡を否認される(取り消される)ケースがあります。
⑤居抜きの売却では契約書にリストを添付する
居抜きの売却では、売り手側と買い手側で売買後のトラブルを避けるためにも、契約書に資産の一覧など、リストを添付するようにしましょう。またリース物件は造作譲渡の対象にはできないため、明確に分けておく必要があります。
⑥相手側に虚偽の情報を伝えないようにする
飲食店を売却・譲渡する際は、事業譲渡、株式譲渡、造作譲渡に関係なく、買い手側に虚偽の情報を伝えないようにします。虚偽や隠ぺいはいずれ発覚し、最悪の場合は訴訟問題に発展します。売り手は正確な情報を伝え、誠実な対応で進めるようにしましょう。
飲食店の一般的な売却・譲渡価格
個人経営の飲食店を1店舗売却・譲渡する場合、売却・譲渡価格は1,000万円以内で収まっているケースがほとんどであり、同じ規模の飲食店を新規に立ち上げることに比べれば資金と時間は大幅に削減できます。
そのため、近年は飲食店を個人が買い取って起業するケースが増加しています。国や地方自治体が経営者の高齢化による廃業を防ぐために事業承継の推進策を次々と打ち出していることも、飲食店の売却・譲渡数増加に影響していると考えられます。
また、飲食店の事業譲渡をサポートしているM&A仲介会社の仲介手数料が安くなってきていることも、売却・譲渡価格と無関係ではないでしょう。
飲食店の売却・譲渡金額の決め方
飲食店の売却・譲渡金額はさまざまな要素を勘案しながら、売り手と買い手の交渉によって決めていきますが、特に以下4つの条件が売却・譲渡金額に影響します。
- 立地条件
- 店舗の規模
- 清潔感・評判
- 銀行などの金利
①立地条件
飲食店の経営では立地が売上を大きく左右するので、売却・譲渡金額にも大きく影響します。一般的に、売却・譲渡金額が高くなりやすい立地条件は最寄り駅までの近さであり、1日の利用客数が多い駅の近くであるほど、売却・譲渡金額は高くなります。
また、国道沿いのような交通量が多く道幅が広い立地の場合も、売却・譲渡金額は高くなる傾向にあります。そのほか、店舗の近隣にどのような施設があるかの点も売却・譲渡金額を決める重要なポイントになります。
②店舗の規模
飲食店の売却・譲渡金額には、店舗の規模や構造も影響し、店舗を内見する際は建物自体の大きさだけでなく、間口と奥行きのバランス・天井の高さ・入り口の大きさ・通路の幅・厨房やトイレの位置などもチェックされます。
買い手がイメージしている建物構造に近いほど手直しにかかるコストが少なくなるので、売却・譲渡金額にも反映されることとなります。
③清潔感・評判
清潔感や評判は、以前よりも重要性が増しています。SNSの普及により口コミが広がりやすくなり、口コミを参考にお店を訪れる人も少なくないからです。
また、お店の評判は従業員の採用にも影響します。慢性的な人材不足が続く飲食業界では、顧客だけでなく働き手もお店の評判・口コミを参考に働くお店を探すケースが多いため、評判の悪いお店は従業員の採用にも苦労するでしょう。
清潔感に関しては特にトイレの清潔感が大事であり、改修が必要な場合はそのコストが売却・譲渡金額にも影響します。
④銀行などの金利
金融機関から融資を受けている場合は、金利や返済残高も売却・譲渡金額と無関係ではありません。買い手側は事業譲渡によって飲食店を取得する場合、取得する資産を選別できるので、売り手側の債務を背負う必要はありません。
しかし、株式譲渡の場合は債務も含めてすべて引き受けなければならないので、売り手の返済残高や金利は重要なポイントになります。
一方で、売り手側は事業譲渡によって飲食店を売却する場合、債務の返済金額も飲食店の売却・譲渡益でまかないたいと考えるため、債務残高が多いほど希望の売却・譲渡金額が高くなる傾向にあります。
飲食店の売却・譲渡は居抜きだと高く売れるのか?
近年、個人の出店から大企業のチェーン展開まで、幅広く活用されているのが居抜きといった方法です。買い需要が高まっている居抜き物件ですが、居抜き物件であれば何でも高く売れるわけではありません。
内装が老朽化していたり設備の劣化が進んでいたりすれば物件の価値は下がります。また、立地も大きく影響し、同じ立地でも路面店かビルの上層階か、または地下かによっても価値は変わります。
物件の売却を依頼する業者選び・売却に向けた物件の整備・最適な買い手選びなど、居抜き物件を高く売るには、事前の計画的な準備が大切です。
飲食店の売却・譲渡をスムーズに行うポイント
飲食店の売却・譲渡をスムーズに行うには、以下4つのポイントを意識して進めるのが大切です。
- 自店舗を売却・譲渡する目的を明確にする
- 従業員の離職を防ぐ
- 最適な手法を選択する
- M&A・店舗売却・譲渡の専門家に相談する
①自店舗を売却・譲渡する目的を明確にする
飲食店を売却した利益でまた飲食店を始めたいのか、早く清算を済ませたいのか、飲食店経営を事業承継してお店を継続させたいのかなど、目的によって戦略は変わります。
満足のいく売却・譲渡にするためにも目的を明確にし、買い手や仲介会社に伝えるのが大事です。
②従業員の離職を防ぐ
M&A・事業承継によって飲食店を売却・譲渡する場合、従業員の存在も重要になります。
買い手はスムーズに飲食店経営を再開するためにも、すでに技術とノウハウを持っている従業員に残ってもらう必要があるため、M&A・事業承継に動揺して従業員が離職してしまわないよう、丁寧なケアが必要です。
③最適な手法を選択する
飲食店の売却・譲渡方法にはさまざまな手法がありますが、手法ごとにメリット・デメリットがあります。専門家に相談するなどしてメリット・デメリットを把握し、計画的・戦略的に手法を選択するのがポイントです。
④M&A・店舗売却・譲渡の専門家に相談する
飲食店の売却・譲渡費用を抑えるために自力で売却・譲渡手続きを進めていった結果、逆にコストがかかってしまったり、トラブルに巻き込まれてしまったりするケースは少なくありません。
信頼できる専門家に相談すると、結果的には満足のいく売却・譲渡が可能になります。
飲食店の売却・譲渡の際におすすめのM&A仲介会社
本記事でご紹介してきたようなポイントを押さえながら飲食店の売却・譲渡によるメリットを最大限享受するには、飲食業界に精通した専門家によるサポートがおすすめです。
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飲食店の売却・譲渡まとめ
本記事では、飲食店の売却・譲渡金額の決め方や、居抜きによって売却する場合のメリットと注意点、飲食店の売却・譲渡をスムーズに行うポイントなどを解説しました。
居抜きで飲食店を売却・譲渡する際は、買い手探しから始まりさまざまな交渉を重ねなければならず、多くの時間を要します。飲食店のM&A・店舗売却・譲渡を検討している場合は、早めに専門家へ依頼するのが良いでしょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。