M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新会社・事業を売る
IT統合でM&Aを成功させる方法!事例から学ぶポイント・注意点とは
M&Aのシナジー効果は、IT関連の統合作業に影響される部分も大きいため、M&Aを成功させるためにはIT統合についても重視しておく必要があります。本記事では、IT統合でM&Aを成功させる方法や、事例に基づいたポイント・注意点を解説します。
IT統合でM&Aを成功させる方法
M&A実施後は企業統合のために各事業や部署の統合を進めますが、数ある統合作業のなかで特にIT統合の重要性が高いとされています。
しかし、IT統合によるシナジー効果最大化のためには、クリアするべき障害が多いことも事実です。M&Aの規模が大きくなるほど対応・考慮すべき範囲が広くなるので、難易度も高くなる特徴もあります。
これらの障害をクリアしつつ適切なIT統合によりM&Aを成功させるためには、IT統合について理解しておくことが大切です。この章では、IT統合の基本概要やM&Aにおける重要性について解説します。
IT統合とは
IT統合とは、企業が別個に管理・運営するITシステムを統合することをいいます。複数のシステムを一元化させることで、業務の効率化に期待できます。
IT統合というとIT企業を連想することも多いですが、システムには生産・販売・在庫・経理・人事などさまざまな形があるので、ITシステムと無関係な業種は皆無ともいえます。
ITシステムはほぼすべての企業が活用しており、企業経営の中核を成しています。M&Aでは、複数以上の企業の統合を図ることによりシナジー効果の創出を狙うため、企業経営の中核であるITシステムの統合が必要になります。
IT統合がM&Aにとって重要な理由
M&Aの企業統合では、各企業が管理・運用していたシステムの統合作業が発生します。市場動向や顧客情報などの管理システムを統合すると単純に経営資源が多くなるので、M&A後の経営戦略や事業展開に幅を持たせやすくなります。
また、単純にシステムの統合を図るだけでは、何かしらの不具合を起こして関連事業の運営に支障をきたす恐れもあります。慎重にIT統合に取り組むことで、安全性を担保しつつシナジー効果の創出を図ることができます。
このように、M&Aの戦略策定はIT統合で得られる効果を前提として立てることが多く、IT統合が成功しなければM&Aが成功する見込みは薄いため、その重要性は高いといえます。
M&AのIT統合の成功と失敗
M&AのIT統合は、成功すれば高いシナジー効果を創出でき、飛躍的な企業成長を見込むことができます。しかし、IT統合に失敗すればシナジー効果どころか、大きく企業価値を落とすことにもなりかねません。
ここでは、M&AのIT統合に成功した際に得られる効果と失敗した場合の損失、それぞれのパターンを解説します。
成功した場合
まずは、M&AのIT統合に成功した場合に得られる効果です。企業経営に大きな影響を及ぼすものは以下の5点が挙げられます。
【M&AのIT統合に成功した場合】
- M&Aのリスク回避
- M&Aにおけるすべての統合作業の完了
- 企業間のセキュリティギャップの低減
- 企業間の顧客共有
- 役員・顧客を満足させられる
IT統合に成功すればM&Aのシナジー効果を得やすくなるため、M&Aの失敗リスクを回避することも意味します。ほかの統合作業も円滑に進めやすくなるため、M&A自体の成功率も高まります。
また、IT統合にはセキュリティギャップの低減という効果もあります。M&A当事会社がそれぞれ運営するシステムのセキュリティは異なるため、IT統合でギャップを低減する必要があります。
顧客情報を管理しているシステムをIT統合すると、顧客を共有することができます。業務効率化により顧客に提供するサービスの質が向上し、結果的に企業成長に繋がって役員・顧客を満足させることにも繋がります。
失敗した場合
まずは、M&AのIT統合に失敗した場合に想定される損失です。悪影響を及ぼすと考えられるものは主に以下の5点です。
【M&AのIT統合に失敗した場合】
- TSA期限不履行による損失
- 業務の中断
- セキュリティギャップから生じる被害
- 顧客情報を共有できない
- 非効率な業務による社内からの不満
TSAとは、事業やシステムをどのように移管するかを取り決める契約です。IT統合に手間取った場合、TSA契約期間を過ぎてしまい不履行となる恐れもあります。
IT統合が円滑に進められなかった場合、各部署は重複するデータ入力や情報チェックなどの無駄な作業を強いられることになります。
通常業務を中断する事態に発展することもあり、役員や従業員からの不満が爆発する可能性も考えられます。
IT統合を行いM&Aを成功させるには
M&AのIT統合を成功させるには、M&A全体のスケジュール調整が大切です。IT統合作業だけでも、現行調査やシステムのデータ移行、IT人材の研修などの工程が必要になるので、円滑なIT統合が求められます。
また、IT統合の役割や重要性を軽視してしまえば、M&Aでは明確な期限が定められているため、IT部署にかかる負担も非常に大きくなります。
IT統合を行いM&Aを成功させるためには、IT分野にも精通したM&Aの専門家に相談することをおすすめします。
M&A総合研究所は、M&A仲介事業にITノウハウを積極的に活用しており、M&Aや事業におけるITの重要性を把握しています。
案件ごとに支援実績豊富なアドバイザーがつき、ご相談からクロージングまでしっかりサポートいたします。
無料相談は随時お受けしています。M&AやIT統合にお悩みの際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。
M&Aの際にIT統合を行った事例から学ぶポイント・注意点
この章では、M&Aの際にIT統合を行った事例をピックアップして紹介します。IT統合の過程をみながら、ポイント・注意点を解説します。
【M&Aの際にIT統合を行った事例から学ぶポイント・注意点】
- みずほ銀行によるIT統合の失敗事例
- 情報機器メーカーのIT統合の失敗事例
1.みずほ銀行によるIT統合の失敗事例
2002年4月、みずほ銀行は第一勧業・富士・日本興業の3銀行のシステムを、一本化させるIT統合を実施しました。
本件では銀行同士の譲歩がなく、統合の方針が定まらない形で期限を迎えます。システムの一本化は、各銀行のホスト・コンピュータをオンライン接続して運用する形でIT統合に踏み切る形となりました。
その結果、2002年4月1日(開業初日)からATMの障害が発生します。ホスト間の通信がビジーになったことで処理能力が追い付かず、ATM停止や公共料金の二重引き落としなど大規模なトラブルを引き起こします。
4月1日時点で口座振替の遅延は10万件に達し、4月5日時点では連鎖的な未処理の発生したことにより、250万件に膨らんでいます。
二重引き落としは約3万件発生していることが発覚して顧客の混乱は長引き、事態の収拾に1ヵ月以上の期間を要しました。
IT統合に失敗した直接的な原因は、旧第一勧銀の対外接続系システムの修正ミスとされていますが、本質的な原因はシステム統合方針決定の遅れという組織的なものです。
統合方針決定に遅れがでたことで全体のスケジュール進行に無理が生じ、各システムの確認作業やテスト運用を行う期間を設けることができませんでした。
2.情報機器メーカーのIT統合の失敗事例
こちらは小規模の情報機器メーカー3社が事業規模の拡大を目的にM&Aした事例です。当初は対等合併とされていましたが、相対的な規模が突出している1社が、他2社を吸収合併する形でM&Aが実施されました。
IT統合に関しては、3社が平等に意見を出し合って方針を決定する取り決めでしたが、実際の話し合いは合併会社の主導で進められ、合併会社のシステムに合わせる形でIT統合する形で方針が決定します。
被合併会社である2社は、合併会社のシステム適用を強要されることになりましたが、システム規格の違いにより自社の事業を活かすことが難しかったため、旧システムを運用する必要性が生じてシステム関連の管理コストが倍増する結果となりました。
本件の原因は、システムの現状や問題点の調査が不十分だったことです。立場の強い合併会社が強引に要望を通した結果、IT統合の課題を正しく認識することができませんでした。
まとめ
M&Aにおいて、IT統合は欠かすことのできない重要課題です。IT統合に遅れが生じたりすれば、シナジー効果を得られずにM&Aが失敗に終わる可能性もあるためです。
M&AでIT統合を円滑に進めるためには、スケジュールに余裕を持たせることが大切です。その際はM&Aの専門家のサポートを受けると、計画的なM&A戦略を策定できます。
【M&AのIT統合まとめ】
- IT統合とは企業が別個に管理・運営するITシステムを統合すること
- IT統合がM&Aによって重要な理由はシナジー効果を最大化するため
【M&AのIT統合に成功した場合に得られる効果】
- M&Aのリスク回避
- M&Aにおけるすべての統合作業の完了
- 企業間のセキュリティギャップの低減
- 企業間の顧客共有
- 役員・顧客を満足させられる
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。