2026年1月19日更新会社・事業を売る

M&Aの買収後における社員モチベーション維持の秘訣|PMIの重要性と具体的対策

M&Aの買収後は社員の不安が大きく、離職リスクも高まります。成約後の統合プロセス(PMI)において、いかに従業員のモチベーションを維持するかが成否を分けます。本記事では、2026年以降の最新トレンドを踏まえた具体的な対策と注意点を解説します。

目次
  1. M&Aの買収後に従業員の意欲を維持すべき理由
  2. 2026年に向けたM&Aの買収後におけるPMIの最新トレンド
  3. M&Aの買収後に社員のエンゲージメントを下げるリスクと注意点
  4. M&Aの買収後に成功を収めるためのPMI(統合プロセス)対策5選
  5. M&Aの買収後における人事制度の統合と人的資本経営
  6. M&A・買収後の社員モチベーションを保つ方法まとめ
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M&Aの買収後に従業員の意欲を維持すべき理由

M&Aによる買収は社員にとって大きな変化であるため、適切に対処しなければ社員のモチベーションが下がり、さまざまな弊害が生まれる可能性があります。M&Aを実施する前は、その後起こりうる変化にはどのようなものがあるのかを、よく検討しておく必要があります。

M&Aの買収後に生じるポジティブ・ネガティブな心理的変化

M&A後の統合がうまくいけば、社員同士の一体感が生まれる、統合作業がスムーズに進む、社内ルールが違和感なく浸透する、システム統合がスムーズに進むなど、社員のモチベーションアップにつながる変化が起こります。

しかし、M&A後の統合がうまくいかなければ、意見が食い違って話が進まない、統合のための無駄な作業が増える、社内ルールの策定やシステム統合が進まないなどによって社員のモチベーションが下がってしまいかねません。

M&A後、社員のモチベーションが上がるかあるいは下がってしまうかは、社員個人個人の問題ではなく、経営陣が社員のモチベーションを上げるような環境を適切に作り出せるかどうかにかかっています。もしもM&A後に社員のモチベーションアップに失敗してしまうと、さまざまな弊害が生まれる可能性があります。

M&A・買収後に社員のモチベーション低下により起こること

M&A後に適切な環境作りができず、社員のモチベーションが下がってしまうと、以下のような弊害が生まれる可能性があります。
  • 優秀な社員の離職が続く
  • 業務の非効率化
  • 社員同士の対立
  • 経営陣と社員の対立
  • 慣れたやり方を変えられない
  • 諦めの気持ちが出てくる

M&Aの買収後に社員のモチベーションが下がると、優秀な人材の流出が加速します。特に労働移動が活発化する2026年に向けては、キーマンの離職は致命的です。主要なスキルを持つ社員が抜ければ、期待していたシナジー効果が霧散するリスクが極めて高くなります。
 

社員のモチベーション低下によって、業務が非効率化する可能性もゼロではありません。そうなってしまうと、いくら業務効率を上げるための仕組みを作っても、機能しない組織になってしまいます。そのほか、社員同士や経営陣と社員との対立が生まれる可能性もあります。一度対立が生まれてしまうと、修復には時間がかかり、事業運営にも影響が及びかねません。

なかなか統合が進まない様子をみて、経営陣が強引に統合を進めようとすれば、さらにモチベーションを低下させる可能性もあります。M&Aによる社員のモチベーション低下を防ぐためには、戦略的に統合を進めていくことが大切です。

M&A・買収後に社員のモチベーションを保つことが最重要

M&A後に社員のモチベーションを保つためには、戦略的に施策を打つ必要があります。具体的には、以下のような手順で統合を進めていくとよいでしょう。

  1. 人材交流・面識・理解
  2. 業務プロセスの結合
  3. システム統合・ITシステム・人事・給与各種・体制の統合
  4. 文化融合・一体感を感じさせる

M&A後に社員のモチベーションを保つには、まず人材交流を通じて社員同士が面識と理解を深める必要があります。M&A後の統合作業では人材交流が重要なカギです。人材交流がしっかりとできていれば、社員のモチベーションを下げることなく、業務プロセスやシステムを統合していけます。

人材交流や業務プロセス、システム統合を順番に実施することができたら、最後は文化融合を行います。文化融合は目には見えにくいものであるため、統合が難しい要素です。そのため、他の統合要素をしっかりと終えた後に行う必要があります。

【関連】M&Aで従業員に迷惑をかけない説明方法!M&Aを公表するタイミングは?| M&A・事業承継の理解を深める

2026年に向けたM&Aの買収後におけるPMIの最新トレンド

M&Aの成功を左右するPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)のあり方は、時代とともに変化しています。2026年に向けて重視すべき最新の動向を解説します。
 

ウェルビーイングを重視した人的資本経営の視点

近年のM&Aでは、単なる業績の統合だけでなく、従業員の心身の健康や働きがい(ウェルビーイング)を重視する傾向が強まっています。2025年以降は人的資本の情報開示がさらに進むため、買収後の定着率やエンゲージメントスコアを経営指標として管理することが、投資家からも強く求められます。
 

AI・デジタル技術を活用した文化融合の可視化

2026年には、生成AIや組織分析ツールを活用して、両社の企業文化のギャップを数値化する手法が一般的になります。主観的な判断ではなく、データの裏付けを持ってコミュニケーションの齟齬を解消することで、社員の納得感を高め、スムーズな文化融合を促進できるようになります。
 

多様な働き方に対応したハイブリッド型の統合支援

リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークが定着する中、対面での人材交流だけに頼らない統合支援が必須です。オンラインでのビジョン共有や、デジタルツール上での称賛文化(ピアボーナス等)の導入など、新しい働き方に最適化した環境作りがモチベーション維持のカギとなります。
 

M&Aの買収後に社員のエンゲージメントを下げるリスクと注意点

この章では、M&A・買収後、社員のモチベーションに対する3つの注意点を解説します。

  • M&A・買収されたことに対してストレスを与えない
  • 新しい経営者はきちんと説明をする
  • 部署や待遇面に対して慎重に決める

M&A・買収されたことに対してストレスを与えない

M&Aによる変化は社員にとって大きなストレスともなり、それがモチベーションの低下につながります。変化によるストレスを抑えながら統合を進めていくためには、急がず少しずつ変えていくことが大切です。

経営陣はなるべく早くM&Aの効果を得たいと考えるため、統合作業を急いでしまいがちです。M&Aによって会社が混乱している様子をみれば、なおさら統合を焦って進めようと考えてしまいます。

しかし、焦って統合を進めてしまうと余計に混乱が大きくなる可能性もあります。統合作業には順番があり、すべての土台となる人材交流をしっかりと固めておかなければ、業務プロセスやシステムの統合などもうまくいかない可能性もゼロではありません。まずは社員にストレスを与えないよう、人材交流ができる環境を作ってから進めていくと効果的です。

新しい経営者はきちんと説明をする

M&Aに対して、社員は大きな不安を抱えています。頭ではM&Aの必要性やM&A後の変化を理解していたとしても、感情がついていかない社員も少なくありません。経営陣は、M&Aがもたらす長期的な「パーパス(存在意義)」を丁寧に伝える必要があります。2026年以降のビジネス環境において、社員は単なる条件面だけでなく、社会的な貢献や自己実現の可能性に高い価値を置くようになっています。

  • 待遇や諸条件の魅力
  • 組織風土・人材の魅力
  • 事業・仕事内容の魅力

多くの社員はM&Aによって待遇や諸条件が悪くなるのではないかと不安を感じるため、経営陣はM&A後の待遇や諸条件の説明を丁寧に行う必要があります。社員のモチベーションを保つ要素は待遇だけではありません。たとえ待遇がよくても、組織の風土や仕事内容に納得がいかなければ、モチベーションは少しずつ下がってしまいます。

部署や待遇面に対して慎重に決める

社員の部署や待遇を決める際は効率を重視しがちですが、効率重視で半強制的に部署や待遇の決定を進めようとすると、さまざまな悪循環を生みかねません。人事や待遇の決定に関しては、効率とモチベーションのバランスが重要です。効率とモチベーションのバランスを保ちながら決定していくには、社員をよく観察したうえで対話する必要があります。

どのようなことに興味があるのか、どのようなことに不安を感じているのかなどを、繰り返し丁寧にヒアリングすることが大切です。

【関連】M&Aで子会社化する方法とは?メリット・デメリット、子会社とグループ会社の違いを解説| M&A・事業承継の理解を深める

M&Aの買収後に成功を収めるためのPMI(統合プロセス)対策5選

M&A後に社員のモチベーションを保つ対策方法にはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、M&A・買収後に社員もモチベーションを保つ方法を5つ紹介します。

  • M&A・買収後、経営方針を伝える
  • オフィスの移転や備品の交換など気分を変える 
  • 新しい名刺やメールアドレスなどを与える 
  • 新しい経営者との面談を行う
  • 待遇の改善などを行う

M&A・買収後、経営方針を伝える

社員に経営者のビジョンを伝えることは、最初に行うべき重要なプロセスです。ビジョンを伝えなければ社員の共感を得られず、一体感を生み出すことはできません。ビジョンを伝える際は、わかりやすく魅力的に伝えることがポイントです。そのビジョンを達成するために、それぞれの社員が持つ役割がどれだけ重要かを感じてもらう必要があります。

社員が当事者意識を持てるようにビジョンを伝えられれば、その後の統合プロセスもスムーズに進めやすくなります。

オフィスの移転や備品の交換など気分を変える 

精神的な面からモチベーションのアップを図る以外に、オフィスを移転したり備品の新調したりして物理的に社員のモチベーションを上げる方法もあります。精神論だけでなく、環境などの仕組みも整えていくことも効果的な方法です。ただし、何でも行えばよいわけではありません。

物理的な環境に手をつけ始める前にまず現場の状況を把握し、社員の話をしっかり聞いたうえで変えていく必要があります。

新しい名刺やメールアドレスなどを与える 

社員に新しい名刺やメールアドレスを渡すことも、モチベーションを変えたり保ったりすることにつながります。M&A後に名刺やメールアドレスがバラバラでは、意識の面での統一が難しいです。物や環境を統一することで、社員同士の意識も統一されやすくなります。最近では、社員同士の交流を促すために、職場をフリーアドレスにするケースも珍しくありません。

フリーアドレスにする場合はうまくいけば社員同士の交流が進みますが、交流する社員が偏ることで逆効果になることも考えられます。新しい仕組みを取り入れる場合は、社員の意見も聞きながら慎重に検討していく必要があります。

新しい経営者との面談を行う

M&A後社員のモチベーションを保つために、経営者と面談の機会を設けることも効果的です。面談の機会は1回だけではなく、何度も繰り返すことでより効果が得られます。最初のうちは社員の反応が悪く、思っていることを話してくれない可能性もありますが、こまめに面談の機会を設けることで、徐々に本音がみえるようになってきます。

社員から声をかけてくるのを待つのではなく、経営者から踏み込んでいくことが重要なポイントです。面談といった堅苦しい場だけでなく、普段からちょっとしたコミュニケーションのチャンスを作ることも大切です。

社員のなかには、経営者に考えを伝えるチャンスがあるというだけで安心する人も少なくありません。時間がかかる可能性はありますが、こまめに続けていくことで効果が表れる方法です。 

待遇の改善などを行う

待遇改善は、社員のモチベーションアップを考えた場合に1つのポイントになりますが、待遇を改善すれば必ずモチベーションが上がるわけではありません。例えば、昇格がモチベーションにならない人もいれば、給与のアップよりも昇格がモチベーションになる人もいます。

モチベーションの源泉は人によって違い、ある人にとってはモチベーションアップにつながっても、ある人にとってはストレスの素になる可能性もあります。

2026年にかけては、インフレ継続に伴う実質賃金の上昇圧力が強まると予測されます。そのため、単なる成果主義の導入ではなく、物価スライドを意識した基本給の底上げや、スキルアップを支援する教育投資など、社員の将来不安を払拭する待遇改善が、モチベーション維持には不可欠です。

【関連】会社売却のその後「社員(従業員)・社長」はどうなる?| M&A・事業承継の理解を深める

M&Aの買収後における人事制度の統合と人的資本経営

M&Aの買収後に社員のモチベーションを最大化するには、人事制度の統合を最優先事項の一つとして進める必要があります。2025年からは人的資本の開示義務がより広範な企業に影響を及ぼすため、公平性・透明性の高い評価制度への刷新が求められます。複雑な制度は混乱を招くため、個々のキャリアパスが明確になるシンプルな設計を目指すべきです。

M&A後の人事制度設計においては、旧来の慣習に縛られず、両社の強みを融合させた「第三の道」を模索することが、社員の帰属意識を高めることに繋がります。M&A総合研究所はさまざまな業種で豊富なM&A成約実績を有しており、豊富な経験を持つアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は随時受け付けておりますので、M&Aでお悩みの際は、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。

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M&A・買収後の社員モチベーションを保つ方法まとめ

M&Aの際、社員は大きな不安を感じるため、M&A後にモチベーションが下がらないよう対策をしっかり立てておくことが大切です。M&A後に社員のモチベーションを保つには、焦って統合を進めていくことはせず、時間をかけることも意識しておくとよいでしょう。

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