M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月11日公開業種別M&A
Webマーケティング業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
マーケティング業界ではWebマーケティングの進化により大きな変化の時期を迎えており、M&Aの動きも活発化しています。特に中小のWebマーケティング会社では生き残りをかけたM&Aを模索する動きが加速化していて、その様子などを解説します。
目次
Webマーケティング業界の動向
企業が自社製品やサービスを宣伝する方法は、新聞広告やテレビ、ラジオといった従来型の方法から、インターネット広告が主流となりつつあります。
この流れの中で、ネット広告や企業Webサイトの費用対効果を向上させるためのWebマーケティングの必要性が年々高まっています。
Webマーケティングを含めたネット広告全般の売上は、業界動向サーチの分析によると2022年には前年比5.1%増の1兆4,420億円でした。コロナ禍でのデジタルシフトの流れもあり、今後も成長が期待される分野です。
参考:業界動向サーチ「ネット広告業界の動向や現状、ランキング等を解説」
Webマーケティング会社をM&Aで売却するメリット
Webマーケティング会社をM&Aで売却するメリットは次の3つです。
売却利益の獲得
M&Aで会社を売却する場合には、株式譲渡というスキームを選ぶことがほとんどです。売却側が保有している株式を買収側に売却することで会社を譲渡します。
中小企業の場合には、会社のオーナーが自社株をすべて持っていることが多いので、売却で得られた利益は全額オーナーのものとなるでしょう。
もしも、後継者問題の解決のために会社を売却した場合には引退後の生活費に充てることができます。また、新規事業のための資金に充てることも可能です。
従業員の雇用維持
中小企業のWebマーケティング会社で、業績が思わしくない、後継者がいないなどの問題で、廃業を検討せざるを得ない場合でも、M&Aで会社を売却できれば会社を存続させることができます。
そうすれば、従業員を解雇する必要がありません。M&Aではほとんどの場合、即戦力である従業員の雇用維持が前提となるので、廃業を考えざるを得ない会社でも、従業員の雇用を守ることができます。
後継者不足の解消
Webマーケティング会社の多くが中小企業です。中小企業庁の調査によると、Webマーケティング業界に限らず、日本の中小企業の約3分の1が、数年以内に後継者不足に直面するといわれています。
Webマーケティングが登場したのは1990年代で、その頃に30代から40代で起業した社長も、そろそろ引退を考える時期に入ってきて、Webマーケティング業界でも後継者不足が大きな問題となってくるでしょう。
M&Aで会社を売却できれば、後継者がいなくても会社を存続させることができ、その会社が持つWebマーケティングのノウハウや専門的な技術を持つスタッフの技能を守ることができます。
参考:中小企業庁:「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」
Webマーケティング業界のM&A・売却・買収事例7選
Webマーケティング業界でM&Aでの売却や買収が行われた事例を紹介します。
エフ・コードがTEORYの新設分割会社の株式取得した事例
2023年8月に、株式会社エフ・コードが、株式会社TEORYから提供されているデジタルマーケティング事業を新設分割して設立する予定である新会社の全株式を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。
エフ・コードはDX・デジタルマーケティング分野において、CX SaaS「CODE Marketing Cloud」及びその蓄積データをコアとしたプロフェッショナルサービスを提供しています。
TEORYから提供されているデジタルマーケティング事業では独自のワークフローによって毎月250件以上のWebマーケティング支援が可能な事業で、クライアントの費用対効果を最大限に引き出す支援を提供しています。
このM&Aによって、TEORYで培ってきたデジタルマーケティング事業のノウハウを活用できるようになり、エフ・コードの事業改善と顧客価値の最大化を図ることができるとしています。
参考:株式会社エフ・コード「株式会社TEORYの新設分割会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
ベクトルがOwnedの株式を取得した事例
2023年7月に株式会社ベクトルから、Owned株式会社の発行済株式のうち66.7%の株式を取得して連結子会社化するM&Aを実施することが発表されました。
ベクトルは、戦略PRサービスを中核とする事業を展開しています。Ownedはデジタルマーケティング分野において戦略立案から運用までをワンストップで提供しています。
このM&Aにより、ベクトルとOwnedのノウハウや顧客基盤を掛け合わせることで、顧客のマーケティング効果の最大化を図ることができるようになるとしています。
参考:株式会社ベクトル「Owned株式会社の株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ」
Macbee Planetがネットマーケティングを子会社化した事例
2023年1月に、株式会社Macbee Planetから、株式会社ネットマーケティングの全ての株式を取得して完全子会社化するM&Aが発表されました。
Macbee PlanetはLTVマーケティングで企業のマーケティング課題の解決を図る会社です。ネットマーケティングも同じようにインターネットを活用したマーケティング支援を展開している会社です。
このM&Aにより、Macbee Planetはネットマーケティングが培ってきた自動運用や予測などの技術や、安全性に対する強みなどを手に入れることができ、よりLTVマーケティングを進化させていくことができるとしています。
参考:株式会社Macbee Planet「株式会社ネットマーケティングの完全子会社化と今後の成長戦略」
デジタリフトがmeycoを子会社化した事例
2023年1月に株式会社デジタリフトから、meyco株式会社の発行済株式の90.00%を取得して子会社化するM&Aの実施が発表されました。
デジタリフトはインターネット広告の枠組みを超えた統合デジタルマーケティングを実現する会社です。meycoはデジタルマーケティングの戦略立案から施策実行までサポートをしており、特に設計、実行、改善提案、UI・UXなどのクリエイティブ制作力に強みがあります。
このM&Aにより、デジタフトの統合デジタルマーケティング企業としてのさらなる成長を目指すことができるとしています。
参考:株式会社デジタリフト「meyco株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
デジタルプラスがコミクスのデジタルマーケティング支援事業を取得した事例
2022年12月に、株式会社デジタルプラスから、株式会社コミクスが運営するデジタルマーケティング支援事業を事業譲渡されるM&Aが発表されました。
デジタルプラスはGAFAメディア事業を主要事業としており、メディア運用で培ったノウハウなどを企業に提供しています。
このM&Aでは、コミクスのデジタルマーケティングに関する課題をプロフェッショナルが解決する事業譲渡され、デジタルプラスのデジタルマーケティング事業の強化につながるとのことです。
参考:株式会社デジタルプラス「事業譲受に関するお知らせ」
ニーズウェルがビー・オー・スタジオを子会社化した事例
2022年9月に株式会社ニーズウェルから、株式会社ビー・オー・スタジオの全株式を取得して完全子会社化するM&Aが発表されました。
ニーズウェルは独立系のシステムインテグレーターとして長年幅広い業界のシステム開発に携わってきました。ビー・オー・スタジオは官公庁や自治体、民間企業でのWeb制作におけるデジタルマーケティングやシステム開発、DX支援におけるフロントエンドに強みのある会社です。
このM&Aにより、ニーズウェルではWeb制作での全行程を一気通貫で提供できるようになり、DX支援をより強化できるようになるとのことです。
参考:株式会社ニーズウェル「株式会社ビー・オー・スタジオの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
Orchestra HoldingsがLIFULL Marketing Partnersを子会社化した事例
2022年8月に株式会社Orchestra Holdingsから、同社の連結子会社である株式会社デジタルアイデンティティが、株式会社LIFULL Marketing Partnersの全株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。
デジタルアイデンティティはOrchestra Holdingsグループの第一の柱としてデジタルマーケティング事業を手掛けています。
LIFULL Marketing Partners不動産や住宅領域でのデジタルマーケティング事業を手掛けている会社です。
このM&Aにより、Orchestra Holdingsとしては両社の顧客基盤やナレッジを共有して、より質の高いデジタルマーケティング支援が可能になるとしています。
参考:株式会社Orchestra Holdings「連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ」
Webマーケティング会社のM&Aの流れ
Webマーケティング会社をM&Aで売買する流れをみていきましょう。
M&A仲介会社の選定と契約
M&Aには法律や財務に関する高度で複雑な手続きが必要です。また、最適な相手を見つけるのも大変です。
日本には中小企業のM&Aを専門的に取り扱う仲介会社があります。会社の売買を考え始めたら、まずはM&A専門の仲介会社に相談してみましょう。M&Aをするべきかどうか、といったところから無料で相談に乗ってもらえます。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
Webマーケティング業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
売却先の選定
M&Aの仲介会社と契約したら、売却先の選定に入ります。選定方法は、会社名や住所などの詳細情報を除いた情報をM&A情報サイトに掲載したり、Webマーケティング会社の買収を希望している顧客に声を掛けたりします。
数社ピックアップしたら、売却する会社の経営者が自らの判断で交渉相手を選び、トップ面談と交渉に進みます。
基本合意の締結
交渉がまとまったら基本合意書を締結します。基本合意書には、売却金額の目安、今後のスケジュール、役員や従業員の待遇などについて記載されます。基本的に、独占交渉権以外の項目には法的拘束力は掛けられません。
基本合意書の締結後に、買収側が売却側企業のリスクを調査するデューデリジェンスが行われます。
最終合意の締結
デューデリジェンスの結果に基づいて、最終交渉が行われます。基本合意書締結時に開示されていなかった問題などが発見された場合には、減額されたり破談になったりすることもあります。
最終交渉がまとまったら、最終合意書の締結です。M&Aの実施に当たってのすべての条件が記載されて、すべての項目に法的拘束力が掛けられます。
その後、従業員や取引先の理解を得るために数カ月程度の期間を置いて、クロージング(引き渡し)です。
Webマーケティング会社でM&Aを行う際の注意点
Webマーケティング会社のM&Aを成功させるために注意するべき点についてみておきましょう。
適切な企業価値評価か確認
Webマーケティングは製造業とは異なり、製造機械などの物的資産や毎年ある程度の予測が立つコンスタントな売上の数字、というものがない業界です。
そのために、企業価値の算定が少し難しい点があります。WebマーケティングのようなIT企業の価値は、今後何倍にも成長する可能性もあるでしょう。
売却金額が、将来性を加味した適切な企業評価となっているかどうか、よく検討することをおすすめします。
M&Aを行うタイミング
Webマーケティング会社の売却を考えるのなら、できるだけ早いタイミングでの売却を検討しましょう。
後継者問題で売却をする場合には、社長が70歳、80歳になってから売却の検討を始めたのでは遅すぎます。社長が高齢で使っているノウハウも時代遅れで業績が思わしくない、という企業は、特にIT企業では価値が低く見積もられてしまいます。
社長がまだ50代で社員の平均年齢もまだ若く、最新のノウハウをどんどんと取り入れている、という勢いのある会社であれば高額売却も可能です。M&Aを行うタイミングは最適な時期を選びましょう。
Webマーケティング会社のM&A・事業譲渡まとめ
今後もWebマーケティングの重要性はますます高まっていくことでしょう。Webマーケティング会社が持っている、インターネット広告やSEOなどのノウハウは、業界を問わず重要なものです。廃業してしまえば、そのノウハウは失われてしまいます。
Webマーケティング会社の今後に何らかの不安を感じているのであれば、ぜひM&Aでの売却や事業譲渡で事業を継続する道を探ってみましょう。まずは、M&A専門の仲介会社への無料相談からはじめてみることをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。