M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年11月19日更新業種別M&A
ゲーム業界のM&A・事業承継のポイント!動向・事例・相談先も紹介
ゲーム業界はベンチャー企業も多く、事業譲渡や株式譲渡などを用いたM&A・事業承継が活発な分野です。本記事では、ゲーム会社業界のM&A・事業承継について、ゲーム会社業界が直面している問題や業界動向、ゲーム会社のM&A・事業承継の事例やおすすめの相談先などを解説します。
目次
ゲーム業界を取り巻く環境
2022年の国内ゲーム市場は「ファミ通ゲーム白書」によると、約2兆316億円に達しています。この成長は2020年のコロナ禍による巣ごもり需要の影響が大きく、2020年から3年連続で2兆円を超える規模を維持しています。
内訳を見ると、「オンラインプラットフォーム」分野が1兆6568億円で、市場の約80%を占め、スマートフォン、タブレット、PCなどを使ったゲームが主流となっています(家庭用ゲームソフトのオンライン版2243億円を含む)。
一方、家庭用ゲーム機(ハード)は2098億円、ソフトはパッケージ版とオンライン版を合わせて3893億円です。2012年の市場規模は約9800億円だったため、10年間で約2倍に拡大し、この成長を主に支えたのがオンラインゲームのプラットフォームです。
ゲーム会社が直面している問題
ゲーム会社業界は全体としてはまだまだ伸びしろがあるといえますが、一方で業界特有の問題も存在しています。ゲーム会社の事業譲渡・M&Aにおいては、こういった問題を把握しておくことも重要です。
この章では、ゲーム会社業界が直面している問題として、以下の3点をピックアップして解説します。
【ゲーム会社業界が直面している問題】
- プラットフォームにより成長率が変わる
- 下請構造から抜け出せない
- ハードワークな現場で従業員が定着しない
①プラットフォームにより成長率が変わる
ゲーム会社業界では、プラットフォームにより成長率が変わるという特徴があります。
プラットフォームとはゲームが動作するための環境のことで、家庭用ゲームの場合はプレイステーション4やNintendo Switchといったゲーム機がプラットフォームであり、ネットを使うPCゲームの場合はオンラインプラットフォームと言ったりします。
現在は家庭用ゲーム機よりオンラインプラットフォームのほうが成長率が高く、ゲーム会社市場の約7割を占めるに至っています。
②下請構造から抜け出せない
一般的にIT業界は多重下請け構造が問題になっていますが、ゲーム会社も同様に下請け構造から抜け出せない中小企業が多い状態にあります。
多重下請け構造とは、仕事を発注する元請けが下請けに仕事を出し、その下請けが2次下請けに仕事を流すといった具合で、多い時は5次、6次下請けまで仕事を回すこともあります。
もちろん下になるほどマージンを抜かれるので、下請けは少ない利益で働かなければならなくなります。
ただし、下請けを主に手がける受託開発のゲーム会社の中には、「トーセ」や「エクストリーム」といった独自の地位を築いている上場企業もあります。ゲーム会社業界での生き残り戦略としては、下請け構造の中でいかに強みを発揮するかという考え方も重要です。
③ハードワークな現場で従業員が定着しない
ゲーム会社業界は、全体的にハードワークで離職率が高いといわれています。特にゲームの企画を行うゲームプランナーは、自身の仕事の良し悪しがゲーム会社の売上に直結するため、精神的なプレッシャーも相当なものがあります。
ただし、従業員が定着しないのは主に中小やベンチャーのゲーム会社の場合であって、大手の離職率はどこも低くなっています。特に任天堂の3年後離職率はわずか2%で、スクウェア・エニックスやバンダイナムコなどの大手他社は20%前後となっています。
ゲーム業界の今後の動向予測
ゲーム会社業界の今後の動向予測としては、以下の3点が挙げられます。
【ゲーム会社業界の今後の動向予測】
- オンラインゲーム業界の成長が続くと見られている
- 開発費が年々高騰している
- ゲーム業界のM&A・事業承継動向
①オンラインゲーム業界の成長が続くと見られている
昔はゲーム会社業界といえば家庭用ゲームが主体でしたが、近年はオンラインゲームやスマホゲームアプリのほうが市場規模が大きくなっています。
この傾向は今後も続くと見られ、オンラインゲームでいかにヒット作を出すかが、ゲーム会社にとって重要になると考えられます。
②開発費が年々高騰している
ハードやプラットフォームの進化にともなって、ゲーム会社の開発費は年々高騰しています。特にプレイステーション4のようなスペックの高いハードのゲームは開発費も高くなる傾向があり、中には開発費が数百億円かかったゲームもあります。
一方でスマホゲームアプリは比較的低予算で作ることも可能で、例えば大ヒット作の「パズドラ」は数千万円程度で作られたといわれています。
③ゲーム業界のM&A・事業承継動向
ゲーム会社業界の事業譲渡・M&Aは、他業種に比べても活発に行われているほうだといえます。
ゲームの企画・開発を手がけるゲーム会社の事業譲渡・M&Aはもちろん多いですが、それ以外にもゲーム攻略サイト運営会社の事業譲渡事例などもあり、今後も活発な事業譲渡・M&Aが行われると考えられます。
成長が見込めるオンラインゲーム会社を事業譲渡で譲受したり、開発費の高いゲーム事業を事業譲渡で売却するなど、事業譲渡のタイミングとしては良い傾向であるといえます。
ゲーム会社の評価を高めるポイント
ゲーム会社を事業譲渡するには、評価を高めることが重要になります。ゲーム会社の評価を高めるポイントとしては、以下の2点が挙げられます。
【ゲーム会社の評価を高めるポイント】
- 各種プラットフォームに対応できる事
- 過去の実績が豊富にある事
①各種プラットフォームに対応できる事
家庭用ゲーム機には、プレイステーション4やNintendo Switchを始めとする様々な種類があり、さらにPCゲームやスマホゲームアプリといったプラットフォームもあります。
そして近年は、同じゲームを複数のゲーム機で発売したり、PC版と家庭用ゲーム機版を発売したりする「マルチプラットフォーム」が常識です。
よってこういった各種プラットフォームに対応できるゲーム会社は、評価も高くなる傾向があります。
②過去の実績が豊富にある事
ゲーム会社業界では、ヒット作を持っていることが非常に重要になります。過去に一つでもヒット作があるゲーム会社は、そうでないゲーム会社より評価が高くなります。
ゲーム会社の事業譲渡によるM&A・事業承継はニーズに即した活動が大切
ゲームは現在も日進月歩で進化しており、顧客層やニーズも年々多様化しています。ゲーム会社の事業譲渡・M&Aでは、ニーズに即した活動ができることが大切です。
クオリティが求められる時代になっている
ゲームは昔に比べるとハードの性能が上がり、ゲームの内容も多様化・複雑化しています。それにともないゲーム会社業界はより高いクオリティが求められる時代になっており、他社にない強みを持ったゲームを開発できるかが重要になっています。
海外ユーザーを獲得できるゲーム制作が求められる
海外は日本よりも市場規模が大きいので、ゲーム会社業界にとっては、海外ユーザーをいかに獲得できるかが重要です。海外ユーザーを視野に入れた制作ができるゲーム会社は、事業譲渡・M&Aにおいても高く評価されるといえます。
ゲーム会社の事業譲渡によるM&A・事業承継のポイント
この章では、ゲーム会社の事業譲渡によるM&A・事業承継のポイントについて解説していきます。
ゲーム会社を事業譲渡する際の注目点
ゲーム会社業界は従業員の能力が重要なので、事業を譲受する会社としては、優秀な従業員を譲受したいと考えます。
しかし、事業譲渡では従業員を一旦退職させてから、譲渡先企業であたらめて雇用するという形をとるので、従業員が不満を持たないように、給与や雇用条件を調整する必要があります。
特に退職金に関しては慎重に取り扱う必要があります。一旦退職させると勤続年数がリセットされるので、その影響でもらえる退職金の額が減らないように対処しなければなりません。
ゲーム会社の事業譲渡事例
この節では、ゲーム会社の事業譲渡事例を解説します。会社分割など厳密には事業譲渡と違うスキームを使っている事例もありますが、事業の一部を譲渡している事例として、まとめて事業譲渡として取り上げています。
WeMadeOnlineによるG・O・Pへの日本国内オンラインゲーム事業譲渡
WeMadeOnline(東京都千代田区)は、保有する日本国内のオンラインゲームサービスおよびパブリッシング運営事業をG・O・P(東京都渋谷区)に譲渡しました。G・O・Pはオンラインゲームやスマートフォン向けゲームの開発・運営を行う企業です。
この譲渡により、WeMadeOnlineが運営していたオンラインゲームポータル「GAMEcom」および「R.O.H.A.N. Revision」「ソウルワーカー」「SiLKROAD Revolution」「新生R.O.H.A.N」などのPCオンラインゲームは、2023年8月1日よりG・O・Pにて運営されることとなりました。
スマートテックグループによるI-FREEK GAMESへの事業譲渡
2023年8月31日、アイフリークモバイルは、子会社であるI-FREEK GAMESとスマートテックグループ間で事業譲渡契約を締結しました。譲受対象は、スマートテクノロジー(東京都中央区)およびそのグループ9社の技術開発部の一部と、これに関連する人的資本や契約上の権利です。
アイフリークモバイルはモバイルコンテンツやIT技術者の育成などを行い、I-FREEK GAMESはゲーム開発を担当します。今回の譲受を通じ、スマートテックグループの人的リソースを活用して、ゲーム業界のさらなる発展を目指すとしています。
事業譲渡に適したゲーム会社とは
事業譲渡は、複数手がけている事業の中の一部だけを売却できるのが特徴です。例えば家庭用ゲームとスマホゲームアプリを両方手がけていたり、ヒット作を複数持つゲーム会社は、その一部を事業譲渡して売却益を得て、残りの事業に注力するといった経営戦略をとることができます。
ゲーム会社の株式譲渡によるM&A・事業承継のポイント
ゲーム会社業界のM&Aにおいてメインは事業譲渡ですが、他にも株式譲渡という選択肢もあります。この章では、ゲーム会社の株式譲渡のポイントについて解説していきます。
ゲーム会社を株式譲渡する際の注目点
株式譲渡は事業譲渡のように事業の一部だけを売却・買収することはできず、会社を包括的に売却・買収することになります。
よって買い手としては、不要な事業や負債も引き継がなければならないという問題点があります。特に多額の簿外債務や偶発債務を引き継ぐと大きな負担となるので、事前にデューデリジェンスを徹底しておくなどして対策する必要があります。
ゲーム会社の株式譲渡事例
ゲーム会社の株式譲渡事例を解説します。
KRAFTONによるTango Gameworksの事業承継
2024年8月12日、韓国のゲーム大手KRAFTON(クラフトン)は、日本のゲーム開発スタジオTango Gameworks(タンゴゲームワークス)を買収し、事業を引き継ぐと発表しました。
タンゴゲームワークスは、リズムアクションゲーム『Hi-Fi RUSH』やサバイバルホラー『PsychoBreak』で知られ、2021年に米Microsoft社に買収されましたが、2024年5月に閉鎖が発表されていました。
クラフトンは、このM&Aにより『Hi-Fi RUSH』などの人気IPを取得し、さらなるIP拡大と新規プロジェクトに着手する予定です。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントによるFirewalk Studiosの買収
2023年4月20日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、米国のゲーム開発企業ProbablyMonsters Inc.の傘下にあるFirewalk Studiosを買収する確定契約を締結したと発表しました。
SIEはすでに2021年からFirewalkとパブリッシングパートナーシップを結んでおり、今回の買収によりFirewalkはPlayStation Studiosの20番目のスタジオとなります。SIEは、Firewalkのサービス運営ノウハウと技術力を活かし、PlayStation事業のさらなる成長を目指しています。
株式譲渡に適したゲーム会社とは
一つの事業ではなく会社を包括的に譲渡したいゲーム会社は、株式譲渡に適しているといえます。さらに株式譲渡は事業譲渡よりも手続きが簡単なので、短い期間でM&Aを実行したいゲーム会社にとっても、株式譲渡はおすすめです。
多重下請けで3次、4次の下請けを請け負っているゲーム会社の場合、株式譲渡で元請けの傘下に入ることで、直接仕事を受注できるようになるメリットもあります。
ゲーム会社のM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っているゲーム会社のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。
【大手パブリッシャーと取引あり】ゲーム企画・開発・運営
ゲームの企画、開発、運営を一気通貫で行っています。ブラウザ、スマートフォン、コンシューマなど幅広い領域での開発が可能です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
【全国店舗展開・自走可能/高収益】スマホ・PC・ゲーム修理・買取事業
全国に店舗展開しており、3期連続で増収増益しています。他社と比べ、修理対応可能メーカーや機種が豊富です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
ゲーム会社を事業譲渡・株式譲渡する際の引き継ぎ・手続きについて
事業譲渡では資産を個別に売買するので、一つ一つの事業資産について、各種引き継ぎや契約上の地位の移転手続きが必要になります。例えば不動産を賃貸している場合は、譲渡企業側の賃貸契約を解除した後、あらためて譲受企業側で契約を結ぶ必要があります。
また、取締役会設置会社の場合は取締役会の決議、事業の規模が大きい場合は公正取引委員会への届出が必要になることもあります。
株式譲渡では、株主総会での決議および株主名簿の書き換えが主な手続きとなります。中小のゲーム会社はほとんどが譲渡制限株式だと考えられるので、株式譲渡承認請求などの手続きも必要になります。
ゲーム会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先
ゲーム会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した部署を新設する動きが加速しています。特に、投資銀行やメガバンクといった大手金融機関では、資金調達や戦略の立案など、M&Aに必要な多面的な支援を提供し、ファイナンシャルアドバイザー(FA)として企業間取引がスムーズに進行するようサポートしています。
こうした支援により、企業は資金調達や事業継承といった複雑な課題に対処しやすくなり、専門的なアドバイスを活用することで成功の可能性も高まります。
しかし、こうした大手金融機関は大規模案件を優先する傾向が強いため、中小企業が十分なサポートを受けられない場合もあります。そのため、企業が自社のニーズに合った支援機関を選ぶことが重要です。また、アドバイザリー費用が高額になるケースも多いため、事前に費用面をしっかり確認しておくことも欠かせません。
公的機関
近年、事業承継やM&Aに対する公的サポート体制が急速に拡充されています。全国47都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」が設置され、後継者不足で悩む中小企業向けに、事業承継やM&Aに関する情報提供、アドバイス、企業間のマッチング支援が無料で提供されています。
この支援体制の充実により、地方の中小企業も専門的なサポートを受けやすくなり、個人事業主に対する支援も強化されています。また、必要に応じてM&A仲介会社や専門家を紹介してもらうことも可能です。
ただし、民間の仲介会社と比較すると対応のスピードや柔軟性に限界があるため、その点を理解して活用することが重要です。こうした公的支援機関は、事業承継やM&Aを検討する企業にとって有力な選択肢の一つとなるでしょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売買プロセスを全面的に支援する専門機関です。売却企業と買収企業の双方に対し、最適な取引相手の選定から交渉のサポート、進捗管理、企業価値の評価、契約書の作成まで、幅広いサポートを提供し、取引が円滑に進行するよう調整役を務めます。
特に、豊富なネットワークを駆使して最適な相手を見つけることに優れており、高い成約率を実現する点が大きな強みです。また、M&Aの経験が少ない企業にも具体的なアドバイスを提供し、安心して取引を進められるようにサポートします。
ただし、仲介会社のサービス利用には着手金や中間報酬などのコストが発生する場合があるため、事前に料金体系を把握しておくことが大切です。費用負担を軽減したい場合には、成功報酬型の仲介会社を選ぶのも一つの方法です。
ゲーム会社のM&A・事業承継まとめ
ゲーム会社業界は事業譲渡などのM&A・事業承継が活発な業界なので、事業譲渡・M&Aを経営戦略に積極的に取り入れていくことが重要です。
今後の業界動向なども踏まえて、最適なタイミングでゲーム会社をM&A・事業承継できるように準備しておきましょう。
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