M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月18日更新都道府県別M&A
三重県の事業承継・M&A案件!動向・事例や相談先も紹介
本記事では、三重県の事業承継・M&Aについて解説します。中小企業の全国的な課題である後継者難による事業承継について、三重県では他の自治体に負けじと熱心に支援を行っています。三重県で事業承継・M&Aを検討している方は必見の内容になっています。
目次
三重県の産業に見られる特徴
三重県の製造業は、明治時代の製糸や紡績業から始まり、戦前には繊維工業が中心となって発展してきました。戦後になると、四日市に石油化学コンビナートが設立され、自動車や輸送機械工業の進出もあり、重化学工業へと移行しました。
その後、繊維や化学産業の不況が続く中で、自動車や電気機械産業が進出し、近年では半導体や液晶技術を活用した先端産業が成長しています。
三重県の製造業で特に重要なのは、輸送機械、電子部品、化学工業の3分野であり、これらの業種が製造品出荷額の半数以上を占めています。従業員数でも製造業全体の約3分の1を抱える重要な産業です。
四日市の石油化学コンビナートは高度経済成長期に県経済を支える存在となりましたが、オイルショックや円高、バブル崩壊、新興国との競争などの影響を受けながらも、付加価値の高い製品の開発が進んでいます。
輸送機械産業では、自動車産業が大きな役割を果たしており、特に小型車の生産が中心で、バブル経済崩壊の影響は軽微でした。電気機械産業では、家電部品製造や下請け企業が多く、近年では半導体や通信機器の大企業も進出しており、出荷額が増加傾向にあります。
三重県の事業承継・M&Aの動向
三重県の事業承継・M&Aの動向を2つのトピックに分けて解説します。
三重県企業の後継者不在率
三重県の2023年における後継者不在率は30.2%で、前年より0.8ポイント増加したものの、依然として低い水準を維持しています。事業承継の適齢期とされる60代の不在率は20%を下回り、都道府県別では3年連続で最も低い数値となりました。
「同族承継」による後継者の就任は40.2%で最も多いものの、前年から減少傾向にあります。後継者候補として「子ども」や「親族」の割合が増加している一方で、M&Aなどを絵利用した「非同族」承継は全体の約4分の1を占めています。
三重県企業の休廃業件数
2023年、三重県内で休業・廃業、解散(個人事業主を含む)を行った企業は684件に上り、全体の3.12%が市場から退出したことになります。コロナ禍以降、ゼロゼロ融資の普及により減少していた休廃業は、2023年には増加に転じ、前年の637件から7.4%増加し、2019年以来初めて前年を上回りました。
2023年の休廃業の増加は、県内の法的整理による倒産が急増したことと並行して進みました。これまで、持続化給付金や雇用調整助成金などの資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍でも多くの企業が経営を続けられていましたが、2023年に入り支援策が縮小しました。
さらに、エネルギー価格の上昇、人手不足による人件費の増加といった複数の経営課題が重なり、収益と財務が圧迫された中小企業は、事業継続の判断を先送りできず、「あきらめ廃業」に追い込まれるケースが増えたと考えられます。
三重県の事業承継・M&A案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている三重県の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。
【雑誌掲載多数/事業譲渡】レディースアパレルブランド
Instagramのフォロワーは数万人おり、20代~30代前半の女性に相応の知名度があります。ファッション誌の掲載実績豊富でモデルや女優からの支持も厚いです。
エリア | 近畿 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 1億円 |
譲渡理由 | 別ブランドの立ち上げのため当該ブランドの事業譲渡を検討 |
【関西/ドライバー30名以上/倉庫3拠点】重量物運搬に強みを持つ運送業
大手取引先との取引がメインで、重量物運搬に強みをもつ運送事業を展開しています。倉庫も3拠点を抱え、製品梱包・発送業務等の請負事業も展開中です。倉庫業として荷物保管や入出庫管理も手掛けています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 10億円〜25億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【近畿エリア】グレーチング、マンホールの製造販売・卸売業
全国各地への販路を有しており、販売先数は300社を超えます。近畿エリアを中心に自社工場・倉庫を保有しており、全国へ対応可能です。
エリア | 近畿 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 10億円程度(純資産程度)※相談可 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
三重県の事業承継・M&A事例
三重県の事業承継・M&A事例をピックアップして解説します。
パシフィックゴルフマネージメントによる一志ゴルフ倶楽部の事業承継・M&A
2024年8月9日、平和の連結子会社であるパシフィックゴルフマネージメント(PGM)は、CISから一志ゴルフ倶楽部(三重県津市)の全株式を取得することを決定しました。
PGMはゴルフ場の運営や管理を行い、一志ゴルフ倶楽部は三重県津市にある18ホールのゴルフ場を運営しています。平和は、ゴルフ事業の拡大を目指しており、積極的にゴルフ場の買収を進めています。
本件M&Aにより、平和グループは保有ゴルフ場の数を増やし、収益基盤の強化を図ることで、安定した収益向上を目指しています。
岡谷鋼機による桑名金属工業の事業承継・M&A
2024年8月1日、岡谷鋼機は、桑名金属工業(三重県桑名市)の全株式を取得しました。岡谷鋼機は、2024年3月と6月に株式会社プロテリアルから配管機器事業を譲り受け、桑名金属工業を設立してその事業を承継することを公表していました。
桑名金属工業は、伝統を守りながら顧客のニーズや市場の変化に対応し、技術力や製品開発を通じて社会に貢献することを目指します。岡谷鋼機は、鉄鋼や特殊鋼、非鉄金属などの多様な製品を国内外で販売し、グローバルネットワークを活用して事業を展開しています。
柿安本店による赤塚興産の事業承継・M&A
2024年6月11日、柿安本店(2294)は、赤塚興産(三重県桑名市)の株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。柿安本店は「外食」「中食」「内食」の3つの分野でレストランや惣菜、和菓子、精肉などの事業を展開しています。
赤塚興産は、柿安本店創業家の資産管理会社で、有価証券の売買を行っています。株式取得の目的は、株主価値の向上を図るための資本政策を進めることで、EPS(1株当たり当期純利益)の増加やROE(株主資本利益率)の向上を通じて資本効率を高め、株主への利益還元を強化することです。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
三重県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置する動きが広がっています。特に、投資銀行やメガバンクはファイナンシャルアドバイザー(FA)として重要な役割を担うケースが増加しています。
M&Aを進める際、金融機関は資金調達などにおいて重要なパートナーとなります。特に買収側では、資金調達に関する協議が不可欠であり、既存の取引先金融機関が最初の相談相手になることが一般的です。
金融機関を通じて得られる大きなメリットは、資金調達に関する専門的な助言を受けられる点です。例えば、事業承継の際に親族や従業員が後継者となる場合でも、株式取得に必要な資金調達についてのサポートが非常に有益です。
さらに、M&Aに特化した部署や他の専門家との連携を持つ金融機関もあり、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらえることもあります。
ただし、大規模なM&A案件に重点を置く大手金融機関は、中小規模案件に対応できない場合があります。また、多くの金融機関はアドバイザリー形式を採用しているため、報酬が高額になることも課題です。
公的機関
近年、事業承継やM&Aに関する相談が公的機関でも可能となってきています。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業が直面する後継者不足の問題に対する公的なサポート窓口です。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスに加えて、企業間のマッチングサービスも提供されています。2021年4月に設立され、全国各地のセンターで専門家が無料で相談に応じ、中小企業の事業承継の課題に取り組んでいます。
全国47都道府県に相談窓口が設置されており、地方の企業でも簡単に利用できる点が大きなメリットです。国が運営しているため、相談は無料で、公平なアドバイスが受けられます。また、M&A仲介会社や専門家の紹介も行われ、個人事業主の事業承継にも対応可能です。
ただし、公的機関であるがゆえに、対応の迅速さに限界がある場合があり、民間のM&A仲介会社と比較すると、支援の質や内容に差が出ることもあります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的に支援する企業です。売り手と買い手の双方と契約し、両者の利益を調整しながら交渉を進めます。これらの会社は、初期段階から企業選定、スケジュール管理、企業価値評価(バリュエーション)、必要書類の作成まで、M&A全体の流れを包括的にサポートします。
仲介会社は、売り手と買い手の条件をすり合わせ、合意に至るポイントを見出し、スムーズなM&A実現を目指します。
仲介会社の強みは、豊富な候補企業の中から最適な相手を見つけられる点です。これにより、両者が納得のいく形で取引を進めやすくなります。また、M&A初心者に対しても、安心して進行できるよう、具体的なアドバイスや相手企業とのコミュニケーションを手厚くサポートし、成功率を高めています。
ただし、一部の仲介会社では、着手金や中間金が発生することがあり、コスト負担が課題となる場合があります。コスト削減を考えるなら、成功報酬制を導入しているM&A仲介会社を選ぶのが有効です。
三重県の公的事業承継支援
三重県では、中小企業の事業承継支援に取り組む以前から、公益財団法人三重県産業支援センターを設立し、県内の全ての事業者および起業・創業を行おうとする人たち向けに、包括的な経営支援を行ってきていました。
その流れの中で、まず、三重県事業引継ぎ支援センターが設置され、そして、三重県事業承継ネットワークの体制が敷かれていきます。三重県事業承継ネットワークでは、他の都道府県とは違った取り組みも実践されています。
三重県事業承継・引継ぎ支援センター
2014(平成26)年6月2日、三重県の中小企業の事業承継問題解決に向けた相談窓口として、三重県事業引継ぎ支援センターが設置されました(後に三重県事業承継・引継ぎ支援センターと改称)。三重県事業承継・引継ぎ支援センターは中小企業庁の指導の下、全都道府県に設置されていますが、一度に全ての自治体に開設されたわけではありません。
三重県事業承継・引継ぎ支援センター設置に向けた諸準備が整った自治体から、順々に開設されたのです。三重県は全国で14番目の早さで事業引継ぎ支援センター設置に至っており、事業承継問題への意識の高さと、三重県産業支援センターによる活動の下地があったことがうかがえます。
三重県事業承継ネットワーク
2017(平成29)年8月、三重県産業支援センターが事務局となって、三重県内の中小企業の事業承継を支援・推進するために、三重県内の公的機関と商工団体、金融機関、各士業事務所が連携して対応する三重県事業承継ネットワークが組成されました。
三重県事業承継ネットワークを構成する各組織・団体は、以下のとおりです。
【公的機関】
- 三重県
- 三重県事業承継・引継ぎ支援センター
- 三重県よろず支援拠点
- 三重県中小企業再生支援協議会
- 市長会
- 町村会
- 中部経済産業局
- 東海財務局津財務事務所
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構中部本部
【商工団体】
- 三重県商工会議所連合会
- 三重県商工会連合会
- 三重県中小企業団体中央会
【金融機関】
- 桑名三重信用金庫
- 北伊勢上野信用金庫
- 津信用金庫
- 紀北信用金庫
- 百五銀行
- 三重銀行
- 第三銀行
- 中京銀行
- 日本政策金融公庫
- 商工組合中央金庫
- 三重県信用農業協同組合連合会
- 名古屋中小企業投資育成
- 三重県信用保証協会
【士業団体】
- 一般社団法人三重県中小企業診断協会
- 日本公認会計士協会東海会
- 東海税理士会三重県支部連合会
- 三重弁護士会
三重県の事業承継ネットワークの特徴として、多くの自治体では中核組織を担うのは三重県事業承継・引継ぎ支援センターであるところが、より歴史と実績がある三重県産業支援センターである点です。
また、市長会、町村会が事業承継ネットワークのメンバーに加わっているのも珍しく、三重県をあげて事業承継問題解決に向けて取り組もうという姿勢が、よく表れています。
ビズリーチとの事業承継包括協定
2018(平成30)年6月20日、三重県および三重県事業承継ネットワークは、東京のインターネット・サービス事業ビズリーチと、M&Aによる事業承継において連携・協力する包括協定を結びました。
具体的には、ビズリーチがインターネット上で運営している、事業承継に特化したM&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を活用し、1件でも多くのM&Aによる事業承継の実現を目指すものです。
三重県事業承継ネットワーク側としては、加入する全ての金融機関が別途ビズリーチと業務提携を結び、ビズリーチ・サクシードの周知と利用促進を図ります。ビスリーチ側は、導入支援やビズリーチ・サクシードの有効活用アドバイスなどのサポートをする協定です。
事業承継支援資金
三重県では、中小企業融資制度の一環として事業承継支援資金サポートを実施しています。これは、M&Aなどでの事業承継を検討する際、事業譲受側の自己資金不足で事業承継を断念するようなケースに対して、三重県が後ろ盾になって金融機関からの融資を実現させるものです。
ただし、申し込みには以下のように、いくつかの条件があります。
【申し込み可能事業者】
- 三重県内に事業所がある
- 引き続き1年以上同一事業を営んでいる
- 事業税等県税を完納している
【手続き要件(以下のどちらかに該当すること)】
- 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定
- 三重県事業承継ネットワークの構成機関による支援を受け事業承継計画を策定
最終的な決定は金融機関および信用保証協会次第となりますが、基本的には三重県事業承継ネットワークに相談することによって、諸手続きをサポートしてもらえます。融資が実施される場合には、三重県より利子や保証料の補助も行われることになっています。
三重県の事業承継・M&Aまとめ
三重県は知事が率先して事業承継問題の解決促進に積極的です。民間M&Aプラットフォーム活用など、アイディアも斬新と言えるでしょう。廃業・事業承継問題の核心の1つは、高齢となった経営者が、前向きにM&Aでの事業承継を行う気持ちになれるかどうかであるとも言われています。
報道を賑わすような各種アピールも、そのための施策という一面もあるのでしょう。事業承継の支援体制という点では三重県は充実しており、安心して事業承継に取り組めるでしょう。
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