2024年10月18日更新業種別M&A

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継の現状!市場動向・事例も解説

本記事では、塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継の現状を分析するとともに、M&Aの費用と相場、メリットや成功させるポイント、具体事例の解説などを行っています。塗料・塗料卸売業界は、国内外においてM&A・事業承継が盛んな業界です。M&Aを検討中の方は必見です。

目次
  1. 塗料・塗料卸売業界を取り巻く環境
  2. 塗料・塗料卸売業界の課題
  3. 塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継の動向
  4. 塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継の事例
  5. 塗料・塗料卸売業界のM&Aの相場と費用
  6. 塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継におけるメリット
  7. 塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継を成功させる5つのコツ
  8. 塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継時におすすめの相談先
  9. 塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継のまとめ

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塗料・塗料卸売業界を取り巻く環境

まずは塗料・塗料卸売業界を取り巻く環境を解説します。

塗料・塗料卸売業界の市場動向

塗料・塗料卸売業の市場動向は住宅リフォーム需要に大きく左右されます。

2023年の住宅リフォーム市場規模は、前年から0.6%増加し、7兆3,575億円と推定されました。分野別では、「増改築関連費用」(10㎡超および10㎡以下の増改築工事)が前年比5.2%増、「設備修繕・維持管理費」が0.3%増、「家具・インテリア関連」は0.6%減少しました。

2023年は新型コロナウイルスが感染症法上の5類に分類され、消費者の関心がリフォームや家具・家電などの「内向き消費」から、旅行や外食などの「外向き消費」に移行しました。

これによりリフォームの工事件数は減少しましたが、建築資材費や人件費の上昇、高付加価値リフォームの需要増により、1件あたりの工事単価が上昇しました。この結果、工事件数の減少を単価の上昇が補い、市場規模はほぼ前年並みから微増に留まりました。

参考:矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2024年)」

塗料・塗料卸売業界の現状

塗料・塗料卸売業界の現状は、決して芳しくありません。塗料・塗料卸売業界の市場はすでに成熟しており、これ以上の発展は見込めない状況です。そのため、1990(平成2)年以降の塗料・塗料卸売業界の市場規模は低下しています。

したがって、何らかの施策を打たなければ塗料・塗料卸売業界はますます低迷していってしまうでしょう。また、塗料・塗料卸売業界は、石油価格に左右されやすいという特徴があります。塗料・顔料の原料は石油だからです。

石油価格は変動しやすく、変動次第では塗料・顔料の生産量に大きな影響を及ぼします。さらに、塗料・顔料は顧客のニーズに合わせてさまざまな製品があり、それぞれの製品をバランスよく生産しなければならないため、利益率も高くありません。

その結果、塗料・塗料卸売業界は、海外に進出できる余裕を持つ大手企業が、市場を寡占する状態になっており、新しい企業の設立や異業種の参入が難しい状況になっています。

印刷会社のM&A・売却・買収事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】印刷会社のM&A・売却・買収の特徴は?現状や事例も解説!

塗料・塗料卸売業界の課題

塗料・塗料卸売業界では、次のような課題が存在しています。

  • 人手不足と後継者不足
  • 技術の継承が難しい点
  • 工事単価の下落と材料費の高騰
  • 収益性の維持と事業の継続が困難であること

こうした状況下で、業界全体がこれらの問題に直面しています。課題を解決していくためには、業界全体で一体となって取り組む必要があります。

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継の動向

塗料・塗料卸売業界は業界全体が伸び悩んでおり、市場も徐々に縮小しつつあります。その状況を打開するために用いられているのがM&A・事業承継です。塗料・塗料卸売業界の場合、M&Aによる海外進出が積極的に行われています。

塗料・塗料卸売業界はすでに国内市場が成熟しており、これ以上の拡大は望めない状況です。そのため、海外市場に進出するケースは増えているのですが、海外市場への進出は決して簡単ではありません。

海外進出を実現するには現地に拠点を設置し、人材を集める必要があります。ただし、それには時間もコストも割かなければなりません。それらに加えて、現地での取引先を確保する必要もあります。しかし、現地に人脈を築くのも容易ではありません。

そして何よりも、進出する国や地域の知識も必須です。海外では言語はもちろん、法律、税制、文化、商慣習などが日本と異なっており、拠点の経営方法も変えなければなりません。そこで用いられるのがM&Aです。

M&Aであれば、現地の既存企業を買収することで、拠点をゼロから構築する手間やコストが省けます。また、その企業が持つ人材や取引先、ネットワーク、顧客なども引き継げるため、海外市場への参入がよりスムーズに進むのです。

実際、塗料・塗料卸売業界の大手は続々と海外進出を果たしており、海外市場のニーズを取り込むことで利益を上げています。

大手企業によるM&A・事業承継

M&Aでの海外進出先で特に多いのは新興国です。世界的に見ると、どの先進国も塗料・塗料卸売業界は頭打ちになっており伸び悩んでいます。そのため、新しいシェアを獲得するには、新興国への進出を重視する必要があるのです。

しかし、すでに塗料・塗料卸売業界の大手が次々と新興国へ進出しているため、その競争は激化しています。この動きは、世界規模で塗料・塗料卸売業界の再編が進んでいるとも言えるでしょう。

また、塗料・塗料卸売業界の大手同士がM&Aによって経営統合を行い、さらにシェアを拡大する動きも見られます。塗料・塗料卸売業界で世界トップのオランダのアクゾ・ノーベルや、アメリカのシャーウィン・ウィリアムズなどは、同業を次々と買収して規模を拡大中です。

将来、あるいは塗料・塗料卸売業界は、世界的な市場でシェアを維持できる大手に占められる形になるかもしれません。日本の塗料・塗料卸売業界においては、さらなる海外進出など、グローバル化を見据えた経営戦略が求められます。

海外進出の課題については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】海外進出の課題とは?方法や手順、クロスボーダーM&Aを活用した海外進出

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継の事例

ここでは、塗料・塗料卸売業界で実際に行われたM&A・事業承継の事例を紹介します。

大日本塗料×ジャパンパウダー塗料製造

2024年1月26日、大日本塗料は、2024年4月1日を効力発生日として、完全子会社であるジャパンパウダー塗料製造(JPCM、愛知県小牧市)を吸収合併することを取締役会で決定しました。大日本塗料を存続会社とし、JPCMは解散します。

大日本塗料は塗料やジェットインクの製造・販売、塗装機器の提供、塗装工事などを行い、JPCMは粉体塗料を製造・供給しています。この粉体塗料は環境に配慮した製品で、再利用が可能で高効率な塗装ができるため、グループにとって重要な製品です。

大日本塗料はコスト削減と競争力強化を目指し、過去に生産拠点の統合を進めてきました。2023年にJPCMを完全子会社化した後、さらなる効率向上と品質強化を図るため、JPCMの吸収合併を決定しました。

連結子会社の吸収合併(簡易・略式合併)に関するお知らせ

三菱瓦斯化学×WCM

2023年5月12日、三菱瓦斯化学は、簡易吸収分割方式で、ホルマリン関連事業(ホルマリン、ホルマロール、ホルマリン安定剤の販売)を完全子会社であるMGCウッドケム(WCM、東京都千代田区)に引き継ぐことを決定しました。この吸収分割では、三菱瓦斯化学が分割元、WCMが承継先となります。

三菱瓦斯化学は化学品の製造・販売を行い、WCMは木質系接着剤や塗料、化学品などを製造・販売しています。今回の決定は、三菱瓦斯化学の中期経営計画「Grow UP2023」の一環で、ホルマリン事業を収益改善のため合理化する施策の一部として実施されました。

連結子会社との会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ

日本ペイントホールディングス×Cromology Holding SAS

2022(令和4)年1月、日本ペイントホールディングスは、フランスのCromology Holding SASの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は約1,478億6,600万円です。また後日、イギリスの孫会社DGL International (UK) Ltdに、この株式を譲渡する予定となっています。

日本ペイントホールディングスは、家庭用・建築構造物用・自動車用・工業用・船舶用・表面処理塗装の開発・製造・販売を行うグループの持株会社です。Cromology Holding SASは、塗料および塗料周辺製品の製造・販売を行っています。

日本ペイントホールディングスとしては、ヨーロッパで第4位の建築用塗料メーカーであるCromology Holding SASを傘下に加えることで、ヨーロッパの汎用塗料事業への地盤構築の足掛かりとする所存です。

Sun Chemical Group S.p.A×SAPICI S.p.A.

2022年1月、イタリアのSun Chemical Group S.p.Aは、同じくイタリアのSAPICI S.p.A.とその持株会社であるFINAPE S.r.L.の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。

Sun Chemical Group S.p.Aは、日本のDICの完全子会社です。DICは、印刷インキ・有機顔料・合成樹脂などの製造・販売を行っています。SAPICI S.p.A.は、イタリアの接着剤・ポリマメーカーです。

DICとしては、グローバル市場での接着剤事業の売上増を狙っています。

日本ペイントホールディングス×日本ペイントコーポレート ソリューションズ

2022年1月、日本ペイントホールディングスは、2021(令和3)年10月に新設した子会社の日本ペイントコーポレート ソリューションズとの間で会社分割を実施しました。分割した事業は、上場機能と純粋持株会社機能に関する事業以外の全ての事業です。

この会社分割により、グループの日本国内における塗料事業のオペレーションは日本ペイントコーポレート ソリューションズが担い、日本ペイントホールディングスは真の意味で純粋持株会社として、グループの経営管理に当たります。

日本ペイント・オートモーティブコーティングス×Tong Yang Holding Corporation

2021年11月、日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、連結子会社5社の株式をケイマン諸島のTong Yang Holding Corporationから追加取得して完全子会社化すると発表しました。取得予定日は2022年第1四半期中で取得価額は公表されていません。

日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、日本ペイントホールディングスの連結子会社で自動車用塗料の製造・販売を行っている企業です。完全子会社化する5社は、いずれも中国で自動車用プラスチック塗料の製造・販売を行っています。

日本ペイントホールディングスとしては、中国における自動車塗料事業を統合し一体運営することでシェアを向上させるため、完全子会社化に踏み切りました。

DuluxGroup Limited×DP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.

2021年10月、イギリスのDuluxGroup Limitedは、スロベニアのDP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.の99.8%の株式を取得して子会社化すると発表しました。取得予定日は2022年上期中で、取得額は254億8,900万円です。

DuluxGroup Limitedは、日本ペイントホールディングスの孫会社でグループ内企業の中間持株会社になります。DP JUB delniška družba pooblaščenka d.d.は、塗料・塗料周辺製品の製造・販売を行っているグループの持株会社です。

日本ペイントホールディングスとしては、中央・東ヨーロッパ市場での塗料事業地盤を構築し、業績拡大を目指します。

Evermore Chemical Industry Co., Ltd.×Covestro Resins (Taiwan) Ltd.

2021年7月、台湾のEvermore Chemical Industry Co., Ltd.は、同じく台湾のCovestro Resins (Taiwan) Ltd.からオーバープリントワニス用UV硬化型コーティング剤事業を譲受しました。譲渡価額は約15億1千万円です。

Evermore Chemical Industry Co., Ltd.は、日本のアイカ工業の連結子会社で靴・繊維・日用品用途のウレタン樹脂やアクリル系モノマー・オリゴマーおよび光学用途のUV(紫外線)硬化樹脂などを製造・販売しています。

アイカ工業は、化成品事業、建装建材事業を行っている企業です。Covestro Resins (Taiwan) Ltd.は、化学工業用原料・塗料・顔料用途樹脂の製造・販売を行っています。アイカ工業としては、海外事業の推進のためにこのM&Aを実施しました。

Nippon Paint (M) Sdn. Bhd.×Vital Technical Sdn. Bhd.

2021年3月、マレーシアのNippon Paint (M) Sdn. Bhd.は、同じくマレーシアのVital Technical Sdn. Bhd. の株式75%を取得して子会社化しました。取得価額は公表されていません。

 

Nippon Paint (M) Sdn. Bhd.は、日本ペイントホールディングスの完全子会社です。Vital Technical Sdn. Bhd. は、シーラント・接着剤の製造・販売を行っています。

日本ペイントホールディングスとしては、東南アジア地域におけるグループの塗料事業の成長を加速させるために実施したM&Aです。

東京インキ×荒川塗料工業

2021年1月、東京インキは、荒川塗料工業の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。荒川塗料工業は、紙加工用塗料や建築用塗料などの製造・販売を行っている企業です。

東京インキは、オフセットインキ・グラビアインキ・インクジェットインク・マスターバッチ・樹脂コンパウンド・工業材料・包装材料の製造・販売、印刷用材料・印刷機械・仕入商品の販売などを行っています。

東京インキとしては、販売・生産・技術面での高いシナジー効果に期待してM&Aを実施しました。

Sun Chemical Corporation×Sensient Imaging Technologies

2020(令和2)年6月、アメリカのSun Chemical Corporationは、同じくアメリカのSensient Imaging Technologiesの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。Sun Chemical Corporationは、日本のDICの完全子会社です。

DICは、印刷インキ・有機顔料・合成樹脂などの製造・販売を行っています。Sensient Imaging Technologiesは、テキスタイル用途(布地を染める用途)のジェットインキ事業が中心の企業です。

DICとしては、グループとしてこれまで取り扱いのなかったテキスタイル用ジェットインキを、新たに製品ポートフォリ オに加えることで企業価値向上を図ります。

塗料・塗料卸売業界のM&Aの相場と費用

塗料・塗料卸売業界のM&Aで気になる金額面のことといえば、売買価額の相場と費用(仲介手数料)でしょう。ここでは、それぞれの概要を説明します。

塗料・塗料卸売業界のM&Aの相場

塗料・塗料卸売業のM&A相場は、一般的な企業と同様に企業の規模や設備、売上などで取引価額が決定されるため、一概に平均的な相場を設定するのは難しいものがあります。

ただし、塗料・塗料卸売業界のM&Aは海外進出を目的としたものが多く、海外企業の買収ではかなり高額な取引価額となるケースが多いのが現実です。

たとえば、数十億円以上は当然で、塗料・塗料卸売業界トップクラスの大手同士のM&Aでは数千億円単位の取引価額が設定されることも珍しくありません。

また、塗料・塗料卸売業界のM&Aでは大手同士の経営統合を目的としたケースも増えており、その場合も相場はかなり高額になるでしょう。

塗料・塗料卸売業界のM&Aの相場

M&A仲介会社によって料金体系は異なりますが、発生する可能性のある仲介手数料には以下のようなものがあります。

  • 相談料:正式依頼前の相談時に発生する費用。無料の会社が多い。
  • 着手金:業務委託契約締結時に発生する費用。完全成功報酬制の会社では発生しない。
  • 月額報酬:契約締結後、M&Aが成約するまでの間、毎月発生する顧問・アドバイス料。発生しない会社が多い。リテイナーフィーとも言う。
  • 中間金:基本合意書締結時に発生する費用。成功報酬額の一部を前払い扱いとする方式の会社が多い。完全成功報酬制の会社では発生しない。
  • 成功報酬:M&A成約時に発生する費用。成約額などを基準額として一定の手数料率を掛け合わせて算出するレーマン方式で金額計算する会社が多い。基準額の設定は各社違うため要事前確認。
  • デューデリジェンス料:買収側が行う売却企業への精密監査時には、士業の専門家を起用する必要があるため、仲介手数料とは別枠で発生する費用。買収側のみが支払う。

注意が必要な点は、成功報酬以外の費用は、仮にM&Aが破談した場合、返却はされません。M&A仲介会社の選定時には、料金体系も十分に確認しましょう。

なお、用いるM&Aスキーム(手法)によっては、各種税金も発生します。こちらも、M&A仲介会社から説明を受けておくと安心です。M&Aの譲渡価格の相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aの譲渡価格の相場はどれくらい?価格の決め方・高値で売却するコツも紹介【事例付き】
【関連】M&Aの費用と相場はどのくらい?仲介の手数料体系や計算方法を解説!

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継におけるメリット

塗料・塗料卸売業界でM&A・事業承継を実施した場合に得られるメリットについて、買い手・売り手に分けて解説します。

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継で買い手が得られるメリット

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継で買い手が得られるメリットは、その目的によって分かれます。代表的な2つのケースで見てみましょう。

海外進出を目的としたM&A・事業承継の場合

海外進出を目的としたM&A・事業承継の場合、得られるメリットは海外進出の効率化だといえるでしょう。海外進出は手間やコストがかかるため、ゼロから顧客や取引先を開拓するのは簡単ではありません。

しかし、M&Aであれば海外進出にかかる手間やコストを省け、スムーズに海外進出を実現できます。塗料・塗料卸売業界は新興国への進出が多いですが、その国の市場シェアを大きく獲得できれば、多大な利益を上げられるのです。

また、世界的に見て塗料・塗料卸売業界はグローバル化が進んでおり、M&Aを用いて各国のシェアを獲得するのが今の主流となっています。そのため、海外進出を目的としたM&Aのノウハウや知識は、塗料・塗料卸売業界にとって必要不可欠な位置付けとなりました。

企業の規模拡大を目的としたM&A・事業承継の場合

塗料・塗料卸売業界の大手企業同士が行う、事業規模拡大を目的としたM&A・事業承継の場合も、買い手にはさまざまなメリットがあります。大手企業同士のM&Aであれば、互いの顧客や販路を使用できるだけでなく、ノウハウや技術を合わせることで新たな事業の立ち上げも可能です。

また、企業の規模を拡大することは、海外進出するうえでも重要なポイントになります。元来、塗料・塗料卸売業界は石油価格の変動の影響を受けやすく、海外進出を実現すれば各国の政治情勢や金融情勢により、経営に支障が生じるかもしれません。

しかし、規模を拡大した企業であれば財務基盤が強まるため、石油価格の変動や政治情勢、金融情勢の影響に振り回される度合いは低くなります。

さらに、塗料・塗料卸売業界は、特定用途の塗料・顔料に特化したメーカーも多くありますが、新たな種類の塗料・顔料を扱いたい企業が、それを手掛けているメーカーを買収すれば、手軽に事業の幅を広げられるのです。

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継で売り手が得られるメリット

塗料・塗料卸売業界の中小企業の場合、大手企業に買収されれば、豊富な資金や人材を取り入れられるため、経営基盤が強化されます。仮に経営不振に陥っていたとしても、親会社のノウハウやリソースを得れば、経営の立て直しもスムーズに進むでしょう。

さらに、中小企業が抱える事業承継問題もM&A・事業承継で解決できます。現在、中小企業では後継者不在の会社が増えており、経営者の引退時に廃業するケースも少なくありません。そこで、M&Aで会社を売却し第三者に経営を委託できれば、経営者の引退後も会社は存続できます。

従業員の雇用は守られ、売り手は売却益を獲得できるのです。

そのような後継者不在でお悩みの場合やM&Aによる事業承継を検討されている場合には、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしてM&A・事業承継をサポートいたします。

また、通常、M&Aでは半年〜1年程度の期間が必要ですが、最短3カ月で成約した実績を有する機動力もM&A総合研究所の強みです。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」となっています(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

随時、無料相談をお受けしておりますので、塗料・塗料卸売業界でのM&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継を成功させる5つのコツ

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継を成功させるコツとして、以下の5項目を説明します。

  • 海外進出を目指したM&A
  • 新興国の塗料・塗料卸売会社を買収する
  • 国内需要喚起のための統合・合併
  • 大手企業の傘下入り
  • 専門家への相談

海外進出を目指したM&A・事業承継

塗料・塗料卸売業界で買収側の立場であるならば、国内企業とのM&A・事業承継よりも海外企業とのM&A・事業承継に目を向ける法がいいでしょう。その理由は、塗料・塗料卸売業界の国内市場はシュリンク状態にあるためです。

M&Aは、買収資金を用意し、交渉や手続きに時間をかけて行わなければなりません。そのような労力やコストをかけるのですから、M&A実施後、より業績が拡大できる可能性の高いM&Aを実施すべきです。

新興国の塗料・塗料卸売会社を買収する

塗料・塗料卸売企業が海外進出を図る場合、新興国の塗料・塗料卸売会社の買収も得策です。先進国の欧米市場の場合、すでに大手企業が市場シェアを占めており、中小規模の塗料・塗料卸売会社を買収したとしても進出は難しいと言わざるを得ません。

一方、これから市場拡大も見込める新興国の塗料・塗料卸売業界であれば、現地企業を買収し、いち早く経営基盤を確立することで、業績を上げることが可能になります。

国内需要喚起のための統合・合併

塗料・塗料卸売業界で一定の規模を持つ会社同士であれば、M&Aでの合併や経営統合を実施することによって、事業規模拡大によるスケールメリットが得られ、市場シェアも上がることから有利な立場になれます。

また、塗料・塗料卸売業界の中小企業の場合でも、3社以上でなるべく多くのの会社がM&Aで合併や経営統合できれば、大手企業と対抗し得る勢力となれるでしょう。特に異なったタイプの塗料を扱う会社が集まった場合に、その効力は増します。

以上2つの観点であれば、塗料・塗料卸売業界における国内企業同士のM&Aも有望です。

大手企業の傘下入り

塗料・塗料卸売業界の中小企業において、現実的なM&A戦略としては、同業の大手企業グループ入りすることでしょう。自社が培ってきた技術やノウハウ、従業員の持つ経験などを無駄にせず、また、業績向上を目指す手段としてM&Aは最適です。

特に、経営者が高齢で後継者不在状態であれば、会社の存続のためにもM&Aの検討は急務と言えます。

専門家への相談

M&Aの各プロセスでは、専門的な知識と経験が欠かせません。取引相手探しから始まり、売却側に対する企業価値評価やデューデリジェンス、シビアな条件交渉、各種契約書の作成とチェック、M&A後のPMI(経営統合プロセス)など、難しいプロセスが目白押しです。

それらを円滑に進めるためのサポートや、決断が必要な場面での的確なアドバイスを得るために、M&A仲介会社などの専門家の存在は大変、重要です。M&Aの検討初期段階から、専門家への相談をおすすめします。

M&Aを成功させるノウハウについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aを成功させるノウハウまとめ!基礎知識をつけて攻略する

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継時におすすめの相談先

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継時におすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

最近、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設ける動きが増えています。特に、投資銀行や大手メガバンクでは、M&Aのファイナンシャルアドバイザー(FA)として、企業間の取引をスムーズに進めるために、資金調達や戦略策定のサポートを提供しています。

こうした専門的な支援を活用することで、企業は資金調達や事業承継といった複雑な課題にも迅速かつ効果的に対応でき、専門家のアドバイスにより取引成功の可能性を高めることが可能です。

しかし、大手金融機関は大規模なM&A案件を優先する傾向があり、中小企業への支援が十分でないケースもあります。そのため、自社の規模やニーズに合ったサポート先を慎重に選ぶことが大切です。また、アドバイザリー費用が高額になる場合もあるため、事前に費用の確認と予算計画をしっかりと立てることが重要です。

公的機関

近年、事業承継やM&Aに対する公的支援が大幅に拡大されています。全国に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」では、後継者不足に悩む中小企業に対し、事業承継やM&Aに関する情報提供や専門的なアドバイスを行い、企業間マッチングの無料サポートを行っています。

これにより、地方の中小企業でも専門的なサポートが簡単に受けられるようになり、個人事業主も対象に含まれています。必要に応じて、M&A仲介会社や専門家を紹介することも可能です。

ただし、民間のM&A仲介会社に比べると、対応のスピードや柔軟性に限界がある場合があるため、注意が必要です。それでも、公的機関は事業承継やM&Aを検討している企業にとって信頼できる支援先となるでしょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の売買における全過程を支援する専門機関です。売り手と買い手の双方に対して、最適な相手の紹介や交渉支援、スケジュール管理、企業価値評価(バリュエーション)、契約書の作成など、幅広いサービスを提供します。彼らの役割は、両者の条件や要望を調整し、スムーズな取引を実現することです。

特に、仲介会社は広範なネットワークを活かし、理想的な取引先を見つけ出す力に優れ、M&Aの成功率を高める重要な役割を果たしています。また、経験が浅い企業に対しても、具体的なアドバイスを行い、取引が円滑に進むようサポートします。

ただし、仲介会社を利用する際には、着手金や中間金といった手数料が発生する場合があります。コストを抑えたい場合は、成功報酬制の仲介会社を選択するのが効果的です。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

塗料・塗料卸売業界のM&A・事業承継のまとめ

塗料・塗料卸売業界は国内市場の低迷もあり、今後は海外進出や大手企業の規模拡大、組織再編のM&Aが重要になってきます。そのため、塗料・塗料卸売業界の企業は、海外進出を想定した経営戦略が求められるでしょう。

塗料・塗料卸売業界は新規参入が難しい業界であるため、この傾向はしばらく続く可能性が高いと予測されています。いずれにしろ、M&Aの検討・実施にあたっては、M&A仲介会社などの専門家に相談するのが得策です。

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