2024年11月11日更新業種別M&A

保育園の事業承継の動向!注意点や事例・案件例を紹介

身内や社内に後継者がいない保育園では、以前は廃業せざるを得ない状況でした。しかし、保育園の事業承継は地域社会からも強く要請されることです。その解決手段として、保育園の事業承継がM&Aで実施される事例が増えています。保育園の事業承継の動向や注意点、事例・案件例を紹介します。

目次
  1. 保育業界の特徴・動向
  2. 保育業界の事業承継とM&Aとの関係性
  3. 保育園の事業承継の課題
  4. 保育園の事業承継の注意点
  5. 保育園業界の事業承継の案件例
  6. 保育園の事業承継・M&A事例
  7. 保育園の事業承継時におすすめの相談先
  8. 保育園の事業承継まとめ

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保育業界の特徴・動向

保育園などの保育業界の事業承継やM&Aの詳細な話の前に、近年の保育業界の特徴や動向について、つかんでおきましょう。

保育所・保育園の定義

まず、保育所・保育園の定義から始めます。保育所と保育園は名称が異なりますが、同義語です。同じ施設を表しています。保育所・保育園とは、保護者の委託を受けて乳児や幼児を保育するための施設のことです。端的に言えば、保護者に代わって乳幼児の保育を行う施設、となります。

保育所・保育園は、認可保育所と認可外保育所に二分割されます。認可保育所は児童福祉法の規定に基づいて設置された保育所のことで、職員数などの設置基準を満たし、都道府県知事に認可された施設です。一方、そのような認可のない保育所を認可外保育所といいます。

ただし、認可外保育所が違法というわけではありません。あくまでも詳細規定を全て満たしきれなかった、という結果において認可外保育所という位置づけになっています。実際、多くの認可外保育所は存在し、そこにはたくさんの子供が預けられています。

市場規模は拡大する見込み

育児関連の保育・幼児サービスは、これまで社会福祉法人や自治体が主に担ってきました。国は2000年に株式会社による認可保育所の運営を許可しましたが、「経営が悪化すると撤退の可能性がある」との懸念から、実際には都道府県が認可に慎重でした。

しかし、第2次安倍政権が株式会社にも認可を進めるよう通達したことで、民間の保育施設が増加しています。

日本経済新聞社が2023年10月にまとめた「サービス業調査」によると、回答のあった保育サービス会社36社の売上高は前年より9.4%増加し、前回の伸び率(5.1%)からさらに4.3ポイント上昇しました。

また、少子化に対応するため、政府は2015年度から「子ども・子育て支援」を本格化させ、認定こども園や企業主導型保育所の普及に力を入れています。2023年4月には子ども政策を統括するこども家庭庁が発足し、保育所や認定こども園の所管も同庁が担当します。

2023年4月時点で、保育所の利用定員は305万人、実際の利用者は272万人です。

参考:日経コンパス「保育・幼児向けサービス」

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保育業界の事業承継とM&Aとの関係性

保育業界の特徴・動向を踏まえたうえで、あらためて保育園の事業承継、そしてM&Aとの関係について考えてみましょう。

事業承継問題を解決するためのM&A

事業承継とは、会社の事業を後継者が引き継ぐことです。ただし、M&Aの手法の中に、事業承継専用の特別な方法があるわけではありません。具体的には、M&Aによって他社に会社を売却し、その買い手に経営を任せることが、結果として事業承継したことと同等なのです。

例えば、経営者が高齢になり、引退を考えているとします。ところが、後継者が不在であれば、実質的に経営者が経営を続けるしかありません。しかしながら、年齢的に業務の継続が難しくなれば、その会社は経営の継続ができず、廃業せざるを得なくなってしまいます。

そこで、M&Aによって他社に売却を行い、他社が事業を承継してくれれば、後継者不在問題は解決し、経営者は安心して引退することができます。このように、M&Aによる事業承継は、後継者不在や経営者の高齢化といった経営上の問題を解決するという側面があるのです。

市場規模の一定の拡大が予測される保育業界において、後継者不在問題は市場を混乱させる要因にもなりかねません。その大きな解決手段として、M&Aによる事業承継には大きな意義があります。

異業種も含めたM&A

保育園に関するM&Aには、異業種から保育業界に新規参入することを目的としたケースも多数あります。新規参入をする場合、自社で一から保育事業を開始するよりも、保育事業を行っている企業を買収したほうが、格段に手間と時間を短縮して業界参入が果たせます。

このケースから言えるのは、事業承継を検討している売り手の立場から考えると、買い手候補は保育業界に限った話ではないということです。特に今後の市場規模拡大過程では、新規参入を考える企業が増える可能性があります。

そうした異業種の企業が、事業承継における買い手になる可能性もあるわけです。保育園に関する事業承継を検討する際には、保育業界と異業種間のM&A事例もしっかり分析し、視野を広げておくことが重要でしょう。

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保育園の事業承継の課題

保育業界の市場は今後も拡大する見通しが強く、それに伴って異業種を含めたM&A事例も加速する可能性があります。事業承継を考える売り手にとっては、それだけ多くの買い手候補が現れることにもなり、事業承継を成功させるチャンスでもあります。

一方で、M&Aによる事業承継は、買い手がいてこその事業承継であり、買い手にとっても事業の強化・拡大などのメリットがあるものでなければなりません。そうした買い手のニーズも踏まえ、事業承継が行われる必要があるでしょう。

特に、同業者同士のM&Aであれば、同じ保育事業を行う買い手にとって、さまざまなシナジー効果が発揮されることが、保育業界の活性化のために重要な意味を持ちます。

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保育園の事業承継の注意点

事業承継としてM&Aを行う際には、条件の明確化と対象企業の選定に注意する必要があります。それがしっかりと実行できないと、M&Aは失敗する可能性が高まってしまいます。事業承継という根本の目的を果たすために、大事な条件は何であるかよく考えておくことです。

条件を定めておかなければ、最適なスキームの選択も難しく、最適な対象企業も決めかねてしまうでしょう。また、買い手候補企業が現れた際には、その相手が経営を託すのに本当にふさわしい信頼できる相手であるか、よくよく吟味しましょう。

継続して働くことになる従業員や、保護者より預かっている乳幼児を任せられる買い手であるかどうか、事業内容や業績なども含め、分析に分析を重ねて慎重に見極める必要があります。

【関連】事業承継スキームの重要性
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保育園業界の事業承継の案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている保育園業界の事業承継の案件例として、首都圏の学校法人(幼稚園.学童保育)をご紹介します。

未就学園児教室の運営、学童保育の運営、アフタースクールの管理を手掛けています。

エリア 関東・甲信越
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 2.5億円〜5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【首都圏/学校法人】幼稚園.学童保育(教室・教育・ノウハウ) | M&A総合研究所

保育園の事業承継・M&A事例

最後に、保育園の事業承継に関連し、保育園・保育事業の株式譲渡によるM&A事例について見てみましょう。事例ごとに保育事業の譲渡の背景、買収の目的などを整理し分析しておくと、いざという場合の情報として役立つはずです。

ライクによるデジタルディフェンスの子会社化

ライクは2024年7月19日、デジタルディフェンス(東京都西東京市)の全株式を取得し、連結子会社化しました。

ライクは、子育て支援や人材サービス、介護サービスなどを展開する企業グループを有し、デジタルディフェンスは西東京市内で3つの認可保育園を運営しています。

本件M&Aにより、デジタルディフェンスが持つ地域密着のノウハウを活かし、ライクの運営地域との親和性を高め、保育事業の基盤強化と地域の子育て環境の充実を図ることを目指します。

ライクグループ、西東京市に3つの認可保育園を運営するデジタルディフェンス有限会社を連結子会社化

SHIFTによるインフィニックの子会社化

2023年8月31日、SHIFTは、保育園運営および保育業務コンサルティングを行うインフィニック(神奈川県川崎市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

SHIFTは、ソフトウェアの品質保証やテスト事業を手掛けており、今回の買収により、インフィニックの保育ノウハウとSHIFTグループの人材育成力を融合させ、グループ従業員やその家族に対し、SHIFTグループならではの保育や初等教育サービスを提供することを目指しています。

インフィニック株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ミアヘルサによる東昇商事の子会社化

2020年6月29日、ミアヘルサは、東京都品川区の東昇商事の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

ミアヘルサは医薬、介護、保育、食品事業を展開しており、今回のM&Aで運営保育園が計32園に拡大します。これにより、ミアヘルサは保育事業の効率化と運営エリアのさらなる拡充を目指し、事業基盤の強化を図ります。

マリー保育園(6園)がミアヘルサ・グループに加わりました

保育園の事業承継時におすすめの相談先

保育園の事業承継時におすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

近年、金融機関がM&A支援に特化した部署を設ける動きが加速しています。特に投資銀行や大手メガバンクは、M&Aにおける資金調達や戦略構築などの幅広い支援を行うファイナンシャルアドバイザー(FA)としての役割を担い、スムーズな取引実現に向けたサポートを提供しています。

このような専門的支援によって、企業は資金調達や事業継承といった複雑な課題に取り組みやすくなり、専門家のアドバイスを受けることで取引の成功確率も高まります。

一方、大手金融機関は大規模案件を優先する傾向があるため、中小企業が十分な支援を得られない場合もあります。そのため、企業は自社のニーズに合致した支援先を慎重に選ぶ必要があります。また、アドバイザリー報酬が高額になることも多いため、あらかじめ費用について確認することが不可欠です。

公的機関

近年、事業承継やM&Aに対する公的な支援体制が急速に整備されています。全国47都道府県には「事業承継・引継ぎ支援センター」が設けられ、後継者不足に悩む中小企業に向けて、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイス、企業間のマッチング支援が無料で提供されています。

この支援体制により、地方の中小企業も専門的なサポートを受けやすい環境が整い、個人事業主向けの支援も強化されています。また、必要に応じてM&A仲介会社や専門家の紹介も受けられる仕組みです。

ただし、民間の仲介会社に比べると、対応のスピードや柔軟性に限界があるため、その点を理解して活用することが重要です。こうした公的支援機関は、事業承継やM&Aを検討する企業にとって、有力な選択肢の一つといえるでしょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の売買において包括的な支援を提供する専門機関です。売り手と買い手の双方に対して、最適な取引先の紹介、交渉のサポート、取引の進行管理、企業価値の評価、契約書の作成など、多岐にわたるサービスを提供し、条件調整を通じてスムーズな成約を目指しています。

特に、幅広いネットワークを活かし、理想的な取引相手を見つける成功率が高い点が大きな強みです。さらに、M&Aが初めての企業にも実務的なアドバイスを提供し、取引の円滑化を図ります。

ただし、仲介会社を利用する際には、着手金や中間報酬といった費用が発生する場合があるため、事前にコストを確認しておくことが大切です。費用を抑えたい場合には、成功報酬型の仲介会社の利用も一つの方法です。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

保育園の事業承継まとめ

保育園の存続は、そこに働く従業員だけでなく、乳幼児を預けている保護者にとっても重大なことです。保育事業には、そのような地域社会からの要請・需要という大切な使命があります。一度、参入したら、そうそう簡単には撤退できないといっても過言ではありません。

社会福祉の理念や保育思想が必要である保育事業ですから、仮に後継者難という問題があるのであれば、早い段階からM&Aによる事業承継を検討し、準備しておくに越したことはないでしょう。

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