2024年12月25日更新都道府県別M&A

宮崎県の事業承継・M&Aの最新動向|事例・案件やおすすめの相談先も紹介

本記事では、宮崎県の経済状況を踏まえた上で事業承継・M&Aの動向や解説します。また、宮崎県の事業承継・M&Aにおける案件や事例も紹介するので、宮崎県で事業承継・M&Aを検討されている方には、必見の内容です。

目次
  1. 宮崎県の経済状況
  2. 宮崎県の事業承継・M&Aの動向
  3. 宮崎県近郊の事業承継・M&A案件一覧
  4. 宮崎県の事業承継・M&Aの事例
  5. 事業承継・M&A時におすすめの相談先
  6. 宮崎県の事業承継・M&Aに関する公的支援
  7. 宮崎県の事業承継・M&Aのまとめ

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宮崎県の経済状況

宮崎県の発表では、令和6年8月1日時点での人口は1,032,041人(男487,891人、女544,150人)で、前年同月より9,837人減少(増減率:-0.94%)しました。

一方、「令和3年度 宮崎県県民経済計算-県民経済計算推計結果概要-」によると、2021(令和3)年度の宮崎県の県内総生産(名目)は3兆7,065億円でした。これは対前年度比で、+1.9%の増加率です。

宮崎県の県内総生産(名目)における産業別構成比は以下のようになっています(合計値が100%になりませんが資料のまま記載しています)。

  • 農業:3.6%
  • 林業:0.5%
  • 水産業:0.6%
  • 鉱業:0.1%
  • 製造業:17.3%
  • 建設業:7.6%
  • 電気・ガス・水道・廃棄物処理業:3.2%
  • 卸売・小売業:11.2%
  • 運輸・郵便業:4.6%
  • 宿泊・飲食サービス業:1.5%
  • 情報通信業:3.0%
  • 金融・保険業:2.9%
  • 不動産業:8.8%
  • 専門・科学技術、業務支援サービス業:6.1%
  • 公務:7.2%
  • 教育:4.9%
  • 保健衛生・社会事業:12.4%
  • その他のサービス:3.8%

上記のうち太字の産業は、全国平均と比較して比率が高い=宮崎県で盛んな産業です。一方、全国平均よりも構成比が低かった産業は、製造業、卸売・小売業、情報通信業、不動産業、専門・科学技術・業務支援サービス業でした。

参考:宮崎県「宮崎県の推計人口と世帯数(令和6年8月1日現在)」
   宮崎県「宮崎県県民経済計算(令和3年度確報)」

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宮崎県の事業承継・M&Aの動向

宮崎県では、少子高齢化の影響や若年層の都市部への流出により、人手不足や後継者不足の問題が深刻化しています。それに伴い、休廃業・解散する企業数も多くなっていますが、なかには事業エリアの拡大を目的として大手企業に買収されるケースも増加しています。

ここでは、宮崎県の事業承継・M&Aの最新動向について詳しく解説します。

後継者不在率は改善

2023年に宮崎県内の全業種2163社に対して行われた後継者に関する調査では、後継者が「いない」または「未定」と回答した企業が1041社にのぼり、後継者不在率は48.1%でした。前年から1.2ポイント改善しており、特にコロナ禍が始まった2020年以降、5.2ポイントの改善が見られます。

5年前の2018年時点と比較できる県内1067社のうち、20.8%にあたる222社が新たな後継者を決定しており、そのうち10.2%は経営交代後に後継者が決まり、10.6%は事業承継前に後継者が確定しました。

近年、自治体や地域の金融機関が事業承継に関する相談窓口を広げ、M&Aや事業譲渡、ファンドを活用した支援体制が整えられてきました。これにより、事業承継の重要性が経営者や後継者候補にも広まり、コロナ禍がきっかけとなって事業承継の必要性に向き合う動きが進んだと考えられます。

参考:帝国データバンク「特別企画:宮崎県企業「後継者不在率」動向調査(2023 年)」

休廃業件数は減少したものの高水準で推移

後継者不在の問題は、企業の休廃業を招いています。2023年に宮崎県で休業や廃業、解散(個人事業主を含む)した企業は470件となり、前年に比べてわずかに減少しましたが、依然として倒産件数の約15倍にのぼる高水準が続いています。

この休廃業によって、少なくとも692名の正社員が影響を受け、前年より135名減少したものの、これらの人々の多くが職を失うか転職を余儀なくされた可能性があります。また、失われた売上高は総額129億円に達しました。

2023年に休廃業した企業のうち、67.7%が「資産超過型休廃業」に該当し、さらに黒字経営のまま廃業した企業が51.6%と過半数を占めています。

黒字休廃業が過半数に達するのは6年連続のことで、資産超過かつ黒字での休廃業が確認された企業は全体の23.1%となり、2016年以降で最も高い割合となりました。

参考:帝国データバンク「宮崎県企業「休廃業・解散」動向調査(2023)」

宮崎県のM&A件数の推移

2018~2022年の間に宮崎県の企業が関わったM&A件数を以下に記します。

  • 2018年:11件
  • 2019年:14件
  • 2020年:15件
  • 2021年:13件
  • 2022年:10件

2022年の場合、買い手と売り手の双方が宮崎県内の企業だったM&Aが0件、買い手が宮崎県内の企業だったM&Aが2件、売り手の方が宮崎県内の企業だったM&Aが8件という内訳です。

小売/医療・福祉業界でのM&Aが活発

宮崎では近年の少子化の影響に加え、若年層の都市部への移住により県全体で高齢化が進行しています。この高齢化社会の影響もあり、医療・福祉業のニーズが非常に高まっていることから、宮崎県内では介護施設や調剤薬局のM&Aが増加しています。

また、大手企業が事業エリアの拡大を図るために、小規模の法人を対象に買収しているケースも多く、特に大手ドラッグストアチェーン企業は食品スーパー等の買収も積極的に行ない、日用品・医薬品の品揃えも強化した総合スーパーの展開により、地域内の買い物の利便性を向上させることで利益拡大を図る動きがあります。

【関連】大分県の事業承継・M&Aの動向!経済状況や案件・事例も解説

宮崎県近郊の事業承継・M&A案件一覧

弊社M&A総合研究所が取り扱っている宮崎県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。

【1円譲渡】九州地方の採卵養鶏場

まず紹介するのは、九州地方で大規模な採卵養鶏場を営んでいる企業の法人(株式)譲渡の案件です。12万羽以上の採卵鶏を飼養可能かつ一日あたり10万個集卵可能となっています。防疫対策に注力しており、創業から約25年間一度も鳥インフルエンザの発生がありません。

また、鶏糞を処理する設備が整っており、鶏糞を自社内で堆肥へと製品化することが可能です。

基金などの営業外収益も大きく、2024年の経常利益は約3,000万円となっています。

売上高 2.5億円〜5億円
営業利益 〜1000万円
総資産額 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 〜1000万円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【1円譲渡】九州地方の採卵養鶏場| M&A総合研究所

【旧型酒類販売免許保有】酒類販売業×九州

次に紹介するのは、酒小売業を営む法人の1円譲渡案件です。希少性の高い旧酒類販売免許(1989年6月以前に発行された酒類販売免許で、現在は新規取得不可能※M&Aを通してのみ取得可能)を保有しており、制限なく酒類販売ができるため、EC等を活用すれば事業拡大が見込めます。
 

売上高 1000万円〜5000万円
営業利益 非公開
総資産額 〜1000万円
譲渡希望額 〜1000万円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【旧型酒類販売免許保有】酒類販売業×九州|M&A総合研究所

【九州地方】精神科病院の法人譲渡

理事長はM&A後も2年程度の継続勤務は可能です。数年前に建物(病院)の大規模修繕を実施しています。

売上高 2.5億円〜5億円
営業利益 赤字経営
総資産額 5億円〜7.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安

【九州地方】精神科病院の法人譲渡(医療・介護) | M&A総合研究所

【九州地方/家具製造業】無借金経営・オリジナルブランド保有

オリジナルブランドを有し、自社内にて図面作成から仕上げまでを行っています。純資産が積み上がっており、無借金経営で財務状態が健全です。

エリア 九州・沖縄
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 2.5億円〜5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【九州地方/家具製造業】無借金経営・オリジナルブランド保有(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所
【関連】鹿児島県の事業承継とは?

宮崎県の事業承継・M&Aの事例

ここでは、実際に宮崎県の企業が行ったM&A事例をピックアップしてご紹介します

ひいらぎホールディングスによるポポラマーマの事業承継・M&A

2024年7月25日、プライベート・エクイティ・ファンド「Sunrise Capital IV」(東京都、以下サンライズキャピタル)が投資するひいらぎホールディングス(宮崎県小林市)は、株式会社ポポラマーマ(東京都江戸川区)の全株式を取得し、ポポラマーマをグループの一員に迎え入れることを発表しました。

ひいらぎホールディングスは、外食や食品販売、レストラン・ブライダル事業、洋菓子やパンの製造販売など、多岐にわたる「食」に関連する事業を展開しています。

ポポラマーマは、生パスタを売りにした専門店「ポポラマーマ」を中心に、全国で約80店舗を運営しています(フランチャイズ店舗を含む)。

今回のM&Aにより、ひいらぎホールディングスの店舗運営・開発ノウハウと、ポポラマーマの成長ポテンシャルを融合させ、さらなるグループ全体の成長を目指します。

ひいらぎホールディングス株式会社との資本業務提携に関するお知ら

クラウディアHDによるブライダルハウス島田の事業承継・M&A

2024年6月24日、クラウディアホールディングス(3607、以下「クラウディアHD」)は、ブライダルハウス島田(宮崎県宮崎市)の株式を取得し、子会社化することを決定しました。

クラウディアHDは、ウェディングドレスの製造・販売・レンタルおよび挙式サービスを展開する企業を傘下に抱える持株会社です。一方、ブライダルハウス島田は、宮崎県でトップクラスのシェアを誇る貸衣裳店で、婚礼衣裳の販売とレンタルを行っています。

株式取得の背景には、クラウディアHDグループにおける衣裳店運営が中核事業であり、今後の成長戦略として事業拡大を図る計画があります。これにより、九州地区でのネットワーク強化と収益基盤の拡大を目指し、「総合ブライダル企業」としての企業価値向上を狙っています。

株式会社ブライダルハウス島田の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

岡本工作機械製作所による大和工機の事業承継・M&A

2023年9月28日、岡本工作機械製作所は、大和工機(宮崎県都城市)の全株式を取得し、子会社化することを決定し、株式譲渡契約を締結しました。

岡本工作機械製作所は、各種研削盤や半導体関連機器の製造・販売を行う企業です。大和工機は、産業機械や生産設備の製造およびメンテナンスを手掛ける企業です。

今回の株式取得により、岡本工作機械製作所は、大和工機を半導体関連装置の製造拠点および開発ラボとして活用し、増大する半導体需要に対応していく計画です。

また、両社の技術やノウハウを統合することで、大和工機の成長を促進し、岡本工作機械製作所の半導体関連装置の開発・設計・製造における機能強化を図り、提供する価値の向上を目指す考えです。

大和工機株式会社の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

宮崎トヨタ自動車による宮崎交通の事業承継・M&A

2021年8月、宮崎県宮崎市の宮崎交通は、東京都板橋区のオーシャンブルースマート共同で運営してきたシェアサイクル事業を、宮崎県宮崎市の宮崎トヨタ自動車に譲渡しました。オーシャンブルースマートの共同事業者の立場は変わりません。また、譲渡価額は非公表です。

宮崎交通は、バス事業、旅行・航空事業、保険事業、遊園事業、不動産事業などを行っています。宮崎トヨタ自動車は、トヨタ車のディーラーであり自動車販売関連事業も合わせて行っている企業です。

オーシャンブルースマートは、IoT製品の開発・運営・販売、シェアサイクルサービスの運営を行っています。宮崎交通としては、事業の選択と集中を検討した結果、今回の事業譲渡に至りました。

シェアサイクルサービス事業の譲渡について

マルミヤストアによる戸村精肉本店の事業承継・M&A

2021年3月、大分県佐伯市のマルミヤストアは、宮崎県日南市の戸村精肉本店の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。また、戸村精肉本店の完全子会社である戸村フーズ(宮崎県日南市)は、マルミヤストアの孫会社になりました。

リテールパートナーズの完全子会社であるマルミヤストアは、生鮮食品主体のスーパーマーケットの経営をしています。戸村精肉本店は、スーパー4店舗とレストラン1店舗を経営している企業です。また、戸村フーズは食品製造業を行っています。

マルミヤストアとしては、南九州地域におけるドミナント強化とともにシナジー効果にも期待してM&Aを実施しました。

当社連結子会社の株式取得に関するお知らせ

九州のM&A・会社売却・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】九州のM&A・会社売却・事業承継|個人向け会社売買サイトや1000万円以下案件一覧| M&A・事業承継の理解を深める

事業承継・M&A時におすすめの相談先

宮城県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。

金融機関

近年、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設立するケースが増えています。特に投資銀行やメガバンクが、M&Aのファイナンシャルアドバイザー(FA)として、重要な役割を果たす例が多く見受けられます。買収側は、資金調達のために金融機関との協議が欠かせず、既存の取引関係がある金融機関が最初の相談相手となることが一般的です。

金融機関に相談することで、資金調達に関する専門的なアドバイスを得られるため、事業承継の際にも非常に役立ちます。また、一部の金融機関では、M&Aに特化した部署を設置し、専門家を紹介するサービスも提供しています。

しかし、大手金融機関は主に大規模案件を扱う傾向があり、中小案件には対応しないことが多いです。そのため、アドバイザリー形式を利用する場合、報酬が高額になることがデメリットとして挙げられます。

【関連】M&Aにおける銀行の役割は?融資・アドバイザリー業務の特徴や銀行を利用したM&Aのポイントを解説|M&A・事業承継の理解を深める

公的機関

近年では、公的機関による事業承継やM&Aの相談体制が整備されてきています。たとえば、事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業が直面する後継者不足などの問題に対して、無料で情報提供やアドバイスを行い、企業間のマッチングを支援しています。

このセンターは全国47都道府県に展開しており、地方の企業でも簡単に利用できる点が大きな利点です。

また、公的機関が運営しているため、無料でアドバイスが受けられ、さらにM&A仲介会社や専門家の紹介も行っています。しかし、公的機関の特性上、対応のスピードに限界がある場合があり、民間の仲介会社と比較すると支援内容に物足りなさを感じることもあるかもしれません。

【関連】事業承継の相談先である事業承継・引継ぎ支援センターとは?成約事例や案件・手数料・その他の支援機関も徹底解説|M&A・事業承継の理解を深める

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却に特化してサポートを提供し、売り手・買い手の両者と契約を結びながら交渉を進行させます。初期の相談から、適切な買収先や売却先の選定、スケジュールの管理、企業の価値評価、必要な書類作成など、M&A全体のプロセスをトータルで支援します。

仲介会社の最大のメリットは、広範な候補企業の中から最適な相手を見つけられることにあり、売り手と買い手の双方が満足する取引を実現できる可能性が高まります。また、M&Aが初めての企業にも、手厚いサポートを提供し、交渉や手続きがスムーズに進むように導きます。

ただし、契約には着手金や中間金がかかることがあり、コスト面での負担が懸念されることもあります。そこで、費用面で安心できる成功報酬型の会社を選ぶのが良いでしょう。

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宮崎県の事業承継・M&Aに関する公的支援

宮崎県の本格的な公的事業承継支援策は、まず、2013(平成25)年3月の「宮崎県中小企業振興条例」にて、小規模企業の事業承継促進を図る目標が掲げられました。

そして、中小企業庁からの委託事業として、宮崎県事業引継ぎ支援センターが2015(平成27)年8月に開設されます。その後、事業承継促進の具体戦略を練る「事業承継支援に係る関係機関連絡会議」開催などを経て、宮崎県事業承継ネットワークが2018年4月に発足しました。

さらに、2021年4月、宮崎県事業引継ぎ支援センターと宮崎県事業承継ネットワークが統合され、新たに宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターが開設されています。ここでは、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターの概要とその他の事業承継支援内容を見てみましょう。

宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター

国からの委託事業として設置された公的機関である宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターは、宮崎県の中小企業・小規模事業者の事業承継を専門に支援しています。具体的な活動内容は以下のとおりです。

  • 事業承継支援ネットワーク機関による事業承継診断・支援
  • 親族内承継のサポート
  • 社内承継のサポート
  • M&Aによる事業承継のためのマッチング支援
  • 経営者保証免除・解除支援
  • 事業承継に関する各種セミナー・イベントの開催

事業承継支援ネットワーク機関とは、商工会・商工会議所・金融機関などです。事業承継診断後、希望者には事業承継計画策定のための専門家無料派遣などの支援が用意されています。

親族や社内に後継者がいる場合でも、後継者教育や自社株式の引き渡し、後継者の課税対策など事業承継実施まで困難な点もあるでしょう。それらに対するサポートメニューも用意されています。

M&Aによる事業承継を目指す場合は、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターがマッチング支援を行ったり、登録機関のM&A仲介会社によるマッチングが受けられたりしますが、仲介業務は別途、M&A仲介会社への依頼が必要です(手数料も発生)。

また、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターの独自事業として、後継者人材バンクに登録されている起業希望者(事業承継を希望する起業家)とのマッチングも行っています。

宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター

宮崎県の自治体による事業承継支援融資や補助金

事業承継では、主に後継者側で何かと資金が要りようになります。逆に言えば、資金不足であると事業承継をしたくてもできないケースがあるわけです。そのような状況の打開のため、宮崎県の各自治体では事業承継専用の融資制度や補助金制度が用意されています。

事業承継用融資の代表的なものは、宮崎県が行っている事業承継貸付です。最大1億円を最長期間10年で融資を受けられます。相談申し込み窓口は、商工会議所、商工会または中小企業団体中央会です。

一方、市町村が行っているのは、M&Aなどの事業承継で生じる費用の一部に対して補助金を助成する制度になります。補助金なので、あまり高額ではありませんが、発生費用の3分の1から2分の1程度という条件で、助成を受けられる制度です。

1つのユニークな例として、延岡市の事業承継推進補助金があります。宮崎県外の個人または法人が、延岡市にある中小企業の事業承継を目的として、指定の支援機関に相談に訪れた場合、その交通費について2万円を上限として、実費の2分の1まで補助金を出す制度です。

民間企業による事業承継支援も開始

2020年2月、宮崎県では、民間企業による事業承継支援の取り組みも発表されました。1件は、宮崎市のライトライトが立ち上げた、宮崎県地域の事業承継促進のためのプラットフォーム「relay(リレイ)」です。

もう1件は、児湯郡新富町の一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(略称:こゆ財団)が、新富町地域周辺の中小企業や小規模事業者中心に行う事業承継マッチング支援を開始しました。他の都道府県ではあまり例を見ない民間ベースの取り組みなので、注目を集めています。

商工会議所が支援する事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】商工会議所が支援する事業承継とは?セミナー情報や評判を解説| M&A・事業承継の理解を深める

宮崎県の事業承継・M&Aのまとめ

親族や社内に後継者がいない場合の事業承継の解決手段は、M&Aです。また、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターで行われているような後継者人材バンクを使った、起業希望者と後継者難の中小企業とのマッチングも、今後、全国で増えていくかもしれません。

いずれにしろ、公的支援の活用やM&A仲介会社の起用により、後継者不在による廃業は避けられる状況になってきています。

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