M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月16日更新都道府県別M&A
島根県・松江市の事業承継・M&A動向!案件・事例・経済状況も紹介
島根県・松江市の事業承継・M&A動向や、事業承継支援事業の概要まで紹介しています。島根県・松江市を含めた中国地方は全国でも後継者不足が深刻な地域で、官民あげて事業承継支援へ積極的に関与しています。島根県・松江市でM&Aを検討中の方は必見です。
目次
島根県の経済状況
2024年8月時点における島根県の人口は642,392人です。また、2021年度の県内総生産の名目値は2兆6,707億円(前年度2兆5,995億円、+712億円)で、前年度比は+2.7%で2年ぶりの増加でした。
島根県の県内総生産(名目)における各産業の構成比は以下のとおりです(合計値が100%にならないが資料のまま掲載)。
- 製造業:17.4%
- 保健衛生・社会事業:12.3%
- 不動産業:10.5%
- 卸売・小売業:11.0%
- 建設業:8.6%
- 公務:6.7%
- 専門・科学技術、業務支援業:7.3%
- 教育:5.4%
- 電気・ガス・水道・廃棄物業:3.0%
- 運輸・郵便業:3.9%
- その他のサービス業:3.6%
- 金融・保険業:3.0%
- 情報通信業:3.1%
- 宿泊・飲食サービス業:1.4%
- 農林水産業:1.5%
- 鉱業:0.1%
太字の産業は、全国平均よりも比率が高いもの、つまり、島根県で盛んな産業です。一方、全国平均よりも比率が目立って低い産業は、製造業、卸売・小売業、情報通信業、専門・科学技術、業務支援業でした。
島根県・松江市の事業承継・M&A動向
島根県・松江市の事業承継・M&A動向を2つのトピックに分けて解説します。
島根県の休廃業・解散・倒産件数
帝国データバンクの「島根県 企業の休廃業・解散動向調査(2023年)」によると、2023(令和5)年に島根県で休廃業・解散が行われた数は326件(個人事業主含む)でした。
4年ぶりの減少傾向であり、同年の倒産件数(54件)の6倍に相当し、2年ぶりに10倍を下回りました。
2023年は、コロナ禍からポストコロナへの移行に伴い国内経済が正常化に向かいましたが、原材料費やエネルギー価格の高騰が企業収益を圧迫する状況でした。その中でも、休廃業・解散の件数は前年を下回りました。
一方で、経営資源を第三者に引き継いで事業を終える「前向きな廃業」への支援策が広がる一方、後継者不在や代表者の高齢化が進む中小・零細企業では、経営改善が見込めず「諦め廃業」が高い水準で続く可能性が指摘されています。
島根県・松江市のM&A・会社売却・事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
島根県の後継者不在率
全国の中小企業に共通する経営課題として、国や自治体も注視しているのが事業承継問題です。日本で中小企業経営者が引退する場合、過去においては親族に事業承継するケースが一般的でした。また、身内に後継者がいない場合は、社内の役員や従業員が後継者になりました。
しかし、昨今は少子化とそれに伴う人口減の影響や価値観の多様化で、身内や社内に後継者がおらず事業承継ができないという問題が多発中です。そして、それは島根県でも、今後の地域経済を揺るがす大きな問題として捉えられています。
帝国データバンクの「島根県 後継者不在に関する企業の実態調査(2023年)」によれば、2023年の島根県の中小企業では後継者不在率69.2%で、国内で3番目に高い数値です。
この後継者不在率は、まだ後継者を考える必要のない若い世代の経営者も含まれているので、対象を60代に絞ると後継者不在率は57.0%でした。数値は低下しましたが、それでも半数以上の会社が後継者不在です。
通常、経営者が60代になれば事業承継の準備に入り、引退時期に備えるタイミングですから、この後継者不在率は危機的状況といえます。そこで昨今は、後継者不在問題の解決策として、M&Aによる事業承継が着目されるようになりました。
M&Aで会社や事業を売却することによって、その買い手が後継者(新たな経営者)となります。会社は事業承継されて存続し、従業員が職を失うこともありません。また、売却側は、廃業では得られない「売却益」を獲得できて老後資金にゆとりも持てるのです。
中国地方のM&A・会社売却・事業承継の動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
島根県・松江市近郊の事業承継・M&A案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている島根県・松江市近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。
【中国地方/営業利益1億円超】元請取引がメインの建設業者
取引先と強固な関係性が構築されており、エリアの指定業者となっています。過去3期平均の修正営業利益は1.5億円程度と、利益率が高いです。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【純資産アンダー/中国地方×製造業】LED照明・電気自動車の電子部品製造業
電子部品は自動車業界向けであり、今後EV等の普及で売上伸長予定です。LED照明はデザイン性があり、カーボンニュートラルの観点からも今後伸張性のある企業です。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【EBITDA100M】中国・四国地方の産業廃棄物処理業
事業別の売上構成比は産廃関連:建設関連=6:4程度です。2024年度より行政から一般廃棄物収収集運搬業務を受託しています。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
島根県・松江市近郊の事業承継・M&Aの事例
島根県・松江市近郊の事業承継・M&Aの事例をピックアップしてご紹介します。
ごうぎんによる扶桑興業の事業承継・M&A
2022年12月23日、山陰合同銀行(以下「ごうぎん」)は、扶桑興業(鳥取県鳥取市)を子会社化し、その後、ごうぎんの子会社である松江不動産株式会社(島根県松江市)に吸収合併させることを決定しました。
この合併は、松江不動産を存続会社とし、扶桑興業を消滅会社とする形で進められます。
ごうぎんは、山陰地方を中心に事業展開している地方銀行です。一方、扶桑興業は不動産賃貸や、ごうぎんの社宅・寮の管理業務を担当しており、松江不動産も不動産賃貸を主な業務としています。
今回の合併によって、ごうぎんは、業務縮小傾向にある扶桑興業を効率化し、事業全体の抜本的な効率改善を目指します。
イルグルムによるファーエンドテクノロジーの事業承継・M&A
2022年1月、大阪府大阪市のイルグルムは、島根県松江市のファーエンドテクノロジーの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は1億2,000万円です。イルグルムは、マーケティングDX支援サービス提供事業として、さまざまなプラットフォームなどを展開しています。
ファーエンドテクノロジーは、インターネットサービス(SaaS)提供、情報セキュリティ支援サービス、ネ ットワークシステムの設計・構築、ソフトウェア開発、web サイト構築・制作およびコンサルティングなどを行っている企業です。
イルグルムとしては、マーケティングDX推進支援サービスの強化と事業領域拡大を目的にM&Aを実施しました。
ルセット・ナインによるマルシェマシナリーの事業承継・M&A
2021年12月、東京都港区のルセット・ナインは、島根県松江市のマルシェマシナリーから「高電位電圧技術を活用した鮮度保持冷蔵庫・凍結庫・冷凍庫の製造・販売事業」を譲受しました。譲渡価額は公表されていません。
ルセット・ナインは、飲食店などの厨房用冷蔵庫・冷凍庫の販売事業を行っています。従来、マルシェマシナリーが製造する「鮮度保持冷蔵庫・凍結庫・冷凍庫」の販売・マーケティング事業を担当してきました。
マルシェマシナリーは、食品の解凍保存庫テクノエナジ、プレハブ型テクノエナジ、厨房関連機器、急速冷凍装置などの開発・製造、販売を行っています。ルセット・ナインとしては、販売代理店として行っていた事業を、製品の特許権とともに譲受しました。
三栄源エフ・エフ・アイによるひかわの事業承継・M&A
2020(令和2)年9月、大阪府豊中市の三栄源エフ・エフ・アイは、島根県出雲市のひかわの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。三栄源エフ・エフ・アイは、食品・食品添加物・食品原料・工業製品の製造・販売を行っています。
ひかわは、東京都港区のエアトリの完全子会社として製茶業、ショッピングサイト運営を行ってきた企業です。エアトリとしては、コロナ禍の中、事業ポートフォリオの再構築を検討した結果、食品添加物の総合メーカーへのひかわ売却を決めました。
ヨシムラ・フード・ホールディングスによる香り芽本舗の事業承継・M&A
2020年6月、東京都千代田区のヨシムラ・フード・ホールディングスは、島根県出雲市の香り芽本舗の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は10億1,300万円です。香り芽本舗は、わかめ・ひじき・めかぶ製品の加工・製造・販売を行っています。
ヨシムラ・フード・ホールディングスは、各種食品の製造・販売を行うグループの持株会社です。香り芽本舗の高い商品力、製造ノウハウを高く評価し、グループ入りを決めました。
フォーバルによるえすみの事業承継・M&A
2020年4月、東京都渋谷区のフォーバルは、島根県雲南市のえすみの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。えすみの完全子会社であるテック販売山陰(島根県松江市)は、フォーバルの孫会社になりました。
フォーバルは、情報通信コンサルティングや経営コンサルティングなどを行っています。えすみは、オフィス機器・オフィス家具・文房具用品の販売・保守を行っている企業です。テック販売山陰は、流通機器・サプライ品の販売・保守、レジの販売などを行っています。
フォーバルとしては、山陰地域の顧客基盤獲得、事業お基盤の強化が狙いです。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
島根県・松江市での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した専任部署を設置するケースが増えています。特に、投資銀行やメガバンクがファイナンシャルアドバイザー(FA)として、M&Aプロセスにおいて重要な役割を果たすことがよく見られます。
M&Aを進める際、金融機関は重要なパートナーです。特に買収側では資金調達が不可欠なため、金融機関との協議が必要となり、通常は既存の取引先である金融機関が最初の相談相手となるのが一般的です。
金融機関を活用する最大のメリットは、資金調達に関する専門的なアドバイスを得られる点です。たとえば、親族や従業員が事業承継時に後継者となる場合、株式取得のための資金が必要となるため、金融機関の支援が大きな助けになります。
さらに、M&Aに特化した部署を持つ金融機関では、他の専門家と連携し、適切なアドバイザーを紹介してもらえることもあります。
ただし、大手金融機関は主に大規模なM&A案件に注力する傾向が強く、中小規模の案件には対応しないことがある点に注意が必要です。また、仲介ではなくアドバイザリー形式を採用するため、報酬が高額になる場合があり、これがデメリットとなることもあります。
公的機関
近年、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談体制が充実してきています。例えば、「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が直面する後継者不足などの課題に対し、公的なサポートを提供する窓口として機能しています。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスに加えて、企業間のマッチング支援も行っています。2021年4月の設立以来、全国の拠点で専門家が無料相談に対応し、多くの中小企業の事業承継問題をサポートしています。
全国47都道府県に窓口が設置されているため、地方の企業でも気軽に利用できるのが大きな利点です。政府が運営しているため、信頼性の高いアドバイスを無料で受けることができ、さらにM&A仲介会社や専門家の紹介も行われています。個人事業主の事業承継にも対応しているのも特徴です。
ただし、公的機関であるため、対応に時間がかかることもあり、民間のM&A仲介会社と比べるとサポートの範囲に限界がある点はデメリットとなる可能性があります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートする企業です。売り手と買い手の双方と契約を結び、交渉の調整を行いながら、双方の利益を考慮してプロセスを進めます。これらの会社は、初期相談から始まり、買収候補の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価(バリュエーション)、書類の作成など、M&Aの全過程を包括的に支援します。
仲介会社の役割は、売り手と買い手の希望や条件を調整し、両者が合意できる最適なポイントを見つけることです。これにより、多くの候補企業の中から最適な相手を選び出し、成功率の高いM&Aを実現しやすくなります。
特に、M&Aを初めて行う企業に対しては、仲介会社が丁寧なサポートを提供し、円滑なコミュニケーションと実践的なアドバイスを通じて、交渉をスムーズに進めます。
ただし、一部の仲介会社では、着手金や中間金が発生する場合があり、コスト面での負担が懸念されることもあります。こうした費用を抑えたい場合は、成功報酬制を採用しているM&A総合研究所のような企業を検討するのも一つの方法です。
島根県・松江市の事業承継・M&Aに関する公的支援
中小企業や小規模事業者の経営支援を行う公的機関はいくつかありますが、その中でも事業承継に特化した公的機関として、島根県事業承継・引継ぎ支援センターがあります。ここでは、島根県事業承継・引継ぎ支援センターの概要と、それ以外の公的支援について見てみましょう。
島根県事業承継・引継ぎ支援センター
島根県事業承継・引継ぎ支援センターは、国からの委託事業として各都道府県に設置された公的機関の1つです。島根県では、松江商工会議所内に設置され、中小企業・小規模事業者の事業承継支援を専門に活動を行っています。
従来は、島根県事業引継ぎ支援センターと島根県事業承継ネットワークという2つの機関に分かれていましたが、2021年4月に島根県事業承継・引継ぎ支援センターとして統合されました。島根県事業承継・引継ぎ支援センターの行う主な業務は以下のとおりです。
- 事業承継相談(親族内承継、社内承継、M&Aなどによる第三者への承継など全ての事業承継が対象)
- M&Aマッチング支援
- 事業承継計画策定支援
- 事業承継診断、セミナー実施
- 経営者保証解除に向けた専門家支援
島根県事業承継・引継ぎ支援センターでは、ホームページ上に事業承継に関するさまざまな情報を掲示しています。事業承継を解説する動画や、相談が寄せられ登録されている島根県の譲渡・譲受希望件数情報などが見れるのでおすすめです。
島根県内各機関独自の事業承継支援
島根県では、島根県事業承継・引継ぎ支援センター以外にも事業承継支援を行う公的機関があります。その中から代表的な2例を抽出しました。
島根県信用保証協会の経営支援サービス「結(ゆい)」
公的保証機関である島根県信用保証協会の主業務は、中小企業や小規模事業者が融資を受ける際に公的な保証人となって、スムーズに融資が進むようにすることです。しかし、それ以外にも、中小企業向けの経営支援サービスとして、無料の専門家派遣事業「結」を行っています。
いくつかのコースの中には事業承継支援コースもあり、最大30時間まで専門家の支援を受けることが可能です。ただし、島根県信用保証協会を利用中か、利用予定の企業限定となっています。
雲南市産業振興センターの事業承継プランニングツアー
島根県には、地域産業発展支援のための公的組織が各地域にあります。雲南市が設立した雲南市産業振興センターやNPO法人21世紀出雲産業支援センターなど、実に数多く存在するのです。その雲南市産業振興センターでは、ひと際ユニークな事業承継支援事業を行っています。
それは、事業承継プランニングツアーです。内容は、後継者のいない雲南市内の事業者を訪問し、事業承継プランを参加者全員で作成する、店員5名程度の1泊2日ツアーとなっています。
公的機関以外の事業承継支援活動
島根県では公的機関以外にも、中小企業・小規模事業者と密接な関係性のある金融機関が、事業承継支援活動を行っています。その中から、ここでは2つの金融機関の取り組みを選びました。
島根銀行の事業承継セミナー
島根銀行では、島根県内の中小企業経営者に対し、事業承継への課題意識を持ち具体的な対策に乗り出してもらうことを念頭に、独自に事業承継セミナーを定期的に開催しています。また、それと並行して、事業承継の具体的な手続きなどをより深く理解するための、事業承継塾も開催中です。
しまね信用金庫が事業承継M&Aマッチングサイトと業務提携
しまね信用金庫は、島根県内の中小企業の事業承継促進のため、M&Aプラットフォーム(マッチングサイト)「TRANBI」を運営する東京のトランビと業務提携を行っています。これにより、しまね信用金庫は、事業承継に悩む顧客に対し、オンラインM&Aによる事業承継の機会を提供しているのです。
商工会議所が支援する事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
島根県・松江市の事業承継・M&Aまとめ
島根県が発表した資料によると、島根県の中小企業経営者の約3割が自分の代での廃業を覚悟しているという情報もあります。継続こそ力なりということわざがありますが、それは企業経営にも言えることでしょう。後継者難による廃業を考えているのであれば、まだ事業承継の手段はあります。
M&Aはプロセスや手続きが専門的で難しいのは事実ですが、それは専門家に任せてしまえばいいだけの話です。会社売却で一定額の資金も得られるM&Aでの事業承継を、一度検討してみても損はありません。
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