M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年6月27日更新都道府県別M&A
熊本県のM&A・事業承継の事例を解説|最近の動向や案件、役立つ公的機関も紹介!
本記事では、熊本県におけるM&A・事業承継の事例や案件の探し方、相談可能な公的機関などを紹介します。熊本県は農業や漁業などの一次産業や電子部品・デバイス・電子回路製造業、畜産品及び同加工食品などの二次産業が発展していますが、全体的に後継者問題や人手不足などの問題を抱えており、休廃業・解散に至るケースも多いです。熊本県近郊の企業が売り手となっているM&A・事業承継の案件も紹介しているので、検討中の方は必見の内容です。
目次
熊本県のM&A・事業承継の最新動向
熊本県では、多くの中小企業が後継者問題や経営者の高齢化に直面しており、以前は廃業を選択するケースが少なくありませんでした。特に2016年の熊本地震は、事業継続のあり方を問い直す大きな契機となりました。
近年では、TSMCの進出による半導体関連産業の活況という追い風もあり、事業の再編や成長戦略としてM&Aを検討する経営者が増加。事業承継・引継ぎ支援センターの利用も活発化しており、M&Aが企業の存続と発展のための有効な手段として認知されつつあります。
熊本県の経済状況
かつて熊本県の基盤産業となっていたのは農業でしたが、近年では、製造業へと転換してきています。その中心を担っているのは、「公益財団法人くまもと産業支援財団(旧:くまもとテクノ産業財団)」です。
くまもと産業支援財団では、熊本の中小企業を対象に経営相談・企業支援などを行っています。
熊本県が平成30年に公表した「平成27年度 県民経済計算 推計結果」では、製造業が熊本県で最大の産業となっており、電子部品・デバイス・電子回路製造業と生産用機械器具製造業は、全国でもシェアが高くなっています。
熊本県における事業承継の現状と課題
親族内承継が根強い傾向にありましたが、近年その状況は変化しています。帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2024年)」によると、熊本県の後継者不在率は47.9%にのぼります。
依然として半数以上の企業で後継者が見つかっておらず、親族や従業員以外の第三者への事業承継(M&A)が重要な選択肢として認識されつつあります。
しかし、後継者候補に身内や従業員を考えていても、熊本県の企業は事業継承への行動を先延ばしにする傾向がみられ、その理由としては相談できる専門家がいないことや承継したい独自のノウハウ・技術がないことが挙げられます。
後継者不足・人手不足の深刻化による休廃業・解散が増加
全国的な課題である経営者の高齢化や後継者不在は、熊本県においても深刻で、貴重な技術や雇用が失われる休廃業につながるケースが後を絶ちません。かつては親族内承継が主流でしたが、ライフスタイルの多様化などから後継者が見つからないことが増えています。
こうした状況を受け、県内の事業承継・引継ぎ支援センターや金融機関は第三者承継(M&A)を積極的に推進。M&Aはもはや特別な選択肢ではなく、地域経済を守るための現実的な手法として定着し始めています。
熊本県近郊のM&A・事業承継の案件例
この章では、熊本県近郊におけるM&A・会社売却・事業承継の案件例を見ていきましょう。
①飲食店事業のM&A
こちらは、熊本県を含む九州エリアで展開されている飲食店事業のM&A譲渡案件です。全店舗黒字で、安定した利益が見込めます。また、全店・単店など、柔軟にM&A譲渡の対応が可能です。
売上高 | 3億円台 |
売却希望額 | 5,000~7,500万円 |
譲渡希望理由 | 選択と集中 |
②デンタルクリニック事業のM&A
こちらは、現在歯列矯正をメインに行なっているデンタルクリニックのM&A譲渡案件です。歯列矯正におけるメンテナンスのために、定期的に訪れる患者が多いため安定した売上を見込めます。駅からも近く、利便性も高いです。
売上高 | 5,000万円~1億円台 |
売却希望額 | 750~1,000万円 |
譲渡希望理由 | 後継者不在 |
③カフェレストラン事業のM&A
地域で名が知られている、人気のカフェレストランにおけるM&A譲渡案件です。ランチ・ディナーとも利用者が多く、地域の集まりごとにも利用されています。従業員の雇用継続を希望しています。
売上高 | 5,000万円~1億円台 |
売却希望額 | 3,000~5,000万円 |
譲渡希望理由 | イグジット |
九州のM&A・会社売却・事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
熊本県のM&A・会社売却・事業承継の事例4選
この章では、熊本県におけるM&A・会社売却・事業承継の事例を見ていきましょう。
①小売業界のM&A(西友、ゆめマート熊本)
2024年4月、イズミは西友が九州地域において展開する食品スーパー事業について、会社分割(吸収分割)によりゆめマート熊本が承継することを決議しました。
今回、吸収分割によって譲受する店舗は、九州地域におけるイズミグループの店舗と地理的に重複しておらず、相互補完しあえる関係にあります。これまでよりも更に強固なドミナントを形成することが可能であり、仕入れや販促、物流等におけるスケールメリットを享受できるため、本M&Aの実行が決定されました。
②食品製造業界のM&A(日清製粉、熊本製粉)
2022年6月、日清製粉グループの日清製粉は、熊本製粉の発行済株式を永坂産業より85%取得し、子会社化しました。このM&Aにより、熊本製粉とその子会社は日清製粉グループの連結子会社となります。
日清製粉は、業務用の小麦粉、その他加工品、関連商材の製造・販売を行う企業です。対象会社の熊本製粉は、1947年創業で、独自の高い技術力、開発力とブランド力を有する企業です。主に九州地方では高い知名度があります。
今回のM&Aにより、両社が事業運営を行うことで、シナジー効果によるコスト競争力と変化する市場への迅速な適応力を目指します。
③飲食店チェーン業界のM&A(SFPホールディングス、ジョー・スマイル)
2019年1月に、SFPホールディングスはジョー・スマイルの株式を取得し、子会社化することを発表しました。SFPホールディングスはクリエイト・レストランツホールディングスの傘下で、居酒屋などをチェーン展開しています。
ジョー・スマイルは熊本県に拠点を構え、居酒屋を展開する会社です。今回のM&Aにより、地方都市における居酒屋経営ノウハウの共有や、独自ブランドの育成・強化を行います。
④不動産・ファンド運用商品業界のM&A(アクロディア、麹町アセット・マネジメント)
2018年12月に、アクロディアは麹町アセット・マネジメントの全株式を取得し、完全子会社化したことを発表しました。アクロディアは、東京に拠点を構え、スマートフォン向けのサービスなどを展開しています。
麹町アセット・マネジメントは、熊本市に拠点を構え、金融商品等を取り扱う会社です。今回のM&Aにより、アクロディアは熊本県を含む九州地方を中心に、不動産のサブリースやファンド運用商品などを開発します。
⑤建築業界のM&A(安江工務店・トーヤハウス)
2018年5月に、安江工務店はトーヤハウスの全株式を取得し、買収することを発表しました。安江工務店グループは、主に愛媛県・兵庫県で、住宅のリフォームや新築住宅事業を行っています。
トーハヤウスは熊本県に拠点を構え、住宅の設計・施工やリフォームを手掛ける会社です。今回のM&Aにより、企業価値の向上や事業拡大を狙います。
500万円で買える会社・M&A案件については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
熊本県でM&A・事業承継の案件を探す方法
熊本県でM&Aを行う際、どのような方法を用いてM&A案件をみつけて、進めていくべきでしょうか。一般的には、以下の方法でM&A案件を探すことができます。
- M&A仲介会社に探してもらう
- 公的機関に案件を探してもらう
M&A仲介会社を利用するメリットとデメリット
M&A仲介会社を利用する最大のメリットは、その専門性とネットワークです。豊富な案件情報から自社に最適な相手企業を見つけやすく、複雑な交渉や契約手続き、企業価値評価(バリュエーション)といった専門的なプロセスを一貫してサポートしてもらえます。
また、公認会計士や弁護士などの専門家と連携しているため、法務・税務面のリスクを最小限に抑えながら、スムーズにM&Aを進めることが可能です。これにより、経営者は本業に集中しながら、安心して事業承継や売却の準備を進められます。
次に、M&A仲介会社のデメリットです。
- M&A仲介会社によって手数料が異なるため、高額な費用がかかる場合がある
- M&A仲介会社によっては、クロージングまで何ヶ月もかかる
M&Aにかかるコストは、M&A仲介会社によって異なります。それは、仲介会社によって報酬体系が異なるためです。着手金や月額などで費用を要するケースもあれば、完全成功報酬制を採用し、明確にコストがわかる場合もあります。
また、クロージングまでにかかる期間も仲介会社によって異なるため、事前に資料請求等を行い、納得できる仲介会社を選びましょう。
公的機関を利用するメリットとデメリット
熊本県のM&A案件に絞って探す場合は、熊本県内の公的機関も積極的に利用しましょう。熊本県の公的機関を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 地域に特化した公的機関のため、熊本県の案件を管理している場合がある
熊本県内に設置された公的機関の多くは、主に政府や県における指導のもと、事業承継やM&Aの支援を行っています。熊本県の企業に特化した支援を行っているため、身近なところでM&A案件を見つけられるでしょう。
また、公的機関は無料で利用できることも多いので、気軽に利用しやすい点もメリットといえます。続いて、熊本県における公的機関のデメリットです。
- M&A仲介会社に比べ、管理案件が少ない場合がある
- M&Aの仲介業務は行わないため、仲介自体はM&A仲介会社に依頼する
熊本県内の公的機関は、事業承継やM&Aに関するアドバイス、情報提供を行っています。相談は可能でも、仲介は行わない場合が多いです。
仲介が必要となれば、M&A仲介会社などを紹介する流れとなるため、はじめからM&A仲介会社を利用したケースと比べ、手間や時間がかかります。
零細企業がM&Aを成功させるコツと注意点については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
熊本県でM&A・事業承継を成功させる3つのポイント
地域の経済動向を理解した専門家を選ぶ
熊本県は、TSMC進出による半導体産業の集積や、農業・観光業といった地域に根差した産業が特徴です。これらの地域特性を深く理解し、熊本の経済動向に精通したM&Aアドバイザーや仲介会社を選ぶことが、適切なマッチングと企業価値評価の鍵となります。
地域金融機関や地元の士業とのネットワークを持つ専門家は、より有益な情報を提供してくれるでしょう。
自社の強みと課題を客観的に分析する
M&Aを成功させるには、買い手企業に対して自社の魅力を的確に伝える必要があります。独自の技術力、安定した顧客基盤、優秀な人材など、自社の強みを明確にしましょう。
同時に、後継者不足や設備投資の遅れといった課題も正直に開示し、M&Aによってどのように解決できるかを具体的に示すことが、買い手の信頼を得て交渉を有利に進めるポイントです。
早めの準備と計画的な進行を心がける
M&Aは検討開始から成立まで、1年以上の期間を要することも少なくありません。経営状態が悪化してから慌てて準備を始めると、不利な条件での売却になりがちです。
経営に余力があるうちから事業承継を視野に入れ、企業価値を高める「磨き上げ」や資料作成などの準備を計画的に進めることが、より良い条件でのM&A実現につながります。
熊本県のM&A・事業承継で相談できる公的機関4選
この章では、熊本県のM&A・会社売却・事業承継に関する公的機関を見ていきましょう。
①熊本県事業承継・引継ぎ支援センター
熊本県事業承継・引継ぎ支援センターでは、事業承継やM&Aに関する相談を受付けてサポートを行っています。税理士や中小企業が在籍し、M&Aに必要な手続きや企業価値の算定などを支援します。
後継者不在による事業引継ぎだけでなく、事業拡大におけるM&Aもサポートしているので、熊本県でM&Aを行う際に利用しましょう。
熊本県事業承継・引継ぎ支援センターのホームページ
②熊本県よろず支援拠点
熊本県よろず支援拠点は、経営にまつわるさまざまな相談を受け付け、中小企業や小規模事業者を対象にセミナーや相談会を行っています。さまざまな分野の事業に精通したコーディネーターも在籍しているため、熊本県のM&Aに役立つでしょう。
熊本県よろず支援拠点のホームページ
③熊本商工会議所
熊本県内には商工会議所が設置され、各地域の商工者や経営者が在籍しています。会員となった方にさまざまな支援を行い、セミナーや経営相談会も行っています。地域に根ざした活動を行っているので、熊本県でM&Aを行う際に役立ちます。
熊本商工会議所のホームページ
④熊本県信用保証協会
熊本県信用保証協会は、熊本県内の中小企業を支える公的機関です。独立して開業したい方から、事業の引継ぎを行いたい方まで、幅広くサポートしています。
事業承継に関する悩みを抱える方向けに、相談窓口の設置や保証制度を取り揃えています。熊本県でM&Aを行う際に、利用しましょう。
熊本県信用保証協会のホームページ
熊本県のM&A・事業承継のまとめ
本記事では、熊本県におけるM&A・事業承継の最新動向や事例、相談先について解説しました。熊本県では後継者不足が深刻な一方、TSMC進出などの好機も訪れており、M&Aは事業の存続だけでなく、新たな成長を実現するための強力な選択肢となっています。
かつては馴染みが薄かった第三者承継も、公的機関や専門家のサポート体制が整うことで、より身近なものになりました。M&Aを成功させるためには、正しい知識と信頼できるパートナーが不可欠です。
まずは事業承継・引継ぎ支援センターやM&A仲介会社といった専門家へ相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
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