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2021年4月30日更新節税
生命保険を活用した相続税対策
生命保険の活用により相続税の節税が期待できますが、生命保険を活用した相続税対策には知識と手順の把握が必要です。今回は生命保険を活用した相続税対策について、基礎控除などの基本知識、具体的な対策方法、贈与税との関係、メリット・デメリットなどを説明します。
生命保険を活用した相続税対策の注意点
生命保険を活用した相続税対策は、実行しやすく節税効果も期待できるため、一般的によく行われていますが、事前に知識や手順を知っておくことが必要です。ここでは相続税のルールに触れながら、具体的に生命保険を使った相続税対策の仕組みをお伝えしていきます。
生命保険を活用した相続税対策では、以下の4点に注意する必要があります。
- 保険金は「みなし相続財産」として課税対象となる
- 贈与税の負担を減らすために契約者と被保険者は同じ人物にする
- 非課税枠と基礎控除
- 契約者・被保険者・受取人の関係
上記の注意点についてそれぞれ詳しく説明します。
保険金は「みなし相続財産」として課税対象となる
民法上、相続により生じる相続財産とは、基本的に被相続人が死亡した時点で被相続人が所有している財産をさします。しかし、被相続人が契約したものでも、受取人が被相続人以外であれば、その生命保険から発生する保険金は相続財産ではなく受取人の財産として扱われます。
しかし税法上、生命保険により受け取る保険金は「みなし相続財産」として扱われ、相続税の課税対象となります。ただ、生命保険に対する相続税については非課税枠が設けられており、その範囲内の金額であれば納付する相続税を減らせます。
この非課税枠だけでなく、生命保険の保険料を支払い続ける形で財産を圧縮することもできます。
贈与税の負担を減らすために契約者と被保険者は同じ人物にする
生命保険による相続税対策はやり方を間違えると、相続税だけでなく贈与税が発生してしまうことがあるため注意が必要です。
贈与税の非課税枠は年間110万円以下であるため、生命保険の保険金のなかでも、死亡保険金のように大きな額になると非課税枠を簡単に超えてしまう可能性が高くなります。
例えば、契約者が夫、被保険者(生命保険をかけられる人)が妻、受取人が子供のようなケースだと被保険者の死亡によって発生した保険金を息子が受け取ると贈与税の課税対象になります。
そのため、生命保険により相続税対策を行う場合は契約者と被保険者を同じ人物にしておくようにしましょう。
なお、保険料の支払いが難しい場合には、保険料の引き落とし口座だけ別人の口座にする方法もあります。
非課税枠と基礎控除
生命保険を活用した相続税対策は、保険金の非課税枠と相続税の基礎控除を利用して行います。保険金の非課税枠と相続税の基礎控除はそれぞれ以下のとおりです。
①保険金の非課税枠
生命保険の保険金は、本来、遺族の生活費として使われるため、非課税枠が設けられています。保険金の非課税枠は500万円×法定相続人の人数です。
②相続税の基礎控除
相続税の基礎控除は2種類あり、①法定相続人の人数に比例する場合の基礎控除と、②配偶者が相続人である場合の基礎控除です。それぞれの基礎控除は以下のようになっています。
- 法定相続人の人数に比例する場合の基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の人数
- 配偶者が相続人である場合の基礎控除:1億6,000万円
①の基礎控除は、保険金を受け取る権利を持っていない相続人を人数に含めることができます。
上記の他にも葬式の代金や被相続人の負債を控除に含める債務控除もありますが、基本的には上記の基礎控除を利用して相続税対策を行います。
保険金の非課税枠と相続税の基礎控除を利用することで、かなり大きな非課税枠を確保できるため、数億円単位の遺産などがない限り、相続税を大幅に減らせます。多額の現金を相続財産として残すよりも、保険金で残したほうが節税効果が期待できます。
契約者・被保険者・受取人の関係
生命保険における契約者・被保険者・受取人の関係も重要なポイントです。この三者の関係をどのように設定するかによって発生する税金が変わってくるからです。例えば、父親、母親、子供が保険に加入する関係者だとしたら、三者それぞれの設定と発生する税金の関係は以下のとおりです。
契約者 |
被保険者 |
受取人 |
発生する税金 |
父親 |
父親 |
母親・子供 |
相続税 |
父親 |
母親 |
子供 |
贈与税 |
父親 |
母親・子供 |
父親 |
所得税 |
上記の表を見ると、保険契約では誰がどの当事者になるかによって、発生する税金の種類が変わることがわかります。
- 契約者と被保険者が一緒→相続税
- 契約者と被保険者と受取人が全員異なる→贈与税
- 受取人と契約者が一緒(被保険者は別の人物)→所得税
このように、相続税対策として生命保険に加入する場合は、契約者と被保険者を被相続人に設定する必要がありますので注意しましょう。
また、上記のとおり相続人が契約者であり受取人、被相続人を被保険者に設定すると、税金が所得税に変わります。
結局、税金が発生するなら意味がないのでは?と感じるかもしれませんが、所得税において保険金は、(受け取った保険金-払い込み済み保険料-50万円)×1/2と計算されます。
つまり、所得税によっても保険金に発生する税金はかなり減らすことができます。この方法は生前贈与で贈与税が発生しそうな場合の代替方法として使うこともでき、贈与税が発生する場合より税負担を減らすことができます。
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相続の準備
生命保険を活用した相続税対策のメリット・デメリット
生命保険を活用した相続税対策を効果的に行うためには、メリットとデメリットを正確に把握することが大切です。そのメリットとデメリットはそれぞれ以下のとおりです。
①生命保険を活用した相続税対策のメリット
生命保険を使った相続税対策の最大のメリットとして、主に以下の3点があります。
- 節税効果が期待できる
- 銀行口座にある相続財産より早く受け取れる
- 相続トラブルを未然に防げる
節税効果が期待できる
生命保険の場合、非課税枠に加えて相続税の基礎控除があるため、相続財産の規模によっては保険金の部分だけではなく相続税全体の節税につながります。
また、基礎控除のように保険金を受け取る権利を持っていない相続人を加味して、基礎控除を設定できるため、非課税枠も比較的大きいというメリットもあります。
銀行口座にある相続財産より早く受け取れる
銀行口座にある相続財産より保険金のほうが手続きが簡易で早く受け取れる点もメリットです。通常、銀行口座にある預金が相続財産となる場合、被相続人が死亡すると口座が凍結されてしまいます。
凍結を解除するためには、相続人全員の同意書などの必要書類を銀行に提出したり、さまざまな手続きを踏む必要があり、受け取りまで時間がかかります。それにより、葬式の費用や生活費の確保がすぐにできないなど遺族に負担がかかってしまいます。
これに対して、生命保険の場合は、被相続人である被保険者が死亡すると保険金が発生し、発生後はいつでも請求が可能で、銀行口座にある相続財産よりもスムーズに保険金を受け取ることができます。早ければ1週間程度です。
相続トラブルを未然に防げる
生命保険はその性質上、受取人に指定した人物が保険金を受け取りますが、この性質を利用することで相続トラブルを未然に防げる可能性があります。相続は被相続人が死亡した後に発生するものであるため、被相続人が完全にコントロールするのは難しいです。
たとえ遺言書を残していても、遺留分の侵害が発生すれば遺留分減殺請求が発生して、相続トラブルになる可能性はありますし、遺産分割の過程で被相続人が想定していない相続人に相続財産が渡ってしまう可能性も否定できません。
しかし、生命保険を活用すれば、被相続人が引き継がせたいと考えた相続人に相続させることが可能です。そのため、相続財産が意図しない相続人に渡ることもなくなります。
さらに、生命保険の保険金は遺留分の対象にはならないため、遺留分減殺請求で減らされてしまうおそれもありません。
②生命保険を活用した相続税対策のデメリット
生命保険を使った相続税対策のデメリットとして、主に以下の3点があります。
- 保険料の負担が大きくなる可能性もある
- 利息は過信できない
- 税制改正に注意
保険料の負担が大きくなる可能性もある
一定以上の保険金を残そうと考えると、当然ながら加入する生命保険の保険料は大きくなるため、その負担には注意しておく必要があります。最近ではリーズナブルな保険料で保険金を得られる生命保険もありますが、貯蓄性のある生命保険だと、やはり保険料は高くなります。
保険料の支払いが家計を圧迫する「保険貧乏」になっては元も子もないので、無理なく継続できる範囲で保険に加入しておきましょう。
利息は過信できない
生命保険のなかには貯蓄性があり、利息を売りにしている商品もあります。しかし、貯蓄性があり、利息が入ることを過信することはおすすめできません。貯蓄性の保険は加入し、保険料を支払ったからといってすぐに一定以上のお金が貯まるわけではないからです。
基本的には、一定以上の長い期間をかけて保険料を支払い続けて、はじめて元が取れる保険であったり、満期にならなければ元が取れなかったりする保険もあります。そのため、相続が発生するタイミングによっては、思った金額の保険金が入ってこないリスクがあります。
貯蓄性のある生命保険に加入する際には、どういった形で保険金が発生するのか、金額はどのように変動するのかをきちんと確かめておきましょう。
相続税対策のために生命保険に加入する際には保険会社のセールスマンの説明だけに頼らず、ファイナンシャルプランナーなど中立的な立場でアドバイスしてくれる保険の専門家の協力を得ておくことがおすすめです。
税制改正に注意
生命保険を活用する場合に限らず全ての相続税対策にいえることですが、税制改正には注意しておきましょう。
例えば、さきほどお伝えした相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」は、平成27年1月1日の税制改正以前までは「5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数」でした。改正後はかなり基礎控除が削られていることがわかります。
このように税金に対する優遇措置は、国の意向によって削られる可能性があります。日本の税収が減少することになれば、基礎控除の削減などの税制改正が起こりやすいと考えたほうがいいでしょう。
※関連記事
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預金は相続税の対象になる?相続における預金の注意点と手続きの流れ
まとめ
生命保険を用いた相続税対策は一般的によく行われている手法ですが、どの保険商品が自分に合っているかは十分に精査し、ファイナンシャルプランナーなどの中立的な立場の専門家に相談して進めることをおすすめします。今回の記事をまとめると以下のとおりです。
・生命保険を活用した相続税対策の注意点
→①「相続財産」と「みなし相続財産」の違い
②贈与税の負担を減らすために契約者と被保険者は同じ人物にする
③非課税枠と基礎控除
④契約者・被保険者・受取人の関係
・生命保険を活用した相続税対策のメリット
→①節税効果が期待できる
②銀行口座の相続財産より早く受け取れる
③相続トラブルを未然に防げる
・生命保険を活用した相続税対策のデメリット
→①保険料の負担大のおそれ
②利息は過信できない
③基礎控除削減などの税制改正に注意
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