2021年5月3日更新節税

益金不算入とは?益金不算入の意味と一覧

益金不算入は、経営者が節税を検討するうえで欠かせないキーワードです。益金と損金の概念をおさらいしつつ、益金不算入を詳細に把握しておきましょう。本記事では、益金不算入の項目一覧や益金不算入とならない還付金などを中心にわかりやすく紹介します。

目次
  1. 益金とは?
  2. 益金不算入とは?
  3. 益金不算入①受取配当金
  4. 益金不算入②還付金
  5. 益金不算入とならない還付金
  6. 益金不算入のまとめ

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益金とは?

本章では、益金の基礎知識として、概要・損金・益金と収益の違い・益金に算入されるタイミングなどをわかりやすく紹介します。まず益金とは、商品の売上やサービス提供に対する報酬などの収益のことです。

法人税法第22条2項では、「別段の定めがあるもの」を除き、以下の5項目が益金に該当すると記載されています。

  • 資産の販売
  • 有償または無償による資産の譲渡
  • 有償または無償による役務の提供
  • 無償による資産の譲受け
  • その他の取引で資本等取引以外のもの

なお、益金と「会社の収入のすべて」は一致しません。以上の点を押さえておくと、益金不算入について把握しやすくなります。

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損金とは?

益金の対称となる概念に、損金が挙げられます。損金とは、法人の資産が減少する原因となる原価・費用・損失などの額です。損金についても、益金と同様に「会社の支出のすべて」とは一致しません。なぜなら、以下の項目などについて、損金に算入するケースと算入しないケースの双方が存在するためです。

  • 役員報酬・賞与
  • 交際費・寄付金
  • 税金
  • 減価償却費
  • 引当金繰入
  • 評価損

益金と収益の違い

会社に対する課税額を検討する前提として、益金と収益の相違点を把握しておきましょう。結論からいうと、税務で使用される言葉が「益金」であり、会計で使用される言葉が「収益」です。

また、上記を理解したうえで、「会計上の(損益計算書における)収益と課税額を計算するための税法上の所得は一致しない」点にも注意が必要です。そもそも、損益計算書における収益を算出するには、基本的に会社が得た収入のすべてを加算します。

その一方で、税法上の所得は益金から損金を差し引いて求めますが、この益金と「会社の収入のすべて」は一致しません。なぜなら、税法では、益金として算入される収入と算入されない収入に区別されているためです。

なお、損金についても、益金と同様に「会社の支出のすべて」とは一致しません。この点においても、税法では、損金として算入される支出と算入されない支出に区別されています。これまでの説明を、以下の箇条書きにまとめました。

  • 会計上の(損益計算書における)利益=すべての収入-すべての支出
  • 税法上の所得=益金-損金=すべての収入から一部を除いた額-すべての支出から一部を除いた額

上記を踏まえると、「益金として算入されない金額」と「損金として算入される金額」のいずれかまたは双方が大きければ、その分だけ税法上の所得額が低くなり納税額も減少することがわかります。

益金に算入されるタイミング

益金は、必ずしも対象の取引時に算入されるとは限りません。たとえ取引が行われたとしても会計上の収益が即座に益金に算入されるとは限らず、取引の種類により益金に算入されるタイミングが決められています。

法人税法22条の2の1項によると、「資産の販売では目的物の引き渡しが行われた日」「役務の提供では役務の提供が行われた日」であると記載されています。この定めにより、益金の算入時期について原則となる基準が明確化されました。

益金不算入とは?

益金・損金に加えることを税法上の用語で算入といいますが、これに対して益金・損金に加えない場合は不算入です。これを踏まえて本章では、益金不算入の意味や具体的な項目について取り上げます。

益金不算入の意味

益金不算入とは、会計上では収益に算入されるものの、税法上では益金として算入されない収入のことです。そのため、企業の節税に直結する要素だといえます。なお、益金不算入に該当する収入の中でも、全額が不算入となるケースと一部だけ不算入とするケースに分けられる点が特徴的です。

いずれのケースでも、確定申告時には一度会計としての収益を算出して、その金額から益金不算入の項目を控除する計算を行い、次に算出した益金から損金を差し引く計算を行います。

この損金についても会社の支出すべてとは一致しないため、損金不算入と指定されている項目は損金に加えられません。そして、この損金不算入についても、全額不算入となるケースと一部のみ不算入となるケースに分けられます。

しかし、益金であれ損金であれ、確定申告時の算出ミスは避けなければなりません。特に益金不算入と損金算入は納税額の算出に直結するため、専門家からサポートを受けて行うことをおすすめします。

益金不算入となる項目の中には、M&Aによるグループ会社化で発生する項目も存在します。実行後の収益の見とおしを堅実に行いつつ、M&A成約を目指す場合はM&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所には豊富な知識と経験を持つアドバイザーが在籍しており、培ってきたノウハウを活かしてM&A手続きをフルサポートいたします。

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益金不算入の項目一覧

税法上、益金不算入となる収入は、以下の項目です。

  • 受取配当金
  • 法人税や所得税等の還付金
  • 資産の評価益

1つ目の受取配当金とは、経営活動の目的で他社の株式を保有している場合に得られる利益(配当金)のことです。受取配当金には、株式保有により授受可能な中間配当や剰余金分配だけでなく、投資信託における収益配当も含まれます。

2つ目の法人税や所得税等の還付金とは、本来よりも多く税金を支払ってしまった場合に返還してもらえるお金です。ただし、税金の還付金すべてが益金不算入となるわけではなく、あくまでも法人税や所得税など一部の税金の還付金に限定されています。

3つ目の資産の評価益は、現金としての収入ではありません。会社が保有している資産には帳簿に記載されている価額(簿価)がありますが、簿価よりも時価の金額が上回った場合の差額を資産の評価益といいます。

資産の評価益は会計上も原則的に計上せず、益金にも不算入です。なお、上記のうち受取配当金と還付金については、次章以降で詳しく説明します。

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益金不算入①受取配当金

税法により益金不算入と定められている受取配当金ですが、そのための条件は細かく定められています。条件によっては、全額不算入だけでなく20%のみ不算入となるケースもあるため注意しましょう。本章では、受取配当金が益金不算入となる理由・益金不算入の対象と割合について取り上げます。

受取配当金が益金不算入となる理由

受取配当金は純然たる収入であり益金に算入されると考えがちですが、受取配当金が益金不算入である主な理由は、税負担の不合理性を回避する目的にあります。そもそも配当金を支払う側からすると、法人税が支払いの段階で課される仕組みです。

それにも関わらず、配当金を受け取った側に対しても課税するとなれば、同一所得に対する二重課税に該当します。これでは税の公平性が失われるうえに不合理性を生じさせてしまうため、受取配当金は益金不算入とされているのです。

益金不算入の対象

益金不算入となる受取配当金の具体的な対象は、以下のとおりです。

  • 剰余金配当
  • 利益配当
  • 投資信託等から受け取る金銭分配
  • 特定目的会社からの金銭分配

剰余金配当とは、通常の株式会社からの受取配当金のことです。利益配当とは、持分会社における剰余金配当に相当します。また、投資信託等から受け取る金銭分配も、受取配当金とみなされるため益金不算入です。

特定目的会社(SPC=Special Purpose Company)とは資金調達など特定の目的達成のためだけに設立される会社であり、この特定目的会社からの金銭分配も益金不算入です。

益金不算入の割合

受取配当金については、自社が保有する該当会社の株式保有割合により、益金不算入とする金額の割合が変動するよう定められています。益金不算入の金額割合の詳細を、以下の表にまとめました。

株式の種類 株式の保有割合 益金不算入の割合 負債利子の控除
完全子法人株式 100% 全額 なし
関連法人株式 3分の1超 全額 あり
その他株式 5%超~3分の1以下 50% なし
非支配目的株式 5%以下 20% なし

参考:受取配当等の益金不算入制度の改正(EY税理士法人)

上記の表を見るとわかるとおり、株式の保有割合が大きく該当会社への支配力が強いほど、益金不算入にできる金額の割合が拡大します。なお、完全子法人株式と関連法人株式の株式等保有割合は、計算期間中は一貫して維持することが条件です。

ここでいう計算期間とは、「直近の配当支払いに関する基準日の翌日から今回の配当支払いに関する基準日までの期間」をさします。その一方で、非支配目的株式の株式等保有割合については、「今回の配当支払いに関する基準日」で判定する決まりです。

また、負債利子の控除が認められているのは、関連法人株式のみです。この負債利子とは、該当会社の株式を取得するために借入をした場合における借入金の利子を意味します。

負債利子の控除が認められる理由を挙げると、関連法人株式の受取配当金は益金不算入であるにも関わらず、その株式取得のための借入金の利子が損金に算入されるのは不合理であるためです。

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益金不算入②還付金

益金不算入には各種税金の還付金も該当しますが、すべての税金の還付金が該当するわけではありません。本章では、益金不算入に該当する具体的な還付金の内容について取り上げます。

益金不算入となる還付金の一覧

益金不算入が認められている還付金は、以下のとおりです。

  • 法人税の還付金
  • 住民税の還付金
  • 損金不算入の附帯税等に関する還付金
  • 所得税等の還付金
  • 欠損金の繰戻しによる還付金

法人税・住民税・所得税の還付金が益金不算入である理由は、損金不算入の附帯税の還付金が益金不算入である理由と同様です。いうなれば、法人税・住民税・所得税が損金不算入とされていることの裏返しであり、これにより税法上の合理性が維持されています。

なお、附帯税とは、延滞税・利子税・過少申告加算税などの総称です。また、欠損金の繰り戻しによる還付金とは、「業績悪化で当期が赤字となった会社が前期に納付した法人税の還付請求ができる制度により受け取る還付金」をさします。結果的に法人税の還付に該当するため、これも益金不算入です。

益金不算入である還付金の理由

法人税や住民税などの還付金は手元の現金が増えるため一見すると収入であると感じますが、慎重に検討すれば多く払い過ぎた税金が戻ってきただけのことだとわかります。つまり、手元の現金の増加は勘違いであり、もともとは自身のお金です。

したがって、仮に法人税や住民税の還付金に対して税金が発生するとなると、二重課税に該当します。もともと税法では合理性の維持と不合理性の排除をテーマに掲げており、これはその論理に沿った規定です。

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益金不算入とならない還付金

益金不算入に該当する税金の還付金がある一方で、益金不算入に該当しない(益金算入扱いとなる)税金の還付金も存在します。そこで本章を読んで、益金不算入とならない還付金一覧とともにその理由を把握しておきましょう。

益金不算入とならない還付金の一覧

益金不算入とならない税金の還付金は、以下のとおりです。

  • 事業税の還付金
  • 固定資産税の還付金
  • 利子税の還付金
  • 還付加算金

事業運営で発生する事業税・保有する固定資産に課される固定資産税の還付金は、益金に算入されます。そのほか、利子税や付加算金の還付金も、益金不算入には該当しません。これらの理由は、次項で紹介します。

益金算入である還付金の理由

前項の一覧に記載した税金(事業税・固定資産税・利子税)は、税法上の所得を算出する際に損金に算入されるため、税法における合理性の一致の観点から益金に算入される仕組みです。いい換えれば、減少した損金算入分を相殺する目的で、それらの税金の還付金を益金に算入しなければなりません。

また、還付加算金とは税金の還付金に付く利息のことであり、収入であることから益金算入に該当します。

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益金不算入のまとめ

本記事では、企業の節税につながる情報として、益金不算入について取り上げました。しかし、実際に節税を検討する際は、益金の算入・不算入と合わせて損金の算入・不算入についても理解を深める必要があります。

とはいえ、経営者自身に節税に関する詳細な知識の把握を求めているわけではなく、自社の経理担当者・外部の専門家のサポートを得つつ手続きを進めることをおすすめします。なお税法は改正が頻繁に行われる法律であるため、一度把握した知識に固執せず法改正に注意しましょう。

本記事の要点は、以下のとおりです。

・益金とは
→商品の売上やサービス提供に対する報酬などの収益

・損金とは
→法人の資産が減少する原因となる原価・費用・損失などの額

・益金と収益の違い
→「税務で使用される言葉が益金」「会計で使用される言葉が収益」

・益金に算入されるタイミング
→必ずしも対象の取引時に算入されるとは限らない

・益金不算入とは
→会計上では収益に算入されるものの税法上では益金として算入されない収入

・益金不算入の項目一覧
→受取配当金、法人税や所得税等の還付金、資産の評価益

・益金不算入となる受取配当金の対象
→剰余金配当、利益配当、投資信託等から受け取る金銭分配、特定目的会社からの金銭分配

・益金不算入となる還付金の一覧
→法人税の還付金、住民税の還付金、損金不算入の附帯税等に関する還付金、所得税等の還付金、欠損金の繰戻しによる還付金

・益金不算入とならない還付金の一覧
→事業税の還付金、固定資産税の還付金、利子税の還付金、還付加算金

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