M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月23日更新都道府県別M&A
富山県のM&A・会社売却の動向は?M&A案件の探し方や案件例も解説!
本記事では、富山県のM&A・会社売却・事業承継の動向や案件の探し方、事例などを解説します。富山県は会社の規模を問わず、経営者の高齢化や後継者の不在などを理由に、M&Aを検討する会社が多くある地域です。M&Aを検討している方は必見です。
目次
富山県のM&A・会社売却・事業承継の動向
帝国データバンクの「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2023年)」によると、2023年に富山県で休廃業・解散が行われた数は544件(個人事業主含む)でした。
- 「黒字」休廃業の割合: 51.9%(全国)
- 休廃業企業の経営者年齢:平均 70.9 歳(全国)
つまり、事業が黒字であるにもかかわらず、代表者・個人事業主が引退時期を迎え後継者がいないために休廃業・解散するしかなかった中小企業・個人事業主が数多く含まれているということです。
帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査(2023年)」によると、2023年時点で富山県の中小企業の後継者不在率は59.4%でした(全国平均は53.9%)。
その打開策として、近年、行われるようになってきたのがM&Aによる事業承継です。会社や事業を売却し、その買い手が後継者(新たな経営者)となれば、会社は存続し従業員の雇用も守られます。同調査では、事業承継動向(全国)が以下のように報告されていました。
- 親族内承継:33.1%
- 社内承継:35.5%
- M&Aなどによる事業承継:20.3%
- 外部から招聘:7.2%
- 創業者の再登板:3.9%
富山県の経済状況
富山県の発表では、人口は1,035,612人(2020(令和2)年10月1日現在)です。1995(平成7)年をピークに毎年、減少し続けています。一方、2018(平成30)年度の県内総生産(名目)は4兆8,247億円でした。産業別の構成比は以下のようになっています。
- 製造業:32.9%
- 不動産業:10.8%
- 卸売・小売業:9.6%
- 保健衛生・社会事業:7.5%
- 建設業:5.3%
- 専門・科学技術、業務支援サービス業:5.0%
- 電気・ガス・水道・廃棄物処理業:4.0%
- その他のサービス業:4.1%
- 運輸・郵便業:3.9%
- 公務:3.6%
- 金融・保険業:3.4%
- 教育:3.1%
- 情報通信業:2.7%
- 宿泊・飲食サービス業:2.3%
- 農林水産業:1.0%
- 鉱業:0.1%
富山県の産業構成比を全国平均と比べたときの特徴は以下のとおりです。
- 全国平均よりも比率が高い産業:製造業(+12.2%)、電気・ガス・水道・廃棄物処理業(+1.1%)、
- 全国平均よりも比率が低い産業:卸売・小売業(-3.1%)、専門・科学技術、業務支援サービス業(-3.1%)、情報通信業(-2.2%)、運輸・郵便業(-1.4%)、公務(-1.4%)
富山県企業のM&A件数の推移
「M&A Online」の調べでは、富山県の企業が関わった過去4年間のM&A実施数は以下のように推移しています。
- 2018年:2件
- 2019年:4件
- 2020年:6件
- 2021年:6件
ただし、この数値は情報公開した上場企業の発表を基にしています。情報開示義務のない非上場企業は、そのような発表を行わないため実数が把握できません。しかし、非上場企業のM&A加えれば、上の数値よりも数多くM&Aが実施されているのは明らかです。
富山県の事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
富山県でのM&A案件の探し方と注意点
富山県でM&A案件を探す際は、一般的に以下のような方法が選ばれています。
- M&A仲介会社を利用する
- 公的機関を利用する
- M&Aマッチングサイトを利用し自力で見つける
ここでは、M&A仲介会社を利用して探す場合と、公的機関を利用して探す場合、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
M&A仲介会社を利用するメリット・デメリット
M&A仲介会社を利用しM&A案件を探すメリットは以下のとおりです。
- 管理案件が多く、希望する内容の案件を見つけやすい
- M&Aに関する相談だけではなく、仲介まで一貫して依頼できる
富山県でM&Aを行う際に、M&A仲介会社を利用する方は多くいます。気軽にインターネットから問い合わせなどが行えてM&A案件も探しやすくなりました。
全国対応のM&A仲介会社であれば管理案件も多く、理想的な案件を見つけられる可能性も高いでしょう。一方、M&A仲介会社を利用する場合に発生する可能性のあるデメリットは、以下のとおりです。
- M&A仲介会社によって料金体系が異なるため、高額な費用がかかる会社もある
- M&A仲介会社によってはクロージングまで何カ月もかかってしまう
料金体系については、ほとんどのM&A仲介会社が情報開示しています。それでも内容がわかりづらい場合は、相談段階で具体的な見積りを取り、複数の会社を比較することで高額費用リスクは回避できるでしょう。
M&Aは通常、半年~1年程度は時間を要します。ある程度の長丁場の覚悟は必要ですが、M&A仲介会社の実力次第で期間の差が出るので、事前相談の段階で過去の実績を調べ、経験値の多い会社を選ぶとよいでしょう。
公的機関を利用するメリット・デメリット
富山県の公的機関を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 地域に特化した機関であるため、富山県内の独自案件を管理していることがある
富山県事業承継・引継ぎ支援センターなど富山県の公的機関でも、M&A案件を見つけられる可能性があります。公的機関は相談料無料で利用できるため、気軽に利用しやすいのも魅力です。一方、公的機関を利用する場合のデメリットにはいかのようなものがあります。
- M&A仲介会社に比べ、管理案件が少ない
- M&Aの仲介業務は行わないため、仲介業務はM&A仲介会社に依頼する必要がある
富山県の公的機関では、案件を見つけられても仲介業務は行っていません。M&A仲介会社の紹介を受けるか、自分でM&A仲介会社を探す必要があります。
富山県のM&A・会社売却・事業承継におすすめのM&A仲介会社
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱い、全国対応している仲介会社です。事業承継・M&Aの知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍し、ご相談時からクロージングまで丁寧にサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、富山県で事業承継・M&Aをご検討の際は、お電話・Webよりお気軽にお問い合わせください。
富山県のM&A・事業承継に関する公的機関
ここでは、富山県で事業承継・M&Aの相談受けつけや支援を行っている公的機関を紹介します。
- 富山県事業承継・引継ぎ支援センター
- 富山県よろず支援拠点
- 富山県内各商工会議所・各商工会
- 富山県信用保証協会
①富山県事業承継・引継ぎ支援センター
富山県事業承継・引継ぎ支援センターは、国(中小企業庁)からの委託で設置された中小企業や小規模事業者の事業承継を支援する公的機関です。
全国の各都道府県に設置されていますが、富山県では公益財団法人富山県新世紀産業機構に設置され運営されています。
これまでは、富山県事業引継ぎ支援センターと富山県事業承継ネットワークという2つの機関に分かれていましたが、2021年4月に統合され富山県事業承継・引継ぎ支援センターとなりました。専門相談員がアドバイスや、情報提供、マッチング支援を行っています。
②富山県よろず支援拠点
富山県よろず支援拠点は、中小企業や小規模事業に携わる経営者を対象に相談を受けつけている公的機関です。
経営に詳しいコーディネーターが在籍しており、課題分析やアドバイスを行っています。経営全般に関する相談をうけつけているので、事業承継やM&Aの相談も可能です。
③富山県内各商工会議所・各商工会
商工会議所・商工会は、各地域の商工業の発達と振興を図る自由会員制の公益経済団体で、富山県には、8つの商工会議所と、12の商工会があります。
商工会によっては支部や支所、事務所を複数設置しており、それぞれの地域の商工者や経営者が会員となり相互に助け合いながら、富山県の経済活性化のために活動しています。
経営相談や支援活動も行っているので、事業承継やM&Aの相談も可能です。ただし、非会員の場合は、相談内容が限られる場合があります。
④富山県信用保証協会
富山県信用保証協会は、主に金融面で富山県の中小企業を支える公的保証機関です。中小企業が金融機関から資金調達する際に、公的な保証人となって円滑に融資が受けられるようにしています。
保証業務以外にも創業・経営相談を受けつけているので、事業承継やM&Aの相談も可能です。
商工会議所が支援する事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
富山県近郊のM&A・事業承継の案件例
富山県の会社が実際に譲渡希望案件として公開されている情報のうちの一部を紹介します。
【東海地方/財務優良】道路舗装工事業
主に舗装工事業を営む企業の譲渡希望案件です。東海地方で道路舗装工事業を営み、地場の建設会社を中心に40社以上の豊富な受注基盤を有しています。公共案件と民間案件の比率は、およそ7:3の割合であり、売上の99%以上を舗装工事が占めています。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
売却希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望理由 | 後継者不在(事業承継) |
【純資産アンダーでの譲渡】中部地方×機械工具の卸売業
機械工具(消耗品)を幅広い顧客(メーカー、二次卸売など)に販売する企業の譲渡希望案件です。直近年の取引先は800社以上。 幅広い顧客基盤を有し、顧客依存度が低いため、経営リスクは低いです。技術力が高く、小回りのきく仕入先を有し、顧客の品質、技術、納期ニーズへの対応力が高いと言えます。
売上高 | 5億円〜10億円 |
売却希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望理由 | 後継者不在 |
【無借金経営・Netcash】中部地方・環境調査事業
中部地方で環境調査(アスベスト分析・大気・臭気・土壌汚染測定・調査に加え、騒音・振動等測定、排水施設維持管理)事業を営んでいる会社の譲渡希望案件です。環境法の整備により各事業体が定期的な調査を義務付けられている為、取引先の減少は限定されます。国家資格者(環境計量士)が複数在籍しているのも特徴です。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
売却希望額 | 3億円(応相談) |
譲渡希望理由 | 後継者不在(事業承継) |
【業歴80年以上/北信越エリア】40種以上の商品を展開する製茶業・仏事関連業
茶葉の仕入れから選別、ブレンドまで一貫して行う製茶業を営み、香典返し等の仏事関連商品の商品パッケージ化も行う会社の譲渡希望案件です。対象会社展開エリアでは一定の知名度があり、各小売店への販路があります。茶葉の選別から火入れ・梱包・配送まで一貫して対応可能です。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
売却希望額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望理由 | 後継者不在(事業承継) |
【北陸地方/官公庁と取引あり】オフセット印刷業・地域情報報誌出版業
オフセット印刷業・地域情報誌出版業を行う老舗企業のM&A案件です。業歴40年以上を誇る老舗企業で、長年自治体を中心に官公庁とも取引しており、地域に根差した事業を行っています。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
売却希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡希望理由 | 後継者不在(事業承継) |
北陸地方のM&A・会社売却・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
富山県のM&A・事業承継の事例
ここでは、実際に富山県の企業が関わったM&A事例を紹介します。
- プラスチック製品製造業界のM&A(タカギセイコー×黒田化学)
- スーパーマーケット業界のM&A(バローホールディングス×三幸)
- スーパーマーケット業界のM&A(アルビス×オレンジマート)
- 酒造業界のM&A(盛田×銀盤酒造)
プラスチック製品製造業界のM&A(タカギセイコー×黒田化学)
2021年3月、富山県高岡市のタカギセイコーは、完全子会社である中井製作所(京都府宇治市)の全株式を富山県南砺市の黒田化学に譲渡しました。譲渡価額は公表されていません。中井製作所は、精密プラスチック射出成形金型等の製造・販売を行っています。
黒田化学は、プラスチック製品の設計・製造を行っている企業です。タカギセイコーもプラスチック製品の製造・販売などを行っていますが、グループ内における生産品目の選択と集中を目的に中井製作所の譲渡を決めました。
参考:https://kabuyoho.jp/discloseDetail?rid=20210315478880&pid=140120210315478880
スーパーマーケット業界のM&A(バローホールディングス×三幸)
2019(平成31)年1月、バローホールディングスは、三幸の株式を取得することにより、買収すると発表しました。三幸は、富山県西部を中心にスーパーマーケットのサンコーを8店舗、展開しています。新鮮な富山の魚や野菜などが強みです。
バローホールディングスは、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターを展開しています。富山県では、スーパーマーケットを14店舗展開中です。今回のM&Aにより、富山県内のシェアを向上させ、ノウハウを共有するとしています。
参考:https://valorholdings.co.jp/news-ir/15176/
スーパーマーケット業界のM&A(アルビス×オレンジマート)
2018年11月、アルビスはオレンジマートの全株式を取得することにより、子会社化すると発表しました。アルビスは、富山県、石川県、福井県にてスーパーマーケットを展開しています。
オレンジマートは富山県に拠点を構え、富山市南部にてスーパーマーケットを展開している企業です。今回のM&Aにより、富山県内のシェアを高め、より多くの顧客に貢献するとしています。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP501530_R30C19A1000000/
酒造業界のM&A(盛田×銀盤酒造)
2017(平成29)年9月、ジャパン・フード&リカー・アライアンスの子会社である盛田は、銀盤酒造の株式を取得することにより、子会社化すると発表しました。取得価格は約5億円です。
銀盤は富山県の酒造メーカーであり、日本酒や北陸初の地ビールを製造しています。今回のM&Aにより、盛田やジャパン・フード&リカー・アライアンスグループが保有するノウハウやリソースを活用し、収益を向上させる狙いです。
参考:http://moritakk.com/release/20170929
富山県のM&A・会社売却・事業承継のまとめ
富山県では、経営者の高齢化と後継者不在による中小企業の廃業を食い止めるため、M&Aなどによる事業承継を推進しています。
M&Aが成功すれば、会社が存続して従業員の雇用が守られるだけでなく、売却側は譲渡益を獲得できます。
M&Aを行う際は、成功確度を高めるにも実績のあるM&A仲介会社に依頼することがポイントです。まずは無料相談などを活用して自社にあったところを探してみましょう。
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