2025年3月17日更新業種別M&A

建設業の事業譲渡・事業売却の方法・流れは?許認可の注意点や事例も解説

建設業の中小企業では経営者の高齢化や後継者不在で、M&Aによる事業譲渡・事業売却を選択するケースが増えていますが、実際に行う際は許認可の引継ぎに要注意です。建設会社の事業譲渡・事業売却の流れや注意点、許認可や事例について解説します。

目次
  1. 建設業界の市場動向
  2. 建設会社の事業譲渡・事業売却の方法・流れ
  3. 建設会社を事業譲渡・事業売却するメリット
  4. 建設会社の事業譲渡・事業売却の相場
  5. 建設会社の事業譲渡で高額売却しやすいポイント
  6. 建設会社の事業譲渡・事業売却の6つの注意点
  7. 建設会社の事業譲渡・事業売却における許認可引継ぎの取り扱い
  8. 建設会社の事業譲渡・事業売却を考える3つのタイミング
  9. 建設会社の事業譲渡・事業売却の事例
  10. 建設会社の事業譲渡・事業売却でおすすめの相談先
  11. 建設業の事業譲渡・事業売却まとめ
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建設業界の市場動向

国土交通省「令和4年 建設業活動実績調査の結果」

国土交通省「令和4年 建設業活動実績調査の結果」

出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001632826.pdf

国土交通省の資料によると、令和4年度の建設業界における国内売上高の総額は、14兆7,243億円(前年比2.0%減)でした。また、海外の契約金額は、2兆3,537億円(前年比47.2%増)でした。

その一方で、常時従業者数は調査対象企業合計で9年連続の増加となり、180,234人(前年比0.4%増)を記録しています。東京オリンピックの開催による需要の拡大傾向が落ち着いたものの、常時従業者数は増えている状況です。

そのうえ、大手企業では子会社を増やしている傾向があることから、多角化・国際化などの面でニーズを持つ大手企業を中心に建設業界のニーズが高まっている状況が見て取れます。

参考:国土交通省「令和4年 建設業活動実績調査の結果」

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建設会社の事業譲渡・事業売却の方法・流れ

この章では、建設業の事業譲渡・事業売却の流れについて解説します。各手順でのポイントや注意点などもあわせて紹介します。まず、事業譲渡・事業売却の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 仲介会社などへの相談
  2. 事業譲渡・事業売却先の選定
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング
では、それぞれの手順を1つずつ見ていきましょう。

①仲介会社などへの相談

事業譲渡・事業売却を行う場合、まずはM&A仲介会社などの専門家に相談・依頼するのが一般的です。自社の希望条件をM&A仲介会社に伝えれば、相手先候補の絞り込み・最適なスキームの選択・交渉や手続きの代行など、トータルサポートを受けることができます。

自社のみで進めるよりも効率的に事業譲渡・事業売却を行うことが可能であり、最近では無料相談を行っているM&A仲介会社が増えているので、まずは相談してみると良いでしょう。

M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、知識と経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまで培ってきたノウハウを活かしてM&Aをフルサポートいたします。もちろんご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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秘密保持契約書の締結

M&A仲介会社に事業譲渡・事業売却の仲介を依頼する際、秘密保持契約書を締結します。秘密保持契約書とは、M&Aを行うにあたって開示する、業務や財務などの情報を第三者に漏洩しない旨を約束するものです。

万一、情報が漏れてしまうとM&Aが不成立になるだけでなく、売り手・買い手双方の企業に不利益が及ぶ可能性があるため、締結します。

②事業譲渡・事業売却先の選定

次は、事業譲渡・事業売却先の選定を行います。M&A仲介会社に自社の希望条件を伝えると、条件に見合った企業を何社か選定してくれます。この作業はスクリーニングと呼ばれ、まずは大まかな条件で買い手候補を抽出したロングリストと呼ばれるリストを作成します。

それから、数社に絞り込んだショートリストを作成し、候補となる企業に打診をしていきます。打診した結果、よい感触が得られたらトップ同士の会談を行い、M&Aを進める意思について確認します。

③基本合意書の締結

トップ同士の会談・交渉を経て、大筋で事業譲渡・事業売却の合意が得られたら、基本合意書を締結します。基本合意書とは、M&Aの最終契約締結までの協議過程で締結される、基本的な内容について定めたものです。

基本同意書は、最終合意に限りなく近い内容の場合もあれば、交渉による変更の可能性を前提とした場合もあります。いずれにせよ、最終合意を決定したものではないため、デューデリジェンスの結果などによって、内容が変更される場合もあります。

なお、基本合意書に盛り込む内容には、以下のようなものがあります。

  • M&Aの手法
  • 対象・対価
  • 役員の処遇などの基本的な条件
  • 支払いのタイミング
  • デューデリジェンスのスケジュールおよびデューデリジェンスの協力義務
  • 独占交渉権
  • 秘密保持義務
  • 費用負担
  • 裁判管轄

意向表明書の提示

意向表明書とは、簡単に言えば「相手先企業を譲受する意思がある」ことを示す書類です。具体的には、M&Aを行う意思があること・取引額や譲渡対象などの大まかな条件を記載します。通常、意向表明書はトップ面談後に買い手側から売り手側に提示されます。

その後、独占交渉権などの内容を含めた基本合意書を締結し、具体的な手続きへと進みます。基本合意書は売り手・買い手双方の合意の上で締結されるので、内容も最終契約に近いものになっており、デューデリジェンスの協力義務・独占交渉権・秘密保持に関する事項などが盛り込まれます。

対して、意向表明書はあくまでも買い手側が交渉する意思を伝えるものであり、提出が義務付けられているというものでもありません。しかし、意向表明書を提出することによって、買い手側の意思を明確に伝えられるので、以降の交渉をスムーズに進めることができます。

④デューデリジェンスの実施

基本合意書を締結した後は、買い手側によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは、対象となる企業(売り手側)の経営状況についての調査をいいます。デューデリジェンスは、法務・財務・税務などさまざまな観点から行われ、いずれの調査も専門的な知識を必要とします。

そのため、弁護士・会計士・税理士などの各専門家に依頼して行われるのが一般的です。買い手側はデューデリジェンスを行うことにより、簿外債務や簿外負債を引き継ぐリスクを避けることができます。

なお、デューデリジェンスの結果によっては、売買価格や取引条件を変更したり、M&Aの交渉自体が破棄されたりすることもあります。

⑤最終契約書の締結

デューデリジェンスの結果、売り手側の企業に問題がなければ、事業譲渡・事業売却についての最終契約書を締結します。最終契約書には、効力発生日・譲渡対象および譲渡目的・対価に関する事項を記載します。

なお、最終契約書には法的な拘束力があるため、もし契約後に一方的に破棄した場合は、相手側から損害賠償請求される可能性があります。

⑥クロージング

クロージングはM&Aにおける最後の手続きになり、これをもって経営権が買い手側へと移ります。株式譲渡と事業譲渡では、クロージングに必要な手続きが異なり、株式譲渡の場合は、株券の受け渡しと対価の支払い・新役員の選任などが必要になります。

事業譲渡の場合は、譲渡対象となる資産・負債・義務や権利の各譲渡手続きを行い、買い手から売り手へ譲渡対価を支払って完了となります。

【関連】M&Aのデューデリジェンスとは?目的や注意点、費用、種類、進め方を解説
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建設会社を事業譲渡・事業売却するメリット

建設会社が事業譲渡を選択することには、いくつかのメリットがあります。具体的には、以下のような利点です。

  • 不採算部門を分離することで、より収益性の高い事業に資本を集中させられる
  • 事業の方向性を変える機会を提供し、より有利な事業領域へと移行することが可能
  • 負担が少ない事業を選択して続けることで、経営者の健康や年齢に応じた柔軟な経営が行える
  • 法人としての身分を保持しつつ、後継者問題を解決し、企業のブランドやノウハウを継承するチャンスを得られる
  • 大企業の一員となることで、経営の安定を図れる
  • 従業員や取引先の同意を得ることで、雇用関係や取引契約をスムーズに継承できる
  • 個人保証や担保を解消し、売却益を借入金の返済に充てることも可能

事業譲渡では、権利や義務の包括的な承継が必ずしも行われないため、譲渡する資産を選択できる柔軟性があります。これにより、将来の経営戦略に合わせた最適な譲渡が実現可能です。また、従業員の雇用や取引先との良好な関係を維持しながら、事業の移行も図れます。

建設会社の事業譲渡・事業売却の相場

建設 ゼネコンのM&A・事業承継
建設 ゼネコンのM&A・事業承継

建設業は国や地方自治体からの発注が多い業界であり、許認可を受けた企業しか営業できません。また、同業他社との技術・ノウハウの差が比較的少なく、IT業界のように企業価値が急激に上昇することは少ないため、売却価格の相場は比較的安定しています。

具体的な売却額の目安は以下の通りです。

  • 中小規模の建設会社:数千万円~数億円
  • 大手建設会社:数億円~数十億円
  • ゼネコン(大手総合建設会社):数百億円~数千億円

このように、企業規模が大きいほど売却額も高額になる傾向があります。

建設会社の事業譲渡で高額売却しやすいポイント

以下に紹介するポイントを満たした建設会社の場合、事業譲渡で高額売却を図りやすくなります。

資格・技能を持つ人材が豊富である

建設業界では 就業者の高齢化が深刻な課題となっており、熟練労働者の大量退職と若年層の入職減少により、資格や技能を持つ人材の大幅な不足が懸念されています。

多くの企業にとって人材確保は経営上の重要な課題となっており、M&Aの売却時には 資格や技能を持つ人材が豊富な企業ほど、買い手にとって魅力的なポイントとなるでしょう。

また、業界全体で人材不足の対策が求められる中、「特定技能」制度を活用した外国人労働者の受け入れも進んでいます。すでに 外国人労働者の定着に成功している企業は、売却時の評価が高まりやすいと考えられます。

コンプライアンスが適切に管理されている

建設業界においてもコンプライアンスの徹底 は不可欠であり、特に以下のような違反が問題視されることがあります。

  • 独占禁止法違反(談合などの不正な取引制限)
  • 建設業法違反(許可要件の未遵守など)
  • 多重下請構造における契約管理の不備
  • 労務管理の違反(社会保険未加入、未払い残業代など)

独占禁止法 では、公正な競争を妨げる行為が禁止されており、特に談合は競争入札を不正に操作する行為として厳しく取り締まられています。

また、下請企業において 社会保険未加入や未払い残業代の発生 など、労務管理の不備が見られるケースも少なくありません。これらの コンプライアンス違反は、M&Aの際に大きなリスクとみなされ、価格交渉において不利 になる可能性があります。

売却を検討する企業は、事前に法令遵守の状況を確認し、必要な是正措置を講じることが重要 です。

経営事項審査・競争参加資格の評価が高い

国や地方公共団体が発注する公共工事の入札に参加するためには、「経営事項審査」と「競争参加資格審査」を受ける必要があります。

  • 経営事項審査:企業の 経営規模・財務状況・技術力 などを評価し、総合評点が算出される
  • 競争参加資格審査:経営事項審査の総合評点に加え、各発注機関独自の審査基準を適用し、企業の評価・格付けを行う

格付けにより、参加できる公共工事の規模や種類が決まるため、評価の高い企業ほど入札の機会が広がることになります。そのため、M&Aにおいても 高評価を受けた建設会社は買い手にとって魅力的な企業 として評価されやすくなります。

建設会社の事業譲渡・事業売却の6つの注意点

建設業の事業譲渡・事業売却を行う際は、どのような点に注意しておけばよいのでしょうか。ここでは、とくに注意すべき以下の6点について解説します。

  1. 事業譲渡・事業売却を行う際は計画的に行う
  2. 事業の強みやアピールポイントをまとめてから交渉を行う
  3. 事業譲渡・事業売却が決まってから従業員・取引先に報告する
  4. 進行中の案件・建設予定の案件の引き継ぎに注意する
  5. 建設業許可の引き継ぎに関して知っておく
  6. 事業譲渡・事業売却の専門家に相談する

①事業譲渡・事業売却を行う際は計画的に行う

事業譲渡・事業売却を成功させるためには、計画的に行うことが大切です。どのような目的で事業譲渡・事業売却を行い、譲渡・売却の対象となる事業を見極める必要があります。また、事業譲渡・事業売却では譲渡後も自社は存続することになります。

そのため、期待できる効果や取引先・下請け業者などへの影響についても検討しておかなければなりません。まずは、計画書を作成し、スケジュールに沿って事業譲渡・事業売却を行えるように準備をしておきましょう。

②事業の強みやアピールポイントをまとめてから交渉を行う

事業譲渡・事業売却を成功させるためには、対象事業の強み・アピールポイントを買い手先候補の企業にしっかり伝えることが大切です。具体的な交渉へ進む前に、まずは自社の強み・アピールポイントを明確に伝えられるよう、具体的なデータをもとに資料をまとめておくとよいでしょう。

具体的には、ノウハウや技術・施工管理責任者などの有資格者数・許認可・取引先に関する内容などをまとめておくと、買い手は買収後のシナジー効果を想定しやすくなり、交渉もスムーズに進めることができます。

③事業譲渡・事業売却が決まってから従業員・取引先に報告する

事業譲渡・事業売却をする際は、従業員・取引先へ報告するタイミングにも注意が必要です。事業譲渡・事業売却の内容が決定しないうちに従業員や取引先に情報が伝われば、余計な不安や憶測を与えかねず、優秀な人材の流出や関係性が悪化する可能性もあります。

そのような事態を避けるため、事業譲渡・事業売却について報告するタイミングは、内容が具体的に決定してからにしましょう。

④進行中の案件・建設予定の案件の引き継ぎに注意する

事業譲渡・事業売却時に、進行中や建設予定の案件がある場合は、引継ぎについて注意が必要です。現在請け負っている工事案件を完了してから事業譲渡・事業売却を行うことが望ましいですが、長期案件がある場合などやむを得ないこともあるでしょう。

そのようなケースでは、買い手に工事案件を引き継いでもらうか、同業他社への案件引継ぎを検討しなければなりません。買い手に工事を引き継ぐ場合は、後のトラブルにならないよう、費用分担の割合を明確にするとともに、工事の引き継ぎ先に関する内容は、発注者にも伝えておくようにしましょう。

⑤建設業許可の引き継ぎに関して知っておく

以前まで、建設会社の事業譲渡・事業売却では、売り手側が取得した建設業許可は、買い手側の会社に引き継がれないという問題がありました。新たに許認可を得るまで営業ができないことが問題視され、2020年10月1日の建設業法改正により、建設業許可の引き継ぎが可能となりました。

ただし、一般建設業の許可を得ているものが特定建設業の許可を得ているものの地位を引き継ぐ場合や、その逆の場合には、事前の許認可の取得ができないため、買い手側側は譲受する事業に必要な建設業許可を、改めて取得する必要があります。

建設業許可の取得には一定の条件を満たさなければならず、申請してから認可されるまでには期間を要するため、事業譲渡・事業売却後の事業を開始する日程は調整が必要になることもあります。

⑥事業譲渡・事業売却の専門家に相談する

建設業の事業譲渡・事業売却を行うためには、M&Aに関する知識だけでなく、建設業界の動向や許認可の取り扱いについての知識も必要になるため、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めるのが良いでしょう。建設業のM&A・事業譲渡・事業売却の成約実績がある仲介会社であれば、許認可についても熟知しており、適切なサポートに期待できます。

M&A総合研究所にはM&Aの知識・豊富な支援実績を持つアドバイザーが多数在籍しており、M&Aを専任フルサポートいたします。M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談をお受けしておりますので、建設業で事業譲渡・事業売却をお考えの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

建設会社の事業譲渡・事業売却における許認可引継ぎの取り扱い

先述しましたように、建設業の事業譲渡・事業売却では、買い手企業への建設許可の引き継ぎはできません。買い手側企業がすでに建設業許可を取得している場合は、その許可を維持することができますが、買い手側が建設業許可をもっていない場合は、申請をして許可を得なければなりません。

許可申請をしてから許可がおりるまでには、1~4か月程度の期間(知事許可と大臣許可で異なる)が必要になるため、事業開始日の調整が必要です。このように、現行の制度では建設許可がおりるまでに「無許可の期間」ができてしまいます。

そこで、2020年10月施行の改正建設業法では、上記のような不都合を解消するため、 事業の譲渡・会社の合併・分割を行うときの事前認可の手続きを新設し、 円滑に建設業の許可を承継させられるよう見直されました。

ただし、上述したように新たな許認可の引き継ぎ制度の対象外となるケースもあるので、買い手側は相手側が取得している許認可について事前に把握しておきましょう。

【関連】建築業の事業承継の許認可手続きやポイントを解説【事例あり】

建設会社の事業譲渡・事業売却を考える3つのタイミング

建設業の事業譲渡・事業売却を考える適切なタイミングは、どのような場合なのでしょうか。

  1. 後継者問題を抱えており悩んでいる
  2. 高齢になり健康問題が出てきた
  3. 別事業に注力したいと考えている
上記3つが建設業で事業譲渡・事業売却を考えるタイミングでとくに多いタイミングであり、他の業界と大きく違うわけではありません。

①後継者問題を抱えており悩んでいる

近年、国内にある中小企業の多くは、後継者問題を抱えており、それは建設業界も例外ではありません。なかには、経営状態に問題なくても、後継者がいないために廃業を選ぶ企業もあります。

このように、後継者が見つからずに事業承継ができない場合、M&Aによる事業譲渡・事業売却を行えば、適切な第三者(企業)に事業を引き継ぐことができます。

②高齢になり健康問題が出てきた

経営者が高齢になり健康問題が出てきたことによって、事業譲渡・事業売却を検討・実施するケースもあります。経営者の中には、実際に建設現場へ出ている人もおり、健康上の問題が出てくれば現状を維持するのは難しくなります。

経営者が高齢になり健康問題が出できたことによって、今後の経営が困難であると判断した場合は、事業譲渡・事業売却を考えるタイミングのひとつといえるでしょう。

③別事業に注力したいと考えている

建設業業界の将来性や自社の成長などの理由により、別の事業に注力したいと考えることもあるでしょう。新しく事業を始める場合は当然資金が必要になりますが、自社の事業を譲渡または売却すれば、それにより利益を得ることができます。

このように、別事業に注力したいという理由も、事業譲渡・事業売却を考えるひとつのタイミングかもしれません。

建設会社の事業譲渡・事業売却の事例

近年における建設会社の事業譲渡・事業売却の事例を紹介します。

戸田建設によるPlatinum Landscapeの事業譲受

2024年9月3日、戸田建設は、米国子会社の戸田アメリカ(カリフォルニア州)を通じ、Platinum Landscape, Inc.(プラチナランド社)の事業を2024年8月28日付で譲り受けました。

戸田建設は建築・土木、海外事業、再生可能エネルギーなどを展開しており、プラチナランド社はカリフォルニア州で戸建て分譲住宅の植栽工事や維持管理サービスを手掛ける企業です。

今回のM&Aは、戸田建設の中期経営計画に基づく海外事業強化の一環であり、カリフォルニア州の住宅市場の成長を見据えた戦略的な動きです。これまで米国では商業不動産賃貸事業を展開してきましたが、コロナ禍以降のオフィス市場の変化や為替・金利動向の影響を受け、事業の多角化が求められていました。

プラチナランド社が事業を展開するオレンジ郡、サンディエゴ郡、リバーサイド郡は、安定した人口増加と住宅需要の拡大が期待される地域です。戸田建設は、この成長市場において街づくりの重要要素である植栽事業を通じて、事業基盤の強化と地域社会への貢献を目指します。

米国子会社におけるカリフォルニア州植栽会社の事業譲受

大和ハウス工業グループによるJP Holdingsの事業譲受

2023年10月13日、大和ハウス工業のグループ企業であるTrumark Companies, LLC(トゥルーマーク社)は、JP Holdings, LLC(ワーセン社)の戸建住宅事業を譲受する契約を締結しました。譲受対象は、土地開発を除く戸建住宅事業であり、ワーセン社の経営陣と従業員はトゥルーマーク社に参画する予定です。

大和ハウス工業は住宅建設や不動産関連事業を展開し、トゥルーマーク社はカリフォルニア州で高所得者向け住宅の供給を強みとしています。一方、ワーセン社は同州中央部で宅地開発から住宅販売までを手がけ、一次取得者や中所得層向けの住宅供給に強みを持ちます。

今回のM&Aにより、大和ハウス工業は米国カリフォルニア州での戸建住宅供給を拡大し、トゥルーマーク社はワーセン社のノウハウを活かすことで事業の多様化と強化を図ります。

Trumark Companies, LLCによるJP Holdings,LLCの戸建住宅事業の譲受

建設会社の事業譲渡・事業売却でおすすめの相談先

建設業の事業譲渡・事業売却を行う際は、業界の動向を把握したうえで計画的に進めることが大切ですが、M&Aを進めるうえでは、建設業許可の取り扱いにも注意しなければなりません。それに加えて、M&Aに関する専門的な知識や見解、交渉力なども必要になります。

本章では、建設会社の事業譲渡・事業売却でおすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

投資銀行や商業銀行、証券会社などの金融機関が、M&Aにおけるファイナンシャル・アドバイザー(FA)としての役割を担うことがあります。特に 外資系投資銀行や日系証券会社は、大規模なM&Aを得意とし、成功報酬は数千万円から数億円に及ぶ場合があります。メガバンクでは2,000万円以上、地方銀行では数百万円以上が一般的です。

主なメリットは、以下のとおりです。

  • 専門的な知識と豊富な経験 を持ち、資金調達の相談も可能
  • 信頼性が高く、幅広いネットワークを活用できる

一方で、以下のようなデメリットもあるので要注意です。

  • 中小企業のM&Aには不向き な場合があり、サポートが限定されることがある
  • 成功報酬が高額 で、コスト負担が大きくなる可能性がある

企業の規模や目的に応じて、最適なFAを選ぶことが重要です。

【関連】M&Aにおける銀行の役割は?融資・アドバイザリー業務の特徴やM&Aの相談をする際のポイントを解説

公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター)

事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業や小規模事業者の後継者問題を支援する公的機関です。全国の各都道府県に設置されており、事業承継やM&Aに関するアドバイス、情報提供、マッチング支援を行っています。

主なメリットは、以下のとおりです。

  • 全国に相談窓口があり、地方企業でも相談しやすい
  • 公的機関のため相談料が無料で、客観的かつ公平なアドバイスを受けられる
  • 小規模なM&Aにも対応し、必要に応じて専門家の紹介も可能

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • 取扱件数が限られており、大規模・複雑なM&Aには対応できない
  • 対応スピードが遅い 場合があり、迅速なM&Aを希望する場合には不向き

M&Aの相手探しが地元中心となるため、広範囲でのマッチングを希望する場合は、民間のM&A仲介会社のほうが適しています。公的機関としての安心感がある一方で、案件の規模やスピードを考慮し、適切な相談先を選ぶことが重要です。

【関連】事業承継の無料相談先である事業承継・引継ぎ支援センターとは?成約事例や案件・手数料・その他の支援機関も徹底解説

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&Aに特化した業務を専門的に取り扱っています。各社で経験や得意分野が異なるため、自社に適した仲介会社を選ぶことが重要です。

主なメリットは、以下のとおりです。

  • M&Aの専門知識を持ち、幅広い候補先を探せるため、適切な相手を見つけやすい
  • 銀行や証券会社よりも成功報酬が低いケースが多く、コストを抑えやすい

一方で、以下のデメリットには注意しましょう。

  • 契約やM&A成立を急かされる 場合があり、慎重な対応が必要
  • 報酬を重視する仲介会社 では、十分なサポートを受けられないこともある

適切な仲介会社を選ぶことで、M&Aをスムーズに進められます。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
【関連】M&A仲介とは?仲介会社とFAの違いや依頼のメリットと注意点・選び方など解説!
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建設業の事業譲渡・事業売却まとめ

この記事では、建設業の事業譲渡・事業売却について解説しました。建設業を事業譲渡・事業売却する際には、建設業許可の取り扱いに注意しなければならず、買い手が新たに建設業に関わる場合は、認可までの期間などの調整が必要になります。

また、建設業の事業譲渡・事業売却を成功させるためには、業界や許認可に関する知識、M&Aの見解や高い交渉力が必要になるため、M&A仲介会社など専門家のサポートは大切です。

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近年急速的に進行している高齢化に伴い、社会福祉法人のニーズも高まっているのが現状です。 その動向に伴って社会福祉法人の業界における競争も高まり、活発なM&Aが展開されています。 本記...

D2C業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

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D2Cは、メーカーやブランドが一般消費者に直接販売するビジネスモデルで、最大のメリットはコストの削減です。今回は、D2C業界の動向やM&Aのメリット・注意点、M&Aの実際の事例、...

SIer業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

SIer業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

本記事ではSler業界の動向とSler業界でM&Aを行うメリットを解説します。Sler業界は人手不足と新技術への対応に迫られ業界の再編が激しい業界です。実際に行われたM&A・売却...

鉱業業界のM&A動向!売却・買収事例3選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

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鉱業業界ではM&Aが活発化しています。資源需要増大や規制緩和が背景にあり、大手鉱業企業は新興市場や環境配慮型鉱業への投資を進めているのが鉱業業界の現状です。鉱業のリスク管理はM&...

木材業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

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この記事では、木材業界のM&A動向について説明します。木材業界では、専門技術の獲得、コスト効率の向上のためにM&Aが活用されています。木材業界におけるM&A・売却・買収事...

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