M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新業種別M&A
美容室・ヘアサロンのM&A・譲渡・売却の現状と動向は?M&A事例も紹介!
近年、さまざまな業界で活発化しているM&Aですが、美容室・ヘアサロン業界でもM&A事例が増えています。美容室・ヘアサロンのM&Aを考える際は、M&A事例や動きを業界動向と合わせて整理し、総合的な観点から分析を行うことが重要です。
美容室・ヘアサロンのM&Aについて
日々の生活で一般的な存在である美容室・ヘアサロンですが、近年は業界内でM&A事例がいくつか登場しています。M&Aは事業の強化・拡大、競争力の強化などのメリットのほか、経営基盤の安定化、後継者不足問題の解決など、経営上の問題を解決する手法としても活用可能です。
経営者が高齢になり後継者不在の状態が続く美容室が、M&Aによる売却で他社に経営を任せることができれば、後継者不在の状態が解決して経営者は引退できます。後継者が現れなければ廃業せざるを得ません。しかし、M&Aによって事業が継続すれば、経営上の危機を乗り越えられるのです。
特に美容室・ヘアサロンは個人経営のお店が多く、経営が不安定になりがちです。しかし、M&Aによってこうした経営上の問題を解決する事例もあります。今回はこのような美容室・ヘアサロンのM&Aについて、業界動向も踏まえてご紹介していきます。
美容室・ヘアサロン業界の特徴・動向
まずは業界の特徴や動向を見ていきましょう。
店舗数や美容師が緩やかに増加
近年の美容室・ヘアサロン業界では、店舗数や美容師が緩やかに増加している傾向です。美容師の資格を保有する方も年々増えています。市場規模としては若干減少傾向も見られますが、事業者の数は増加しています。
女性だけでなく男性も美容室・ヘアサロンに通うケースが珍しくない今、美容室・ヘアサロンのターゲット層は拡大しています。ターゲット層が拡大すれば、それぞれに合わせた店舗や美容師の増加が考えられるでしょう。例えば、年配向けの美容室や男性専用の美容室です。
このようにターゲット層が幅広くなれば、それぞれに特化した店舗を新しく展開するケースが増えます。また、それぞれのターゲット層に向けた美容師の需要も高まるわけです。人口減少などにより今後も市場規模が若干減少する可能性はありますが、店舗数や美容師は今後も緩やかに増えるでしょう。
離職率が高い
美容室・ヘアサロンは立ち仕事が多いこと、休日が少ないことなどが要因となり、離職率が高い傾向も見られます。また、美容師として独立を目指す人が多いことも、離職率の高さにつながります。さらに、美容師という仕事は辞めなくても、同じ美容室・ヘアサロンで長く働くとは限りません。
多くの美容師を抱える美容室・ヘアサロンでも、独立を目指す人が増えれば、人材不足に陥りやすいです。こうした要因もあり美容室・ヘアサロン業界は離職率が高いため、それぞれの美容室・ヘアサロンではしばしば人材不足が深刻化します。そのため、人材を効率的に確保するM&Aが今後加速する可能性もあります。
競争の激化
市場規模としては若干縮小しながら店舗数が緩やかに増加していることもあり、競争の激化が見られます。そのため、各美容室・ヘアサロンはこれまで以上に差別化を図る必要に迫られています。
年配向けの美容室や男性専用の美容室のほか、子供専門の美容室なども見られ、特定の分野に特化した美容室・ヘアサロンも徐々に増えています。
美容室・ヘアサロン業界とM&Aの関係
ここでは美容室・ヘアサロン業界の特徴・動向も踏まえ、M&Aとの関係を整理していきます。
競争力強化のためのM&A
競争が激化する中、M&Aによって事業の強化・拡大、新規事業への参入などを実現し、競争力強化につなげるケースなどがあります。例えば美容室・ヘアサロン同士のM&Aにより双方の事業エリアを活用し、グループとして事業エリアの拡大につなげるケースです。
また、特定のターゲット層に特化した美容室・ヘアサロンを買収し、グループとしてターゲット層を拡大するケースも、競争力強化につながります。M&Aによって人材を確保できることも、競争力の強化に大きく貢献します。
経営上の問題を解決するためのM&A
美容室・ヘアサロンは個人経営のお店も多く、経営が不安定になりがちです。また、後継者がなかなか見つからないケースもあるでしょう。こうした経営上の問題をM&Aによって解決する事例もよく見られます。
資金力が豊富な企業に買収してもらえば、安定した経営基盤のもとで引き続き事業の継続が可能です。また、後継者不在の状態も解決し、高齢の経営者は安心して引退できます。
ファンドによるM&A
最近は、ファンドへの売却事例も増加しています。後ほどM&A事例としていくつかご紹介していきます。
美容室・ヘアサロンにおけるM&Aの相場と費用
美容室・ヘアサロンは個人経営のお店から大手チェーンに至るまで、その業態・規模はさまざまです。一店舗のみの美容室、数店舗を展開する美容室、全国展開する美容室まで多岐に渡ります。M&Aの当事者となる美容室・ヘアサロンの規模が幅広い以上、M&Aの対象となる事業や取得総額が大きく変わります。
そのため、美容室・ヘアサロンのM&Aの相場・費用を明確に決めることは、一概には難しいといえるでしょう。ただし、相場・費用を考慮せずにM&Aを行うことは避けなくてはなりません。相場・費用を深く考えずにM&Aを実行すれば想定外の費用発生につながり、肝心のM&A後の事業展開に悪影響をおよぼします。
こうした事態を招かないためにも、自社と似た規模の美容室・ヘアサロンのM&A事例は徹底的に分析し、相場・費用の情報を集める必要があります。各事例のM&Aの目的、M&Aの対象企業の規模、対象事業の規模や内容、お店の業績、従業員の数、M&Aのスキームなど、幅広い観点から総合的にポイントを整理します。
また、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門会社に相談し、より正確な相場・費用の情報を得ることも大切です。
美容室・ヘアサロンの買収とは?買う・買いたい場合
美容室・ヘアサロンを買収する場合、競争力の強化という側面が強いです。競争の激化によって他店との差別化が重要となる中、美容室・ヘアサロンを買収して双方の事業エリアやサービス体制、ターゲット層などを活かし、事業の強化・拡大につなげることが重要です。
特定のターゲット層に強みがある美容室・ヘアサロンを買収すれば、自社の事業と合わせてターゲット層を効率的に拡大できます。しかしただ単に同業者の美容室・ヘアサロンを買収すれば良いわけではなく、買収の目的に沿う最適な美容室・ヘアサロンを買収し、事業の強化・拡大、競争力の強化につなげなくてはなりません。
買収候補の事業内容や強みを分析し、自社の事業とのシナジー効果が本当に見込めるのか、さまざまな観点から検討を進めましょう。
美容室・ヘアサロンの売却とは?売る・売りたい場合
美容室・ヘアサロンの売却は、経営上の問題解決を目的とするケースが多いです。資金力のある企業に売却できれば、財務基盤の安定化などのメリットを享受できます。ただし、売却によって経営を任せる以上、信頼できる買い手かどうか、事業内容や業績などからしっかり分析する必要があります。
また、売却を成功するには自社の強み・魅力が買い手に伝わらなければなりません。今一度強み・魅力を整理し、それを事業内容として明確に示し、買い手が名乗り出る状態にします。これは当たり前のようですが、一番差がつきやすい部分です。
美容室・ヘアサロンとしてどのような分野に強みがあり、どのようなサービスが魅力で主なターゲット層はどこなのか、日々整理しましょう。
もしM&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、M&Aをフルサポートいたします。
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美容室・ヘアサロンにおけるM&A事例
美容室・ヘアサロンのM&Aは近年特に増えたこともあり、比較的最近のM&A事例が多いです。そのため、いずれの事例も今後の事業展開が今注目されている段階で、現時点で明確に成功事例・失敗事例に分けて考えるのは難しいといえます。
ただ、美容室・ヘアサロンに関するM&Aはどのような背景・目的で行われているのかを知るために、多くのM&A事例を知っておいて損はありません。代表的な事例をご紹介するので、各M&Aの目的やM&Aに至った背景などを整理し、M&A後の事業展開を分析する参考にしてください。
ヤマノホールディングスがL.B.Gを買収
2019年8月、ヤマノホールディングスは、美容室を経営するL.B.G(以下LBG)の株式を取得し、連結子会社化することを発表しました。株式所有割合は52.0%です。
ヤマノHDグループは、創始者である山野愛子が提唱した「美道五原則 髪・顔・装い・精神美・健康美」を企業理念とし、美容事業、和装宝飾事業、DSM事業を展開しています。「ソフトと価値の提供」がそれぞれの事業の共通テーマで、商品以外のサービス機能拡充による差別化戦略を進めています。
美容室経営のLBGは「La Bonheur」のブランド名です。20代~30代女性をターゲットとした中高価格帯の美容室を、首都圏を中心に15店舗運営しています。
今回の買収によりヤマノHDグループは、現在展開中の中高年層向けの低中価格帯美容サービスの連携を強化し、グループの祖業でもある美容事業全体の成長スピード加速を図っています。
サンライズ・キャピタルがAguグループを買収
2018年3月、日本の中堅・中小企業への投資に特化したファンドであるサンライズ・キャピタルは、ロイネスおよびB-first(以下Aguグループ)と資本提携を行うことを発表しました。Aguグループは「Agu Hair Salon」のブランド名で全国展開する美容室チェーンです。
取引総額は100億円超で、3月に買収が行われています。サンライズ・キャピタルは、アジア有数の総合金融機関CLSA傘下の資産運用部門となるCLSAキャピタルパートナーズがアドバイザーを務めるファンドです。
この資本提携により、サンライズ・キャピタルは特別目的会社を通じてAguグループの株式の過半数を取得しました。Aguグループの創業者である市瀬一浩氏も引き続きAguグループの株式の一部を保有し、代表取締役として経営を引き続き行います。
Aguグループは2009年の創業で、約300店舗を運営しています。数年内に1,000店舗への拡大を目標とし、その取り組みの中でサンライズ・キャピタルとの資本提携が行われました。この資本提携により、AguグループはCLSAグループが持つ店舗・フランチャイズビジネス、サービス業界における経験やネットワーク、経営資源を活かし、店舗開発を加速するとしています。
また、出店だけでなく管理面も含めて組織機能の強化を図り、CLSAグループから取締役を受け入れて将来的に経営幹部の採用を行うなどして、組織基盤をさらに強化していきます。
日本産業推進機構がレイフィールドと資本業務提携
2018年1月、投資ファンドの日本産業推進機構は、傘下の投資事業有限責任組合(NSSK II)を通じて、美容サロンの展開を行うレイフィールドとの資本業務提携完了を発表しました。レイフィールドグループは「RAY Field」のブランドで美容サロンを展開しており、ヘアだけでなくネイル・アイラッシュも行うサロンです。
東海、九州、北陸、中国地方を中心とし、フランチャイズを含めて55店舗を展開しており、確かな顧客基盤や高いリピート率に特徴があります。
日本産業推進機構は今回の資本業務提携により、レイフィールドが築いた事業基盤を活かしながら、日本産業推進機構独自の経営支援パッケージとなるNVP(NSSKバリューアップ・プログラム)や国内外のネットワークなどを活用するとしています。
これにより、レイフィールドがさらに成長するための経営管理手法の導入や、コンプライアンス体制の強化、ESGの推進、収益力の強化、NSSKの不動産ネットワークの活用による継続的な新規出店の推進などを支援します。
レイフィールドの現経営陣は今後も業務を継続し、日本産業推進機構はレイフィールド現経営陣の事業パートナーになります。
まとめ
近年さまざまな業界で活発化しているM&Aですが、美容室・ヘアサロン業界でもM&A事例が増えています。美容室・ヘアサロンは今後さらに競争が激化する可能性があるため、同業者同士のM&Aによって事業の強化・拡大、競争力の強化を図るケースが増加するでしょう。
また、個人経営のお店などは経営が不安定になりがちですが、M&Aで経営上の問題を解決することも可能です。最近は、ファンドによるM&Aが増えていることも見過ごせません。美容室・ヘアサロンのM&Aを考える際は、M&A事例や動きを業界動向と合わせて整理し、総合的な観点から分析を行うことが重要になります。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。