2022年6月6日更新業種別M&A

ヘアサロンの事業売却(M&A)とは?メリット・デメリットや売却事例をご紹介

ヘアサロン業界は店舗数や美容師の人数が増加していますが、それに反比例して売り上げが減少し、さまざまな課題を抱えています。ヘアサロン業界で生き残るうえで、事業売却は有効的な手段です。事業売却はメリット・デメリットを踏まえて行いましょう。

目次
  1. ヘアサロンの事業売却(M&A)とは?
  2. ヘアサロン業界の現状
  3. ヘアサロンの事業売却におけるメリット・デメリット
  4. ヘアサロンの事業売却における注意点
  5. ヘアサロンの事業売却(M&A)事例
  6. ヘアサロンの事業売却はM&A仲介会社に相談
  7. まとめ
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ヘアサロンの事業売却(M&A)とは?

M&Aは今や一般的な経営手法であり、大企業も中小企業も行っています。事業売却という形で、会社全体ではなく特定の事業だけを売却するケースなど、その方法は多様化しています。

事業売却は通常の会社売却とは違い、さまざまな制約や注意点があるため、それらを把握したうえで行わなければなりません。今回はヘアサロン業界の事業売却について、メリット・デメリットなどをお伝えしていきます。

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ヘアサロン業界の現状

ここではヘアサロン業界の現状について詳しく見ていきましょう。

ヘアサロン(美容室)の数は過去最多を更新

ヘアサロン(美容室)の数は、厚生労働省によると2018年3月時点で25万店舗を超え、過去最多を更新するなど、店舗数は増加の一途を辿っています。増加数は毎年約3,000店舗だといわれ、街で見かけるヘアサロンの数は「コンビニより多い」という文言すらあるくらいです。

ヘアサロンは小売業と違って必要な設備投資が多くなく参入障壁が低いため、ある程度の資金を持てば開業しやすいです。そのため、店舗数が増加しやすい傾向にあります。また、ヘアサロンの従業員である美容師の人数も増えています。

これだけを見ればヘアサロン業界は非常に好調に見えますが、実際はそうではありません。25万店舗もあれば競争も激しくなり、不調に陥ったヘアサロンは次々と閉店します。また、美容師の離職率は非常に高く、増加こそしていますが人手が不足しています。

さらにヘアサロン業界の市場も1兆円は超えているものの、年々売り上げは数億円(多ければ十億円超)ずつ減少している状況です。つまり、店舗数や美容師の人数の増加に反比例して、売り上げは減少しています。売り上げが伸びないまま店舗数、美容師の人数が増える状況が続くのは芳しくありません。

競争の熾烈化

現在のヘアサロン業界の課題が、競争の熾烈化です。昨今はSNSやヘアサロン専用の予約サイトが普及したこともあり、利用者の口コミが共有されます。そのためヘアサロンの評判や美容師の腕がダイレクトに伝わりやすく、いかにクオリティの高いサービスを提供し、腕の良い美容師を揃えるかが重要です。

その結果、多くのヘアサロンがネイルサロンやヘッドスパ、マッサージなど他のサービスを取り入れたり、販売価格を下げたりして客の取り入れに励み、店舗間の競争が激化しています。競争になれば敗れて廃業するヘアサロンも出ます。

ヘアサロン業界は3年以内に80%以上の店舗が閉店するともいわれており、非常に競争が激しい業界です。

客数と客単価の減少

ヘアサロン業界における売り上げの減少と店舗数・美容師の人数増加の反比例を生み出すのは、客数と客単価の減少が主要な原因だといえます。昨今の日本は不況であるため、美容に高額な費用をかけるのは難しい状況です。プチプラ化粧品の流行が良い例です。

そのため、カリスマ美容師がいるような高価なヘアサロンに足を運ぶ客は減っています。ヘアサロンは客を集めるために、価格を下げざるを得ません。また、口コミサイトなどの広告媒体も、価格の安さを売りにして宣伝を行います。

この客数と客単価の減少のジレンマが解決できないため、ヘアサロン業界の売り上げが減少しているのです。さらに、増加する店舗数が結果的に客の分散を招き、業界内でシェアを奪い合う状況も悪影響をおよぼしています。

人手不足

美容師の人数が増えているにも関わらず、ヘアサロン業界は人手不足が深刻化しています。ヘアサロンがここまで増加したのは、2000年代初頭のカリスマ美容師ブームがきっかけです。ヘアサロンの売り上げは、個々の美容師の技量や人気に依存する傾向があります。

しかし、それだけの美容師が育つことは決して簡単ではありません。いうなれば美容師は職人気質の職業であり、新人の頃はアシスタントとしてさまざまな雑務をこなすだけでなく、腕を磨くために営業時間外に練習するなどかなりハードです。

さらに、これだけハードな業務をこなしても美容師として一人前になれるとは限りません。3年以内に離職するケースも多く、美容師の3年以内の離職率は70%以上と非常に高いです。そのため、美容師は人数こそ増えても新規就業者は減少傾向にあります。

また、美容師は体力的な問題や顧客のニーズもあり、40代で引退せざるを得ない傾向もあります。つまり、リタイアするタイミングが非常に早いのです。スタイリストやヘアサロン経営者として大成できれば良いですが、ほとんどがそのまま辞めてしまいます。

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ヘアサロンの事業売却におけるメリット・デメリット

ここではヘアサロンの事業売却におけるメリットとデメリットをご紹介していきます。メリットだけでなくデメリットも考慮して、事業売却を行いましょう。

ヘアサロンの事業売却のメリット

メリットは買い手と売り手によって異なります。

買い手のメリット

買い手が得られる事業売却のメリットは、ヘアサロンという事業の立ち上げをスムーズに進められる点です。事業を一から立ち上げるとなると人手や顧客の確保、設備投資などさまざまな手間がかかります。しかし事業売却を行っているヘアサロンを買収すれば、人手や設備、顧客をそのまま引き継ぐことが可能です。

また、買い手が元々持つ事業とヘアサロンを組み合わせることで、シナジー効果も期待できます。最近は化粧品店がヘアサロンを買収して自社商品の販売を行ったり、福祉法人が美容師を福祉施設に派遣してサービスを提供したりするなど、異業種との組み合わせでサービスの多様化を実現する買い手が増えています。

売り手のメリット

ヘアサロンにおける事業売却は、事業を存続できる点が最大のメリットです。事業売却を行い、大手の会社に買収されればその資本の傘下に入るため、経営基盤を強化できます。経営不振に陥っていても事業を立て直せる可能性が出るだけでなく、事業の拡大を図ることができます。

また、買い手会社における経営のノウハウを取り入れられることも、大きなメリットです。買い手もフランチャイズで展開するよりも、事業売却を行うことで直接的に傘下に収めるほうが効率的な事業展開ができるため、より緊密な関係を築けるでしょう。

後継者不在に悩むヘアサロンであれば、事業売却を行うことで事業承継を実践できます。経営者が高齢化し、引退するような事態になれば、雇用や顧客のニーズを守るために事業売却を行うことも、今では一般化しつつある選択肢です。

ヘアサロンの事業売却のデメリット

ヘアサロンの事業売却のデメリットは、手続きの煩雑さです。事業売却の際は事業譲渡というM&Aのスキームを用いますが、事業譲渡は非常に手間がかかる手法です。事業譲渡は契約の範囲内で承継するものを選べるため、買い手が引き継ぎたくない負債や資産などをあらかじめ除けるメリットがあります。

しかしそれは裏を返すと承継するものを細かく取り決め、買い手と売り手が合意を得るという細かい作業になります。また、事業譲渡は雇用契約などさまざまな契約や許認可が白紙になるうえ、不動産の移転などで税金が発生するなど煩雑な手続きやコストが必要です。事業売却はこれらのデメリットを踏まえて行いましょう。

ヘアサロンの事業売却における注意点

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ヘアサロンの事業売却における注意点は、人材の流出です。基本的にM&Aは、従業員にとって環境が大きく、業務や給与体系などが変化する可能性も高いです。そのため、従業員の中にはM&Aを行うことに不満を抱き、それをきっかけに人材が流出するリスクも常にあります。

事業売却の際は、その人材流出がよりリスクとして顕著になります。事業売却を行うスキームである事業譲渡は雇用契約が白紙になるため、離職しやすい状況となるのです。そのため、経営者から事業売却が呈示されたタイミングで、従業員が次々と離職する可能性が高くなります。

事業の中核を担う従業員が離職する事態となれば、業績に影響が出るだけでなく、ノウハウや内部情報が外部に流出することにもつながるでしょう。とりわけヘアサロンは美容師個人の技量や人気が業績に影響するため、従業員の流出は極力避けたい事態です。

ヘアサロンの事業売却を行う際は、買い手と売り手だけでなく、従業員との合意を得ることも大切です。

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事業譲渡・事業売却の戦略まとめ!成功・失敗ポイントは?【事例あり】

ヘアサロンの事業売却(M&A)事例

ヘアサロンの事業売却は徐々に件数を増やしており、中小規模のヘアサロンから全国にチェーン展開する大規模なヘアサロンまで、規模を問わずに行われています。

また、事業売却以外にもM&Aを行うヘアサロンは多く、異業種と経営統合を行ったケースも少なくありません。いずれも競争が激化するヘアサロン業界で生き残るためにサービスの多様化や人手の確保、経営基盤の強化を図り、事業売却をはじめとしたM&Aの手法が有効的な手段であることを示しています。

ヤマノホールディングスがL.B.Gを買収

2019年8月、ヤマノホールディングスは、美容室を経営するL.B.G(以下LBG)の株式を取得し、連結子会社化することを発表しました。

今回の買収によりヤマノHDグループは、現在展開中の中高年層向けの低中価格帯美容サービスの連携を強化し、グループの祖業でもある美容事業全体の成長スピード加速を図っています。

サンライズ・キャピタルがAguグループを買収

有名な事例として、2018年3月に、サンライズ・キャピタルがロイネスとB-firstからヘアサロン「Agu」を買収した事例が挙げられます。この事例の譲渡価格は100億円超といわれており、ヘアサロンが行った事業売却の中でも極めて大規模です。

今回の買収により、サンライズ・キャピタルはこれまでの店舗開発及びマーケティングにおける強みを活かし、フランチャイズ支援を含めた管理・企画機能の拡充、Aguグループの出店サポートを行います。

ヘアサロンの事業売却はM&A仲介会社に相談

ヘアサロンの事業売却を行う際は、M&A仲介会社の専門家に相談することをおすすめします。事業売却の際に用いるスキームの事業譲渡は煩雑な手続きが必要であり、知識に乏しい経営者のみで行うのは非常に難しいでしょう。

また、税務や財務などの専門的な知識が必要な作業、交渉や買い手・売り手探しなどのプロセスも手間がかかります。これらのプロセスを全て円滑に進めるには、やはりM&Aの知識に長けた専門家の協力を得るのがベストです。

昨今は事業売却をはじめとしたさまざまなスキームのM&Aに対応するM&A仲介会社が増え、経験も知識も豊富な専門家が多いです。リーズナブルな料金で相談やサポートを請け負う仲介会社もあり、気軽に依頼できます。

また、最近は特定の業界や業種に特化したM&A仲介会社や専門家も増えています。ヘアサロンのような美容関係の業界に特化した会社もあり、業界の事情などに精通しているため、より有益なアドバイスを受けられるでしょう。

もしヘアサロンのM&A・事業売却M&Aをご検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、M&Aをフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

まとめ

ヘアサロン業界は店舗数や美容師の人数が増加傾向にありますが、それに反比例して売り上げが年々減少しており、さまざまな課題を抱えています。ヘアサロン業界で生き残るうえで、事業売却は有効的な手段の一つだといえます。

事業売却はメリット・デメリット、注意点を踏まえたうえで行うようにしましょう。また、専門家の力を借りることをおすすめします。

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