M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年2月20日更新業種別M&A
コールセンターの事業譲渡・株式譲渡・M&Aの現状は?事例や相場も紹介!
本記事では、コールセンターの事業譲渡・株式譲渡・M&Aのポイントを解説します。近年、コールセンターの需要が高まっています。M&A・事業譲渡など活用して新規参入する企業も増え、競争が激化している状況です。コールセンターのM&Aを検討している方は必見です。
目次
コールセンターの事業譲渡・株式譲渡・M&Aの概要と現状
本章では、まずコールセンターの定義および事業譲渡・株式譲渡・M&Aの意味を中心に基本情報をお伝えします。
コールセンター業界とは
コールセンターとは、主に電話によって商品の注文対応・問い合わせ対応・クレーム対応・営業代行などを行う事業形態のことです。電話以外での対応も増えていることから、コンタクトセンターとも呼ばれています。
幅広い業界で人材不足が進んでいることや、顧客からの要求が多様化・複雑化していることなどを受けて、コールセンターの需要が高まっています。
その一方で、コールセンター業界では競争激化も進んでおり、コールセンターの事業譲渡需要は高まっている状況です。
コールセンターの種類
コールセンターは、顧客への対応方法によって、インバウンドコールセンターとアウトバウンドコールセンターの2種類に分けられます。
前者は、顧客からの商品やサービスなどに関する問合せ・注文・申込みの受付・資料請求や相談などを受ける電話業務、後者はコールセンター側から顧客に対して電話をかけて営業・提案を行う業務です。
コールセンター業界の市場規模
矢野経済研究所によると、2020年度におけるコールセンターの市場規模は1兆421億円で、前年度比で4.6%増加したと報告されています。
近年。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、公共・官公庁分野で大型のスポット案件が発生したことが市場拡大に大きく貢献しました。
また、民間企業に関しても、労働力不足・労働者派遣法の改正などを理由に、コールセンター業務のアウトソーシングニーズが拡大している状況です。
コールセンター業界が直面している問題
現在のコールセンター業界では、主に以下の課題が生じています。コールセンターの事業譲渡を成功させるには、以下の課題を考慮した対策が必要です。
- 競争が激化しており受注単価が下落している
- 慢性的に人材不足となっている
- 取引先がコールセンター業者を選別している
①競争が激化しており受注単価が下落している
近年、民間企業によるコールセンターの需要が増加していることから、コールセンター事業への新規参入が相次いでいます。そのため、コールセンター同士の競争が激化しており、仕事を受注するために受注単価の下落が起きているのが現状です。
コールセンターを運営する各企業は、国内で厳しい戦いを強いられているため、海外にコールセンターの拠点を設けたり、AIやクラウドの活用によりコスト削減を進めたりするなどの対策を講じるケースが増加しています。
②慢性的に人材不足となっている
コールセンター業界では、慢性的な人材不足が続いています。もともとコールセンター業界は、非正規が多い・給料が安い・精神的負担の大きい業務があるなどの理由から、離職率が比較的高い業界です。
そのため、コールセンター運営企業は人件費の負担が大きく、前述の競争激化も重なって厳しい状況が続いています。
そのような背景から、コールセンター業界では、AIやクラウドの活用などによって人材不足をカバーしつつ、それでも厳しい場合は事業譲渡・資本業務提携などによって他社の協力を得るケースが多くみられます。
③取引先がコールセンター業者を選別している
近年はサービスの多様化や高度化により、コールセンターに外注する企業の選別の目が厳しくなっています。コールセンターを選ぶ際の基準としては、「顧客から注文・問い合わせなどがあった際に確実につながるか」といった対応率の高さに加えて、どれほどの付加価値を持っているかも重要視されています。
そのため、コールセンターの事業譲渡を検討している場合は、事業譲渡を成功させるために十分な準備期間を設けたうえで、コールセンターとしての事業価値を上げる施策を打っておくことが大切です。
コールセンター業界の今後の動向予測
さまざまな業界で起きている業界再編の影響で、コールセンター業界でも再編が進みつつあります。コールセンター業界では、今後以下の動向が予測されます。
- 金融や通信といった業種ではコールセンターの活用が拡大
- AI技術の発達によりコスト削減が可能
- コールセンター業界の事業譲渡・M&A動向
①金融や通信といった業種ではコールセンターの活用が拡大
コールセンターを積極的に活用している主な業種には、各種通信販売企業、銀行・証券・保険・信販といった金融機関、固定電話・スマートフォン・パソコン・インターネット回線などの情報通信業界があります。
これらの業種ではコールセンターの活用が年々拡大し続けていることから、今後さらにコールセンターの活用は拡大していくと予測されます。
しかし、これらの業種ではコールセンターに求めるサービスの質も高まっているため、今後はさらに業績を伸ばすコールセンターと業績が落ちるコールセンターとの間で格差が広がる可能性もあります。
②AI技術の発達によりコスト削減が可能
コールセンターの設備投資と人件費にかかる費用負担は大きく、昨今は受注単価が下落傾向にあることも相まって、コスト削減が大きな課題です。
従来はAIによるサービスは精度に問題があり、AIへの切り替えが順調に進みませんでした。しかし、最近では精度の高いAIが開発されているため、今後はAIの活用によるコスト削減が急速に進む見込みです。
③コールセンター業界の事業譲渡・M&A動向
上記のような理由から、コールセンター業界は今後再編が進んでいくことが予測され、それに伴って事業譲渡・M&Aが活発になる見込みです。コールセンターの買収需要は高まる一方で、AI・クラウド化などの設備投資対応に出遅れた企業では、事業譲渡・M&Aでも売却のタイミングを逃すおそれがあります。
そのため、変化の過渡期にある現在が事業譲渡・M&Aの最適なチャンスであると考える専門家が少なくありません。
事業譲渡とは
事業譲渡とは、自社で営んでいる事業や事業内資産を会社から切り離して他社へ売却できるスキームのことです。自社内にコールセンターを持つ企業の場合、コールセンター部門のみを売却したり、複数拠点あるコールセンターの一部拠点を売却したりできる点がメリットです。
一方で、買い手企業は、不要な事業を取得することなくコールセンターのみを取得したり、複数あるコールセンターのうち必要な一部のコールセンターのみを取得したりできます。
その他のM&A手法
コールセンターの売却方法には、事業譲渡の他にもさまざまなあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、株式譲渡の場合、株式を売却することで会社の経営権を譲渡できるので、手続きの手間は比較的少なく済みます。ただし、事業譲渡のように、一部事業だけを選んで売却することはできません。
また、合併の場合、法人格ごと統合するので統合後の意思決定がスムーズですが、統合にかかる負担は他の方法に比べて大きいです。
その他にも、会社分割によってコールセンター事業のみを切り離し売却する方法もありますが、こちらも手続きの負担が大きくなりやすいため、事業譲渡を用いるケースが多いです。
コールセンターのM&A・売却価格の相場
コールセンターの売却金額は、事業規模・将来性・経営資源の質や量・M&Aに対する緊急度などによって大きく変動するため、相場を一概に提示することは難しいと言わざるを得ません。
しかし実際のM&Aでは、一般的な中小企業の場合、時価純資産にのれん代(年間利益に一定年数分を乗じたもの)を加算した金額を売却金額の基準とするケースが多くみられます。具体的にいうと、コールセンターのM&Aでは、「時価純資産+営業利益2〜5年分」を大まかな相場として考えることが可能です。
コールセンターM&Aの売却/買収事例については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
コールセンターの評価を高めるポイント
M&Aによる買いニーズが高まってきているコールセンター業界ですが、譲渡を成功させるには買い手からの評価を高める施策が必要です。コールセンターが事業譲渡で評価を高めるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 過去の実績から豊富なデータを有していること
- 在宅対応など新しいシステムを構築していること
①過去の実績から豊富なデータを有していること
コールセンターが持つ貴重な資産は、顧客とのやり取りから得られたデータです。昨今ビッグデータによるマーケティングは非常に重要であり、データの価値はますます高まっています。そのため、過去の実績から豊富なデータを保有しているコールセンターは、買い手から高い評価を得られる可能性が高いです。
②在宅対応など新しいシステムを構築していること
従来も在宅勤務のオペレーターを雇用するコールセンターはありましたが、その割合はそれほど高くありません。しかし、新型コロナ後の社会では、在宅対応など新たなシステムのニーズが急増する可能性があります。
もともと在宅勤務との親和性が高いコールセンター業務ですが、新型コロナ後はシステムの進化と浸透によって、速やかな対応が求められる可能性が出てきました。
コールセンターの事業譲渡・株式譲渡・M&Aはニーズへの対応力が大切
コールセンターの事業譲渡価値を高めるには、以下の買い手ニーズに対応していることが大事です。
- インバウンド活動への対応ができる
- アウトバウンド活動への対応ができる
インバウンド活動への対応ができる
コールセンター事業におけるインバウンドとは、注文や問い合わせ受ける「待ち」の対応のことです。インバウンドでは、ユーザーからのコールに対して確実かつ速やかに応じられることが重要です。電話がつながらない、電話やメールの反応が遅いのは、評価を下げる要因となります。
また、対応の正確さが求められるインバウンドでは、対応マニュアルがしっかり作り込まれているか、従業員の教育が行き届いているかも重要です。
アウトバウンド活動への対応ができる
コールセンターにおけるアウトバウンドとは、商品・サービスをこちらから売り込む「攻め」の対応のことです。アウトバウンドでは営業用スクリプトがしっかりと準備されているか、従業員教育がしっかりとされているかが重要です。
また、昨今は、ネットなどの評判が悪くないか、詐欺まがいの営業を推奨していないかといったコンプライアンス面も重視されるようになってきました。
コールセンターの事業譲渡・M&Aのポイント
コールセンターの事業譲渡では、押さえておくべきポイントがあります。ここでは、コールセンターを事業譲渡する際のポイントや事例などを紹介します。
コールセンターを事業譲渡する際の注目点
コールセンターを事業譲渡する際は、譲渡後に買い手企業のもとで、これまでと同じように事業が機能するかどうかを十分に分析・判断しなければなりません。
自社専用のコールセンターとして運用していた場合、独自のルールやシステムが固まっていることがあり、事業譲渡後さまざまな問題が生じる可能性があります。これをスタンドアローンコストと呼びます。
事業譲渡の際、売り手企業は買い手企業にスタンドアローンコストが生じないよう準備し、買い手企業はスタンドアローンコストをしっかり把握しておくことが大事です。
コールセンターの事業譲渡事例
ここでは、コールセンター事業譲渡事例を紹介します。
- 日本社宅サービスからスリーSへの事業譲渡
- GFAによる子会社コールセンター事業の事業譲渡
- ベネッセホールディングスからセコムグループへのTMJの事業譲渡
- MOCAP社によるりらいあコミュニケーションズへの事業譲渡
①日本社宅サービスからスリーSへの事業譲渡
2021年7月、日本社宅サービスは、スリーSに対して、コールセンター事業を譲渡しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
売却側の日本社宅サービスは、住宅制度運営のアウトソーシング事業などを展開している企業です。買収側のスリーSは、防犯・防災・警備・安全に関するシステム・設備・機器等の企画・開発・販売・運営や、防犯・防災・警備・安全に関する設備・機器の取付・保守・管理を手掛けています。
両社はともにサンネクスタグループの完全子会社です。本件M&Aにより、サンネクスタグループでは、事業の集約による収益力強化・サービス品質の向上・マネジメントの効率化を図っています。
②GFAによる子会社コールセンター事業の事業譲渡
コールセンターの事業譲渡事例2件目は、GFAによる子会社コールセンター事業の事業譲渡事例です。
2019年8月、GFAは、子会社のネクスト・セキュリティが運営するコールセンター事業をMSDホールディングスへ事業譲渡しました。GFAは、ファイナンシャルアドバイザー事業や投融資事業を展開する会社です。
GFAは2018年にセキュリティソフトの販売などを行うネクスト・セキュリティを子会社化しました。しかし、コールセンター事業の維持費用が想定以上に重くなり事業の継続が困難となったことから、MSDホールディングスへコールセンターの事業譲渡を実施しました。
③ベネッセホールディングスからセコムグループへのTMJの事業譲渡
コールセンターの事業譲渡事例3件目は、ベネッセホールディングスからセコムグループへのコールセンター事業譲渡事例です。2017年9月、ベネッセホールディングスは、セコムグループへコールセンター運営事業を売却しました。
もともとベネッセホールディングスは大手企業からコールセンター業務などのアウトソーシング業務を受注する総合BPOサービスを展開していました。セコムは、コールセンター事業を獲得することで、サービスの品質向上とサービスの範囲拡大を図っています。
④MOCAP社によるりらいあコミュニケーションズへの事業譲渡
コールセンターの事業譲渡事例4件目は、MOCAP社によるりらいあコミュニケーションズへの事業譲渡です。
MOCAP社は、りらいあコミュニケーションズがベトナム企業などと共に運営しているコールセンター事業です。2017年4月、りらいあコミュニケーションズは、MOCAP社のコールセンター事業を協業する他社から譲り受けました。
本件M&Aにより、りらいあコミュニケーションズは、海外進出する日本企業に対して一貫したコールセンターサービスを提供できる体制を整えました。
事業譲渡に適したコールセンターとは
事業譲渡は譲渡規模が大きくなるほど手続きの負担も大きくなる傾向にあるため、小規模のコールセンターであれば事業譲渡がスムーズに進みやすくなります。
また、買い手企業にとっては、事業譲渡後にシステムの移管がスムーズにいくかどうかも重要であるため、「使用率の高いメジャーなシステムを利用している」ことも事業譲渡に適した要素の1つです。
コールセンターの株式譲渡・M&Aのポイント
コールセンターのM&Aでは、事業譲渡だけでなく株式譲渡による売却方法もあります。ここでは、コールセンターを株式譲渡により売却する際のポイントを解説します。
コールセンターを株式譲渡する際の注目点
株式譲渡の場合、事業譲渡とは違い、株式の譲渡によって会社の経営権・支配権を移譲します。そのため、事業譲渡では負債などを引き継ぐ必要がないものの、株式譲渡では負債なども引き継がなければなりません。
買い手側からすると不要な事業・資産・負債を引き継ぐ可能性があるため、売り手企業ではコールセンター以外の事業・資産・負債も引き継いで良いと買い手企業から判断されるような、会社全体の価値向上が重要です。
コールセンターの株式譲渡事例
ここからは、コールセンターの株式譲渡事例を紹介します。
- いわきテレワークセンターによるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーへの株式譲渡
- シー・ワイ・サポートによるインバウンドテックへの株式譲渡
- レオコネクトによるスカラへの株式譲渡
- アドバンテッジパートナーズによるCRTMホールディングスの株式譲渡
- エフプレインによるフルキャストHDへの株式譲渡
①いわきテレワークセンターによるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーへの株式譲渡

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー
出典:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtfa/deloitte-tohmatsu-financial-ad...
2021年5月、いわきテレワークセンターは、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーに対して、自社の株式すべてを譲渡しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
売却側は、福島県いわき市を拠点に、調査研究・エントリー・電子書籍・人材育成・コールセンター・オンラインショップなど多種多様な業務を手掛けている企業です。対する買収側は、国際的なビジネスプロフェッショナルネットワークであるDeloitteのメンバーであり、有限責任監査法人トーマツのグループ会社です。
本件M&Aにより、買収側では、近年増加傾向にあるフォレンジック案件・クライシスマネジメントサービス案件などで求められるコールセンター機能を大幅に強化しつつ、売却側が提供していたBPOサービスや調査サービスなども、グループのサービスとして展開していくことが図られています。
また、地方におけるテレワーク推進企業の草分け的存在である売却側の持つノウハウを活用し、自社の働き方改革や生産性の向上、買収側がこれまで進めてきた地方創生に関わる取り組みの一層の加速と拡大なども目指されています。
②シー・ワイ・サポートによるインバウンドテックへの株式譲渡
2021年4月、シー・ワイ・サポートは、インバウンドテックに対して、自社の株式すべてを譲渡しました。本件M&Aの取得価額は、9,327万7,000円です。
売却側は、岩手県花巻市を拠点に、コールセンター事業を展開しています。対する買収側は、マルチリンガルCRM事業・セールスアウトソーシング事業などを手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、グループにおける地方拠点としてBCP対策によるリスクヘッジ、オペレーション人材の拠点増強などを図っています。また、リソース・ノウハウを相互に活用することで、顧客への充実したサービスと高い安心の提供、グループにおけるさらなる事業規模の拡大・企業価値の向上なども目指しています。
③レオコネクトによるスカラへの株式譲渡
コールセンターの株式譲渡事例3件目は、レオコネクトによるスカラへの株式譲渡事例です。
2018年2月、コールセンター向けにコンサルティングを行っているレオコネクトは、スカラへ株式譲渡を実施し、子会社となりました。スカラは、コミュニケーションツールなどのコールセンター向けサービス強化を進めてきました。
両社は、スカラのIT技術とレオコネクトのコンサルティング力を融合させることで、コールセンター業界での競争力を高められると判断し、株式譲渡に至っています。
④エフプレインによるフルキャストHDへの株式譲渡
コールセンターの株式譲渡事例4件目は、エフプレインによるフルキャストHDへの株式譲渡です。
2017年1月、アウトバウンド型コールセンター事業を営むエフプレインは、アウトソーシング事業を展開するフルキャストHDへ株式譲渡を実施し、子会社となりました。フルキャストHDは、短期業務支援事業をコア事業としており、エフプレインのコールセンターサービスとは事業シナジーが高いと評価していました。
フルキャストHDは、エフプレインを子会社化することで、さらに質の高いサービスが提供できるようになり、企業価値の向上につながると判断し、子会社化に至っています。
⑤アドバンテッジパートナーズによるCRTMホールディングスの株式譲渡
コールセンターの株式譲渡事例5件目は、アドバンテッジパートナーズによるCRTMホールディングスの株式譲渡事例です。
2017年9月、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズは、コールセンターを運営するCRTMホールディングスを、株式譲渡により他投資ファンドへ売却しました。CRTMホールディングスは、アウトバウンドのコールセンターであり、アドバンテッジパートナーズによる買収以降順調に業績を伸ばしています。
アドバンテッジパートナーズでは、十分な投資成果を得られたことから、CRTMホールディングスの売却に至りました。
株式譲渡に適したコールセンターとは
株式譲渡では、譲渡する事業規模が大きくなっても事業譲渡ほど譲渡手続きの負担が大きくならないため、規模が大きいコールセンターを運営している会社であれば株式譲渡の方が適していることが多いです。
また、複数拠点のあるコールセンターを1つ1つ売却したい場合も、株式譲渡の方が利便性が高い場合があります。なお、コールセンター事業のみを株式譲渡で売却したい場合、まず会社分割によってコールセンター事業をスピンアウトした後で、株式譲渡を行う方法もあります。
その場合、事業譲渡よりも手続き負担が大きくなる可能性があるため、事前に十分に検討してから実施すると良いでしょう。
コールセンターのM&Aを行うメリット
本章では、コールセンターを対象とするM&Aを行ううえで期待されるメリットを、売却側・買収側それぞれの視点に分けて順番に紹介します。
売却側の5つのメリット
コールセンターを対象とするM&Aで売却側が期待できるメリットは、主に以下のとおりです。
- 大手企業の傘下に加われる
- 譲渡利益を獲得できる
- 後継者不在の問題を解決できる
- 個人保証や担保から解放される
- 従業員の雇用を維持できる
上記のうち特に魅力的なメリットは、後継者不在の問題を解決できる点です。コールセンター業界だけでなく、日本の中小企業の多くは後継者不在の問題に悩まされています。もしも後継者が見つからないまま経営者が引退を迎えれば、たとえ業績が良好であっても廃業を強いられてしまいます。
しかし、M&Aにより売却を行えば、コールセンター事業・会社を第三者に引き継げます。これにより、後継者不在の問題を解消しつつ、事業承継を実現できるのです。
買収側の4つのメリット
上記に対して、コールセンターを対象とするM&Aの買収側では、主に以下のようなメリットが期待できます。
- スタッフ・設備・ノウハウなどの経営資源を吸収できる
- コストを抑制できる
- 他業種・他地域に進出できる
- 事業の成長速度を加速させられる
このうち、特に魅力的なメリットは、コールセンターの運営に従事する社員・事務所・ノウハウなどの経営資源をまとめて獲得できる点です。これにより、自社の事業規模を急速に拡大できる可能性があります。加えて、規模のメリットが生じ、コストの抑制も期待できます。
コールセンターを事業譲渡・株式譲渡・M&Aする際の手続き
コールセンターの事業譲渡で注意が必要なのは、事業譲渡は各種契約や許認可が引き継げない点です。事業譲渡では各種契約や許認可が引き継げないため、買い手企業は売り手企業の従業員から個別に同意を得たうえで雇用契約を結ぶ必要があります。
また、買い手企業が事業運営に必要な許認可を持っていない場合、事業譲渡が完了するまでに許認可を取得しておく必要があります。特に、コールセンターの事業譲渡では人材の引き継ぎが重要であるため、契約を結ぶ際に従業員が雇用条件などに不満を持ち離職してしまう事態は避けなければなりません。
一方、株式譲渡の場合は、各種契約や許認可も引き継げるため、買い手企業は売り手企業の従業員から個別に同意を得たり、あらかじめ許認可を取得しておいたりする必要は基本的にありません。
また、株式譲渡の場合は雇用契約も原則引き継がれるものの、株式譲渡時に従業員への説明を怠ると、従業員が大量離職してしまうおそれがあります。
また、売り手企業が許認可の期限切れに気付かないまま株式譲渡を行った場合、買い手は許認可を取得し直すまで事業を行えません。
事業譲渡では契約手続きと許認可の取得を漏れなく行うことに注意し、株式譲渡では従業員への丁寧な説明や許認可の期限切れなどに注意が必要です。
コールセンターを事業譲渡・株式譲渡・M&Aする際の相談先
コールセンターの事業譲渡にはさまざまなメリット・デメリットがあり、現状に応じて最適な戦略を実施することが重要です。
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コールセンターを事業譲渡・株式譲渡・M&Aのまとめ
現在、コールセンター業界では、「競争が激化しており受注単価が下落している」「慢性的に人材不足となっている」などの問題が起きています。
そして、今後のコールセンター業界では、「金融や通信といった業種ではコールセンターの活用が拡大」「AI技術の発達によりコスト削減が可能」などの動向が予測されます。
こうした中で、コールセンターが事業譲渡・株式譲渡・M&Aで評価を高めるには、「過去の実績から豊富なデータを有していること」「在宅対応など新しいシステムを構築していること」などのポイントを押さえておくことが大切です。
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