M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年11月19日更新業種別M&A
スーパーマーケットのM&A・事業承継の動向|事例や案件例・相場も解説
スーパーマーケット業界におけるM&A・事業承継の最新動向や相場を分析しつつ、メリット・デメリット、ポイント・注意点を事例を交えて解説します。スーパーマーケットのM&A・事業承継を検討している方は必見です。
目次
スーパーマーケットの市場環境
一般社団法人全国スーパーマーケット協会の資料「2024年版スーパーマーケット白書」によると、2021年の全店売上高(市場規模)は、約25.5兆円で、前年実績を上回りました(前年比:103.7%)。
また、外食自粛や巣ごもり需要による家庭内食品の需要を背景として、年間をとおして好調に推移している傾向にあります。
しかし、日常品を取り扱うスーパーマーケットとしては、現在、少子化により人口減少が続く日本では、将来的な売上の減少は避けられないのが現実です。
スーパーマーケット業界の構造
「2022年版スーパーマーケット白書」では、スーパーマーケットを規模によって8分類しています。下表は、その分類別で区分けした2021年のスーパーマーケット店舗数です。
種別 | 店舗数 |
---|---|
総合スーパー | 1,267 |
スーパーセンター | 503 |
食品スーパーマーケット | 12,682 |
小型食品スーパーマーケット | 2,995 |
小型食品ディスカウンター | 664 |
業務用食品スーパー | 2,138 |
ミニスーパーマーケット | 1,498 |
合計 | 22,762 |
(出典:一般社団法人全国スーパーマーケット協会 - 2022年版スーパーマーケット白書)
また、2024年からは「食料品スーパーマーケット」の分類も新設されています。
スーパーマーケット業界の課題と展望
多くの業界と同様に、スーパーマーケット業界も慢性的な人手不足です。ただし、2017年度税制改正における配偶者控除の見直しで、人手不足に悩むスーパーマーケット業界に労働力の拡がりが見込まれます。
また、スーパーマーケット業界は、セルフレジを取り入れたことによるレジ人員の削減や、ICタグによる在庫発注管理が行われています。そのため、店舗の人員削減が実現し、早朝深夜帯の営業が可能です。
物流面では、IoT投資により、総合スーパーなどの大型店を基に物流センターやプロセスセンターを地域の店舗ごとに最適化して、さらなる労働力の逓減を図っています。
ネットスーパーは、店舗へ行けないネットユーザーへの販売も実現しました。「アマゾンゴー」やアリババの「フーマ(盒馬 鮮生)」などは、カメラやセンサー技術の活用で無人化・ キャッシュレス化を行っています。
これらは、利便性や効率性を求めており、前もって買いたい商品がある場合は、ストレスフリーで買い物ができるのです。こういった新形態のスーパーは、消費行動を促しますが独自性が強いので、従来のスーパーと競合関係にはなりにくいでしょう。
原価高騰に伴うコスト上昇への対応
近年の国際情勢の影響により、小麦の価格や輸送コストが年々上昇しています。これらのコスト増は商品の値上げを招かざるを得ず、比較的安価な商品を提供しているスーパーマーケットにとって大きな打撃となります。
消費者は価格変動に敏感で、少しでも安い店舗で購入しようとする傾向が強いため、価格競争が激化します。しかし、競合店よりも値下げを行うと粗利が低下するため、スーパーマーケットにとっては厳しい状況が続いています。
加えて、水道光熱費の高騰もスーパーマーケットにとって悩みの種です。温度管理が必要な商品が多いため、水道光熱費の負担増は収益に大きな影響を与えます。こうした環境変化は、特に規模が小さく利益率が低い中・小規模の店舗にとって深刻な問題です。
環境問題に関する取り組み
スーパーマーケットにも環境保護への取り組みが求められています。『2024年版 スーパーマーケット白書』によると、店舗改装時に食品トレーの見直しを行っている店舗は全体の約8割以上に上ることがわかっています。さらに、スーパーマーケットでは包装の簡略化やマイバッグの推奨によるレジ袋の削減といった取り組みも積極的に進めています。
また、値引きによって商品を売り切る施策や、販売期限の再設定などの食品ロス削減対策も実施されており、業界全体で環境問題への意識が非常に高まっていることがうかがえます。
物流の2024年問題への対処
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が制限されることで、輸送力の不足が生じ、荷物が予定通り運べなくなるリスクが高まっています。この課題は「物流の2024年問題」と呼ばれ、特に卸売業者から多様な商品を仕入れているスーパーマーケットには深刻な影響を与えると懸念されています。
『2024年版 スーパーマーケット白書』によれば、約8割のスーパーマーケットがこの問題の影響を感じると回答しています。大手企業を中心に加工食品の配送負担軽減の取り組みが進んでいるものの、物流の2024年問題による業界全体への影響を避けるのは難しい状況です。
慢性化する人材不足への対応
現在、スーパーマーケット業界では少子高齢化の影響で人材不足が深刻化しており、正社員・アルバイトの確保が難しい状況です。そのため、業務の効率化を目指して「省人化」に取り組む店舗も増えています。
こうした人手不足への対策として、クラウドカメラの導入が有効です。店舗の省人化が進む中で、混雑状況や購入動向を映像で把握し、適切な人員配置を実現するためのツールとして活用が期待されています。
今後のM&Aマーケットについては下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
スーパーマーケット業界のM&A・事業承継の最新動向
スーパーマーケット業界ではM&A・事業承継が活発に行われています。以下で同業種企業とのM&Aと異業種企業とのM&Aの動向についてそれぞれ解説します。
同業種企業とのM&A・事業承継の動向
先述のとおり、スーパーマーケット業界の課題として、人口減少による市場規模縮小にどのように対峙するかが挙げられます。
課題解決のため、スーパーマーケット業界では早い段階から、イオンなどの大手企業によるM&A・事業承継が実施され、業界再編が積極的に行われてきました。M&Aの売り手側となる中小規模のスーパーマーケットも、大手の傘下になることで生き残りを図ったのです。
買い手・売り手のニーズが合致する状況は現在も進行中であり、今後もスーパーマーケット業界内では、大手企業が中小企業を買収して傘下に加えていくM&A・事業承継が継続され、さらに業界再編は進むでしょう。
異業種企業とのM&A・事業承継の動向
スーパーマーケット業界では、異業種企業とのM&A・事業承継動向も見られています。
主な目的としては、事業エリアの拡大やノウハウの共有、複合化・協業による他店との差別化があります。コンビニエンスストアやドラッグストアなどの他業態との競争が激化しているなかで、異業種企業とのM&Aは有効な手法と言えるでしょう。
スーパーマーケットのM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っているスーパーマーケットのM&A・事業承継の案件例として、島根県のスーパーマーケット・飲食業をご紹介します。
業歴が長く島根県のエリアにて一定の知名度を有しています。島根県内の好立地に位置し、有効活用ができる土地を有しています。
エリア | 島根県 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 4億5,000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
スーパーマーケットのM&A・事業承継の事例
ここでは、スーパーマーケットのM&A・事業承継事例について見ていきましょう。一般に、M&Aといえば株式譲渡や事業譲渡などをイメージしますが、資本の移動を伴う資本業務提携も広義のM&Aとされ、そういった事例も取り上げました。
花正によるフライフィッシュのスーパーマーケット8店舗の譲受
2024年6月14日、JMホールディングスの連結子会社である花正(東京都港区)は、フライフィッシュ(大阪府大阪市)から8店舗のスーパーマーケットを譲り受けることを決定しました。
花正は東京23区を中心に業務用食品スーパーマーケット「肉のハナマサ」を56店舗展開しています。この取引は、花正が店舗開発と店舗網の拡大を目指す目的で行われています。
エコスによるココスナカムラの子会社化
2024年6月6日、ココスナカムラ(東京都台東区)は、エコス(7520)との間で、ココスナカムラの全発行済株式をエコスが取得する株式譲渡契約を締結しました。
ココスナカムラは東京23区内で7店舗の生鮮食品スーパーと1店舗のベーカリーを展開しており、エコスは食品スーパーマーケット事業を行っています。本契約により、両社の経営資源やノウハウを統合し、地域密着型で競争力のあるスーパーマーケットを目指します。
フジによるイオン・マックスバリュ西日本との経営統合
2022年3月、フジは、イオンとマックスバリュ西日本との経営統合を発表しました。フジは、四国・中国地域でショッピングセンターとスーパーマーケットを展開している企業です。
イオンは、総合スーパー・食品スーパー・ディスカウントストア・ドラッグストア・各種専門店などを日本およびASEAN地域で展開する企業グループの持株会社です。マックスバリュ西日本はイオンの子会社にあたります。
本件M&Aの目的は、2018年来の資本業務提携の深化および、共同仕入・PB商品共同開発・システム統合・サプライチェーン再構築・ネットビジネス共同開発などの推進、中国・四国エリアにおけるドミナントのさらなる強化にあります。
関西スーパーマーケットによるH2Oリテイリング・イズミヤ・阪急オアシスとの経営統合
2021年12月(株式交換)および2022年2月(吸収分割)のM&Aによって、関西スーパーマーケットは、H2Oリテイリング・イズミヤ・阪急オアシスとの経営統合を実施しました。
関西スーパーマーケットは、兵庫・大阪・奈良地域でスーパーマーケット「関西スーパー」をチェーン展開している企業です。
エイチ・ツー・オー リテイリングは、阪急阪神東宝グループで百貨店・スーパーマーケット・商業施設・専門店・コンビニエンスストア分野を統括する持株会社です。イズミヤと阪急オアシスは、イズミヤおよび阪急オアシスの完全子会社にあたります。
本件M&Aの目的は、2016年来の資本業務提携の推進、両グループの経営資源の最適化、意思決定の迅速化、シナジーの最大化などになります。
ヤオコーによるせんどうとの資本業務提携
2021年10月、ヤオコーはせんどうとの資本業務提携を発表しました。ヤオコーは、埼玉県を中心に関東各地で食品スーパーを展開している企業です。せんどうは、千葉県市原市を中心に、食品スーパー24店舗およびドラッグストア1店舗を展開しています。
本件M&Aの目的は、両社の協業によりさらなる成長の促進にあります。
丸の内キャピタルが三浦屋を買収
2021年6月、丸の内キャピタル第二号投資事業有限責任組合(丸の内キャピタルが管理・運営)は、三浦屋(いなげやが保有)の全株式を得て株式譲渡契約を結びました。
老舗の会社である三浦屋は、高質系スーパーマーケット事業や外販事業を行っています。これにより、丸の内キャピタルがファンド運営で培った経営改善の手法、知見やノウハウを生かして、従業員を中心に三浦屋の潜在力発揮とさらなる成長を狙います。
PPIHがGRCY Holdingsを買収
2021年2月、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、米国でプレミアムスーパーマーケットチェーン「Gelson's」を手掛ける企業グループの持株会社であるGRCY Holdings, Inc.の株式 100%を得ることを決めました。
これにより、PPIHの海外売上高は年間2,000億円規模に増え、PPIHグループの新たな収益の柱になることを見込みます。
ハークスレイがフレッシュベーカリー関連事業を株式会社万代に譲渡
ハークスレイは、フレッシュベーカリー関連事業の事業性に関する再評価を実施して選択肢を検討し、主に近畿圏でスーパーマーケットを手掛ける万代へ、子会社のアルヘイムにおける全事業を譲渡することにしました。
これにより、ハークスレイは、財務の基盤安定を狙い、コロナウイルス収束後に成長が期待できる事業領域へ主に経営資源を投入して事業の選択と集中をすすめ、グループ全体の競争力を強める見込みです。
アークスとオータニの経営統合が基本合意
2020年11月、アークスが完全親会社、オータニが完全子会社となる経営統合を行うことに対して、両社は基本合意書を締結しました。デューデリジェンスと条件交渉が進められ、2021年3月に経営統合(アークスによるオータニの完全子会社化)が行われる予定です。
アークスは、北海道・東北地方でスーパーマーケット事業を行う9社(合計343店舗)を傘下とする持株会社であり、オータニは栃木県を中心に31店舗のスーパーマーケット事業を行っています。
オータニは、アークスグループに加わることで商品調達力、店舗運営力、情報システムなどの経営インフラや展開力を強固にでき、業績の向上とともに地域経済へのさらなる貢献が可能になると判断しました。
一方、アークスは、グループとして初の北関東エリアへの進出がかない、事業エリア拡大が実現します。
クスリのアオキホールディングスがフクヤを子会社化
2020年10月、ドラッグストアおよび調剤薬局の運営を行っているクスリのアオキホールディングスは、京都府で食品スーパー8店舗を展開しているフクヤの株式94.8%を取得し、子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。
クスリのアオキホールディングス子会社であるクスリのアオキは東北、北陸、関東、信越、東海、近畿の20府県で636店舗のドラッグストア(調剤薬局併設329店舗)、専門調剤薬局6店舗を運営していますが、食品も取り扱い、一部大型店では生鮮食品も販売しています。
クスリのアオキホールディングスは、これまで築いてきたドラッグストアの運営ノウハウと、フクヤが持つ食品スーパーの展開ノウハウを組み合わせることで新たなシナジー創出と京都北部地区でのドミナント強化を図る目的です。
エコスが与野フードセンターを子会社化
2020年9月、関東地方で食品スーパーマーケット事業を行っているエコスは、埼玉県で食品スーパーマーケット15店舗を展開する与野フードセンターの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。
エコスグループは、群馬県を除く関東地方と福島県の7都県で食品スーパーマーケットを展開しており、このM&Aで、特に埼玉県におけるシェア拡大とスケールメリット・シナジー効果による業績向上を図ります。
フジがニチエーを子会社化
2020年7月、四国・中国地方でスーパーマーケット事業をグループで展開しているフジは、広島県でスーパーマーケット11店舗を持つニチエーの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。
また、この株式譲渡にあたっては、本来、スーパーマーケット事業を行っていたニチエーが、新たに設立した同名の会社であるニチエーに全ての事業を承継させる会社分割のスキームが用いられ、フジは、その新設会社の方のニチエーを買収したものです。
フジグループは、四国4県と岡山県・広島県で合計87店舗を運営しており、そこにニチエーが加わることで、広島県でのシェア拡大と業績向上を図ります。
クスリのアオキホールディングスがナルックスを子会社化
2020年6月、クスリのアオキホールディングスは、石川県金沢市で5店舗の食品スーパーマーケットを展開するナルックスの株式89.84%を取得し、子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。
北陸地方でも食品販売を含めたドラッグストア事業を展開するクスリのアオキホールディングスは、刺身類の品ぞろえに定評のあるナルックスがグループに加わることで、北陸地方でのドミナント強化と他のドラッグストアにない品ぞろえの実現が可能になります。
コノミヤがスーパーおくやまを子会社化
2020年5月、近畿圏でスーパーマーケット事業を展開するコノミヤは、奈良県で5店舗のスーパーマーケット事業を行っているスーパーおくやまの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。
コノミヤがスーパーマーケット事業を展開してきた地域は、大阪府、京都府、兵庫県、岐阜県、愛知県であり、スーパーおくやまの子会社化により、グループとして初の奈良県への進出が実現しました。
また、両社における経営資源の相互活用、ノウハウの掛け合わせなどによるシナジー効果も得られるとしています。
スーパーマーケットのM&A・事業承継の相場と費用
スーパーマーケットは、スケールメリットを享受しやすい事業であることから、店舗数を拡大することが前提にあるものです。したがって、スーパーマーケットのM&A・事業承継では、全ての店舗を買い取るため、費用が大きくなりやすい傾向があります。
スーパーマーケットのM&A相場を実例から調べたいところですが、日本のM&Aは取引価額を公表しないことが多く、具体的な数字を知ることは難しいのが実情です。
しかし、地方で数店舗しか展開していないスーパーマーケットでも、純資産価値が数億円以上に達することは珍しくなく、小規模のM&Aでも費用は総じて10億円近くかかることも多いでしょう。
大手のスーパーマーケットとなれば、取引価額が数百億円に達することも珍しくありません。海外のスーパーマーケットであれば、規模によっては取引価格が数兆円に上ることもあります。
スーパーマーケットをM&A・事業承継するメリットとデメリット
スーパーマーケットをM&A・事業承継する場合、現実には、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認しましょう。譲受企業(買収側企業)、譲渡企業(売却側企業)に分けて、それぞれのメリット・デメリットを掲示します。
譲受(買収側)企業のメリット
スーパーマーケットを買収する場合のメリットは、以下が代表的です。
- 未展開エリアの店舗を買収できれば、楽に新規進出が実現する
- スケールメリットにより、仕入れ価格を下げられるなどのコスト削減効果が得られる
- 同一エリアにおける店舗獲得の場合、該当地区のシェア拡大となる
- 店舗数の増大=販売チャネルの増加となり、プライベートブランド商品の開発・販売など商機を拡大できる
譲受(買収側)企業のデメリット
一方で、スーパーマーケットを買収する場合は、以下のデメリットが発生する可能性があります。
- 株式譲渡で買収を実施した場合、簿外債務や偶発債務が隠されている可能性があり、それが発覚すると業績に悪影響をおよぼす
- 同業種であっても詳細な点で業務プロセスは各社ごとに違うため、統合プロセスがうまく進まない可能性があり、その間は業績が上がらない
- スーパーマーケットは一定の規模で経営がなされているため、それを買収するには多額の資金が必要となる
譲渡(売却側)企業のメリット
それでは、スーパーマーケットをM&Aで売却する側は、どのようなメリットが享受できるのでしょうか。主なメリットは、以下です。
- 大手の傘下になることで、仕入れ価格低下などコスト削減が得られ利幅が改善する
- 大手の業務手法を取り入れることで売上増が見込める
- 労務管理、人材教育など不十分だった点の改善が見込め、その結果、生産性アップにつながる
- 後継者難、事業承継問題の解決
- 廃業回避による従業員の雇用継続
- 売却益を得られる
- 融資を受けるための担保提供、個人保証から解放される
譲渡(売却側)企業のデメリット
スーパーマーケットを売却する場合にも、以下のデメリットがあるため気をつけましょう。
- 事業譲渡による売却では競業避止義務が生じる(原則、20年間、スーパーマーケット事業を同一地区およびその隣接地区で行えない)
- 希望どおりの条件で売却できない可能性
- 売却相手が見つからないケースもある
スーパーマーケットのM&A・事業承継を成功させるポイントと注意点
スーパーマーケットのM&A・事業承継において、特に売却側の観点で、成功させるポイントと注意点を掲示します。
スーパーマーケットのM&A・事業承継を成功させるポイント
特に重視したいポイントを2点、掲示します。
M&Aを実施する時期
スーパーマーケットに限らず全ての業種における中小企業にいえますが、M&Aで自社を売却するのであれば、業績が黒字を維持しているタイミングで決行するべきです。
業績が悪くなってから慌ててM&Aで売却しようとしても、買い手の言い値で金額をたたかれてしまうか、場合によっては成約できないことも考えられます。
自社の状況を冷静になって客観的に分析し、近い将来、経営の行き詰まりや業績低下の可能性があれば、そうなる前の黒字経営における段階でM&A実施に踏み切りましょう。希望条件を満たした有利な内容でM&Aを成約できる可能性が高くなります。
店づくりの工夫
M&Aに限定した話ではありませんが、ほかのスーパーマーケットと比べたときに強みとなる特徴を持つ経営を常日頃から行いましょう。それが顧客から指示される内容であれば、M&Aの買い手候補から見ても魅力的であり、よりよい条件での売却につながります。
例を挙げると、品ぞろえの豊富さや総菜メニューの多さ、他のスーパーマーケットが行っていないこと、他のスーパーマーケットには決して劣らない何かを自店に持たせることです。
スーパーマーケットのM&A・事業承継を実施する際の注意点
スーパーマーケットを売却する立場で、注意しなければならない2点を見ていきましょう。
正しい決算書にする
中小企業では悪意はなくても、決算書を税理士任せにして曖昧な処理がなされている場合があります。M&Aの最終局面では、デューデリジェンス(企業の監査)が厳密に行われるので、曖昧な決算処理は粉飾決算の疑いなどを受けるかもしれません。
そうなると、M&Aが破談になる危険性があります。決算書はあくまでも公明正大に作成し、他者が見て不審に思う点は除外しましょう。
売却条件の決め方
M&Aでは、売り手側と同様に買い手側にも希望や事情があります。ある意味では利害が反する立場ですから、M&A交渉において、こちらの全条件をとおそうとするのは無理でしょう。この場合、心がけたいのは、売却条件に優先順位を設けることになります。
交渉のテクニックとして、こちらが譲歩する姿勢を見せることで相手の譲歩を引き出すことが可能です。そのためにも、頭の中できちんと優先順位をつけておけば、交渉もスムーズにできるでしょう。
小売業界のM&Aの現状については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
M&Aの成功確率を高める方法
M&Aを成功させるうえで、もう1つ欠かせない要素がM&A専門家のサポートを受けることです。各プロセスで専門的な知識が要求されるM&Aを、自社だけで進めるのはとても難しいでしょう。そこで、M&A仲介会社など、M&Aの専門家を起用するのです。
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、知識・支援実績の豊富なアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧に案件をサポートいたします。
M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)
無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webより、どうぞお気軽にお問い合わせください。
スーパーマーケットのM&A・事業承継時におすすめの相談先
スーパーマーケットのM&A・事業承継時におすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した部門を設置する動きが急速に広がっています。特に大手の投資銀行やメガバンクは、資金調達や戦略策定など、M&Aに関わる多岐にわたる支援を行い、ファイナンシャルアドバイザー(FA)として企業の取引を円滑に進める役割を担っています。
このようなサポートにより、企業は資金調達や事業承継といった複雑な課題に効果的に対応でき、専門的な助言を活かすことで取引の成功率が向上します。
ただし、こうした大手金融機関は規模の大きな案件を優先する傾向があるため、中小企業には支援が行き届かない場合が見られます。そのため、企業は自社に合った支援機関を選定することが重要です。また、アドバイザリー報酬が高額になりがちなため、事前に費用面を十分に確認することも欠かせません。
公的機関
近年、事業承継やM&Aに対する公的支援が急速に拡大しています。全国47都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」が設立されており、後継者不足に悩む中小企業に向けて、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイス、企業マッチングを無料で行っています。
この支援体制の強化により、地方の中小企業にも専門的なサポートを利用しやすい環境が整備され、個人事業主への支援も進められています。また、必要に応じてM&A仲介会社や専門家を紹介してもらうことも可能です。
ただし、民間の仲介会社に比べてスピードや柔軟性には限界があるため、その点を理解したうえで活用することが大切です。公的支援機関は、事業承継やM&Aを検討する企業にとって有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売却や買収を総合的にサポートする専門機関です。売り手と買い手の双方に対して、取引先の選定から交渉支援、進行管理、企業評価、契約書作成まで、多岐にわたるサポートを提供し、取引がスムーズに進むよう条件を調整します。
特に、広範なネットワークを駆使して適切な取引相手を見つけ出す点で高い成功率を持つことが大きな特徴です。また、M&A経験が少ない企業に対しても実務的なアドバイスを行い、取引全体を円滑に進めるための支援を行います。
ただし、仲介会社の利用には着手金や中間報酬などの費用が発生する場合もあるため、事前にコストの確認が必要です。コストを抑えたい場合には、成功報酬型の仲介会社を利用するのも一つの選択肢です。
スーパーマーケットのM&A・事業承継まとめ
異業種の進出などによって、スーパーマーケット業界の競争は激化しており、その中で生き残りを図るにはM&Aが必要不可欠といえます。スーパーマーケットはスケールメリットを享受しやすい事業であるため、M&Aと相性がよいのも、その理由の1つです。
今後も業界再編を含め、スーパーマーケット業界でのM&A・事業承継は積極的に行われるでしょう。スーパーマーケットのM&A・事業承継を実現させるためには、M&A専門家のサポートを受けることをおすすめします。
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M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。