M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2022年6月6日更新業種別M&A
スーパーマーケットのM&A・売却・買収事例!業界動向、費用の相場も徹底解説【2021年最新】
スーパーマーケット業界は従来、M&Aが盛んに行われており、現在も状況は変わっていません。本記事では、スーパーマーケット業界におけるM&Aの動向や相場などを分析しつつ、メリット・デメリット、ポイント・注意点など、事例を交えて解説します。
目次
スーパーマーケットのM&Aとは?
本記事では、スーパーマーケットのM&Aについて紹介します。まずは、スーパーマーケットおよびスーパーマーケット業界の基本事項を確認しましょう。
スーパーマーケットの定義
総務省の「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」によると、スーパーマーケットは大分類で小売業にカテゴライズされています。
衣・食・住にわたる各種商品を販売し、従業員が常時50人以上働いているケースが、百貨店(デパートメントストア)、または総合スーパーの分類です。
販売商品が衣・食・住の全てにわたらない場合や常時働いている従業員が50人未満の場合は、「その他の各種商品小売業」という位置づけですが、具体的には、ミニスーパー、専門スーパー、よろず屋などになります。
なお、百貨店と総合スーパーを区別する規定としては、経済産業省の「業態分類表」によると、「売場面積の50%以上についてセルフサービス方式を採用している事業所か否か」が分水嶺です。この区分は、ミニスーパーや専門スーパーなどの場合も、同様です。
ただし、ミニスーパー、専門スーパーの多くが食品スーパーである現実から、日本のスーパーマーケットとは、日常品全てを総合的に販売する総合スーパー(GMS=General merchandise store)と小中規模の食品スーパーの2つに大別できるといえます。
スーパーマーケットの市場環境
一般社団法人全国スーパーマーケット協会の資料「2022年版スーパーマーケット白書」によると、2021年の全店売上高(市場規模)は、約25.2兆円で、わずかに前年実績を下回りました。
しかし、日常品を取り扱うスーパーマーケットとしては、現在、少子化により人口減少が続く日本で避けられない現実です。また、外食自粛や巣ごもり需要による家庭内食品の需要を背景として、年間をとおして好調に推移しているといえます。
スーパーマーケット業界の特徴
スーパーマーケットは日常品を販売するため、同じ日常品を取り扱う他業種も競合相手です。特に、コンビニエンスストアとドラッグストアは、生鮮食品を除けば強力なライバルであることは明白でしょう。
コンビニエンスストアは販売店舗数や販売網の点で、スーパーマーケットを上回り、店舗面積で引けを取らないドラッグストアも数多くあります。地域によっては、ホームセンターなどもスーパーマーケットのライバルとなるケースもあり、大変な過当競争状態です。
そのため、同業者間で競い合うばかりでなく、スーパーマーケット各社が協調して業界を維持するために、複数の業界団体が設立・運営されています。代表的な業界団体は、以下の4つです。
- 一般社団法人全国スーパーマーケット協会
- 一般社団法人日本スーパーマーケット協会
- オール日本スーパーマーケット協会(任意団体)
- 日本チェーンストア協会(任意団体)
これらの団体は、加盟企業が重複している場合があったり、同一人物が役員を兼ねていたりするなど、第三者からは、それぞれのポジションがわかりづらく、業界内におけるせめぎ合いの結果が、分立した状態の一因かもしれません。
スーパーマーケット業界の構造
「2022年版スーパーマーケット白書」では、スーパーマーケットを規模によって8分類しています。下表は、その分類別で区分けした2021年のスーパーマーケット店舗数です。
種別 | 店舗数 |
---|---|
総合スーパー | 1,267 |
スーパーセンター | 503 |
食品スーパーマーケット | 12,682 |
小型食品スーパーマーケット | 2,995 |
小型食品ディスカウンター | 664 |
業務用食品スーパー | 2,138 |
ミニスーパーマーケット | 1,498 |
合計 | 22,762 |
(出典:一般社団法人全国スーパーマーケット協会 - 2022年版スーパーマーケット白書)
スーパーマーケット業界の課題・展望
多くの業界と同様に、スーパーマーケット業界も慢性的な人手不足です。ただし、2017年度税制改正における配偶者控除の見直しで、人手不足に悩むスーパーマーケット業界に労働力の拡がりが見込まれます。
また、スーパーマーケット業界は、セルフレジを取り入れたことによるレジ人員の削減や、ICタグによる在庫発注管理が行われています。そのため、店舗の人員削減が実現し、早朝深夜帯の営業が可能です。
物流面では、IoT投資により、総合スーパーなどの大型店を基に物流センターやプロセスセンターを地域の店舗ごとに最適化して、さらなる労働力の逓減を図っています。
ネットスーパーは、店舗へ行けないネットユーザーへの販売も実現しました。「アマゾンゴー」やアリババの「フーマ(盒馬 鮮生)」などは、カメラやセンサー技術の活用で無人化・ キャッシュレス化を行っています。
これらは、利便性や効率性を求めており、前もって買いたい商品がある場合は、ストレスフリーで買い物ができるのです。こういった新形態のスーパーは、消費行動を促しますが独自性が強いので、従来のスーパーと競合関係にはなりにくいでしょう。
スーパーマーケット業界のM&A動向
先述のとおり、スーパーマーケット業界には2つの大きな課題があります。1つは、人口減少による市場規模縮小にどのように対峙するかで、もう1つは、その環境下で同業者だけでなく、コンビニエンスストアやドラッグストアとの競争があることです。
課題解決のため、スーパーマーケット業界では早い段階から、イオンなどの大手企業によるM&Aが実施され、業界再編が積極的に行われてきました。M&Aの売り手側となる中小規模のスーパーマーケットも、大手の傘下になることで生き残りを図ったのです。
買い手・売り手のニーズが合致する状況は現在も進行中であり、今後もスーパーマーケット業界内では、大手企業が中小企業を買収して傘下に加えていくM&Aが継続され、さらに業界再編は進むでしょう。
場合によっては、大手企業同士の経営統合や、コンビニエンスストア業界・ドラッグストア業界とのM&Aが実施される可能性も決して低くはありません。
スーパーマーケットのM&Aの相場と費用
スーパーマーケットは、スケールメリットを享受しやすい事業であることから、店舗数を拡大することが前提にあるものです。したがって、スーパーマーケットのM&Aでは、全ての店舗を買い取るため、費用が大きくなりやすい傾向があります。
スーパーマーケットのM&A相場を実例から調べたいところですが、日本のM&Aは取引価額を公表しないことが多く、具体的な数字を知ることは難しいのが実情です。
しかし、地方で数店舗しか展開していないスーパーマーケットでも、純資産価値が数億円以上に達することは珍しくなく、小規模のM&Aでも費用は総じて10億円近くかかることも多いでしょう。
大手のスーパーマーケットとなれば、取引価額が数百億円に達することも珍しくありません。海外のスーパーマーケットであれば、規模によっては取引価格が数兆円に上ることもあります。
スーパーマーケットをM&Aするメリット・デメリット
スーパーマーケットをM&Aする場合、現実には、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認しましょう。譲受企業(買収側企業)、譲渡企業(売却側企業)に分けて、それぞれのメリット・デメリットを掲示します。
譲受(買収側)企業のメリット
スーパーマーケットを買収する場合のメリットは、以下が代表的です。
- 未展開エリアの店舗を買収できれば、楽に新規進出が実現する
- スケールメリットにより、仕入れ価格を下げられるなどのコスト削減効果が得られる
- 同一エリアにおける店舗獲得の場合、該当地区のシェア拡大となる
- 店舗数の増大=販売チャネルの増加となり、プライベートブランド商品の開発・販売など商機を拡大できる
譲受(買収側)企業のデメリット
一方で、スーパーマーケットを買収する場合は、以下のデメリットが発生する可能性があります。
- 株式譲渡で買収を実施した場合、簿外債務や偶発債務が隠されている可能性があり、それが発覚すると業績に悪影響をおよぼす
- 同業種であっても詳細な点で業務プロセスは各社ごとに違うため、統合プロセスがうまく進まない可能性があり、その間は業績が上がらない
- スーパーマーケットは一定の規模で経営がなされているため、それを買収するには多額の資金が必要となる
譲渡(売却側)企業のメリット
それでは、スーパーマーケットをM&Aで売却する側は、どのようなメリットが享受できるのでしょうか。主なメリットは、以下です。
- 大手の傘下になることで、仕入れ価格低下などコスト削減が得られ利幅が改善する
- 大手の業務手法を取り入れることで売上増が見込める
- 労務管理、人材教育など不十分だった点の改善が見込め、その結果、生産性アップにつながる
- 後継者難、事業承継問題の解決
- 廃業回避による従業員の雇用継続
- 売却益を得られる
- 融資を受けるための担保提供、個人保証から解放される
譲渡(売却側)企業のデメリット
スーパーマーケットを売却する場合にも、以下のデメリットがあるため気をつけましょう。
- 事業譲渡による売却では競業避止義務が生じる(原則、20年間、スーパーマーケット事業を同一地区およびその隣接地区で行えない)
- 希望どおりの条件で売却できない可能性
- 売却相手が見つからないケースもある
スーパーマーケットのM&Aを成功させるポイント・注意点
スーパーマーケットのM&Aにおいて、特に売却側の観点で、M&Aを成功させるポイントと注意点を掲示します。
スーパーマーケットのM&Aを成功させるポイント
特に重視したいポイントを2点、掲示します。
M&Aを実施する時期
スーパーマーケットに限らず全ての業種における中小企業にいえますが、M&Aで自社を売却するのであれば、業績が黒字を維持しているタイミングで決行するべきです。
業績が悪くなってから慌ててM&Aで売却しようとしても、買い手の言い値で金額をたたかれてしまうか、場合によっては成約できないことも考えられます。
自社の状況を冷静になって客観的に分析し、近い将来、経営の行き詰まりや業績低下の可能性があれば、そうなる前の黒字経営における段階でM&A実施に踏み切りましょう。希望条件を満たした有利な内容でM&Aを成約できる可能性が高くなります。
店づくりの工夫
M&Aに限定した話ではありませんが、ほかのスーパーマーケットと比べたときに強みとなる特徴を持つ経営を常日頃から行いましょう。それが顧客から指示される内容であれば、M&Aの買い手候補から見ても魅力的であり、よりよい条件での売却につながります。
例を挙げると、品ぞろえの豊富さや総菜メニューの多さ、他のスーパーマーケットが行っていないこと、他のスーパーマーケットには決して劣らない何かを自店に持たせることです。
スーパーマーケットのM&Aを実施する際の注意点
スーパーマーケットを売却する立場で、注意しなければならない2点を見ていきましょう。
正しい決算書にする
中小企業では悪意はなくても、決算書を税理士任せにして曖昧な処理がなされている場合があります。M&Aの最終局面では、デューデリジェンス(企業の監査)が厳密に行われるので、曖昧な決算処理は粉飾決算の疑いなどを受けるかもしれません。
そうなると、M&Aが破談になる危険性があります。決算書はあくまでも公明正大に作成し、他者が見て不審に思う点は除外しましょう。
売却条件の決め方
M&Aでは、売り手側と同様に買い手側にも希望や事情があります。ある意味では利害が反する立場ですから、M&A交渉において、こちらの全条件をとおそうとするのは無理でしょう。この場合、心がけたいのは、売却条件に優先順位を設けることになります。
交渉のテクニックとして、こちらが譲歩する姿勢を見せることで相手の譲歩を引き出すことが可能です。そのためにも、頭の中できちんと優先順位をつけておけば、交渉もスムーズにできるでしょう。
M&Aの成功確率を高める方法
M&Aを成功させるうえで、もう1つ欠かせない要素がM&A専門家のサポートを受けることです。各プロセスで専門的な知識が要求されるM&Aを、自社だけで進めるのはとても難しいでしょう。そこで、M&A仲介会社など、M&Aの専門家を起用するのです。
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、知識・支援実績の豊富なアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧に案件をサポートいたします。
M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)
無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webより、どうぞお気軽にお問い合わせください。
スーパーマーケットのM&Aまとめ
異業種の進出などによって、スーパーマーケット業界の競争は激化しており、その中で生き残りを図るにはM&Aが必要不可欠といえます。スーパーマーケットはスケールメリットを享受しやすい事業であるため、M&Aと相性がよいのも、その理由の1つです。
今後も業界再編を含め、スーパーマーケット業界でのM&Aは積極的に行われるでしょう。スーパーマーケットのM&Aを実現させるためには、M&A専門家のサポートを受けることをおすすめします。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬制
- 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
- 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
- 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
M&Aの特徴は手法ごとに異なります。昨今の日本では、M&Aが経営戦略として人気を集めており、実施件数が増加中です。経営課題の解決を図るべく、M&Aの前向きな検討をおすすめ...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定をするうえで、現在価値の理解は欠かせません。現在価値とは今後得られる利益の現時点での価値を表す指標であり、将来の利益を期待して行う取引・契約・投資で重要な概念です。...
関連する記事
税理士法人・会計事務所のM&A動向!買収・売却・事業承継の事例を紹介!
税理士法人・会計事務所は、税理士法人の増加や経営者の高齢化などによって、M&Aが活発化してきている業界です。本記事では、税理士事務所・会計事務所のM&Aについて、動向や売却・買収...
商社業界のM&A動向!売却や買収の事例・実績とM&Aのメリットを解説!
さまざまな商品の流通をサポートする商社業界は、トレーディング需要の減少などにより、M&Aによる積極的な経営で打開を図る企業が増えています。本記事では、商社業界のM&A動向について...
老人ホームM&Aの動向!最近のトレンドは?買い手と売り手のメリットも
日本の高齢化社会が進むにつれ、老人ホームの需要が高まると予想されています。同業種だけでなく異業種からの参入も増えており、業界内のM&Aが活性化しています。本記事では、老人ホームM&...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。