M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年11月11日公開事業承継
デイサービスの事業承継とは?承継方法や流れ・成功のポイントを徹底解説!
デイサービスの経営者の高齢化などにより、事業承継が必要になったときにはどのような流れで進めればいいのでしょうか。この記事では、デイサービスでの事業承継の方法や流れ、事業承継を成功させるために注意が必要なポイントなどについて詳しく解説します。
目次
デイサービス業界の事業承継動向
デイサービス業界では、人手不足や介護報酬の改定などにより、厳しい経営状況にある会社が増加しています。
そのために、倒産危機にあるデイサービス会社が、介護業界への新規参入や、すでに運営している介護事業の規模拡大を狙う大手企業がM&Aで事業承継する事例が増加しています。
デイサービス事業では、業務のIT化などによる経営効率化が必要で、すでに多くのリソースを持っている大手企業の傘下に入る事業承継には、大きなメリットがあるといえるでしょう。
デイサービスの事業承継が重要な理由
デイサービス業界で事業承継が現在必要とされているのはどうしてなのでしょうか。その3つの理由を解説します。
後継者問題の解決
デイサービスを含む介護業界に限らず、現在、日本では多くの業界で会社の後を引き継ぐ人がいない後継者問題が深刻化しています。
経営者の身内に適切な跡継ぎがいないために、将来的な会社の存続が難しいと感じている経営者が増加しているのです。
事業承継の方法は、親族が後継者となる親族承継の他にも、従業員承継や、会社を売却するM&Aもあるので、後継者問題に悩む経営者は一度、事業承継やM&Aの専門家に相談してみましょう。
職員の雇用維持
後継者問題や事業の悪化などを理由に、デイサービス会社が廃業や倒産してしまうと、従業員は全員解雇することになります。
すぐに次の仕事が見つかる人はいいのですが、なかなか再就職できずに困ってしまう人もいるでしょう。
従業員承継やM&Aで事業承継を成功させることができれば、従業員の雇用を維持して、生活を守ることができます。
廃業におけるリスク軽減
デイサービス会社を廃業することになると、解雇する従業員への退職金の支払いや、設備の処分費用などのコストがかかります。会社の株式の価値もなくなるので資産価値もゼロになるかもしれません。
親族承継ができなくても、従業員承継やM&Aで事業承継を成功させることができれば、廃業に必要なコストの負担はなく、会社の株式も承継者に売却して、売却益を手に入れることが可能です。
廃業や倒産よりも、事業承継を成功させるほうがさまざまなリスクを低減できます。
デイサービスの事業承継の方法とその流れ
デイサービスで事業承継を行う場合にはどのような流れで進めればいいのでしょうか。事業承継の方法には、経営者の身内へ承継させる親族承継、会社の役員や従業員に承継させる従業員承継、他社へ会社を売却するM&Aの3つの方法があります。
この中で、社内での事業承継となる親族承継と従業員承継は同じ流れになり、M&Aには別の流れがあります。それぞれの流れについて詳しくみていきましょう。
親族・従業員へ事業承継をする場合
経営者の親族もしくは会社の従業員へ事業承継する場合の流れです。
事業承継計画策定
親族承継と従業員承継では、最初に会社の現状と将来の展望を分析した上で、事業承継計画の作成を行います。
事業承継計画では、事業承継を行う時期、後継者、何を承継するのかなどについて具体的な計画を立てます。事業承継計画の立案はデイサービスの経営者だけでは難しいので、事業承継に詳しい専門家の力を借りて行いましょう。
また、後継者候補や株主である親族、金融機関との関係性を考慮することも大切です。
事業承継の実行
事業承継計画を策定したら、立てた計画に従って事業承継を実行していきます。経営課題があるのならまずはその解消に務めながら、後継者育成を始めて、適切な時期に資産の移転や経営権の移行を進めていきましょう。
また、親族承継と従業員承継は後継者の育成に時間がかかるので、承継の実行過程で会社の状況などが変化することもあります。その場合には、その都度、事業承継計画の修正やブラッシュアップも行います。
事業承継後
社会の変化が激しい現在では、事業承継後に先代のやってきたことをそのまま継続するだけでは時代に取り残されてしまう可能性があります。
事業承継が完了したら、新しい経営者は時代に合わせた視点を取り入れて、経営を次のステージへブラッシュアップさせていきましょう。
M&Aで事業承継をする場合
M&Aで他社に会社を売却する場合の流れです。
M&Aの専門家への相談
M&Aを行う場合には、売却先の選定や法律や財務についての高度な知見が必要な手続きが必要で、M&Aの専門家の手を借りないとうまく進めることができません。まずは、M&Aの専門家へ相談することをおすすめします。
売却先の選定
M&Aの専門家に依頼することになったら、専門家は会社の状況を分析した上で最適な売却先探しを始めます。
会社の名前や住所を伏せた売却希望情報をM&A情報サイトに掲載したり、デイサービス会社の買収を希望する顧客に声を掛けたりして、候補企業を選び、その中から相性などをみて経営者に数社提案し、経営者自らが選びます。
トップ面談・条件交渉
M&Aの交渉相手を決めたら、早速、経営者同士が直接会うトップ面談です。トップ面談では、会計資料などからは見えない企業文化や経営理念などを語り合い、お互いの相性を確認します。
トップ面談でM&Aを進めることにお互い同意したら最初の条件交渉です。ここでは、M&Aの手法や譲渡価格、日程、従業員の待遇など、M&Aでもっとも重要なポイントになる点を決めていきます。
基本合意の締結
条件交渉がまとまったら基本合意書の締結です。基本合意書の内容は今後の展開で変更される可能性が高いので、秘密保持契約と独占交渉権以外の項目には法的拘束力を掛けません。
しかし、今後、長い時間がかかるM&Aの過程で、売却側と買収側が同じ方針であることを確認できるようにするために、とても重要なものです。
デューデリジェンスの実施
M&Aのデューデリジェンスは買収監査とも呼ばれるもので、買収側が買収にあたっての売却側のリスクを徹底調査するものです。売却側の会社の法務、財務、人事などを徹底調査します。
この段階で、基本合意書締結までに開示されていなかった重大なリスクが発見された場合には、M&Aの破談や大幅な減額交渉になる可能性もあります。
最終交渉と最終契約の締結
デューデリジェンスの結果、買収側がM&Aを進めても問題ないと判断したら、最終交渉です。
最終交渉では、最終的な譲渡金額の決定などが行われ、最終契約書にまとめられていきます。最終契約書では、経営権の移行に必要な細かい項目がすべて記載されて、すべての項目に法的拘束力が掛かります。
クロージング
最終契約書締結から1ヶ月から1年の期間を置いてクロージング、経営権の移行です。この間に、M&Aの実施を従業員と取引先に公表して経営権移行の準備を進めます。
会社売却に反発する従業員からの退職や、取引先からの取引停止の申し出が相次ぐ場合がありますが、M&Aの必要性やM&A後の待遇などをよく説明して理解を求めるように努めましょう。
デイサービスの事業承継を成功させるポイント
デイサービス会社の事業承継を成功させるための注意ポイントです。
計画的に準備を進める
事業承継には時間がかかります。親族承継や従業員承継では、後継者の育成に5年から10年という長い期間をかけないと、従業員や取引先などの関係者からの理解を得るのは難しいでしょう。
M&Aは社内での承継に比べると短期間でできますが、それでも売却先探しや手続きに1年以上かかることは珍しくありません。
どの方法を選ぶ場合でも、経営者の引退時期から逆算して計画を立てるように注意しましょう。
人材の流出に注意する
従業員の中には、経営者の人柄を慕っている人がいることもあります。そのような場合に、経営者が交代する事業承継を行うと、退職してしまうこともあるようです。
親族承継や従業員承継なら関係者の理解も得やすいのですが、他社への売却となるM&Aでは、退職者が続出する事例もみられます。
事業承継の必要性を従業員や取引先にしっかりと説明して、理解を得るように努めましょう。
事業承継・M&Aの専門家に相談する
事業承継を行うための手続きには、法律や財務の専門的な知識が必要になります。また、M&Aの場合には、最適な売却先探しが難しいものです。
事業承継を自社だけで実行しようとしても、なかなかうまくいかないことも多いので、事業承継やM&Aの専門家に相談して、手続きや売却先とのマッチングなどのサポートを受けるように注意しましょう。
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デイサービス業界の事業承継事例3選
デイサービス業界で実施された事業承継の事例を3つ紹介します。
QLSホールディングスが和み、ふれあいタウンを事業承継
2023年8月18日に、大阪市に本社があり、保育、介護、人材派遣の3つの事業を展開している株式会社QLSホールディングスから、福祉・介護サービス事業を営む埼玉県の株式会社和みと、石川県の株式会社ふれあいタウンの2社の全株式を取得して子会社化することが発表されました。
この事業承継により、QLSホールディングスの既存事業との連携が可能となり、グループ全体の持続的な成長と企業価値を向上できるとしています。
ソラストがポシブル医科学を事業承継
2023年5月24日に、東京都港区に本社があり教育、保育、介護、医療に関する事業を展開している株式会社ソラストから、JR西日本グループで介護事業を展開しているポシブル医科学株式会社の全株式を所得して子会社化することが発表されました。
ポシブル医科学では、科学的な根拠に基づいたリハビリなどを提供しており、ソラストとしてはグループ内に招き入れることで、地域トータルケアの実現に貢献できるとしています。
LITALICOがnCSを事業承継
2023年1月10日に、障害者福祉事業を全国で展開している株式会社LITALICO から、東京都内を中心に機能訓練特化型デイサービス事業を展開する株式会社nCSの全株式を取得して子会社化することが発表されました。
この事業承継により、LITALICOとしては、デイサービス事業の出店拡大とサービスの充実を図り、介護領域における事業成長を加速させていくとのことです。
デイサービス業界の事業承継まとめ
現在、日本ではデイサービス業界に限らず、多くの業界で後継者問題などで会社の将来に不安を感じている経営者が増えています。しかし、もしもデイサービスがなくなってしまったら、その地域の利用者が困ってしまうでしょう。
従業員の雇用を守るためにも、地域の利用者を支えるためにも、デイサービス会社の将来が不安であるなら、事業承継の可能性について事業承継やM&Aの専門家に相談してみることをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。