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パン屋のM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

人口減少の加速が今後見込まれることもあり、食品業界の国内市場は縮小する可能性があります。こうした動向を踏まえ、海外進出や海外事業の強化などを図る企業も増えていますが、パン業界も例外ではありません。

目次
  1. パン屋のM&Aの現状と動向
  2. パン業界の特徴
  3. パン屋に関する動向
  4. 業界の特徴・動向とM&Aの関係
  5. パン屋のM&Aの相場と費用
  6. パン屋の買収とは?買う・買いたい場合
  7. パン屋の売却とは?売る・売りたい場合
  8. パン屋のM&Aの成功・失敗事例
  9. まとめ

パン屋のM&Aの現状と動向

近年様々な業界でM&Aが行われていますが、この傾向は食品業界も例外ではありません。その中で、パン業界でもM&Aを検討するケースが増えてきています。

食品業界は国内市場が今後縮小する可能性もあるため、海外進出や海外事業の強化を進めることが一つの戦略になります。パン業界でも、主要企業が今後海外事業をさらに加速させると思われます。そして、M&Aを活用して海外進出や海外事業の強化を図るケースも今後増える可能性があります。また、製パン会社などとは異なり、個人で経営しているパン屋も多いですが、このようなパン屋が経営上の問題を解決するためにM&Aを検討するケースも見られます。

以下、こうしたパン業界・パン屋のM&Aについて、業界動向も踏まえてポイントをご紹介していきます。

パン業界の特徴

近年のパン屋やパン業界におけるM&Aの現状・動向を整理するにあたり、まずはパン業界の特徴・動向から整理しておきます。

パン業界の動向

過去数十年間、日本の食卓ではパン食の普及が徐々に進んでいます。
昔に比べてパンそのものが一般的な存在となり、日本の食卓でも様々な場面でパンが登場する機会が増えています。中にはパンを主食とする家庭も見られます。特に時間のない朝にはパン食が好まれる傾向があるほか、近年「米離れ」が進んでいることもあり、パン食の普及はさらに拡大しつつあります。こうした傾向もあり、近年のパン業界の市場規模は比較的堅調に推移しています。

一方で、今後は日本の人口減少が加速する見込みもあり、食品業界の市場縮小が進むおそれがあります。この点はパン業界も例外とは言えません。確かにパンを主食とする家庭は今後も増える可能性があり、以前よりパン食の普及も進んでいますが、人口そのものが減少してしまえば、当然のことながら消費者も減ります。人口減少がますます進めば、今後のパン業界の国内市場が大きく成長することは難しいでしょう。

さらに、「米離れ」が加速したことでパン食が普及したという見方もありますが、逆に考えると、再び米ブームが訪れればパン業界が縮小する可能性もあるのです。昨今のブランド米ブームなどに見られるように、米が食品業界に与える影響力も少なくありません。「米離れ」のおかげでパン食が普及したというだけでは、パン業界そのものが大きく成長するとまでは言えないでしょう。

近年は食文化そのものが多様化しており、流行りやニーズも目まぐるしく変化します。少しの流行りの変化で食品業界のトレンドが大きく変わる可能性もあるわけです。このような傾向も踏まえると、食品のトレンドの影響をなるべく少なくできるような独自の強みが、今後のパン業界に求められているとも言えます。

海外市場への進出

人口減少の加速が見込まれる中、やはり食品業界の国内市場の成長は難しいと言えるでしょう。
そこで、近年は海外市場への進出を検討する企業が食品業界の中で増えています。これはパン業界も例外ではなく、今後は海外進出の動きが加速する可能性があります。欧米圏内は日本よりパン文化がはるかに根付いている分、欧米を対象とした海外進出は難しいという見方もありますが、アジア圏内では日本のパンの評判が比較的良いので、特にアジア圏内をターゲットとした海外進出が加速する可能性もあります。

一方、後ほど詳しくご紹介しますが、製パン最大手の山崎製パンがアメリカの製パン会社であるBakewise社を子会社化したというケースもあります。M&Aによって海外事業を強化した形になりますが、こうした事例をはじめ、これまで培ったノウハウを欧米圏内で活かすというケースも十分に考えられます。

海外進出はこれから加速する可能性

現時点で、パン業界で海外進出が著しく多いというわけではありません。食品業界全体で見ると、近年の海外での日本食ブームの影響で海外進出を図る企業も多いですが、パン業界そのものは日本食ブームにそこまで影響されません。ただ、今後の国内市場の縮小を見込んで考えると、海外進出はこれから加速という段階になるでしょう。

海外進出については、現時点では山崎製パンの事例が代表的ですが、今後は業界の主要企業をはじめ、日本で培ったノウハウを海外でも展開しようと考える企業が増えると思われます。

パン屋に関する動向

ここまで、パン業界の主な動向や特徴などをご紹介しました。次に、パン屋に関する動向について整理しておきましょう。

製パン会社などと異なり、パン屋の場合は個人で経営しているケースが多いでしょう。個人でお店を出して経営している場合、それぞれのお店で独自の魅力を出しやすくなります。例えば、そのお店独自のメニューのほか、お店のインテリア・見た目まで、様々な工夫を行うことが可能になります。また、立地条件も様々です。人通りが多い商店街や駅から近い場所といった好立地の場合もありますが、隠れ家的な場所で経営しているケースもあります。隠れ家的な魅力を出しているパン屋は、立地条件に捉われない方針で経営を進めているケースがほとんどでしょう。

SNSなどで話題になれば、立地条件があまり良くない場所でも、独自の魅力で人気を集めることは可能と言えます。特にSNSは、個人で経営するお店のチャンスを大きく広げてくれるツールでもあります。これまで以上にSNSが普及している現在、SNSを積極的に活用して経営に活かそうと考える経営者の方は多いでしょう。

一方、個人経営のお店の場合、どうしても経営は不安定になりがちです。経営の悪化が続いてしまえば、場合によってはやむを得ず廃業を選んでしまうケースも見られます。ただ、こうした廃業を避けるため、M&Aで経営を引き継いでもらうという方法もあります。

業界の特徴・動向とM&Aの関係

ここまで、パン業界やパン屋の特徴・動向についてご紹介しました。
次に、業界動向とM&Aの関係について整理しておきます。業界の問題点をM&Aがどのように解決に導くことができるのか、そのポイントをおさえておきましょう。

海外進出や海外事業の強化を目的としたM&A

人口減少などの要因により、食品業界の国内市場の縮小が話題となる中、やはり海外進出や海外事業の強化を図る企業は多いです。パン業界でも、今後は海外事業に焦点を置いた事業展開が進むでしょう。

その海外進出や海外事業の強化を、M&Aによって実現するケースも増える可能性があります。先ほども少し触れましたが、山崎製パンがアメリカの製パン会社Bakewise社を子会社化したケースのように、M&Aによって海外事業の強化を図った事例もあります。また、海外の新たなエリアへ進出する際にM&Aを活用することも考えられます。例えば、現地で実績のある会社を買収することで、比較的短期間で新規参入を果たし、海外拠点とするなどのケースが考えられるでしょう。

経営上の問題を解決するためのM&A

M&Aは、後継者不足問題などの経営上の問題を解決するための手法としても活用できます。
例えば経営者が高齢になったにもかかわらず後継者がいない場合に、自社を他社に売却することで、他社に経営を任せて事業を継続させるといったケースがあります。買い手に経営を任せる形で後継者不足問題が解決し、引き続き事業は継続されます。また、経営が悪化して事業の継続が難しくなった場合でも、他社に売却して経営を任せることができれば、ひとまず事業は継続されます。特に資金力が豊富な企業に売却できれば、安定した経営基盤のもとで事業が続く形になります。

このように、M&Aは経営上の問題を解決するための手法として活用することもできるわけです。特に個人経営のパン屋の場合、どうしても経営が不安定になりやすいというリスクがあります。経営が悪化して事業継続が難しくなれば、廃業という選択肢を取らざるを得ないおそれもあります。

ただ、せっかく開業したのに廃業してしまうことは、経営者の方やお客さんにとっても避けたいところです。そこで、M&Aによる売却などで、買い手に経営を任せる形で事業が継続できれば、経営者の方にとってもお客さんにとってももちろんメリットになるわけです。特に独自の強みや商品などがあれば、廃業の危機さえ乗り越えれば、事業を再び軌道に乗せやすくなるでしょう。

パン屋のM&Aの相場と費用

上記でご紹介したように、パン業界のM&Aについては、製パン会社などの企業のほか、個人経営のパン屋なども当事者として考えることができます。そのため、パン屋・パン業界のM&Aとして考えると、M&A事例は非常に多様化することになります。

大手の製パン会社であれば、M&Aの規模も大きくなります。一方で、個人経営のパン屋であれば、M&Aの規模そのものは比較的小さくなるでしょう。そのほか、中小企業なども当事者に含まれれば、M&A事例はさらに多様化します。また、海外事業の強化や海外進出をM&Aによって図る場合もあるので、M&Aの規模や対象となる事業は非常に幅広いことになります。

このように考えると、パン屋・パン業界のM&Aとして相場・費用を見極めることは、一概には難しいと言えます。M&Aの当事者の規模が事例によって大きく異なるほか、M&Aの目的も多様化しており、事例ごとにM&Aの規模が大きく異なるからです。ただし、M&Aを行うにあたり、その費用を全く考えないというわけにはいきません。具体的にどの程度の費用がかかるのか、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどに対する報酬はどうなるのかといった点も踏まえ、事前に相場・費用の目安をある程度つけておく必要があります。相場・費用について全く考慮せずM&Aを実行してしまうと、想定外の費用が発生することになりかねません。そうなると、M&Aをしてもその後の事業展開に支障を来たしてしまいます。「M&Aで想定外に費用が発生してしまったから、事業に資金を投入できなくなった」などの状況になりかねないのです。

こうした事態を避けるためにも、自社の状況と似たM&A事例を徹底的に分析し、どのくらいの費用がかかっているのか、取引総額はどのくらいか、なるべく多くの情報を集めて分析する必要があります。具体的には、各事例のM&Aの目的、M&Aの当事者となる会社やパン屋の規模、対象となる事業の規模や内容、会社・パン屋の業績、従業員の数、M&Aのスキームなどを総合的にチェックし、自社の状況と似ている事例は徹底的に分析し、相場・費用の目安を検討しておくことが大切です。

さらに、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家と相談し、相場・費用をより正確に把握しておくことも必要です。パン業界・パン屋の動向や事情に詳しい専門家であれば、より正確な情報を提供してくれるはずです。

パン屋の買収とは?買う・買いたい場合

パン屋や製パン会社を買収する場合、新しくパン業界への進出を目的とするケースや、パン事業の強化を目的とするケースなどが考えられます。
例えば、パン業界への新規参入を考えている企業があるとします。この場合、自社だけで一からパン事業などを開始することは時間と手間がかかってしまいます。そこで、パン屋や製パン会社などを買収して自社の傘下に迎えることができれば、自社だけで一から事業を開始するよりも比較的短期間で新規参入を実現できます。

また、すでに何かしらのパン事業を行っている場合であれば、パン屋や製パン会社などを買収することで、パン事業の強化・拡大につなげることが可能です。同業者同士のM&Aであれば、双方の強みを活かす形で事業の強化・拡大を図ることができるわけです。例えばあるエリアに強みをもつパン屋を買収すれば、買い手となるパン屋にとっては事業エリアの拡大、ひいては事業の強化・拡大につなげることができます。

このように、パン屋や製パン会社を買収するといっても、その目的は様々です。買収の目的をしっかりと明確化し、その目的に合った対象企業・パン屋を探すことが重要です。

パン屋の売却とは?売る・売りたい場合

パン屋・製パン会社などを売却する場合、買い手にとって魅力となる事業内容であることをしっかりとアピールする必要があります。独自の強みや商品などの魅力をしっかり示すことができれば、それだけ多くの企業やパン屋が買い手に名乗り出てくれる可能性が高まります。売却を成功させるには、まずは買い手が魅力を感じてくれなければならないのです。当たり前の話のように聞こえますが、自社の強み・魅力は事前にきちんと整理し、わかりやすく伝わるようにしておきましょう。

もちろん、経営を任せる以上、どんな買い手でも良いわけではありません。買い手の事業内容や経営状況などをしっかりと確認し、売却によって目的が達成できるのか、安心して経営を任せることができるのか、様々な観点から検討することが重要です。

パン屋のM&Aの成功・失敗事例

次に、パン屋やパン業界に関するM&Aの具体的な事例について整理しておきましょう。
代表的なM&Aとしては、大手の山崎製パンの事例が挙げられるでしょう。一方で、今後は個人経営のパン屋のM&Aもさらに活発化するものと思われます。ただ、個人経営のM&A事例の場合、どうしても情報を集めにくいという側面もあります。特に近年はM&A事例が多様化しているため、パン屋のM&Aについて一概に成功・失敗事例に分けて考えることは難しいとも言えます。

ただ、大手の事例などからM&A動向をおさえておくことは、業界の主な動向を知るうえでも重要なことです。M&Aを成功に結びつけるためにも、主要企業の事例から分析を始め、M&Aに至った経緯や背景、M&Aの目的などを分析しておくことも大切です。

以下、山崎製パンのM&A事例をご紹介していきます。ここまでご紹介した業界動向なども踏まえ、事例の分析に役立ててみてください。

山崎製パンがBakewise社を子会社化

2016年7月、製パン最大手の山崎製パン(東京都千代田区)は、アメリカの製パン会社であるBakewise Brands, Inc.(以下、Bakewise社)の株式を取得し、100%子会社としたことを発表しました。先ほど触れたように、日本のパン業界は海外進出がそれほど多いわけではありませんが、山崎製パンによるBakewise社の子会社化は、パン業界の中で海外事業の強化を図った事例としても注目されました。

山崎製パンは、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類の製造・販売、製菓・米菓の販売、ベーカリーの経営、コンビニエンスストア事業など、幅広い事業を展開しています。また、長年培ってきた製パン技術による高品質なパン製品を海外で展開するため、海外事業も積極的に進めています。アジア域内では複数国でベーカリーショップ事業を展開しているほか、ホールセールベーカリー事業をインドネシアで展開しています。また、アメリカでは1991年にVie de France Yamazaki, Inc.(以下、VdFY社)を設立し、パン用冷凍生地をはじめとしたベーカリー製品の製造販売事業の拡大を進めています。そして、本事例で山崎製パンがBakewise社を子会社化したのも、VdFY社との連携を図ったものとなっています。

さて、山崎製パンの子会社となったBakewise社はアメリカのニューヨーク州に拠点を構える製パン会社で、高品質・高付加価値のベーグルの製造販売事業を展開しているほか、完全子会社となるTom Cat Bakery, Inc.(以下、Tom Cat社)を通じて高級アルチザン・ブレッド事業の展開も行っています。アメリカ東部地域で大手小売店や大手ベーカリー企業に高品質のベーグルを供給し、長年にわたって顧客からの信頼を積み重ねています。また、Bakewise社の完全子会社であるTom Cat社は、マンハッタンの著名レストランや高級ホテルなどの顧客に高品質のアルチザン・ブレッドを直接供給し、ニューヨーク市内で確かな信頼とブランド力を誇ります。

このような事業展開を行うBakewise社を子会社化したことにより、山崎製パンは、Bakewise社のベーグル事業及びTom Cat社のアルチザン・ブレッド事業と、VdFY社がアメリカで20年以上にわたって培ってきたパン用冷凍生地事業の連携を図り、高品質なベーカリー製品を全米に提供し、アメリカでの事業を拡大するとしています。

まとめ

人口減少の加速が今後見込まれることもあり、食品業界の国内市場は縮小する可能性があります。こうした動向を踏まえ、海外進出や海外事業の強化などを図る企業も増えていますが、パン業界も例外ではありません。現段階で海外進出が著しく多いというわけではありませんが、今後はM&Aなどを通じて海外事業に焦点を置く企業が増える可能性はあります。

一方で、個人経営のパン屋の場合、経営上の問題の解決や事業の強化・拡大を目的にM&Aを行うケースも考えられます。特に経営がどうしても不安定になりやすい個人経営の場合、売却などで経営上の問題を解決するなどのメリットがあります。

パン業界・パン屋におけるM&Aを検討する際には、こうした動向やM&A事例を踏まえ、様々な観点から分析を行うことが重要です。

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