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ファンドとは?ファンドの種類と事業承継・M&Aについて

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

ファンドは、複数の投資家から資金を集めて運用し、そこから発生する収益を投資家に分配する仕組み・組織のことを指します。また、事業承継/M&Aを行う際にファンドを活用することもできます。

目次
  1. ファンドと事業承継・M&Aについて
  2. ファンドとは?
  3. ファンドと事業承継/M&A
  4. ファンドの種類
  5. ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う方法
  6. ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際の注意点
  7. ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際のメリット・デメリット
  8. ファンドを利用して事業承継/M&Aを行った事例
  9. まとめ

ファンドと事業承継・M&Aについて

ファンドとは、複数の投資家から資金を集めて運用し、そこから発生する収益を投資家に分配する仕組み・組織のことをいいます。例えば、「不動産投資ファンド」「ヘッジファンド」などの言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。

さて、こうしたファンド(投資ファンド)ですが、近年では事業承継/M&Aとの関係で登場する機会も増えています。以下、ファンドを利用して事業承継/M&Aを行うケースについてご紹介していきます。まず、ファンドとは何かという点やファンドの種類から整理しておきましょう。

ファンドとは?

まず、ファンドとは何かという点についてもう一度整理しておきます。ファンドは、複数の投資家から資金を集め、その資金を運用し、そこから発生する収益を投資家に分配する「仕組み・組織」を意味します。仕組みそのものをファンドと表現するほか、組織をファンドと表現することもあります。

例えば「不動産ファンド」という表現を例に考えてみましょう。不動産ファンドは、投資から集めた資金によって不動産を運用し、その収益を投資家に分配する仕組み・組織を意味します。この場合、不動産ファンドは仕組みだけでなく組織を表すこともできるわけです。例えば「不動産ファンドの年収」「不動産ファンドに就職」といった表現では、ファンドは組織を表します。

この場合の不動産ファンドは、投資家から集めた資金によって不動産を運用し、そこから発生する収益を投資家に分配する事業を行う会社・組織を表す、ということになります。

ファンドと事業承継/M&A

事業承継/M&Aとの関連としては、「投資ファンドの○○が△△社を買収」といった表現がしばしば見られます。これは、組織としての投資ファンドが他社を買収することを意味しています。ファンドが企業を買収する目的は、ファンドがその企業に投資を行い、経営改善などを通じて企業価値を向上させ、最終的にその企業を売却して売却益を得ることにあります。

業績が改善されて株価が向上すれば、ファンドが企業を買収した時より高い価額で企業を売却でき、その差益が売却益となるわけです。そして、その売却益を投資家に分配するという形になります。さて、こうしたファンドによる買収と、一般的な企業が他社を買収するケースの違いを考えてみましょう。

例えば、A社が同業のB社を買収し、事業の強化を図るとします。A社としては、同業のB社を傘下に迎えることで、A社とB社双方のノウハウやサービス体制などを活かし、既存事業の強化・拡大につなげる形になります。

一方で、投資ファンドCがB社を買収するケースを考えてみましょう。投資ファンドCは投資家から資金を集め、その資金でB社に出資するわけです。そして、最終的にB社を売却し、その収益(売却益)を投資家に分配します。

このように、投資ファンドCがB社を買収した目的は、最終的な売却益にあります。先ほど例に挙げたような、事業の強化を目的にB社を買収したA社とは事情が異なります。このようなファンドを利用した事業承継/M&Aについて、後ほど詳しくご紹介しますが、通常の会社が行う買収とは事情が異なるという点をまずイメージしておいてください。

ファンドの種類

次に、特に事業承継/M&A関係するファンドについて、代表的なものを整理しておきます。

プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)

プライベート・エクイティ・ファンドの「プライベート・エクイティ」は、未上場企業の株式のことを指します。そして、プライベート・エクイティ・ファンドというのは、未上場企業の株式の取得・引受などの投資行為(プライベート・エクイティ投資)を行うファンドのことをいいます。未上場企業に投資を行うことで、経営改善などを通じて企業価値を向上させ、結果的にその企業が上場すれば、その企業の売却によって大きな売却益を得ることができます。

企業再生ファンド

企業再生ファンドは、企業の立て直しを目的としたファンドのことです。過剰な債務などが原因で経営がうまくいかなくなった企業に出資し、企業が再建したら、その企業の株式や債権を売却し、収益を得る形になります。

ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う方法

ここまでご紹介した話の中でも触れましたが、ファンドは事業承継/M&Aを行う際に活用することもできます。経営の悪化や後継者不在などの経営上の問題を解決するため、売却によって他社に事業を引き継いでもらうという方法がありますが、ファンドに事業を引き継いでもらうケースもあるわけです。先ほど述べたように「投資ファンドの○○が△△社を買収」などとニュースになることがありますが、これはファンドによる企業の買収を意味し、企業がファンドに事業を引き継いでもらう形になっています。

さて、ファンドを活用した事業承継/M&Aの方法としては、基本的な流れは通常の企業間のM&A・買収と同じ仕組みで考えることができます。M&A・買収は売り手と買い手が存在して成り立つものですので、ファンドへの事業売却を考える場合、まずは自社にとって適切な買い手となるファンドを見つける必要があります。

M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートも受けつつ、明確なM&A戦略のもとで適切な買い手を探さなくてはなりません。買い手となるファンドが見つかり、具体的な交渉を進めていき、最終的に合意に至ることができれば、M&Aが成立します。

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ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際の注意点

次に、ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際の注意点について整理しておきます。後ほどご紹介するデメリットとも関係する話ですが、まずは注意点としてポイントを知っておきましょう。

企業がシナジー効果を期待して行う買収とは異なる

ここまでの話の中でも多く触れていますが、ファンドが企業を買収するというのは、その企業を最終的に売却して売却益を得ることに目的があります。これは、企業がシナジー効果を期待して他社を買収するのとは事情が異なります。

例えば、A社が事業の強化・拡大などを目的に同業のB社を買収するとします。この場合、A社とB社双方のノウハウ、強み、サービス体制、事業エリアなどがうまく活かされれば、事業の強化・拡大につなげることができるでしょう。こうしたシナジー効果を期待してA社はB社を買収するわけです。そのため、基本的にはB社の事業方針をそのまま活かす形で、A社の事業と合わせ、シナジー効果の創出を図ることになります。

A社にしてみれば、買収したB社の事業展開がA社の事業成長につながるため、B社の事業方針を大きく変えるようなことはないでしょう。つまり、売り手であるB社にしてみれば、買収以前とほとんど変わらない形で事業を継続することができるわけです。

一方で、ファンドが企業を買収する場合、買収した会社の事業方針が大きく変わる可能性があります。というのも、ファンドによる企業の買収は、企業に投資して経営改善を図ることが目的となるので、場合によっては事業方針を大きく変えてでも経営改善を進める可能性があるのです。もちろん企業間の買収でも、買収した企業の経営改善を図るため、事業方針を大きく変えるケースもあります。ただ、上記でご紹介したようなケースでは、買収した企業の事業方針そのものを大きく変えることはあまりにリスクが高いので、基本的にはそのままの形で事業を継続させるでしょう。

このように、ファンドによる買収は、企業による買収とは目的が異なります。もちろんいずれの方法にも様々なメリットはありますが、企業間のM&Aとは異なるという点は注意しなくてはなりません。ファンドを利用した事業承継/M&Aのメリット・デメリットについて、詳しくは後述します。

ファンドと企業の相性に左右される

企業間のM&Aにも言えることですが、M&Aは最終的に当事者同士の相性に左右されます。あまりに相性が悪そうな企業とはそもそもM&Aを行う話にはなりませんが、相性が良いと思ってM&Aをしたら、M&A後の事業展開をめぐって対立してしまったなどのケースもあります。

そうならないために、M&Aをする前に相手企業を慎重に見極め、M&A後も双方の企業文化の違いなどを素早く埋めて統合するわけですが、それでも事業展開がうまくいかない可能性がないわけではありません。

これはファンドによる企業の買収にも言えることです。ファンドが企業を買収すると、買収した企業の経営改善のため、ファンド側から人材が派遣されます。その人材とそりが合わなければ、協力して事業を改善するにあたって支障を来たしてしまうでしょう。また、ファンドとの間で何も問題がなくても、業績改善がなかなか進まないケースもあります。表面上問題がなくても、実質的には相性が悪かったというケースもあるのです。

ファンドが支援してくれるから絶対に業績が改善されるというわけではありません。こうした点を注意点としておさえたうえで、いかに相性の良いファンドを探すかがカギになるわけです。先ほど、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に相談しつつ相手を探すことが重要であるという点を述べましたが、これは相性の良い相手を効率的に探すためでもあるのです。

自社だけで相性が良い相手を見つけることは難しく、やはり専門的な観点も踏まえて相手を絞っていく必要があります。その際に、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーといった専門会社が大きな力を発揮してくれます。

ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際のメリット・デメリット

次に、ファンドを活用して事業承継/M&Aを行うことのメリット・デメリットを整理しておきます。ここまでの話の中でご紹介したファンドの特徴や注意点などを踏まえ、ポイントをおさえておきましょう。

ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際のメリット

ファンドは、買収した企業の経営改善にまず力を入れます。そのため、ファンドに売却した企業にしてみれば、財務基盤が安定するという点が大きなメリットとなります。また、ファンド側から優秀な人材が派遣され、一緒に経営改善を進めてくれるので、これまで気づかなかったような経営ノウハウを獲得できる可能性が高まります。

こうしたファンドは経営改善のプロでもあるので、業界動向などの様々な観点も踏まえた最適な戦略を策定してくれるでしょう。企業が経営不振に陥った時、その企業の経営陣の判断だけで再建できる場合ももちろんあります。ただ、たとえ自力で経営改善を実現したとしても、再建までに時間がかかるケースも少なくありません。

試行錯誤を重ねて再建につなげることはできますが、時間がかかるというのは大きなデメリットでもあります。特に競争の激しい業界であれば、再建に時間がかかりすぎたことで業界動向についていけず、一度再建できても再び経営が傾く可能性もあります。

こうした事態を避けるためにも、スピード性のある経営改善は非常に大きな意味を持つのです。その点、ファンドを利用して事業承継/M&Aを行うというのは、スピード性のある経営改善を実現しやすいことがメリットとなるわけです。

ファンドを利用して事業承継/M&Aを行う際のデメリット

先ほども少し触れましたが、経営改善にあたって事業方針が大きく変更になる可能性もあります。経営者や従業員がこれに賛成していればもちろん問題ありませんが、場合によっては従業員の反発を招くおそれがあります。

上記で挙げたメリットでも触れましたが、ファンドの活用は、スピード性のある経営改善という意味では重要な意味を持ちます。ただ、ファンドは最終的には売却益を目的とし、そのために買収した企業の経営改善を進める形になります。その企業のこれまでの事業方針を大きく変えないと経営が改善されないと判断すれば、事業方針は大きく変わることになるでしょう。

こうしたケースでも、その企業の伝統を壊すとまでは言えませんが、事業方針の転換はやはり従業員の反発を招きやすいものでもあります。さらに、場合によってはリストラが発生する可能性もあります。

通常のケースでリストラが発生することは少ないですが、ファンド側が売却益を優先しすぎて無理に経営改善を進めるようなことがあれば、その一環でリストラが発生する可能性もあるわけです。売却益を優先しすぎてしまうファンドが絶対にないとは言えません。ただ、M&Aの条件交渉の段階で、従業員の雇用や待遇についてきちんと条件をまとめることができていれば、M&A後にリストラが発生するケースは少ないでしょう。

ファンドを利用して事業承継/M&Aを行った事例

次に、ファンドを利用して事業承継/M&Aを行った事例についてご紹介しておきます。以下、2019年の事例をご紹介しますので、事例分析の参考にしてみてください。

ポラリス・キャピタル・グループがHITOWAホールディングスを買収

2019年2月、投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京都千代田区)は、介護サービス事業などを展開するHITOWAホールディングス(東京都港区)を買収することを発表しました。

イギリスの大手投資ファンドであるCVCキャピタル・パートナーズなどから株式取得する形となり、買収額は500億円超とされています。具体的には、ポラリス・キャピタル・グループが運営するポラリス第四号投資事業有限責任組合等が、HITOWAホールディングスの発行済株式の100%を、筆頭株主であるCVCキャピタル・パートナーズ・アジア・ファンドIVとその他株主から取得することで合意しています。

また、この株式取得は、HITOWAホールディングスとその事業子会社で構成される HITOWAグループを対象としたものとなっています。HITOWAホールディングスは、グループ事業として「フランチャイズビジネスサービス」「介護サービス」「子育て支援サービス」「人材サービス」「フードサービス」を展開しています。このうち主力三事業となるのは、「フランチャイズビジネスサービス」「介護サービス」「子育て支援サービス」です。

フランチャイズビジネスサービス事業ではハウスクリーニングサービスを提供する「おそうじ本舗」や訪問リハビリマッサージの「KEiROW」などを展開し、介護サービス事業では全国で有料老人ホーム「イリーゼ」の開発から運営までを手がけ、子育て支援サービス事業では首都圏(一都三県)を中心として保育園「太陽の子」の開発から運営までを手がけています。

また、これらの主力三事業の補完事業として「人材サービス」「フードサービス」の事業を展開しており、人材サービス事業では介護・保育業界向けの人材紹介・派遣を行い、フードサービス事業では全国の有料老人ホーム、保育園、学校、社員食堂などで食事の提供を行っています。

このように、HITOWAグループの事業は幅広い分野にわたっています。また、介護サービス事業と子育て支援サービス事業は首都圏を中心としてドミナントポジションを構築しているほか、フランチャイズビジネスサービス事業では全国に2,200店舗超のネットワークを有しており、さらにKEiROWは訪問医療マッサージ業界でも最大手のポジションに位置するなど、主力事業ごとに業界内で確かな地位を確立しています。

こうした事業を展開するHITOWAホールディングスを買収することで、ポラリス・キャピタル・グループはこれまでの投資実績によるノウハウを活かし、HITOWAホールディングスのグループ事業のさらなる飛躍に向けて支援を行う形となります。また、株式取得後に複数の役員を派遣し、営業面・財務面でのサポートを通じ、HITOWAグループの現経営陣とも協力して事業基盤の拡充・強化を実現し、将来的な株式上場を目指すとしています。

まとめ

ファンドは、複数の投資家から資金を集めて運用し、そこから発生する収益を投資家に分配する仕組み・組織のことを指します。また、事業承継/M&Aを行う際にファンドを活用することもできます。この場合、ファンドが企業を買収することで出資し、企業の経営改善を進め、最終的に売却してファンド側は売却益を得るという流れになります。ファンドに売却した企業としても、スピード性のある経営改善や財務基盤の安定化などのメリットを享受することが可能です。

一方で、事業方針の転換などで従業員の反発を招くケースもあるので、こうした点には注意しなくてはなりません。ファンドを活用する場合のメリット・デメリット、注意点、実際の事例などをおさえたうえで、より幅広い視点から検討を進める必要があります。

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