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不動産テック業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

ITがあまり活用されていなかった不動産業界ですが、現在は不動産とテクノロジーを融合した不動産テックの登場により、様々な領域でITの活用が見られます。こうした状況の中、技術力やサービス体制の強化などを図り、M&Aを行う会社も増えています。

目次
  1. 不動産テック業界におけるM&A
  2. 不動産テック業界の動向
  3. 不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡動向
  4. 不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
  5. 不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント
  6. 不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡の相場
  7. 不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡の事例5選
  8. まとめ

不動産テック業界におけるM&A

近年、「不動産テック」という言葉を見聞きする機会も多いかと思います。
不動産テックは「不動産×テクノロジー」の略称で、テクノロジーの力で不動産に関係する業界課題や従来の商習慣を変えようとする仕組みを意味します。 さて、こうした不動産テック業界でも、買収や資本業務提携、第三者割当増資など、M&A事例がしばしば見られます。 このような不動産テックのM&Aをご紹介するにあたり、まずは不動産テック業界の特徴や動向について、詳しく見ていきましょう。

不動産テック業界の特徴

不動産テック業界といっても、その領域は多岐に渡ります。 例えば、不動産の仲介、賃貸管理、マーケティングなど、それぞれの分野でテクノロジーを導入し、課題解決につなげる取り組みが行われています。 具体的には、物件情報のポータルサイト、物件マッチングサイト、オンライン査定、VR内覧、IoTなど、不動産テックのサービスは多岐に渡ります。 不動産テック業界で活躍する企業も、このような各分野に特化したサービスを中心に事業展開を行っています。

不動産テックが登場した背景

従来の不動産業界では、ITはあまり活用されていませんでした。 他の業界と比較してもIT投資の少なさが目立ち、ITがあまり重要視されていなかったと言えます。 一方で、近年は人口の減少などもあり、様々な業界で労働生産性の向上が急務となっています。 これは不動産業界も例外ではありません。 そして、労働生産性の向上ためには、ITの導入によって業務の効率化を図ることが重要になります。 こうした背景もあり、不動産とテクノロジーを融合した不動産テックが登場することになりました。

不動産テック業界の動向

最近の不動産テック業界の動向としては、物件マッチングサイト、オンライン査定、VR内覧、IoTといったサービスが特徴的です。
例えば物件マッチングサイトは、不動産の仲介サービスをオンラインで実現することができます。 また、オンライン査定として物件の価格査定サービスを提供しているサイトもあります。 さらに、バーチャルリアリティー技術を活用して物件の内覧ができるVR内覧、スマートロックなどのIoTなども、不動産テックのサービスとして近年注目を集めています。 VR内覧は、直接現地へ行くことなく、好きな時間に物件の内覧ができるサービスです。 また、スマートロックは、スマートフォンで鍵の開け閉めができるサービスとなります。 こうしたサービスが最近の不動産テック業界ではしばしば話題となっています。
不動産テック業界で活躍する企業も、こうした分野の事業強化や新規参入を図るケースが見られます。

不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡動向

最近の不動産テック業界のM&Aは、買収のほか、資本業務提携や第三者割当増資を実施するケースも多いです。
例えば、既存の事業基盤やサービス体制の強化を図るため、第三者割当増資によって資金調達を実施するなどの事例があります。 第三者割当増資による資金調達で、新しい事業展開につなげるケースも見られます。 また、買収や資本業務提携では、不動産業界の各プレイヤーとのM&Aによって事業の強化・拡大などにつなげた事例などがあります。 特に同業者同士のM&Aでは、双方のノウハウや技術を活かす形で、それぞれの事業やサービス体制の強化を図り、需要やニーズの動向に対応していくケースも多いです。
さらに、不動産テック業界のサービスは、先ほど挙げたVR内覧やIoT関連だけではありません。
今後のテクノロジーの発展に伴い、不動産テックのサービスが多様化する可能性は十分にあります。
不動産テック事業を行う会社としても、こうした技術やサービスの多様化の流れにはしっかりと対応する必要があります。
その中で、自社の事業の強化や補強を図るため、同業者などとのM&Aが加速する可能性もあります。

不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

売却を行うケース

売却によって高いシナジー効果を創出するには、適切な相手企業に自社の魅力を伝えなくてはなりません。 自社の事業やサービスが魅力的であれば、それだけ多くの企業が買収に名乗り出る可能性が高まります。 買い手候補が多ければ多いほど、自社に合った相手企業を探しやすくなります。 そのためにも、自社が特化している事業は何か、どのような技術やサービスに強みがあるのかなど、魅力・強みとなる部分はしっかりアピールしましょう。 特に今後さらなる発展が予想される不動産テック業界では、新しい技術やサービス体制を取り込むために買収を検討する企業も増える可能性があります。 そうした企業とのM&Aを実現するためにも、売却にあたって自社の技術やサービスなどの強みを事前に整理しておきましょう。

買収を行うケース

特定の事業分野を強化したい場合、その分野に強みのある企業を買収することで、比較的短期間で事業を強化することができます。 また、買収によって双方の技術やノウハウを活かし、サービス体制などを強化することもできます。 こうした買収を成功させるには、自社が強化したい事業や分野はどこか、新たに参入すべき事業はあるかといった点を整理し、買収する企業を検討することが大切です。 これらの点がはっきりしていれば、自社に合った対象企業を見つけやすくなります。

不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

特に注意すべきポイントは、「目的を明確にすること」「対象企業は丁寧に選ぶこと」が代表的です。
M&Aを進めるにあたっては、そもそもM&Aで何を実現したいのか、あらかじめ明確にする必要があります。 例えば、不動産テック業界の需要やニーズの動向を見据え、特定の事業を強化したい、特定の事業に新規参入したい、特定の分野の技術力を強化したいなど、M&Aを行う目的は会社によって異なります。 こうした目的を事前に整理し、具体的なM&A戦略を立て、適切なスキームを検討したうえでM&Aを進める必要があるのです。 目的がはっきりしていなければ、M&Aを実行しても思っていたような成果が現れなかったなどの事態になりかねません。 こうした事態を防ぐためにも、M&Aの目的は最初にはっきりさせておきましょう。 また、売却や買収をする以上、対象企業は丁寧に選定しなくてはなりません。 対象企業の事業内容や方針などを分析しつつ、自社に合うかどうかを慎重に判断する必要があります。 一方、ふさわしい企業が見つかったら、早めにアプローチを行うことも必要です。 アプローチが早ければ早いほど、他の企業に先を越されるなどの事態を防ぐことができるからです。 さらに、M&Aの手続きにあたっては、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートを受けることも必要です。 この点もM&Aの手続きの注意点として知っておきましょう。 M&Aは法務、税務、財務などの専門知識や、対象企業との交渉力が求められます。
これらの手続きを自社だけで行うことは難しいので、専門家のサポートを受けつつ手続きを進めることが大切です。

不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡の相場

今後M&A事例が多様化する可能性もある不動産テック業界では、一概にM&Aの相場・費用を把握することは難しいと言えます。
ただ、事前にある程度の相場の目安をつけておかないと、予想外に費用がかかってしまったなどの事態になりかねません。 こうした事態を防ぐためにも、それぞれの事例をチェックし、自社の状況に似た事例は徹底的に分析し、M&Aの相場・費用を把握しておくことが重要です。
具体的には、事例ごとにM&Aの目的、M&Aの当事者となる会社の規模、対象事業の規模、会社の業績、従業員の数、M&Aのスキームなどをチェックし、自社と似ている事例は特に注目し、相場・費用の目安をつけておく必要があります。

不動産テックのM&A・買収・売却・譲渡の事例5選

GA technologiesによるイタンジの子会社化

2018年10月、中古不動産のポータルサービス「Renosy」の運営などを行うGA technologies(本社:東京都港区)は、不動産仲介会社向けのシステム提供などを手がけるイタンジ(東京都港区)の完全子会社化を発表しました。 イタンジの発行済株式の一部取得と、イタンジを完全子会社とする簡易株式交換により、同年11月にイタンジの完全子会社化が完了しています。 GA technologiesは、AIを活用した中古不動産のプラットフォーム「Renosy」の開発・運営のほか、不動産を対象とするクラウド・ファンディング・サービス、入居者向け家賃債務保証サービス、不動産用ローン審査システムなどの提供も行っています。 また、イタンジは、不動産仲介会社向けの営業支援クラウドシステムである「ノマドクラウド」、仲介会社と管理会社間のやり取りを自動化する「Cloud ChintAI(クラウドチンタイ)」などのサービス提供を行っています。 GA technologiesがイタンジを完全子会社化したことにより、不動産領域における幅広いサービス展開に加え、双方のノウハウや技術、顧客基盤などを活用し、新たなサービスの提供も行うとしています。

スペースマーケットと東京建物の資本業務提携など

2018年11月、スペースマーケット(東京都新宿区)と東京建物(本社:東京都中央区)の資本業務提携が発表されました。 同時に、XTech Ventures、オプトベンチャーズ、みずほキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資も行われています。 スペースマーケットは、スペースの時間貸しプラットフォームの「スペースマーケット」を運営し、時間貸しプラットフォームサービスの中では日本最大の掲載数を誇ります。 スペースの類型も幅広く、会議室、住宅、イベントスペースなど、様々なジャンルがあります。 また、東京建物は明治29年に創業され、120年を超える歴史を誇る不動産会社です。 東京建物は、近年の不動産に新たに加わった「時間貸し」という概念も踏まえ、不動産市場での新たな選択肢を提供するため、スペースマーケットとの資本業務提携を行います。 また、スペースマーケットも、東京建物の様々な事業との連携を行い、不動産開発や運用の多様化を実現するとしています。

ライナフが伊藤忠テクノロジーベンチャーズなどを引受先とした第三者割当増資を実施

以下の3つは、いずれも第三者割当増資の事例となります。
まず、ライナフの事例から見ていきましょう。 2018年1月、不動産管理向けアプリ開発などを手がけるライナフ(東京都千代田区)は、伊藤忠テクノロジーベンチャーズをリード投資家とし、長谷工アネシス、住友商事、FFGベンチャービジネスパートナーズ、三井住友海上キャピタルを引受先とする、総額3.2億円の第三者割当増資を実施しました。 ライナフは、不動産管理向けのシステム・アプリ開発、不動産管理向けハードウェアの製造・販売、不動産活用サイトの運営を事業内容としています。 スマートロックなどのIoTデバイス、不動産サービスの「スマート内覧」「スマート物確」「スマート会議室」の提供など、幅広い事業を展開しています。 今後のさらなるサービス拡大を見据え、今回の5社を引受先とする第三者割当増資が行われました。 これらの不動産プレイヤーとの資本業務提携により、不動産サービス事業の拡大、カスタマー・サクセス体制の強化などを図るとしています。

Japan REITがプロネクサスなどを引受先とした第三者割当増資を実施

2018年5月、不動産ファンド向けプラットフォームの開発などを行うJapan REIT(東京都港区)は、プロネクサス、ジョーンズ ラング ラサール、三井住友信託銀行を引受先とする第三者割当増資により、総額約4億円の資金調達を実施しました。 この資金調達によって、同じく不動産ファンド向けシステム開発を行うSound-Fの不動産システム開発部門を吸収分割し、不動産ファンド向けシステム開発の事業基盤の強化につなげています。 また、割当先の3社とも綿密な連携を行い、新たな不動産テックの事業展開を加速させるとしています。

CocoliveがXTech Venturesなどを引受先とした第三者割当増資を実施

2018年11月、不動産会社向けのマーケティングオートメーションサービス「KASIKA」の開発を手がけるCocoliveは、XTech Venturesとみずほキャピタル、自社の役員と従業員を引受先とする第三者割当増資を行い、総額1億円の資金調達を行ったことを発表しました。
Cocoliveが提供する「KASIKA」は、自社のホームページを閲覧している顧客の行動履歴から、興味の度合いを色で判断できるという点に特徴があります。
そのため、どの顧客に営業するべきかがすぐにわかるので、営業経験が浅い方でも効率的な営業活動を行うことが可能になります。
この「KASIKA」の利便性をさらに向上させ、工務店や不動産仲介会社などへのサービス提供の加速を実現するため、今回の第三者割当増資が行われています。

まとめ

ITがあまり活用されていなかった不動産業界ですが、現在は不動産とテクノロジーを融合した不動産テックの登場により、様々な領域でITの活用が見られます。
こうした状況の中、技術力やサービス体制の強化などを図り、M&Aを行う会社も増えています。
特に不動産テック業界は、今後の需要やニーズの増加、技術の進歩に伴い、サービスが多様化する可能性があります。
それに伴い、需要の増加に備えて事業を強化するため、M&Aを検討する企業は今後も増えるでしょう。
現在のトレンドとなっている技術やサービス、今後登場する可能性のある新しい技術・サービス体制も踏まえ、幅広い視点から事業戦略を策定する必要があります。
その一環として、M&Aを実行するメリットもあるのです。
不動産テック業界でのM&Aを考える場合には、こうした業界動向も踏まえ、様々な事例を分析しつつ検討することが大切です。

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