2024年5月24日更新業種別M&A

不動産M&Aの税金の取り扱いは?メリットとデメリットの比較や最新事例について解説!

本記事では、不動産M&Aの概要やメリット・デメリットを売り手と買い手の視点で解説します。不動産M&Aは、不動産取得を目的として実施するM&Aです。 通常の不動産売買にはないさまざまなメリットを獲得できる一方、デメリットも存在します。M&Aを検討中の方は必見です。
 

目次
  1. 不動産のM&Aとは
  2. 不動産M&Aと税金の取り扱い
  3. 不動産M&Aにおけるメリット
  4. 不動産M&Aにおけるデメリット
  5. 不動産M&Aの最新事例3選
  6. 不動産M&Aを成功させるポイント
  7. 不動産M&Aについてまとめ
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不動産管理会社のM&A・事業承継

不動産のM&Aとは

不動産M&Aとは、不動産の取得を目的として掲げるM&Aのことです。しかし、この点のみを見て、不動産仲介会社を利用した通常の不動産売買との相違点を把握していない経営者は少なくありません。

不動産M&Aでは、不動産だけでなく不動産を所有する会社も譲渡の対象に含まれます。つまり、不動産M&Aは、資産・負債・従業員・株式などの譲渡も発生する手法です。基本的な考え方は、株式譲渡をはじめとする会社全体を対象としたM&Aに類似しています。

株式譲渡と類似した手法であるにもかかわらず、あえて不動産M&Aと呼称されるのには理由があり、通常のM&Aとは大きく異なる性質を持ちます。主な目的はあくまでも不動産の取得で、この点において他のM&A手法との相違が見られるのです。

他のM&Aでは事業・会社の取得を主な目的とするケースが基本的ですが、不動産M&Aでは不動産の取得が主な目的として掲げられます。以上の点を把握し、不動産M&Aと通常のM&Aを混同しないよう心がけると良いでしょう。

株式譲渡については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】株式譲渡とは?メリット・デメリットや手続き、税務、家族間での譲渡も解説

株式譲渡を用いた不動産M&A

株式譲渡を活用する場合、買い手側が対象となる不動産を持つ会社の全株式を得て完全子会社化します。そして、買い手側は、子会社をとおしてその不動産を間接的に所有します。

事業が順調な会社が資産の一部である不動産を処分するときは、不動産自体を売却します。しかし、不動産自体に魅力があっても事業の将来性が低くて廃業するのみの場合は、会社清算と比べることになるでしょう。

売り手の会社を経営統合下で続けさせる価値があると判断すれば、その不動産を運営する子会社として残します。ただし、目的は不動産を生かすことです。

不動産の収益性を高めてから売却するのが、一般的です。不動産の売却が完了すると、売り手の会社は解散します。

会社分割を用いた不動産M&A

会社分割(新設分割)と株式譲渡を合わせると、不動産中心の事業のみを切り出して不動産M&Aで譲渡できます。

具体的には、あらかじめ新設分割を活用し、売り手側が不動産の所有のみを目的とした完全子会社を設立します。そして、親会社となる自社が有する子会社の株式を買い手側に譲渡する仕組みです。

これにより、不動産M&Aの手法を生かして自社の資産・従業員・株式などの引き継ぎを防げます。できるだけ不動産以外を引き継ぎたくない場合は、このケースを検討しましょう。

不動産M&Aと税金の取り扱い

この章では、不動産M&Aと税金の取り扱いについて詳しく解説します。

不動産の売買で課される税金

通常の不動産売買を実施するとき、譲渡内容に含み益があれば売り手側へ法人税が課されます。譲渡益が発生する事業年度のなかで譲渡益に相当するほどの損金があれば法人税の支払いは不要となるものの、それ以外の場合は法人税を支払わなければなりません。

つまり、業績が良く利益を多く生み出している企業ほど税金の負担が大きくなります。通常の不動産売買では、法人税や所得税だけでなく消費税も負担する必要があります。なお2021年現在の消費税は10%です。

売り手側は、譲渡対価から各種税金を差し引いた金額を株主に配当として支払います。そのため、高額で不動産を売却できても、経営者の手元に残る金額が少額となりやすいです。譲渡金額から税金を差し引いて配当金を配ってしまうと、経営者の手取り額は激減します。

新規事業を実施するための資金や引退後における生活の利用を検討していた場合は、資金不足に陥る可能性が高いです。

会社清算で課される税金

廃業して会社を解散するときは、資産を処分し換金します。そして、債務を弁済し残った財産を株主へ分けます。この手続きが、清算です。

残余財産がプラスの場合は、不動産の売却益と同じく法人税などの課税対象で税率の合計は30~34%くらいです。

資産を売買するときは、土地など非課税となる取引を除いて消費税がかかります。残余財産をオーナー経営者など個人株主へ分けたときに、所得税が課されます。その年の所得合計額によって所得税率が決定し、所得が多いほど税率は高くなります。

株式譲渡による不動産M&Aで課される税金

売り手側が不動産M&Aを活用する最大のメリットは、節税効果が期待できる点です。通常の不動産売買と比較すると、発生する税負担を軽くすることが可能です。不動産M&Aを活用すると、取引後に残る手取り額が大幅に増える可能性があります。

不動産M&Aは、株式譲渡と類似するM&A手法です。課税の対象は、株式譲渡の利益のみです。株主に対して、配当金を支払う必要もありません。株式の譲渡益は、株主に直接的に帰属するからです。

つまり、不動産M&Aを利用すれば、所得税・住民税分の20.315%の課税で済むのです。通常の不動産売買では、売却利益における約40%の法人税が課されるだけでなく、法人税を控除した残額へ最大50%程度の所得税などが課されることがあります。

通常の不動産売買と不動産M&Aでは売却金額が大きく異なるため、ケースごとに課税額の差異は大きく変動するものの半分程度の税率に抑えられるケースが多いです。不動産売却を検討する場合は、不動産M&Aを利用するほうが節税面で有利といえます。

譲渡側に課される税金

譲渡側に課される税金は、株主の譲渡所得に対する申告分離課税20%のみです。消費税も印紙税も要りません。株主の譲渡所得は、株式譲渡の対価-必要経費の合計で算出します。

譲受側に課される税金

M&Aを実施する時点では、譲受側に課される税金は特にありません。しかし、後に不動産を売却するケースでは売却益へ法人税などが課されるので、買収の際に考慮しましょう。

子会社となった譲渡側企業を解散し清算するケースでは、譲受企業へ残余財産が入ります。しかし、100%の親子関係なので、課税されないのです。

新設分割と株式譲渡による不動産M&Aで課される税金

新設分割と株式譲渡による不動産M&Aで課される税金は、承継される資産や負債の譲渡損益に対する法人税、対価が株主へ交付されるときの配当所得に対する所得税、不動産の承継に対する不動産取得税が、原則課されます。

しかし、組織再編税制の適格要件などを満たせば課税されません。

不動産M&Aの実施が税制上難しい場合

不動産M&Aの実施が税制上難しいケースを見ていきましょう。

短期所有土地の譲渡と見なされる場合(株式譲渡)

株式譲渡が下記のいずれかに該当する場合は、株式の譲渡ではなく短期所有土地の譲渡と見なされます。そのため、株式譲渡(税率20%)のおよそ2倍となる所得税30%+住民税9%の課税となるケースがあります。

  • 所有資産の70%以上が所有期間5年以下の土地およびそのうえに存在する権利(借地権など)で占められる会社の株式を譲渡
  • 所有資産の70%以上が土地およびそのうえに存在する権利で占められる会社の株式を取得から5年以内に譲渡

租税回避行為により税務調査で否認される場合(新設分割)

組織再編税制には、税逃れを防止する規定があり、「包括的な租税回避行為防止規定」という規定には特に注意してください。

これは、法人税などの負担を不当に減少させる組織再編行為を制度の乱用として包括的に取り締まるものです。判例によると、税負担の軽減以外に合理的な目的があると見られない組織再編行為は、組織再編税制の趣旨を外れた租税回避行為と見なされるリスクがあります。

不動産M&Aにおけるメリット

ここからは不動産M&Aで期待できるメリットについて、売り手と買い手双方の視点から解説します。

売り手側のメリット

売り手側が不動産M&Aを活用して得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 節税効果が期待できる
  • 廃業費用を削減できる
  • 従業員の雇用維持が図れる
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

節税効果が期待できる

前述したとおり、不動産M&Aは会社を清算するよりも節税効果が期待できます。数十%くらい節税できるケースがあるでしょう。

廃業費用を削減できる

不動産M&Aとあわせて事業承継を実施すれば、廃業にかかる費用を削減できます。これは、不動産の売却に関連して事業の廃業を検討している経営者にとって大きなメリットです。廃業には、設備や在庫の処分・原状回復費などで莫大な費用が必要です。

しかし、不動産M&Aで第三者へ事業を引き継ぐことで廃業を回避できるのです。廃業に伴う費用の支払いも不要です。

上場企業や大手企業を相手に不動産M&Aを実施すれば、相手企業の経営資源も大いに活用できます。これにより、事業の知名度向上や顧客増加などが見込めるでしょう。

廃業手続きの種類、業界別廃業手続きについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】廃業手続きの種類、業界別廃業手続きについて解説します

従業員の雇用維持が図れる

廃業すれば、従業員は解雇されます。しかし、不動産M&Aで売り手側が買い手企業により子会社として存続すれば、従業員の雇用維持ができる可能性があることもメリットとして挙げられます。

買い手側のメリット

買い手側が不動産M&Aを活用して得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 手続きにかかる手間や税負担を削減できる
  • 経営資源をまとめて獲得できる
  • 不動産取引市場に出回りにくい物件が得られる
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

手続きにかかる手間や税負担を削減できる

通常の不動産売買では、買い手側は購入後に不動産の所有権が移動した旨を登記申請する必要があります。場合によっては、会社の解散手続き・債務返済の手続きなども必要となり、多くの手間がかかります。しかし、不動産M&Aではこうした手続きを省略できます。

株式譲渡によるM&Aと同じく、株主変更の手続きのみで済ませられます。また、通常の不動産売買では、取得した不動産について不動産取得税を支払わなければなりません。税率は、固定資産税の評価額に対して4%程度です。

さらに、登録免許税の支払い・契約書作成で必要な収入印紙の購入などさまざまな費用がかさみます。しかし、不動産M&Aを実施すれば、登録免許税の負担や収入印紙の購入費などが不要です。収入印紙は、最大で60万円程度支払うケースもあります。

経営資源をまとめて獲得できる

通常の不動産売買の場合、取引対象となるのは不動産のみです。ところが前述のとおり、不動産M&Aでは不動産だけでなく不動産を所有する会社も譲渡の対象に含まれます。そのため、売り手側が有する技術・ノウハウ・従業員といった経営資源をまとめて獲得可能です。

したがって、不動産だけでなく経営資源も獲得して自社における事業規模の拡大や多角化などに生かしたい場合は、不動産M&Aの検討をおすすめします。

事業拡大については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業拡大とは?施策や戦略、成功事例・失敗事例を解説

不動産取引市場に出回りにくい物件が得られる

自社ビルなど企業が売買のために持っているのではない不動産は、不動産取引市場に出回りにくいです。しかし、不動産の再生や開発、投資の対象として魅力があることが多いです。

このような不動産を持つ企業に、経営不振や後継者不足などの問題があれば、節税メリットなどを伝えて不動産M&Aを持ちかけると、応じてくれることがあります。

不動産M&Aにおけるデメリット

不動産管理会社のM&A・事業承継
不動産管理会社のM&A・事業承継

これまでさまざまなメリットを紹介しましたが、不動産M&Aにはデメリットも存在するため把握しましょう。ここからは不動産M&Aで生じるデメリットを売り手と買い手双方の視点から見ていきます。

売り手側のデメリット

売り手側が不動産M&Aを活用して生じるデメリットは、以下のとおりです。

  • M&A実施後に経営権を行使しにくくなる
  • 手続きに多くの手間や時間がかかる
  • 有望な買収先がなかなか見つからない
  • 大きな節税メリットが期待できないおそれ
  • M&A仲介会社に支払う手数料がかさむ

それぞれのデメリットを順番に見ていきます。

M&A実施後に経営権を行使しにくくなる

不動産M&Aは、会社のすべてを譲渡する手法です。不動産M&Aを実施すると、M&A後に経営権を行使しにくくなります。

不動産を譲渡した後も変わりなく経営を継続したい企業にとって、不動産M&Aは最適な方法だとはいえません。このようなケースでは、通常の不動産売買を検討すると良いでしょう。

手続きに多くの手間や時間がかかる

通常の不動産売買と比べ、不動産M&Aではバリュエーション・デューデリジェンスなど必要な手続きが増えるため、手続きに多くの手間や時間が発生する点もデメリットです。

不動産M&Aでは会社そのものを譲渡するため、不動産のみを譲渡したい企業にとっては必要な手続きが増えてしまいます。通常の不動産売買は3カ月〜6カ月程度ですべての手続きが終了するのが一般的ですが、M&Aでは成約までに1年程度かかるケースも少なくありません。

不動産M&Aは、成功確率が低い問題も抱えています。M&Aの成功率は3割程度で、失敗する可能性も十分にあり得ます。とはいえ成功すれば、多くのメリットが期待できます。不動産M&Aの成功確率を高めたいときは、M&A仲介会社や各士業などの専門家に協力を求めましょう

有望な買収先がなかなか見つからない

不動産など資産を個別に売却するケースと比較すると、会社を譲渡する買収先を見つけるのは困難だといえます。

不動産M&Aでは、譲渡対価など条件の面における望ましい反応があり、大規模で高い守秘性があるM&Aをともにこなす体力も持つ信頼できる相手を見つける必要があります。

このような買収先がなかなか見つからず、不採算の事業を続けると赤字がかさむでしょう。

大きな節税メリットが期待できないおそれ

売り手側が偶発債務を抱えているケースなどでは、譲渡対価が低く抑えられてしまいます。節税効果を加算しても、手取り額が会社清算とあまり違いがない結果になるおそれがあることもデメリットといえます。

M&A仲介会社に支払う手数料がかさむ

M&Aでは、相手企業とのマッチングやデューデリジェンス、企業価値算定などさまざまな手続きが必要です。そのため、M&A仲介会社に依頼する必要があります。しかし、廃業より専門家に依頼する手数料が高額になるケースがあります。

M&Aの仲介などは規制する業法がありません。そのため、料金に大きな幅があるのです。不動産M&Aを用いると削減できる税金やコストは大きいですが、仲介会社へ払う手数料を考慮し全体のコストを比べることも大切です。

【関連】M&Aにおけるビジネスデューデリジェンスとは?概要、目的、分析手法を徹底解説
【関連】バリュエーションとは?バリュエーションの方法と注意点

買い手側のデメリット

買い手側が不動産M&Aを活用して生じるデメリットは、以下のとおりです。

  • 簿外債務など重大な負債を引き継ぐリスクがある
  • 不動産の含み益における税負担を負うおそれがある
  • 多くの時間・手間がかかる
それぞれのデメリットを順番に見ていきます。

簿外債務など重大な負債を引き継ぐリスクがある

一般的なM&Aと同じく、不動産M&Aでは簿外債務など重大な負債を引き継いでしまうリスクがあります。不動産とともに会社を買収する不動産M&Aでは手間や時間、費用などを削減できるものの、M&A後に発覚した債務を背負わなければなりません。

これにより、たとえ少ない費用でM&Aを実施できても、結果として後悔してしまうおそれがあります。簿外債務など重大な負債を引き継がないためにも、不動産M&Aでは入念なデューデリジェンスを実施することが大切です。

不動産の含み益における税負担を負うおそれがある

不動産M&Aにおける買い手側は、不動産の含み益における税負担を負うおそれもあります。不動産M&Aによって取得した不動産に多くの利益が発生した場合、将来的に不動産の含み益における税負担を引き継ぐことになります。

そのため、不動産M&Aを実施したときに税負担や費用を削減できても、将来的に税負担が増加するおそれもあることを把握する必要があり、将来を見据えて検討することが大切です。

多くの時間・手間がかかる

前述したとおり、M&Aにはかなりの時間と手間が必要です。買い手側は、特にデューデリジェンスが大きな負担になるといえるでしょう。

不動産M&Aを成功させるには、メリットを最大限獲得しつつデメリットを可能な限り生じさせないよう、念入りに対策をしなければなりません。

不動産M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。

また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
【関連】M&Aのメリットとは?買い手・売り手のメリットやM&A戦略策定・手法別のメリットを紹介
【関連】M&Aのデメリットとは?売り手・買い手、海外M&Aにおけるデメリットを解説

不動産M&Aの最新事例3選

この章では、不動産M&Aの最新事例を紹介します。

三井住友ファイナンス&リースによる不動産M&A

2024年3月、三井住友ファイナンス&リースの子会社である、シンガポール法人SMFL MIRAI PARTNERS(SINGAPORE)PTE. LTD.とケネディクスは、ARA Asset Management Limitedとケネディクスが運営する私募ファンド事業を取得するとした合意が行れました。

ARA Asset Management Limitedはシンガポールで展開するアセットマネジメント会社です。シンガポールやオーストラリア、韓国、アメリカなどでREIT・不動産ファンドを運営・保有しています。

今回のM&Aにより、アセットマジメントのノウハウとグループの資産を相互活用し、投融資ビジネスの拡大、投資家向けの新たな投融資機会の創出などのシナジー効果を目指します。

②ビーロットによる不動産M&A

ビーロットは不動産の再生やコンサルティングなどを手掛ける会社です。不動産再生事業では不動産M&Aを用いたプロジェクトも推し進めています

2017年1月に、カプセルホテル2棟を運営するヴィエント・クリエーションを子会社化しました。そして、カプセルホテルをリノベーション・リブランドにより高収益化した後、2019年にイグジットを行っています。

2019年3月には、新設分割による不動産M&Aを行いました。納骨堂を持ち運営する新設会社が分割され、この会社をビーロットが株式譲渡で買収しています。現代的なニーズに応える都心型納骨堂の価値を高めることが狙いです。

③トーセイによる不動産M&A

トーセイは、不動産の流動化や開発、賃貸事業と不動産関係のファンド・コンサルティング事業などを手掛けています。不動産M&Aで優良不動産を得て、収益性を高めてから売却する事業モデルを2001年から進めています。2018年までに不動産M&Aを13件行っています。

それぞれのM&Aで複数の物件を得ており、ビル、店舗、マンション、ホテル、駐車場などいろいろです。2017年にはM&Aの法務や財務などを行う専門部署を設置し、M&Aを進める体制を強めています。

不動産M&Aを成功させるポイント

不動産M&Aを成功させるには、不動産取引に関する知識だけでなくM&Aの知識も不可欠です。そのため、専門家の力を借りることが欠かせません

不動産仲介会社には、一般的なM&Aの経験や知識が足りない企業があります。これらが足りなければ、簿外債務などをきちんと確認できずリスクが増してしまいます。

そのため、不動産M&Aの専門家にアドバイスを求めることが必要です。専門家を選ぶときは、不動産取引とM&Aの知識・経験が豊富で、売却側と買収を希望する企業をマッチングするネットワークなどがあるところを選びましょう。

不動産M&Aについてまとめ

不動産M&Aには、さまざまなメリットがあります。しかし、メリットのみならず、デメリットにも目を向けなくてはいけません。なお、いかなる方法でも、一定の税金は負担します。

M&Aは経営陣だけではなく、会社全体に関する問題です。従業員・株主・取引先などが不安に感じるM&Aを無理やり実施すれば、成功する確率が低くなります。理想的なのは、社内全体で不動産M&Aに取り組むことです。要点をまとめると、以下のとおりです。

・不動産M&Aとは
→不動産取得を主な目的としたM&A

・不動産M&Aのメリット
→通常のM&Aと比べて税負担が軽い、手続きが簡単など

・不動産M&Aのデメリット
→経営権を行使しにくい、簿外債務を引き継ぐリスクがあるなど

・不動産M&Aの手法
→会社分割の手法を活用することも可能

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