M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年8月8日更新業種別M&A
土木・舗装工事業界のM&A・売却・買収事例!最新動向・費用の相場・相談先も解説
土木・舗装工事業界は、社会インフラを担う重要産業です。基本的に公共工事であることから、堅調であり、M&Aとは無縁のように感じられますが、人手不足・後継者難など他業種と課題は変わりません。土木・舗装工事業界のM&A実態を解説します。
目次
土木・舗装工事業界とは
土木工事と舗装工事業界は密接な間柄ながら、業種としては区分されています。経済産業省の業種一覧表によると、大分類では、土木・舗装工事業界はともに建設業にカテゴリーされています。さらに、中分類でも、土木・舗装工事業界は総合工事業として同分類です。
ただし、最後の小分類の段階で、土木工事業と舗装工事業に区分けされています。土木工事業界とは、道路・橋・水道・堤防・河川・ダム・トンネルなどの社会インフラ建設を中心業務とする業界です。社会インフラであるため、基本的に公共事業を請け負うことがほとんどです。
業種の中分類で同じく総合工事業である建築工事業界との違いを説明すると、まず建築業界が建設するのは建物や施設です。その一方で、土木工事業界は、土地に設備や機能を設けるなど、土地あるいは地中・地下そのものへの工事を行う業界です。
また、舗装工事業界は、一般道路・歩道・高速道路・空港滑走路などの舗装工事を行うものの、新設工事だけではなく整備・維持・修繕なども請け負う業界です。実際の舗装工事では、表面の舗装工事以前に何層もの土木工事が必要になります。
このように、基礎工事としての土木工事があって初めて成り立つのが、舗装工事です。土木工事の仕上げを舗装工事とも呼ぶため、土木工事業界と舗装工事業界は非常に密接な関係性にあるといえます。
いずれにしても、社会インフラは経済発展のために必要不可欠であり、定期的なメンテナンスも求められることから、この役割を担っている土木・舗装工事業界は、社会インフラ自体を支える非常に重要な役割を担っている業界だといえます。
土木・舗装工事業界の現状
土木・舗装工事業界の特徴を見ると、公共事業として行われる大規模な設備投資需要の影響を受ける点が挙げられます。超高齢社会の影響により人口減少が続く日本では、本来であれば設備投資やインフラ投資は抑制できる可能性がありました。
しかし、近年は、東日本大震災などの地震や台風・豪雨などの自然災害が多発したことによる社会インフラ復興需要や、1955(昭和30)年~1973(昭和48)年頃の高度経済成長期に建設された道路などの各種社会インフラ老朽化対応の需要によって、土木・舗装工事業界の業績は好調に推移しています。
さらに、近年は首都圏で東京オリンピックに向けた各種建設需要があったことも、業績を後押ししています。これは反対にいうと、東京オリンピック後の工事需要が重要な関心事となっている状況です。
ただし、「公共工事は毎年一定数の案件が発生する」点も、土木・舗装工事業界の特徴です。絶えず仕事が存在するため、いつでも受注を請けられる体制作りを問題視する企業が多いです。なぜなら、土木・舗装工事業界で人手不足の問題が発生しているためです。
つまり、多くの企業で、需要があるものの人員を確保できず受注できない状況が発生しています。特に土木・舗装工事業界では、最終的な工事の引き受け手である中小企業の人手不足が顕著です。
また、土木・舗装工事業界の中小企業の場合、公共工事への入札資格が制限されることもあり、経営が厳しい状況にあるケースも多いです。こういった環境の中で、人手不足の解消・事業規模の拡大などを目的として、M&Aを実行する企業が増加傾向にあります。
土木・舗装工事業界のM&Aの現状と動向
土木・舗装工事業界は、社会インフラと呼ばれる施設・設備を建設・維持・修繕する業界であり、受注する案件は公共事業が多くの割合を占めています。現状では、アベノミクス効果による経済の堅調な動きを背景に、土木・舗装工事業界の受注状況も安定的に推移しています。
しかし、土木・舗装工事業界では、若い世代や土木施工管理技士などの特定技能を持つ人材が求められる中で、少子化による若年層の減少・社会情勢の変化に伴う労働価値観の多様化などにより、業界全体で人材不足が問題化しています。
特に中小企業では、他の業種同様に大手企業と比べて人材採用が困難となる傾向が強く、経営上の大きな課題です。こういった状況を打破するため、人材確保を目的としたM&Aが増加傾向にあります。
M&Aにより土木・舗装工事業界の同業者を買収できれば、経験豊富で有能な人材も確保できます。さらに、企業規模拡大によって企業のブランド力を強化できれば、人材採用を有利に進めることが可能です。
土木・舗装工事業界は、専門的な技能が求められる業界であるため、M&Aにより他社の人材を獲得することは、直接的に企業の品質や技術力の向上、ブランド力の向上につながります。このことから、M&Aは経営戦略上、大きなメリットがあるのです。
また、土木・舗装工事業界には、経営者が引退を迎える中小企業が少なからず存在します。他業種と同様、後継者難で廃業危機が切実な問題です。そこに国や自治体の支援もあいまって、会社存続のために事業承継を目的としたM&Aを実行するケースも増加しています。
土木・舗装工事業界のM&A事例
近年の土木・舗装工事業界における実際のM&A事例を解説します。詳細が公表されているM&Aのほとんどは上場企業による事例ですが、同じ土木・舗装工事業界のM&Aであれば、中小企業から見ても、その動向は大いに参考になります。
本章では、土木・舗装工事業界の代表的なM&A事例をピックアップし解説します。
清水建設が日本道路の株式取得
2022年(令和4)年3月に、清水建設が、公開買付という方法で、日本道路の株式を取得しました。これにより、日本道路は清水建設の連結子会社となりました。清水建設は、この買付で222万株の株式を購入予定でしたが、応募が予定を超えたため、結果的に50.1%の保有割合で買付を行いました。
清水建設は、「子どもたちに誇れるしごとを。」と「Today's Work, Tomorrow's Heritage」を企業のメッセージとしています。一方、日本道路は、土木、不動産、建築、スポーツ施設などの分野で事業を展開しており、子会社を通じてリース業も手がけています。
この合併・買収(M&A)によって、清水建設は、日本道路と共にさらなる成長と発展を目指すとしています。清水建設の強みと日本道路の多角的な事業展開がどう結びつくのか、今後の展開が注目されます。
アジアゲートHDがNC MAX WORLDの全株式取得
2022年2月に、アジアゲートHDが、NC MAX WORLDの株式をすべて取得し、完全な子会社にすると発表しました。この合併・買収(M&A)での取得価額は31億8,750万円です。
アジアゲートHDは、東京都港区に本社を置く持株会社で、主にライフラインの敷設などを手がける南野建設が母体となっています。一方、NC MAX WORLDは、不動産の売買、賃貸、管理、権利調整などを専門に行う企業です。
このM&Aの目的は、アジアゲートHDにとって多岐にわたります。経営の基盤を強化し、事業の効率化を図ることはもちろん、社員間での人材の交流を促進し、意思決定を迅速化することで、プロジェクトの開始を早めることができます。さらに、新しい事業案件によって会社の規模を拡大することも期待されています。
佐藤渡辺が佐藤工業と資本業務提携
2022年2月、建設会社の佐藤渡辺と佐藤工業が、お互いの業務を助け合うための提携をすると発表しました。その一環として、佐藤渡辺は自社の株式を佐藤工業に売却することも決めました。
佐藤渡辺は、東京都港区に本社があり、主に道路舗装工事を行っています。この会社は、2005年に渡辺組と佐藤道路が合併して誕生しました。一方の佐藤工業は、建設工事全般を手がける会社で、企画、測量、設計、監理、コンサルティングなど多岐にわたる業務を行っています。
この提携の目的は、お互いの強みを生かして、業務を効率的に行うことです。佐藤渡辺は、佐藤工業と一緒に仕事をすることで、取引をさらに拡大・強化し、受注の増加と研究開発の推進を図ります。これによって、収益の基盤をより強固にし、会社の成長を促進することを期待しています。
大盛工業が港シビルの全株式取得
2021(令和3)年3月、大盛工業は、港シビルの株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は1億4,100万円です。
買収側は、東京都千代田区に拠点を持つ建設会社で、主力は上下水道工事です。対する売却側は、東京都港区を拠点に、港湾・河川土木工事業を手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、建設事業の施工分野および事業基盤の拡大のほか、グループ単位でのさらなる企業価値向上などを図っています。
日本乾溜工業が福岡キャピタルパートナーズと資本業務提携
2021(令和3)年2月、日本乾溜工業は、福岡キャピタルパートナーズとの間で資本業務提携を締結しました。本件M&Aの株式取得割合は28.41%です。
日本乾溜工業は、福岡県福岡市に本社を置く企業です。公共工事を主体とする交通安全施設や、法面・景観・土木などの工事および資材販売を行う土木建設業を中心に、防災用品・産業安全衛生用品などの販売を行っています。
対する福岡キャピタルパートナーズは、各種ファンドの組成・運営、不動産開発のアレンジ、コンサルティングを行っている企業です。
本件M&Aにより、日本乾溜工業では、持続的成長を支える強固な経営基盤を再構築し、既存3事業分野のさらなる体制強化のほか、M&Aなどの活用による事業成長の加速化を図っています。
また、今後、福岡キャピタルパートナーズの地域貢献ファンドとしての豊富なノウハウ・リソース・ネットワークなどを活用し、成長戦略などの実行を図ることから、さらなる企業価値の向上も目指されています。
テノックスが日本コンクリート工業と資本業務提携
2021(令和3)年1月、テノックスは、日本コンクリート工業との間で資本業務提携を締結しました。
テノックスは、東京都港区を拠点に、コンクリートパイル・鋼管パイルの販売、杭打工事の請負・地盤改良工事の請負などを手掛けています。
対する日本コンクリート工業は東京都港区に拠点を構える企業で、コンクリート製品の製造・販売などを手掛けており、日本製鉄が筆頭株主です。
本件M&Aにより、テノックスでは、日本コンクリート工業とESGの観点から社会への貢献の在り方を協議し、課題を整理・合意したうえで、長期的に連帯しながら課題に取り組み、双方の企業価値の向上を図っています。
加えて、事業展開する基礎工事業での協力関係を強化し、株式を相互に保有することで、両社の長期的な提携関係の構築・推進を目指します。
アジアゲートHDがNSアセットマネジメントの全株式取得
2020(令和2)年7月、アジアゲートHDは、NSアセットマネジメントの株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側のアジアゲートHDは、東京都港区に本社を置く事業持株会社です。ライフライン敷設等の建設事業を行う、南野建設が母体です。
売却側のNSアセットマネジメントは、東京都港区を拠点に、WEBメディア運営・訳あり不動産マッチングサイト運営・不動産投資コンサルティング事業運営・不動産投資スクール事業運営・不動産売買仲介業などを手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、不動産コンサルティング事業・不動産売買仲介事業・保険代理店事業を譲り受け、さらに「保険代理店事業」における代理店ライセンスの維持を図っています。
日本乾溜工業が大邦興産の全株式取得
2019(令和元)年4月、土木工事業をはじめとする建設業・防災安全事業・化学品事業などを行う福岡の日本乾溜工業が、建設事業全般を熊本で行う大邦興産の全株式を取得し、子会社化しました。
大邦興産は地元熊本で幅広く官民双方の工事を請け負っており、日本乾溜工業としては九州地区における土木工事などの建設工事のシェア拡大に向けて、シナジー効果を期待してのM&Aとみられています。
大盛工業が井口建設の分割会社全株式取得
2018(平成30)年9月、上・下水道工事を中心とした土木工事業と不動産事業を行う東京の大盛工業が、土木工事業を行う山梨の井口建設の全株式取得し、子会社化しました。なお、井口建設は株式譲渡に先立ち、土木工事業と不動産賃貸事業とで会社を分割する措置を取っています。
端的にいえば、井口建設による土木事業の事業譲渡の事例ですが、これは事業を直接譲渡する形式を取らず、土木事業と不動産賃貸事業をそれぞれ行う会社分割の手法を採用したM&A事例です。事業譲渡の手続きに比べ、会社分割後の株式譲渡の方がM&A手続きが簡易的であることが主な目的と考えられます。
大盛工業が欲したのは、山梨県の公共工事を元請けとして多数受注している井口建設の土木事業部門であり、井口建設の経営者からすると、不動産賃貸事業を手元に残したかったという思惑が合致したことでM&Aが実施されました。
三東工業社が古澤建設を子会社化
2016(平成28)年9月、建築業・土木工事業・舗装工事業・不動産業などを行う滋賀の三東工業社は、舗装工事業を行う滋賀の古澤建設の株式80%を取得し、子会社化しました。もともと同一県内に位置する三東工業社と古澤建設との間には、舗装工事に関する受発注関係が構築されています。
本件M&Aにより、単なる取引関係を越えて舗装工事業の分野でシナジー効果が得られると見越して実施に至ったと考えられます。
土木・舗装工事業界のM&A買収メリット
M&Aの実行による買い手のメリットは、事業規模や事業エリアの拡大・人材の確保などです。特に土木・舗装工事業界は地域に密着した事業展開をしていることが多いため、エリア拡大や同一地域での規模拡大の方法としてM&Aを活用するメリットは大きいといえます。
事業エリアの拡大
土木・舗装工事業界の会社にとって、事業展開する地域を拡大するための方策として、M&Aは非常に有効です。同一地域の土木・舗装工事会社を買収できれば、その地域でのシェア拡大が見込まれます。
近隣あるいは遠隔地域などで事業展開している土木・舗装工事会社の買収であれば、自社単独でエリア拡大を目指すよりも、時間・労力ともに効率的に事業規模と事業エリア拡大を図ることが可能です。
人材の確保
土木・舗装工事業界では、従業員に専門的な知識と経験が求められます。しかしながら、人材不足が続いている現在の日本の状況では、特定の技能を有する人材を新卒市場や転職市場で採用することは困難です。
そこで、M&Aの実行により、買収した企業に在籍している特定技能を持つ人材を獲得すれば、効率的に経営資源の拡充を図れます。人材不足はどの業界でも共通のテーマであり、M&Aは有力な解決策ですが、土木・舗装工事業界では特に大きなメリットをもたらす方法です。
公共事業や民間需要への参入
土木・舗装工事業界は公共事業が産業の中心ですが、企業などからの民間工事の需要もあります。そして、土木・舗装工事業界の各企業は、多くが公共事業中心もしくは民間工事中心に振り分けられます。
通常であれば、受注する取引先を広げていきたいものの、土木・舗装工事業界の場合、規制や顧客との関係性など一定のハードルがあり、相対する取引先に中々踏み込めないのが実状です。
そこで、M&Aを通じて自らと異なる取引先に強みを持つ企業と結合し、努力で越えられなかった壁を乗り越えることで、事業強化を進めることが可能です。
土木・舗装工事業界のM&A売却メリット
土木・舗装工事業界のM&A実行による売り手のメリットには、後継者問題の解消・従業員の雇用確保・経営資源の効率的な運用が挙げられます。また、経営者自身も、個人的に恩恵を得られます。
後継者問題の解決
土木・舗装工事業界の中小企業でも、少子化の影響により、もともと実施されてきた身内を後継者とする事業承継を行えない状況の企業が増えています。第2の選択である、社内役員や従業員を後継者とする事業承継もありますが、そこでも適任者がいないケースが多いです。
そのまま廃業する会社が増えてしまうと、日本経済にとって大きな打撃となるため、昨今は国や自治体がM&Aによる事業承継を支援する政策を実施しています。見ず知らずの第三者への事業承継とはいえ、交渉の過程で相手の人物像を見極められるチャンスは十分にあります。
M&Aの買い手は事業の発展に情熱を持っている立場であるため、会社存続を託せる後継者が見つかる可能性が高いです。
従業員の雇用確保
土木・舗装工事業界で会社の存続が難しい状況になれば、従業員の雇用を維持できません。経営者として従業員が路頭に迷う事態は避けたいですが、M&Aで会社の売却が成立すれば、その事態を回避できます。
経営資源の集中
土木・舗装工事業界の会社の中には、事業を多角的に行っている会社もあります。その場合、どうしても不採算部門が出てしまいます。M&Aによって不採算部門の売却を行うと、経営資源を中心事業に集中させて経営の効率化を進めることが可能です。
土木・舗装工事業界では、自社の得意地域や分野を明確にすることが重要であるため、経営資源の集中を図れるM&Aは、売り手にとって経営上の有用な施策です。
創業者利益を獲得できる
土木・舗装工事業界の経営者としては、M&Aで会社売却することで、その売却代金を獲得できます。それ相応の金額を入手できる可能性が高いため、新たな事業を興す資金や、リタイア後の生活資金としても有望です。
土木・舗装工事業界のM&Aの相場と費用
M&Aは相対取引です。相手がいる当事者同士の取引であり、M&Aでの会社譲渡価格は当事者間の交渉により決定されます。そのため、売り手・買い手それぞれの財政状態や経営成績・M&Aの目的・M&Aのタイミングなどによって譲渡価格は変動します。
つまり、土木・舗装工事業界のM&Aでは、画一的な相場価額はありません。ただし、M&Aで売却企業の価値を金額に算定する方法は、複数の方式が確立されています。まずは、大きく分けて3分類されている算定方法の概要を掲示します。
企業価値算定方法①:市場基準方式
市場基準方式とは、株式市場(=マーケット)の情報にもとづき価格を決定する方法です。M&Aの現場では、マーケット・アプローチと呼ばれます。端的にいうと、株式市場で情報が公開されている上場企業の各種数値を参考にして、M&A対象企業の価額を導き出す算定方法です。
業種・事業展開エリア・企業規模・業績などで近似した特徴を持つ上場企業を見つけ出し、参考とします。一定の論拠のある数値を導き出せる利点はあるものの、M&A対象企業が中小企業の場合に、類似する上場企業が見つかるかどうかというハードルがあります。もちろん、見つからなければ、この方式は採用できません。
企業価値算定方法②:DCF法
ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)は、将来獲得が想定される収入(インカム)に基づき価値を算定するため、インカム・アプローチとも呼ばれています。DCF法以外にもインカム・アプローチに分類される方式はありますが、M&Aで用いられるのはDCF法です。
中期計画程度の事業計画を策定し、それをベースにして将来的に獲得されるキャッシュ・フローを織り込んで、M&A対象企業の価額を算出する方法です。事業計画の精度が高ければ高いほど、事業の価値をより正確に算出できます。
その反面、事業計画に恣意性があった場合、正しい価値評価とならない可能性もあるため、事業計画の精査が欠かせません。現在のM&Aの現場では、最も用いられている算定方法です。
企業価値算定方法③:資産基準方式
資産基準方式とは、基本的な考え方として、対象企業の資産や負債を現時点で購入したら、どれくらいの対価(コスト)が必要なのかを前提とする方法であるため、コスト・アプローチと呼ばれています。
コスト・アプローチに分類される算出方式も複数ありますが、M&Aの現場で用いられる場合は、単純に貸借対照表のみを用いて算出します。純資産額をベースに、固定資産の時価から負債を引いた金額を算出する、至ってシンプルな算定方式です。
ただし、この場合、将来の収益性が全く加味されていないため、資産基準以外に別途、営業権(のれん代)の価値を算出し、それを加算してM&A対象企業の価額とする方法が採用されるケースが多いです。
専門家に相談
M&Aを実施する場合、企業価値の算定以外にもさまざまなプロセスがあり、それぞれの場面で財務・法務・税務などの専門知識が必要です。したがって、自社内のみで対応するのは無理であり、M&A仲介会社などの専門家に依頼するのがベストです。
早期にM&A仲介会社に業務を依頼し、予算の相談もしておくことが得策です。そこで気になるのは、M&A仲介会社に対して発生する費用です。M&A仲介会社への手数料の内容は業界一律ではなく、会社ごとに異なっています。
M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には、M&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまで培ってきたノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
土木・舗装工事業界のM&Aに関する相談先
本章では、土木・舗装工事業界の会社を対象とするM&Aに関する相談先として、代表的な5つピックアップし解説します。
M&A仲介会社
土木・舗装工事業界の会社を対象とするM&Aの相談先として、最もオーソドックスなのはM&A仲介会社です。M&A仲介会社とは、売却側と買収側の間に立ち、M&A成約を目指し支援・助言などを行う会社をさします。
M&A実務を専門的に手掛ける組織であるため、相談先選びに悩んだらM&A仲介会社の利用が望ましいでしょう。
金融機関
地元の金融機関でも、土木・舗装工事業界の会社を対象とするM&Aの相談を行えます。M&Aの専門部署を設けていたり、地元企業とのネットワークを有していたりする機関もあるため、土木・舗装工事業界の会社を対象とするM&Aを検討する際におすすめの相談先の1つです。
公的機関
全国の商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センターなどでは、土木・舗装工事業界の会社をはじめとする地元の中小企業の事業承継に関する相談・支援サービスを提供しています。こうした公的機関は社会的な信頼性が高く、安心して相談できる点が強みです。
弁護士・税理士・会計士など
昨今は、弁護士・税理士・会計士などの士業事務所でも、土木・舗装工事業界の会社を対象とするM&A・事業承継のサポートを手掛けている機関が増加しています。
しかし、弁護士・税理士・会計士の場合、M&Aに関する知識はあるものの、土木・舗装工事業界に精通していない専門家も多いので、事前に確認するようにしましょう。
マッチングサイト
昨今は、M&Aマッチングサイトを利用して、M&Aの相手先として相応しい土木・舗装工事業界の会社を探すこともできます。
しかし、あくまでもマッチングに特化したサービスであるため、M&Aに関するサポート・アドバイスを受けられないサービスが多い点に注意が必要です。
土木・舗装工事会社のM&Aまとめ
土木・舗装工事業界はM&Aが盛んな業界の1つです。また、中小規模の企業が多いため、近年は事業承継目的でのM&Aも増えてきています。
土木・舗装工事会社のM&Aを成功させるためには、入念な事前準備と戦略が必要です。専門的な知識も不可欠なので、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。