M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年4月29日更新業種別M&A
建設業界のM&A動向!会社売却のメリットや注意点・事例40選・案件一覧を徹底解説【2024年最新】
この記事では、建設業界における最新のM&A動向や売却・買収の事例からメリットまで詳しく解説します。建設業界の市場やM&Aの動向、建設会社を売却するメリットや注意点、実際に行われたM&A事例を紹介します。
目次
建設業界とは
この記事では、建設業界のM&A動向や実施するメリット、コロナ禍の影響などを取り上げますが、その前に建設業界の定義や特徴などを解説します。
建設業界の定義
建設業は建築・土木およびそれに伴う工事施工を手掛ける事業を指し、その定義については建設業法で定められています。建設業法は工事請負契約の適正化や建設業を手掛ける事業者の資質向上など目的とし、そのための規制を定めた業法です。
建設業法では建設業について「元請・下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」と定義しており、業務は「建築」と「土木」に大別しています。
- 建築業:建物(住宅、ビル、公共施設、工場など)の建築
- 土木業:インフラ(道路、水道、橋、トンネル、ダムなど)の工事や整備
「建設業」は建築物(ビル・商業施設・マンションなど)を建てるだけでなく設備・インフラ構築までを手掛け、道路やダムの建設も事業範囲に含まれます。よく似た言葉にを「建築業」がありますが、こちらはマンション・ビル・家などの建物を建てることが事業であり、道路やダムなどを造ることは含まれません。
参考:e-Gov「建設業法(昭和二十四年法律第百号)」
また、同法では建設業を以下の29業種に分類しています。
一式工事(2種) | 専門工事(27種) | |
・土木一式工事 ・建築一式工事 |
・大工工事業 ・左官工事業 ・とび・土工工事業 ・石工事業 ・屋根工事業 ・電気工事業 ・管工事業 ・タイル・れんが・ブロツク工事業 ・鋼構造物工事業 ・鉄筋工事業 ・ほ装工事業 ・しゅんせつ工事業 ・板金工事業 ・ガラス工事業 |
・塗装工事業 ・防水工事業 ・内装仕上工事業 ・機械器具設置工事業 ・熱絶縁工事業 ・電気通信工事業 ・造園工事業 ・さく井工事業 ・建具工事業 ・水道施設工事業 ・消防施設工事業 ・清掃施設工事業 ・解体工事業 |
建設業界の特徴
建設業界の主な特徴は、以下の4点です。
許認可が必要
建設業を営むためには、建設業法で定められた国または都道府県から許認可を得なければなりません。許認可は請け負う工事が公共・民間を問わず「建設業許可」が必要です(建設業法第3条)。
また、許認可は請負契約の規模などによって「一般建設業」と「特定建設業」とに分かれています。両者の違いは簡単にいえば「下請けに出す側が元請であるか否か」です。
下請けに出す建設事業者が元請けであり、1件につき4000万円(建築一式工事は6000万円)以上となる工事を下請に出す場合は「特定建設業」の許認可取得が義務付けられています。
なお、建設業許可は5年間(許可日から数えて5年)が有効期限があり、期限満了となる30日前までに更新手続きが必要です。
参考:国土交通省「建設業の許可とは」
入札制度
建設業界では、公共工事の施工業者は一般的に入札方式で決定されます。入札については都道府県(あるいは市町村)の条例や規則で定められており、入札資格がなければ参加することはできません。
入札方式では施主が提示した予定(上限)価格の範囲内で最も低い価格を提示した事業者が工事を落札するかたちです。
しかし、不当廉売や手抜き工事などが目立つようになったため、近年では性能や機能・環境・社会的要請などを考慮したうえで落札者を決定する「総合評価落札方式」の採用されるようになってきています。
ピラミッド構成
建設業者には、発注者から直接工事を請負う「総合建設業」と、内装・塗装・ガラスなどの一部工事のみを手掛ける「職別工事業」の2種類があります。「ゼネコン」や比較的大規模の事業者など、設計から施工まで一貫して行うのが総合建設業です。
元請けは発注者から工事を請け負い、必要な各工事を職別工事業者(下請け)へと委託し、下請け業者はその階層によって「一次下請」「二次下請(孫請け)」「三次下請」などと呼ばれます。このように建設業界は重層下請構造となっており、これが「ピラミッド構成」といわれる理由です。
建設業界の市場規模
国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題」を基に作成
出典:https://www.kensetsu-kikin.or.jp/news/57a42379796b2a6c1d23286d40ea5b611f163364.pdf
国土交通省によれば2023年度の建設投資額は70兆3200億円(前年度比2.2%増)となる見通しです。内訳は政府投資額が25兆3400億円 (前年度比4.5%増※)民間投資額は44兆9800億円( 前年度比1.0%増)となっており、前年度からの微増が見込まれています。
2004年から2014年まで建設投資額は減少傾向にあったが2015年以降は増加傾向にあり、70兆円の水準を上回るのは1998年以来です。
建設業界が抱える課題
建設業界が従来から抱えている問題点として挙げられる主な課題は、以下のとおりです。
- 都市部と地方の業者間の業績格差
- 若年層離れによる慢性的な人手不足
- 技能労働者(職人)の高齢化
- 属人的な情報管理からの転換
- デジタル環境の導入・整備
市場の特性として、都市部と地方では都市部の方が工事数が多く、その規模も大きい傾向があります。この傾向は業績に反映され、都市部の業者と地方の業者では業績に隔たりが生じる格差が問題点です。
また、建設業界では60歳以上の技能者も多く、全体の約4分の1(25.7%)を占めています。技能者の多くは70歳頃には引退するため、10年後には技能者数の大幅減少が見込まれる状況です。
その一方で、今後の建設業を支える若年層の技能者不足が課題となっており、現状では29歳以下の技能者は全体の約12%程度しかいません。このような状況により、建設業界では若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっています。
参考:国土交通省「 最近の建設業を巡る状況について」
全国許可業者数
国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」を基に作成
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610921.pdf
2023年3月末現在で建設業許可を取得している事業者数は474,948業者であり、前年同月比△0.1%(345業者の減少)となりました。
また、建設業許可業者数が最も多かったのは2000年で600,980業者が建設業許可を取得していましたが、その時点と比較すると2023年3月末は126,032業者(△21.0%)も減少していることがわかります。
参考:国土交通省「 建設業許可業者数調査の結果について」
建設業界が受けたコロナ禍の影響
建設業界は全体的に業績が減少しており、その要因は民間における工事の減少です。コロナ禍による景気減速が直撃した飲食業・宿泊業などのサービス業における工事の多くが、延期や中止措置を取られました。
工事を行っている地域によっては、3密によるコロナのまん延を避けるために建設業者側が工事の中断に追い込まれたケースもあります。その結果として、建設業界でも中小規模の業者を中心に休廃業・倒産件数が増加中です。
今後、減少した工事数をめぐる業者間での競争激化が予想されており、休廃業・倒産を避けて生き残る経営戦略としてM&Aの検討が有効と考えられています。
事業承継認可件数
2020年10月の建設業法改正により建設業許可の承継制度が新設され、相続やM&A(事業譲渡や合併)でも建設業許可を引き継げるようになりました。新設された制度は建設業許可がない状態の期間が生じない点が最も大きなメリットです。
これにより、譲渡および譲受けは認可件数全体の84.7%を占め、事業承継認可件数の合計数は2023年3月末時点で合計2,465件となりました。
参考:国土交通省「 建設業許可業者数調査の結果について(概要)」
建設業界のM&Aの最新動向
建設業界は、他の業界とは異なりM&Aに消極的で、M&Aによる業界再編も長年にわたり進んでいない状況でした。なぜなら、建設業界は規模の経済の効果が薄く、規模を大きくすると入札参加に制限がかかるなど、M&Aと相性が悪い一面があるためです。
しかし、近年は建設業界でも、徐々にM&Aを行う動きがみられるようになりました。そのなかでも、異業種による建設会社の買収事例が増えています。
建設業界のM&A件数の推移
近年、人材不足の解消や事業エリア拡大などのために、中堅や大手建設会社によるM&Aが増加傾向にあります。経営者の高齢化などによる事業承継目的で自社を売却する、前向きなM&Aも多くなってきている状況です。
異業種による建設会社の買収事例の増加
最近は、ハウスメーカーが中堅のゼネコンを買収して建設業界に進出するなど、新しい事業分野に進出するためのM&Aも増えています。
別業界にM&Aで進出すれば、事業の多角化が見込め、場合によっては各会社の得意分野やノウハウを生かしてシナジー効果を発揮できるからです。不動産会社が建設会社を買収すれば、外注していた施工を内製化できるため、プロセスとコストの効率化を実現可能です。
海外進出を目的としたM&Aの増加
建設業界では、海外進出を目的としたM&A(クロスボーダーM&A)も増えています。人口の減少などを受けて国内の市場が縮小傾向にあるため、業績拡大を目指して海外進出を行うことが目的です。進出したい地域の会社を買収し、それを拠点に海外市場への参入を図ります。
後継者不足の解消を目的としたM&Aの増加
建設業界に限らず、国内の多くの中小企業が抱える課題として、後継者不在があります。経営者が高齢により引退を迎えつつある状況でも、後継者がいないために事業承継できず廃業危機にある中小企業が多いです。
その解決策として、近年はM&Aによる事業承継が着目されています。これは、M&Aの買い手が、新たな経営者(後継者)となる解決策です。建設業界では地方の中堅企業を中心に廃業が増えており、会社存続のためにM&Aを行うケースは今後とも増えるものとみられます。
建設業界におけるM&Aのメリット
ここでは、建設業界でM&Aを実施する際のメリットを、買収側・売却側に分けて解説します。
買収側のメリット | 売却側のメリット |
・事業拡大 ・人手不足の解消 ・技術・サービスの獲得 |
・後継者問題の解決 ・倒産・廃業の回避 ・社員の雇用維持 ・財務基盤の強化 ・売却利益の獲得 |
買収側の3つのメリット
建設業界のM&Aにおける買収側の主なメリットは以下の3点です。
①事業拡大
29種もの業種に分かれる建設業界では、同業種とのM&Aであれ、関連業種や隣接業種とのM&Aであれ、いずれも事業拡大が見込めます。合併した場合は入札制限があるため注意が必要ですが、さまざまなM&Aスキーム(手法)を用いることで、それも避けられます。
②人手不足の解消
建設業界には、慢性的な人手不足問題があります。若年層を働き手として取り込むことが急務ですが、一朝一夕には進みません。しかし、M&Aであれば、買収によって即座に売却側企業の人手を獲得可能です。
③技術・サービスの獲得
建設業界のM&A買収では、売却側が有している技術・サービスも取り込めます。特に自社が有しているものとは異なる技術やサービスであれば、業界内の競争で非常に有用です。技術やサービスは時間をかけなければ構築できないため、それをM&Aにより一瞬で手に入れられることは計り知れないメリットといえます。
売却側の5つのメリット
建設業界のM&Aにおける売却側の主なメリットは以下の5点です。
①後継者問題の解決
これまでの事業承継は、親族や社内の従業員・役員を後継者とすることが大半でした。しかし、少子化や価値観の多様化による親族(子供)後継者の減少、社内後継者の場合は多額の株式購入費がネックとなって事業承継が実現しづらい状況です。
そこで、M&Aにより、その買い手が後継者となる事業承継方法が注目され、国や自治体もこれを推奨しています。
②倒産・廃業の回避
事業承継ができないまま経営者が引退すれば、会社の末路は倒産か廃業です。しかし、M&Aで売却が成立すれば、新たな経営者のもと会社は存続できます。
③社員の雇用維持
会社が倒産・廃業となれば、必然的に従業員は解雇となり、路頭に迷います。しかし、M&Aの売却によって会社が存続すれば、基本的に従業員の雇用も継続され、失業の心配もなくなります。
④財務基盤の強化
建設業界における構造上の問題として、規模の小さな会社ほど末端の下請け業務であるため、利益率が低いのは否めません。それらの会社は財務的にも厳しい経営を強いられています。
財務状況が厳しく給与の遅配などがあれば、貴重な人材の流出を招き、ますます業績が悪くなる負のスパイラルです。M&Aの売却によって大手の傘下に入れば、その資本力をバックにできるので財務基盤が強化され、安定した経営を行えます。
⑤売却利益の獲得
株式譲渡であれば、株主である経営者個人に売却対価が支払われます。事業譲渡であれば、売却対価を手にするのは売り手である会社です。どちらにしても、相応の売却利益が得られます。経営者の老後資金や新たな事業の資金など、M&Aによって自由使途の相当額を獲得できます。
建設業界のM&Aの相場と費用
建設会社では、人材や作業機材、ノウハウ、設備などさまざまな資産があり、そこに収益性などが加味される形で企業価値が算定されます。建設業界のM&Aでは相場が大きく、数億円~数百億円になることは珍しくありません。
建設業界に限らず、日本のM&Aは取引価額を公開しないことが多く、具体的な相場や費用を確認することは非常に困難です。M&Aを実施する際は、M&A仲介会社など専門家の協力を得ることをおすすめします。
全国の中小企業におけるM&Aに数多く携わるM&A総合研究所では、専門的な知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、相談時からクロージングまで丁寧に案件をフルサポートいたします。
また、通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月でスピード成約した実績を有する機動力も強みです。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
随時、無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
建設業界のM&Aを成功させるコツ
ここでは、建設業界でのM&Aを成功させるコツを買収のコツと売却のコツに分けて解説します。
建設会社の買収を成功させる2つのコツ
建設業界のM&Aで買い手の場合は、以下の点を意識すると成功確率が上がります。
①対象の建設会社が持つ人材の傾向や実績を調べておく
建設業界の買い手が優先すべき課題は、やはり人材です。そこで建設業界のM&Aでは、不足している人手を確保する目的でM&Aを進める傾向にあります。ただし、単純に人手を増やすのではなく、可能な限り質の高い人材の獲得に努めることが必要です。
買い手は、対象の建設会社が持つ人材の傾向を調べておきましょう。「特定の資格を有しているか」「長年働いている熟達した人材か」など、年齢構成や稼働率もチェックするポイントです。実績に着目することも必要です。難易度の高い工事に成功した実績がある建設会社であれば、そのノウハウも人員の質も保証されます。
豊富な実績を持ち、信頼性が高い建設会社を買収できれば、その実績を引き継げるため、買い手が事業を展開する際に効果を発揮します。ただし、いくら人材が良い建設会社を買収しても、そのまま運用するだけでは意味がありません。
建設業界が人手不足に陥っている原因には、体力的にハードな面や待遇の悪さが挙げられます。取り込めた人材を流出させないよう、必要に応じて待遇を改善するなど定着率を上げる取り組みが必要です。定着率を上げる取り組みに成功すれば、さらに新たな人材が入る可能性も高まります。
②対象の建設会社が事業展開している地域に着目しておく
買収する建設会社が、どのような地域で事業を展開しているかにも着目しておきましょう。商圏を広げることは、買い手がさらに顧客や取引先を拡大するきっかけになります。
商圏を広げる目的でよく実施されるのが海外進出ですが、海外進出の場合はその地域における税制や法律、商慣習などの規制を受けるため、事前の情報収集やブリーフィングをしっかり行うことが必要です。
事前の情報収集やブリーフィングの作業を怠ると、余計なトラブルを招いてしまうだけでなく、現地での事業展開に行き詰まり、撤退せざるを得ない状況に陥る可能性があります。昨今では異業種と提携することでお互いのノウハウを生かすM&Aも増加中です。
新たな事業へ進出する場合は、自社の建築ノウハウを生かせる事業を選びましょう。ただし、事業ドメインの選択を誤ると非効率的な多角的経営になってしまうので、自社の事業分析を入念に行う必要があります。
建設会社の売却を成功させる2つのコツ
建設業界のM&Aで売り手の場合は、以下の点を意識して進めていくと成功率向上につながります。
①自社のアピールポイントを洗い出す
まずは、冷静に自社の分析をしましょう。同業他社と比較し、自信がある点、優れていると思える点を明らかにしておくと良いです。
所持している許認可の数や種類、雇用している従業員の質や技術力、所有している他社にはない設備や機材など、買い手に何をアピールするかは重要な手段となります。買い手のニーズと売り手のアピールポイントが合致していれば、交渉がスムーズに進むためです。
②リスクは事前に解消しておく
建設業界のM&Aでは、買い手はリスクになる要素を徹底的に調べます。日頃、赤字受注をしていたり、正しく原価管理をしていなかったりする会社は、買い手から敬遠される可能性が高いです。買い手はなるべくリスクのない売り手を求めているため、売り手からすると買い手のリスクになりそうな問題は事前に解消する必要があります。
リスクを放置してしまうと、M&Aが実現する可能性が下がるだけでなく、交渉で不利になり、相手に有利な条件を押しつけられるかもしれません。自社のアピールポイント分析の際に合わせて弱みも自覚し、改善しましょう。
シナジー効果のある買い手探し
M&Aにおいて買い手企業は「この事業(企業)を買収した場合、どのようなシナジーが創出されるか」を判断基準のひとつとします。
M&Aにおけるシナジーとは、2つ以上の事業あるいは企業が統合することによって、自社単独で行う場合よりも大きな効果を得ることをいいます。たとえば、人材・技術・販路などのリソースを相互活用することで売り上げや事業領域の拡大を図るケースなどです。
シナジー効果が見込まれれば買い手からの評価も高くなるため、売り手企業は好条件でのM&A成立が実現する可能性も高まります。売り手企業柄は自社の強みをアピールできるよう、客観的なデータや事業計画を準備するとともに、できるだけ早期から売却の準備を進めておくとよいでしょう。
M&A仲介会社等に相談
建設業のM&Aを進めるうえでは、M&Aの専門知識やノウハウはもちろん、建設業許可の取り扱いや工事技術など建設業における知識が不可欠です。また、より希望条件にあった買い手企業を探すためには、幅広いネットワークが必要となります。
M&Aは通常の会社業務を行いながら進めていきますが、事業運営に支障をきたすことなく効率的に進めていくためにはM&A仲介会社など専門家のサポートが不可欠ともいえるでしょう。
よりよい条件でのM&A実現を目指すためには、建設業のM&Aで支援実績があったり建設業界を得意とするアドバイザーが在籍するM&A仲介会社などに相談することも成功のポイントです。
建設業界のM&Aでの注意点
続いて、建設業界のM&Aでの注意点を紹介します。
粉飾決済に関して
建設業は他業種にくらべ粉飾決済が多いといわれています。というのは、建設業界は「建設業会計」という会計方式を用いているためです。
建設業の場合、大型受注案件では完了までに数年かかるようなケースもあるため、その性質を考慮して建設業会計では工事費用を資産として一旦計上します。
会計上の数字だけをみると実態より利益が大きくなるため、結果として粉飾決算が起こってしまったというケースもあるので、売り手企業側はM&A実施前にしっかり確認することが重要です。
経営管理責任者に関して
国土交通省「許可基準の見直しについて(建設業法第7条関係)」 3ー(1)許可基準の見直しについて
建設業許可が認定されるためには、事業者は経営管理責任者の配置が必要です。経営管理責任者の配置は建設業法で定められており、上図のように2体制があります。
一般的に「経営管理責任者のみを配置」という体制が多いですが、ケースによっては「常勤役員+それを直接補佐する者」の体制が必要です。
それぞれの体制には要件があるので、事前に国土交通省HPか同省の問い合わせ先で詳細を確認しておくようにしましょう。
建設業許可の承継はM&A手法により変わる
M&Aでは使用スキームによって権利・義務の承継方法が変わります。中小企業のM&Aで多く用いられるスキームは株式譲渡と事業譲渡ですが、株式譲渡の場合は売り手側の保有する権利・義務が自動的に買い手企業へ引き継がれる包括承継です。
株式譲渡を用いた場合、買い手企業側は特段の手続きを踏む必要はなく、M&A後に事業を行うことができます。一方で事業譲渡は権利・義務は個別承継となるため、たとえば従業員の雇用契約はM&A後に改めて結びなおさなければなりません。
建設事業は手掛ける事業によって必要な建設業許可が異なるため、これまでは事業譲渡を用いると許認可がない状態(空白期間と呼ばれることもある)が生じることもありました。
しかし、2020年行われたに建設業法の改正(第17条の2)で建設業許可の承継に関する制度が新設されたため、現在は事前許可申請していれば建設許可を引き継ぐことが可能です。
ただし、引継ぎに際しては買い手法人が建設業の許可要件を満たしていなければならず、手続きも複雑なので専門家に相談しながら慎重に進めていくようにしましょう。
建設業界のM&A売却・買収事例40選
この章では、建設業界におけるM&A売却・買収の事例を解説します。
①清水建設×丸彦渡辺建設
2023年5月に清水建設が丸彦渡辺建設の株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
丸彦渡辺建設は、総合建設業や不動産の売買・仲介事業、運送業を手掛ける北海道の総合建築会社です。1918年に創業した企業であり、民間工事や官公庁工事を多数手がけています。
買い手企業の概要
清水建設は、建設事業・土木事業・フロンティア事業などを展開する大手ゼネコン会社です。ダム・トンネル・エネルギー施設など、土木構造物の設計・施工や再成工事などを多数手掛け、国内のみならず世界約60カ国での施工実績も持っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、建築事業および土木事業におけるの事業基盤を強化です。清水建設は、丸彦渡辺建設の営業基盤や人的資源と、清水グループのノウハウとをかけ合わせることでシナジーを創出し、建築・土木事業における事業基盤の強化を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
②ナカノフドー建設×トライネットホールディングス
2023年3月にナカノフドー建設がトライネットホールディングスの株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
トライネットホールディングスは、グループで建築工事業・一般土木工事表・リフォーム工事業を行う長野県の企業です。長野県の飯田市を中心に事業を展開しており、同地域に強固な経営基盤を有しています。
買い手企業の概要
ナカノフドー建設は、建設事業や不動産事業を手掛ける大手建設会社です。免振・耐震工事を得意としており、国会議事堂や日本橋など多数の施工実績を有しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、土木事業の強化・拡大です。ナカノフドー建設は、両社のノウハウを共有することで土木事業の強化・拡大を図るととも、全国規模での事業展開を進めて企業価値向上を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
③矢作建設工業×北和建設
2023年3月に矢作建設工業が北和建設の全発行済み株式を取得し、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
北和建設は、マンション・ホテル・福祉施設など建築工事を手掛ける建設会社です。マンション工事を主軸として京都府を中心に関西エリアで事業展開しています。
買い手企業の概要
矢作建設工業は、名古屋市の建設事業や不動産事業などを手掛ける総合建設会社です。 マンション建設や鉄道関連工事を強みとしており、東海エリアを中心に事業を展開しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、事業エリアの拡大および競争力の強化です。現在、矢作建設工業は事業規模の拡大に向けた取り組みを進めており、中長期計画では具体策として事業エリアの拡大や新規技術・サービスの開発などを挙げています。
北和建設の子会社化もその一環によるものであり、商圏拡大などのシナジー発揮が期待できるとの判断からM&Aに至りました。
M&Aスキーム
株式譲渡
④鹿島建設×セントラル・キャヒタル・ホールディングス・PTE・リミテッド
2022年3月に、カジマ・デベロップメント・PTE・リミテッドが、セントラル・キャヒタル・ホールディングス・PTE・リミテッドの全株式を取得して子会社化した事例です。
売り手企業の概要
セントラル・キャヒタル・ホールディングス・PTE・リミテッドは、ビルの賃貸管理を手掛けるシンガポールの企業です。シンガポールの中心的エリアにオフィスビルを1棟持っています。
買い手企業の概要
カジマ・デベロップメント・PTE・リミテッドは大手ゼネコン鹿島建設の連結子会社です。シンガポールに拠点をおき、主にアジア地域での開発事業を統括しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、セントラルが保有しているシンガポール中心業務地区にあるオフィスビルの取得です。鹿島建設は希少性が高い当該物件の取得することで、開発事業における収益性および不動産価値向上を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑤清水建設×日本道路
2022年3月、清水建設が日本道路の普通株式を公開買付けによって取得し、同社を連結子会社化した事例です。
売り手企業の概要
日本道路は建築・土木事業を主軸とし、そのほかにエンジニアリング事業や不動産開発事業などを展開する企業です。
買い手企業の概要
清水建設は大手ゼネコン1社であり、建築工事だけでなくメンテナンスも強みとしている企業です。医療福祉施設の工事受注件数は、国内ゼネコンのなかでトップを誇ります。
M&Aの背景・目的
清水建設が日本道路を子会社化した主な目的は、競争力強化および受注拡大です。清水建設は、顧客・拠点・技術・ノウハウなどを相互活用することによって事業競争力の強化や受注の拡大を目指すとともに、研究開発体制の合理化を図るとしています。
M&Aスキーム
株式公開買付(TOB)
⑥東洋建設による東建サービスなど子会社3社の合併
2022年2月、東洋建設が連結子会社の3社を合併(吸収合併方式)した事例です。合併対象となった3社は、東建サービス・とうけん不動産・東建テクノであり、存続会社は東建サービスです。
存続側企業の概要
存続会社の東建サービスは、建築事業および建物管理事業を手掛ける東洋建設の完全子会社です。なお、合併後は「テクオス株式会社」へと商号を変更しています。
消滅側企業の概要
消滅側企業の東建テクノは建築事業および建物管理事業、とうけん不動産は不動産売買業・不動産賃貸借業・不動産管理業を手掛けており、両社とも東洋建設の完全子会社です。
M&Aの背景・目的
本合併は事業成長と発展が目的であり、新会社となるテクオスはグループにおけるストックビジネスの中核を担います。
東洋建設は、強化戦略である建築事業のReReC®との親和性も高く、協働によるシナジーも期待できるとの判断から3社の合併を決定しました。
M&Aスキーム
合併(吸収合併)
⑦瀧上工業×東京フラッグ
2022年3月に、瀧上工業が東京フラッグの全株式を取得して子会社化した事例です。
売り手企業の概要
東京フラッグは、鋼構造物工事の現場溶接を専門に行う企業として1988年に発足し、現在は自動溶接・手動溶接工事業のほかに土木・建築工事業、鉄骨鋼材の製造・加工などを手掛けています。
買い手企業の概要
瀧上工業は、橋梁・鉄骨などの設計から完成までを一貫して行う専業メーカーであり、同社の鉄骨製作工場はSグレード(鉄骨加工業者の最高位)に認定されています。
M&Aの背景・目的
本M&Aは、溶接技術をより深化させ、主力である鋼構造物製造業のさらなる発展を目指すことが目的です。また、瀧上工業グループで不動産・海外事業を進め、強固な財務基盤を活かし事業ポートフォリオ拡大を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑧東宝ファシリティーズ×シコー
2021年11月、東宝ファシリティーズがシコーの全発行済み株式を取得して子会社化した事例です。
売り手企業の概要
シコーは内装工事業を手掛ける世田谷区の企業です。特に、商業施設の内装工事監理業務を得意としています。
買い手企業の概要
東宝ファシリティーズは東宝の連結子会社であり、設備管理・管理・清掃・建設を中心として総合ビルマネジメント業を行っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの主な目的は建設事業の業容拡大です。東宝ファシリティーズは、建設事業の業容拡大とともに、シナジー発揮による技術力・営業力の強化を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑨ヒノキヤグループ桧家住宅×桧家住宅名古屋
2021年9月、ヒノキヤグループが子会社である桧家住宅と桧家住宅名古屋の合併を行った事例です。両社はともにヒノキヤグループの完全子会社であり、桧家住宅が存続会社、桧家住宅名古屋を消滅会社とする簡易合併(吸収合併)方式で行われました、
存続側企業の概要
桧家住宅はヒノキヤグループの100%子会社です。オリジナルブランド「桧家住宅」シリーズの住宅事業を主軸として、関東エリアを中心に事業を展開しています。
消滅側企業の概要
桧家住宅名古屋は、主力ブランドである桧家住宅のフランチャイズ加盟企業です。主に、注文住宅における請負事業を東海エリア中心に手掛けています。
M&Aの背景・目的
本合併の目的は、ヒノキヤグループ内リソースの集約および再配置と事業運営の効率化です。両社の合併により、営業政策を統一による事業運営の効率化を図り、収益力の向上を目指すとしています。
M&Aスキーム
合併(吸収合併)
⑩ワキタ×グランドアース、九州機械センター
2021年3月、ワキタがグランドアースと九州機械センターの株式をそれぞれ90%取得して子会社化した事例です。
売り手企業の概要
グランドアースは土木機械・建設機械・車輌・発電機・ハウスなどの賃貸業を手掛けています。もう1社の九州機械センターは土木機械・建設機械・土木資材などの販売および機械などの修理を行っている会社です。
買い手企業の概要
ワキタは、土木・建設機械、荷役運搬機械などの販売と賃貸事業などを全国展開している企業です。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は事業エリアの拡大です。ワキタは、福岡県に位置するグランドアースと九州機械センターの子会社化により、九州北部地域における事業拡大とシナジー効果が期待できるとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑪高松建設×大昭工業
2021年2月、高松建設が大昭工業の全発行株式を取得して、同社を完全子会社化した事例です。
売り手企業の概要
大昭工業株式会社は、土木・建築・リフォーム事業などを大阪府を中心エリアとして展開しています。
買い手企業の概要
髙松建設は、ビル・向上・賃貸マンションなどの企画開発および設計・施工を一貫で手掛ける企業で、コントラクショングループの連結子会社にあたります。
M&Aの背景・目的
本M&Aによって、高松建設は建設工事の受注数増加と、⼤昭⼯業が持つ不動産を生かして投資成果向上を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑫飛島建設×アクシスウェア
2021年2月、飛島建設がアクシスウェアの全発行済み株式を取得して同社を子会社化した事例です
売り手企業の概要
アクシスウェアは、ITシステム開発および保守事業を行っており、技術力の高さと企画開発力を強みとする2006年創業の企業です。
買い手企業の概要
飛島建設は、トンネル工事など土木を主体とする中堅ゼネコン企業です。阪神淡路大震災後からは防災工事主体へと企業変革しており、現在は「防災の飛島」と呼ばれるほど、高い防災技術に強みを持っています。
M&Aの背景・目的
飛島建設はアクシスウェアの高い技術力に着目し、経営課題であるデジタルトランスフォーメーションによる次世代型事業体制の構築を目的して本M&Aに至りました。さらには建設分野以外にもデジタルソリューションを提供し、事業領域を拡大していくとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑬TAKUMINOホールディングス×木戸建設
2021年1月、TAKUMINOホールディングスが木戸建設の創業家が持つ株式全てを取得して子会社化した事例です。
売り手企業の概要
木戸建設は宮城県を中心に土木工事業を行っており、高い建設技術力に定評のある企業です。
買い手企業の概要
TAKUMINOホールディングスは、土木建設事業や鋼構造物製造業などを行う事業会社の持株会社です。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、東北エリアにおける社会資本の老朽化対策および木戸建設の事業承継(後継者不在による)です。
東北地方に強い基盤を持つTAKUMINOホールディングスは、本M&Aにより木戸建設と既存グループきぎょうとのシナジー効果を発揮を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑭東京エネシス×日立プラントコンストラクション
2021年1月、東京エネシスが日立プラントコンストラクションが展開する事業の一部(火力発電に関連する事業)を会社分割で承継した事例です。
売り手企業の概要
日立プラントコンストラクションは、火力発電所にて発電機などの据付工事やプラント設計・施工などを行う建設会社です。
買い手企業の概要
東京エネシスは、発電所や変電所の電力設備工事を中心に手掛ける建設会社です。電力のほかにも、原子力や火力、再生可能エネルギーなど幅広い分野で事業を行っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aは、対象事業における日立プラントコンストラクションの持つ技術や優秀な人材の取得が目的です。東京エネシスは、本M&Aにより生産性の向上とグローバルな事業展開が可能になるとしており、施工力のさらなる強化を図るとしています。
M&Aスキーム
会社分割(簡易分割)
⑮ナガワ×鳥海建工
2020年10月、ナガワが鳥海建工の全株式を取得して完全子会社化した事例です。
売り手企業の概要
鳥海建工は、埼玉県を中心に倉庫・店舗・戸建住宅の工事請負など総合建設業を行っている会社です。
買い手企業の概要
ナガワは、全国展開でユニットハウス事業、モジュール・システム建築事業、建設機械事業を行っています。
M&Aの背景・目的
ナガワはモジュール・システム建築事業を経営戦略の重点領域に挙げており、本M&Aは当該事業の強化が目的です。本M&Aにより、モジュール・システム建築事業の体制強化およびグループの事業基盤拡大を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑯コニシ×山昇建設
2020年7月、コニシが山昇建設の株式91%を取得して子会社化した事例です。
売り手企業の概要
山昇建設は愛知県にある土木工事会社です。東海地方を中心に事業展開しており、高い技術力と多数の施工実績を持っています。
買い手企業の概要
コニシはボンド事業を主軸とする企業です。ボンド事業のほかにも土木建設事業や化成品事業など、幅広い事業を展開しています。
M&Aの背景・目的
コニシは、成長戦略の柱のひとつに土木建設事業を挙げており、本M&Aも当該事業の強化が主な目的です。本M&Aにより、コニシは土木建設事業の強化を図り、自社の営業ネットワークや材料・施工力とのシナジー効果を発揮させ、収益拡大を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑰OCHIホールディングス×長豊建設
2020年7月に、OCHIホールディングスが長豊建設の全株式を取得して完全子会社化した事例です。
売り手企業の概要
長豊建設は長野県にある土木工事会社であり、公共事業の土木工事を中心に請け負っています。
買い手企業の概要
OCHIホールディングスは、建材事業、環境アメニティ事業、加工事業、エンジニアリング事業などを行う事業会社の持株会社です。
M&Aの背景・目的
本M&Aの主な目的は、OCHIホールディングスの中部地区における事業拡大です。OCHIホールディングスは、既存の建材事業と長豊建設の土木工事業とのシナジー効果を見込んでおり、グループの持続的成長につなげていくとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑱ヤマダ電機×レオハウス
2020年5月、ヤマダ電機がナックの傘下企業であるレオハウスの株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
レオハウスはレンタル事業を手掛けるナックの傘下会社であり、注文住宅の建設請負事業を行っています。レオハウスは、自由設計住宅やローコスト住宅の建設を強みとする企業です。
買い手企業の概要
ヤマダ電機は家電量販店の運営事業を主軸とし、モバイル事業や家電設置工事業、住宅・不動産事業などさまざまな事業を展開する企業です。近年はオリジナル製品の開発やスマートハウスなどの事業にも力を入れています。
M&Aの背景・目的
本M&Aにより、ヤマダ電機の既存事業とレオハウスの住宅事業とのシナジーを創出させ、ヤマダ電機が現在展開している住宅・リフォーム・家具を扱う「家電スマイル館」の展開を加速化を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
⑲前田建設工業×前田道路
2020年3月、前田建設工業が前田道路をTOB(公開買付け)によって子会社化した事例です。なお、本M&Aは前田道路が反対の意思を表明していたため敵対的買収というかたちで成立しています。
売り手企業の概要
前田道路は、道路整備工事や建設工事を主な事業としており、なかでもアスファルト舗装を強みとする企業です。
買い手企業の概要
前田建設工業は、土木建築工事の請負などをトータルで行う準大手ゼネコン会社です。ダムやトンネル建設などの土木事業を得意としており、多くの実績を有しています。
M&Aの背景・目的
TOB(公開買付け)以前より前田建設は前田道路の筆頭株主として24.68%(議決権割合)の株式を保有していました。本M&Aの目的は安定した高収益基盤の確立でしたが、前田道路はTOB(公開買付け)に反対の意思を表明していたため、敵対的買収というかたちで成立しています。
また、前田建設が行ったTOB(公開買付け)は完全子会社化を目指すものではなく、株式の過半数取得が目的です。TOB(公開買付け)の成立により、前田建設の株式保有率は24.68%(議決権割合)から51.29%へとなりました。
M&Aスキーム
TOB(公開買付け)
⑳小野建×森田鋼材
2019年10月、小野建が森田鋼材の全発行済み株式を取得し、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
森田鋼材は、大阪府門真市を拠点に、京阪神エリアの中堅・中小建設会社に対し、鉄筋コンクリート用異形棒鋼の加工、販売、施工を手がける地域密着型の優良企業です。1951年の創業以来、堅実な経営で仕入先や外注先から高い信頼を得ています。
買い手企業の概要
小野建は鉄鋼・建材を専門に扱う商社であり、1949年に小野建材社として発足してから「顧客第一」「地域密着」を理念に掲げて事業を展開しており、鉄鋼流通業界でのシェア1位を誇ります。
M&Aの背景・目的
小野建は、森田鋼材における⾧年の経験から醸成された技術やノウハウ、優良な顧客基盤および外注取引先との友好関係に魅力を感じ、小野建グループのさらなる飛躍が可能になると判断して本M&Aに至りました。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉑サーラ住宅×宮下工務店
2019年6月、サーラ住宅が宮下工務店の全発行済み株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
宮下工務店は、注文住宅の請負や土地分譲などの販売を手掛ける静岡県浜松市の企業です
買い手企業の概要
サーラ住宅は、主に、愛知県や静岡県西部などで注文住宅の請負・施工などを行う企業です。サーラコーポレーション傘下であり、グループのハウジング事業において中核を担っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的はサーラ住宅における浜松エリアの事業基盤強化です。サーラ住宅は中長期計画のひとつに「事業基盤強化」を挙げており、宮下工務店を子会社化することで同社が保有する浜松エリアの集客経路や用地調達力を活かし、当該エリアでの事業基盤強化を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉒不二サッシ×日本防水工業
2019年5月、不二サッシが日本防水工業の株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
日本防水工業は、首都圏エリアを中心としてビルやマンションの塗装工事や設備工事などを行う企業です。耐震工事や設備工事を得意としており、高い技術力と対応力を持っています。
買い手企業の概要
不二サッシは、建築材料の製造・販売・施工事業や各種アルミニウム製品の施工事業などを手掛ける企業です。主にビル・住宅用のサッシ類、エクステリア商品などを製造販売しています。
M&Aの背景・目的
不二サッシは、中期経営計画の注力事業にで窓改修を中心とするリニューアル事業を挙げており、日本防水工業の取得もその一環によるものです。不二サッシは日本防水工業の子会社化により、トータルリニューアル工事の施工体制構築を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉓京成電鉄×式田建設工業
2019年4月に京成電鉄が式田建設工業の全発行済み株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
式田建設工業は、建設・土木・改修工事を手掛ける千葉県の会社です。民間事業所だけでなく官公庁舎の工事実績も多数保有しており、幅広い範囲の建築工事を請け負っています。
買い手企業の概要
京成電鉄は鉄道業を主軸としており、グループでは不動産事業・建設事業・百貨店事業など幅広い領域で事業を展開しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、事業の多角化による収益基盤強化です。京成電鉄は人口減少で鉄道事業の伸び悩みが想定されるなか、事業の多角化による収益基盤安定及び強化を進めており、本M&Aもその一環として行われました。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉔西部ガス×吉川工務店
2019年2月、西部ガスが吉川工務店および関連会社である吉祥開発の全株式を取得してして、両社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
吉川工務店は、分譲マンション・賃貸マンション・教育施設・福祉施設など、幅広い施工に対応する建設会社で、福岡県の都市部を中心として事業を展開しています。一方の吉祥開発は不動産売買や仲介業務を手掛ける会社です。
買い手企業の概要
西部ガスは都市ガスの製造販売および供給、 液化天然ガスの販売などを手掛ける企業です。グループでは、これまでも連結子会社であるエストラストや九州八重洲の住宅建築業、西部ガス興商の不動産賃貸業などといった、不動産事業に取り組んでいます。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、西部ガスグループにおける不動産関連事業の業容拡大です。西部ガスグループは吉川工務店の取得によって事業に総合建設業が加わることで、既存の不動産関連事業の業容拡大に期待できるとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉕戸田建設×佐藤工業
2018年12月、戸田建設が佐藤工業の全発行済み株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
佐藤工業は福島県の総合建設会社です。1948年の創業以来、多数の施工実績を積み上げています。
買い手企業の概要
戸田建設は、建築・土木における一式工事の調査・施工までトータルで行う準大手ゼネコンです。なかでも、福祉施設や医療施設などの建築実績を豊富に有しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、東北地域での事業基盤確立および市場シェアの獲得です。戸田建設は佐藤工業の子会社化によって、さらなる事業成長を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉖アサノ大成基礎エンジニアリング×三協建設
2018年10月、アサノ大成基礎エンジニアリングが三協建設の株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
三協建設は、土木・建設、上下水道管の工事を行う静岡県の会社です。
買い手企業の概要
アサノ大成基礎エンジニアリングは、建築や土木、地盤防災などの事業を手掛ける企業です。土木・建築分野の計画から設計施工、管理までを一貫提供できる点に強みを持っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、建築分野におけるソリューション提供体制の充実です。三協建設の子会社化により建設分野でのさらなる事業拡大を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉗オープンハウス×ホーク・ワン
2018年10月、オープンハウスはホーク・ワンの発行済株式を取得し、その後オープンハウスを完全親会社とする株式交換を行い、ホーク・ワンを完全子会社しました。
売り手企業の概要
ホーク・ワンは、建設工事などの施工事業、不動産の売買・仲介事業を手掛ける企業です。首都圏・名古屋エリアを中心に住宅分譲事業を展開しています。
買い手企業の概要
オープンハウスは、不動産の仲介事業、新築戸建の分譲事業、不動産投資事業などを行っています。グループ内で不動産用地の仕入から建設・販売までの一貫提供サービスを行える点が強みです。
M&Aの背景・目的
オープンハウスは、中期経営計画において主軸である戸建関連事業の競争力強化を挙げています。事業エリア拡大・開発および建設力の強化を進めており、本M&Aもその一環として行われたものです。
オープンハウスはホーク・ワンの子会社化で事業エリアを拡大し、グループ経営の促進を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡、株式交換(簡易株式交換)
㉘淺沼組×SINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR PTE. LTD.
2018年10月、淺沼組がシンガポールのSINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR PTE. LTD.の株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
SINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR PTE. LTD.は、建物外壁塗装・修繕を専門に行うシンガポールの企業です。
買い手企業の概要
淺沼組は民間建築・工事を専門的に行う建設会社です。大阪を中心として全国で事業展開しており、官公庁建設での工事実績も多数持っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、海外エリアへの事業進出です。淺沼組はリニューアル事業に力を入れており、海外での事業展開も目指しています。本M&Aはその足掛かりとして行われたものであり、SINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR PTE. LTD.の取得により、アセアン地域での事業展開を目指します。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉙大盛工業×井口建設
2018年9月、大盛工業が井口建設の全株式を取得し、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
井口建設は、土木工事業と不動産事業を手掛ける山梨県の企業です。主に下水道・道路改良・河川の公共工事を手掛けており、多数の実績を保有しています。
買い手企業の概要
大盛工業は上下水道工事を主軸とする建設会社です。都内を中心として事業展開しており、上下水道工事など土木工事のほか、不動産事業も手掛けています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、事業基盤の強化・拡大および収益力向上です。大盛工業グループは、井口建設の子会社によって事業基盤の強化・拡大を図り、収益力および企業価値の向上を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉚住友林業×Crescent Communities, LLC
2018年5月、住友林業が米Crescent Communities, LLCの本社部門・商業複合開発事業・戸建分譲事業・集合住宅開発事業・が移管される新設会社の持分を取得して、子会社化した事例です。
なお、本M&Aは住友林業の100%出資子会社であるSumitomo Forestry America, Inc.を通じて行われました。
売り手企業の概要
Crescent Communities, LLC社は、アメリカで事業を行う総合不動産会社で、戸建て住宅や集合住宅などの開発事業をノースカロライナ州やワシントンD.C.で展開しています。
買い手企業の概要
住友林業は林業・不動産事業・住宅事業などを主力としている企業です。住生活にかかわるさまざまな事業を国内外で展開しており、緑化事業や木化事業など資源活動事業にも力をいれています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、住友林業の住宅・不動産事業の強化拡大および発展です。住友林業は、本M&Aで取得した商業施設開発および集合住宅事業の優良なプラットフォームを活用し、アメリカ国内での事業拡大を推進していくとしています。
M&Aスキーム
持分譲渡
㉛安江工務店×トーヤハウス
2018年5月、安江工務店はがトーヤハウスの株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
トーヤハウスは、建築業・リフォーム業・不動産仲介業を手掛ける熊本県の企業です。熊本県およびその周辺地域を中心に事業を展開しており、住宅や商業店舗など多数の施工実績を有しています。
買い手企業の概要
安江工務店は、住宅リフォーム事業や不動産流通事業などを手掛ける愛知県の企業です。愛知県や兵庫県を主な事業エリアとしており、高いデザイン力と自然素材を活かした住宅造りを強みとしています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの主な目的は、事業拡大と企業価値向上です。安江工務店はトーヤハウスとは事業の親和性が高く、また地域密着型で成長してきた企業であることや震災復旧工事の需要に対応できる体制が構築されていることなどから、企業価値向上と事業規模の拡大が見込めるとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉜サンユー建設×行方建設
2018年4月、サンユー建設が行方建設の全発行済み株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
行方建設は型枠工事を手掛ける豊島区の企業です。高い技術力を持ち、大手建設会社の下請け業務を主に請け負っています。
買い手企業の概要
サンユー建設は、建設事業や不動産事業などを手掛ける企業です。建設事業ではマンションや中規模オフィスビルなどを主に手掛けており、企画から施工までの一貫受注できる体制を構築しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、競争力強化および収益力向上です。サンユー建設は行方建設の技術力を生かしてグループの競争力を図り、収益力の向上を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉝日本コンクリート工業×フリー工業
2018年1月、日本コンクリート工業がフリー工業の株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
フリー工業は、土木分野の工事や建設資材の販売を行う台東区の企業です。土木事業では、法面工事・道路拡幅工事・擁壁工事などを主に手掛けています。
買い手企業の概要
日本コンクリート工業は、コンクリート製品の製造・販売を手掛ける企業です。電柱などのポール製品や基礎杭などのパイル製品、コンクリート擁壁などさまざまなコンクリート製品の製造・販売を行っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、技術力と開発力の融合によるシナジー効果の創出です。日本コンクリートは、互いのノウハウや技術力を活用することで、大きなシナジー発揮に期待できるとし、本M&Aに至りました。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉞パナソニック×松村組
パナソニックが松村組の全株式を取得して完全子会社化した事例です。本M&Aはまず2017年12月にパナソニックが松村組の発行済み株式の過半数を取得し、2018年に残りの株式を取得するかたちで行われました。
売り手企業の概要
松村組は1894年に創業した建設会社であり、建設工事の企画設計・管理および請負、建設コンサルタント業などを手掛けています。
買い手企業の概要
パナソニックは、高い企画設計力と先進技術を強みする大手電機メーカーです。主軸である家電製品の製造販売業のほか、住宅設備分野や車載分野にも力を入れています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、住宅部門を事業拡大および強化です。パナソニックは、松村組の技術力やノウハウと自社の先進技術を融合させることで、付加価値の高い住空間を提案が可能となるとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㉟大林組と大林道路のM&A
2017年5月、大林組が大林道路をTOB(公開買付け)により完全子会社化した事例です。
売り手企業の概要
大林道路は、道路の舗装工事や建築工事などの請負事業を手掛ける会社です。
買い手企業の概要
大林組は、国内外で建設工事や地域開発の事業などを行うスーパーゼネコンです。建築・土木事業のほか、不動産事業やコンサル手キング事業などさまざまな事業をグループで展開しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、大林道路の完全子会社化です。もともと大林組は大林道路の株式41.67%(議決権割合)を所有していましたが、グループ経営の自由度や生産性の向上をより高めることを目的として、TOB(公開買付け)により完全子会社化を行いました。
M&Aスキーム
TOB(公開買付け)
㊱トヨタホーム×ミサワホーム
2017年1月、トヨタホームがミサワホームの株式を過半数取得して、同社を連結子会社化した事例です。なお、本M&AはTOB(公開買い付け)と第三者割当増資の2つの手法で行われました。
売り手企業の概要
ミサワホームは戸建て住宅の建設・販売や不動産仲介事業、リフォーム事業などを手掛ける会社です。
買い手企業の概要
トヨタホームは、戸建て住宅や賃貸住宅などの建設・販売を行うトヨタグループの企業です。
M&Aの背景・目的
2005年からトヨタホームとミサワホームは資本提携関係にありましたが、今後さらに事業を成長させていくためには協力関係の強化が不可欠との判断から本M&Aに至りました。
ミサワホームの財務基盤強化を図りつつ既存事業間での連携を加速させ、さらなる事業成長と企業価値向上を目指すとしています。
M&Aスキーム
TOB(公開買い付け)、第三者割当増資
㊲長谷工コーポレーション×総合地所
2015年5月、長谷工コーポレーションが総合地所の発行済み株式99%を取得して子会社化した事例です。なお、総合地所の残り1%の株式は、長谷工コーポレーション傘下の不二建設が取得しています。
売り手企業の概要
総合地所は、グループ内で不動産ソリューション事業・マンション管理事業・賃貸管理事業などを展開しています。
自社ブランドマンション「ルネシリーズ」を首都圏エリア・近畿エリアを中心に販売しており、マンション関連事業に豊富な独自ノウハウを持っています。
買い手企業の概要
長谷工コーポレーションは大手ゼネコンであり、新築マンションの施工事業やマンション管理事業を手掛けています。関東エリアを中心にマンション開発を手掛けており、業界トップのマンション建築実績を持っています。
M&Aの背景・目的
長谷工コーポレーションは、マンション管理などの関連事業や建設関連事業をグループの主軸としており、本M&Aは当該事業の拡大が目的です。
両社の技術力やノウハウをかけ合わせることによりシナジーを発揮差で、さらなるサービス拡充と企業価値向上を目指すとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㊳タカラレーベン×日興建設
2014年10月、タカラレーベンが日興建設の全発行済み株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
日興建設は、建設工事業や不動産管理を手掛ける企業です。建設事業では、主に地主からの受注による工事を請け負っています。
買い手企業の概要
タカラレーベンは、自社ブランドマンションや新築分譲住宅の開発・販売事業などを手掛ける企業です。マンションの開発から分譲・管理までをグループ内で一貫受注できる体制を構築している点が強みであり、再開発事業にも多く参画しています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、安定した建築工事の発注先確保および横浜エリアでの情報収集力強化です。タカラレーベンは、横浜エリアに広いネットワークを持つ日興建設を傘下とすることで、建築工事の安定した受注先を確保するとともし、不動産管理事業のストックビジネス拡大を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㊴ラックランド×ニイクラ電工
2013年8月、ラックランドがニイクラ電工の全発行済み株式を取得して、同社を子会社化した事例です。
売り手企業の概要
ニイクラ電工は、電気工事や冷暖房・管工事などの設計・施工を手掛ける神奈川県の企業です。スピーディーな対応力と高い技術力を強みとしています。
買い手企業の概要
ラックランドは、商業施設や店舗、食品工場など「食」にかかわる施設の企画制作を主軸とする企業です。企画段階から設計・施工までをトータルで行っています。
M&Aの背景・目的
本M&Aの目的は、業容拡大です。ラックランドは、ニイクラ電工の子会社化によって電気工事における直工事の受注割合を高め、業容の拡大を図るとしています。
M&Aスキーム
株式譲渡
㊵安藤建設×間組
2013年4月に安藤建設と間組が行った合併事例です。本合併は、間組を存続会社・安藤建設を消滅会社とする吸収合併形式で行われました。
存続側企業の概要
間組は、ダム・橋梁・トンネルなどの土木工事全般に強みのある中堅ゼネコンです。なかでもダムの工事実績は業界トップクラスであり、黒部ダムなど国内多くのダム工事を手掛けています。
消滅側企業の概要
安藤建設は、工場や中高層ビルの建築を得意とする中堅ゼネコンであり、土木事業・建築事業・不動産事業などを展開しています。
M&Aの背景・目的
本合併の目的は、経営合理化および効率化を図ることです。両社は持続的な成長のためは経営統合による経営の合理化および効率化、事業規模拡大が有効であると判断し、本合併に至りました。合併後の新社名は「安藤・間」であり、経営統合による収益力を強化を目指すとしています。
M&Aスキーム
合併(吸収合併方式)
建設・建築業界のM&A案件一覧
本章では、建設・建築業界におけるM&A案件として、3つのケースをご紹介します。
地場に愛される建設会社
東海エリアで販売用土地を複数保有し、地場に愛される建設会社です。60年以上にわたる実績を基盤に高い技術力を持つ企業地元では名の知れた企業です。地域では親子2代にわたっての利用も多く、口コミでのつながりもあります。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
売却希望額 | 5,000万円〜1億円 |
譲渡希望理由 | 後継者不足(事業承継) |
建設業(マンション・個人住宅・医療施設・学校・介護施設等)
甲信越地方で有資格者が多数在籍する、建設業(マンション・個人住宅・医療施設・学校・介護施設等)です。マンション、個人住宅から介護施設、病院まで、顧客のニーズに応じて幅広く建築対応を行っています。自社で土地在庫を抱え、個人住宅、賃貸住宅、福祉施設等建設のための造成・開発・販売を行っている点も強みです。
売上高 | 25億円〜50億円 |
売却希望額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望理由 | 後継者不足(事業承継) |
【総合建設業】首都圏・沖縄地域で様々な工事に対応可能
米軍基地内の設備工事を継続的に受注している企業です。大手ゼネコン、大手ハウスメーカー等と工事取引の基本契約を締結しており、安定取引があります。
売上高 | 25億円〜50億円 |
売却希望額 | 7.5億円〜10億円 |
譲渡希望理由 | 戦略の見直し |
建設業界のM&A動向のまとめ
建設業界では、今でこそM&Aの事例が増えていますが、元来、M&Aとの相性が良くないため、なかなかM&Aが一般化しませんでした。しかし、近年は、異業種からの建設業界進出や、建設業界から異業種への進出が盛んになり、それに伴ったM&Aが増えています。
中堅の建設会社が事業承継などを目的としてM&Aを行うケースも増加中です。慢性的な人手不足にある建設業界は、解決手段の1つとしてM&Aを用いることが、今後ますます増えるでしょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。