M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2022年6月6日更新業種別M&A
病院/医療法人の事業譲渡・売却事例12選!おすすめ相談先は?
病院や医療法人が事業譲渡・売却といったM&Aを実施するケースが増えています。ただ、病院や医療法人は普通の株式会社とは勝手が違っており、様々な知識や専門家のサポートが必要です。今回は病院や医療法人の事業譲渡・売却事例をご紹介しつつ、ポイントをお伝えします。
目次
病院/医療法人の事業譲渡・売却
最初に病院や医療法人の事業譲渡・売却について説明していきます。
病院/医療法人とは
最初に病院と医療法人の定義についておさらいしていきます。
まず、病院の定義は「患者の病気やケガを治療し、収容する施設」です。
これに対し、医療法人は「病院や診療所、介護施設などを解説・所有するための法人」となっています。
つまり、病院は治療・入院などをする施設それ自体を指しますが、法人は病院のみならず診療や介護施設を開設・所有する経営母体を指しているわけです。
基本的に病院は個人でも運営が可能ですが、それでは資金面で限界を迎えたり、複数の施設を抱えることが難しくなるようなことがあり得ます。そのため、医療法人として法人化することで経営をより安定化させることができるようになります。
事業譲渡・売却とは
事業譲渡・売却とは文字通り会社の事業を他の会社に売る行為のことを指します。
この行為に該当するのは、M&Aスキームの一つである「事業譲渡」です。
事業譲渡は資産として会社の事業を売買するスキームであり、様々な場面で用いられます。事業譲渡による売却は資金を獲得できるだけでなく、組織再編や事業承継を行ううえでも役立ちます。
また、病院や医療法人のように株式を持たない事業・法人でも、事業譲渡ならM&Aができるようになります。
病院/医療法人の事業譲渡・売却のポイント
病院や医療法人が事業譲渡・売却を行う際のポイントには以下のようなものがあります。
- 1.スキームにより手続きが難しくなる
- 2.医師・看護師の雇用
- 3.許認可の引き継ぎ・申請
- 4.譲受先・買い手が限定される
- 5.施設・設備の引き継ぎにも注意が必要
1.スキームにより手続きが難しくなる
事業譲渡に限らず、M&Aはスキームによって手続きが難しくなる点には注意しておきましょう。
とりわけ事業譲渡のプロセスはスキームの中でも一際煩雑で、時間がかかる傾向があります。なぜなら事業譲渡は契約・許認可などが白紙になるうえに、承継するものを協議して決める必要があるからです。
もし手続きが難しくなると予期せぬコストがかかるうえに、時間を浪費してしまう恐れがあります。そうなると事業譲渡を継続する体力を失ってしまうことにもつながるでしょう。
そうならないためにも、スキームをよく理解し、計画的にプロセスを遂行できるように準備しておくようにしましょう。
2.医師・看護師の雇用
病院や医療法人の事業譲渡で注意しておきたいのが医師・看護師の雇用です。
事業譲渡は経営主体が変わるスキームであるため、実行すると雇用契約が一度消滅するようになっています。
ここで注意すべき点は「人材の流出」です。病院や医療法人の事業譲渡に限らず、M&Aは反対する従業員が流出するリスクをがつきまといます。もしM&Aに反発して従業員が大量に離職すれば、経営統合が上手く進まなくなるでしょう。
そのような事態を防ぐうえでも、事業譲渡を行う際には医師・看護師の雇用には注意しておきましょう。もし事業譲渡・売却に反対する者がいた際には説得材料も用意しておくことがおすすめです。
3.許認可の引き継ぎ・申請
さきほども触れましたが、事業譲渡を実行すると許認可が白紙になるため、許認可の引き継ぎや申請が必要になります。
事業譲渡を実行すると病院はもちろん、医療法人が所有する介護施設なども許認可の引き継ぎや届け出が必要になります。このプロセスはそれなりに時間がかかるものであり、場合によっては数ヶ月も費やすこともあります。
そのため、スケジュールの設定には注意しておきましょう。もしスケジューリングを行うのであれば余裕をもって日程を組むように心がけておくことです。
4.譲受先・買い手が限定される
病院や医療法人の事業譲渡・売却を行う場合、譲受先・買い手が限定される点には注意しておきましょう。
病院も医療法人も一般的な事業とは違い、非常に専門性・特殊性が高いものです。そのため、経営や業務の遂行にあたって独自のノウハウが必要になります。加えて病院や医療法人は医療を扱うものであるため、公共性も非常に高くなっています。
ただ、病院や医療法人を運営できるだけのノウハウを持つ譲受先・買い手は決して多くありません。そのため、条件が合うことに加え、信頼できる相手を見つけるには相応の労力が必要です。
5.施設・設備の引き継ぎにも注意が必要
施設・設備の引き継ぎにも注意しておきましょう。
事業譲渡を実行すると契約や許認可以外にも不動産などの手続きも必要になることがあります。例えば、事業譲渡を通じて不動産を移転する場合、変更登記を行わなければならなくなるといった具合にです。
病院・医療法人の場合、事業譲渡を完了した際に施設や設備の移転を行うことは充分に考えられます。そしてその際に登記などの行う必要性が出てくることがあるでしょう。
もしこれらの手続きが滞ると、経営統合後に事業を継続できなくなる恐れがあります。そうなれば患者にも深刻な影響を及ぼすことにもなるため、注意しておきましょう。
病院/医療法人の事業譲渡・売却の際におすすめの相談先
病院や医療法人が事業譲渡・売却を行う際、相談先としては以下のようなところが活用できます。
- 1.M&A仲介会社
- 2.地元の金融機関
- 3.地元の公的機関
- 4.地元の会計士・税理士・弁護士など
- 5.マッチングサイト
1.M&A仲介会社
M&Aを行うのであれば、M&A仲介会社がまず思いつく相談先でしょう。
2.地元の金融機関
地元の金融機関は経営に関する知識や、地元の企業とのネットワークを持っており、おすすめできる相談先の一つです。
最近は事業譲渡・売却のみならず、様々なM&Aに地元の金融機関が貢献しているケースが増えています。中には実績が認められて表彰された金融機関もあります。
他方で、M&A仲介会社が金融機関と連携していることもあります。このようなケースだと、両社が持つネットワークやノウハウを組み合わせてサポートしてくれるため、より手厚い支援を受けることができます。
そのため、金融機関と連携しているM&A仲介会社にサポートを依頼するのも有益な選択肢です。
3.地元の公的機関
事業引継ぎ支援センターや商工会議所といった地元の公的機関もおすすめできる相談先です。
公的機関は営利団体ではないため、社会的信用が高く、安心して使える点が最大のメリットです。
公的機関は事業承継目的のM&Aの支援を重視しているため、後継者不在に悩む経営者にとっては頼りになるパートナーになり得るでしょう。
また、公的機関はM&A仲介会社のような専門家の紹介も行っています。公的機関なら安心して利用できるM&A仲介会社を紹介してもらえる可能性が高くなっています。
4.地元の会計士・税理士・弁護士など
地元の会計士・税理士・弁護士などのような士業は、様々な専門的な知識を駆使して事業譲渡・売却を支援してくれます。
M&Aや事業承継にこれらの士業が関わるケースは珍しくなく、中には会計士や税理士が運営しているM&A仲介会社もあります。
さきほどご紹介したM&A仲介会社の中にも、士業が運営、あるいは提携している業者はいるため、ぜひ探してみてください。
5.マッチングサイト
M&A仲介会社が運営しているマッチングサイトは売り手・買い手を探すうえで役立ちます。
マッチングサイトの強みはその手軽さであり、その気になれば交渉を全てインターネット上で完結できる可能性もあります。また、売り手であれば料金が無料になっていることが多いのも魅力的です。
ただ、マッチングサイトはM&A仲介会社のような専門家のサポートなしで交渉を進めなければならないこともあります。もちろん専門家のサポートを得られるサービスを提供しているサイトもありますが、追加料金が発生するため注意しましょう。
病院/医療法人の事業譲渡・売却の際の相談先の選び方
病院や医療法人の事業譲渡・売却の相談先の選び方には以下のようなポイントがあります。
- 1.過去に病院/医療法人の事業譲渡・売却の実績がある
- 2.適切なスキームを提案する
- 3.費用等が分かりやすい
- 4.事業譲渡・売却先を紹介できる
- 5.担当者との相性が良い
1.過去に病院/医療法人の事業譲渡・売却の実績がある
やはり病院や医療法人の事業譲渡・売却を相談するなら、実際に同様の案件を手掛けた実績の有無は重要でしょう。
さきほども触れましたが、病院や医療法人のM&Aは専門性が高いうえに、通常の株式会社が実行する場合と異なる点が多いものです。経験や実績が乏しい相談先では満足なサポートを受けられないことがあります。
そのため、なるべく病院や医療法人の事業譲渡・売却の実績がある相談先に絞って探した方がいいでしょう。
2.適切なスキームを提案する
クライアントに適切なスキームを提案してくれる相談先は優秀である傾向があります。
そもそもM&Aは会社や事業の内情に合わせてスキームを選ぶものであり、決まったテンプレートを用いるものではありません。そのため、相談先にはクライアントの会社や事業を多角的に分析し、適切なスキームを設計できる技量が求められます。
求める技量を持つ相談先であるかどうかを見抜くには、なるべく綿密にスキームについて相談することがおすすめです。もし相談先の提案に納得ができなければ、セカンドオピニオンを得るなどして、幅広い相談先から意見をもらうようにしましょう。
3.費用等が分かりやすい
金銭的な負担が気になるなら、相談先の費用等が分かりやすいかどうかも確認しましょう。
M&Aの専門家は業種によって費用の設定がバラバラであり、少し相談しただけでも費用が発生することもあれば、事業譲渡・売却が成功しない限り費用が一切発生しないこともあります。つまりどの専門家に依頼するかによって負担が大きく変わります。
限られた予算でサポートを依頼するなら、相談先の費用等の設定がわかりやすいことに加え、無駄な負担が発生しないかどうかをチェックしておくようにしましょう。
4.事業譲渡・売却先を紹介できる
条件の合う事業譲渡・売却先を紹介できる相談先もおすすめです。
業者によりますが、専門家の中には独自のネットワークを有しており、豊富なM&A案件を抱えているケースがあります。このような専門家であれば事業エリア外や同業者とのつながりも多く持っているため、理想的な事業譲渡・売却先を見つけられる可能性が高まります。
5.担当者との相性が良い
恐らく相談先を探すうえで、何より重視すべきは「担当者との相性が良い」という点です。
事業譲渡・売却の相談は人と人が行うことである以上、相性が良くなければ話が進みません。依頼する側とされる側の相性が悪ければ、相談どころか事業譲渡・売却の話をすること自体難しくなるでしょう。
また、事業譲渡・売却は病院や医療法人の今後を左右する大事なことです。経営者にとって将来を左右することといっても過言ではないため、本音でしっかり話せる相手でなければサポートを託すことはできません。
だから自分の担当者が将来を託すに値する相手かどうか、経営者はしっかり見極める必要があります。
病院/医療法人の事業譲渡・売却の際におすすめのM&A仲介会社
病院や医療法人が事業譲渡・売却をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所はさまざまな業界・業種のM&A成約実績を有しており、アドバイザーによる専任フルサポートを行っています。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
まとめ
病院や医療法人は社会的公共性が高く、患者などのこと考えると存続が何よりも優先されます。
そんな病院や医療法人の経営不振・後継者不在といった存続を左右する問題の解決には、事業譲渡・売却が有効的な手段だといえます。
病院や医療法人のM&Aは特殊性・専門性が高いため、専門家の協力をを受けるのがベストです。
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M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬制
- 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
- 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
- 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。