2021年4月24日更新節税

累進税率とは?所得税・相続税・贈与税ごとにわかりやすく解説

累進課税とは、対象の金額が大きくなるほどより高い税率を課する課税方式のことで、このときの税率を「累進税率」といいます。累進税率の仕組みついて知ることで、節税対策につながるため、経営者であれば把握しておく必要があります。ここでは、累進税率について説明します。

目次
  1. 累進課税と累進税率
  2. 累進税率の基礎知識
  3. 累進税率が採用されている税金
  4. まとめ
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累進課税と累進税率

累進課税と累進税率

累進課税とは、課税対象の金額が大きくなるほど、より高い税率を課する課税方式のことです。この制度下における税率を「累進税率」といい、税務をこなす際は把握しておく必要があります

また、累進税率を把握しておくことで税金をどれだけ支払うかを把握できます。したがって、経営者にとっても、累進税率を知っておくことは非常にメリットがあることです。今回は、累進税率について詳しくご紹介します。

累進税率の基礎知識

累進税率の基礎知識

はじめに、累進税率の基礎知識についてご紹介します。

累進税率は、設けられた基準に沿って一定額ごとに高い税率をかけるシステムであるため、一定基準の額を超えるごとに税率が高くなります。言葉にすると簡単に感じますが、累進税率には以下の2種類があるため注意が必要です。

  1. 単純累進税率
  2. 超過累進税率

①単純累進税率

単純累進税率とは、課税される金額全体を基準にして、一定の税率をかける仕組みです。課税対象となる金額が一定基準を超える度に、その金額全体に該当する税率がかけられる点が単純累進税率の特徴です。

たとえば、800万円の課税対象に20%の税率がかかるケースでは、以下のように計算します。

  • 800万円×0.2=160万円

②超過累進税率

一方、超過累進税率は少し面倒な累進税率の仕組みです。

超過累進税率では、一定額を基準とし、そこを超過していくごとにそれぞれの税率をかける点が特徴です。つまり、単純累進税率のように、課税対象となる金額全体に税率がかかるわけではありません。設けられた基準を超える度に、その分の差額に各基準に応じた税率がかかります。

たとえば、100万円以下の税率が10%、200万円以下の税率が15%のケースでは、以下のように計算できます。

  • 100万×0.1+(200万-100万)×0.15=25万円

超過累進税率では、単純累進税率と同じ計算をした後、その税金の基準に対応して定められている控除額を差し引けば、超過累進税率で計算した数字と同額を算出できます。

このように、単純累進税率と超過累進税率ではシステムが全く異なります。

累進税率が採用されている税金

累進税率が採用されている税金

実際に累進税率が採用されている税金には、どのようなものがあるのでしょうか?累進税率が採用されている税金は累進税と呼ばれ、該当する税金が複数存在します。ここでは、代表的な3つの税金と設けられている累進税率についてご紹介します。

  1. 所得税
  2. 相続税
  3. 贈与税

①所得税

累進税率が採用されている税金で、最も一般的なものが所得税です。会社の経営者であれば最も馴染みのある累進税は所得税でしょう。

所得税は、個人の所得、つまり収入に対してかかる税金で、年収の金額が一定額を超えるごとに税率が変わります。所得税の累進税率は以下のとおりです。

所得税の累進税率

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% なし
195万円超330万円以下 10% 9万7500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

(2020年3月時点)

上記の表からわかるように、基準となる所得額や税率、控除額の数値が細かいため、経営者にとっては少々計算しづらいかもしれません。

所得控除とは?

所得税の所得は、月々や年間収入そのものを対象にしているわけではありません。サラリーマンであれば、給与所得控除、自営業であれば業態ごとにかかる必要な負担(施設の維持費や人件費など)の必要経費を考慮します。つまり、収入から必要経費を差し引いた部分が所得となります

さらに、所得控除は上述したもののほかに合計14種類もあります。その中には、発生する38万円の基礎控除があります。実は基礎控除を利用すると、所得税が全くかからないケースも発生します。

たとえば、年収103万円以下の場合、発生する給与所得控除は65万円であり、年収から給与所得控除を差し引くと38万円以下になります。そこから基礎控除額を差し引くと、結果的に課税対象となる所得が0円になります。したがって、所得税が発生しません。

給与所得控除は就労形態に関係なく発生するため、パートやアルバイトの方であれば活用しやすいでしょう。加えて、医療費などを利用して所得控除ができるケースもあります。このように、さまざまな所得控除を活用して節税を実施できます。

②相続税

家族や親族が亡くなると、遺族は財産を相続します。その際に発生するものが相続税です。相続税は、あまり頻繁に支払うものではありませんが、事前に相続税の累進税率の基準を知っておくことで節税しやすくなります。相続税の累進税率は以下のとおりです。

相続税の累進税率

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

(2020年3月時点)

このように、相続税は所得税と比べると計算しやすいものです。

相続税の節税対策

何らかの財産を残したいと考えているのであれば、あらかじめ課税対象となる取得金額の基準を下げておくことをおすすめします。なぜなら、相続税は、経営者が存命中にしか節税できないものであるからです。

相続税の節税方法では、生前贈与や不動産への転化により、相続人の取得総額を下げるという方法が多用されています。また、会社の経営者であれば、事業承継で株式を相続します。株式相続では、被相続人から相続人へ名義変更する必要があります。

さらに、非公開株式であれば、株価の計算も必要となります。株式相続では一般的な相続よりも、税務を含め、非常に手間がかかるため、税理士などの専門家の力を借りましょう。

③贈与税

贈与税も累進税率を採用している税の一つです。贈与税は少々特殊な設定がなされており、2015年以降の贈与税では、一般贈与財産と特殊贈与財産にわけて、それぞれに税率がかかる仕組みに変更されました

特殊贈与財産とは?

特殊贈与財産とは、20歳以上の子や孫が直系尊属から贈与を受けた際に発生するものです。特殊贈与財産の累進税率は以下のようになっています。

基礎控除後の課税価格 税率 控除
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

(2020年3月時点)

一般贈与財産とは?

一般贈与財産とは、特殊贈与財産以外の贈与をさします。一般贈与財産の累進税率は以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

(2020年3月時点)

このように、一般贈与財産と特殊贈与財産では税率が大きく異なります。贈与税をあらかじめ計算する際には、自分の贈与がどちらに該当するかをきちんと把握した上で計算することをおすすめします。

※関連記事
株式相続に伴う相続税
節税対策とは?法人や個人事業主向けに保険や経費不動産の活用事例を解説

まとめ

まとめ

累進税率および各税金の税率について知ることは税金計算や節税につながります。家計や経営でのお金のやりくりをスムーズにするためには、税金に関するさまざまな知識を身につけておくことが重要です。また、経営者であれば、累進税率について理解しておく必要があるでしょう。

要点をまとめると下記になります。

累進税率とは
→一定基準ごとに設けられた税率が課税対象にかかる仕組み

累進税率の種類
→単純累進税率、超過累進税率

累進税率が採用されている税金
→所得税、相続税、贈与税

所得税のポイント
→計算がやや面倒だが、さまざまな方法の節税が可能

相続税のポイント
→早い段階から節税対策を実施し、専門家の協力を得る必要がある

贈与税のポイント
→一般贈与財産か特別贈与財産かによって累進税率が変わる

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