2022年6月6日更新事業承継

事業承継とは?M&A・継承との違い、読み方やメリット、手続きの流れ、税金・補助金も紹介

事業承継とは、後継者(次期経営者)に、会社の経営権・理念・資産・負債など事業に関するすべてのものを引き継ぐ行為です。今回は、事業承継について、継承との違い・メリット・手続きの流れ・税金や補助金などを紹介します。十分に把握して、事業承継をスムーズに進めましょう。

目次
  1. 事業承継とは
  2. 事業承継で引き継ぐ要素
  3. 事業承継を行う目的
  4. 事業承継の種類
  5. 事業承継の最新動向
  6. 事業承継で課される税金
  7. 事業承継とM&Aの違い
  8. 事業承継M&Aとは
  9. 事業承継M&Aの種類
  10. 事業承継M&Aのメリット
  11. 事業承継M&Aのデメリット
  12. 事業承継M&Aを検討するためのポイント
  13. 事業承継M&Aを成功させるポイント
  14. 事業承継・引継ぎ補助金の概要
  15. 事業承継M&Aの事例
  16. 事業承継M&A以外の解決手段
  17. 個人事業の承継とM&A
  18. 事業承継まとめ
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事業承継とは

事業承継とは

後継者(次期経営者)に対して、会社の経営権・理念・資産・負債など事業に関するすべてのものを引き継ぐ行為をさします。昨今の日本で中小企業の事業継続が懸念されている状況を受けて、中小企業庁などが積極的に使用するようになった用語の一つです。

とはいえ、ビジネスシーンでは、事業承継であったり事業継承であったりと複数の表現が見られるため、いずれの用語を使用すれば良いのか悩んでしまう経営者の方も少なくありません。そこで本章では、それぞれの意味の違いや読み方・使い分け方などを取り上げます。

事業承継と継承の違い・読み方

「引き継ぐこと」を言葉で表現する場合、「承継」ではなく「継承」を用いる方も少なくありません。そのため、ビジネスシーンでは、「事業承継」「事業継承」のいずれの表現も見られます。

両者は一見すると同じ意味を持つと考えられますが、実は多少ながら意味が異なっているのです。

はじめに、承継(しょうけい)とは、「先代から地位・事業・精神などを受け継ぐ」意味を持つ言葉であり、受け継ぐ対象が抽象的です。

これに対して、継承(けいしょう)とは、「先代から身分・権利・義務・財産」意味を持つ言葉であり、受け継ぐ対象が具体的だといえます。

上記を踏まえて、ビジネスシーンでは、事業継承ではなく事業承継の使用が正しいとされています。なぜならば、承継は継承よりも法律用語として適切な表現と考えられているためです。

実際、「事業承継・引継ぎ補助金」や「経営承継円滑化法」など、公的制度・条文などでは承継が採用されています。

事業承継と継承の使い分け方

明確に判断するのは非常に困難ですが、ここでは各使用場面を想定しながら使い分け方を紹介します。

はじめに、事業承継を採用すべきケースとしては、「先代の経営者が設立した企業の経営理念・ノウハウ・人脈など、抽象的な資産を受け継ぐ意味合いを持たせたい場面」が挙げられます。

これに対して、事業継承を採用すべきケースは、「先代の経営者が持つ経営権・株式などを引き継ぎ、新しい経営者として邁進する意味合いを持たせたい場面」などです。

つまり、ノウハウ・人脈など抽象的な資産ではなく、経営権・株式など具体的な資産を引き継ぐ意味合いを持たせたい場合、継承を用いると良いでしょう。

【関連】事業承継と継承はどちらが正しい?違いや読み方、使い分けも解説

事業承継で引き継ぐ要素

事業承継で引き継ぐ要素

用語の使用方法を把握したところで、本章では事業承継を行う際に後継者に対して引き継ぐ要素として、以下の3つのポイントを取り上げます。

  1. 経営
  2. 資産
  3. 知的財産

①経営

人の承継ともいえる要素です。簡単にいうと、自社の経営を担う後継者を意味します。経営の承継を成功させるには、経営権および後継者選定・育成に関するポイントの把握が必要不可欠です。

もともと株式の保有数が3分の2を超える場合、基本的に経営権の完全な確立を意味します。そのため、事業承継では、この割合を目標に先代から後継者に対して経営権の委譲を進めましょう。

また、後継者選定・育成は、事業承継で欠かせない大きな要素です。とりわけ中小企業では、経営者自身の手腕が業績に大きな影響を与える傾向が強いため、先代の持つ経営理念・ノウハウ・人脈などを十分に引き継げる後継者を選定し育成につなげましょう。

加えて、現状維持ではなく、会社の事業を発展させられる後継者の選定・育成も大切です。

②資産

財産権・株式・事業用資産・資金・許認可をはじめとする、会社の保有資産の承継を意味する要素です。まず、財産権とは、債権・著作権・特許権などの権利をさします。事業承継シーンでは、経営権だけでなく財産権の引き継ぎも忘れずに遂行しなければなりません。

株式は、経営権と密接な関係性を持っており、事業承継後における後継者の経営推進に欠かせない要素です。迅速な意思決定・一貫した経営方針の継続などを成し遂げるためにも、後継者が経営権を確保できるほどの株式を移譲させなければなりません。

事業用資産とは、会社が保有している設備・機械・事務所・店舗などの不動産をさします。会社の経営を推進するために必要な運転資金と合わせて、後継者に対して引き継ぎましょう。

最後に、許認可とは、特定の事業を行う際に取得を求められる要素です。事業承継シーンでは、事業の運営に際して必要なのかどうか、許認可の要件を満たしているかどうかなどを中心に、規定の内容を詳細にチェックしておく必要があります。

③知的財産

最後に取り上げる要素は、知的財産です。無形資産とも呼ばれており、経営理念・特許・ノウハウ・人脈などが該当します。

経営理念とは抽象的概念であるものの、事業承継前後で一貫して保持することで利害関係者からの反発を防ぐ効果が期待できます。

特許は、事業運営・売上確保などの観点から欠かせない要素です。同じく業績に大きな影響を及ぼす要素であるノウハウとともに、後継者に対して引き継ぐ必要があります。

人脈も、これまでに先代が積み上げてきた知的財産の一つであり、会社の業績に大きな影響を及ぼす要素です。そのため、事業承継後も人脈を大切に扱ってくれる後継者探しが求められます。

【関連】経営権

事業承継を行う目的

事業承継を行う目的

本章では、特に中小企業の経営者の方が事業承継を行う目的を、以下の3項目に分けて取り上げます。

  1. 後継者不在問題の解決
  2. 人手不足の解消
  3. 税金や個人保証・担保からの解放

①後継者不在問題の解決

後継者不在問題は、中小企業が事業承継を行う目的の大部分を占めるでしょう。東京商工リサーチの調査によると、企業の後継者不在率は57.5%(10万6,573社)と報告されており、前年と比較して1.9%上昇しました(2020年時点)。

このうち、「後継者が未定・検討中」と回答した企業は53.7%(5万7,253社)と半数を超えています

上記のデータからは、事業承継の方針が不明瞭である、もしくは計画できない企業の多さが見て取れます。加えて、2020年以降はコロナ禍でビジネスモデルや労務管理の変革が迫られており、後継者不在問題が事業の断念につながりやすくなりました。

こうした事情を受けて、最近では後継者を確保すべく、M&Aによる第三者への事業承継を積極的に検討する企業が増加傾向にあります。

東京商工リサーチ:2020年「後継者不在率調査」

②人手不足の解消

中小企業庁によると、中小企業の人手不足感は2009年以降でマイナス傾向を記録しています。また、2013年第4四半期以降は、すべての業種で「従業員が余っていると感じている企業の割合」を「従業員が不足していると感じている企業の割合」が上回っている状況です。

とりわけ、建設業やサービス業などの業種で人手不足が深刻化しています。人手不足は、会社が事業を推進していくうえで支障になる問題です。そこで、人手不足の解消を目的に、第三者である企業に事業承継する中小企業もあります。

中小企業庁「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」

③税金や個人保証・担保からの解放

多くの中小企業では、会社の経営者とオーナーが、つまり所有と経営が一致しているため、経営権だけでなく自社株式の承継も求められます。しかし、後継者に対して自社株を引き継ぐ際は、相続税負担の他、個人保証や担保提供などの問題に悩まされるケースが多いです。

また、親族外承継では、株式買取の資金に関する問題を解決しなければなりません。そこで、これらの問題を解決する目的で、M&Aによる第三者への事業承継を選択するケースもあります。

【関連】中小企業の人手不足の原因とは?実施可能な対策も紹介

事業承継の種類

事業承継の種類

事業承継には、以下3種類の方法があります。本章では、これら各方法にみられる特徴をくわしくみていきましょう。

  1. 親族内承継
  2. 親族外承継
  3. M&Aを活用した事業承継

①親族内承継

自分の子供や兄弟に事業を引き継ぐ行為を「親族内承継」といいます。早い段階で後継者が決まっているため、時間をかけた後継者教育が可能です。また、現経営者の親族が後継者に据えられるため、周囲の反発が少ない点も大きなメリットといえます。

しかし、現在は職業選択の多様化や少子化の影響などを受けて、親族内承継を行う事例は年々減少しています。

②親族外承継

2つ目は「親族外承継」です。親族外承継とは、会社内の優秀な従業員や役員に事業承継する行為をさします。

もともと自社で働いている従業員に事業承継するため、経営に必要な知識やノウハウがすでに備わっている点が大きなメリットです。

ただし、株式を買い取るには、相当の資金が必要とされます。従業員が相当の資産を持っていなければ、難しいことが多い点に注意が必要です。そのため、親族外承継の場合は、金銭面を中心に後継者候補と十分に話し合いましょう。

③M&Aを活用した事業承継

親族にも自社内にも事業承継できる人がいない場合、M&Aによる事業承継もしくは廃業のいずれかを選択する必要があります。

とはいえ、現在の日本ではM&Aによる事業承継をスムーズに進められるよう、補助金や税金の猶予制度などが整備されているため、積極的に利用を検討すると良いでしょう。

事業承継の最新動向

事業承継の最新動向

昨今では、中小企業を中心に、「親族内」から「親族外」に事業承継の対象が移行しています。実際に、M&A仲介会社には、事業承継を目的とするM&Aの実施を望む経営者の方から、多くの相談が持ちかけられている状況です。

そこで本章では、中小企業の事業承継シーンにしぼり、最新動向を以下の3項目に分けて取り上げます。

  1. 親族内承継の急激な減少
  2. 親族外承継の増加
  3. M&Aによる第三者への事業承継の増加

①親族内承継の急激な減少

中小企業庁のデータによると、かつての日本企業では親族内承継が9割以上を占めていましたが、現在では3割程度まで減少しています。この傾向には、以下のような理由と関係があります。

  • 子供には自由に自分の人生を歩んでもらいたいと願う経営者の増加
  • 超高齢化により自身の引退時期までに子供への経営者教育が終わらない経営者の増加

その他、「子供の能力不足や社会環境の変化により経営不振に陥ったために経営責任に問われる事態」を未然に防ぎたいというのも理由の一つです。こうした事情から、後継者不在の問題が深刻化したために、親族内承継の件数減少につながっている状況です。

中小企業庁「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会(第1回)資料3 事業承継に関する現状と課題」

②親族外承継の増加

親族内承継が減少傾向にあるのに対して、親族外承継は増加傾向にあります。この中でも、経営者が自社株を保有したまま後継者に事業を引き継ぐケースが目立っている状況です。

とはいえ、このケースでは、自社株の売買および個人保証・担保提供などの問題が依然として解決しておらず先送りの状態といえます。そのため、他の後継者を据えたり手法を変えたりして、事業承継を再び試みるケースも見られます。

③M&Aによる第三者への事業承継の増加

多くの中小企業は後継者不在の問題を抱えており、親族内承継を行えない状況にあります。また、自社株の売買および個人保証・担保提供などの問題を受けて、自社の従業員や役員に対する親族外承継の実施も困難です。

このように、親族内および親族外に後継者を見出だせない事情を受けて、最近ではM&Aによる第三者への事業承継が積極的に実施されています。

かつてはM&Aに対するネガティブなイメージが強く誤解されるケースもありましたが、最近ではM&Aの考え方が経営者に浸透してきており、活用事例が急速に増加している状況です。

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事業承継で課される税金

事業承継で課される税金

税務の面から事業承継を見ると、相続および贈与・株式譲渡・事業譲渡の3種類の手法に分けることが可能です。いずれの手法を用いるかによって、課される税金の種類も異なります。

相続および贈与を採用する場合、相続では自社株を引き継ぐ際に相続税が課されます。後継者をはじめとする相続人に課される税額は、相続税の総額を計算したうえで、各相続人の実際の相続割合で案分して求める仕組みです。

また、贈与では自社株を引き継ぐ際に贈与税が課されます。課税方式は、暦年課税と相続時精算課税の2種類があり、贈与者ごとにどちらの方式を用いるか選ぶことが可能です。

続いて、株式譲渡を採用する場合、譲渡側には譲渡所得に対して所得税(15.315%)と住民税(5%)が課されます。これに対して、譲受側には原則として税金は課されないものの、判断が難しいため税理士などにサポートを依頼すると良いでしょう。

最後に、事業譲渡を採用する場合、譲渡側には譲渡益に対して法人税などが課されます。個人事業主による事業譲渡では、法人税などではなく所得税が課される仕組みです。なお、譲渡資産が課税資産であれば、消費税も課されます。

その一方で、譲受側は、売り手から預かった消費税を代わりに納税するのみです。ただし、取得した資産に不動産が含まれるならば、登録免許税や不動産取得税が課されるため注意しましょう。

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事業承継とM&Aの違い

事業承継とM&Aの違い

事業承継とM&Aは、混同しやすいですがそれぞれ別の意味があります。事業承継とは、会社や事業などを次の経営者に引き渡すことを指しますが、M&Aは会社や事業の買収や合併を指し事業承継手段の一つとしても活用されています。

経営者の引退をきっかけに、その子供や親族が事業を引き継ぐ事業承継(親族内承継)は、昨今では減少傾向です。そこで、M&Aを活用して事業を第三者に売却し事業存続を図るM&Aの動きが活発になってきています。

とはいえ、M&Aの成立には、会計、税務、法律などの多岐にわたる高度な専門知識が必要です。M&Aの手法もさまざまあり、ある会社の持つ事業だけを譲り受けたり(買収)、2つ以上の会社を併せて一つの会社にしたり(合併)と、自社に最適な手法を選ぶのも簡単ではありません。

M&Aを活用して事業承継を考えるのであれば、まずはM&A仲介業者に相談するとよいでしょう。最近は、無料で相談に応じてくれるM&A仲介業者が多くなっています。

もしM&Aによる第三者への事業承継をご検討中でしたら、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所は主に中小・中堅規模の案件を取り扱う仲介会社であり、知識が豊富なアドバイザーが専任についてM&Aによる事業承継をフルサポートしております。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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事業承継M&Aとは

事業承継M&Aとは


先述の通り、事業承継とは会社や事業などを次の経営者に引き渡すことです。本章では、事業承継を目的としたM&Aについて解説します。

M&Aの相手先企業

M&Aを活用しての事業承継は、相手先(売却先)となるのは事業会社とファンドの2種類です。それぞれ以下の項で解説していきます。

事業会社

相手先(売却先)が事業会社の場合、M&A後は相手先の経営方針のもと事業を行います。そのため、売却後の経営者は、相手先の社長が引き継ぐのが一般的です。

相手先として立候補する事業会社の目的・特徴には、以下のようなものがあります。

  • 会社や事業の拡大、発展を目的としている
  • お互いの事業から相乗効果が期待できる経営方針をとる
また、事業承継後の従業員の待遇は改悪されないことが多いですが、売却側が赤字経営の場合は改悪される可能性もあります。

ファンド

ファンドとは資金の集まりのことをいいますが、ここでいうファンドは投資ファンドをさします。投資ファンドは、投資家から資金を集めて投資を行い、その成果を配分します。

投資ファンドにはさまざまな種類がありますが、M&Aを行うのは、主に「バイアウトファンド」と呼ばれるファンドです。

相手先(売却先)がファンドの場合は、投資目的でのM&Aを行います。そのため、M&A後は企業価値の向上に努め、投資利回りの達成を目指す経営方針がとられます。

事業会社へ売却した時のように、事業同士の掛け算で事業の発展を目指すものではありません。その一方で、売却側にとっては借入金が増えるというメリットがあります。買収資金は、M&A後の将来の利益から返済していく仕組みです。

相手先として立候補するファンドの目的・特徴には以下のようなものがあります。

  • 投資による利益創出を目的としている
  • 企業価値向上・投資利回りの達成を目指す経営方針をとる
M&A後の従業員の待遇については、事業会社の場合と同様、基本的に改悪されませんが、売却側が赤字経営の場合は改悪の可能性もあります。

M&Aの実施手順

M&Aでは、事業承継を希望する側は、売却側・売り手企業・譲渡企業などと呼ばれ、それを買収し事業を承継する側は、買収側・買い手企業・譲受企業などと呼ばれます。

M&Aを進めていく際は、以下のような手順で進めていきます。ここでは各手順を1つずつみていきましょう。

  1. M&A戦略の策定
  2. マッチング
  3. M&A仲介会社への依頼
  4. 初期段階の交渉
  5. 企業価値評価
  6. M&A手法の決定
  7. 詳細な交渉
  8. 基本合意契約の締結
  9. デューデリジェンス(買収監査)
  10. 最終契約の締結
  11. クロージング
  12. 経営統合(PMI)

①M&A戦略の策定

買い手側は、M&Aを行う目的や理由を明確に定め、それをもとにM&A戦略を策定します。基本的にM&A戦略が必要になるのは買い手側です

しかし、売り手側としても、買い手側がM&Aを行う背景を理解し、どのように買収を進めていく計画なのかを把握できれば、この先の交渉もスムーズに行えるでしょう。

ちなみに、売り手企業がM&Aを行う目的には後継者不在の課題を解決する以外にも、赤字事業の清算や従業員の雇用維持などさまざまあります。

②マッチング

M&A戦略が定まれば、M&Aの相手探しを始めます。方法としては「マッチングサイトを利用する」「金融機関に依頼する」などがありますが、インターネットなどを利用してマッチングの情報収集をし、相手候補の企業に自らアプローチをかけるという手法も有効です。

③M&A仲介会社への依頼

マッチングで思うように相手先が見つからない場合は、M&Aの仲介会社に依頼をかける選択肢もあります。M&A仲介会社を介している場合、仲介会社から相手先の候補の提案があるため、可能性が広がることでしょう。

また、M&Aの成立までには、会計、税務、法律などの多岐にわたる高度な専門知識が求められます。本業の経営や業務を行いながら、自社努力だけで同時進行でM&Aを進めていくのは困難です。

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④初期段階の交渉

M&Aの相手がみつかったら、初期段階の交渉に入ります。この交渉が前向きに進みそうであれば、売り手側は売り手企業の基本的な情報を提供します。

この情報をもとに買い手企業側で初期的な分析を行い、その後、基本方針を固めるために正確な情報提供が求められます。

⑤企業価値評価

初期段階の交渉で売り手側が提供した基礎情報の分析結果を踏まえ、企業価値評価を行います。企業価値評価は、企業価値を客観的に算出する作業のことです。

企業価値を評価し企業価値を数値化することを、M&Aの業界内ではバリュエーションと呼ぶこともあります。

バリュエーションの結果をもとに、取引金額の目安を算出します。M&Aは会社同士の売買であるため、取引金額は取引成立にかかわる重要事項です。

⑥M&A手法の決定

企業価値評価が行われると、買い手側はM&A手法を検討します。M&A手法には、株式をやり取りする「株式譲渡」や、事業そのものをやり取りする「事業譲渡」などさまざまあります。

⑦詳細な交渉

買い手側のM&A手法が決定したら、本格的な交渉に入ります。この段階の交渉は、買い手側から売り手側へ買収に当たっての諸条件を提示します。この際、取引金額については、上限と下限の範囲を設定するのが一般的です。

また、企業価値評価が終わると、トップ面談が行われます。トップ面談とは企業のトップ同士が行う面談のことです。トップ面談は、交渉という意味合いではなく、お互いの人間性や企業理念などを理解しあう場です。

⑧基本合意契約の締結

詳細な交渉でM&Aの基本的な条件が固まり、トップ面談まで無事に終わると、売り手側と買い手側でM&Aの基本合意契約を締結します。基本合意契約には、法的な拘束力を持たせないのが一般的です。ただし、独占交渉権などの一部契約内容については、法的な拘束力を持たせるケースもあります。

買い手側が上場企業の場合には、基本合意契約を締結すると証券取引所が規定する適時開示を行う必要があります。そのため、あえて基本合意契約書を締結しないケースもあります。
 

⑨デューデリジェンス(買収監査)

基本合意契約を締結すると、買い手側から売り手企業に対してのデューデリジェンス(買収監査)を実施します。デューデリジェンスとは、リスクの洗い出しやそのリスクの解消方法などを調査する作業です。

また、デューデリジェンスでは、今まで正しいことを前提に進めてきた情報の正確性を詳細にチェックします。

買い手側の希望によっては、売り手企業だけではなく、子会社などの関係各社を対象に実施することもあります。合併や株式交換など一部のM&A手法では、買い手企業もデューデリジェンスの実施対象です。

⑩最終契約の締結

一連の作業が無事に終了し、買い手側と売り手企業双方で合意が得られれば、M&Aの最終契約を締結します。最終契約は、法的な拘束力を持ちます

最終譲渡契約書を締結すればM&Aは成立しますが、実際はこのあとに最終契約で取り決めた内容を履行する「クロージング」を行わなければなりません。クロージングまでを無事に終えて、M&A取引の完了といえます。

⑪クロージング

M&Aにおけるクロージングとは、売り手側は取引対象物を引き渡し、買い手側は対価を支払うという決済作業のことです。クロージングは通常、最終契約日から1~2ヵ月後に行います。

ただし、M&A手法に株式譲渡が採用され、売り手企業が中小企業であった場合は、クロージング日を最終契約日と同日に設定することもあります。

⑫経営統合(PMI)

クロージングまで無事終了すると、M&A取引は完了です。しかし、M&Aにおける相乗効果を発揮するために、円滑な引き継ぎや人員配置などの経営統合作業を行う必要があります

M&A後の経営統合作業のことを、PMI(Post Merger Integrationer Integration)と呼びます。

PMIは、デューデリジェンスが終了した段階から準備を始めることが重要です。クロージング後のPMIでは、買い手企業の人員と、売り手企業の人員で行う「100日プラン」と呼ばれる計画を練り、約3ヶ月かけて行う売り手企業の中期経営計画を策定します。

事業承継M&Aの種類

事業承継に活用されるM&Aの手法は、主に以下の3つです。それぞれの特徴を順番に解説します。

株式譲渡

株式譲渡とは、売り手が持つ株式をすべて売却して経営権を移す方法のことです。株主と経営者が変わりますが、従業員・取引先・顧客との関係に変化はありません。社内のみで手続きを済ませられる点がメリットであり、中小企業でも広く採用されている手法です。

ただし、経営方針の違いなどにより、従業員の離職や取引先の喪失などが発生するリスクがある点に注意しましょう。なお、売却資金や受け取った資産などには税金が課せられるため、税務に不安があれば税理士に相談すると良いです。

事業譲渡

事業譲渡とは、一部またはすべての事業を売買するM&Aの方法です。買い手側には、簿外債務や不要な資産を引き継がずに済むメリットがあります。その一方で、契約関係などの引継ぎは個別に同意をもらう必要があるため、他の方法よりも手続きが複雑です。

また、株式譲渡と同様に、税金を支払う必要があります。売り手側の企業では、法人税と消費税を支払わなければなりません。なお、企業を買収する際は、ブランド力や技術力などの無形資産を考慮したうえで、純資産を上回る値段で買うケースもあります。

このように、「購入した金額と買った企業の資産の差額(のれん代)が大きい場合」は、支払う税金も高額になるため注意が必要です。のれん代が大きくなることが予想される際は、専門家に相談すると良いでしょう。

専門家に相談すれば、自社が事業承継によるM&Aを行った際、どれほどの税金がかかるのか試算してくれます。

会社分割

もともと組織再編の手法として用いられる会社分割ですが、事業承継に活用されるケースもあります。事業譲渡と類似するM&A手法であるものの、税金・事務手続き・買収対価などの面で異なる点が特徴的です。

特に、労働承継法で定められた手続きによって、従業員との雇用関係をまとめて承継できる点が大きなメリットです。また、会社分割では、消費税が課されない点もメリットといえます。

事業承継M&Aのメリット

事業承継M&Aによる最大のメリットは、後継者が不在でも自社の存続が可能となることですが、それ以外にも売り手には多くのメリットがあります。

  • 後継者不在問題の解消
  • 従業員の雇用維持
  • 売却利益の獲得
  • 個人保証からの解放
 

まず、M&Aによる事業承継の場合、自社や経営者の子どもあるいは親族に後継者となる材がいなくても、全国規模で候補を探せます。これは、身近に後継者候補がおらず廃業を検討している経営者にとって、非常に大きなメリットです。

もちろん、経営者には廃業の選択肢もありますが、廃業には税務処理や在庫品の処分など多額の費用が必要です。

一方で、M&Aを用いて事業承継すると、廃業に関する費用や手間が一切不要となるうえ、売却利益の獲得が期待できます。

ここで獲得した資金は、リタイア後の生活資金や新規事業の立ち上げに充てるなど使い道も自由です。さらに、会社の個人保証をオーナー経営者個人で設定している場合、基本的にそれも解除されます。

また、事業の継続やさらなる発展を期待できるメリットもあります。廃業すると、従業員は職を失ってしまい、積み上げてきた技術・ノウハウもなくなってしまいます。

顧客や取引先との関係も断ち切られてしまうなど、多方面に迷惑をかけてしまいかねませんが、M&Aで他社に事業承継すると、従業員の雇用を守れるうえに自社事業の継続やさらなる成長も期待できます。

事業承継M&Aのデメリット

事業承継M&Aには多くのメリットがある一方で、当然デメリットや注意点もあります。主なデメリットには、以下が挙げられます。

  • 多大な時間と費用を要する
  • 経営方針の急激な変化に従業員が対応できないおそれ
  • 従業員の待遇が変更されるおそれ
  • 想定以下の取引価格になるおそれ

まず、M&Aには相応の時間がかかる点を覚悟しておきましょう。M&Aは最低でも半年程度かかるといわれて、長ければ1年半以上かかるケースもあります。M&A案件を探したうえで交渉を始めるため、まとまった期間が必要です。

また、手続きを行う際に発生する費用・仲介業者への報酬など、M&Aを行うには一定以上のコストもかかります。

さらに、M&Aは第三者に会社や事業を譲渡するため、自社の理念や方針などが大きく変化して、経営者の理想と異なる結果をもたらす可能性もあります。

必ずしも、会社や事業を承継する会社が同じ企業文化や制度を持っているとは限りません。制度や業務の手順などが変化すれば、従業員に影響がおよぶ場合もあります。

最悪なケースでは、新体制が合わずに従業員が流出してしまい、会社や事業の価値が大きく低下してしまいかねません。そのため、自社の事業を託す相手は慎重に見極めることが重要です。

また、売却利益はM&Aの交渉過程で変化する可能性があります。売却利益を想定した次のプランを考えている場合などは注意が必要です。

事業承継M&Aを検討するためのポイント

事業承継M&Aを検討するためのポイント

事業承継M&Aは、自社を魅力的に感じてくれる企業がなければ、買い手がつかずに実施できません。本章では、事業承継M&Aを検討するために押さえておきたいポイントを5つ紹介します。

  1. 売上高
  2. 利益
  3. 従業員数
  4. 組織の性質
  5. ブランド・技術力・取引先リスト

①売上高

事業承継M&Aを検討する際、買い手側が買収するかを決める大きな目安とするのは、年間売上高です。目安とされるのは年間売上高5億円以上といわれており、これを下回ると売り手は買い手探しが困難になる可能性もあります。

M&Aの買い手側候補を希望する動機は、自社の売上高を伸ばすためです。そのため、買い手側からすれば、売り手企業の売上高は非常に重要な要素となります。

しかし、売上高だけで判断するというわけではなく、実際は年間売上高が5億円以下でもM&Aが成立しているケースも多いです。

中小規模のM&A案件に強みを持つ仲介会社も多いので、まずは相談してみることをおすすめします。

②利益

M&Aに慣れている企業ほど、利益の出ていない企業を買収する傾向は強くなります。営業利益が出ていない企業であれば、買い手探しが困難になる可能性が高くなります。

しかし、赤字企業には絶対に買い手がつかないということもありません。買い手側が、自社なら問題点を解消し、利益を出せると判断すれば買い手候補になります

赤字企業でM&Aに臨む際は経営不振の問題点を明確にし、今後の課題などを論理的に整理しておくとよいでしょう。

③従業員数

売り手企業の従業員数も、買い手側にとっては判断基準の1つとなります。というのは、従業員数が多い企業は、運営体制が健全であると評価されやすいためです。

M&Aでは、従業員も売り手企業の資産(無形資産)とみなされます。また、従業員数が少ないと、M&A後に売り手企業の従業員が離職した際の損失が相対的に大きくなる点は理解しておきましょう。

④組織の性質

オーナー企業のように、創業者一族など特定の一族が所有し経営を行っている企業は、指揮系統をトップに委ねられているケースも多いです。

そのため、買収後の統合作業(PMI)が難しくなり、積極的な買収候補として上がりにくくなります。事業承継M&Aを検討している場合は、できるだけ早い段階から組織を見直しておくことも必要です。

⑤ブランド・技術力・取引先リスト

ブランド・技術力・取引先リストといった無形資産も、買い手側に立つと重要なポイントです。ブランド力があれば、顧客が付きやすいと判断され、売り手企業が高い技術力を有していればそのまま買い手企業の事業に貢献できます。

また、取引先の多さも買い手側に魅力を与えるポイントです。ただし、単に数が多いというだけではなく、良好な関係を築けているかどうかも重要になります。

事業承継M&Aを成功させるポイント

事業承継M&Aを成功させるポイント

事業承継を実施する際は、おさえておきたいポイントが以下の3つあります。

  1. タイミング
  2. 企業価値の向上
  3. 事業承継・引継ぎ支援センターの活用

これから説明するポイントを押さえて、満足のいく事業承継を実行しましょう。

①タイミング

事業承継では、タイミングが非常に重要です。とりわけ、子供や従業員に事業承継する場合と比べて、M&Aを活用して事業承継する際は膨大な時間がかかります。交渉のみで数年かかる可能性もあるため、早めに事業承継の準備を実施しなければなりません。

また、M&Aの実施タイミングも重要です。業績が悪化している状況でM&Aを実施すると、取引額が安く見積もられてしまうおそれがあります。最悪の場合、取引額で折り合いがつかずに実施に至らない可能性もあります。

さらに、交渉や準備に時間をかけ過ぎてしまうと、経営者が病気になってしまったり、事業の運営自体が成り立たなくなったりと、M&Aを行えなくなる可能性も否定できません。以上のことから、事業承継を目的にM&Aを実施する場合はタイミングが非常に重要です。

②企業価値の向上

事業承継を実施する際は、企業価値を高める「磨き上げ」も必要不可欠です。磨き上げを実施すると、後継者が見つかりやすくなります。また、M&Aによる第三者への事業承継でも買い手先が見つかりやすくなり、高く売却しやすくなる点もメリットです。

企業価値を向上させる際は、以下の項目をチェックしましょう。

  • 目に見えない資産(無形資産)の強化(ブランド力・ノウハウ・技術力・特許権など)
  • 不必要な負債や在庫の削減
  • 特許侵害や訴訟案件などのトラブルは解決しておく   

磨き上げは、即座に行えるものではありません。事業承継を検討した段階で、即座に取り組む必要があります。磨き上げに自信がなければ、専門家のアドバイスをもらうと良いでしょう。

③事業承継・引継ぎ支援センターの活用

M&Aによる事業承継を検討する場合、事業承継・引継ぎ支援センターの活用もおすすめします。事業承継・引継ぎ支援センターとは、後継者のいない中小企業の事業承継を支援する公的機関です。事業譲渡したい側と譲り受けたい側の双方から相談を受けています。

また、事業承継・引継ぎ支援センターは後継者人材バンクと呼ばれる支援も実施しており、後継者のいない企業と起業したい人をマッチングしています。

後継者人材バンクでは、一般的な仲介会社のサービスとは異なり、主に個人起業家とのマッチングを実現している点が特徴的です。

M&Aを用いた事業承継を検討している場合、こうした支援策の活用も検討できます。

【関連】事業引継ぎ支援センターとは?成約事例や案件・手数料について徹底解説

事業承継・引継ぎ補助金の概要

事業承継・引継ぎ補助金の概要

事業承継に関する制度としては、事業承継・引継ぎ補助金も挙げられます。事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&Aをきっかけとした経営革新などへの挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎを検討する中小企業をサポートする制度です。

利用するための要件や限度額は「後継者承継支援型」と「事業再編・事業統合支援型」により異なるため、どちらに該当するのかを確認したうえで申請しなければなりません。また、補助金を申請する際、認定経営革新等支援機関の確認なども求められるため要注意です。

【関連】経営資源引継ぎ補助金とは?支給対象/給付額/審査/流れを徹底解説

事業承継M&Aの事例

事業承継M&Aの事例

ここでは、事業承継M&Aを行うことで後継者問題を解決した事例を紹介します。

富山県に拠点を置き、地元広報誌の作成や一般商業印刷を扱うアヤトは、2020年8月にM&Aによって事業承継を実現しました。相手先はスキットというインターネット通販と商業印刷の事業を展開している会社です。

アヤトは1954年の創業依頼、親子3代にわたって経営を受け継いできましたが、3代目経営者綾藤氏の息子は、東京の金融機関に勤めていることもあり、親族内事業承継を断念しました。

社内の後継者候補とも話し合いましたが事業を引き継ぐことができなかったため、M&Aを活用して第三者へ自社を引き継ぐことを決め金融機関に相談、コンサルティング会社を経由して紹介されたのがスキットでした。

両社とも一般商業印刷を扱っていますが、スキットは顧客が印刷会社・デザイン事務所など同業種が大半であるのに対し、アヤトは地元企業や行政などの仕事も多く手掛けていました。

スキットの代表である田村氏は顧客層の違いがシナジーを発揮できるのではないかと考え、アヤトの譲受を決めています。

本M&Aに関して、綾藤氏は「事業承継で一番大切なのは社員の永続的な雇用なので、M&Aに迷いはなかった」と語っています。

事業承継M&A以外の解決手段

事業承継M&A以外の解決手段

オーナー経営者の運営する中小企業などは、親族や従業員への承継をまずは検討するでしょう。しかし、そのような後継者承継は昨今難しくなりつつあるということは、ここまで紹介してきたとおりです。

本章では、事業承継を検討するうえで、M&A以外の道で解決する方法を紹介します。

IPO

IPOとは、Initial Public Offering(イニシャル・パブリック・オファリング)ので頭文字で、日本語訳は「新規株式公開」です。IPOは証券取引所などに上場する意味で使われます。

すなわち、上場することで自社株を市場に売り出す事業承継方法です。IPOにより事業承継にはメリット・デメリットがあり、メリットとしては株式の換金性や流動性を得られます

また、上場企業となることで社会的な信頼が高まるので、銀行からの融資などが受けやすくなります。

一方で、IPOのデメリットは、多大な時間とコストがかかることです。監査や体制整備などに対応する必要があるため、IPOの準備に着手してから年単位の準備期間と、数百万~数千万円の費用は覚悟しておかなくてはなりません。

廃業

一般的に廃業とは、自主的に事業をやめることをさします。事業承継が困難な場合は、廃業の選択を考えなければなりません。

廃業では、赤字体質が改善できず負債が増える一方の企業の場合、損失を最小限に抑えられる点がメリットです。しかし、企業独自の技術やノウハウがなくなってしまうことや従業員を解雇しなければならないデメリットがあります。

また、廃業を選んだ際に残る財産も、M&AやIPOなどほかの方法と比べて少なくなるケースが多くなります。

個人事業の承継とM&A

個人事業の承継とM&A

個人事業でもM&Aで事業承継を行えます。個人事業や小規模な会社などのスモールビジネスが事業承継を目的に行うM&Aは「スモールM&A」と呼ばれており、こちらの件数も増加中です。

スモールM&Aには、ベンチャー企業やスタートアップ企業が行う財務基盤強化を目的としたM&Aも含まれますが、個人事業や小規模な会社が後継者不在を解決するためにM&Aを実行するケースも増加しています。

もともとスモールM&Aの案件は規模が小さいため、従来ではM&A仲介会社や経営コンサルティング会社などの仲介業者はスモールM&Aを扱っていませんでした。

しかし、中小企業の割合が高い日本では、事業承継の課題に迫られる企業が年々増加しています。この状況を受けて、これまで大企業のM&Aのみに携わっていた仲介会社も、スモールM&Aの取り扱いを視野に入れ始めています。最近では、スモールM&Aを専門に請け負ってくれる仲介業者も増加中です。

ただ、スモールM&Aに限らず、事業承継ではM&Aに苦労する場面は少なくありません。場合によっては、ふさわしい後継者候補がなかなか見つからないおそれがあります。そのため、個人事業であっても、M&Aによる第三者への事業承継を検討するならば、仲介会社などの専門家にサポートを依頼しましょう。

【関連】個人事業を事業承継した場合の資産の減価償却方法を解説!

事業承継まとめ

事業承継まとめ

今回は、事業承継について紹介しました。自身の子供など親族内で事業承継を実施するのが理想ですが、近年はさまざまなことが原因で親族内承継を実行しにくい状況にあります。

また、従業員への事業承継も、資金面を考慮すると引き受けてもらえない可能性が高いです。こうした背景により、M&Aを活用した事業承継のニーズが高まっている状況です。

事業承継M&Aはメリットが多いですが、準備にはそれ相応の時間がかかります。いつM&Aが必要となっても対応できるように、早い段階から事業承継対策を実施しましょう。本記事の要点は、以下の通りです。

・事業承継とは
→後継者(次期経営者)に対して会社の経営権/理念/資産/負債など事業に関するすべてのものを引き継ぐ行為

・事業承継と継承の違い
→受け継ぐ対象が抽象的か具体的か

・事業承継で引き継ぐ要素
→経営、資産、知的財産

・事業承継の最新動向
→親族内承継の急激な減少、親族外承継の増加、M&Aによる第三者への事業承継の増加

・事業承継を行う目的
→後継者不在問題の解決、人手不足の解消、税金や個人保証/担保からの解放

・事業承継の流れ/手順
→経営状況/後継者の把握 、企業価値の磨き上げ、事業承継計画の策定またはM&Aのマッチング、事業承継の実施(M&A取引/資産の移転/経営権の移譲)、事業承継後の手続き/クロージング(事業の見直し/PMIの実施)

・事業承継を成功させるポイント
→タイミング、企業価値の向上、事業承継/引継ぎ支援センターの活用

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