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2020年12月3日更新業種別M&A
給食業・テイクアウト・配達飲食業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・売却・買収動向について分析しました。給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・売却・買収を成功させるポイントと注意点、メリット・デメリット、相場などを事例・案件情報とともに解説します。
目次
給食業・テイクアウト・配達飲食業界とは
近年、さまざまな業界でM&Aの活性化が目立ちますが、給食業・テイクアウト・配達飲食業界も例外ではありません。M&Aによって事業の拡大やサービス体制の強化、新規事業への参入などを図るケースが多く見られます。
こうした給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aを展望するにあたり、まずは各業界の特徴や動向からおさえておきましょう。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の概要
まず、給食業ですが、広義では飲食店や宿泊施設における食事の提供なども「営業給食」というカテゴリーです。ただし、本記事では、それを含まない「集団給食」事業について述べていきます。
厚生労働省では、2002(平成14)年に集団給食施設を「特定給食施設」と改名しました。その際に定められた特定給食施設の定義は、以下のとおりです。
- 特定給食施設は、特定多数人に対して継続的に1回100食以上、または1日250食以上の食事を供給する施設
- その他の給食施設は、特定給食施設以外で、特定多数人に対して継続的に食事を提供する施設
一方、テイクアウト・配達飲食業界は、別称で「中食」業界とも呼ばれます。これは、飲食店での食事を「外食」、家庭で調理する食事を「内食」と区別する概念のもと、すでに調理済みの料理をテイクアウトする、あるいは宅配注文して食することを指しており、外食、内食との区別化として中食とされました。
そして、テイクアウト・配達飲食業の場合は、既存飲食店、スーパーやコンビニエンスストア、宅配専門店など多数の異なった業態の会社が混雑していることが他業界との大きな違いです。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の特徴
給食業とは、企業や官公庁、病院や学校などを対象として、飲食サービスを継続的に提供する事業のことをいいます。継続したサービス提供のベースとなるのは、委託者との契約です。
そのため、コントラクトフードサービスとも呼ばれています。この点が、客にその場で料理を提供するレストランなどとの違いです。
また、飲食サービスを提供するにあたり、配達・宅配事業を行うケースも見られます。これは食品宅配事業、食材宅配事業などとも呼ばれ、多くの企業がこうした形態で事業を展開中です。そして、その関連事業としてテイクアウト業も行われています。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の構造
公益財団法人食の安全・安心財団の資料「令和元年(平成31年1月~令和元年12月)外食産業市場規模推計について」(調査は一般社団法人日本フードサービス協会)によると、2019(令和元)年の集団給食業界の市場規模(推計)は、3兆3,534億円でした。
2017(平成29)年が3兆3,791億円、2018(平成30)年が3兆3,606億円ですから、この3年間で緩やかな減少傾向です。市場規模全体の約30%を売上高上位10社が占めています。
会社名 | 売上高(円) | 決算期 |
日清医療食品 | 2,450億3,100万 | 2019年3月 |
エームサービス | 1,842億3,900万 | 2020年3月 |
シダックス | 1,295億8,500万 | 2020年3月 |
グリーンハウス | 1,121億 | 2020年3月 |
西洋フード・コンパスグループ | 912億1,000万 | 2019年9月 |
富士産業 | 793億2,800万 | 2019年3月 |
魚国総本社 | 665億 | 2020年3月 |
メフォス | 564億2,500万 | 2020年3月 |
日本ゼネラルフード | 390億8,100万 | 2019年8月 |
一富士フードサービス | 364億 | 2020年3月 |
一方、テイクアウト・配達飲食業界ですが、一般社団法人日本惣菜協会の資料「2020年惣菜白書ダイジェスト版」によると、2019年の市場規模は、10兆3,200億4,300万円でした。2017年が10兆555億円、2018年が10兆2,518億円ですから、この3年間は微増という状況です。
テイクアウト・配達飲食業界では大別して5種類の業態が市場を構成しています。下表は、その各業態の市場規模額と構成比率です。
業態 | 市場規模額(円) | 構成比率 |
---|---|---|
コンビニエンスストア | 3兆3,632億 | 32.6% |
惣菜専門店など | 2兆8,961億 | 28.1% |
食料品スーパー | 2兆7,406億 | 26.6% |
総合スーパー | 9,639億 | 9.3% |
百貨店 | 3,560億 | 3.4% |
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の市場動向
近年の集団給食の動向を見ると、学校給食、保育所給食などで市場拡大が見られます。そして、病院給食は、医療費制度などを要因として市場動向が左右されるのが特徴です。また、事業所給食については、ほぼ横ばいで推移しています。
このような傾向を踏まえると、市場が著しく成長しているというよりは全体的にほぼ横ばいで推移しているといっていいでしょう。ただし、飲食サービスの提供に対しては一定の需要が続くため、今後の市場もある程度の規模で推移するものと思われます。
また、最近では特に高齢者に向けた配食サービスの拡大が目立ってきました。人口の高齢化が進んでいることもあり、高齢者向けの配食サービスは今後の市場成長が期待されます。
なお、2020(令和2)年の市場については、コロナ禍の影響があり、前年までとは違った様相になることが予測され、場合によっては業界に何らかの変化をもたらすかもしれません。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・買収・売却動向
既存の事業の強化・拡大、新規事業の開始などを実現するために、M&Aは効果的な手法です。これは給食業・テイクアウト・配達飲食業界も例外ではなく、最近ではサービス体制の強化や事業の拡大、新規事業への参入などを目的としたM&A事例が見られます。
例えば、同業者同士のM&Aによって給食業事業や配達飲食事業の強化を図るケースや、新たにフードサービス分野に参入するケースなど、事例ごとにその目的はさまざまです。また、高齢者向けサービスの需要拡大を見込み、事業強化や新規参入のためにM&Aを行うケースもあります。
人口の高齢化が進んでいる状況も踏まえると、今後は高齢者向け配食サービスの開始・強化のためにM&Aを検討する企業が増えるかもしれません。さらに、コロナ禍にあって、M&Aに活路を求めるケースも出てきました。
このような状況下において、事業承継やM&Aを検討されている場合は、ぜひ、M&A総合研究所へご相談ください。
全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを生かしてM&Aをサポートいたします。
通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月でスピード成約する機動力もM&A総合研究所の持ち味です。国内最安値水準の完全成功報酬制により、安心してリーズナブルにM&Aの実現が目指せます。
随時、無料相談を受けつけておりますので、給食業・テイクアウト・配達飲食業界で事業承継・M&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・買収・売却の成功ポイント
給食業・テイクアウト・配達飲食業界の企業が売却を行う際や、給食業・テイクアウト・配達飲食業界の企業を買収する際に、そのポイントを知っておけばM&A成功の確率は高まります。以下で、そのポイントを確認しましょう。
①売却を行うケース
売却の際には、買い手側に自社の魅力をしっかりと伝える必要があります。相手企業が自社に魅力を感じてくれれば、それだけ買い手として名乗り出てくれる可能性が高まるからです。
例えば、売り手が宅配事業において充実したサービス体制を構築していれば、宅配事業を強化したいと考える買い手にとって、その事業は大きな魅力です。
また、特定のエリアに強みがあるケースや、今後、需要の増加が見込まれる高齢者向け飲食サービスを手掛けているケースなども、売却の際に大きな強みとなるはずです。このような自社の強み・魅力はしっかりとアピールして、売却の成功につなげることが大切になります。
強みのある事業は何か、特徴的なサービス体制があるか、これまでどのような実績があるのか、自社の強み・魅力をわかりやすく示すようにしましょう。
②買収を行うケース
給食業・テイクアウト・配達飲食会社を買収することにより、自社の給食事業や宅配事業の強化・拡大、サービス体制の強化などを図れます。また、需要の増加を見込んで新規参入を図る際にも、M&Aによる買収はメリットが多いです。
買収によってこうしたシナジー効果を生み出すには、そもそも自社がどの事業を強化・拡大したいのか、新しく参入したい分野はどこかといった目的を整理し、買収対象を検討しましょう。目的を整理すると買収の方向性がはっきりするため、成功につながりやすくなります。
相手企業のサービス体制、事業内容、これまでの実績などを判断し、自社の目的に合った買収につなげましょう。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・買収・売却で注意すべきポイント
M&Aにあたっては、「目的を明確にする」、「M&Aの対象は丁寧に選ぶ」という点に特に注意しましょう。以下に、その意味合いを掲示します。
目的を明確にする
M&Aの目的がはっきりすれば、具体的なM&A戦略の策定によって適切なスキームを選べます。目的に沿った形でM&Aが進み、最終的にM&Aによるさまざまなシナジー効果を期待できるのです。
目的がはっきりしていなければ、具体的な戦略やスキームが曖昧になり、M&Aが失敗に終わる可能性があります。「費用がかかっただけで、思ったような効果が現れなかった」という事態にもなりかねません。こうした事態を防ぐ意味でも、M&Aの目的は明確にしておきましょう。
M&Aの対象は丁寧に選ぶ
M&Aの相手企業は慎重に選ぶ必要があります。売却によって他社に経営を任せる場合も、買収によって他社を傘下に入れる場合も、その他社は信頼できる企業でなければなりません。トラブルの発生を防ぐためにも、相手企業の事業方針や事業内容などをよくよく確認したうえで、信頼できるかどうかを慎重に判断しましょう。
そして、適切な相手と判断したら、アプローチは早めに行う必要があります。 アプローチが早ければ、他の企業に先を越されるリスクが減るからです。さらに、こうしたM&Aを進めるうえでは、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートはしっかりと受けましょう。
専門家のフォローがあれば、目的の明確化や相手企業の選定もスムーズに進みます。また、M&Aでは法務、税務、財務といった専門知識や、相手との交渉力も必要です。これらの専門的なプロセスを自社だけで進めることは難しいですが、専門家のサポートがあれば各段階でスムーズな進行が可能になります。
現在、もしM&Aをお考えの場合は、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍し、多くのM&Aを成約に導いた実績があるM&A総合研究所にご相談ください。
M&Aで特に重要である相手探しにおいて、これまでの実績で培った独自ネットワークを生かし、最適な交渉相手をマッチングいたします。その後の交渉や各種手続きにおいても、M&Aアドバイザーが専任となってフルサポートするので安心です。
24時間年中無休の無料相談を活用し、給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aに関することでしたら、何でもお気軽にお問い合わせください。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・買収・売却の相場
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aといっても、事例ごとに目的や対象事業・会社の規模は異なります。特に近年はM&A事例も多様化しているため、相場・費用を一概に判断することは難しいのが現実です。
ただし、相場・費用を考えずにM&Aを行うわけにはいきません。想定外の費用の発生やトラブルにつながるおそれがあるからです。こうした事態を防ぐためには、自社と似た事例を徹底的に分析し、相場・費用の目安をある程度つけておく必要があります。
具体的には、事例ごとのM&Aの目的、M&Aの当事者となる会社の規模、対象事業の規模、業績、従業員の数、M&Aのスキームなどを確認したうえで、自社の状況と似ている事例を徹底的に分析し、相場・費用の目安を把握することが大切です。
給食業・テイクアウト・配達飲食業をM&Aするメリット/デメリット
給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社がM&Aを行う際、実際にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを確認します。譲受企業(買収側企業)、譲渡企業(売却側企業)に分けて見ていきましょう。
譲受(買収側)企業のメリット
まず、給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を買収する場合のメリットは、以下のように多々あります。
- 売却側のブランド(屋号など)を獲得できる
- 自社が同業である場合、シナジー効果により業績拡大が期待できる
- 上記と同時に、スケールメリットも得られる
- 自社が同業・関連業であれば、異なるノウハウなどを得て新たな商品開発やサービスが可能になる
- 時間や労力をかけることなく、新たな事業エリアへの進出や新規事業への参入ができる
- 新たに安定した仕入れ先や販売先を獲得できる
- 有能な人材を大量に確保できる
譲受(買収側)企業のデメリット
また、給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を買収する場合に気をつけたいデメリットは、以下のようなものが考えられます。
譲渡(売却側)企業のメリット
もう一方の当事者である給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を売却する側には、M&Aで以下のようなメリットが得られるはずです。
- 後継者問題が解決し事業承継がなされる
- 廃業を回避し従業員の雇用が継続できる
- 売却益を獲得できる
- 個人保証や担保供与から解放される
- 財務にゆとりのある買収側の傘下になることで経営が安定する
- スケールメリットを得られるようになる
- 買収側のノウハウ提供により新商品・サービスの展開が可能になる
- 事業譲渡の場合、不要事業(ノンコア事業)を譲渡しコア事業に集中できる
譲渡(売却側)企業のデメリット
給食業・テイクアウト・配達飲食業の会社を売却する側として、注意すべきM&Aのデメリットには以下のようなものがあるので、覚えておきましょう。
- 事業譲渡の場合、競業避止義務が生じ、20年間、売却した事業と同じ事業を同一地区およびその隣接地区で行えなくなる
- 必ずしも希望どおりの条件で売却が成立するとは限らない
- 取引先や顧客から反発され事業に影響が出る可能性がある
- 売却後も会社に残る場合、売却前のような経営の権限はなくなる
- 売却後すぐにリタイアしたくても、経営統合プロセスへの協力が義務づけられて一定期間、ロックアップされる(会社に残り引き継ぎや統合プロセスへの協力を数カ月にわたって行う)
- 希望に合う買い手が見つからなければM&Aが成立しない
給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&A・買収・売却の事例/ニュース10選
ここでは、給食業・テイクアウト・配達飲食業界のM&Aの事例について、代表的な10件を掲示します。
- ダスキンがいちごホールディングスから事業譲渡
- LINEのシンガポール子会社がフードデリバリー会社を吸収合併
- ジャストプランニングがサン電子から事業取得
- ぐるなびが法人向けフードデリバリー事業を譲渡
- 梅の花によるテラケンの子会社化
- プレミアムウォーターホールディングスによるエア・ウォーターの一部事業の譲受
- ショクブンと神明による資本業務提携
- CSSホールディングスが子会社を通じてヤマト食品などを子会社化
- 豊田通商によるフジ産業の株式取得
- トーホーによる河原食品の子会社化
①ダスキンがいちごホールディングスから事業譲渡
2020(令和2)年11月、ダスキン(大阪府吹田市)は、いちごホールディングス(宮城県仙台市)と同社子会社のストロベリーコーンズ(宮城県仙台市)が行ってきた宅配ピザ事業を譲受しました。取得価額は公表されていません。
ダスキンは、2016(平成28)年にストロベリーコーンズと業務提携し、ダスキンが運営しているミスタードーナツ店舗内で、ストロベリーコーンズのピザ商品である「ナポリの窯」を販売してきた経緯があります。
ダスキンとしては、ミスタードーナツにおける販売促進を加速するために事業を取得しました。なお、事業譲受にあたっては、事業を引き取るための新会社を設立しています。
②LINEのシンガポール子会社がフードデリバリー会社を吸収合併
2020年8月、LINE(東京都新宿区)の連結子会社LINE Man Corporation PTE.LTD(シンガポール)が、Wongnai Media Pte. Ltd.(シンガポール)を吸収合併しました。また、この合併に合わせて、第三者割当増資も行われています。
LINE Man Corporation PTE.LTDは、タイでオンラインフードデリバリーなどを行っている会社です。一方、Wongnai Media Pte. Ltd.は、Wongnai Media Company Limitedが設立した会社で、タイ国内の飲食店レビュープラットフォームを運営しています。
この吸収合併によって、LINE Man Corporation PTE.LTDのタイでのフードデリバリー事業を強化することが目的です。
③ジャストプランニングがサン電子から事業取得
2020年8月、ジャストプランニング(東京都大田区)が、サン電子(愛知県名古屋市)からスマートフォンアプリ「iToGo(アイトゥゴー)」事業を取得しました。取得価額は公表されていません。
ジャストプランニングは、外食産業向けにアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)事業を展開している会社です。そして、サン電子から取得したスマホアプリ「iToGo」では、一般消費者に対し、テイクアウト料理の事前予約や割引クーポン配信機能などを提供します。
ジャストプランニングとしては、飲食店向けテイクアウト事業支援サービス強化を念頭に事業を取得しました。
④ぐるなびが法人向けフードデリバリー事業を譲渡
2020年1月、ぐるなび(東京都千代田区)が、法人向けフードデリバリー事業をスターフェスティバル(東京都)が新たに設立したOMOTENASHI(東京都渋谷区)に譲渡しました。譲渡価額は5億5,000万円です。譲渡の具体的なスキームには、会社分割(簡易吸収分割)が用いられました。
スターフェスティバルは、宅配弁当・ケータリング事業で実績がある会社で、この事業譲渡に関してはスターフェスティバル側から提案した模様です。ぐるなびとしては、事業の選択と集中を考慮・検討し、事業の切り離しを決めています。
⑤梅の花によるテラケンの子会社化
2019(令和元)年3月、梅の花(福岡県久留米市)は、テラケン(東京都千代田区)の発行済株式の一部を取得して、連結子会社化することを決定しました。テイクアウト事業、外販事業、外食事業を手掛ける梅の花は、テーマを「食と文化の融合」として幅広く販路を広げています。
梅の花としては、これからの業界を取り巻く環境について、働き方改革関連法案の施行や人口減少による人手不足などを考慮する必要があると懸念して、業容拡大と事業基盤の拡充を目的とした成長戦略として飲食関連会社の子会社化や業務提携を検討してきました。
テラケンは、「海産物居酒屋さくら水産」を運営しており計39店舗を展開しています。今回の買収で、購買や物流面でのシナジー効果、組織の活性化、事業基盤の拡大を図っています。
⑥プレミアムウォーターホールディングスによるエア・ウォーターの一部事業の譲受
2018(平成30)年3月、ミネラルウォーターの宅配事業を手掛けるプレミアムウォーターホールディングス(東京都渋谷区)は、エア・ウォーター(大阪府大阪市)との間で宅配水サービス事業全般における業務提携と、子会社による事業譲受について発表しました。
事業譲受の内容は、プレミアムウォーターホールディングスの連結子会社となるPWリソースを新設し、エア・ウォーターの子会社AW・ウォーター販売の「水源水事業」をPWリソースが譲り受けるというものです。
この提携は、プレミアムウォーターホールディングスとエア・ウォーターのノウハウなどを生かし、宅配水事業における、より良質なサービスの提供につなげることを目的としています。
なお、エア・ウォーターが「AW・ウォーター」ブランドとして行う宅配水事業は事業譲受の対象外です。今後もエア・ウォーターとグループ会社が事業継続します。
プレミアムウォーターホールディングスとしては、宅配水の製造から配送までの各過程でエア・ウォーターとグループ会社との協力関係を築き、販売チャネルの拡大、宅配水事業の収益基盤の強化・拡大を進めることが狙いです。
⑦ショクブンと神明による資本業務提携
2017(平成29)年5月、食材宅配サービスを手掛けるショクブン(愛知県名古屋市)とコメ卸大手の神明(兵庫県神戸市)は、両社の資本業務提携を発表しました。資本の移動を伴う資本業務提携は、広義のM&Aとされています。
ショクブンは、家庭用総合食材の宅配や業務用食料品販売、事業食などの相談運営を展開している会社です。また、神明は食料品の卸売・加工、食料品の売買、倉庫業などを事業内容としています。
ショクブンと神明の資本業務提携により、食材の仕入れや食料品販売などの事業が強化された形になりました。 具体的には、食材・商品の共同仕入、開発体制の構築、販売体制の拡充・発展といった分野を中心に業務提携が行われ、双方の営業力の強化、相互の成長を図っています。
⑧CSSホールディングスが子会社を通じてヤマト食品などを子会社化
CSSホールディングス(東京都中央区)は2014(平成26)年9月、子会社のデジタル・コミュニケーションズを通じ、ヤマトグループ3社(ヤマト食品、綜合食産、日本給食)の全株式を取得し、子会社化することを発表しました。 取得価額は7億3,400万円とされています。
CSSホールディングスは、「料飲ビジネス」と「空間プロデュース」の2つの事業領域を持ち、現在、この料飲ビジネスは、ヤマト食品(神奈川県大和市)が事業を展開することになりました。
CSSホールディングスはヤマト食品の子会社化以前もグループで総合給食事業を行っていましたが、ヤマト食品を含む3社の子会社化によってフードサービス事業領域を拡大した形です。
特にヤマトグループは、老人福祉施設や建設会社現場事務所への献立付食材販売事業に強みがあったため、CSSホールディングスは、今後、成長分野となり得る老人福祉施設への食材販売事業の強化も見込み、子会社化を実施したのです。
⑨豊田通商によるフジ産業の株式取得
2014年2月、トヨタグループの総合商社である豊田通商(愛知県名古屋市)は、コントラクトフードサービス事業を手掛けるフジ産業(東京都港区)の株式取得を発表しました。同年3月に株式譲渡が実行され、フジ産業は豊田通商グループに加わっています。
豊田通商は各種物品の国内取引、輸出入取引、建設工事請負などの幅広い事業を展開している会社です。また、フジ産業はフードサービス分野で高い実績を誇り、特に産業・学校保育・病院福祉分野における給食事業に大きな強みがあります。
このフジ産業を傘下としたことで、豊田通商は国内フードサービス分野への初進出を実現したのです。豊田通商のネットワークや、業務提携先である国分(東京都中央区)とトーカン(愛知県名古屋市)とのシナジー効果なども踏まえ、国内食品流通分野における事業拡大につなげています。
⑩トーホーによる河原食品の子会社化
業務用食品卸大手のトーホー(兵庫県神戸市)は2011(平成23)年12月、業務用食品卸売事業を展開する河原食品(神奈川県川崎市)の子会社化を発表しました。2012(平成24)年2月、河原食品はトーホーグループに加わっています。
トーホーは業務用食品卸売事業において、連結子会社であるトーホーフードサービスの事業基盤の強化やM&Aを活用した事業基盤の拡大、関東地区でのシェア拡大を進めていました。河原食品の子会社化も、こうした取り組みの一環として行われています。
河原食品は、関東地区有数の業務用食品卸売事業会社として神奈川県や茨城県に事業所・物流センターを展開し、給食業態への食材供給に強みがあるのが特徴です。この河原食品を子会社化したことで、トーホーは関東地区の事業基盤の拡大、ネットワークの強化を図っています。
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の案件情報
最後に、参考まで、M&A総合研究所が担当している給食業・テイクアウト・配達飲食会社の案件情報を掲示します。案件内容は売却希望案件です。
事業内容 | 社員食堂や事業所における給食提供 |
---|---|
エリア | 四国地方 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
営業利益 | 1,000万円〜5,000万円 |
譲渡希望価額 | 1億円〜2億5,000万円 |
譲渡理由 | 後継者不足による事業承継 |
この案件の詳細は、以下のリンクよりご覧いただけます。
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aまとめ
給食業・テイクアウト・配達飲食業界においても、他の業界同様に、事業の強化・拡大、サービス体制の強化、新規事業への参入などを目的としたM&Aが行われています。
特に、高齢者に向けた飲食サービスは今後の市場拡大が期待されるので、さらにM&Aが活性化することも
大いにあり得るでしょう。
給食業・テイクアウト・配達飲食業界でのM&Aを考える際には、このような業界事情やM&A動向などを踏まえ、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けながら進めるのが肝要です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。