2025年12月4日公開会社・事業を売る

財務アドバイザーとは?M&A仲介との違いや役割についても解説!

M&Aの検討や実施をする際に財務アドバイザーに相談するのも1つの手段です。本コラムでは、財務アドバイザーの概要やM&A仲介との違い、財務アドバイザーがM&Aで担う役割などを解説するとともに、財務アドバイザーの一般的な業務内容も紹介します。

目次
  1. 財務アドバイザーとは
  2. 財務アドバイザーがM&Aで担う役割
  3. 財務アドバイザーとM&A仲介との違い
  4. 財務アドバイザーの一般的な業務内容
  5. 財務アドバイザーまとめ
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財務アドバイザーとは

財務アドバイザーはファイナンシャルアドバイザー(Financial Adviser)とも呼ばれ、英語の頭文字を取ってFA(エフエー)という略称で呼ばれることもしばしばある職種です。

財務アドバイザーが担当する業務を大別すると、一般的な財務に関するアドバイスやサポートを行うケースと、M&Aを行おうとする企業や個人のサポートを行うケースの2種類があります。

一般的な財務アドバイスやサポートとは、投資戦略や税務の補佐、資産の運用や管理、リスクヘッジや資産の相続・承継などです。ただし、顧客が企業か個人かによってアプローチ内容は大きく異なるため、具体的な業務それぞれの説明は後述します。

財務アドバイザーがM&Aで担う役割

財務アドバイザーがM&Aで行う役割は、M&A全般へのサポートです。一般にM&Aは以下のようなプロセスで進みます。

  1. M&Aの検討
  2. M&Aの準備(企業概要書その他の資料作成、戦略策定、売却側では企業価値評価)
  3. M&Aの相手探し
  4. 交渉対象者間の秘密保持契約締結
  5. M&A交渉(買収側では企業価値評価)
  6. 基本合意後の取り交わし
  7. 売却側に対するデューデリジェンス(経営状況の精微な調査)
  8. 最終交渉
  9. 最終契約(正式契約)の締結
  10. クロージング(契約内容の履行)
  11. PMI(Post Merger Integration=経営統合プロセス、ただし買収側のみ)

このようにM&Aは多くのプロセスを経て成立するものですが、短くても3カ月、長ければ1年以上の期間を要するものです。特に顧客がM&Aに慣れていない場合、専門的な知識や経験が必要となるM&Aの各プロセスにおいて、財務アドバイザーの役割は不可欠の存在といえるでしょう。

また、M&Aは企業間で行われるものというイメージが強いかもしれません。しかし実際には、売却側が個人事業主であることもあれば、買収側が個人投資家や起業家であることもあり、財務アドバイザーにとって、顧客が企業の場合とは違ったアプローチが必要になるケースもあります。

なお、売却側と買収側で企業価値評価が行われるタイミングが異なるのは、売却側はM&A戦略策定の段階で自社の企業価値評価を行い、それを基に売却希望額を決めるためです。

一方、買収側は、交渉相手が決まって秘密保持契約締結後に相手側から情報開示を受けないと、売却側に対する企業価値評価を実施できません。売却側から開示された経営情報を受けて企業価値評価を行い、それを基に買収希望額を決めて交渉に臨む流れとなります。これが企業価値評価のタイミングが異なる理由です。

財務アドバイザーとM&A仲介との違い

財務アドバイザーと一般的に言うM&A仲介では、契約形式の違いにより顧客に対する立場が違います。財務アドバイザーは、M&Aの売却側・買収側のどちらか一方としか契約しません。この契約形式をアドバイザリー形式といいます。

一方、M&A仲介とは、売却側・買収側の双方と契約して両者の仲立ちをする立場で業務を行うものです。この契約形式を仲介形式といいます。M&A仲介はM&Aが成約しやすいともいわれますが、その反面、条件に妥協を求められることもあるでしょう。

財務アドバイザーは、M&A仲介のように仲立ちするスタンスではなく、顧客の利益最優先で代行して交渉を進めます。M&A仲介よりも成約に至るまで期間を要することが多いともいわれますが、成約した場合は顧客の希望する条件、またはそれに近い条件でM&Aが実現するでしょう。

財務アドバイザーの一般的な業務内容

ここでは、財務アドバイザーが一般的に行う業務の内容を具体的に確認しておきましょう。財務アドバイザーがM&Aのサポート以外に行う業務には、以下のようなものがあります。

  • 財務計画の提案・作成
  • 資産の運用・管理
  • 税務対策アドバイス
  • 保険の提案
  • リタイア後の資金運用提案
  • 相続相談・対策提案
  • 市場調査
  • 顧客との定期的な面談

これらの財務アドバイザーが行う各業務について、その内容を説明します。

財務計画の提案・作成

財務計画というと企業向けの業務に思われるかもしれませんが、財務アドバイザーが通常、行う財務計画の提案・作成とは、個人の顧客向けの業務です。

顧客それぞれの現在の資産と負債、収入と支出などを分析し、顧客の希望するライフプランが達成できるようにする財務計画を作成し提案します。なお、企業から財務について相談を受ければ、もちろん、財務アドバイザーとしてそれに対応します。

資産の運用・管理

財務アドバイザーは、上述した財務計画の中のより具体的な業務として顧客の資産運用・管理のアドバイスを行います。資産運用とは平たくいえば投資のことです。顧客の考えや方針・目標に基づき、リスク分散や短期戦略・長期戦略などを組み合わせた投資ポートフォリオを考察し提案します。

なお。この業務もどちらかといえば個人向けですが、企業の投資相談も対象です。

税務対策アドバイス

税務対策は税理士に相談するのが一般的だと思われていますが、昨今、財務アドバイザーに相談するケースも増えてきています。税理士と財務アドバイザーの違いは、士業として国家資格を有しているかどうかという点です。

ただし、財務アドバイザー(ファイナンシャルアドバイザー)にも多数の民間資格は存在します。税制や関連法を把握している専門家として両者に大差はありません。

保険の提案

財務アドバイザーは、個人の顧客のライフプランにおけるリスクヘッジの一環として、生命保険、損害保険、医療保険など各種保険の提案業務も行っています。

保険の契約書は細部の内容が込み入っており、簡単に内容が理解しづらいケースもあるでしょう。そこで、財務アドバイザーが各保険の内容を吟味して適切な保険を選択し、必要に応じて契約手続きのサポートも行います

リタイア後の資金運用提案

個人にとって定年退職や退任などのリタイア後の生活では資金運用は大きなテーマであり、それも財務アドバイザーの業務の範囲です。

年金をどのように活用するか、退職金を生活費として切り崩していくのか、あるいは投資に運用するのかなどにつき、各顧客によって、それぞれ異なる状況に対応し適切なアドバイスと提案を行います

相続相談・対策提案

顧客の資産内容を把握している財務アドバイザーとしては、その相続対策についても相談に乗り提案を行うことも業務の一環です。信託の活用であったり遺言書の作成であったり、必然的に弁護士や司法書士の領域に踏み込んだ仕事も行います。

被相続人が会社経営者または個人事業主の場合は、事業承継上の問題も絡んでくるため財務アドバイザーの役割は重大です。

市場調査

財務アドバイザーが行う市場調査とは、顧客の依頼を受けて実施する業務という側面もありますが、いつでも最新の金融商品や経済動向などの情報を顧客に提供できるように、それに備えて市場調査やマーケティングなどで各種の情報を収集しておくというニュアンスのものです。

顧客との定期的な面談

顧客との定期的な面談は、財務アドバイザーにとって重要な業務です。顧客に提案した各種の提案も、経済動向の変化や法律の改正などに合わせて見直す必要があります。また、顧客自身の人生に何らかの変化があった場合も同様であり、それをヒアリングするためにも定期的な面談は欠かせないものです。

財務アドバイザーまとめ

本コラムで示したとおり、財務アドバイザーはM&A実施の際に業務を依頼できる有用な存在です。M&A仲介と財務アドバイザーのどちらがよいかは考え方次第であり、自社に適切な方を選びましょう。また、財務アドバイザー自体も多数いるため、財務アドバイザー選びの際も自社に適した相手を選ぶことが肝要です。

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