現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
2020年12月22日更新会社・事業を売る
M&Aに補助金制度!新型コロナウイルス対策の補正予算
中小企業庁では、新型コロナウイルスの感染拡大が原因で経営の継続が困難になっている中小企業のM&Aを支援する補助金制度を実施しています。また、M&Aへの支援政策に加えて、新型コロナ対策の設備投資などに対する補助金への補正予算も組まれています。
新型コロナによるM&Aの補助金制度の内容
経済産業省や中小企業庁などを中心に日本政府では、新型コロナウイルスによって大きな影響を受けたマーケットや企業に対して様々な補助金制度を整え、経営資源や雇用・技術などを守るための支援を行っています。
その中には、経営資源引継ぎ補助金という、後継者不在事業者の事業承継や事業再編などのようなM&Aを支援する補助金制度もあり、M&Aを検討している中小企業には大きな後押しとなっています。
経営資源引継ぎ補助金制度とは
経営資源引継ぎ補助金制度とは、事業を第三者に売却・承継する際にかかる費用の一部を補助する制度です。譲受企業と譲渡企業の双方が補助金の対象となっています。
新型コロナウイルスの影響を受けている後継者不在の事業者のM&Aを支援・促進することで、廃業や倒産を防ぎ、経営資源や雇用、技術を守ることを目的としています。
日本政府は、経営資源引継ぎ補助金など、経営資源引継ぎ・事業再編支援事業に対して、補正予算100億円が組みこまれ、中小企業を新型コロナウイルスから守るためのM&A支援に力を入れています。
経営資源引継ぎ補助金の内容
譲受企業の場合、仲介手数料などのM&A仲介会社へ支払う費用に対して、上限200万円、補助率2/3の補助金を受け取ることができます。
譲渡企業についても譲受企業と同様に、仲介手数料やデューデリジェンス費用、企業概要書作成費用などのようなM&A仲介会社へ支払う費用に対して、上限200万円、補助率2/3の補助金を受け取ることができます。
更に、譲渡企業は、M&A関連の費用に対する補助金に加えて、既存事業の廃業費用に対して補助金を受け取ることができ、その上限額は450万円です。廃業費用には、廃業登記費や在庫処分費、解体費、原状回復費などが含まれています。
経営資源引継ぎ補助金制度の開始時期
経営資源引継ぎ補助金制度の開始時期についてはまだ発表されていませんが、最短でも6~7月頃から申請公募が開始され、公募期間は9月までと見込まれています。
詳細な開始時期や最新の情報は、中小企業庁が随時情報を更新しているので、ホームページやパンフレットなどで確認する必要があります。
経営資源引継ぎ補助金制度の具体例
M&A仲介会社の仲介手数料は、会社によって大きく異なりますが、本項では株式価額の5%である場合の経営資源引継ぎ補助金の具体例を紹介します。
譲渡企業の株式価額が3000万円の場合、M&A仲介会社に支払う費用は3000万×5%=150万円となります。経営資源引継ぎ補助金の上限は200万円ですが、補助率は2/3なので、M&Aにかかる費用のうち150万×2/3=100万円を補助金として受け取ることができます。
譲渡企業の株式価額が8000万円の場合には、M&A仲介会社に支払う費用は8000万×5%=450万円となります。補助率を考慮すると450万×2/3=300万円となりますが、上限が200万円なので、M&Aにかかる費用のうち200万円を補助金として受け取ることができます。
経営資源引継ぎ補助金の大きなポイントとなるのが、M&Aにかかわる費用に対する補助金は、譲渡企業・譲受企業ともに最大200万円、補助率2/3である点です。
その他の新型コロナ後のM&A対策
新型コロナウイルスの経済への影響は甚大で、収束後も世界的規模で景気の低迷や様々な分野でのマーケットの縮小、GDPのマイナス成長などが見込まれています。
日本政府は、新型コロナウイルス収束後の経済対策の一環として、経営が悪化した中小企業などのM&Aを支援する政策を発表しており、新型コロナ後のM&A対策として有効に活用することができます。
事業引継ぎ支援センターの対策
事業引継ぎ支援センターでは、後継者不在などの理由で第三者に事業を承継したい事業者に「プッシュ型」の第三者承継支援を行っています。
新型コロナウイルスにより、事業引継ぎ支援センターに相談に出向くことが困難な事業者に対して、出張相談などを実施し、M&Aをサポートする制度です。
これにより、新型コロナウイルスへの感染リスクを避けつつ、M&Aや事業承継の相手を見つけ、契約を進めていくことができます。
事業引継ぎ支援センターとは
事業引継ぎ支援センターとは、後継者のいない中小企業や小規模事業者の事業引継ぎを支援する国の公的機関です。民間のM&A仲介会社や金融機関などと連携してM&Aの支援を行っています。
事業引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置されており、専門家からのM&Aに関するアドバイスや相手企業とのマッチング、商工会議所や士業法人の紹介など、中小企業の経営資源や雇用などのスムーズな承継を促進しています。
中小企業経営力強化支援ファンドの対策
中小企業経営力強化支援ファンドは、新型コロナウイルスの影響による企業の倒産や廃業を防ぐために創設されたファンドです。
中小企業経営力強化支援ファンドに対して多額の補正予算が組まれ、資金繰りに不安を抱える数百社への出資が見込まれています。ファンドからの出資を通じて財務基盤を強化し、企業の再生やM&Aをサポートします。
事業の開始時期についてはまだ確定していませんが、8~9月をめどにファンドを創設し、存続期間は10年間を予定しています。詳しい情報や事業開始時期などは中小企業庁のホームページなどで随時更新されています。
新型コロナウィルス対策の補正予算
国の新型コロナウイルス対策の補正予算は、1次、2次を合算して約60兆円が計上される予定です。そのうち経済対策に充てられる予算は約41兆円で、補正予算の70%以上が新型コロナウイルスにより大きな影響を受ける日本経済を立て直すために利用されることになります。
M&Aや事業承継をサポートする経営資源引継ぎ・事業再編⽀援事業としては、約100憶円の補正予算が割り当てられています。
前章で解説した、経営資源引継ぎ補助金や事業引継ぎ支援センターの体制強化、中小企業経営力強化支援ファンドを通じて、コロナウイルスにより経営が悪化した中小企業の経営資源や雇用・技術などを守るために利用されます。
新型コロナウィルス対策の補助金・助成金
前章でも解説した通り、新型コロナウイルス対策のために多額の補正予算が組まれ、国をあげて新型コロナウイルスの影響を受けたマーケットや企業などへの経済支援を行っています。
国としては、経済産業省や中小企業庁が主導して経済対策を実施しているほか、地方自治体も独自の補助金や助成金などの新型コロナ対策を行っています。本章では、国や各自治体が実施している新型コロナウイルス対策の内容について詳しく解説します。
経済産業省による対策
経済産業省では、新型コロナウイルスなどのような世界規模での災害などにも対応できるようなサプライチェーンを整えることを目的に、そのために必要な設備投資などを対象にした補助金制度を導入しています。
新型コロナウイルスの拡大により明らかとなった日本企業のサプライチェーンの脆弱性を解消するための補助金として注目されています。
【経済産業省による新型コロナウイルス対策】
- サプライチェーン対策のための国内投資促進事業
- 海外サプライチェーン多元化等支援事業
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業は、ある特定の国に依存している製品や部素材、または健康な生活をするために重要な製品などを対象に、国内に製造拠点を整えるための設備導入費を補助する事業です。
新型コロナウイルスの感染拡大以前は、大企業やグローバル企業では、低コスト化と効率化を求めて、世界各地にマーケットを拡大し、グローバルなサプライチェーン網を構築していました。
しかし、世界中に広がった複雑なサプライチェーン網の全ての供給情報を把握することは困難であり、新型コロナウイルスの感染拡大後には、部品や原料の調達などに支障をきたしました。
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業では、国外にある日本企業の生産拠点を国内に移すことを支援し、サプライチェーン網の単純化を図り、新型コロナウイルスのような世界規模の災害の際のマーケットの安定化を目的としています。
海外サプライチェーン多元化等支援事業
海外サプライチェーン多元化等支援事業は、日本企業の海外製造拠点の複線化やサプライチェーン網の強化のための設備導入・実証事業・事業実施可能性調査などを支援する事業です。
製造拠点や部品、原料などのサプライヤーが特定の国もしくは地域に偏っている場合、新型コロナウイルス感染拡大のような大きな災害が発生し、その国での工場が停止するようなことがあれば、日本への供給も滞ることになります。
海外サプライチェーン多元化等支援事業では、製造拠点やサプライヤーを多元化・複線化し、緊急時のマーケットの安定化を図ることを目的としています。
中小企業庁による対策
中小企業の育成と発展を支援する経済産業省の外局である中小企業庁では、新型コロナウイルス対策として下記のような支援事業を実施しています。
【中小企業庁による新型コロナウイルス対策】
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- サービス等生産性向上IT導入補助金
これらの補助金事業は、新型コロナウイルスの感染拡大以前から実施していましたが、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた中小企業を支援するため、通常よりも補助率を上げて対応しています。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、今後中小企業が直面する、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げなどの制度変更に対応するための設備投資に対する補助金制度です。
新型コロナウイルスを乗り越えるために積極的な投資を行う中小企業を支援するため、補助率を通常時の1/2から2/3または3/4に引き上げた特別枠を設け、設備投資費に加え広告宣伝費・販売促進費も補助金の対象となっています。
サービス等生産性向上IT導入補助金
サービス等生産性向上IT導入補助金は、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備のためのITツールの導入を支援する補助金です。
このようなITツールの導入支援は新型コロナウイルス拡大以前から実施されていましたが、今般の新型コロナウイルスの拡大により、テレワークやビデオ会議のような、対面することなく遠隔で仕事を進めることができるようなシステムに大きな注目が集まっています。
通常は補助率1/2ですが、新型コロナウイルス対策として特別枠が設けられ、補助率2/3もしくは3/4の補助金を受けることができます。
その他各自治体による対策
地方自治体では、独自の新型コロナウイルス対策を実施しています。例えば、東京都や札幌市では中小企業庁と同様に設備投資やITツールの導入の補助金事業を行っています。愛知県や大阪府では、無担保・低金利での融資を支援しています。
それらの設備投資への補助金や無担保・低金利での融資に加えて、東京都や神奈川県では、新型コロナウイルスの影響で経営難に陥るなど廃業の危機に瀕している中小企業のM&Aを補助する事業を展開しています。
東京都では、新型コロナウイルスの影響で経営を続けることが困難な企業や後継者不在の企業など、M&Aを検討している企業を対象に、事業内容の分析やM&Aが可能な事業の切り出し、譲受企業とのマッチングなどを支援します。
神奈川県では、新型コロナウイルスにより売上が減り、M&Aを検討している企業で働く従業員を守るため、M&A後も継続して従業員を雇用するための人件費相当分が補助金として支給されます。上限は100万円で、補助率は3/4です。
まとめ
新型コロナウイルスは日本経済に大きな影響を与えており、中小企業を中心に、様々な業種の企業が大きなダメージを受け、経営の継続が困難な状況に陥っています。
経営難や後継者不在により、倒産や廃業を余儀なくされている中小企業の経営資源や雇用・技術などを守り、承継するために、日本政府や地方自治体はM&Aや設備投資などを支援する事業を実施しています。
【中小企業庁が実施するM&A対策】
- 経営資源引継ぎ補助金制度
- 「プッシュ型」の第三者承継支援
- 中小企業経営力強化支援ファンド
【地方自治体が実施するM&A対策】
- 企業再編促進支援事業(東京都)
- 再起促進支援(神奈川県)
【経済産業省による新型コロナウイルス対策】
- サプライチェーン対策のための国内投資促進事業
- 海外サプライチェーン多元化等支援事業
【中小企業庁による新型コロナウイルス対策】
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- サービス等生産性向上IT導入補助金
経済産業省や中小企業庁、各地方自治体では、M&Aへの補助金事業など中小企業を守るために様々な支援を行っています。しかし、実際にM&Aを実行するとなると専門的な知識も必要となるため、M&A仲介業者などへのサポートが必要不可欠です。
M&A総合研究所には、M&Aの知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しており、円滑なM&Aのためにチームで一丸となって、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業のM&Aをサポートしています。
完全成功報酬制を採用しており、相談料・着手金・中間金などは不要なので、M&Aを検討しているなら、M&A総合研究所にお気軽にご相談ください。国の政策や補助金に詳しい専門家もいるので、経営資源補助金制度などに関する相談も受付けています。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は完全成功報酬制(成約まで完全無料)のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 業界最安値水準!完全成功報酬!
- 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
- 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
- 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事
M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!【図解あり】
M&Aとは、「合併と買収」という意味を表す言葉です。昨今、M&Aは経営戦略として人気を集めており、実施件数は年々増加しています。経営課題解決のために、前向きにM&Aを考えてみてください。M&A仲...

買収とは?意味やメリット・デメリット、M&A手法や買収防衛策を解説します
買収には、友好的買収と敵対的買収があります。また、買収には「株式を買収する場合」「事業を買収する場合」の2種類があります。メリット・デメリットをしっかり把握し、知識を得て実施・検討しましょう。

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定をするうえで、現在価値の理解は欠かせません。現在価値とは今後得られる利益の現時点での価値を表す指標であり、将来の利益を期待して行う取引・契約・投資で重要な概念です。今回は、...

株価算定方法を解説します
株価算定方法は、多種多様でそれぞれ活用する場面や特徴が異なります。マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセスについて詳細に解説します...

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。会社は赤字だからといって、倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリットを踏まえ経営...
関連する記事
M&Aで違約金が発生する条件とは?基本合意や最終契約の注意点を解説
M&Aは契約書の内容に違反した場合、違約金が生じることがあります。成約までに締結する契約は数多く、細かい発生条件は契約の種類や法的拘束力の有無によって違います。今回は、M&Aで違約金や発生する条...
M&Aキャピタルパートナーズの最低仲介手数料は?報酬体系や相場を解説
M&Aキャピタルパートナーズは中堅・中小企業を対象にM&A仲介を手掛ける会社です。豊富な実績を持つ会社ですが、最低手数料はどうなっているのでしょうか。本記事では、M&Aキャピタルパートナーズの最...
M&Aの増加理由!買い手のリスクは?注意点なども解説
M&Aを行う理由や目的はさまざまですが、近年のM&Aブームや中小企業庁によるM&A支援の影響を受けて、M&A増加が顕著となっています。本記事では、M&A増加理由や買い手のリスク、買い手と売り手の...
再生型M&Aの基本的な手続きやスケジュールは?再生型M&Aを取り入れるメリットも
再生型M&Aとは、業績が悪化して自力での再生が難しい状態の企業を一部清算することも視野に入れながら、M&Aを活用して事業再生を図る手法です。本記事では、再生型M&Aの基本的な手続きやスケジュール...
M&Aブーム!今回の特徴は?過去のブームとの違いなどまとめ
近年、社会を取り巻く環境の変化の影響でM&Aブームが到来しつつあります。その特徴から、一過性のものではなく持続性があるものという見方もされています。本記事では、今回のM&Aブームの特徴や過去のブ...
事業再生の手法まとめ!M&Aを利用する方法も?手続きとメリットなども解説
事業の業績悪化が続く場合、事業再生により健全化を図ることがあります。M&Aを活用する手法もあるので、最善手を見極めるためには各手法の特徴を押さえておく必要があります。本記事では、事業再生の手法や...
M&A(国内)の現状!市場規模や課題は?対策と今後の展開などを考察
不況による市場の縮小や経営者の高齢化、さらには新型コロナウイルスの影響などにより、M&A(国内)の現状は不透明さが増しています。本記事では、M&A(国内)の市場規模や課題といった現状を解説し、そ...
500万円で買える会社・M&A案件!買収するメリット・デメリット
M&Aでは500万円以下の少額案件も多く、500万円で買える会社なら資金の少ない個人でも買収できます。本記事では、500万円で買える会社のM&A案件についてメリット・デメリットを解説するとともに...
信用組合にM&A・事業承継は相談できる?信金キャピタルの評判とは
信用組合とは、地域密着型の会員制金融機関です。また、信金キャピタルは、中小企業向けにM&A・事業承継支援や投資育成を行っています。本記事では、信用組合や信用金庫、信金キャピタルにM&A・事業承継...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。