2020年8月22日更新業種別M&A

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向や相場、事例、成功のポイントを解説

SES事業会社では、事業拡大・優秀な人材の確保などを目的にM&Aが活発化しています。​​​​​​​競争が激化する業界の動向に対応するため、特に同業者同士のM&Aによって競争力の強化を図るケースが多いです。今回は、SES事業会社のM&A動向を中心にまとめました。

目次
  1. SES事業会社とは
  2. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向
  3. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
  4. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント
  5. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場
  6. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選
  7. まとめ
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SESのM&A・事業承継

SES事業会社とは

SES事業会社とは

近年、さまざまな業界・業種でM&Aの増加が目立っています。中でもSES事業会社では、事業領域拡大・事業強化・人材確保などを目的とするM&A事例が多いです。例えば、SES事業会社同士のM&Aで双方のノウハウや技術を活かしつつ事業強化につなげるといったケースが見られます。

このようなSES事業会社のM&A動向を知るにあたり、まずはSES事業会社とはどのような会社なのか、その特徴について確認しておきましょう。

SES事業とは何か?

SESとは「システムエンジニアリングサービス」の略称であり、主にソフトウェアやシステムの開発・保守・運用などに関する委託契約の一種です。つまりSES事業とは、IT関連の技術者を他社に派遣してシステム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用を行う事業をさします。

SES事業は、外部エンジニアに対するニーズの高まりを受けて拡大しています。例えば、会社内の技術者育成が間に合わなかったり人材が不足していたりするケースでは、どうしても外部エンジニアに頼らなければなりません。

こうした企業に対してSES事業会社はエンジニアを常駐させて、システム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用サービスを提供するという仕組みです。

SES契約の仕組み

SES契約とは、エンジニアを対象企業に常駐させ、期間内の労働に対して報酬を支払う契約のことです。SES契約と類似する契約には請負契約・派遣契約がありますが、これらはSES契約とは内容が大きく異なります。以下では、それぞれの違いについてまとめました。

SES契約と請負契約の違い

請負契約とは、特定の仕事の完成を約束し、これに対して報酬を支払う契約をさします。そのため、成果物の引き渡しなどを行って仕事を完成させなければ対価は支払われません。

その一方で、SES契約は期間内の労働に対して報酬が支払われる点に特徴があります。たとえシステムなどが完成していなくても、労働自体に対して対価が支払われるのです。

SES契約と派遣契約の違い

派遣契約では、対象企業が実施するプロジェクトに応じてエンジニアが派遣されます。そのプロジェクトが完了すれば別の企業に移るため、同じ企業に長く派遣されるということは基本的にありません。

その一方で、対象企業に常駐させるSES契約では、雇用期間は契約内容によって定められる点が特徴的です。このほか、派遣契約では派遣先企業にエンジニアへの命令権があるのに対して、SES契約ではSES事業会社に命令権があるという点においても相違が見られます。

SES事業会社の特徴と動向

ここでは、SES事業会社の特徴・動向を整理します。SES事業会社は、IT業界で最も競争が激しいです。SES事業が属するソフトウェア業はIT業界で最も企業数が多く、業界内の競争相手が非常に多いといえます。

IT業界全体で人材不足が深刻化する中で、人材確保の面でも競争が激化している状況です。こうした状況では、競争力に応じて市場価値が決まります。近年のIT業界では、技術力やノウハウといった強み・技術者のレベルなどを踏まえて独自の競争力が求められているのです。

特にIT分野は需要がめまぐるしく変化するため、AI・IoTといった最新技術の保有の有無は競争力に大きく影響します。以上のような特徴が見られるSES事業会社ですが、エンジニア自体に対するニーズは高まっており、ソフトウェア業全体での売上高も増加傾向です。

そして先述したように、SES事業会社は、会社内の技術者不足の解決策としてエンジニアを派遣するという大きな意義を持っています。そのため、社員の業務は出向・派遣が主軸となっているという点も大きな特徴です。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向

ここでは、SES事業会社のM&A動向を4項目に分けて解説します

人材確保を目的としたM&Aの増加

人材不足が深刻化しているIT業界では、技術者が多く在籍するSES事業会社の買収により人材確保を図るというケースが目立っています。IT企業がSES事業会社を買収するM&Aが増加する中で、人材確保の手段としてM&Aを活用するケースは今後も増えていく見込みです。

海外の大手資本から日本へのM&Aの増加

事業規模が大きい海外の大手企業では、特にシステム開発などのコストをいかに抑えるかが重要視されています。そこで効率的なシステム開発・管理・運用などを目的に、日本のSES事業会社を買収するというケースも目立っている状況です。

国内の同業者同士によるM&Aの活発化

国内の同業者同士によるM&Aは、双方のノウハウを活かした事業拡大などのメリットが期待できます。競争が激化する状況において、同業同士のM&Aは競争力強化に向けて大きな意義を持つのです。後ほど紹介する事例でも、双方のノウハウ・技術などを活用して事業拡大を図るケースが見られます。

SES業界内の海外投資の増加

SES業界では、海外投資の増加も見られます。例えば、途上国への投資によりインフラ整備に取り組み、海外における事業拡大につなげるといったケースです。国内における競争激化の状況を踏まえると、今後も海外投資は増加するものと見られます。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

ここでは、SES事業会社のM&Aにおける成功ポイントについて、売却ケースをもとに解説します。

  1. 独自分野・優秀な人材・最新技術などの強みを持つ
  2. 人材の価値を適切に評価してもらう

それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。

①独自分野・優秀な人材・最新技術などの強みを持つ

売却を成功させるには、買い手から見て魅力的な会社である必要があります。SES事業会社における近年の動向を踏まえると、「独自分野に特化している」「優秀な人材が在籍している」「最新技術に対応している」といった特徴を持つ会社は、多くの買い手から魅力に感じてもらいやすいです。

買い手にとって、上記の特徴を持つ会社を買収すれば競争力の強化につながります。そのほか、「会社に将来性があるか」「収益性はあるか」「しっかりとした顧客基盤を持っているか」などの点も重要です。以上の点を踏まえて、補強すべき部分を補強しながら、自社の魅力を買い手に伝えましょう。

②人材の価値を適切に評価してもらう

システムエンジニアは専門性の高い職業であり、適切な人材価値評価が難しい傾向にあります。専門知識がないと、人材価値を評価する際に判断を誤ってしまうおそれがあるのです。

専門知識がないと、例えば「1ヶ月に60万円の利益を生む40代の人材」と「1ヶ月に30万円の利益を生む20代の人材」を比較したとき、利益だけを見て40代の人材を高く評価する傾向があります。これにより、最新技術に強い優秀な20代の人材が適切に評価されないおそれがあるのです。

人材価値評価は、M&Aにおける売却金額に大きな影響を及ぼします。適切な金額で自社を売却するためにも、SES事業会社の人材価値を適切に評価できる専門家に相談・依頼しましょう。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

SESのM&A・事業承継
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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

SES事業会社のM&Aではメリットが多い一方で、注意すべきポイントも多いです。代表的な注意点としては、「目的を明確にすること」「対象企業は丁寧に選ぶこと」などが挙げられます。

SES事業会社に限らず、M&Aは事業拡大・人材確保などさまざまな目的で実施される行為です。M&Aを行う際は、M&Aで実現したいことを明確化させなければなりません。目的がはっきりしていれば、それだけ具体的なM&A戦略を策定でき、メリットが多いM&Aの実現につなげられるのです。

また、双方のノウハウなどを活かしたシナジー効果を狙う以上、対象企業は丁寧に選びましょう。自社に相応しい相手かどうか、事業内容や方針などを踏まえて判断すると良いです。そして相応しい対象企業が見つかったら、アプローチを早めに行う必要があります。

他の企業に先を越されてしまわないよう、相手を決めたらスピーディーに対応しましょう。なお、M&Aを進めるには、法務・税務・財務などの専門知識が必要です。トラブルを防ぐには、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家からサポートを受けることが必須といえます。

数あるM&A仲介会社の中でも、実績面・手数料面で相談しやすい機関は、M&A総合研究所です。M&Aの実績が多いだけでなく全国にパートナーである専門家を抱えており、案件を豊富に取り揃えています。そして、業界最安値水準の手数料体系にも強みを持つ仲介会社です。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場

SES事業会社のM&Aでは、数千万円~1億円前後および数億円~数十億円という価格で取引される事例が比較的多いです。現段階ではこれら2種類の金額規模を相場の目安として考えることも可能ですが、今後は事例の多様化に伴いさまざまな規模のM&Aが増加する可能性もあります。

そのため、一概に相場や費用を把握することは難しいです。とはいえ、想定外の費用の発生を防ぐためにも、相場の目安をある程度付けておく必要があります。

そこで、M&Aの目的・M&A当事者となる会社の規模・対象事業の規模・会社の業績・従業員数・M&Aスキームなどを事例ごとにチェックしながら自社と類似する事例を徹底的に分析し、相場の目安を付けておくと良いです。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選

最後に、SES事業会社のM&A代表事例として、以下の5件を紹介します。

  1. TOKAIコミュニケーションズによるアムズブレーンの子会社化
  2. インフォメーションサービスフォースによるITソフトジャパンの子会社化
  3. じげんによるマッチングッドの子会社化
  4. ITbookによるRINETの子会社化
  5. 日本プロセスによるアルゴリズム研究所の子会社化

それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①TOKAIコミュニケーションズによるアムズブレーンの子会社化

2019年7月、TOKAIホールディングスの100%子会社であるTOKAIコミュニケーションズは、情報サービス事業を展開するアムズブレーンの連結子会社化を発表しました。

買収側のTOKAIコミュニケーションズは、ネットワーク・データセンター・システム開発などを展開しており、情報通信分野において個人・法人の双方を顧客に抱えています。特に法人には、長年培った技術・ノウハウをもとに、先端技術にも積極的に対応しながら最適なソリューションを提供する企業です。

売却側のアムズブレーンは、長年の事業展開を通じて得たノウハウやリソースを活かして、安定した業績を確立してきました。

アムズブレーンの子会社化により、TOKAIコミュニケーションズでは情報通信事業における開発体制の強化・シナジーの創出・両社の中長期的な企業価値向上などを目指すとしています。

②インフォメーションサービスフォースによるITソフトジャパンの子会社化

2019年3月、トライアンフコーポレーションの連結子会社でシステム・エンジニアリング・サービスを展開するインフォメーションサービスフォースは、システム開発会社のITソフトジャパンの子会社化を発表しました。取得価額は3,200万円です。

売却側のITソフトジャパンは、およそ15年間にわたってシステム開発事業を展開してきました。大手企業を中心とした優良な顧客基盤および優秀な技術者を抱えていましたが、経営者の高齢化により事業承継を経営課題に抱えていた企業です。

ITソフトジャパンの子会社化により、親会社のトライアンフコーポレーションでは、当事会社の2社が培ってきた技術力・取引基盤などを融合させて情報技術事業の拡大を目指すとしています。

③じげんによるマッチングッドの子会社化

2018年12月、情報検索サイトなどを運営する「じげん」は、業務支援システムの開発などを行うマッチングッドの連結子会社化を発表しました。2019年1月には、マッチングッドの子会社化を完了させています。

買収側のじげんは、2014年に人材紹介会社向けに採用管理基幹システムを提供するブレイン・ラボを子会社化して以来、HRテックの推進などを進めている企業です。

売却側のマッチングッドは、人材紹介会社・人材派遣会社・企業の採用担当者向けに採用管理業務を支援する基幹クラウドシステム「matchingood(マッチングッド)」を提供し、約260社の顧客基盤を有していました。

マッチングッドの子会社化により、じげんではマッチングッドとブレイン・ラボを協業させて顧客社数の増加・商品ラインナップの拡充などを目指すとしています。

④ITbookによるRINETの子会社化

2018年8月、官公庁や民間企業向けのITコンサルティングなどを展開するITbookは、エンジニア派遣・受託開発などを展開するRINETの子会社化を発表しました。取得価額は1億円と発表され、同年9月にRINETの子会社化が実施されています。

ITコンサルティング企業のITbookは新しい事業創生にも積極的に取り組んでおり、RINETの子会社化も新たな分野への進出の一環です。売却側のRINETでは、近年AI・IoT向けの社内教育やシステム開発にも力が入れられていました。

RINETの子会社化により、ITbookでは新たな分野への進出・既存事業とのシナジーの創出・事業の発展などを目指すとしています。

⑤日本プロセスによるアルゴリズム研究所の子会社化

2018年5月、制御・組込システム開発などを手がける日本プロセスは、社会インフラ分野などでシステム開発を展開するアルゴリズム研究所の子会社化を発表しました。取得価額は1億5,960万円と発表され、同年8月にアルゴリズム研究所は日本プロセスの完全子会社となっています。

買収側の日本プロセスは、IoT・自動車・環境エネルギー分野において、新たな中核ビジネスへの注力・人材への重点投資などに取り組んでいました。特に自動車を注力分野に掲げて、自動運転に向けた先進運転支援システム(ADAS)分野の拡大を進めています。

売却側のアルゴリズム研究所は、鉄道・道路・消防および防災といった社会インフラ分野におけるシステム開発を手掛ける企業です。アルゴリズム研究所の子会社化により、日本プロセスでは協働営業・業務委託によるグループの成長を目指すとしています。

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まとめ

まとめ

SES事業会社では、事業拡大・優秀な人材の確保などを目的にM&Aが活発化しています。競争が激化する業界の動向に対応するためにも、特に同業者同士のM&Aによって競争力の強化を図るケースが多いです。

同業者が双方のノウハウや技術を活かして事業領域や事業規模の拡大につなげられれば、競争力を強化できます。M&Aでは、深刻化する人材不足の解消に向けて、人材の確保が期待できる点もメリットです。

人材不足は今後も続くと予想されるため、優秀な人材を集めたいSES事業会社がM&Aを検討するケースは増えていくものと見られます。そのほか、海外への事業展開・海外資本の参入など、最近のM&A事例は多様化している状況です。

SES事業会社のM&Aを検討する際には、自社の規模・事業と類似する事例を徹底的に分析したうえで、M&A動向をチェックしておきましょう。今回の記事をまとめると、以下のとおりです。

・SES事業会社とは
→エンジニアを常駐させて、システム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用サービスを提供する会社

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向
→人材確保を目的としたM&Aの増加、海外の大手資本から日本へのM&Aの増加、国内の同業者同士によるM&Aの活発化、SES業界内の海外投資の増加

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
→独自分野・優秀な人材・最新技術などの強みを持つ、人材の価値を適切に評価してもらう

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント
→目的を明確にすること、対象企業は丁寧に選ぶこと

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場
→数千万円~1億円前後・数億円~数十億円という価格で取引される事例が比較的多い

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