2020年1月8日公開業種別M&A

SaaS業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

今後のSaaSの多様化に伴い、様々な需要なニーズを見据えたM&Aが加速する可能性もあります。 SaaS業界でM&Aを考えるには、業界動向や様々なM&A事例を分析しつつ、今後の展望を見据え、検討を進めることが重要です。

目次
  1. SaaS業界とは
  2. SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡動向
  3. SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
  4. SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント
  5. SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡の相場
  6. SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選
  7. まとめ
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SaaSのM&A・事業承継

SaaS業界とは

事業の強化・拡大、新規事業への参入などを目的に、近年様々な業界でM&Aが活発化しています。
SaaS業界も例外ではなく、様々な目的のためにM&Aを検討する企業が増えています。 例えば、双方の技術やノウハウを活かしてサービス体制の強化を図るケースや、新しい技術を取り入れて新分野へ参入するケースなど、それぞれの目的に合わせたM&Aが行われています。 さて、こうしたSaaS業界のM&A動向を整理するにあたり、まずはSaaS業界の特徴や動向からご紹介していきます。 SaaSとは何か? 最初に、そもそもSaaSとはどういう意味か、整理しておきます。 SaaS(Software as a Service)とは、ネットワークを経由してソフトウェアを利用できるサービス形態のことをいいます。 従来は、各自でパソコンにソフトウェアをインストールしてサービスを利用していましたが、SaaSはネットワーク経由でサービスを利用できます。 これは、サーバーがインターネットを経由してサービスを提供するという仕組みになります。 利用者としては、インターネットなどのネットワーク環境さえあれば、サービスを利用できることになるわけです。

SaaSが発展した理由

SaaSの場合、ソフトウェアの保守・点検などはサービス提供者が行います。 利用者は基本的にネットワーク経由でサービスを利用するだけなので、ソフトウェアの保守・点検を自分で行う必要はありません。 また、ソフトウェアの更新やアップデートを行う必要もなく、常に最新の状態でソフトウェアを利用できます。 このことは、特に企業にとって非常にメリットが高いです。 企業が自社でソフトウェアの保守・点検などを行う必要がないので、設備に関するコストを削減できます。 そして、ソフトウェアの利用にあたっての手間が大きく減少するため、企業の労働生産性も向上します。 こうしたメリットもあって、SaaSは個人・企業の両方で大きなニーズがあり、特に近年はSaaSの飛躍的な発展が目立ちます。 ニーズの増加に伴い、SaaS業界内でも様々なサービスが誕生しています。

SaaS業界の特徴

上記でご紹介したように、SaaSは企業の労働生産性を向上させることができます。 そのため、特に業務の効率化が求められるビジネス領域で、SaaSのニーズは高まっています。 つまり、SaaS事業を行う会社としては、このようなビジネス領域に特化したサービスを提供し、需要の取り込みを進めることが急務となるわけです。 そのため、SaaS業界が提供するサービスは、財務会計、人事、データ分析など、様々なビジネス領域に特化しています。 SaaS事業を行う会社は、それぞれのビジネス分野に特化したサービスを通じて、企業側にソリューションを提供することになります。

SaaS業界の主な動向

特に最近では、ネットワークで情報共有やコミュニケーションを行うグループウェアや、顧客の一元管理を自動化するマーケティングオートメーション(MA)などのニーズが高まっています。 グループウェアは、メールやファイル共有などのツールのことで、情報共有やコミュニケーションを効率的に進める際に必須です。 また、マーケティングオートメーションは、見込み顧客に関する情報を一元管理できるので、特に多くの顧客を抱えている場合の作業効率を格段に上げることが可能です。 いずれも日々の業務の効率化に大きく貢献する分野のため、これらのサービスを提供するSaaSの導入が進んでいます。 さらに、今後はあらゆるサービスがクラウド化することも予想されます。 それに伴うSaaSのニーズの高まりに合わせ、SaaS市場はますます成長すると思われます。

SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡動向

aaS業界では、需要の増加やニーズの傾向を踏まえ、サービス体制の強化や新分野への参入を目的にM&Aを行うケースも見られます。 例えば、同業者同士のM&Aによって、双方の技術やノウハウを活かす形でサービス体制を強化するといった事例があります。 特にIT関連の分野は、ニーズの傾向がめまぐるしく変わります。 そのため、ニーズの動向や需要の増加について、全て自社で対応することは難しいと言えます。 こうした状況では、他社とのM&Aによって事業の強化・拡大につなげ、需要の取り込みを進めるといった方法が効果的です。 また、新分野へ参入したい場合も、自社で一から事業を開始することは時間と手間がかかります。 そこで、その分野ですでに力を持っている企業とのM&Aにより、比較的短期間で参入を果たし、新たな需要を取り込むといったケースも考えられます。 このような状況の中、ニーズや需要の動向に合わせ、今後はSaaS業界でM&Aが加速する可能性もあります。

SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

売却を行うケース

売却を成功させるためには、相手に自社の魅力をしっかりアピールしなくてはなりません。 相手企業にとって魅力的な事業やサービスを行っていれば、その企業が買収に名乗り出る可能性は高くなります。 そのためにも、自社の魅力・強みをわかってもらう必要があります。 特にSaaS業界の場合、新分野への参入やサービス体制の強化を目的にM&Aを行うケースも考えられます。 魅力的なサービス体制や技術などを有していれば、それだけ多くの買い手が見つかる可能性があるわけです。 こうしたM&Aを成功させるためにも、自社が特化する事業やエリアなど、魅力・強みをわかりやすく伝えることが大切です。

買収を行うケース

SaaS業界では、双方の技術やノウハウを活かす形でシナジー効果の創出を図るM&Aが多く見られます。 こうした買収を成功させるためには、自社が強化すべき事業や分野を事前に整理し、どの企業を買収するべきかを慎重に検討しなくてはなりません。 強化したい分野などの目的がはっきりしていれば、それだけ適切な相手企業を探しやすくなります。 ニーズや需要の動向も踏まえ、どの部分を強化するべきか、どの分野に進出するべきかといったポイントを再確認し、買収するべき企業を検討しましょう

SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

SaaSのM&A・事業承継
SaaSのM&A・事業承継

M&Aにあたっては、「目的を明確にすること」「対象企業を丁寧に選ぶこと」という点に特に注意しましょう。 目的がはっきりしていれば、具体的なM&A戦略のもとで適切なM&Aスキームを検討することができ、方向性が具体的に定まります。 一方で、目的が不明確であれば、M&Aをしても思ったような効果が現れない可能性が高くなります。 こうした事態を防ぐためにも、M&Aによって何を実現したいのかをはっきりさせておきましょう。 また、M&Aによって売却・買収を行う以上、対象となる企業は丁寧に選ぶ必要があります。 売却であれば経営を任せることになり、買収であれば企業を傘下に迎える形になるわけです。 いずれの場合も、相手企業はしっかりと信頼できる企業でなければなりません。 相手企業の事業内容や方針などを分析しつつ、自社に合うかどうか、慎重に判断する必要があるのです。 一方で、ふさわしい相手企業が見つかったら、アプローチは早めに行いましょう。 アプローチが早ければ、他の企業に先を越されるリスクを防ぐことができます。 そのほか、M&Aの手続きの注意点には「専門家のサポートを受けるべき」という点も挙げられます。 M&Aの手続きでは、法務、税務、財務といった専門知識が求められます。 また、相手企業との交渉力も必要です。 自社だけでこのような手続きを進めることは困難なので、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートを受け、M&Aを進めるようにしましょう。

SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡の相場

SaaS業界では、技術やシステムの多様化、ニーズや需要の動向に合わせ、M&A事例も多様化する可能性があります。 そのため、M&Aの相場・費用を一概に判断することは困難と言えます。 ただし、M&Aにあたって相場・費用を全く考慮しなければ、想定外の費用が発生することにもなりかねません。 こうした事態を防ぐためにも、自社に似た事例を分析し、相場・費用の目安をある程度つけておく必要があります。 具体的には、それぞれの事例のM&Aの目的、M&Aの当事者となる会社の規模、対象事業の規模、会社の業績、従業員の数、M&Aのスキームなどを確認し、自社の状況と似ている事例は徹底的に分析する必要があります。

SaaS業界のM&A・買収・売却・譲渡の事例5選

Siderがオプトベンチャーズを引受先とした第三者割当増資を実施

2019年2月、コードレビュー自動化ツールの「Sider」を運営するSiderは、ベンチャーキャピタル事業などを行うオプトベンチャーズを引受先として第三者割当増資を実施したことを発表しました。 同時に、GitHub Enterpriseに対応したオンプレミス版のSider Enterpriseの正式リリースも発表しています。 Siderは今回の資金調達により、世界各地への普及や大手企業への普及を目指すとしています。 Siderは、ソフトウェアエンジニアがプログラミングに集中できるように作業を効率化するという点に焦点を置き、事業展開を行っています。 具体的には、ソフトウェア開発者の業務の15%以上を占めるコードレビューを自動化することにより、レビュー業務の時間削減やソフトウェアの品質向上につなげています。 こうしたコードレビュー自動化ツールが「Sider」となります。 Siderは今回の資金調達で販売活動の拡大などを加速させるとしており、「Sider」のさらなる普及も期待されています。

凸版印刷によるMonoposの子会社化

2018年8月、総合印刷大手の凸版印刷は、ECシステムの提供などを手がけるMonoposを買収しました。 Monoposは、IROYAが持つリアル店舗とオンラインサイトを統合するオムニチャネルの導入支援サービスである「Monopos」事業が分割される形で、2018年8月1日に設立されました。 そして、凸版印刷がMonoposを買収することでIROYAと合意し、Monoposの買収が実現しています。 凸版印刷とMonoposはこの買収により、凸版印刷のデジタルマーケティング分野における企画力・ノウハウと、Monoposのオムニチャネル化のノウハウなどを活かし、リテールテックサービスの普及や顧客価値の向上などを目指すとしています。

ビットアイルによるAXLBITの子会社化

2013年2月、ビットアイル(後のビットアイル・エクイニクス:2017年にエクイニクス・ジャパンに合併して解散)は、SaaSプラットフォームサービスを提供するAXLBITの子会社化を発表しました。
ビットアイルは「総合ITアウトソーシング」事業を行い、データセンターサービス、クラウドサービス、アプリケーション開発支援サービスなど、幅広い事業を展開する会社です。
ビットアイルは多様化するニーズへの対応としてクラウドコンピューティング分野でのサービス強化を進めていましたが、こうした取り組みの中でAXLBITの子会社化が行われています。
AXLBITは、クラウド活用のコンサルティングやSaaSプラットフォームサービスの提供などを手がけ、クラウド活用などの高い支援実績に特徴があります。
このAXLBITの子会社化により、ビットアイルはグループの強みとAXLBITの技術・ノウハウを合わせ、より良質なサービス提供やサービス開発のスピードアップを図っています。
また、このM&Aが生み出したシナジー効果は、ビットアイル(後のビットアイル・エクイニクス)を合併したエクイニクス・ジャパンにも受け継がれていると言えるでしょう。

KDDIによるServisionの子会社化

KDDIは2007年4月、ホスティングサービス「CPI」の運営を行うServisionの子会社化を発表しました。 2007年当時もICT環境は大きく進化しており、プラットフォームの提供に加え、幅広いサービスやソリューションの提供がICTソリューションプロバイダーに求められていた中で、KDDIによるServisionの子会社化が行われました。 レンタルサーバー事業者であるServisionは、当時から国内最大規模のICTリテラシーの高い代理店網を整えていました。 このServisionがKDDIの子会社になったことにより、KDDIの携帯電話サービスなどのICTソリューション力が加わり、より魅力的なサービス展開につなげています。

SAPがQualtricsを買収

こちらは海外企業のM&A事例になります。 2018年11月、ドイツに本社を構えるヨーロッパ最大級のソフトウェア会社のSAPは、オンライン調査サービスなどを手がけるQualtricsの買収を発表しました。 SaaS企業の買収としては最大規模となる80億ドルでの買収となり、翌年1月にはQualtricsの買収が完了しています。 SAPは、企業がデスクトップ環境やモバイル環境などにおいて効率的な協業や的確なビジネス判断を行うため、幅広いソリューションを提供しています。 世界各国で約42万5000社の顧客企業がSAPのアプリケーションやサービスを利用しており、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社として様々な事業を展開しています。 また、Qualtricsはエクスペリエンスマネージメントソフトウェア分野の世界的なパイオニアとして知られています。 このQualtricsをSAPが買収したことで、SAPソフトウェアの業務データとQualtricsのエクスペリエンスデータが合わさり、エクスペリエンス経済の活性化を進めるとしています。

まとめ

企業の労働生産性の向上につながるSaaSは、近年様々なビジネス領域で取り入れられています。
あらゆる分野での業務の効率化を目的として、今後はSaaSの需要もますます増加すると思われます。
こうした動向の中、M&Aによって事業の強化・拡大やサービス体制の強化などを実現し、需要の取り込みを図るSaaS事業会社も増えています。 M&Aは、お互いの技術やノウハウを活かす形で事業の発展につなげることができ、様々なニーズに対応することも可能です。 そのため、今後のSaaSの多様化に伴い、様々な需要なニーズを見据えたM&Aが加速する可能性もあります。
SaaS業界でM&Aを考えるには、業界動向や様々なM&A事例を分析しつつ、今後の展望を見据え、検討を進めることが重要です。

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