M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年10月18日更新業種別M&A
エステサロン業界のM&A・事業承継の最新動向!案件例・事例も紹介
エステサロン業界におけるM&A・事業承継の事例や案件例、費用の相場などを解説します。エステサロン業界のM&A・事業承継は、メリット・デメリットを把握したうえで実施を判断しなければなりません。エステサロン業界のM&A・事業承継を検討している方は必見です。
目次
エステサロン業界の現状
エステサロン業界は急速に発展しているものの、消費者とのトラブルが後を絶ちません。主な要因としては、エステティシャン(エステティックを行う技術者)には国家資格がない点や、公的な資格制度が整備されていない点が挙げられます。
また、エステティック業の中には医師が行うべき分野もあり、場合によっては医師資格が必要です。しかし、エステティシャンとして公的な資格がない状況では、資格が必要かどうかの境界が曖昧です。そのため、医師法違反などのトラブルが起こりやすいです。
こうした状況下にあるため、コンプライアンス体制の確立が求められています。特に医師法違反によるトラブルは医療行為として問題があるため、法令・社会規範の順守が必要不可欠であり、これはM&Aでも特に考慮しなければなりません。
例えば、M&Aによる特定のエステサロンにおける買収を考える場合、サロンのコンプライアンス体制が整備されているか、医師法違反などの問題を抱えていないかなど、さまざまな点を考慮しなければなりません。
一方、トラブルによって苦情や相談が増加する中で、エステサロンに対する信頼を回復するための動きが見られます。例えば、特定非営利活動法人日本エステティック機構による「エステティックサロン認証」の制度などが代表的な例です。
エステティックサロン認証とは、経済産業省の報告書にもとづく認定基準に沿って審査が行われ、基準に見合ったサロンに認証が与えられる制度のことです。認証されたサロンは、法律を守るサロンとして認められるため信頼度が高まります。
国家資格とは異なりますが、認証基準は経済産業省の報告書にもとづいて作成されるため、公的な側面が含まれている制度です。
エステサロン業界の市場動向
2023年度のエステティックサロン市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比99.2%の3,139億円と予測されており、これで4年連続の縮小となる見込みです。
分野別に見ると、全体の60%以上を占める女性向け施術(フェイシャル、ボディシェイプ、脱毛など)の市場は1,984億円で、前年度比98.6%と低調でした。一方、男性向けエステ市場は162億円で、前年から2.5%増加し、物販部門は993億円で前年並み(100.1%)となりました。
特に、男性向けエステ市場については、脱毛サロン企業の事業規模を見直した結果、2020年度から2022年度までの期間でコロナ禍にも関わらず、二桁成長を含むプラス成長が続いたと推定されています。
エステサロン業界が抱える課題と展望
エステサロン業界は参入障壁が低いため、毎年多くの新規参入があります。その一方、市場規模は横ばいで、店舗数は飽和状態にあるため過当競争は避けられません。
その結果、1年以内に閉店・撤退する新規参入のエステサロンが少なくありません。参入障壁の低さから、個人経営を含めた小規模エステサロンが多く、広告宣伝資金が足りないため、十分な集客を行えていないことが大きな原因です。
また、華やかな印象のあるエステティシャンですが、その労働環境を問題視する意見もあります。肉体労働である従業員の労働に、過酷な一面がある点は否定できません。
常連客を増やし経営状態を改善するためにも、エステサロンの労働環境改善は大きな課題だといえます。そして、2020年以降のコロナ禍を境に、抜本的な経営の見直しもエステサロン業界全体で必要不可欠です。
エステサロン業界のM&A・事業承継の特徴
エステサロンの規模はさまざまあり、大手から個人経営まで幅広く存在しています。そのため、エステサロンを考える際は、大手サロンと中小規模のサロン(個人経営も含む)に分けて検討することが望ましいです。
M&Aの活用は、中小企業・大手企業のいずれにもメリットがあります。中小企業の場合、後継者不足問題の解決や事業継続などがメリットです。大手企業は、新規事業の開始・新たなノウハウの獲得などがメリットです。
こうしたメリットを享受できるのは、エステサロン業界も例外ではありません。例えば、中小規模のサロンでは、後継者不足問題の解決策として、M&Aを取り入れる事例が増加しています。
その一方、大手エステサロンでは、雑誌やCMなどにより知名度が高く、幅広い事業展開が特徴です。ただし、人気が高いために予約を取りづらく、料金が高額などの問題が見られます。
また、大手エステサロンでも常に改善が必要であるため、新しいノウハウの獲得に積極的です。その際に、M&Aをひとつの手法として考えるエステサロンが多く見られます。
中小規模のエステサロンと個人経営のエステサロン
中小規模のエステサロンや個人経営のエステサロンは、知名度では大手サロンに劣るものの、良質なサービスによって高評価を得ているサロンも数多く存在します。
ただし、相談センターなどのサービスは大手サロンに劣る傾向があり、何らかのトラブルが発生した場合、解決に時間がかかる可能性があります。とはいえ、中小規模でもフォロー体制が十分に整備されているサロンも見られます。
このように、中小規模のサロンでも良質なサービスは多く見られるものの、財務基盤の不安定さや後継者不足問題などの課題も残されています。もしも良質なサービスを提供しているのであれば、財務基盤などの問題を解決し事業を継続するためにM&Aの活用をおすすめします。
そして、M&Aに関してお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、これまでに培ったノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。
また、料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
エステサロン業界のM&A・事業承継の最新動向
本章では、エステサロン業界のM&A・事業承継の動向を、中小規模のエステサロンと大手エステサロンに分けて説明します。
中小規模エステサロンのM&A・事業承継の動向
エステサロン業界では、中小規模のエステサロンが店舗数を拡大するためにM&Aを活用する事例が多く、小規模案件が少なくありません。
エステサロンのビジネスは店舗を基盤とするため、店舗数の拡大は事業拡大につながります。そのため、事業を拡大したい中小規模のエステサロンにとって、M&Aは効果的な手法のひとつです。
こうした事情から、エステサロン業界では、中小規模のエステサロン同士のM&Aが多い傾向にあります。
大手エステサロンのM&A・事業承継の動向
最近では、大手企業による大手エステサロンの買収事例も増加しています。例えば2024年4月、GFAは、「キレイモ」店舗をミュゼプラチナムに事業譲渡しています。その他にも、三越伊勢丹ホールディングスによるSWPホールディングスの買収、ソフトフロントホールディングスによるグッドスタイルカンパニーの買収などの事例が目立っています。
大手企業によるエステサロンの買収は、エステサロンにおけるコンプライアンス体制の強化が期待されています。これは、大手企業が持つコンプライアンス体制確立のノウハウを獲得できるためです。
特にエステサロン業界は、コンプライアンス体制の確立が求められる業界です。そのため、コンプライアンス体制確立を期待できる手法として、大手企業による買収が増加しています。また、事業投資に重きを置いた買収である点も最近の大手エステサロンにおけるM&Aの特徴であり、投資家から注目が集まっています。
エステサロン業界のM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っているエステサロン業界のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。
【地域No1知名度】北陸エリア/美容院・エステサロン運営事業
毎年安定した営業利益を創出しています。若手人材が多く在籍しており、離職率も低いです。
エリア | 中部・北陸 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【首都圏/好立地×10店舗展開】美容サロン事業
首都圏の好立地にてFC店含む計10店舗を展開する美容サロンを手掛ける企業です。各種サロンの運営に加えて、高利益率の美容用品販売も行うなど多角的に事業を展開しています。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 創業者利益の獲得のため譲渡をご検討されております。 |
エステサロン業界のM&A・事業承継ニュース
本章では、近年実施されたエステサロン業界に関するM&A・事業承継の中からピックアップし紹介します。広く公表されるM&Aは基本的に上場企業が当時会社となった案件であるため、親近感に乏しいと思われる経営者の方もいるかもしれません。
とはいえ、公表されていない多数の個人経営や中小規模のエステサロンにおけるM&A動向をイメージするためにも、大手エステサロンのM&A内容を把握しておくことが大切です。
GFAがミュゼプラチナムに事業譲渡
2024年4月、GFAは、フランチャイズ形式で運営していた「キレイモ」の店舗をミュゼプラチナムに譲渡することを決定しました。
もともと「キレイモ」は株式会社ヴィエリスが運営していましたが、2022年10月に経営悪化を理由にGFAへ譲渡されました。その後、GFAはヴィエリスに資金提供や経営再建の見直し、既存顧客へのサポートなどを行いましたが、ヴィエリスの経営は回復しませんでした。
GFAは、キレイモを取得する前からミュゼプラチナムとの取引関係があり、エステサロン業界で大きなシェアを持つ同社に事業を譲渡することで、より安定した運営を目指す判断を下しました。
ウエルシアHDがププレひまわりと資本業務提携
2021年7月16日、ウエルシアホールディングスは、ププレひまわり(広島県福山市)と資本業務提携(子会社化)を目指す基本合意書を締結することを決定しました。ウエルシアHDはププレひまわりの発行株式の50%超を取得し、子会社化する予定です。
ウエルシアHDは、調剤併設型ドラッグストアチェーンの運営とグループ企業の管理を行っています。ププレひまわりは、「スーパードラッグひまわり」や「サプラス」の大型ドラッグストア、調剤薬局「ひまわり薬局」、フェイシャルエステサロン、業務スーパーを運営しています。
今回の提携を通じて、ウエルシアHDは中国四国地方での店舗拡大を進め、双方のノウハウや人材などのリソースを共有し、経営規模の拡大と体質強化を目指します。
ANAPがアセアンビューティホールディングスと資本提携
2020年9月、カジュアル衣料の輸入・販売および卸売事業を行うANAPは、アセアンビューティホールディングスと資本提携を行うことを発表しました。両社は同年8月に業務提携する旨の発表も行っており、提携関係をより強固に行うための資本提携と考えられています。
アセアンビューティホールディングスは、フィリピンでエステサロン「ベルルミエール」13店舗を展開するなど、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域のビジネスに成功しています。ANAPはこの点に着目し、今後協業を進める方針です。
なお、資本提携額や具体的な契約日などの詳細は公表されていません。また、資本提携は、合併や買収などのM&A手法とは異なりますが、資本移動を伴うことから広義のM&Aと解されています。
RVHが連結子会社ミュゼプラチナムと不二ビューティを G.Pホールディングに株式譲渡
2020年4月、RVHは、100%子会社であったミュゼプラチナムと不二ビューティの全株式をG.Pホールディングに譲渡しました。それぞれの株式譲渡価額は、ミュゼプラチナムが21億2,331万4,645円、不二ビューティが57億3,091万7,920円と発表されています。
ミュゼプラチナムは、美容脱毛事業・コスメ事業としてミュゼプラチナムやマキアなどのエステサロンを運営しており、不二ビューティはエステサロンたかの友梨ビューティクリニックを運営しています。
株式譲受側のG.Pホールディングは、不二ビューティの代表取締役会長でもある髙野友梨氏が代表取締役で筆頭株主(52%所有)の会社です。
この株式譲渡の結果、RVHはエステサロン事業から完全撤退した一方、G.Pホールディング(髙野友梨氏)は元の会社(不二ビューティ)を買い戻し、なおかつミュゼプラチナムを新たに傘下にしています。
美容エステサロンの売却の相場については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
エステサロン業界のM&A・事業承継のメリット
本章では、エステサロン業界の企業がM&A・事業承継を選択する場合に期待されるメリットを、買収側・売却側それぞれ解説します。
エステサロン業界のM&A・事業承継で買収するメリット
エステサロンのM&A・事業承継における買う側のメリットは下記のとおりです。
①事業拡大ができる
買う側における一番のメリットは、事業拡大です。M&Aでは、買収対象となるエステサロンの事業基盤を受け継ぐため、自社の事業は拡大します。例えば、これまでエステサロン業界と関わりのなかった企業の場合、エステサロンの買収によって新規事業への参入も可能です。
近年の大手企業による大手エステサロンの買収事例を見ると、異なる業界の企業による買収が目立っています。この傾向は、大手エステサロンの事業基盤を大手企業が組み込むことで、大規模な事業拡大を進められるメリットも関係しています。
②エステティシャンの増員
大手エステサロンの場合、エステティシャンのレベルが高い傾向にあります。そのため、新規事業にもかかわらず良質なサービスをスムーズに提供できることも、大手エステサロンを買収するメリットのひとつです。
また、中小規模のエステサロン同士におけるM&Aでも、買う側のエステサロンには多くのメリットがあります。例えば、店舗数の拡大やエステティシャンの増員など、事業拡大に必要な要素を引き継げます。
エステサロン業界のM&A・事業承継で売却するメリット
エステサロンのM&A・事業承継では、企業の規模にかかわらず、売る側にもメリットが多くあります。
大手エステサロンが売る側となる場合、経営基盤のさらなる安定化、創業者利益の獲得といったメリットがあります。とはいえ、中小規模エステサロンを売却する方がメリットは多いため、ここからは中小規模エステサロンの売却におけるメリットを詳しく説明します。
中小規模エステサロンの売却におけるメリット
中小規模のエステサロンが売る側となる場合、後継者不足問題の解決、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人補償や担保の解消、従業員の雇用維持、事業の維持・承継など、多くのメリットがあります。
これらは中小企業がM&Aを行うメリットですが、これは中小規模のエステサロンも例外ではありません。
そもそも中小企業では、後継者不足問題の解決や経営基盤の安定化を目的とするM&A事例が頻繁に注目されるなど、後継者不足が発生する確率が高い傾向にあります。特にエステサロンであれば、個人経営のサロンなど後継者不足に悩むケースが多いです。
しかし、中小規模のエステサロンでも、良質なサービスを提供するサロンは存在します。良質なサービスを提供できても、後継者がいないために事業が継続できないのはオーナーとして避けたい事態です。
また、良いサービスを提供できるにもかかわらず、経営基盤が安定しないために継続が難しい場合もあります。こうした事態を解決するため、売却を検討するケースが増えているのです。
美容エステサロンの事業譲渡については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
エステサロン業界のM&A・事業承継を成功させる4つのポイント
本章では、エステサロン業界のM&A・事業承継を成功させるポイントについて紹介します。
①排水管の状態をチェックする
エステサロンでは、シャワーユニット・トイレ・手洗い場など水を使う設備が必要なので、排水管が要ります。そのため、売却を検討するケースでは、これまでに使用していた排水管の状態を買い手側が確認します。
排水管の状態が悪い場合、買い手側は開業計画を再検討します。水回り箇所から排水設備まで配管を引き込む作業が必要となるためです。以上のことから、売り手側では、排水管の状態をチェックしましょう。
②個室の広さ・部屋数を確保する
エステサロンは、顧客が快適に感じる広さの個室を必要とします。個室には、施術用のベッド・施術器具・収納棚・テーブル・椅子などを置きます。個人サロンを始める場合は、6畳ほどで足ります。
とはいえ、部屋数により施術できる顧客の数が変わるため、部屋数が多ければ買い手が魅力的に感じます。スタッフの数にもよりますが、売却前に部屋数を増やしておくと良いでしょう。
③高い集客率が見込める立地に店舗を構える
エステサロンは、高い集客率を必要とします。隠れ家的な店舗を希望する場合は、顧客が集まらなくて廃業することもあり得ます。
エステサロンのほとんどが、エステサロンを利用する客層の多い地域や駅構内に店舗を構えています。エステサロンのコンセプトにもよりますが、高い集客率が見込める立地に店舗を構えることが、エステサロン業界のM&Aを成功させるポイントのひとつです。
④顧客のニーズに沿った施術の有無を確認する
エステサロンには、フェイスケア・ボディケアなどさまざまな施術があります。エステサロンを開業する際は、来店する顧客層を考えながら主要サービスに据える施術を検討すると良いでしょう。
ここでは、エステサロン業界のM&Aを成功させるために、顧客のニーズに沿った施術の有無を確認します。顧客のニーズに応える経営であれば、買い手にとって魅力的に映ります。
美容雑貨製造業界のM&A・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
エステサロン業界のM&A・事業承継の相場と費用
エステサロン業界のM&A・事業承継は、小規模案件から大規模案件まで存在します。もともと小規模案件が多く見られましたが、近年は案件の大型化が目立っています。
その一方で、中小規模のエステサロンにおける事業拡大などを考慮すると、小規模案件は今後も一定数報告されると考えられます。本章では、エステサロン業界のM&A・事業承継の相場と費用を紹介します。
エステサロン業界のM&A・事業承継の相場
エステサロン業界におけるM&A・事業承継の相場と費用を把握するには、案件規模のばらつきを考慮しなければなりません。また、会社の適正価値・市場の動向や時期などを踏まえて検討する必要があります。さまざまな観点から客観的に金額を理解し、M&A・事業承継を検討しましょう。
例えば、会社を買収する場面では、売る側は高く売りたいと考え、買う側は安く買いたいと考えます。そのため、取引相場金額を把握しなければ、「安く売ってしまった」もしくは「高く買ってしまった」といった事態に陥りかねません。
エステサロン業界のM&A・事業承継の費用
M&A・事業承継を実施する際は、買う側のリスクが高い傾向にあります。なぜなら、買収によって新規事業を開始しても業績を出せるかどうかなど不明瞭な点が多いためです。そのため、不明瞭な部分に多くの資金を用意することに抵抗を感じて、なるべく安く買いたいと考える傾向にあります。
しかし、買収金額が高いからといって買収に消極的になると、チャンスを逃すおそれもあります。買収金額が高くても、それを十分にカバーする利益をもたらす可能性があります。こうした判断は非常に難しいものの、M&Aにおいて必要不可欠です。
以上より、M&A実施の際は、買収対象の企業だけでなく業界の取引相場を考える必要があります。買収金額が高いと感じても、業界の取引相場として考えれば妥当な場合があるのです。
エステサロン業界のM&A・事業承継における居抜き物件の購入
「エステサロン業界に参入したい」あるいは「店舗を増やしたい」場合、居抜き物件の購入は非常に魅力的です。エステサロンの設備はコストが高いため、コストを抑えるうえで居抜き物件の購入にはメリットがあります。
一般的に、居抜き物件の設備はそのまま使用できます。縮小傾向にあるエステサロン業界では、居抜き物件が少なくないため、居抜き物件を購入して事業を始める場合は不動産などに相談するとスムーズに進められる可能性が高いです。
ただし、居抜き物件の購入では、技術者やノウハウの獲得は不可能です。居抜き物件は、設備のみを獲得する手法であるためです。
一方で、M&Aによるエステサロンの買収であれば、技術者やノウハウを獲得できます。そのため、エステサロン業界への新規展開を検討する際は、エステサロンのM&A・事業承継を実施することが望ましいです。
エステサロン業界のM&A・事業承継時におすすめの相談先
本章では、エステサロン業界のM&A・事業承継時におすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した部署を設立する動きが活発化しています。特に、投資銀行や大手メガバンクでは、企業間の取引を円滑に進めるために、M&Aのファイナンシャルアドバイザー(FA)として、資金調達や戦略立案の支援を行っています。
このような専門的サポートを利用することで、企業は資金調達や事業承継といった複雑な問題にも効果的に対応でき、専門家の助言により取引の成功率を高めることができます。
ただし、大手金融機関は規模の大きいM&A案件を優先する傾向があり、中小企業が十分なサポートを受けられない場合もあります。そのため、企業は自社の規模やニーズに合った支援先を慎重に選定することが重要です。また、アドバイザリーサービスの費用が高額になることもあるため、事前に費用確認とコスト計画をしっかり立てることが求められます。
公的機関
近年、事業承継やM&Aに対する公的支援が大幅に拡充されています。全国に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」では、後継者不足に悩む中小企業に対し、事業承継やM&Aの情報提供や専門的アドバイスを行い、企業間のマッチングを無料で支援しています。
この仕組みにより、地方の中小企業も簡単に専門的サポートを受けられるようになっています。個人事業主も対象となっており、必要に応じてM&A仲介会社や専門家の紹介も受けることができます。
ただし、民間のM&A仲介会社と比べると、対応の迅速さや柔軟性に限界があることがあるため、その点は注意が必要です。それでも、公的機関は、事業承継やM&Aを考えている企業にとって信頼できる支援先といえるでしょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売買における全プロセスをサポートする専門機関です。売り手と買い手の両方に対して、最適な取引相手の紹介や交渉の支援、進行スケジュールの管理、企業価値の評価(バリュエーション)、契約書の作成など、多岐にわたるサービスを提供します。その役割は、両者の条件や希望を調整し、取引が円滑に進むよう仲介することです。
特に、広いネットワークを活用して、最適な取引先を見つける能力に優れており、M&Aの成功率を高める役割を果たしています。また、経験が少ない企業に対しても、実務面でのアドバイスを行い、取引をスムーズに進行させるサポートを提供します。
ただし、仲介会社を利用する際には、着手金や中間金などの手数料が発生する場合があるため、コストがかかることもあります。費用を抑えたい場合は、成功報酬型の仲介会社を選ぶのが良いでしょう。
エステサロン業界のM&A・事業承継まとめ
本記事では、エステサロン業界におけるM&A・事業承継の動向や相場、成功・失敗事例を解説しました。
M&Aでは買い手と売り手の立場によってM&Aを選択する目的が異なるため、メリット・デメリットを判断する必要があります。大きな意思決定であるM&Aには注意点も多いため、専門家を十分に活用しましょう。
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