M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年10月24日更新業種別M&A
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継事例を紹介!業界動向も解説
本記事では、ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継について解説します。ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界の動向から、事例やM&A・事業承継を成功させるためのポイントを紹介します。ゴム製品製造のM&A・事業承継を検討している方は必見です。
目次
ゴム・プラスチック製品(部品)製造の現状
ゴム・プラスチック製品(部品)製造とは、ゴムやプラスチック素材を使った製品の製造・販売を指します。ゴム製品は、自動車用タイヤが大きな割合を占めている業界です。タイヤメーカー業界全体の動向によって、出荷金額が大きく変動する傾向があるのが特徴です。
プラスチック製品は、ポリエチレン・高密度ポリエチレン・ポリスチレンなど非常に多彩な素材を使い生産されます。それぞれの素材に特徴があるため、製品によって最適な素材が変化します。
①海外生産品の影響で販売額が減少傾向
海外製品、とりわけ中国製のゴム・プラスチック製品(部品)の輸出量が急激に増加しており、その影響で日本国内のゴム・プラスチック製品を含む化学製品の販売額が減少傾向にあります。
経済産業省のデータによれば、中国の化学製品の出荷額は、すでに日本の約6倍に達していることが明らかになっています。
さらに、化学産業全体では、米国と中国の存在感がますます大きくなっていることがうかがえます。特にエチレン生産能力においては、2023年には2017年と比較して米国が1.5倍、中国が2倍にまで供給能力を増やす見込みであり、世界市場における両国のシェアも着実に拡大していくと予測されています。
この動向からも、化学分野における日本の競争力が低下し、米中の影響力が強まっていることが読み取れます。
参考:三菱総合研究所「令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(貿易分野デジタル化連携ツールの検討等)報告書」
経済産業省「化学産業の現状と課題 令和3年12月21日」
②環境問題に配慮した製品開発
近年、廃棄されたマイクロプラスチックが生態系や人体に悪影響を及ぼしている可能性があることが指摘されています。環境問題として取り上げられることが多くなりました。
また、ゴム業界に関しては、主要納入先である自動車業界が環境に配慮した電気自動車(EV)や燃料電池自動車の拡大を図ることによって、エンジン周りのゴムベルト、ゴムホースの需要減少の影響を受けています。そこで、医療業界、日用品などの分野への進出が拡大している状況です。
このような環境問題・状況に対応するため、M&A・事業承継によって事業拡大を行い、新製品を開発することが求められています。
③新しい技術に対応する新素材の需要が伸びている
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、常に新技術や新素材を探求し続けています。
高度な加工技術を持つ企業が集う「高機能プラスチック・ゴム展」が毎年開催されており、その需要の高さが伺えます。
④「プラスチック資源循環促進法」の施行による企業のプラスチック使用量削減
2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」により、企業に対してプラスチック使用量の削減が求められるようになり、食品業界でも包装の見直しが進んでいます。
例えば、J-オイルミルズは3月からプラスチック使用量を従来の6割減らした紙容器を使用した油の商品を増やし、味の素は家庭用のうま味調味料などの袋商品の包材をプラスチックから紙に変更しました。これまで脱プラスチックの取り組みは主に非製造業で進められていましたが、現在は製造業にも広がりを見せています。
ソニーは商品の包装材からプラスチックを完全に廃止し、富士通は製品設計を工夫することで使用量の削減に取り組んでいます。
また、2020年の容器包装リサイクル法改正に伴い、レジ袋が有償化されたこともプラスチック使用量の削減に寄与し、需要の減少をもたらしました。これらの施策により、企業の脱プラスチック化の動きは今後さらに加速する見通しです。
⑤原料価格の高騰による製造コスト上昇
2023年7月以降、原油価格は上昇基調にあります。この背景には、産油国による減産の実施や、引き続き堅調とされる原油需要の見通しが影響しています。この原油の価格高騰により、合成ゴムやプラスチック製品の製造コストが上昇しています。
合成ゴムについては、自動車部品や工業用ゴム製品の原料として広く使われており、その製造にはナフサが用いられています。
ナフサは石油から得られるため、石油価格の変動が合成ゴムの価格にも直接的な影響を与えます。石油価格が上昇するとナフサの取引価格も高くなり、それに伴って合成ゴムの価格も上がる傾向があります。
また、プラスチックの素材一つであるポリプロピレンも、原油価格の高騰によりコストが上昇しています。例えば、日本ポリプロでは、2023年4月1日納入分から、自動車部品や雑貨に使用されるポリプロピレンを1kgあたり10円以上値上げする方針を打ち出しており、これは約3%の値上げ率に相当します。
参考:富士ゴム化成株式会社「合成ゴムの値上がりの要因」
日本経済新聞「合成樹脂の値上げ相次ぐ 電気代や物流費、異例の転嫁」
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の動向
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の近年の動きを見てみましょう。次の点に注目します。
- 業界再編の動きが目立っている
- 小規模メーカーを対象とするM&Aが増加する見込み
- アジア市場開拓を図った再編が起こると推測
①業界再編の動きが目立っている
近年、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、業界再編の動きが眼立ってきており、大手企業によるM&Aが活発化しています。
次の章で取り上げますが、例えば、朝日印刷や積水化成品工業などの大手企業が積極的にM&Aを行っており、今後もこのような業界再編の動きは続く見込みです。
②小規模メーカーを対象とするM&Aが増加する見込み
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は、非上場企業が多く存在します。業界内の非上場企業は約15,000社ほどあり、その半数を社員数の少ない小規模メーカーが占めている状態です。
業界を支えている小規模メーカーでは、特に経営者の高齢化が課題となっており、今後の動向としては、後継者問題を解決する目的などの小規模メーカーを対象とするM&Aが増加すると推測されます。
③アジア市場開拓を図った再編が起こると推測
近年、石油価格の高騰や人口減少問題から、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界の国内需要は縮小傾向にあるため、アジア市場など海外に目を向ける動きが活発になっています。
大量生産用の拠点をアジアに移転することを目的としたM&Aが、今後ますます起こるのではないかと推測されます。
ゴム・プラスチック製品(部品)のM&A・事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っているゴム・プラスチック製品(部品)のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。
【海外】ゴム手袋、マスク等ヘルスケア用品の製造業
製品の品質、多様性に強みがあります。ゴム手袋一つとっても、ラテックス製品、ニトリル製品、ビニール製品等、用途や体質に応じてラインナップを揃えています。
エリア | 海外 |
売上高 | 10億円〜25億円 |
譲渡希望額 | 20億円〜 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
【ベトナム/プラスチック包装製造業】ECOに特化したペットボトル製造のパイオニア
年間生産量は22,800トン rPET/PETです。工場は5か所に保有中で、新たに50,000㎡の工場建設計画もあります。
エリア | 海外 |
売上高 | 50億円〜100億円 |
譲渡希望額 | 約30億円~40億円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継事例
こちらでは、ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継事例をご紹介します。
積水化成品工業が積水化成品東北の生産機能を村山製作所に譲渡
2024年9月19日、積水化成品工業は、収益力の向上を目的とした事業ポートフォリオの見直しの一環として、国内グループ会社である積水化成品東北(岩手県北上市にある北上工場)の生産機能を、群馬県太田市の村山製作所へ譲渡することを発表しました。
北上工場は、これまで積水化成品グループの東北エリアにおいて、発泡ポリスチレンシートを使用した折箱の製造および販売を行ってきましたが、2024年10月1日からは、生産機能を村山製作所へ移管し、販売機能は引き続き積水化成品東北が担当することになります。
なお、積水化成品東北はさまざまな発泡スチロール製品の製造・販売を手掛けており、村山製作所はプラスチック製トレーの製造・販売を主な事業としています。今回の生産機能の移管により、両社のリソースをより効果的に活用し、事業の収益性を強化する狙いがあります。
オカモトが理研コランダムにTOBを実施し完全子会社化
オカモトは、理研コランダムの普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを決定しました。理研コランダムはこのTOBに対し、賛同の意を表明しています。
オカモトは、産業用製品や生活用品の製造・販売を手掛ける企業です。一方、理研コランダムは研磨布紙などの製造販売、OA機器用部材の製造販売、そして不動産賃貸事業を展開しています。
今回のTOBを通じて、オカモトは理研コランダムを完全子会社化し、親子上場による利益相反のリスクを解消するとともに、グループ全体の連携を強化することを目指しています。これにより、意思決定の迅速化を図り、以下のシナジー効果を狙います。
- 技術融合と販売力強化
- グローバル展開の推進
- 生産体制とコストの最適化
- 上場維持コストの削減
岡本工作機械製作所がニッコーから平面研削盤製造・販売事業を譲受
株式会社岡本工作機械製作所は、2023年11月30日の取締役会で、破産手続き中のニッコー株式会社から「平面研削盤製造・販売事業」を引き継ぐことを決定しました。この事業を引き継ぐために、岡本工作機械製作所は新たに100%出資の子会社(株式会社NICCO)を設立することも決めました。
この決定に続き、12月12日の取締役会で、ニッコーの破産管財人弁護士と事業譲渡契約を結ぶことが決定されました。
岡本工作機械製作所は、研削盤や半導体関連製造装置の設計、開発、製造、販売、サービスを手がける総合砥粒加工機メーカーです。一方、ニッコーは1994年3月設立の企業で、平面研削盤の製造と販売を主な事業としています。
この事業譲受により、岡本工作機械製作所グループは販路の拡大やサービス体制の強化を目指します。また、中長期的には、新会社を含むグループ各社との連携強化やノウハウの相互活用を通じて、多面的なソリューションを展開する計画です。
エッチ・ピー・エスがTGIMを子会社化
豊田合成株式会社は、自社の子会社である豊田合成インテリア・マニュファクチュアリング株式会社(以下、TGIM)の全株式を株式会社エッチ・ピー・エスに譲渡することを決めました。豊田合成は、主に合成樹脂やゴムを使用した自動車部品の製造と販売を手掛けています。TGIMは自動車の内装部品などのプラスチック製品の製造販売を行っています。
この取引により、TGIMはエッチ・ピー・エスグループに加わります。エッチ・ピー・エスグループの一員として、生産体制を最適化し、生産効率の向上や物流コストの削減を目指すことができるため、事業のさらなる成長が期待されています。この機会を捉え、豊田合成はTGIMの全株式をエッチ・ピー・エスへ譲渡することにしました。
三光産業が五反田ゴム工業を子会社化
2023年8月、三光産業は五反田ゴム工業の全ての株式を取得し、子会社化しました。
三光産業は、シール・ラベル・ステッカーなどの印刷物の総合メーカーです。対象会社の五反田ゴム工業は、工業用ゴム製品の製造販売を展開しています。
今回のM&Aにより、事業規模拡大を目指すとともにシール・ラベル印刷事業においてもシナジー効果を図ります。
cottaがアスコットを連結子会社化
2023年8月、cottaは、製菓や製パンの材料などをネットで販売しているコッタというサイトを運営しています。また、そのグループ企業「ヒラカワ」では、生活協同組合(生協)向けの日用品も販売しています。一方、東京にあるアスコットは、特に九州の生協を中心に日用品の卸売を行っています。
今回、cottaはアスコットの株式を取得して、自社のグループに迎えることにしました。この統合により、販売する商品や、仕入れから配送までの方法など、さまざまな面で協力し合い、お互いのビジネスをさらに成長させることを目指しています。
NOKがエストーの全株式を取得
2023年7月、NOKは、大阪にあるエストーの株を全て手に入れる契約を結びました。これにより、エストーはNOKのグループ企業として活動することになります。NOKは、機械や装置に使われるシール製品や、工場で使用する機器の製造・販売をしています。
一方、エストーは、とても高度な技術を持つ金型の設計や、高精度のプラスチック製品を作っています。今回の統合で、NOKはエストーの高度な技術を取り入れ、特に最近注目されている電気自動車用の部品の開発や製造を強化する計画です。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造をM&A・事業承継する理由5選
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を行う理由には、下記のようなポイントが挙げられます。
【ゴム・プラスチック製品(部品)製造をM&A・事業承継する理由】
- 後継者問題の解消
- 事業規模の拡大を行いたい
- 従業員の雇用確保
- 技術を継承したい
- 譲渡・売却益の獲得
①後継者問題の解消
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界においても、後継者不足問題は深刻化しています。現状の経営状態が良好であっても、後継者が不在のままでは廃業に追い込まれてしまうかもしれません。
親族内や社内に後継者が居ない場合、第三者に事業承継することも視野に入れる必要があります。M&A・事業承継は、後継者問題を解消するための有効な手段といえるでしょう。
②事業規模の拡大を行いたい
売り手側は傘下に入ることで、買い手側は資源を確保することで事業規模の拡大に繋がります。通常、事業規模の拡大は長い時間をかけて行っていくものです。
規模の拡大中は利益率改善などを見込むことは難しくなります。支出増の期間が長期化するからです。
M&A(譲渡・売却)・事業承継であれば、一気に事業規模の拡大を図ることが可能です。利益率の改善などを速やかに行うことが期待できるでしょう。
③従業員の雇用確保
買い手側は、これまで会社に従事してきた経験のある従業員を一度に確保できます。最初から人材を育成する必要はありません。即戦力を確保できるというメリットがあります。
④技術を継承したい
買い手側は、売り手側の個人・企業がこれまで培ってきた技術・ノウハウを継承できます。長い期間をかけて積み重ねてきた技術・ノウハウは一朝一夕ではできません。同等以上の期間・手間をかけなければ取得は難しいでしょう。
その点、M&A・事業承継であれば、技術・ノウハウを丸々継承できるというメリットがあります。
⑤譲渡・売却益の獲得
譲渡・売却益の獲得を目的として、M&A・事業承継を行うことも多いです。M&A・事業承継を行うと、売り手側の経営者は譲渡・売却益を獲得できます。
まとまった資金が得られるので、新生活や新事業の立ち上げに活用できるでしょう。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&Aの相場
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界を支えているのは、半数以上が非上場企業です。小規模メーカーのM&Aが多いことから、譲渡・売却価格を正しく算定することが重要です。
M&Aにおける売却相場は一概にいくらというのは難しいものですが、企業価値評価を算出すればおおよその目安にできます。
また、シナジー効果が見込めるほど、買い手から高い評価を得やすくなる傾向があります。高いシナジー効果が得られる相手をみつけられるかどうかが、M&Aを成功へ導く近道といえるでしょう。
企業価値評価の算出方法
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界のM&Aを進める際に必要な企業価値評価の算出には、次のようなやり方があります。
- コストアプローチ(現在の資産と負債を基準に算定する方法)
- インカムアプローチ(将来的に見込まれる利益とリスク両方を基準に算定する方法)
- マーケットアプローチ(自社と似ている事業を営む上場企業の株価を基準に算定する方法)
企業価値評価については、下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の成功ポイント5選
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を円滑に行うためには、下記の5点を抑えておくことが重要です。
【ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継のポイント】
- 金型の保有権は何処にあるか
- 設備投資はしっかりと行われているか
- 元請け提出用の決算書類はあるか
- 計画的に準備し譲渡・売却先を選んだか
- 最適なM&A・事業承継の専門家に相談したか
①金型の保有権は何処にあるか
プラスチック製品製造は、鋳型や金型を使用して製造することが多い業界です。M&A・事業承継の際には、金型の保有権を明瞭化させる必要があります。
②設備投資はしっかりと行われているか
ゴム・プラスチック製品(部品)製造では、工場の設備で大量生産するのが基本です。高利益を出すために、しっかりとした設備で生産することが必要不可欠となります。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継では、設備投資や工場の状況について確認することが重要です。
③元請け提出用の決算書類はあるか
元請けの提出用の決算書類の有無を確認しておくことも大切です。決算書類を見ることで、経営成績や財務状態を把握できます。必ず確認するようにしましょう。
④計画的に準備し譲渡・売却先を選んだか
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継は、事前準備が必要不可欠です。必要となる情報・書類の用意や計画をしっかりと練っておきましょう。
売却先が決まり、成約直前まで話が進んだ際も、一度冷静になり見返してみることが大切です。本当に適切な譲渡・売却先であるか考えてみてください。
⑤最適なM&A・事業承継の専門家に相談したか
M&A・事業承継は、専門的な知識や豊富な経験を必要とするものです。そのため、M&A・事業承継を円滑に進めるためには、最適な専門家に相談するのがベストだといえます。
現在相談している専門家が本当に最適かどうか、一度検討してみてください。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造をM&A・事業承継する際におすすめの相談先5選
ゴム・プラスチック製品(部品)製造をM&A・事業承継する際におすすめの相談先をご紹介します。
①M&A仲介会社
M&A・事業承継で最もおすすめな相談先はM&A仲介会社です。M&Aに関する知識を持った専門家が応対するため、高い成約率を誇ります。
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を支援する専門企業で、売り手と買い手の間に立ち、交渉から書類作成まで全プロセスをサポートします。彼らは売り手と買い手双方の条件を調整し、双方が合意できる最適な条件を見つけることで、取引を円滑に進める役割を担います。
仲介会社の強みは、豊富な候補企業から最適な相手を見つけられる点にあり、これにより双方が満足する取引を実現しやすくなります。また、M&Aに不慣れな企業にも具体的なアドバイスを提供し、取引成功率を高めます。
ただし、仲介会社によっては着手金や中間金といったコストが発生することがあり、費用面での負担が課題になることもあります。そのため、コストを抑えたい場合には、成功報酬型のサービスを提供する企業を選ぶことが効果的です。
②地元の金融機関
M&A・事業承継する際の相談先として、地元の金融機関も候補に挙がります。銀行・信託銀行などでは、地域に根付いたネットワークによって、ゴム・プラスチック製品(部品)製造関連の企業を探し出すことも可能です。
近年、金融機関がM&A支援を専門に行う部署を設置するケースが増えており、特にファイナンシャルアドバイザー(FA)として積極的に関与しています。M&Aを進める際、買収側企業は資金調達のために金融機関と連携することが重要であり、既存の取引関係を活用して最初の相談を行うことが一般的です。
金融機関の強みは、資金調達に関する専門的なアドバイスが得られる点にあります。例えば、事業承継で親族や従業員が後継者になる際に株式取得資金を調達するサポートが受けられることが挙げられます。また、M&Aに特化した部門を持ち、他の専門家と連携して適切な専門家を紹介してもらえるケースもあります。
ただし、小規模案件には対応しない場合や、報酬が高額になる場合もあるため、依頼時には注意が必要です。
③地元の公的機関
近年、事業承継やM&Aに関する相談が公的機関でも可能となり、特に「事業承継・引継ぎ支援センター」が中小企業の後継者不足を解消するための相談窓口として設置されました。全国47都道府県に窓口を設けており、専門家が無料で事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイス、企業間のマッチングサービスを行っています。
公的機関ならではの利点として、無料で公平なアドバイスが受けられる点が挙げられ、個人事業主にも対応可能です。また、必要に応じてM&A仲介会社や各種専門家の紹介も受けられるため、地方企業でも気軽に利用できます。
一方で、公的機関ゆえに対応のスピードやサポート体制が民間企業と比べて劣る場合があり、スピーディな対応を求めるケースでは不向きなこともあります。
④地元の弁護士・会計士・税理士など
弁護士・公認会計士・税理士は、M&Aの法務・財務・税務デューデリジェンス(企業調査)をそれぞれ担当し、専門的なアドバイスを提供します。買収側企業は、譲受する企業や事業に財務リスクがないか、適正な買収価格はいくらかを判断する必要があり、その際、デューデリジェンスの結果が重要な判断材料となります。
また、これらの専門家は、売却側企業のバリュエーション(企業価値評価)を行い、税務デューデリジェンスでは税制優遇制度の確認も担当します。これらの業務は、効率化のため同じ会計事務所グループが一括して行うことが一般的です。
ただし、弁護士や公認会計士、税理士はデューデリジェンスや法務面・資金面でのアドバイスは得意ですが、M&Aの実務経験が十分でないケースもあり、相手先企業の選定などの支援は専門外であるため、サポート範囲が限定される点には注意が必要です。
⑤マッチングサイト
マッチングサイトは、インターネット上で売却希望企業と買収希望企業が自ら案件を検索し、直接交渉できるマッチングサービスです。多くはM&A仲介会社が運営しており、利用者登録を行うことで、希望する相手先企業を探したり、コンタクトを取ったりできます。
マッチングサイトを利用する場合、相手先の選定から交渉、最終契約(クロージング)まで、すべてを当事者同士で進める必要があるため、M&Aに関する専門知識や法的知識が求められます。知識が不足していると取引の進行がスムーズにいかない可能性がある点がデメリットです。
さらに、万一トラブルが発生した際も自力で解決する必要があるため、専門家に依頼するよりもリスクが高くなる点も注意が必要です。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継のまとめ
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、新技術に対応する新素材の需要の高まりや、環境問題を考慮した製品の開発などの動向から、事業規模の拡大が急務となっています。
これらの課題を解決するための一つの手段として、M&A・事業承継は非常に有用な手段です。今後もますます需要は上がっていくことが想定されます。ポイントをしっかりと把握しておくことが大切でしょう。
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